2016年9月アーカイブ

LANXESS(2004年7月にBayerから分離独立)は9月26日、成長への次の手段として、高品質の難燃剤と潤滑油添加剤のメーカーの米国の特殊化学品会社 Chemtura Corporation を約24億ユーロで買収すると発表した。

Chemtura はPhiladelphia に本拠を置き、11カ国20箇所で活動している。売上高は約15億ユーロで、うち45%は北米。

高品質の難燃剤と潤滑油添加剤はChemturaの柱で、LANXESSは買収により、自社のRhein Chemieの添加剤事業と合わせ、新しいPerformance Additivesセグメントをつくる。

LANXESSでは、添加剤はスペシャリティケミカルの中でも非常に魅力的な分野であるとしており、両社の事業の統合で、産業分野での潤滑油の主供給者となり、競争力を強化できるとしている。

Chemturaの他の事業、ウレタンと有機金属はLANXESS にとって新事業で、ウレタンは LANXESSの High Performance Materials セグメントに、有機金属はAdvanced Industrial Intermediates 部門の一部となる。

シナジー効果は2020年で年 1億ユーロを見込む。

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Chemtura は2005年にCrompton とGreat Lakes Chemical が合併して設立された会社で、樹脂添加剤では世界最大のメーカー。ほかに農薬、石油添加剤、ウレタンポリマー等を生産している。農薬は旧Uniroyal の事業。

Crompton 1999年に Crompton & Knowles Uniroyalの事業を買収)と塩ビ添加剤メーカーのWitco が合併して出来た会社。

Great Lakes Chemical は水処理剤、家庭用クリーナー、難燃剤、安定剤等のメーカー。

Chemturaは2006年10月末に、コア事業への集中のため、
・ルイジアナ州に工場を持つ
EPDMとゴム薬
中国のChemtura-CNCCC Danyang Chemical の持分を含む及び、
・全世界の
オゾン劣化防止剤事業を、
化学分野を対象とする投資会社のLion Chemical Capitalに売却した。

2006/11/14 合成ゴム会社 Lion Copolymer, LLC

Chemtura は2009年3月18日、米国の事業に関して Chapter 11 の申請を行ったと発表した。

同社は2010年11月20日、財務リストラが完了し、Chapter 11から離脱したと発表した。

2009/3/21 Chemtura、民事再生法申請



米国上院司法委員会が9月20日、農薬・種子業界の合併についてのヒアリング("Consolidation and Competition in the U.S. Seed and Agrochemical Industry")を行い、最近、合併・買収を決めたBayer と Monsanto、DuPont と Dow Chemical 、及び Syngenta のトップが出席し、証言した。


Syngenta を買収したChina National Chemical Corp.は出席を求められたが拒否した。

2016/8/15 EU、Dow とDuPont の合併で調査開始

2016/2/5 中国化工集団(ChemChina)、スイス農薬のSyngentaを買収 

2016/9/19 Bayer、Monsantoを買収

米国でも上院の委員会が合併についてヒアリングをするのは異例で、通常は大きな合併の件でも小委員会が扱う。なお委員会は合併を承認するかどうかを決める権限は持たない。

開催を決めたアイオワ(農業州)選出の上院議員で委員長のChuck Grassley は開会に当たり、次のとおり述べた。

バイオ種子産業には大企業が6社ある。Monsanto, DuPont, Syngenta, Bayer, Dow and BASFで、これらが互いに争いつつ、クロスライセンスで協働している。

Big Six のうち、5社が買収や合併を進めており、さらに集約される。

最近は、カナダの肥料会社 Potash Corp. とAgrium が合併を発表した。

2016/9/16 カナダ肥料大手2社が統合 世界最大に

農産物の価格が下がり、農民は苦しんでいる。そのなかでの合併の波はツナミとなった。

大企業が同時に統合するのが競争に悪影響を与えるのを懸念する。農民の選択の余地が減り、価格が上がり、結果として消費者の選択とコストに影響を与えるのを懸念する。農業セクターの技術進展を導く研究開発が減るのを懸念する。

