2021年10月アーカイブ


米連邦通信委員会(FCC)は10月26日、国家安全保障上の懸念から中国の通信会社、中国電信(China Telecom)の米国での事業免許を取り消すと発表した。FCCの月例会合で4対0の全会一致で決めた。

China Telecomは2002年から米国で電気通信サービスを提供する認可を受けていたが、FCCの決定を受け60日以内にサービスを停止する必要がある。

FCCは、China Telecomが中国政府の支配下にあり、十分な法的手続きなく中国政府の要求に応じることを強制させられる可能性が高いと判断した。中国政府がChina Telecomの米国事業の支配を通じて米通信網にアクセスする機会を得ることになり、「国家安全保障上および法執行上の重大なリスクをもたらす」とした。

FCCの委員長代行は「中国国有企業の子会社として事業を運営しているのは記録から明らかであり、中国政府が影響力を行使し、同社の活動を制御することは可能だ。これが米国の通信網に実際の問題をもたらすことはあり得る」とし、監視や通信網の混乱などが考えられると指摘した。

更に、中国聯通(China Unicom)とコムネット(ComNet USA)に対する安全保障上の審査についても、完了に向け「速やかに動いている」と述べた。

中国電信(China Telecom)は、「FCCの決定を残念に思う。顧客へのサービスを継続しつつ、あらゆる可能な選択肢を探っていく計画だ」としている。同社はこれまで、米国を拠点とする事業は独立しているために中国政府の支配は及ばないと説明していた。

付記

米連邦通信委員会(FCC)は6月17日、安全保障上のリスクとみなす中国企業5社の通信機器の認証を禁じる方針を決めた。

華為技術(Huawei)など米国の安全保障に脅威とみなす中国企業の機器を国内通信ネットワークから完全に排除するための新規則を全会一致で採択した。

米議会はこれを法制化し、法案は下院では10月20日、上院は10月28日に可決された。

バイデン米大統領は11月11日、この法案に署名、成立した。

2021/6/22 米、Huaweiなど中国製の通信機器の認証禁止へ

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米国政府はこれまでも、安全保障上の懸念から中国政府の支配下の通信業者に厳しく対応してきた。

米連邦通信委員会(FCC)は2019年4月17日、中国国有通信最大手 の中国移動(China Mobile)の米国参入(2011年申請)を認めない方針を明らかにした。

FCCのPai委員長は声明で、China Mobileを通じて中国政府が米政府へのスパイ行為に利用する可能性があるとし、米国で通信事業に参入すれば「重大で深刻な安全保障上のリスクとなることは明らかだ」と述べ、通信事業免許の申請を却下する方針を明らかにした。

5月9日の会合で正式決定した。

2019/4/19 米連邦通信委員会、中国移動(China Mobile)の参入申請を却下へ 

トランプ米大統領は2020年11月12日、中国軍によって所有または支配されていると米政権がみなす中国企業 ("Communist Chinese military company" )について、米国人による投資を禁止する大統領令に署名した。2021年1月11日に発効する。

ニューヨーク証券取引所は2020年12月31日、中国の通信大手3社、中国電信(China Telecom)、中国移動(China Mobile)、中国聯通(China Unicom)の上場廃止手続きを始めると発表した。

中国軍関連企業に対する米国からの投資を禁止する大統領令に署名したことを踏まえ、同証取は「上場に適さないとの結論に達した」と説明している。

ニューヨーク証券取引所は一旦、これを撤回すると発表したが、財務省からの追加の指示で2021年1月11日に上場廃止した。

2020/11/13 米国、中国軍支援企業への投資を禁止 

米連邦通信委員会(FCC)は2020年4月24日、中国の国有通信事業者4社、中国電信美国(China Telecom USA)、中国聯通美国(China Unicom USA)、太平洋網絡公司(Pacific Network)、コムネット(ComNet USA)に対して、米国国家安全保障に危害を与えていない証拠を提出するよう命じた。委員会は4社の事業免許取り消しも視野に入れている。

太平洋網絡とコムネットは、いずれも中国政府系投資会社の中国中信集団(CITIC Group)が100%出資している。

「中国政府の活動が原因で国家安全保障と法執行リスクが大幅に増加している」とし、「国の通信網の安全確保を考える時、リスクを犯すことがないよう最善の方策を望む」と述べている。

今回、このうちの中国電信美国(China Telecom USA)の事業免許を取り消した。

合わせて、通信機器の認証取り消しも進めている。

米連邦通信委員会(FCC)は2021年6月17日、安全保障上のリスクとみなす華為技術(Huawei)など中国企業5社の通信機器の認証を禁じる方針を決めた。
米国の安全保障に脅威とみなす中国企業の機器を国内通信ネットワークから完全に排除するための新規則を全会一致で採択した。

今後は対象の中国5社の製品を認証しないほか、過去の認証を取り消すことも検討する。

2021/6/22 米、Huaweiなど中国製の通信機器の認証禁止へ

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米国Merck (米加以外ではMSD)と非営利団体のMedicines Patent Pool は10月27日、Merckの新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」(molnupiravir)を幅広い地域に提供するためのライセンス契約を締結したと発表した。

Medicines Patent Pool(MPP)は世界保健機関(WHO)が採択した「公衆衛生と技術革新、知的財産権に関するグローバル戦略」の一貫として2010年に発足した。
医薬品の特許を所有している企業や大学、研究機関などが、 第三者による製造や製品改良のため、自ら所有する特許権を提供 する仕組みで、HIVや結核、C型肝炎などの治療へのアクセスを高めてきた。

特許権の保有者がMPPにその権利を提供することで、ジェネリック薬(後発医薬品)のメーカーは特許期間が満期になる以前に対象となる医薬品の開発に着手できる。
また、MPPが指定した国に対しては、開発した医薬品を輸出することもできる。
特許保有者は利用者から特許権料を受けるが、MPPの運営には特許プール管理機構があたり、提供者と利用者の間の使用交渉や特許料の支払い、受け取りの管理を行う。

今回の契約により、105か国の低・中所得諸国 (LMICs) で「モルヌピラビル」を幅広く使用することができるようになる。

Medicines Patent Poolは、Merckからのライセンスを受けて製造メーカーに非独占のサブライセンスを行い、MPPライセンスでカバーされる諸国「モルヌピラビル」供給するための製造ベースを広げる。

Merckと共同開発者のRidgeback Biotherapeutics 及び Emory University は、COVID-19がWHOにより「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に指定されている限り、ロイヤリティを受け取らない。

「モルヌピラビル」Emory University により開発された。グローバルに問題となるウイルス性疾患の治療用の初期段階の医薬品の開発を進めるために大学が設立したDrug Innovation Ventures at EmoryがRidgeback Biotherapeutics にライセンスし、同社がMerckと共同で開発を行った。

Merckは10月11日、新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」について、FDAに緊急使用許可を申請したと発表した。

Merckは10月25日、European Medicines Agencyが新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」の審査を開始したと発表した。


付記

Merckは11月10日、新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」供給について日本政府と合意したと発表した。

160万回分を約120億ドル(1300億円)で供給する。(1回分 約8万円)

年内に20万回分、2022年2月、3月に各20万回分納入され、さらに100万回分を確保。

近く承認される見込み。

米国は310万回分を約22億ドルで契約した。(1回分 約710ドル)

ーーー

菅義偉前首相は10月12日、新型コロナウイルスの軽症・中等症患者向けの抗体カクテル療法「ロナプリーブ」について、中外製薬から1回31万円で50万回分調達していたことを明らかにした。
厚生労働省によると、中外製薬との契約では、購入価格や数量は明らかにしない秘密保持の条項が含まれている。

BASFは10月25日、中国のリチウムイオン電池の 蜂巣能源(SVOLT Energy Technology)との間で、正極材(cathode active materials:CAM) の開発、原材料供給、SVOLTのバッテリーセルのリサイクルに関して提携すると発表した。

BASFは、SVOLTとの提携で電池材料事業での地位を高めるとしている。電池材料の供給者としてのリーダーとして、SVOLTの電池に高機能正極材を供給する。 リサイクルでも協力する。

BASFは、グローバルな製造・研究開発拠点を有しており、中・高ニッケル系、マンカンリッチ系、コバルトフリーの正極材の幅広いポートフォリオを含め、正極材市場て確固たる地位を築いている。

BASFは2020年2月12日、欧州の電気自動車(EV)バリューチェーンを支援するための多段階投資計画の一環として、ドイツ Schwarzheideに電池材料の新たな生産拠点を設けることを発表した。

最新鋭の工場では年間約40万台のEVを供給できる規模の正極材(CAM)初期生産能力を有する。同社のフィンランドのHarjavaltaの工場(ロシアのNorilsk Nickel が所有するニッケル・コバルト精錬所に隣接)で製造した前駆体(PCAM)を使用するもので、両工場の操業開始は2022年を予定している。

2021年7月には、Schwarzheideにある正極材(CAM)工場の敷地内に、電池リサイクルの試作工場を新設すると発表した。

使用済みのリチウムイオン電池、およびセルメーカーや電池材料メーカーのオフスペック材料から、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを効果的に回収するための運用方法を開発し、その技術を最適化する。

なお、BASFは9月16日、リチウムイオン電池大手の中国CATL(寧徳時代新能源科技)と協力のための戦略的提携を発表した。
(1)蓄電池の持続可能なバリューチェーンの構築、(2)CATLの欧州でのビジネス展開協力、(3)両社の気候中立目標達成への寄与を目指す。

BASFでは、「正極材に強いBASFと、リチウムイオン電池の専門性を有するCATLの協力は、蓄電池分野のイノベーションと、持続可能なバリューチェーン構築を世界的に加速させるだろう」とコメントした。

CATLは2019年10月、ドイツ東部チューリンゲン州に中国外で初のリチウムイオン電池工場(生産能力は14ギガワット時)の建設を開始、2022年までに操業開始予定。

ーーー

蜂巣能源(SVOLT Energy Technology)は、2012年に中国の完成車メーカー長城汽車(Great Wall Motor )の動力電池事業部( Battery Business Unit)として電池の研究を開始、2018年に分離独立し た。江蘇省常州市を拠点とし、中国国内を始め韓国、インドにも研究開発拠点をもち、新エネルギー自動車向けの最先端材料の研究開発を強化している。

2020年3月には、リチウムイオン動力電池とその陽極材料、蓄電池と関連するインテグレーション製品の研究開発などを行う目的で、日本法人の蜂巣能源日本技研を横浜市に設立した。

SVOLTは2021年7月16日、希少金属のコバルトを使わない「コバルトフリー電池」の量産を世界で初めて開始したと発表した。独自開発したもので、正極材にニッケル、コバルト、マンガンを使う「三元系」のリチウムイオン電池からコバルトを取り除いた 。ニッケルが75%、マンガンが25%である。

コバルト鉱石はコンゴ1国が世界の50%以上を生産している上に、製錬したコバルト地金の60%以上は中国で生産されているため、コバルトのサプライチェーンリスクへの不安が増している。

各社がコバルトフリーのリチウムイオン電池の開発を進めている。

東北大学多元物質科学研究所は2021年9月27日、リチウムイオン電池(LIB)でコバルトフリーの正極を用い、安定な高電圧作動に成功したと発表した。

SVOLTは本年7月、Fiat Chrysler Peugeot のJVのStellantis との間でバッテリーでのパートナーシップを発表した。SVOLTはStellantisにバッテリーセルや高圧の蓄電設備、バッテリー管理システムを供給する。

SVOLTは本年9月、四川省成都市に220億元(約3,700億円)を投じ、動力電池の新工場を設けると発表した。3期に分け て年産能力各20ギガワット時、合計60ギガワット時を建設する。併せて研究開発拠点も設置する。

FDAの委員会は10月26日、Pfizerの新型コロナウイルスワクチンの接種対象を5歳から11歳にも広げる案について議論を行い 、「接種の利益はリスクを上回る」とする結論を賛成多数で可決した。

専門家の委員会で、Pfizerは2200人以上の子どもを対象にした臨床試験の結果、新型コロナウイルスの感染症を防ぐ有効性は90.7%と高く、安全性にも懸念は示されなかったと説明した。

またFDAは、この年齢層について、さまざまな想定を分析した結果として「感染によって入院するリスクのほうが、ワクチン接種による副反応のリスクより高い」という見方を示した。

このあと委員会では、専門家による議論を踏まえて投票が行われ、委員の1人が棄権したほかは全員が「利益がリスクを上回る」とする結論について賛成し、可決した。

これを受けて、FDAは近く、接種の対象を拡大する緊急使用の許可を出すものと見られ、 正式に勧告されれば、11月上旬にも接種が始まる。

付記 FDAは10月29日、承認した。

付記 Pfizer は11月10日、厚労省に5~11歳に投与する承認申請を行った。

付記 厚生労働省は11月11日、3回目の接種について、18歳以上を対象にPfizer製ワクチンを使うことを特例承認した。  
   海外の治験で、中和抗体の値が3回目を接種した後は2回目と比べておよそ3.3倍に上昇した。
   18歳未満については、現時点では、有効性や安全性を示すデータが十分ではないとしている。

5歳から11歳の子どもに接種する場合、1回の接種量は12歳以上の3分の1にあたる10マイクログラムとな る。一般と同様、3週間の間隔をあけて2回接種する。


委員会で多くの専門家が指摘したのが、ワクチンを接種した若い男性でまれに発症するとされる、心臓やその周りに炎症が起きる「心筋炎」や「心膜炎」のリスクについてで あった。

ワクチンの「副作用報告システム(Vaccine adverse event reporting system)」によると、心筋炎などの件数は、mRNA ワクチンのPfizer、Moderna ともに、ワクチンの2回目の接種後で、若い男性で非常に多い。

接種100万回当たり の件数は下記の通りで、若年層の場合(特に男性)で多い。これが、5歳から11歳にも広げる案で問題となった。



Pfizerが行った5歳から11歳の臨床試験では、これまでに心筋炎などの報告はないということ だが、臨床試験の対象人数が少なすぎるとしている。

FDAは、6つのシナリオでこの年代について接種の利益とリスクを比較した結果、ほとんどのシナリオでワクチンの接種によって防ぐことができると予測される感染や入院の件数は、心筋炎による入院の件数などを上回り、接種による利益が明らかだとしてい る。さらに、5歳から11歳の子どもは1回のワクチン接種量がほかの年代の3分の1に抑えられることなどから、心筋炎を発症するリスクは12歳から15歳に比べて低くなると考えるのが合理的だとしてい る。

Pfizerワクチンは米国で16歳以上について2020年12月11日にFDAから緊急使用許可を取り、2021年5月10日に12~15歳についても緊急使用許可を取った。2021年8月23日に正式承認を得たが、これは16歳以上である。

ーーー

一方 Modernaも、10月25日に同社のワクチンがKidCOVE studyと呼ぶ4753人を対象とした Phase 2/3 臨床試験で 6~11歳の子どもに対して安全で強力な免疫効果を示したことを明らかにした。

臨床試験に参加した子どもたちに、成人の量の半分である50マイクログラムのワクチンを28日間隔で2回にわたって投与した結果、若い成人と比べて1.5倍の抗体を生成した。

副反応は、そのほとんどが疲れ・頭痛・発熱・接種部位の痛みのような軽症・普通レベルの症状であった。 また、心筋炎のような稀な副反応の事例は、報告されなかった。

しかし、これについてはPfizerと同じく、臨床試験の対象人数が少なすぎると見る見方が多い。

Modernaワクチンは2020年12月17日に、18歳以上について緊急使用許可を取った。

2021年6月に12~17歳を対象とした緊急使用の承認を申請したが、まだ許可は下りていない状態である。

FDAは、まれな炎症性心疾患のリスクを高める可能性を評価するために若年層での承認判断を先送りしている。関係者によると、北欧の4カ国がModerna製ワクチンの若年層での接種に反対姿勢を強めたことを踏まえて、Pfizer製ワクチンとの比較で、Moderna製ワクチンを接種した若い男性が心筋炎を患うリスクを改めて調べているという。

上の表では、Moderna製ワクチンの患者が若干多い。

付記 Modernaワクチンの12~17歳を対象とした緊急使用の承認は来年1月以降になる見込み。

中国財政部は10月13日、財庫〔2021〕35號 「政府調達活動における国内外資本企業の平等な扱いの関連政策に関する通知」を発表し、政府の各レベルの予算担当機関に対し、政府調達において中国国内に設立された国内資本企業と外資系企業を平等に扱うよう求めた。10月25日に発表した。

中国の政府調達の規模は2020年に約3兆7000億元(約66兆円)に達した。国内総生産(GDP)の3.6%に相当する。

中国の「政府調達法」では地方政府や国有企業に対し、原則として中国で生産した製品やサービスを購入するよう規定しているが、これまで日本企業からは「中国で製品を作り、価格も中国企業と同水準で入札に応じたのに、競り負ける例がある」との不満が上がっていた。

中国は9月にCPTPPに正式に加盟申請した。CPTPPでは、政府調達で国内外企業の差別を原則的になくすよう求めている。

CPTPP 政府調達

各締約国(その調達機関を含む)が、個別の「対象調達」を実施するにあたり服する手続的規律

一般的原則(15.4 条)
他の締約国の物品及びサービス並びに他の締約国の供給者に対し、即時にかつ無条件で、(
a)国内の物品、サービス及び供給者並びに(b)当該他の締約国以外の締約国の物品、サービス及び供給者に与える待遇よりも不利でない待遇を与える(15.4 1 3 内国民待遇及び無差別待遇)。
調達機関は、供給者の資格の審査(
15.9 条)又は限定入札(15.10 条)の規定が適用される場合を除くほか、対象調達について公開入札の手続を用いる(15.4 4 調達の方法)。
物品に関する対象措置について、通常の貿易において当該物品について適用する原産地規則を適用する(
15.4 5 原産地規則)。
調達のいかなる段階においても調達の効果を減殺する措置を求める等してはならない
15.4 6 調達の効果を減殺する措置)。
調達に関する情報の公表、公示等が電子的手段により行われる機会を提供するよう努める(
15.4 8 及び9 電子的手段の利用)等

中国政府は、加盟交渉入りをにらみ、政府調達で外資企業が受ける差別的措置の是正を行ない、CPTPPの条件を満たす狙いがある。


「政府調達活動における国内外資本企業の平等な扱いの関連政策に関する通知」の内容は以下の通り。

統一された、開かれた、競争力のある秩序ある政府調達市場システムを構築し、政府調達における公正な競争を促進するために、政府調達活動において中国に設立された国内外の資金提供企業の平等な扱いに関する以下の事項をここに通知する。

1.政府調達への国内外の企業の平等な参加の確保

法律に従い、政府調達は、中国の国内および外資系企業によって生産された製品(サービスを含む)を平等に扱うものとする。

すべてのレベルの予算部門は、「中華人民共和国の政府調達法」および「中華人民共和国の外国投資法」およびその他の関連法規を厳格に実施するものとする。
国家安全保障と国家機密に関するものを除き、中国で生産された製品は、その供給者が国内資本か外国資本の企業であるかどうかに関係なく、法律に従って対等な立場で政府調達活動に参加する権利を保証する。

2.政府調達活動において国内外の企業を平等に扱うという要件を実施する

政府調達活動において、すべてのレベルの予算単位は、政府調達情報の公開、サプライヤー資格決定、資格レビュー、および評価基準に関して、国内資本企業または外国資本企業に異なる、または差別的な扱いを適用してはならず、使用してはならない。
所有権、組織形態、株式保有構造、投資国、製品ブランド、およびその他の不合理な条件により、国内外の企業間の公正な競争を効果的に確保することは禁止する。

3.国内外の資本の企業の正当な権利と利益を等しく保護する。

政府調達活動において、調達書類、調達プロセス、落札または取引結果が彼らの権利と利益を害したと信じる国内外資本の企業は、関連する規制に従って質問や苦情を提起することが出来る。

すべてのレベルの財務部門は、「政府調達の質問および苦情措置」を厳格に実施し、苦情チャネルを開き、法律に従ってサプライヤーからの苦情を受け入れ、公正に処理するものとし、扱いで差別をしないものとする。


この通知の要件に違反する規制および慣行、ならびに製品、サプライヤーおよびその他の選択のためのデータベース(注 あらかじめ調達元候補を絞ったリストなど)、および規制に違反するその他の規制および慣行の確立などの規制および慣行については、すべての地域が整理しなければならない。適時にそれらを整理して修正し、11月末までに財務省に提出する。

地方政府の中には、外資を事実上締め出すために、あらかじめ調達元の候補を絞ったリストを作成する動きもある。
「通知」では、これらと修正し、11月末までに修正状況を報告することを要求している。

問題点は例外処理で、「通知」では「国家安全保障と国家機密に関するものを除き」としており、定義が曖昧なままだと、例外規定を恣意的に運用する可能性が残っている。

英政府は10月20日、同国のグラスゴーで開催する第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の日程を発表し、11月1、2の両日に各国首脳らが参加する「World Leaders Summit」を開くと明らかにした。英政府によると、バイデン米大統領やマクロン仏大統領、ドラギ伊首相ら120人以上の各国の指導者が参加する。 経済界の首脳らも出席する。

バイデン米大統領は十数人もの閣僚や高官を引き連れて参加する。

岸田首相は当初、衆院総選挙のためオンライン参加を検討していたが、議長国の英国からリモートでの参加を断られ、出席する方向に切り替えた。

ロシアのプーチン大統領は出席を見送る。  

産業革命前に比べた気温上昇を2度未満に抑え、1.5度以内を努力目標とするパリ協定の実現に向けた具体策などを議論する。

議長国である英国は石炭火力発電の早期廃止を主要議題にする意向で、英国として2024年までの廃止を決めるとともに、先進国には2030年まで、途上国には2040年までの廃止を求めている。

各国のスタンスは次の通り。

フランス:2022年までに廃止、カナダ:2030年までに廃止、米国:2035年までに電力部門の脱炭素化

中国の習近平主席は9月21日に、国連総会一般討論でビデオ演説を行い、国外では石炭火力事業を新たに行わない方針を表明した。

付記
中国政府は10月28日、COP26に向けCO2排出削減の国別目標を正式に提出したが、「2030年までに排出量を減少に転じさせ、60年までに実質ゼロにする 」との習近平指導部の公約が盛り込まれ、時期の前倒しはなかった。

岸田首相は10月13日、Boris Johnson英国首相と電話会談を行ったが、英国側発表ではJohnson首相は次の通り述べた。

(温室効果ガスの)Net Zero と石炭への国際融資の終止への日本の強いコミットメントを歓迎する。
COP26 Summit に先立ち、日本が、再生エネルギー・クリーンエネルギーへのグローバルな移行をサポートし、国内での石炭火力の使用終止を新たに約束することを希望する。

Johnson首相は議長国として石炭火力の早期廃止を強く主張しており、先進国のなかで最も遅れている日本に協調を求め、岸田首相との初の電話で、特にこれを取り上げた。

日本は10月22日に新たなエネルギー基本計画を閣議決定したが、2030年度の石炭火力はなお「約19%程度」となっており、先進各国と大きな差がある。2030年はもとより、途上国に求められる2040年までの廃止も考え難い。

会議の席上で批判の矢面になる恐れがある。


なお、日英首脳の電話会議の発表が異なっており、英国側は石炭火力の件を第一に挙げているが、日本側は全く触れていない。最後に「COP26に向けた気候変動対策 」での連携に触れている。
安保協力については双方が触れているが、EPAやTPP11などの貿易問題、アジアの地域情勢については英国側は全く触れていない。

英国側発表 外務省発表
The Prime Minister spoke to Japanese Prime Minister Fumio Kishida this morning.

He congratulated Prime Minister Kishida on his appointment and reiterated the importance the UK places on our strategic partnership and friendship with Japan.

冒頭、岸田総理大臣から、内閣総理大臣就任に当たり、外務大臣時代に関係を深めたジョンソン首相と協力していくことを楽しみにしており、グローバルな戦略的パートナーである日英関係を一層強固なものにしていきたいと述べました。これに対し、ジョンソン首相は、岸田総理大臣の就任に祝意を表するとともに、日英関係を一層深化させていきたいと述べました。
The Prime Minister welcomed Japan's strong commitment to Net Zero and to ending international financing for coal. He hoped to see a new pledge from Japan ahead of the COP26 Summit on ending the use of domestic coal power, supporting the global transition to renewable and clean energy.
They also discussed deepening coordination between the UK and Japan on security, defence and trade.
The Prime Minister noted the visit of the Carrier Strike Group to Japan and the emphasis on the Indo-Pacific region in the UK's renewed foreign policy approach, as set out in the Integrated Review.
両首脳は、日英安保・防衛協力が近年飛躍的に深化し、空母「クイーン・エリザベス」の日本寄港により新たな段階に入ったことを歓迎し、日英円滑化協定の早期交渉妥結に向けて共に取り組んでいくことを確認しました。また、両首脳は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
両首脳は、日英EPAの着実な履行を通じ、両国の貿易・投資の更なる促進に繋げていくことを確認するとともに、英国のTPP11加入交渉について意見交換を行いました。また、ジョンソン首相から、福島県産品を含む日本産食品に対する輸入規制の解除について前向きに検討を進めていく旨発言があり、岸田総理大臣から、これを歓迎するとともに、科学的見地から規制が一日も早く解除されるよう期待する旨述べました。
両首脳は、中国や北朝鮮等の地域情勢についても意見交換を行いました。その中で、両首脳は、拉致問題を含む北朝鮮への対応を含め、引き続き連携していくことを確認しました。
He looked forward to continuing to work together and hoped to welcome Prime Minister Kishida to Glasgow for COP26 in November. 両首脳は、COP26に向けた気候変動対策や新型コロナ対応など、国際場裡での連携も一層強化していくことで一致しました。

付記   

英国グラスゴーで開催されているCOP26で11月4日、190の国・企業が賛同する、石炭火力発電(排出削減対策が講じられていない発電設備が対象)を段階的に廃止し、新しい石炭火力発電への支援を終了する共同声明(Global Coal to Clean Power Transition Statement)が発表された。

公表時点では、46カ国を含む77の国と組織が声明に署名を済ませた。この中には、世界の石炭火力発電の使用量上位20カ国のうち、韓国(5位)、インドネシア(7位)、ベトナム(9位)、ポーランド(13位)、ウクライナ(19位)の5カ国も含まれている。日本に対する包囲網は一段と狭まった。

日本や米国、中国、豪州、インドなどは声明に加わっていない。

声明では以下の4点にコミットし、他国にも同様の行動を促すとした。

  • クリーン発電の導入を急速に拡大する。
  • 主要国では2030年代(またはその後できるだけ早く)、その他の国では2040年代(またはその後できるだけ早く)に、石炭火力発電を段階的に廃止する。
  • 国内外の新規石炭火力発電への投資を全て終了する。
  • 労働者や地域社会に利益をもたらすかたちで、石炭火力発電からの公正な移行を行う。

また、主要な国際銀行は2021年末までに、新たな石炭火力発電への国際的な公的融資を事実上、全て終了させることにコミットした。

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんは、COP26について「明白な失敗だ」と酷評し、各国が表明した取り組みを「みせかけ」と批判した。
"This is no longer a climate conference. This is now a global greenwashing festival."

米国の映画業界で白人以外の役柄に白人俳優が配役されることを whitewashing と呼ぶ。実際はGreenでないのをGreen と見せかけているだけのgreenwashing であるとした。

米国の対中技術規制

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米国は米中貿易戦争が進むなか、華為技術など個別企業に対する規制はどんどん厳しくしている。しかし、同時に発表した「新興技術」「基盤技術」の輸出規制については全く進んでいない。

産業界からの反発が大きいことが理由である。

ーーー

トランプ前大統領は膨大な対中貿易赤字が一向に減らないことを問題視し、米国の失業と結びつけ、通商法301条を活用するなどして、いろいろの対策をとった。
同時に、中国が組織的に米国の知財を盗用しているとし、対応した。

その一つとして、Entity Listがある。輸出管理法(規則 744.11(b) )に基づき安保上懸念がある企業を指定するもので、海外企業を含む企業が米国のハイテク製品や技術を同社に輸出する場合は商務省の許可が必要になり、原則却下される。

「知財戦争」に適用するものでは、2018年10月29日に中国の福建省晋華集成電路(Jinhua Integrated Circuit Company:JHICC)が初めてである。

米商務省は2019年5月15日、その2番目として華為技術(Huawei)を加えた。2019年6月21日には、スーパーコンピューター大手5社とそれぞれのグループ会社を追加、2019年10月には、監視カメラ世界首位の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)などハイテク8社をEntity Listに加えた。

2020年12月18日には、半導体メーカーの中芯国際集成電路製造を含む中国企業77社をEntity Listに加えた。

2020/12/19 米国、半導体SMICなど中国企業77社をEntity Listに追加

米国の情報が盗まれるのを恐れ、中国の通信機器、セキュリティ機器を締め出す措置もとった。

2018年8月13日、2019会計年度国防権限法が発効した。華為技術中興通訊製の通信機器と、海能達通信 等3社のセキュリティ用のビデオ監視・通信機器 について、まず、指定された製品の購入禁止を国防総省以外の政府機関にも拡大、1年後には5社の製品を社内で利用している世界中の企業は、米政府機関との取引が禁止された。(米政府機関との取引継続には5社の製品を使用しないことが求められる。)

更に、
2021年6月17日、安全保障上のリスクとみなす中国企業5社の通信機器の認証を禁じる方針を決めた。

2020/7/20 米国、Huaweiなどの中国企業の通信機器等利用者からの政府調達を禁ずる規則案を発表

2021/6/22 米、Huaweiなど中国製の通信機器の認証禁止へ


一方で、特定の技術の輸出規制については、産業界からの反発が強く、停滞したままである。


現在は、規制品目リストによる輸出規制が行なわれている。

米国輸出管理規則により、規制品目リストをつくり、特定国(Country chart で規定)への輸出・再輸出・国内移転(みなし輸出・再輸出を含む)の場合には産業安全保障局の事前許可が必要としている。

しかし、研究開発で連邦政府支出の割合が減少し、民間セクター支出額の割合が増加する傾向が続いており、新しい技術が外国の企業・団体に知られ 、外国からの投資の対象にな っており、新しい重要技術が規制品目リストに載る前に、流出してしまうことになる。

このため、技術のライフサイクルのより早期の段階から建設的に関与し、新基本技術を早期に特定し、実効的な規制を行う必要性が急速に高まっている。

2019会計年度国防権限法と同時に、それに盛り込まれるかたちで米国の輸出管理改革法(ECRA)が成立した。

輸出管理改革法(ECRA)では、商務省に対して「新興技術(emerging technologies)」と「基盤的技術(foundational technologies)」を特定した上で、米国輸出管理規則の下、輸出、再輸出、国内移転に関して適切な管理体制を構築するよう求めている。

米国の安全保障への影響に加えて、(1)外国における基盤的技術の開発状況、(2)輸出管理が米国における基盤的技術の開発に与える影響、(3)基盤的技術の外国への拡散を制限する輸出管理の有効性も考慮すべきとしている。

商務省産業安全保障局は2018年11月19日、輸出規制対象とする 「新興技術(emerging technologies)」の特定方法に関するパブリックコメントの受付を開始した。

14の技術分野を示し、規制対象とすべき個別技術の特定方法に関して、意見を受け付けた。

 1. 将来的に対象技術の特定を容易にするためには、「新興技術」をどのように定義すればよいか
 2. 14の技術分野の中で規制対象とすべき個別技術の有無を判断するための基準
 3. 対象技術を特定するための情報源
 4. 米国の安全保障に重要な新興技術を特定するために目を配るべき14以外の一般的技術分野
 5. 米国や他国におけるこれら技術の開発状況
 6. 特定技術に対する規制が米国の技術的優位性に及ぼす影響

 7. 米国の安全保障にとって重要な新興技術を特定するその他の方法
  (輸出規制の際に考慮すべき新興技術の開発・成熟段階などを含む)

技術分野:

(1)バイオテクノロジー、(2)人工知能・機械学習技術、(3)測位技術(Position, Navigation, and Timing)、(4)マイクロプロセッサー技術、(5)先端コンピューティング技術、(6)データ分析技術、(7)量子情報・量子センシング技術、(8)輸送技術、(9)付加製造技術(3Dプリンターなど)、(10)ロボット工学、(11)脳コンピュータインターフェース、(12)極超音速、(13)先端材料、(14)先進監視技術。

2020年1月に(15) 地理空間画像分析用の人工知能(AI)技術を追加した。

2020年8月27日には「基盤的技術(foundational technologies)」の特定に向けてパブリックコメントを求めた。

「基盤的技術」に関しては、技術分野の列挙はないが、BISは含まれ得る技術として、軍事用途、軍事最終需要者を理由に管理している品目を挙げている。

半導体製造装置や関連ソフトウエアツール、レーザー、センサー、水中システムなど、中国、ロシア、ベネズエラにおける独自の軍事技術の開発に資する恐れのある品目が含まれる 。また、「基盤的技術」には「技術」のみならず、「物品」と「ソフトウエア」も含むとしている。

  1. 管理対象品目を特定するために、いかに基盤的技術を定義付けるべきか
  2. 管理対象品目を特定する上での情報源
  3. EARの規制品目リスト(CCL)上、反テロ(AT)規制で指定されている、もしくはCCLに掲載されていない全ての品目に分類される品目が、米国の安全保障に不可欠か否かを判断するための基準
  4. 米国および外国での基盤的技術の開発状況
  5. 特定の基盤的技術の管理が米国における当該技術の開発に与える影響
  6. 技術ベースの管理ではなく(もしくはそれに加えて)、最終使用目的か最終需要者ベースでの管理の実施事例
  7. 工作機器や試験機器、認証装置など基盤的技術に含めるべき実現技術
  8. 基盤的技術を特定する上でのその他のアプローチ

「新興技術」と「基盤的技術」とも、一般からのコメント募集を完了したものの、米政府は明確なかたちで両技術をリスト化する動きはみせていない。

パブリックコメントで、産業界から、「幅広い品目規制で他国企業が売り上げを伸ばし、その結果、米国企業の競争力が落ちる」「輸出減少で雇用が奪われる」などの批判が殺到した。

連邦議会は 輸出管理改革法で求められている「新興技術」と「基盤的技術」の早期特定 を求めたが、政府は拒否した。9月の公聴会で、「技術は常に進化していくため、個別に新たなリストを作るのではなく、既存の規制品目リストに追加していくとの方針を示した。また、多国間での管理体制が最も効果的との考えにも言及した。

米国商務省産業安全保障局は10月5日、「新興技術」のバイオ関連の一定のソフトウエアを規制品目リスト(CCL)に加えた。2021年5月に開催されたオーストラリア・グループの会合で決定された事項を反映したとしている。

「核酸の組み立て・合成用のソフトウエアで、電子的な配列データから機能的な遺伝子要素の設計・構築を可能にするもの」で、「化学・生物兵器関連拡散防止」と「対テロリズム」の対象国への輸出等に事前許可が必要となる。「化学・生物兵器関連拡散防止」で中国も対象となっている。

結局、輸出管理改革法の規定を無視し、従来のやり方を踏襲することになっている。

米財務省と行政管理予算局は10月22日、2021会計年度(20年10月~21年9月)の財政収支は約2兆7720億ドル(約314兆7600億円)の赤字だったと発表した。

赤字額は、American Rescue Plan Act とワクチン接種の効果などで、過去最高だった前年度と比べると11.5%減った。当初予算と比較しても897億ドル減少した。
しかし、過去2番目の大きさとなった。

歳入は、経済回復による個人所得税、法人税の増により4兆ドルとなり、前年比 6260億ドル増えた。個人所得税で4357億ドル、法人税で1600億ドル増えた。予算比でもそれぞれ、3395億ドル、1033億ドルの増である。経済の回復によるものである。

歳出は6兆8千億ドルで、予算を下回ったが、前年比では増加した。

これは次のようなことのためである。

前政権が決めた新型コロナウイルス対策第3弾の2兆ドル規模の景気刺激策の法律(CARES Act)(後半に記載)

同じく、2020年12月末にオムニバス歳出法案(2021年9月末までの予算)と合わせて通した 9千億ドルの新型コロナウイルス追加景気対策予算

バイデン(次期)大統領が1月14日に発表した1兆9千億ドル規模の追加経済対策案American Rescue Plan Act など。

Stellantis N.V.は10月18日、LG Energy Solutionと合弁会社を設立し、北米で電動車用の電池を生産すると発表した。年間生産能力は40ギガワット時で2024年第1四半期の生産開始を目指す。

そのStellantis N.V.は10月22日、韓国電池大手のSamsung SDIとも米国で合弁会社を設立し、電気自動車用の電池工場を建設する覚書を締結したと発表した。

Stellantisは両社との同時契約で、Samsung SDIの得意な、安定性が高いとされる「角形電池」と、LGの軽量で高出力な「パウチ型電池」の2種類を安定調達する狙いがあるとみられる。

具体的な建設地は現在検討中だが、2025年に年産23ギガワット時で稼働し、将来的に40ギガワット時まで拡張する。両社の投資金額は計4000億円規模とみられる。

Stellantis はこれまでもSamsungから「Fiat 500e」や「Jeep Wrangler 4xe」向けに電池供給を受けてきた。今回のJV設立で、両社の協力関係はさらに堅固になる。

Samsung SDIは現在、韓国と中国、ハンガリーで電池工場を持つが、米市場のEVシフトの潮流に乗り遅れないように米国進出を検討してきた経緯がある。(同社はミシガン州にバッテリーパックの組み立て工場は持っている。)

Samsung SDIは2017年5月にハンガリーのグドゥ(Goed)市に、蔚山と中国西安に次ぐ3つ目の工場を新設した。

稼働
韓国(蔚山 5万台
中国(西安 4万台
ハンガリー(Goed 5万台
合計 14万台


調査会社テクノ・システム・リサーチによると、2020年の車載電池の世界シェアでSamsung SDIは9%で4位。LG Chemは23%で2位、SK Innovationは5%で7位。


韓国3社は世界各地で自動車用電池工場を稼働させている。

2018/12/4 SK Innovation、米に電気自動車バッテリー工場を建設、LG & Samsung も各地で増設 

英国で「Delta Plus」と呼ばれる新型コロナのデルタ株の亜種「AY.4.2」が増えている。WHOは B.1.617.2 strain と名付けた。

ウイルスのスパイクタンパクのK417Nの変異(ベータ株に存在するものと同じ変異)で、免疫回避に関係している部分だが、現在のところ、症状がより重くなるとか、ワクチンが効きにくいとかの症候はない。

英国の衛生当局によると、9月末時点で感染件数の6%に上り、さらに増加傾向にあるという。米国、ロシア、イスラエルでも見つかった。
米 CDCは、この変異株はアメリカでも確認されたものの、「アメリカで勢力を広げている兆しはない」としている。

従来のデルタ株よりも感染力が10%高いとする専門家もいるが、詳しいことはまだ分かっていない。

英国保健安全保障庁は10月20日にこれをVariant Under Investigationに指定した。(VUI-21OCT-01)
WHOはまだ、Variant of concern (VOC) にもVariant under Investigation (VOI) にも指定していない。

国立感染症研究所は10月18日、国内の新型コロナウイルス感染者から、英国由来の「アルファ株」とインド由来の「デルタ株」の組換え体とみられるウイルスを国内で6検体検出したとは発表した。

遺伝子配列のアライメント解析を行ったところ、デルタ系統であるものの、ORF6遺伝子からN遺伝子にかけて、アルファ系統と同一の変異プロファイルを有する配列が存在した。

遺伝子解読でこれらの検体に2種類のウイルスが混入していた可能性を示す所見はなく、両変異株の同時感染や他検体の混入によるものではないと考えられる。

6検体の遺伝子配列はほぼ同一で、共通起源を有するウイルスと考えられる。

ベースのデルタ株の部分は国内で流行するデルタ株由来と考えられる。アルファ株に組換えが生じた箇所は感染性・免疫逃避に影響が生じる箇所ではないため、デルタ株と比較して感染・伝播性や免疫等への影響が強くなる可能性はないと考えられ、現時点では追加的な公衆衛生リスクは無いと考えられるが、今後の動向に注意するとしている。

当該6検体は、ずっとデルタ株の配列であるが、特定の部分のみがアルファ株の配列と合致する。

これは「変異株」とは異なる。

例えばラムダ株の場合、次の6箇所が一部、変異したり、欠失している。RNA複製の際に一定の確率でミスが生じ、RNAを構成する塩基の配列が変わる。


今回のように、本来のデルタ株のかなりの部分がアルファ株の配列に置き換わるのは、複製のミスとしては考え難い。

遺伝子解読でこれらの検体に2種類のウイルスが混入していた可能性を示す所見はない」としているが、以前のどこかの段階で2種のウイルスが混入し、それが何世代か経って、これになったというのではないであろうか。(素人考えだが)




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前回、半導体戦略」(経済産業省 2021年6)をもとに、日本の問題と台湾のTSMC誘致 について述べた

2021/10/18 半導体大手、台湾のTSMCが日本で工場建設

米国でも大問題になっている。

米国の半導体工業会によれば、米国は今から70年以上前、全世界の半導体を製造していたが、現在では世界生産量全体のわずか12%を占めるにとどまっている。

昨年秋以降、世界で半導体不足が深刻になった。特に自動車向けが深刻である。急な需要回復のなか、スマホ向けなどが優先された。ルネサスなどの生産トラブルもあった。

バイデン米大統領は2月24日、重要部材のサプライチェーン(供給網)を見直す大統領令に署名した。新型コロナウイルスの初期の医療用品不足や、半導体チップの供給不足による自動車産業等への打撃、中国によるレアアース輸出規制の懸念などが背景にある。

先ず重要4品目の供給網を100日以内に見直す。リスクを調べ、それへの対応策の提案を求める。 商務長官には「半導体と先端パッケージング」が割り当てられた。

更に、6分野について1年以内に戦略をまとめる。

2021/3/1 米、半導体などの供給網見直し 

この一環として、商務部は9月23日、TSMCなど大手メーカーに対して出荷に関する詳細な情報を45日以内に提出することを求めた。(過剰発注等をチェック)
メーカー側は機密事項に当たるとして反発し、揉めている。(TSMCなどは自社機密情報が Intelに流れるのを懸念)

ーーー

Intel のPat Gelsinger CEO は10月17日、米国が半導体の生産を現在のように韓国と台湾に依存するのは「地政学的な不安定」を招くと主張した。

台湾にはチャイナリスク、韓国には北朝鮮リスクがあるからで、リスク回避のため、自国で半導体を製造すべきであるとした。

半導体チップ製造が特定地域に集中しているは「実際的でもない。神は石油埋蔵地がどこかを決めたが、ファブ(半導体工場)がどこにあるかは我々が決めることができる」と述べた。
 "It also isn't practical. God decided where the oil reserves are. We can decide where the fabs are."

また、「我々がアジアより30-40%も高くてはいけない」とし、議会に向けて「我々がその差を狭め、米国国内により大きく、迅速に半導体生産施設を構築できるよう助けてほしい」と支援を求めた。
 "So help us close that gap so that we can build bigger and faster on U.S. soil."


米国の半導体工業会によれば、米国は今から70年以上前、全世界の半導体を製造していたが、現在では世界生産量全体のわずか12%を占めるにとどまっている。

そのなかでIntelもチップ製造の分野で優位性を失い、需要家のApple、NVIDIA、Qualcomm、AMDら各社は、TSMC、サムスン、聯華電子(UMC)といったファウンドリーを採用するようになった。
(以前はパソコンには、「インテル入っている(Intel Inside)」の記載があったが、最近は余り見かけない。)

Intelはこれまで自社開発チップの製造にほぼ専念してきたが、方針を変更し、他社開発のチップの製造に乗り出すことになった。新たに同社のCEOに就任したPat Gelsinger が、3月23日に製造関連の戦略「IDM 2.0」を明らかにした。

IDM 2.0は、半導体製造において、1)Intel内製、2)サードパーティーの利用、3)外部に向けたファウンドリーサービスの3つを組み合わせるもの。

1)Intelにおける生産能力を拡大するため、約200億ドルを投資し、アリゾナ州Chandlerの「Ocotillo Campus」に2棟の新しい工場を建設する。「EUV(極端紫外線)リソグラフィを導入できるラインを整備する」とした。

2)「今後も大部分のIntel製品を自社工場で製造し続ける」と述べつつ、「われわれの製品ポートフォリオ全般において、サードパーティーのファウンドリーサービスの利用も拡大していく。 台湾のTSMCやUMC、Samsung Electronics、米国のGlobalFoundriesとの連携を密にすることで、当社の製品のコストや性能、開発スケジュールなどを最適化でき、より柔軟で拡張性のある対応ができるようになると確信している」 とした。

3)「Intel Foundry Services」という完全に独立した事業をつくる。
「あらゆる産業におけるデジタル化によって、半導体への需要は急速に増加しているが、主な課題となっているのが生産能力だ。Intelは、半導体供給に対する需要に応え、持続性のある安定した半導体供給を行える立場にいる」と語る。

Intelは今後、米国と欧州の工場で生産能力を拡大する計画で、CEOは「現在、約80%の半導体生産能力がアジアに集中する中、地理的な不均衡を解消していきたい」と述べた。

「先端のパッケージング技術とプロセス技術を組み合わせること、米国と欧州で生産能力を拡大すること、CPUコアからグラフィックス、AI、ディスプレイ、インターコネクトまで多岐にわたるIP(Intellectual Property)ポートフォリオを顧客が選択できること」を強みとして挙げた。

ーーー

上記の通り、米国の半導体業界は、現在では世界生産量全体のわずか12%を占めるにとどまっている。

このような現状に対して、20206に超党派の議員グループが、半導体製造の国内回帰を支援する法案として「CHIPS for America Act提出した。

CHIPS = Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors

投資税額控除制度を中心とした明確なベネフィットを産業界に提供することにより、高度な半導体製造能力を国内に創出することを目指している。米国国防総省をはじめとする政府機関によるプロジェクトへの資金提供を主とした法案で、資金提供額はおよそ120億米ドルとなる。

続いて同月、超党派の上院議員が新たな法案American Foundries Act of 2020 (AFA)を提出した。米国の各州に対し、商業的な半導体製造施設の拡大を促すための助成金を提供するもので、資金提供額はおよそ250億米ドルである。

トランプ政権の積極的な誘致により、台湾のTSMCが120億米ドルを投じて、米国アリゾナ州に5nm工場を建設することとなったが、AFAとCHIPSは、これに続く取り組みである。

両案とも通っていないが、バイデン大統領はこの趣旨を折り込み、これらを上回る案を提案した。

バイデン大統領は2021年3月31日、2兆米ドルを超えるインフラ投資計画 American Job Planを発表した。

そのうち、R&D、製造近代化、中小企業として5,800ドルが含まれている。
 R&D、未来の技術への投資 1,800億ドル
 製造業、中小企業活性化  3,000億ドル
 Workforce Development   1,000億ドル

大統領は、この中から、米国半導体業界の国内生産回帰の実現に向け、500億米ドルを割り当てることを明らかにした。
ホワイトハウスは、「超党派議員グループによって提唱されたCHIPS for America Act、
American Foundries Act of 2020 の要望に従い、半導体の製造および研究に資金を投入する指示も出している」と述べた。

  2021/4/2 バイデン大統領、American Jobs Plan 発表、8年間で2兆2500億ドル投資

しかし、American Jobs Plan は最終的に2つに分けられたが、いまだに可決されていない。

  ①5500億ドル規模のインフラ包括法案 
  ②10年間で3.5兆ドルの予算(予算決議→財政調整法=予算)

①は上院では通ったが、下院はまだである。
②は「予算決議」は上下院で通ったが、それに基づく具体的予算(財政調整法)は見通しが付かない状況である。

民主党内の急進左派が子育て支援などの「3.5兆ドル法案」(今回は予算決議は通っており、これに基づく具体的な予算案のこと)を可決するまでインフラ法案に賛成しないと主張し、財政膨張を懸念する中道派議員は3.5兆ドル法案の規模圧縮を要求し、与党内の調整がついていない。

バイデン政権は「3.5兆ドル法案」の規模を縮小することで、両議案を通すことを狙っている。

政府支援が決まらないなか、インテルのCEOは議会に向けて、「米国国内に半導体生産施設を構築できるよう助けてほしい」と改めて支援を求めた。

Stellantis N.V.は10月18日、LG Energy Solutionと合弁会社を設立し、北米で電動車用の電池を生産すると発表した。年間生産能力は40ギガワット時で2024年 第1四半期の生産開始を目指す。総投資額は4000億円規模になるという。

Stellantis N.V.は、2021年1月16日付でFiat Chrysler Automobiles N.V.とPeugeot S.A.の統合により が創設された。

2009年1月、イタリアのFiat S.p.Aは経営不振に陥っていた米国のChryslerへの資本参加を発表、2014年にFiatがChryslerの株式を買収し完全子会社化することを発表、同年10月12日に持株会社Fiat Chrysler Automobilesが設立された。

2019年初頭、Fiat Chrysler はフランスのグループ会社Renaultとの合併を模索し、暫定合意に達したが、フランス政府はこの合意を支持せず、合併は撤回された。

2019/6/1 フィアット、ルノーに経営統合提案

その後、Fiat Chrysler Peugeotにアプローチし 、2019年12月に50/50で統合することで正式に調印された。2020年12月21日、欧州委員会は、競争を確保するために最小限の救済措置を課して合併を承認した。

2021年1月16日、新会社
Stellantis N.V.が誕生した。主要株主は次の通り。

Exor NV(Fiat創業家の持株会社) 14.4%
Peugeot家 7.2%
フランス政府 6.2%
東風汽車集団(
Peugeot株主) 4.5%

Stellantis とLG Energy Solutionは同日、米国でのバッテリーセルとモデュール生産のJVの設立のMOUを締結した。

2030年までに米国で販売する自動車の40%以上を電気自動車にするというStellantisの目標の達成を助けるものである。(欧州では70%以上としている)

2024年第1四半期の生産開始で、年間生産能力40ギガワット時。立地は今後決め、2022年第2四半期の鍬入れを目指している。

生産されたバッテリーは、米国、カナダ、メキシコのStellantis の組み立て工場に送られ、Stellantis の各ブランドのplug-in hybrids から full batteryまでの次世代電気自動車に装着される。

両社の協力体制は、2014年に当時のLG Chemの電池がFiat Chryslerの電気自動車ミニバン Chrysler Pacifica Hybrid に装着されたのに始まる。

Stellantisは本年7月に、全世界で2025年までにEV分野に300億ユーロ(約4兆円)を投じ、2030年までに年間260ギガワット時の生産能力を確保するとした。

2025年時点  130ギガワット時(3つのギガファクトリー:欧州 80GWh、米国 50GWh)
2030年時点  260ギガワット時(5つのギガファクトリー:欧州 170GWh、米国 90GWh)

欧州では2020年にTotal との50/50JVでバッテリー製造会社Automotive Cells Companyを設立した。フランスやドイツなどの当局が支援して、欧州最大規模の生産能力を持つEV向けバッテリー工場を目指している。

2021年9月24日、Mercedes-Benzが加わった。1/3ずつの出資となる。合弁の規模を70億ユーロ(約9000億円)余りに拡大し、2030年までに欧州で少なくとも120ギガワット時の生産能力を持つ。

ーーー

LG Chemの電池子会社LG Energy Solution は3月12日、2025年までの5年間で米国に45億ドル以上を投資すると発表した。少なくとも2工場を建設、米国での電気自動車の成長に対応し、能力を70GWh増やす。

LG単独ではミシガン州Hollandに5GWhの工場を持ち、GM、Ford Motor、Chrysler などに供給しており、米国では単独で75GWhの能力となる。

別途、GMとのJVで2工場を建設中で、合計能力は65GWh(単独分を加えると135GWh)となる。

LG は韓国と米国のほか、ポーランドと中国にも電池工場を持ち、各地で増産計画を進めている。

2021/3/18 LG Chem、米国で車載電池増産

本年7月末には、LG Energy Solution と現代自動車が共同で、インドネシアの首都ジャカルタ近郊にEV向けニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム酸リチウム正極(NCMA正極)を採用したリチウムイオン電池セル生産工場を建設することを発表した。

投資金額は両者の折半で合計11億ドル。2024年から、年間10ギガワット時(GWh)(EV15万台相当)の電池セルを生産する。

国産ワクチンをめぐっては、第一三共は来年中に、塩野義製薬は来年3月までに、KMバイオロジクスは来年度中の実用化を目指している。

日本製鉄10 14 中国の鉄鋼メーカーである宝山鋼鉄と同社製品を使用しているトヨタ自動車に対して、無方向性電磁鋼板に関する日本製鉄の特許の侵害を理由として、損害賠償請求訴訟を東京地裁に提起した。

併せて
トヨタ自動車に対して、トヨタ自動車電動車について同地裁に製造販売の差止仮処分の申立てを行った。

宝山鋼鉄に対して 200 億円の損害賠償請求
トヨタ自動車に対して 200 億円の損害賠償請求
社特許を侵害する無方向性電磁鋼板を使用したモータを搭載した電動車の製造・販売の禁止仮処分

宝山鋼鉄は宝鋼集団傘下の中国の大手鉄鋼メーカーである。(宝鋼集団は2016年に武漢鋼鉄集団と合併し、現在は宝武鋼鉄集団となっている。)

日本製鉄は、自動車の電動化に必要不可欠な無方向性電磁鋼板に関する同社特許宝山鋼鉄およびトヨタ動車が侵害していると判断め、それぞれ協議を行なってきたが、問題の解決に至るこ出来ず、法的措置を講じ、知的財産権の保護を図るとしている。

日本製鉄は、当該特許は日本でしか出願しておらず中国の裁判所では争えない。日本と中国の間では、互いに相手国の判決を承認する相互保証をしていないため、仮に東京地裁で日本製鉄が宝山に勝訴しても、中国の裁判所に日本の判決をそのまま執行してもらうことはできない。

日本国内で確実に販売などの差し止めの効果や賠償金を得るために、トヨタにも訴訟を提起する必要がある。

電磁鋼板は、軟鋼にケイ素を添加することで、コイルの鉄の鉄損(磁化した時に鉄が消費するエネルギー)を低減した磁性材料 で、トランス(変圧器)やモーターなどの電気機器の鉄芯材料として不可欠な材料である。

優れた磁気特性が要求され、「絶縁被膜」と呼ばれるコーティングが施されるとともに、磁気特性に悪影響のある不純物(炭素、窒素、硫黄など)が極限まで低減されるなど、通常の鋼板にはない特徴がある。

製造する機器の特性により、「方向性電磁鋼板」「無方向性電磁鋼板」が使い分けられている。

方向性電磁鋼板は鉄の磁化しやすい結晶方向が圧延方向のみに揃うよう製造されたもので、主に変圧器に使用される。
無方向性電磁鋼板は、鋼鈑のすべての方向にほぼ均一な磁気特性が得られるよう製造され、主にモーターに使用される。

今回問題になったのは「無方向性電磁鋼板 」でBEV(バッテリー電気自動車)もPHEV(プラグイン・ハイブリッド車) 、HEV(ハイブリッド)も、すべて電動モーターを使う。電動モーターには永久磁石と電磁石を使うタイプと電磁石だけを使うタイプとがあるが、電磁鋼板はこの両方に必須である。

なお、トヨタと宝山鋼鉄との間には、以前に「方向性電磁鋼鈑」についても問題があった。(後記)

2019年11月、鉄鋼新聞が次のように報じた。今回の問題の基である。

中国・宝山鋼鉄がトヨタ自動車の日本国内の工場向けに無方向性電磁鋼板の供給を始めた。関係者らが明らかにした。すでに韓国ポスコが2009年からトヨタ国内工場に供給を始めており、海外メーカーとしては2社目となる。契約数量などは不明だが、すでに出荷しているもよう。

日本経済新聞も2020年7月、下記のとおり報じた。

電気自動車(EV)に使う電磁鋼板と呼ばれる高機能な鋼材について、トヨタ自動車が中国最大手の宝武鋼鉄集団の製品を一部で採用することが分かった。同鋼板は高い生産技術が必要で、これまでは主に日系の製鉄大手から調達してきた。中国の鉄鋼業界は汎用品の大量供給を強みとしてきたが、質でも日本勢を追い上げ始めた。

日本製鉄によると、トヨタの採用直後から、自社の特許の侵害を時間をかけて調査してきた。 「2年前から調べていた」。

宝山から鋼板を調達したりして成分を分析し、秘中のはずの自社の技術が使われているとの疑いを深めたという。トヨタの電動車に使われた宝山鋼鉄製の電磁鋼板を入手して分析したところ、成分や板厚、結晶粒径、磁気特性といった項目について数値などの結果が日本製鉄の特許とほぼ重なったという。

2社に協議を申し入れたが不調に終わった。トヨタの幹部レベルでの協議でも溝は埋まらず、「このままでは訴えを起こさざるを得ない」と複数回手紙を送ったが、進展が無く、今回、提訴に踏み切った。

トヨタと日本製鉄の間には、価格問題でも新しい展開があった。

トヨタは8月に2021年度下期の部品会社に卸す鋼材価格の引き上げを決めた。上げ幅は1トン2万円と10年度以降で最大である。

日本製鉄は価格交渉の過程で「値上げを受け入れないと供給量を減らす」と伝えたとされる。不快感を強めたトヨタは輸入材などの調達拡大も検討する。

その前に(5月28日)、日本鉄鋼連盟の会長を務める日鉄の橋本英二社長は、「個社の社長として」と前置きした上で 、「日本の鋼材価格は国際的に見て理不尽に安い価格で採算がとれない。早急に是正すべきだ」と、異例の意見表明でトヨタをけん制していた。

日本製鉄側は、「国策として政府の後押しを受けている中国メーカーに脱炭素技術で勝つためには、顧客にもこれらの投資を踏まえた適正価格を受け入れてもらう必要がある」とする。

これまで価格交渉をリードしてきた両社の間で亀裂が広がっている。


世界経済の大きな変動を受け、各社は生き残りのためには、これまでの日本の慣行ではやっていけなくなったことを示している。

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提訴を受け、トヨタ自動車は下記の発表を行った。

本件は、本来、材料メーカー同士で協議すべき事案であると認識しており、弊社が訴えられたことについては、大変遺憾に感じている。

様々な材料メーカーとの取引にあたり、その都度、特許抵触がないことを材料メーカーに確認するプロセスを丁寧に踏んでおり、宝山の電磁鋼鈑についても、取引締結前に、他社の特許侵害がないことを確認の上、契約している。

本件については、日本製鉄より当該の指摘を受けたことから、改めて宝山鋼鉄に確認、先方からは「特許侵害の問題はない」という見解をもらっている。

日本製鉄がユーザーである弊社に対し、このような訴訟を決断したことは、改めて大変残念に思う。


宝山鋼鉄は読売新聞の取材に対し、グローバル企業として各種法規を厳格に順守しているとし、「日本製鉄の一方的な主張は認めない。積極的に応訴し、会社の権益を断固として守る」と主張した。

報道では、日本製鉄と何度も意思疎通を試みたとも説明している。

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「方向性電磁鋼板」 で当時の新日鉄の技術が宝山鋼鉄に流れた事件があった。

200710韓国のPOSCOの社員が、POSCOの「方向性電磁鋼板」に関する営業秘密を550万ドルで中国・宝山鋼鉄に売り渡したとして、韓国で拘束・起訴された。

被告は裁判で、「宝鋼へ売却したのはPOSCOが不正に入手した新日鐵の技術情報である」として無罪を主張、多数の証拠を提出した。

2008102日に大邱高等法院で懲役3年・執行猶予5年が確定したが、判決文に下記の記載がある。

POSCO新日鐵の退職技術者と契約を締結し、新日鐵の各種資料と情報の提供を受けたと見られる事情が一部窺える。」
POSCOが本件資料の一部を正当でない方法で取得、保有しているという事情が一部窺える。」

新日鉄は刑事事件記録の閲覧・謄写請求を行ない、大法院まで争ったが、認められなかった。

それ以前に、POSCOの製品の品質が急激によくなり、新日鉄は技術流出の疑念を持っていたが、POSCOは独自技術であると言い張った。

しかし、これは同社が本事件の存在を認識する端緒になり、その後徹底的な調査を開始した。

同社は、疑惑の退職者(10人)を突き止め、その自宅等証拠保全手続等を実施段ボール数十箱分の重要資料(契約書、報告書、議事録、技術資料等 盗用事実を示す膨大な資料)を得た。

新日鉄は2012年4月、POSCOが「方向性電磁鋼板」の製造技術を新日鉄の元従業員を通じて持ち出したと主張し、POSCOと新日鉄元社員(主犯の1人)を提訴した。POSCOに要求した損害賠償金額は986億円だった。

POSCOは、米国特許庁と韓国特許庁に当該特許無効審判訴訟を提起し、新日鉄もこれに対応し、韓国裁判所でも争いとなった。

POSCOは2015年9月、新日鉄住金に300億円を支払い、4年間続けてきた法的紛争に終止符を打った。

新日鉄住金と元社員との間では2016年末に和解が成立、元社員10人が責任を認めて会社側に謝罪し、解決金(金額公表せず)を支払うことで和解が成立した。

この事件では、新日鉄の「方向性電磁鋼板」 技術は、不法にPOSCOに移管され、更に不法に宝山鋼鉄に流れた。新日鉄はPOSCOに対しては提訴したが、宝山鋼鉄に対してはなにも対応していない。

半導体受託生産会社(foundry)世界最大手のTSMC:台湾積体電路製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)は10月14日、日本に新工場を建設すると発表した。

1990年代以降、ゲート長が250nm、180nm、130nm、90nm... と短くなるにつれ、装置のコストだけでなく、クリーンルームの清浄度の向上も必要となり、クリーンルームの建設・維持・管理には莫大なコストが必要となってきている。

このため、各社がそれぞれ一貫生産をすることが難しくなり、設計と製造が分業され、半導体の設計は行うが生産ラインを持たないfablessと、半導体チップ製造専門のfoundryに分かれた。

半導体受託生産会社(foundry)として、TSMCは世界のシェア50%と圧倒的である。他に、韓国のSamsung電子が18%、台湾のUMC(聯電)が8%で続く。

なお、回路幅が10nm未満の先端半導体では、世界シェアの9割超を握る。

同社は 2022年に工場を建設を始め、2024年から量産する計画で、魏哲家CEOは「当社の顧客および日本政府の双方から、このプロジェクトを支援するという強いコミットメントを得た」と話した。

総投資額は1兆円程度になるとされ、日本政府は先端半導体工場を国内に誘致する意向を表明しており、総事業費の半分程度を補助できるよう調整に入った。関連費用を今年度の補正予算案に盛り込む方針 とされる。

政府は6月に「半導体・デジタル産業戦略」(下記)を策定し、半導体のてこ入れに「国家事業として取り組む」と宣言している。

建設地は熊本県菊陽町にあるソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの画像センサー工場の隣接地が検討されている。ソニーや自動車部品大手のデンソーなどと協力する可能性もある。

なお、TSMCはつくば市に研究開発拠点を新設し、最先端半導体の開発を進めると発表している。開発には、半導体の製造装置や素材に強みがある日本メーカーや研究機関も参画する。総事業費は約370億円で、日本政府が約半分の190億円を補助する。

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TSMCは現在、台湾内外に17の製造工場を持つ。海外での大規模工場は、稼働中の中国と建設中の米国(2021年から建設開始、2024年の稼働)に続き日本が3カ国目となる。

米国にはテキサス州Austin とカリフォルニア州San Joseに設計センターを持つ。

なお、同社は7月に、ドイツ政府から工場誘致の話があり、検討を開始していると述べた。
工場建設がドイツ国内の主要クライアントにとって重要かつ効果的かどうかを確認している段階で、まだ何かを公表できる段階には至っていないとした。

台湾 中国 USA
12-inch GIGA FABs
  (300mm)
本部/R&D:Fab 12A/B(新竹Science Park) TSMC Nanjing Company, Fab 16
(南京)
建設中
アリゾナ州 Phoenix
Fab 14(台南Science Park)
Fab 15(中部Science Park:台中市)
Fab 18(台南Science Park)
8-inch Fabs
  (200mm)
Fab 3(新竹Science Park)  TSMC China Company, Fab 10
(上海)
WaferTech L.L.C., Fab 11 
(ワシントン州 Camas) 
Fab 5(新竹Science Park) 
Fab 6(台南Science Park) 
Fab 8(新竹Science Park) 
6-inch Fabs
  (150mm)
Fab 2(新竹Science Park)
Backend Fabs Advanced Backend Fab 1(新竹Science Park)
Advanced Backend Fab 2(台南Science Park)
Advanced Backend Fab 3(桃園市)
Advanced Backend Fab 5(中部Science Park:台中市)
Backend Fab:半導体製造における2番目の工程で、それぞれのデバイス(トランジスタ、キャパシタ、抵抗など)がメタル層によって配線される。


中国では前世代型の工場(南京は28nm)を稼働させている。
米国アリゾナでは回路線幅が小さい最先端型の工場(5nm)を建設中で、更に3nmの工場の建設を計画している。
台湾では台南で3、5nmの工場を建設中で、新竹では2nmの新工場を計画している。

これに対し、日本で生産するのは、演算用のロジック半導体で22~28nmの前世代型技術を想定している。

スマートフォンなどに用いられる10nm前後の最先端半導体の供給確保は、今後も課題として残る。

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半導体戦略」(経済産業省 2021年6
 https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210604008/20210603008-4.pdf

(参考)

エルピーダメモリは破綻し、米国のマイクロンメモリが引き取った。

ルネサスはその後、過剰な設備や人員を抱え、最終赤字が続き、産業革新機構その他の出資を仰いだ。

当初 2014/3/31 2018/6/30 2021/6/30
産業革新機構 69.15% 33.38% 20.26%
三菱電機 25.1% 6.26% 4.53% 3.91%
日立製作所 30.7% 7.66% 3.71% 3.20%
NEC 33.4% 0.75%
デンソー 0.49% 4.99% 7.92%
トヨタ自動車 2.49% 2.99% 2.58%
日産自動車 1.49%

2018/9/4 ルネサス、IoT中核技術の米半導体メーカー買収へ 後半

日の丸半導体凋落の主要因

・ 日米貿易摩擦によるメモリ敗戦
・ 設計と製造の水平分離の失敗
・ デジタル産業化の遅れ
・ 日の丸自前主義の陥穽
・ 国内企業の投資縮小と韓台中の国家的企業育成

国内のロジック半導体工場  

国内の半導体製造基盤の確保・強化に向けて

半導体は、デジタル社会を支える重要基盤・安全保障に直結する戦略技術として死活的に重要。

   経済安全保障の観点から、国家として整備すべき重要半導体の種類を見定めた上で、必要な半導体工場の新設・改修を
   国家事業として主体的に進めることが必要。


具体的には、先端半導体を国内で開発・製造できるよう、海外の先端ファウンドリの誘致を通じた日本企業との共同開発・生産や、
  メモリ・センサー・パワー等を含めた半導体の供給力を高めるための我が国半導体工場の刷新等について、
 他国に匹敵する大胆な支援措置が必要


国内対策①
先端半導体製造技術の共同開発とファウンドリの国内立地


国内対策② デジタル投資の加速と先端ロジック半導体の設計強化

国内対策③ 半導体技術のグリーンイノベーション促進

国内対策④ 国内半導体産業のポートフォリオとレジリエンス強靭化

経済安全保障上の国際戦略

中国の国家市場監督管理総局は10月8日、食品宅配最大手の美団に対し、市場の支配的な地位を乱用したとして「違法行為」の中止を命じ、34億元(5億2740万ドル)の罰金を科したことを明らかにした。罰金は同社の2020年の国内売上高の3%に相当する。

2010年に創業した美団は食品宅配や旅行予約などの生活全般のサービスを提供するネット企業として急成長してきた。「Uber Eats」のような存在で、中国で広く利用されている。

国家市場監督管理総局は、加盟店が美団のプラットフォームのみの利用を強要されている疑いがあるとして、4月に美団の独占禁止法調査を開始した。

2018年以降、取引先に美団の競合企業と取引をしないよう求める契約を交わしていた。「二者択一」(「二選一」)と呼ばれる行為で、当局は約7割のシェアを持つ同社が、市場で支配的地位を乱用してきたと認定した。

美団は取引先に競合と取引しないよう求めたが、これに違反すれば、契約の際に預かっていた保証金を没収する措置をとっていた。美団が没収した保証金は12億8900万元に上り、当局はこの全額の返還も命じた。

国家市場監督管理総局は同社に、手数料の仕組み改善や提携する飲食店の法的権利保障、配送ドライバーの保護強化を命じた。

美団は罰金を受け入れ、同局から命じられた是正措置を実施すると表明した。

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中国のネット大手に対する規制当局の圧力は強まり続けている。

国家市場監督管理総局は本年4月、電子商取引大手のアリババ集団(Alibaba Group)に対して、同様の慣行を理由に過去最高の27億5千万ドル(2019年の中国国内の売上高の4%)の罰金を科した。

2021/4/13 中国政府、独禁法違反でアリババに罰金3000億円 

国家市場監督管理総局は7月24日、インターネットサービス大手のTencent騰訊控股)に対し、音楽配信事業で楽曲の独占的利用を是正するよう命じた。Tencentが2016年に実施した音楽配信大手  中国音楽集団(China Music ) の買収を問題視した。

7月10日にはTencent系のゲーム動画配信サイト 「闘魚」を運営する武漢闘魚網絡科技と同業の「虎牙直播」を運営する広州虎牙信息科技の合併を認めないと発表した。虎牙と闘魚は同国のゲーム動画配信市場で1、2位を占める。

国家市場監督管理総局(市場監管総局)は7月7日、インターネット業界の複数の大手企業が、独占禁止法上の「事業支配力の過度な集中」を避けるために定められたJVの事前の届け出を怠っていたとして、該当する22件に行政処分を下した。

2021/7/29 中国独禁法当局、規制強化 

インド大手財閥Reliance Industries Ltdは10月10日、子会社のReliance New Energy Solarを通じて、欧州の太陽電池大手REC Solar HoldingsをChina National Bluestar(中国藍星)から771百万ドルで買収すると発表した。

また、Reliance New Energy Solarが、太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)を手がける地場のSterling & Wilson Solar の株式を40%取得するとも発表した。

再生可能エネルギー関連事業の拡大につなげる。

Reliance Mukesh Ambani会長はRECの買収発表にあたり「気候危機に打ち勝つためのグリーンエナジーへの移行に向けて、インドは世界のリーダーになれる」とコメントした。

Relianceは石油化学を中心に発展してきた財閥だが、近年は事業モデルの転換を進めている。 Ambani会長は6月の株主総会で、今後3年で太陽光や水素などの分野に7500億ルピー(約1兆1000億円)を投資すると表明していた。

Relianceはインド最大の私企業で、石油化学を中心に、石油・ガス開発、小売、インフラ、バイオテクノロジーなどの事業を手がけるインド最大のコングロマリットで、石化業界のリーダーである。

同社については 2007/3/14 インドのReliance が IPCLを吸収合併

Reliance IndustriesとSaudi Aramcoは2019年8月12日、AramcoがRelianceのOil-to-Chemicals 部門に出資する非拘束のLetter of Intent を結んだ。

インド政府はこれに反対していたが、2021年末までに実現する見込み。Relianceは2021年6月の株主総会でAramco会長を取締役に選んだ。

2020/1/4 インド政府、RelianceとAramcoの提携を阻止付記

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REC Solarは1996年設立で、ノルウェーに本社を置く。 事業本部をシンガポールに置き、北米、欧州、豪州、アジア太平洋に拠点を持つ。

1996年に Fornybar Energi として設立された。2000年9月に ScanWafer AS とSolEnergy AS と合併し、REC Solarとなった。

1997年にノルウェーとスウェーデンでウェハー、太陽光セル、太陽光モジュールを生産開始した。

2010年にシンガポールの最先端工場でウェハー、セル、モジュールの全自動・統合生産を開始した。

製品は、欧州、米、豪、タイ、インド、日本をはじめとする多くの地域で採用されており、2020年末時点での累計出荷枚数は4,300万枚以上、出力で11.3GW以上である。

REC Solarは2014年11月、中国のBluestarの傘下の投資法人Bluestar Elkem Investmentに事業を売却すると発表した。株式の取得価格は43億4000万ノルウェークローネ(約750億円)。2015年1月に同社の臨時株主総会で承認を得た。

China National Bluestar (Group) Corp. (藍星グループ)は中国化工集団公司(CNCCChemChina)を構成する中核会社

2004年にChina National Blue Star (Group) Corp と China Haohua Chemical Industrial (Group) Corp が統合して中国化工集団公司が誕生した。

2007年に中国化工集団公司と米国の投資会社であるBlackstoneは戦略的提携を発表、Blackstone はChina National Bluestar (Group) Corp.の20%を6億米ドルで取得した。

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Relianceが同時に株式の40%を取得したSterling & Wilson Solarについて:

インドのWilson Electric Works と Shapoorji Pallonji Constructionは以前からインドの諸プロジェクトを共同で行なってきたが、1971年にWilson Electric Works がShapoorji Pallonjiのグループ会社の Sterling Investmentsと合併し、EPC会社のSterling and Wilsonとなった。

2011年に太陽光発電のEPCを行なう事業を開始、2017年に独立し、Sterling & Wilson Solarとなった。

インド、東南アジア、中東、アフリカ、欧州、南北アメリカ、豪州と、世界中で257件のプロジェクトを行い、合計能力は 11.4 GWp。

順天堂大学、花王、㈱ Preferred Networksらの研究グループは9月11日、パーキンソン病 患者皮脂中のRNA(リボ核酸)に病態と関連した特有の情報が含まれることを発見したと発表した。さらに皮脂RNA情報を用いた機械学習モデル がパーキンソン病の診断方法になりうることを明らかにした。

将来的にはあぶらとりフィルムで顔の皮脂を拭き取るだけで、疾患の早期診断につながる技術の確立を目指す。

パーキンソン病は日本で2番目に多い神経変性疾患で、運動に関する症状や自律神経障害、認知機能低下が徐々に進行する。

現在のところパーキンソン病を根治するための治療方法は存在していないが、早期に確定診断を行ない、適切な治療を継続することで症状をコントロールすることができるため、より簡便な検査方法が求められている。

パーキンソン病では皮脂の増加を伴う脂漏性皮膚炎などいくつかの皮膚症状が高頻度に併発することが知られているため、「皮脂にはパーキンソン病と関連した情報が含まれる」との仮説を立て、共同研究を実施した。

花王はヒトの皮脂に含まれるRNAを解析する独自の技術を開発し、2019年に機械学習や深層学習などの人工知能関連技術を保有するPreferred Networksと共同研究を始めた。

今回、パーキンソン病患者の病状を正確に反映するバイオマーカーを探索する順天堂大学も参加し、早期診断への応用を目指す研究を進めた。

あぶらとりフィルム1枚を用いて顔全体から皮脂を採取し、採取した皮脂からRNAを抽出し、次世代シーケンサーを用いて網羅的にRNA発現量を測定した。

皮脂RNA解析の結果、パーキンソン病の病態と密接に関係するミトコンドリア に関連した複数のRNAが増加する傾向が示された。

次に、皮脂RNAの情報と機械学習モデルによってパーキンソン病を判別できるか検証した。

その結果、皮脂RNAに含まれる情報を用いて機械学習モデルを構築することで、パーキンソン病を精度よく判定することができることが示された。

但し、パーキンソン病の診断は、鑑別しなければならない類似の疾患が存すること、皮脂RNAの変化に関しても日々の生活などの外的要因が完全には精査されていないといった課題がある。

研究グループでは、類似の疾患との鑑別診断が可能な機械学習モデルの構築や、精度向上のために制御が必要な日常生活の影響について検討を続けており、パーキンソン病の新たな検査方法の開発を目指している。

本研究成果は、英国科学雑誌の「Scientific Reports」誌のオンライン版に9月20日付で公開された。

Non-invasive diagnostic tool for Parkinson's disease by sebum RNA profile with machine learning

ENEOSホールディングスは10月11日、子会社のENEOSジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)株式取得を決定したと発表した。

Goldman Sachsのアセットマネジメント部門が運用するインフラファンド及びシンガポール政府投資公社GICから買収する。取得価額は2000億円で、2022年1月下旬ころに譲渡を受ける。

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ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)は、2012年8月にGoldman SachsのGS Renewable Holdingsにより設立された。

これから大きく成長すると見られている産業分野に、自分たちでニュービジネスを立ち上げるという考えによるもの。

再生可能エネルギーについては、社内に The Goldman Sachs Alternative Energy Investing Groupを持ち、 いろいろな活動をしている。

日本で再生可能エネルギーへのニーズが高まる中、大規模かつ長期的にクリーンエネルギーを提供するため、長期投資を視野に入れ、再生可能エネルギー事業を専門に行うJREを立ち上げた。

* Bloomberg のインタビュー記事 Goldman Rocks Japan Solar With New-Style Securities

2013年12月に、森トラストグループの森章代表が率いるMAプラットフォームがGS Renewable Holdingsへの資本参加を決めた。

シンガポールの政府系投資会社GICは2017年10月、GS Renewable Holdingsの株をMAプラットフォームから入手した。取得価額は百数十億円とされる。

GICは、旧称 Government of Singapore Investment Corporation で、シンガポール政府の投資会社の一つ。(他に、Monetary Authority of SingaporeとTemasekがある。TemasekはSingaporeの古称で「海の町」の意味) 

GICはホテルなど多くの日本の不動産に投資しているが、日本のインフラ、再生エネルギーへの最初の投資である。

日本の再生エネルギー買い取り制度は国際的にみて割高で、認定済みの施設には長期間、好条件の買い取り価格が約束されるほか、今後建設する発電施設もパネル設置や運営コストを削れば、十分採算があうとみた。

現在のGS Renewable Holdingsの株主はGoldman Sachsが75%、GICが25%となっている。両社とも売却で膨大な利益を得ると思われる。


ジャパン・リニューアブル・エナジーの事業の状況は次の通り。

 設備容量

運転中 建設中 合計
太陽光 43件 346,585kW 6件 273,715kW 49件  620,300kW
陸上風力 4件  48,200kW 6件 184,200kW 10件  232,400kW
バイオマス 1件  24,400kW 1件   24,400kW
合計 48件 419,185kW 12件 457,915kW 59件  877,100kW

    詳細は  https://www.jre.co.jp/business/list/

再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札として普及が期待されている洋上風力発電におい洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」のメンバーとして、風況観測や建設計画策定事業化検討積極的に取り組んでいる。

 年間売電量 598百万kwh  一般家庭約136千世帯分の年間消費電力量相当



ENEOSグループは、2040年長期ビジョンにおける「ありたい姿」として、
「アジアを代表するエネルギー・素材企業」、「事業構造の変革による価値創造」、「炭素・循環型社会への貢献」を掲げ、石油精製販売をはじめとする基盤事業のキャッシュフロー最大化を図りつつ、石化、素材、次世代型エネルギー供給、環境対応型事業といった成長事業への戦略投資を積極的に進めている。

炭素・循環型社会への貢献」については、2040年に自社排出分のCO2についてカーボンニュートラルを達成することを目標としており、2022年度末までに国内外における再生可能エネルギー事業の総発電容量を100万kW超に拡大することを目標としている。

JRE全株式取得後ENEOSの国内外における運転中・建設中の再生可能エネルギーの総発電容量は 約122万kW(2021/9時点)となる。今後、ENEOSはエネルギー事業者としての知見と、JREの事業開発能力を結集して、日本を代表する再生可能エネルギー事業者を目指す。

また将来的には、発電量が変動する再生可能エネルギー電源を蓄電池や電動車両(EV)を用いて最適に制御するエネルギーマネジメントシステムと組み合わせることにより、CO2フリー電気を安定的かつ効率的に供給できる体制を構築する。現在、ENEOSグループが進めている将来のCO2フリー水素サプライチェーン構築への貢献が期待できるとしている。

EU加盟27カ国は10月6日、スロベニアで開いた首脳会議で、セルビアやアルバニアなどバルカン諸国6カ国の将来的なEU加盟を確約した。

EU首脳は、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、北マケドニア、コソボ、アルバニアの6カ国について、司法改革や経済状態を含む基準を満たせばEUに加盟できるとの見解で一致した。声明で「EUは拡大プロセスへのコミットメントを改めて確認する」とし、「西バルカン諸国の欧州的な展望に対する揺るぎない支持」を表明した。ただ、これらの国の「信頼できる改革」や「公正で厳格な条件」などを注視するとも明記した。

更に、今後7年に亘ってインフラ整備や気候変動対策にあてる約300億ユーロの支援策を明記した。

しかし、移民・難民問題への警戒から2030年の加盟を目指すとする期限は設定しなかった。 フランスやオランダは、域内の自由な移動を認めるEUにバルカン諸国が加盟すれば難民の流入増につながる恐れがあると警戒、加盟期限の設定に反対した。議長国のスロベニアは2030年までの加盟を目指すことで合意するよう呼び掛けていたが、今回の首脳会議では期限の設定は見送られた。

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西バルカン各国はこうした状況にいらだっており、セルビア、北マケドニア、アルバニアの3カ国は本年7月末、ヒトやモノ、カネの自由な移動を保障する独自の自由経済圏構想を立ち上げると表明した。

具体的には、3カ国間での労働や滞在許可証の取得手続きを簡素化する。貿易を促進するため貨物輸送の待ち時間を短縮するほか、税関などでのデータもやりとりする。順調にいけば構想は年内にも実現する見通しで、2023年からは相互の国境管理を撤廃することでも合意した。最終的にはモンテネグロなど他の周辺国も参加する可能性がある。

西バルカン諸国のEU加盟交渉がとん挫すれば、同地域と歴史的あるいは経済的に利害関係にあるロシアや中国といったライバルや敵対国が影響力を強めるとの懸念がくすぶっており、バイデン政権関係者も警戒している。

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英国が抜けて、現在のEU加盟国は27カ国。6カ国が加わると33か国となる。

バルカン半島の旧ユーゴスラビアのうち、スロベニアとクロアチアは既にEUに加盟している。

現在、残りの北マケドニア、ボスニア、セルビア、モンテネグロとコソボ、及び隣接のアルバニアがEU加盟候補となっている。

このうち、セルビアとモンテネグロが交渉が進展している。セルビアは2013年にクロアチアと同時加盟を狙ったが、セルビアから独立したコソボとの関係が正常化せず、EU側が先送りした。

北マケドニアとアルバニアは交渉開始待ちである。ブルガリアは言語をめぐる歴史認識の違いから、北マケドニアの加盟には反対している。

NATOとEUの加盟状況は下記の通り。

NATO EU
原加盟国 米国 対象外
カナダ
イタリア 1952
オランダ
フランス
ベルギー
ルクセンブルク
英国 加盟→離脱 1973
2020/1/31
デンマーク 1973
ポルトガル 1986
アイスランド

非加盟

ノルウェー
1952/2

ギリシャ

1981
トルコ 非加盟
1955/5 ドイツ(西ドイツ) 1952
1982/5 スペイン 1986
1999/3 チェコ 2004/5
ポーランド
ハンガリー
2004/3 エストニア 2004/5
ラトビア
リトアニア
スロバキア
スロベニア
ブルガリア 2007/1
ルーマニア
2009/4 アルバニア 非加盟
クロアチア 2013/7
2017/6 モンテネグロ 非加盟
2019 マケドニア
非加盟 アイルランド 1973
オーストリア 1995
フィンランド
スウエーデン
キプロス 2004/5
マルタ
非加盟 スイス 非加盟
ボスニア・ヘルツェゴビナ
セルビア
コソボ
ベラルーシ
モルドバ
ウクライナ
30か国  

28→27

経済協力開発機構(OECD)は10月8日、2013年から本格的な交渉を続けてきた新たな国際課税の新ルールに、136カ国・地域が最終合意したと発表した。

経済のデジタル化に伴う課税上の課題に対処するための二本の柱からなる解決策」に関する声明に参加した。

下記の2項目について、2023年からの実施を目指す。およそ100年前に整備された現在の課税ルールが転換されることになる。

1) 巨大ITなど多国籍企業の税逃れを防ぐ「デジタル課税」を導入

2) 法人税の引き下げ競争に歯止めをかけるため各国共通の「法人税の最低税率」を15%にする。

10月13日にワシントンDCで開催されるG20財務大臣会合に提出され、その後、10月末にローマで開催されるG20首脳会議にも提出される。

各国・地域は2022年に条約の締結や法改正を進め、2023年から導入する。


付記 G20財務相・中央銀行総裁会議は10月13日、この合意を支持した。

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経済のデジタル化に対応した国際的な法人課税ルールを巡り、経済協力開発機構(OECD)加盟国を含む130カ国・地域が7月1日に大枠合意した。

G20財務相・中央銀行総裁会議は7月10日、経済協力開発機構(OECD)が事務レベルで合意した内容をG20として承認した。法人税の国際的な最低税率とデジタル課税の同時決着をめざす。

制度の詳細を詰め、10月の最終決着をめざす。OECDの交渉に参加した139カ国・地域のうち、8カ国がまだ合意に加わっていないが、こうした国にも同意を呼びかける。

この時点ではEU加盟国のうち、Ireland、Estonia、Hungary が参加していない。

2021/7/5 法人課税強化、大枠で国際合意 

その後、交渉参加国は140か国となったが、今回、アイルランドやハンガリーなどを含め世界のGDPの90%以上を占める136カ国・地域 が合意し、OECD/G20の全加盟国が支持した。

ケニア、ナイジェリア、パキスタン、スリランカの4カ国がまだ参加していない。

今回合意した内容は次の通り。

1) デジタル課税:

現在のルールでは、多国籍企業が、ある国で膨大な利益を上げていても、恒久的施設を持たない限り課税できない。
国境を越えインターネットを通じて動画や音楽などのコンテンツを提供している企業に対しては、恒久的施設が無い場合、法人税を課税することができない。

今後は、恒久的施設を持たない国でも一定の課税ができるようにし、各国間の利益と課税権のより公平な配分を確保する 。

 対象企業:世界全体の利益が200億ユーロを超え、かつ、利益率が10%を超える多国籍企業 (約100社)

 新ルール:

①売上高の10%を超える超過利益の25%を市場のある国に再配分する。

 下図の通り、売上高の10%を超える利益の25%を市場国に売上高比で配分する。

②各国が独自に導入したデジタルサービス税などは廃止する。

 影響:毎年1,250億米ドル超の利益に対する課税権 が市場国へ再配分されると見込まれている。

 実施:2022年に


付記

移行期間の対応で米欧が対立した。
米国は現在の課税を即座に撤廃するよう求めたが、欧州各国は発効までの先行きが不透明だとして独自課税を続ける意向を示した。

これについて、米国と欧州5カ国(英、仏、イタリア、スペイン、オーストリア)は10月21日、妥協案に達したと発表した。

内容は下記の通り。

欧州各国はデジタル課税の国際条約が発効するまで独自のデジタルサービス税を続ける。
新枠組みの下で支払うべき税を超える部分は、将来の納税額から控除される。

米国は5カ国に警告していた報復関税措置の導入を取りやめる。

米国はトルコとインドにも制裁関税を検討しているが、両国は今回の合意に含まれていない。

2) 法人税最低税率

世界的な最低法人税率を導入する。

 対象企業:売上高が7億5,000万ユーロの企業

 最低税率:15% 7月の大枠合意では「少なくとも15%」だったが、修正の結果、参加を留保していたアイルランドも加わった。

 具体的措置:低い税率の国に子会社を作った企業には、親会社がある国は15%との差額分の法人税を親会社に上乗せする 。

 例外措置:①現地で操業している子会社(工場などがあり、従業員がいる)の場合、税負担の大幅増を回避する特例措置

        子会社の税額を計算する際、対象利益から有形資産や支払い給与の5%に相当する金額を 差し引くこと
       
カーブアウトを認める。
        有形資産は当初8%、支払い給与は10%を除外対象とし、次の5年で年0.2%分ずつ1%分を下げ、
        次の5年で残り分を下げ、ともに5%とする。

      ②制度開始の10年間は移行期間とする。(当初は5年であったが10年に延ばした。)

法人税率が9%と低く、ことし7月の大枠合意には加わっていなかったハンガリーは、提案した10年間の移行期間などが認められたとして参加した。「現在の法人税率9%は変わらない。ハンガリーが勝利した」としている。

あるNGOは、「土壇場で10年間の猶予期間が設けられ、抜け穴もあり、実際には名ばかりだ」と批判している。 

影響:世界全体で年間約1,500億米ドルの追加税収が発生すると推定
    国際課税制度が安定し、納税者と税務当局にとっての税の確実性が高まることで、さらなる便益が生まれる。

米上院は10月7日、政府の債務上限を一時的に引き上げる法案を可決した。下院は10月12日に可決する予定。
ただし、本格的な問題解決ではなく、単に2カ月だけ時間稼ぎをしただけである。今後も緊張が続く。

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米国では債務上限が法律で決まっている。予算の運営のためには、別の法律により、これらを引き上げる必要がある。

2019年7月22日に2021年7月末まで債務上限の2年間棚上げを決めたが、その期限がきた。

2019年3月1日時点の債務上限の22兆289億ドルに、それ以降 7月31日までに追加で借り入れた約6.5兆ドルを加えた約28.401兆ドルが新しい債務上限となり、上限を引き上げるか、凍結するかを新たに決めるまでは、借入は出来ない。

2021/7/26 米国、債務上限復活 

また、10月1日から始まる新年度の予算も月末までに通る可能性はなく、政府機関閉鎖を避けるためには暫定予算が必要である。

このため、下院は9月21日、本年12月3日までのつなぎ予算と、連邦政府の債務上限の適用を2022年12月16日まで凍結する措置を一体化した民主党提出の法案を可決した。

2021/9/23 米下院、つなぎ予算・債務上限凍結一体化法案を可決 

しかし、上院共和党は9月27日、この法案を本会議で採決することを否決した。60票が必要だが、共和党、民主党から各1議員が棄権したほか、民主党の1議員が反対にまわった。

このため、民主党はつなぎ予算と債務上限を切り離し、とりあえずつなぎ予算を通すこととした。

上下院は9月30日に、10月1日から始まる2022会計年度の一部資金を手当する12月3日までのつなぎ予算案を可決した。

2021/10/2 米、政府機関の閉鎖回避 12月までのつなぎ予算成立  

別途、下院は9月29日遅くに債務上限適用を2022年12月まで凍結する法案を可決したが、上院では共和党が反対を続けた。

つなぎ予算否決なら政府機関閉鎖となり、債務上限を引上げ又は凍結しなければ米国がデフォルトとなるため、共和党もあくまで反対し続けることは出来ない。

しかし、強硬に反対を続けるのは、来年秋の中間選挙のための選挙戦略である。債務増の原因が民主党にあることを選挙民に印象づけ、民主党反対にまわらそうとするものである。

民主党は現在、10年で総額3.5兆ドル規模の財政支出をめざす法案の成立をめざしている。共和党の上院でのフィルバスターを使っての採決拒否を防ぐため、過半数で可決できる「予算決議案→財政調整措置」を使う。

共和党はこれに反対しており、債務上限を引き上げるざるを得ないのは民主党のこの法案のためであると主張、民主党の責任で債務上限を引上げろと主張している。

他方、民主党は財政赤字はトランプ政権時の多額の支出も影響しており、共同で2022年12月までの凍結法案を通すべきだと主張した。

最終的に民主党は、共和党上院トップのマコネル院内総務の案に乗らざるをえなくなった。

①まず債務上限を4,800億ドルだけ引き上げる。これは12月3日までの債務借入額に相当する。

②民主党は現在単独での可決を目指して進めている10年で総額3.5兆ドル規模の支出法案を修正し、債務上限を本格的に引き上げる法案を折り込む。

これによると、債務上限引き上げは「予算決議案→財政調整措置」方式により上院で共和党の反対、民主党の賛成(同数の場合、上院議長である副大統領が1票)で可決することになり、共和党は民主党が債務を引き上げたと主張できることになる。


上院は10月7日、債務上限を4,800億ドル引き上げる法案を審議した。

まず、法案を審議するかどうかについて投票した。共和党内でマコネル院内総務の案に反対し、徹底反対を主張する議員がいるなかで、11名の議員が賛成し、合計の賛成が61票となり、フィリバスターは禁止され、法案は過半数で議決できることとなった。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 11 48 2 61
反対 38 38
棄権 1 1
合計 50 48 2 100


このあと、法案が審議され、共和党の2議員が棄権したため、50対48で可決された。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 48 2 50
反対 48 48
棄権 2 2
合計 50 48 2 100


下院が議決するのは確実で、大統領の署名を得て、法案となる。

付記

下院は10月12日、可決した。バイデン大統領は10月14日にこれに署名、成立した。

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成 219 219
反対 206 206
棄権 6 1 7
合計 212 220 432 3


但し、予算は
12月3日までのものである。債務も同日頃までの借入で今回の上限に達する。

両党はそれまでに10月1日からの年度の予算を通す必要がある。民主党はそれまでに10年で総額3.5兆ドル規模の支出法案に本格的な債務上限引上げを折り込み、可決する必要がある。

しかし、民主党内で、党内の急進左派が子育て支援などの「3.5兆ドル法案」(予算決議に基づく具体的な予算案)を可決するまでインフラ法案に賛成しないと主張し、財政膨張を懸念する中道派議員は3.5兆ドル法案の規模圧縮を要求し、与党内の調整がつかない状況である。

とりあえず、政府機関閉鎖とデフォルトは回避したが、たった2か月延ばしただけである。今後も緊張は続く。

2021年のノーベル化学賞は独Max-Planck-Institut のBenjamin List 所長と 米Princeton UniversityのDavid MacMillan教授に与えらえた。

受賞理由は「不斉有機触媒の開発」"for the development of asymmetric organocatalysis" )で、次のように説明している。

触媒は化学者にとって基本的なツールだが、研究者たちは、原則として、金属と酵素の2種類の触媒しか利用できないと長い間信じていた。

Benjamin ListDavid MacMillanは、2000年に互いに独立して、第3のタイプの触媒作用を開発した。これは不斉有機触媒と呼ばれ、小さな有機分子に基づいて構築される。ノーベル化学委員会の委員長は、「この触媒作用の概念は、独創的であると同時に単純である。実際、多くの人が、なぜ以前にそれを考えなかったのか疑問に思っている」と述べている。

有機触媒は、より活性な化学基が結合できる炭素原子の安定したフレームワークを持っている。これらには、酸素、窒素、硫黄、リンなどの一般的な元素が含まれていることがよくある。
これは、これらの触媒が環境に優しく、安価に製造できることを意味する。有機触媒の使用が急速に拡大しているのは、主に不斉触媒作用を促進する能力によるものである。

分子が構築されているとき、2つの異なる分子(注 光学異性体)が形成される状況がしばしば発生する。これは、手と同じように、お互いの鏡像である。
化学者は、特に医薬品を製造する場合、これらのうちの1つだけを必要とすることがよくある。

有機触媒作用は2000年以来、驚異的なスピードで発展してきた。2人はこの分野のリーダーであり続け、有機触媒を使用して多数の化学反応を促進できることを示している。これらの反応を使用して、研究者は新しい医薬品から太陽電池の光を取り込むことができる分子まで、あらゆるものをより効率的に構築できるようになった。このように、有機触媒は人類に最大の利益をもたらしている。

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光学異性体は鏡に映った像のように左右が反対の立体構造を持つ化学物質である。

医薬品などの場合、通常このうち一方しか役に立たない。医薬品のサリドマイドでは片方に鎮静効果があり有用だが、もう片方に奇形を起こす作用があったため悲惨な薬害をもたらした。

これまでの化学合成では両方のタイプが半分ずつできてしまうため、有用なタイプだけを効率よく作り出すことが難しかった。150年前にフランスのパスツールは「人工的な方法では不可能」とした。

これを解決したのが、野依良治博士、元MonsantoのWilliam Knowles、Scripps Research InstituteのBarry Sharplessで、2001年のノーベル化学賞を受賞した。

授賞理由は「触媒による不斉合成反応の研究」で、不斉触媒を使って光学異性体を作り分ける技術である。

こうした作り分けは生物の体内で起きている生化学反応でしかできないとされていたが、野依博士は1966年、28歳の若さでこうした物質の作り分けを可能とする「不斉触媒」のアイデアを発表、1980年に実用的な触媒を開発することに成功し、有用物質だけを量産する技術の確立に貢献した。

野依教授らの成果は香料や医薬品の生産など、1980年代以降、様々な分野で実用化された。

https://www.knak.jp/munikai/FYI/noyori-n.htm

「触媒的不斉合成」は医薬品化学・精密有機合成の発展に大きく貢献 したが、大きな問題があった。

これまで、触媒には金属と酵素(生体内の反応)の2種類の触媒しか利用できないと考えられており、不斉合成にはパラジウムなどの金属触媒が使われた。

しかし金属触媒は、高活性なものが多い一方で、金属自体が高価・有毒・廃棄困難であったり、触媒自体も水や酸素に不安定で取扱い困難なものが多かったりと、問題が多かった。医薬品などで反応生成物に金属の混入があると大変である。

この問題を解決したのが今回の「有機触媒」である。触媒活性を有する金属を含まない低分子有機化合物のことで 、炭素の骨組みと酸素や窒素、リンなどの元素で構成され、構造が簡素なため、取扱いや構造のチューニングが簡単であり、安定・安価・環境に優しいなどの利点がある 。(「有機触媒」は2000年にMacMillan定義した。)

この触媒は金属を使わないことから、医薬品などを作る際にも、より安全に作ることができるし、安価に作れる 。

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触媒には金属と酵素(生体内の反応)の2種類の触媒しか利用できないと考えられていたとしたが、実は1971年にUlrich らが最初の有機触媒としてタンパク質を構成するアミノ酸の一つであるL-プロリを発見している。ビシクロケトンを不斉合成した。

この報告以来、どういうわけか長くプロリンは不斉触媒として用いられなかった。

しかし、2000年にこれが急転換した。

2000年に、Benjamin Listらによりプロリンを用いた分子間直接的不斉アルドール反応 (List-Barbas Aldol Reaction)がアメリカ化学会誌に報告された。

分子間反応でもプロリンが不斉触媒として有効に働く、ということを示した初めての例で、これ以降、有機触媒研究のブームに火がついた。

David MacMillanはMacMillan触媒を開発した。種々のα-アミノ酸から容易に調製可能であり、エナールを基質とする不斉共役付加反応を高い不斉収率にて進行させる。

2人は有機触媒の分野の研究で大きな貢献をしたことが評価され、受賞した。選考委員会は、彼らが開発した有機触媒を利用することで新たな医薬品などを効率的に作り出せるようになったとしてい る。

現在では、不斉有機触媒はインフルエンザ治療薬「タミフル」の生産工程の効率化や、太陽電池で用いる分子の合成など幅広い分野で応用されている。

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Benjamin List氏は2018年から北海道大学の 化学反応創成研究拠点 (ICReDD) の主任研究者として有機触媒を用いた新規反応開発に係る研究に取り組んでおり、2020年5月から特任教授 になっている。

北大の化学反応創成研究拠点 (ICReDD) は医薬品など新素材の開発につながる化学反応を計算科学や実験科学などを融合して効率良く見つけるのが目的で2018年に創設されたが、同氏はこれに共感し、ICReDDのスローガンとして「化学反応のデザインと発見を革新する」を考案した。


WHOは10月6日、英製薬大手の GlaxoSmithKline (GSK)が開発したマラリア予防のワクチンRTS,S/AS01(商品名 Mosquirix)の使用を初めて推奨すると発表した。これまでWHOの基準を満たすマラリアワクチンは存在していなかった。

GSKのワクチンは、PATH Malaria Vaccine Initiative と組んで開発された。
これは米国のNPO団体のPATH (Program for Appropriate Technology in Health) がBill & Melinda Gates Foundationの寄付を受けて1999年に始めたプログラムで、「マラリア撲滅」を目指して国際的なマラリアワクチンの研究開発を強力に支援 するものである。

GSKは2015年7月、欧州医薬品庁が、世界初のマラリアワクチン Mosquirixに 6週~17カ月の乳幼児を対象とした使用について科学的見地にもとづく承認勧告を行ったと発表した。これはサハラ以南のアフリカで乳幼児に予防接種を始める根拠となる。

WHOは2019年4月、アフリカの3カ国で年間約36万人の子どもを対象にマラリアワクチンの接種を始めると発表した。

2019年以降、ガーナ、ケニア、マラウイのアフリカ3カ国で試験的に80万人以上の子供に接種して効果を調べ た。マラリアの発症を39%、重症化を29%防ぐことができることが分かった。

直接の効果は大きくないが、殺虫剤コーティングの蚊帳などその他のマラリア対策を組み合わせることで、毎年26万人以上とされるマラリアの犠牲になる子供たちから数万人を助けられるとしている。

テドロス事務局長は「マラリアワクチンは長い間実現できない夢だった。30年以上かけて作られたこのワクチンが公衆衛生の歴史を変える」と述べた。

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マラリアは、ハマダラ蚊に寄生するマラリア原虫により感染し、発症する。

ハマダラ蚊が産卵のため吸血する際、蚊の唾液腺に集積していたマラリア原虫が ヒトの体内に侵入する。ヒトの体内で形を変えながら増殖を繰り返し、マラリアを発症させ、別の蚊が吸血する際に再び蚊に感染する。 これによりマラリア感染を拡大させる。

マラリアワクチンは、ウイルスではなく、マラリア原虫を対象にするもので、3つの種類がある。

 感染阻止ワクチン:原虫(スポロゾイト形態)のヒトへの感染を阻止する。
 発病阻止ワクチン:ヒト体内で赤血球期原虫 (メロゾイト形態)の増殖を阻止する。
 伝播阻止ワクチン:ワクチン接種後の血を吸ったハマダラ蚊の中でマラリア原虫 (オーシスト形態)の発育を阻止する。


https://www.ds-pharma.co.jp/press/pdf/pr20200403.pdf


GSKのワクチン(RTS,S)は感染阻止ワクチンで、原虫が血液に入った時に肝臓に移り、成長し、増殖するのを防ぐ。

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GSK以外にも多くの企業がマラリアワクチンを開発している。

愛媛大学プロテオサイエンスセンターと大日本住友製薬は2020年4月3日、米国のNPO団体のPATHProgram for Appropriate Technology in Health)と3進めている「新規マラリア阻止ワクチンの前臨床開発プロジェクト、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金GHIT Fund)の助成案件に選定されたと発表した。

このワクチンはヒトから蚊への原虫感染サイクルを断つことができるマラリア伝阻止ワクチン候補製剤である。

ワクチンを接種した人には効果はないが、その血を吸った蚊の中のマラリア原虫が激減するためさらなる感染の拡大を防ぐワクチンとして期待されている。コミュニティー全体をマラリア感染から守る。

2020/4/8 愛媛大学と大日本住友製薬、新規マラリア伝搬阻止ワクチン開発へ

赤畑渉博士が米国で設立した創薬ベンチャー VLP Therapeuticsは2019年2月4日、独自技術 i-αVLP (inserted alpha VLP) Technology で開発したマラリアワクチン候補 VLPM01の新薬臨床試験開始届(IND)が米食品医薬品局(FDA)により認可され、フェーズ I/IIa の患者登録を開始したことを明らかにした。Walter Reed Army Institute of Research で臨床試験が実施される。

2019/3/5 マラリアワクチンの臨床試験 開始

Pfizerと共同で新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン)を開発したドイツの BioNTechは2021年7月26日、この経験を生かして mRNA技術に基づく初のマラリア予防ワクチンを開発し、2022年末までに臨床試験を開始する目標を明らかにした。同社はまたアフリカ大陸における生産能力拡大に向けた取り組みの一環として、アフリカでのワクチン生産も検討している。

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現在、世界で年間40万人以上がマラリアで死亡し、5歳以下の子どもが約3分の2を占める。症例と死亡者の9割以上がアフリカに集中している。

以前はハマダラ蚊の駆除にDDTが使用され、効果を挙げていた。

しかし、レイチェル・カーソンが1962年、著書「沈黙の春」でDDTの生態系への影響を指摘、他の研究者からも発がん性やホルモンに似た作用があるという報告が相次いだ。このため、80年代に各国で使用禁止となった。

スリランカでは1948年から62年までDDTの定期散布を行ない、それまで年間250万人を数えたマラリア患者の数を31人にまで激減させることに成功していたが、DDT禁止後には僅か5年足らずで年間250万人に逆戻りした。

WHO2006915日、マラリア蔓延地区においてDDT室内散布を推奨すると発表した。以前のように戸外で散布し、ボーフラ駆除で蚊の繁殖を防ぐものではない。

2006/10/23  WHO、マラリア防止にDDT使用を推奨

国際的にDDTの製造、輸入・使用を制限している条約には2004年に50カ国以上が締結し発効された「残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約」があるが、DDTに関しては、条項として、「WHOの勧告及び指針に基づいた疾病を媒介する動物の防除に限り、安全で効果的かつ入手可能な代替品がない場合はDDTの製造と使用を認める」としている。
2007年の第3回締約国会議においては、一部の国で伝染病防止のためにDDTを引き続き使用する必要性があるとの結論が示されており、今後も必要性確認のための評価を行うことが議決されている。

現在、住友化学のピレスロイド系殺虫剤を練り込んだ長期残効型防虫蚊帳 Olyset Net が、WHOからも使用を推奨され、広く使用されている。今後もワクチンと併せて使用されると見られる。

2013/6/8 住友化学のOlyset Net

これについては、経緯を記した本が出版されている。

2017/7/29 本の紹介 「日本人ビジネスマン、アフリカで蚊帳を売る: なぜ、日本企業の防虫蚊帳がケニアでトップシェアをとれたのか?

2020年9月14日のNHK TV「逆転人生」で、ドキュメンタリー「マラリアを予防せよ 命の蚊帳を世界に届ける」が紹介された。


台湾の電子製品受託生産大手、鴻海精密工業(Foxconn)は9月30日、米新興電気自動車メーカーLordstown Motors Corp が保有する組立工場を2億3000万ドルで買収し、新型ピックアップトラックの生産を引き継ぐと発表した。今後6カ月以内に契約完了を目指す。

Lordstown Motors は経営の混乱からEVの自社生産を断念し、鴻海に生産を委託する。鴻海にとっては米国初のEVの生産拠点となる。

基本合意は次の通り。

鴻海は2億3000万ドルで工場を買収する。ハブモーター組立ライン、バッテリーモジュール、梱包ラインなど一部の資産や、特定の知的財産権は含まれない。

鴻海は5000万ドル分のLordstownの普通株も購入する。

鴻海がLordstownのフルサイズのピックアップトラックEnduranceを同工場で組み立てるための受託生産契約を交渉 (この契約締結が工場購入の条件)

鴻海は、EVメーカーFisker Incと提携しており、同社からも生産を受託する。

鴻海とFiskerは本年5月、Project PEARというプログラムで新しいEVを共同開発・生産する契約を交わした。Personal Electric Automotive Revolutionの頭文字を取っているプロジェクトPEARの車両はFiskerブランドとして北米、欧州、中国、インドで販売される。
生産準備は米国で2023年末までに始まる予定で、2024年に本格生産に入る。

鴻海はEV事業の本格参入を目指し、「全世界に工場を造る」(劉董事長)としている。7月には、米国ではウィスコンシン州と立地協議を進めていると公表していたが、その後、交渉難航が伝えられ た。、

今回、戦略を変更し、Lordstownの工場買収に踏み切った と見られる。劉董事長は、今回の合意について、鴻海が「北米でEVの生産能力を前倒しで確保する目標」の達成に寄与すると述べた。

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GMは2018年に3つの工場の閉鎖と、ミシガン州Hamtramckの工場をEVトラックの生産に切り替えることを発表した。
その後、全米自動車労組(UAW)との協議が長引く中で長期のストライキもあったが、2019年秋に合意にこぎつけ、工場の再編計画が具体的に動き出した。

その一環として、GMはオハイオ州 Lordstownの自動車生産工場を閉鎖し、設備の一部をEVトラック専業の地元のスタートアップ企業Lordstown Motors に売却した。


Lordstown Motorsは2021年後半から、Lordtownの旧GM組立工場でピックアップトラック「Endurance」の生産を開始する計画を立てていた。

2021年1月にLordstownのEnduranceの予約注文が10万台に達したと発表されたが、2021年3月に空売り筋のHindenburg Research(以前に Nikola Motorに関して「試作品と技術が全て偽の詐欺企業」と発表)がLordstown Motorsについて、「収益も販売可能な製品もない会社であり、その需要と生産能力の両方について投資家を欺いていると考えられる」と発表した。

その2カ月後、Lordstownは、「資金不足のためEnduranceの生産台数が約2200台からわずか1000台に半減する可能性が高い」と報告した。

同社は本年6月、米証券取引委員会への届け出で「Going Concernの前提に疑義が生じている」と開示した。初のピックアップトラック開発に必要な現金が不足する恐れがあり、資本を追加調達できなければ向こう1年以内に存続できなく可能性があると説明した。

6月14日にCEOとCFOが直ちに辞任したと説明した。自動車の予約注文に関する発表の一部に不正確な内容が含まれていたことも明らかにした。

その後、投資会社Yorkville Advisorsが運用するヘッジファンドが、3年間で4億ドル相当の株式を購入することに合意したことが7月26日に明らかになった。

しかし、自社生産を諦め、鴻海に生産委託することとしたもの。

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「全世界に工場を造る」とする鴻海精密工業は2021年1月、中国の電気自動車の新興メーカーである拝騰(Byton)と提携し、EVの量産に乗り出すと発表した。2022年1~3月期の量産を予定する 計画であった。

拝騰(Byton)は南京が拠点で、2020年1月にSUVの量産モデル「M-Byte」を発表、"Tesla Killer"、"Red Killer" と呼ばれた。

丸紅は2020 16日、拝騰との資本業務提携を発表した。戦略的パートナーとして、モビリティ事業EV バッテリーマネジメント事業、海外事業を中心に協業するとした。

しかし、直後から資金繰りが悪化し、2020年夏に事業停止に追い込まれた。

拝騰は2021年1月に鴻海との提携を発表したが、再度資金繰りが悪化、一部の債権者が7月に南京市の裁判所に「破産重整」と呼ばれる再建型の倒産手続きを申し立てた。

拝騰は鴻海と提携する一方で、2020年9月に設立した関連会社「盛騰汽車」にEVの開発や生産などの主要な事業を移管している。 これには中国国有自動車大手、中国第一汽車集団などが出資しており、盛騰のEV関連事業は継続するとみられる。

バイオ企業のヘリオスが、新型コロナウイルス患者の死亡原因の一つである重症肺炎などに生じる呼吸不全を治療する新薬候補について、2021年内にも厚生労働省に製造販売承認を申請すると報じられた。最終段階の臨床試験(治験)で良好な結果を確認した。

急性呼吸窮迫症候群(Acute Respiratory Distress Syndrome:ARDS)は、重症肺炎、敗血症や外傷などの様々な疾患が原因となり重度の呼吸不全となる症状の総称で、炎症性細胞が活性化され、肺の組織である肺胞や毛細血管に傷害を与える。その結果、肺に水がたまり、重度の呼吸不全が引き起こされる。

ARDSは一般的に、原因となる疾患や外傷が発生してから24~48時間以内に発生すると言われており、発症後の死亡率は全体の30~58%とされ、極めて予後が悪い疾患である。

日本におけるARDS患者数は12,000人程度と推測されている。


ARDSに対する治療として、集中治療室で気管チューブやマスクを使った人工呼吸管理による呼吸不全に対する治療が行われるが、人工呼吸器の使用が長期化すると、患者の予後が悪くなる。

薬物療法も行われるが、現時点において、ARDSを発症した際の生命予後を直接改善できる治療薬はない。

ヘリオスの急性呼吸窮迫症候群(ARDS)治療法は、ARDSと診断された患者に米国のAthersys, Inc が創製した幹細胞製品MultiStem®(HLCM051) を一定の時間内に静脈投与するもの。

体性幹細胞には、神経幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞など複数の種類があり、生体のさまざまな組織に存在する。Athersysの創製した幹細胞製品MultiStem®(HLCM051)は、ヒト骨髄由来の細胞製剤である。

ARDSを発症した患者に静脈投与されたHLCM051は、肺に集積して過剰炎症を抑制し、さらに損傷を受けた組織を保護し、修復を促進することで肺機能を改善すると考えられる。これらの作用により、人工呼吸器からの早期脱却、死亡率の低下などが期待されている。


Athersysの創製したHLCM051は、ヒト骨髄由来の細胞製剤で、凍結保存により長期保管が可能、免疫抑制剤が不要、静脈注射(点滴)で投与された細胞は体内へ蓄積することなく消失、といった特徴を有している




ーーー

ヘリオス(Healios)は旧称 日本網膜研究所で、2011年に設立され、2013年9月に改称した。

Healiosは、Helios(太陽の神)とHeal(癒す)の二つの言葉から構成され、難治性疾患治療の新たな希望の光と、疾患に侵された患者様を癒していきたいという願いが込められている。

同社の事業の1つはiPSC再生医薬品事業で、iPS細胞を分化誘導して人体と近似の機能を持つ細胞を作製し、その細胞を移植する。

開発コード 対象 地域 開発段階
がん免疫 HLCN061 固形がん 日本・欧米 前臨床試験 遺伝子編集Natural Killer細胞を自社で開発
細胞置換 HLCR011 滲出型加齢黄斑変性 日本 同上 大日本住友製薬と共同開発
HLCR012 萎縮型加齢黄斑変性 欧米 同上
HLCL041 代謝性肝疾患 日本 同上


2013/12/4 大日本住友製薬と理研認定ベンチャーのヘリオス、iPS細胞由来医薬品を共同開発

もう一つの事業として、ヘリオスは米国のAthersys, Inc が創製した幹細胞製品MultiStem®(HLCM051)を用いた国内におけるARDSの治療法の開発・販売権を取得し、新規の細胞治療法を開発している。

Athersys、人の寿命を延ばし、生活の質を向上させる治療薬候補品の探索や開発に注力する国際的なバイオテクノロジー企業で、開発中の MultiStem を用いた細胞治療医薬品は、特許取得済みの成人由来の量産可能な幹細胞製品である。
現在、心血管、神経、炎症、免疫系の疾患領域を適応症として
複数の臨床試験実施し再生医療製品としての評価を行っている。

Athersysは2020年4月に新型コロナウイルス感染症を起因とするARDS患者を対象とした第II/III相試験を開始した。

ヘリオスは、2016年にAthersys, Inc.とライセンス契約を締結し、体性幹細胞再生医薬品の開発を開始した。

日本国内におけるMultiStem®を用いた脳梗塞の治療を目的としたしい細胞治療医薬品の開発および販売に関する独占ライセンス契約
脳梗塞以外の適応症についてはライセンス
オプション契約

2018年6月に同社との提携を拡大し、日本における急性呼吸窮迫症候群に対する開発・販売ライセンスを取得した。

現在の状況

開発コード 対象 地域 開発段階
炎症 HLCM051 脳梗塞急性期 日本 Phase 2/3 先駆け審査指定
ARDS 日本 Phase 2 希少疾病用再生医療等製品指定 申請準備中

脳梗塞の治療:
脳梗塞は脳の血管が詰まり、その先の細胞に栄養が届かなくなり、脳の働きに障害が起きる。脳組織の壊死によって発症早期に大きな炎症がひき起こされ、炎症はそれから数日間続き、脳梗塞の病態が悪化する。
一般的に脳の血管に詰まった血の塊を溶かす「血栓溶解療法(t-PA治療)」や、閉塞した脳動脈内の血栓を直接回収する等で血流を再開させる「機械的血栓回収療法」が用いられるが、「血栓溶解療法」の適応は発症後4.5時間以内、「機械的血栓回収療法」でも8時間以内に限定される。
このため脳梗塞発症後から時間が経過した後でも、治療に効果的である新薬の開発が待ち望まれている。

HLCM051は、免疫応答の場である脾臓で炎症免疫細胞の活性化を抑制することにより、炎症や免疫反応を抑えて神経細胞の損傷を抑制、さらに、抗炎症性細胞を増殖させ、栄養因子を放出することで神経保護作用などが期待される。

同社は8月6日、ARDS患者への治験の結果を速報した。

投与後28 日間のうち人工呼吸器を装着しなかった日数は、標準治療群は11日に対し、HLCM051 投与群 は20日
投与後90日の死亡率は、
標準治療群は42.9%に対し、HLCM051 投与群 は26.3%
安全性に問題は認められず。

引き続き本治験のデータの解析を続けるとともに、規制当局との相談を続けながら、製造販売承認申請に向けた準備を進める。


2021年8月、ヘリオスはAthersys, Inc. との契約を変更し、商用化に向け新たなライセンスを取得するとともに、今後Athersysへのさらなる戦略的投資を可能にする新株予約権引き受ける契約を締結した。

日本国内における脳梗塞急性期およびARDS を対象とした治療薬の製造ライセンスを取得

日本国内向け治療薬の商用製造に関わる試験費用および製造キャパシティの拡張等に際し、その費用の一部を負担
(将来の支払い
マイルストン金から減額)

脳梗塞急性期および ARDS 以外の新たな適応疾患(最大2疾患)を対象とした治療薬の開発・製造・販売に関するライセンスを取得するオプション権取得

Athersysの普通株式を最大10 百万株新たに購入する権利を取得

2018年3月提携関係の強化のため、同社株式 1,200 万株(21百万ドル)を取得、8.7%の筆頭株主
2020年3月に400万株(7百万ドル)を追加取得、これで9.4%の出資となる。

三井化学韓国の SKC Co., Ltd.は9月30日ポリウレタン原料事業統合したJVのMitsui Chemicals & SKC Polyurethanes Inc.合弁契約解消する と発表した。

両社は2015 7 両社のポリウレタン原料事業を統合し、成長市場需要獲得新規事業のグローバルな展開収益性向上目指してシナジーの最大化りながら共同運営を 行なってきた。

しかし、両社の考え方の違い(三井化学高機能品バイオ製品により着実収益向上させていく方針SKCはグローバル進出などの成長重視する方針 )徐々齟齬すようになり、 合弁解消を決めた。

後記の通り、JV設立に当たり、三井化学の事業は海外事業を含め合弁会社Mitsui Chemicals & SKC Polyurethanesの100%子会社としていた。
このため、解消に当たり、100%子会社を三井化学が引取り、これを除いた合弁会社をSKCのものする。

ーーー

三井化学は2001年4月に自社の事業と武田薬品の事業を統合し、三井武田ケミカルとした後、2006年4月に三井化学ポリウレタンと改称、2009年4月1日に吸収合併した。

2013年時点でのポリウレタンの状況は次の通り。(単位:t /年)

TDIMDIPPG
大牟田工場旧 三井化学 120,000 60,000 -
鹿島工場旧 武田薬品 117,000 - -

錦湖三井化学(韓国)

錦湖石油化学 - 200,000 -
名古屋工場旧 三井化学 - - 57,000
徳山分工場旧 武田薬品 - - 50,000


千葉ポリオール(日本
曹達10%)のPPG 28千トンを2012/6に停止している。

三井化学は2014年2月6日、ポリウレタン材料事業とフェノール事業、高純度テレフタル酸(PTA)の再構築を発表した。

TDI 及びMDI事業は、中国を中心とするアジアでの大規模な新増設による市況悪化のため収益が低迷している。

同社のウレタン部門の営業損益は2012年度が -26億円であったが、2013年度は -52億円と悪化している。

今回、汎用ウレタン原料は、国際競争力が劣位の鹿島TDI、大牟田MDIを2016年12月末に停止し、国際競争力を十分有する他のプラントで、最適生産体制による同事業での勝ち残りを図る。

三井化学は2014年12月22日、韓国SKCとの間で両社のポリウレタン材料事業を統合する合弁契約を締結したと発表した。

ポリウレタン材料の総合メーカーとして、極東アジアから中国、ASEAN、欧州、米州まで、両社のネットワークを利用してグローバルに顧客に価値を提供する。
SKCは蔚山でポリオール原料のPOを生産しており、コスト競争力がある原料調達が可能になる。

三井化学は2015年3月23日、ポリウレタン材料事業の統合について、合弁会社の骨子を発表した。

合弁会社(韓国法人)    Mitsui Chemicals & SKC Polyurethanes Inc.
その100%子会社(日本法人) 
三井化学 SKC ポリウレタン
               三井化学の事業を海外事業を含め、100%子会社とした。

事業範囲  SKC側の事業はポリオール→システム製品のみで、三井側は全てを扱っている。

SKCは蔚山にPO/SM併産設備(180/400千トン)とEvonik/Uhde法の100千トンのHPPO processの2系列のPOプラントを持つ。


工場と製品     色塗り部分が三井化学に戻る。    数字は能力(千トン)

TDI MDI Polyol System
三井化学 大牟田 120
(受託)
 合

 弁

 会

 社
三井化学
SKC

ポリウレタン
日本 徳山 40 旧 三井化学
名古屋 50
インド Vithai Castor Polyols 8 旧三井化学
子会社
Jayant Agro-Organics 50% 
伊藤製油 10%  
韓国 錦湖三井化学 麗水 610 Kumho Petrochemical 50%
中国 天津天寰ポリウレタン 天津 蝶理 14.9%
蘇州
佛山三井化学SKCポリウレタン 佛山 100%
タイ Thai Mitsui Specialty Chemical Siam Resin and Chemicals 48%
インドネシア MCNSポリウレタンインドネシア 三井物産ケミカル 14%、Pintu Mas 5%
マレーシア MCNSポリウレタンマレーシア Scientex 30%
本社直属 韓国 蔚山 180

旧 SKC

中国 Beijing Mitsui Chemicals &
SKC Polyurethanes

旧 SKC 100%子会社

米国 MCNS Polyurethanes USA
ポーランド MCNS Polyurethanes Europe
メキシコ MCNS Polyurethanes Mexico

JV 設立後に設立、稼働

インド MCNS Polyurethanes India
ロシア (計画) (〇) 現在、計画中

ーーー

三井化学は、当該ポリウレタン原料事業構造改革加速さらなる企業価値向上めるとしている。
なお三井化学SKC 両社本提携解消後までの良好関係性まえ必要範囲協力関係けていくともしている。


合弁解消の理由として、三井化学(
高機能品バイオ製品により着実収益向上させていく方針)とSKC(グローバル進出などの成長重視する方針 )徐々齟齬すようになったとしている。

汎用ウレタン事業については、三井化学は、国際競争力が劣位の鹿島TDI、大牟田MDIを2016年12月末に停止し、国際競争力を十分有する他のプラントで、最適生産体制による同事業での勝ち残りを図ることを決めている。これについてはSKCは事業をやっておらず、新規に工場を建設するという動きは全くない。両社とも現状維持と見られる。

残るのはシステム製品である。

これについては、SKCは蔚山に原料POの2工場とポリオール工場をもつ。既に中国、米国、ポーランドにシステム製品事業を単独で行なっていた。これを世界中に拡大しようというのは当然のことであろう。
JV設立後に、メキシコとインドで新工場を稼働、ロシア(サンクトペテルブルクの特別経済区)での投資を決めている。

JV設立時に 三井化学は、ポリウレタン材料の総合メーカーとして、極東アジアから中国、ASEAN、欧州、米州まで、両社のネットワークを利用してグローバルに顧客に価値を提供するとしている。

何故SKCのグローバル進出などの成長重視する方針 が受け入れられないのだろうか。

これは口実で、何らかの利害対立があるのだろうか。

大日本住友製薬と米国子会社 のSunovion Pharmaceuticals、及び大塚製薬は9 月30 日、大日本住友製薬とSunovion が精神神経領域で開発中の4つの新薬候補化合物について、全世界を対象とした共同開発および販売に関するライセンス契約を締結した 。

大日本住友製薬は2009年9月に米国の医薬品会社 Sepracor Inc. を買収した。同社は中枢神経領域、呼吸器領域等に特化した特徴ある事業を展開する製薬会社で、米国市場においては複数の高く認知された製品を保有し、開業医から専門医までをカバーする強固な販売網を有している。

大日本住友製薬は当時、統合失調症治療剤「ルラシドン」のグローバル展開を図っていたが、買収によりルラシドンの速やかな市場浸透、早期の売上最大化を図ることと、米国での開発パイプラインの一層の強化を狙った。
2010年10月にFDAからルラシドン塩酸塩「Latuda」の販売許可を取得した。)

2010年10月に、Sepracor Inc.と大日本住友製薬アメリカを合併し、Sunovion Pharmaceuticals Inc.とした。社名は、太陽(Sun)の力強さと革新(Innovation)を組み合わせた。

2009/9  大日本住友製薬、米国医薬品会社Sepracor Inc.買収


共同開発する4剤は次の通り。

予定適応症 開発段階
SEP-363856(ulotaront) 統合失調症  米 Phase Ⅲ、日本・中国 Phase Ⅱ/Ⅲ
SEP-4199   双極I型障害うつ  米 Phase Ⅲ、日本 Phase Ⅲ準備中
SEP-378614 米 Phase Ⅰ
SEP-380135 米 Phase Ⅰ

提携の概要:

1.開発

 Sunovion は大塚製薬に4化合物の全世界での共同開発・販売権を許諾

 大日本住友製薬グループ(日、米、中国、シンガポール)は大塚製薬と共同で開発する。

2. 販売

 米国、カナダ、日本、アジア(中国、台湾、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア) では大日本住友製薬グループが売上計上
 国・地域ごとに大日本住友
製薬グループと大塚製薬が原則共同プロモーションを行う 。

 欧州を含む 41 の国・地域では大塚製薬が売上計上
 (その他の地域については今後検討)。
 

3. すべての臨床試験、各国・地域における承認申請や販売に関する費用および利益は、Sunovion と大塚製薬で折半

4. 対価

 大塚製薬はSunovionに対し 、
 契約一時金として 270 百万米ドル、

 4 化合物の開発マイルストンとして 620 百万米ドル(追加適応症の数によっては
上回る可能性あり)および
 販売マイルストンを支払う可能性

大日本住友製薬は2022年3月期に300億円を利益計上

大日本住友製薬は非定型抗精神病薬「Latuda」の米国での独占販売期間終了や将来の環境変化を見据えた取り組みとして、グローバル規模でのパートナリングによる持続的な成長を目指しており、今回の提携はその大きな一歩 としている。

大日本住友製薬が米国で年約1800億円を販売する主力薬「Latuda」の物質特許は2019年1月2日に失効した。しかし、用途特許や製剤特許はなお有効であり、2018年12月に後発薬各社との間で和解が成立し、後発薬の登場を2023年2月以降に4年遅らせることに成功した。

2019/1/25 大日本住友製薬、主力薬「ラツーダ」の特許で 後発薬各社と和解

大塚製薬は、2002年の米国での抗精神病薬の発売からはじまり、現在に至るまで長期にわたり、自社の強みとパートナーシップの機会を活かしながら精神神経領域で新しい治療を提供してきた。現在はアルツハイマー型認知症による行動障害の治療薬の開発や世界初のデジタルメディスンの展開など新たな分野での取り組みも進めてい る。

本契約により、長年にわたり培ってきた経験やネットワークを活かし、両者で患者にとってのさらなる価値を届けることができることと期待してい るとしている。

ーーー

大塚製薬は、中枢神経領域では、世界中で販売する抗精神病薬「ABILIFY」に続き、新たな治療の選択肢として、持続性注射剤(月1回製剤)「ABILIFY Maintena」を2013年に米国で発売、現在では50カ国以上で販売している。

新規抗精神病薬「REXULTI」は、統合失調症と大うつ病補助療法の適応症での承認を米国FDAより同時に取得し、2015年に米国で発売した。日本と欧州でも統合失調症の適応で2018年に承認を取得し、展開国を拡大している。

2015年に米国Avanir Pharmaceuticals を買収、同社は情動調節障害の治療薬「NUEDEXTA」を米国で販売するとともに、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病に伴う症状の治療薬などを開発している。


その他、がん領域では、造血幹細胞移植前治療薬「Busulfex」を自社およびパートナー会社を通じて世界50カ国以上で販売しており、全身放射線照射に取って代わる骨髄移植前の処置薬として標準薬剤治療法を確立している。
また、米国ARIAD Pharmaceuticals(2017年に武田薬品が買収)との間で難治性の慢性骨髄性白血病の治療薬の日本を含むアジア10カ国・地域の共同開発・商業化の契約を締結し、2016年から日本で販売を開始した。

循環器・腎領域では、バソプレシンV2-受容体拮抗剤「Samsca」は、経口水利尿薬としての新しい価値や使用方法が医療現場で浸透、また、腎臓の難病である常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)の世界で初めての治療薬として2014年に日本で承認を取得し、世界約30カ国・地域で「JINARC / JYNARQUE」の製品名で販売している。

眼科領域では、ドライアイ治療剤「ムコスタ点眼液」、緑内障治療剤「ミケランLA点眼液」「ミケルナ配合点眼液」を販売している。

三菱ケミカルは9月30日結晶質アルミナ繊維事業をApollo Global Management Inc.関連会社が投資助言するファンド保有する特別目的会社に譲渡すると発表した。

アルミニウム源とケイ素源を原料に、独自の製法により作られる結晶質アルミナ繊維は耐熱性に優れ、1,600℃という超高温下でも安定した機能性を発揮する上、1,300℃でも実用的な弾力性(クッション性)を維持する。

主に製鉄所などの炉内断熱材や、自動車の排ガスを浄化する触媒コンバータにおいて走行中の振動や衝撃からセラミック触媒担体を守るサポート材として、長年に亘り世界中で実績を有しており、その他さまざまな分野でも応用可能である。

近年の各国での自動車排ガス規制の強化や新興国を中心とする世界的な自動車需要の伸長を受け、需要は堅調に推移しており、今後も一定の成長が期待される。

しかし、グローバルに電気自動車への移行が進むため、本事業の持続的な成長を期する上では、新用途開発や成長分野への投資が不可欠な状況となっている。

三菱ケミカルでは、
同社グループが保有する製品群や技術では十分なシナジーをもって本事業の変革・成長を図ることは難しいとの判断に至り、売却を決めた。

株式譲渡によって約540 億円の利益を見込んでおり、「財務体質の改善」「成長事業への投資」及び「株主への還元」のバランスを図りつつ、企業価値の向上をめざして活用する。

Apollo側では、化学業界と自動車業界の両方におけるグローバルな専門知識を活用して、価値提案と製品提供をさらに強化できるよう支援するとしている。

同ファンドは本年6月に昭和電工からアルミ缶およびアルミ圧延事業を買収しているが、これは日本でそれに次ぐ2件目である。

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三菱ケミカルホールディングスはこれまで、統合、買収を相次いで行い、事業が膨れ上がっている。

三菱ケミカルホールディングスでは4月1日付で社長が交代し、新社長にベルギー出身の Jean-Marc Gilsonが就任した。

1963年生まれで、1989年に米Dow Corning入社(日本に5年駐在)。2014年からに食品や医療関連素材を扱うフランスの RoquetteのCEO。

同氏はインタビューで次のように述べている。

「脱炭素」などの基準で事業の選別を始める。化学業界の事業環境が大きく変わる中で、収益構造の転換を進める。

化学産業は高付加価値化が課題だが、Well-being(健康、栄養など)、Connectivity(通信、デジタルなど)、Sustainabilityをキーワードに顧客に最高の価値を提供できる企業を目指したい。

基準とするのが、①強みがあるか②業界が伸びているか③カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)につながるか――の3点。「全てにチェックマークをつけられなければ、将来は投資引き揚げの対象とする」。

主力の石油化学事業も「ポートフォリオ改革のレビュー対象の一つ」。

事業構造の見直しなどで「時価総額を数年以内に世界の競合並みにする」。

短期的には電気自動車(EV)やリチウムイオン電池、半導体製造工程向けの素材などの高付加価値品で構成する機能商品と、ヘルスケアに重点を置く。

今回の結晶質アルミナ繊維事業の売却は、新社長の方針による第1号と思われる。
現時点では売れているが、ガソリン自動車が電気自動車に替わっていき、長期的にじり貧になるのを見越してであろう。


石油化学やコークス事業など、同氏の上の3つの基準(すべてを満たす必要あり)から見た場合、選別の対象となる事業は数多い。

欧米では多くの企業が脱石油化学などで抜本的な改革を行い、成功している。
しかし、日本では、需要家とのつながり、従業員対策その他、問題が多過ぎ、これまでに例は少ない。
(放出する事業にとって代わる事業を見付けられない、見つけてもやっていく自信がないことも。)

Gilson社長の指導力でどのように理念を実行していくか、注目である。

田辺三菱製薬は9月30日、連結子会社のカナダのMedicagoが開発しているCOVID-19の植物由来のウイルス様粒子ワクチン(開発番号:MT-2766)について、10月2日より日本において第1/2相臨床試験を開始すると発表した。2022年3月までに日本での承認申請をめざす。

Medicagoは植物由来のウイルス様粒子(VLP:Virus Like Particle)技術を用いた新規ワクチンの研究開発に特化したバイオ医薬品会社で、遺伝子操作によって植物の細胞内にVLPを生成させ、効率的に抽出・精製する独自技術を有している。

田辺三菱製薬は2013年7月12日、Philip Morrisと共同で、カナダのMedicago Inc.の全株式を取得することで同社取締役会と合意したと発表した。
両社は買収後のMedicagoを、田辺三菱60%、Philip Morris 40%のJVとして運営する。

報道では現在の出資比率は田辺三菱が67%、Philip Morrisが33%となっている。

2013/7/19 田辺三菱製薬、カナダ医薬品会社Medicagoを子会社化

Medicagoは下記の技術を持つ。

 Proficia™  植物の葉でのワクチン製造 
         
2016/2/26 田辺三菱製薬、タバコの葉からインフルエンザワクチン
 
 VLP    遺伝子情報を持たないウイルス様粒子(
体内でウイルスの増殖がなく安全性に優れる)

 VLPExpress™  新ワクチンを早く見つける手法

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ワクチンは毒性を弱めた微生物やウイルスを使用、弱い病原体を注入することで体内に抗体を作り、感染症にかかりにくくする。
但し、弱いとはいえ病原体を接種するため、まれに体調が崩れることがある。

ウイルスはcapsid というたんぱく質でできた殻の中に、遺伝子(DNAやRNAなどの核酸)を収めている。
ウイルス様粒子(VLP)は、capsidの殻を持つため、生体はこれを認識して免疫反応を起こし、通常のウイルスに対するのと同様に抗体をつくって攻撃を仕掛ける。

遺伝子情報を持たないため体内でウイルスの増殖がなく、安全性にも優れる有望なワクチン技術として注目されている。


一般にワクチンは受精卵などに接種し増殖させるが、Medicagoは生育の早いタバコ属の植物からワクチンをつくる技術の開発を進めている。
植物の細胞内に遺伝子操作によってVLPを生成させ(
Proficia technology) 、効率的に抽出・精製する独自技術で、VLPを安価に短期間で大量に製造することを可能としている。

植物からヒト用のワクチンをつくる初の事例になる。

生育が早い植物を使うため、5~8週間で効率的に生産でき 、「コストを抑えられる見込み」。新たな変異ウイルスへの対応を巡っても、最短6週間程度というファイザー製などに迫る。

2~8℃度で冷蔵保存できる ことも利点である。

田辺三菱製薬は2020年7月15日、カナダのMedicagoが、新型コロナウイルス感染症用のワクチンの第1相臨床試験を開始したと発表した。

第1相臨床試験では、①単剤、②GlaxoSmithKlineのアジュバントまたは③Dynavax社のアジュバントを添加したワクチンを、3用量(3.75、7.5、15 micrograms)のグループにわけて、21日間隔で2回接種し、安全性と免疫原性を評価したが、最終的にGlaxoSmithKlineのアジュバントを添加することとした。(既報のSanofiワクチンもGSKのアジュバントを使っている。)

2020/7/17 田辺三菱製薬、カナダ子会社の新型コロナウイルスワクチンの第1相臨床試験開始を発表 

カナダ、米国、英国、ブラジル、アルゼンチン、メキシコで約24,000人の治験参加者を対象にした第2/3相臨床試験の第3相パートの投与を終了し、現在結果を解析している。

海外で実施した試験および本試験のデータを用いて、早期の日本における承認取得をめざす。

新しい技術のため、有効性、安全性が明確に示せるかどうかが課題となる。

国内の承認申請時までに米国、英国、カナダドイツ、フランス」のいずれかで承認又は緊急使用許可(EUA)が取れていると「特例承認」が得られる。

Medicagoは2024年までにカナダと米国で合計年10億回分の生産能力を確保する。カナダ政府と最大7600万回分を供給する契約を結んでおり、2021年末までの実用化をめざす。

日本でも需要を見極めたうえで国内生産を検討する。

米議会上下院は9月30日、10月1日から始まる2022会計年度の一部資金を手当するつなぎ予算案を可決した。


米下院は9月21日、本年12月3日までのつなぎ予算と、連邦政府の債務上限の適用を2022年12月16日まで凍結する措置を一体化した民主党提出の法案を可決した。

しかし、上院共和党は9月27日、この法案を本会議で採決することを否決した。60票が必要だが、共和党、民主党から各1議員が棄権したほか、民主党の1議員が反対にまわった。

2021/9/23 米下院、つなぎ予算・債務上限凍結一体化法案を可決 

つなぎ予算については、9月30日までに通さないと政府機関閉鎖となる。

このため、つなぎ予算と連邦政府の債務上限凍結を切り離し、まず、つなぎ予算を通すこととした。

9月30日にまず、上院が可決した。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 15 48 2 65
反対 35 35
合計 50 48 2 100


その数時間後に下院が可決した。

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成 34 220 254
反対 175 175
棄権 3 3

合計

212 220 432 3


その後、バイデン大統領が署名して成立、これにより、連邦政府機関の一部閉鎖がギリギリで回避された。

ーーー

別途、下院は9月29日遅くに債務上限適用を2022年12月まで凍結する法案を可決した。民主党の2人が反対に廻った。

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成 1 218 219
反対 210 2 212
棄権 1 1

合計

212 220 432 3


上院民主党トップのシューマー院内総務は「早ければ来週にも」採決する可能性があるとしたが、共和党が再び阻止すると予想されている。

イエレン米財務長官は9月28日、連邦政府の資金が10月18日にも枯渇し、米国がデフォルト(債務不履行)に陥る恐れがあると議会に警告した。

付記 

上院は10月7日、債務上限を4,800億ドル引き上げる法案を可決、下院は10月12日に可決した。バイデン大統領は10月14日にこれに署名、成立した。

2021/10/12 米上院、債務上限の一時引き上げ可決 

ーーー

なお、インフラ投資法案の下院での議決が難航している。

米上院は8月10日、インフラ包括法案を賛成69、反対30で可決した。

さらに、3兆5000億ドル規模の予算決議を50対49の賛成多数で可決した。(下院での可決後に、これに基づく具体的な予算案を通す必要がある。)

両案は下院に廻ったが、政権と民主党のペロシ下院議長は3兆5000億ドル規模の予算決議を先に通すことを決めた。
インフラ法案は反対が少ないが、3兆5000億ドルの方は民主党内にも反対があるため、まず、予算決議を通してから、インフラ法案を通すという戦術である。

しかし、民主党内で進歩派10人がインフラ包括法案を先に通すことを強く求めた。この全員が反対すると下院で法案が通らないため、ペロシ議長が、超党派のインフラ投資法案を9月27日までに採決すると約束し、ようやく8月27日に予算決議を可決した。

2021/8/26 米下院、3.5兆ドルの予算決議案を可決

ペロシ議長はその後、インフラ投資法案の採決日を9月30日に修正した。

しかし、議会民主党は9月30日、同日中をめざしていたインフラ投資法案の採決を見送った。

民主党内の急進左派が子育て支援などの「3.5兆ドル法案」(今回は予算決議は通っている。これに基づく具体的な予算案のこと)を可決するまでインフラ法案に賛成しないと主張し、財政膨張を懸念する中道派議員は3.5兆ドル法案の規模圧縮を要求し、与党内の調整がつかなかった。
(ペロシ議長は、予算決議をとおすために、9月27日までにインフラ投資法案を採決すると約束しており、議長にとっては約束違反である。)

フランスのSanofiは9月28日、開発中の mRNAベースのCOVID-19ワクチン候補のPhase 1/2 治験の結果は成功で、買収したTranslate Bio社のmRNA とこれを包み込む脂質ナノ粒子 (LNP) の可能性を確認するものであり、SanofiのmRNA 戦略をサポートするものであると発表した。

しかし、Sanofiは同日、このワクチンについてPhase Ⅲ 治験に進まないことを決めたと発表した。mRNAベースの ワクチンの供給が十分であることを勘案し、従来から進めてきた遺伝子組換えワクチンの開発の最終段階に注力するとしている。

経緯は次の通り。

Sanofiと英国のGlaxoSmithKline(GSK)は2020年4月14日、両社の技術を活かし、COVID-19に対するアジュバント添加ワクチンを開発すると発表した。

Sanofiでワクチンを担当するSanofi Pasteurは、遺伝子組換えDNA技術をベースとするS-タンパク質COVID-19抗原を提供する。
遺伝子組換えDNA技術により、ウイルスの表面に検出されたタンパク質と正確に一致する遺伝子配列を作成することができる。抗原をコード化するDNA配列を、Sanofiが米国で開発に成功し承認された遺伝子組換えインフルエンザワクチンの基盤となったバキュロウイルス発現プラットフォームに組み込む。

GSKは、実証済みのパンデミックアジュバント技術を提供する。

Sanofiの遺伝子組換え技術をベースとするCOVID-19ワクチン候補の開発は、米国保健福祉省(HSS)の一部門である米国生物医学先端研究開発局(BARDA)との協力の下で、同局の資金提供を受けて実施された。

SanofiとGSKのワクチンは、米政府の爆速ワクチン計画(Operation Warp Speed)の対象に選ばれている。2020年7月31日に米政府が21億ドルを支払い、5000万人分を確保した。


しかし、SanofiとGSKは2020年12月11日、試験計画を遅らせると発表した。

第1/2相臨床試験で、18~49歳の被検者においてはCOVID-19から回復した人に匹敵する免疫応答が示されたが、高齢者において十分な免疫応答が得られなかったことから、すべての年齢層において十分な免疫応答を得るために抗原の濃度を改善する必要性が示された。

2021年2月に改善された抗原を用いて第2b相臨床試験を実施する。開発計画が成功すれば、2021年第4四半期に実用化の見込みとしている。

2021/1/8 新型コロナワクチンの委託生産 広がる

COVID-19が蔓延する中、英国ではAstraZeneca、ドイツではPfizerと組むBioNTech がワクチンの供給を始めたが、フランスでは同国の代表的な医薬品企業であるSanofiがワクチンを供給できないこととなり、国内で同社に対する批判が生じた。

このため、Sanofiはまず、Pfizer/BioNTech のワクチンを2021年夏からSanofiの独フランクフルトの工場で生産することを決めた。
Johnson & Johnson のワクチンもフランス工場で充填・包装を受託、Modernaワクチンも
米ニュージャージー州の工場で充填など製剤化を行う契約を結んだ。

別途、Sanofiは米国でmRNAワクチンの開発を行うTranslate Bio社と提携していたが、この関係を深めることとした。

Translate Bio社は、独自のmRNA技術基盤「MRT」を利用した感染症のmRNAワクチン、嚢胞性線維症など肺疾患のmRNA医薬の開発を手掛け、脂質ナノ粒子(LNP)を用いた送達システムの開発も充実化させている。

Sanofiワクチン部門のSanofi PasteurとTranslate Bioは2018年に、Translate BioのmRNAワクチン創製技術を活用する最大5品目、3年間の開発協力で最初の契約を締結した。
2020年3月、期間を4年以上に延長して新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンの開発で連携すると発表した。
2020年6月23日、感染症に対するmRNAベースのワクチンの共同開発とライセンスに関する現行の契約を拡大すると発表した。

2021312日 、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2 に対する新規mRNA ワクチン候補MRT5500 の第I/II 相臨床試験の開始を発表した。

2021年8月3日、SanofiはTranslate Bio を32億ドルで買収する契約を締結、9月14日に買収が完了し、100%子会社とした。

ーーー

今回、Translate Bioの新規mRNA ワクチン候補の第I/II 相臨床試験結果は良好であったが、Phase Ⅲ 治験に進まないこととした。

これからPhase Ⅲ 治験を始めても、承認を得た時点では既にPfizer/BioNTechとModernaのmRNA ワクチンが十分に供給され、あまり相違点のない3番手では販売面で劣るとみたと思われる。

今後、mRNA型ワクチンを季節性インフルエンザなどの疾病向けに開発する。既に2021年6月に季節性インフルエンザ向けmRNA型ワクチン候補のヒトを対象とした臨床試験を開始している。一価インフルエンザワクチン候補のLNPが異なる2つの候補で、安全性と免疫原性を評価する。

COVID-19に対しては、GSKと提携して開発している組換えタンパク質ワクチンの開発を進める。進行中のPhaseⅢの有効性、安全性の研究と並行し、ワクチン接種を終えた人の免疫力を高める「ブースター接種」の研究も含めた。本年夏に米、豪、仏、英でブースターの研究を開始した。

Ford Motorは9月27日、114億ドルを投資し、米国に電動ピックアップトラック F-150 Lightning Electric Truckの組立工場と、3つの電池工場を新設すると発表した。

2025年に操業を開始する予定。

3つの電池工場については設立を交渉中のFord とSK InnovationのJVのBlueOvalSKが建設、運営する。今後詳細を詰め、所定の手続きを経て設立する。

バッテリー工場に両社がそれぞれ44億5000万ドルずつを投資し、組立工場にはFord単独で25億ドルを投資する。

テネシー州Stanton にBlue Oval Cityを建設する。電動ピックアップトラック「F-150 Lightning Electric Truck」の組立工場と、新JVのBlueOvalSKのリチウムイオン電池工場及び主要サプライヤーの拠点とリサイクル施設が建設される。投資額は56億ドル。

ケンタッキー州Glendale には58億ドルを投じてBlueOvalSK Battery Parkを建設する。新JVのBlueOvalSKが2つの電池工場をつくる。

電池工場の年間能力はテネシー工場が43GWh、ケンタッキー工場が86GWhで、合計129GWhとなる。フル稼働時にEV約220万台のバッテリーを供給できる。

SK Innovationとしての米国での年産能力は、同社が単独で建設中の21.5GWh(2022年量産開始)と合わせ150.5GWhとなる。

これに対し、LG Energy Solutionは単独でミシガン州Hollandに5GWhを持ち、GMとのJVでオハイオ、テネシーに各35ギガワット時(合計70ギガワット時)を建設中である。
同社は更に、
2025年までの5年間で米国に45億ドル以上を投資、少なくとも2工場を建設、能力を70GWh増やすと発表した。全て完成すると145GWhとなる。

2021/3/18 LG Chem、米国で車載電池増産


Fordは9月22日、バッテリー原料リサイクル企業のRedwood Materialsと提携し、 バッテリーリサイクル工場を建て、電気自動車のバッテリーサプライチェーンをつくると発表した。

Redwood Materialsは、Teslaの元CTOのJB Straubelが創業したリサイクルスタートアップ企業で、バッテリーセルの製造過程で発生する廃棄物や、携帯電話のバッテリー、ノートパソコン、電動工具、モバイルバッテリー、スクーター、電動自転車などの家電製品をリサイクルしている。Panasonicや、Envision AESCの米国のバッテリー工場も利用しているという。創業者のJB Straubelは、廃棄されたバッテリーや使用済みのリチウムイオンセルから、再利用可能な貴重鉱物資源を回収することで、同社を「Virtual Mining」(ビットコインのマイニングでなく、仮想鉱山業)の大手にすることを目指している。

今回、FordはRedwoodに5000万ドルを出資する。

FordはBlue Oval Cityに今後大量に投入される電気自動車のためのクローズドループ・システムを構築する。まず、 電池リサイクルでニッケルやコバルト、リチウム、銅などの材料を平均で95%以上回収、回収した材料は、負極の銅箔や正極活物質として再び電池に使用する。これにより、海外で採掘されているリチウムやコバルト、ニッケルなどの原材料を米国内で調達できるようにする。

同社は「当然ながら、バッテリーを製造する際に現在使用している多くの原料の輸入依存度を下げることにもつながる。それによって原材料の採掘も減らすことができる。これは今後、この分野の規模を拡大していく上で、非常に重要なこと」としている。

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