ChemChinaによるSyngentaの買収は別の懸念を生む。ChamChinaは中国の国有企業であり、中国政府がいろんな点で関与する懸念がある。

司法省とFTCは農務省の意見も入れて協力して対応して欲しい。(司法省がDow - DuPont 合併を担当、FTCがChemChina - Syngenta を担当)

各社の証言は次のとおり。

DuPont (Executive Vice President)

・合併は補完的である。
・合併は成長を産む。
・農民に比類のないイノベーションを与えることが選択ではなく必須である。
・米国の農民に高い生産性と収益性をもたらす強力なグローバルメーカーを創るのが必要

合併は、優れた製品をその価値に合った価格で供給することで農家に影響を与える変化に対応し、最終的に農家の生産性と収益性を高める。

Dow (President and CEO of Dow AgroSciences)

我々の合併は競争を減らすのではなく、競争を増やすものだ。

・Dow とDuPont の製品は補完的で、これまで余り競合していない。
・合併で規模と効率が上がり、コストが低減、利益がイノベーションと農民にとってより価値ある製品をつくるのに使われる。
・合併はR&D能力を高め、更なるイノベーションを産む。

合併は米国の農民、国にとって、真の win-win の解決策である。

Syngenta (CEO)

誰が所有者かに関係なく、農家は需要家であり友人である。ChemChina とSyngenta はグローバルな食糧安定保障に寄与する。

ChemChinaによるSyngenta の買収は競争上の問題を生まない。地域的な競合はない。

ChemChinaの投資でSyngenta のR&Dの強化ができる。ChemChina は上場企業でないため、長期的な投資が可能となる。

株主が替わるだけで、Syngenta はSyngenta であり続け、今までと同じ戦略、マネジメント、従業員、文化のSyngentaである。

合併は既に先月に、外国企業による米国事業の買収の審査をする対米外国投資委員会(CFIUS)による審査を通っており、国家安全保障問題はクリアした。

合併は、米国の農民にとって、需要家にとって、従業員にとって、業界にとって良いものである。

Bayer (President & CEO, Bayer CropScience)

Bayer と Monsanto の組み合わせは完璧なもの
・Bayer は農薬のリーダーで、70%は北米以外
・Monsanto は種子のリーダーで、70%は北米。

Bayer はデジタル農業を進めているが、農家の将来のニーズに対応する新しいカスタマイズされたツールを共同で開発したい。

委員長と同じアイオワ生まれであり、農民である私は将来に楽観的である。

* Degital Farming:
Bayerは
作物の生育状況の診断ソフトを提供する独企業を買収、農地ごとの最適な農薬選びや投与する量・時期、感染病対策などを伝えるサービスとして展開する。
また昨年にはカナダ企業から、衛星画像を使った地質情報システムを買収した。地質データとも結びつけ、農薬の効率的な使用や、土壌への影響を抑えた農法の提案につなげる。

Monsanto (Executive VP, Chief Technology Officer)

絶えざるイノベーションにより農家に真の価値をもたらして初めて、我々の事業は行える。

新しい技術に投資し、R&Dのペースを加速することで農家の役に立つし、それはまた競争を生む。


このほか、American Farm Bureau Federation、National Corn Growers Association、National Farmers Union の代表とAmerican Antitrust Instituteの会長の証言があった。


個別の証言は http://www.judiciary.senate.gov/meetings/consolidation-and-competition-in-the-us-seed-and-agrochemical-industry


豪州と英国に本社を持つ資源大手のBHP Billiton は9月21日、2016年度(2015/7~2016/6)のAnnual Reportの発表の席で、シンガポールの自社拠点との国際取引を巡り、オーストラリアの国税局から 1,016百万豪ドル(766 百万米ドル相当)の追徴課税の支払いを求められていることを明らかにした。

同社のCFOは「国税局の見解には同意しておらず、訴訟も視野に入れている」と述べた。

争点になっているのは、BHP Billitonが豪州で生産した鉄鉱石などをシンガポールにあるマーケティング拠点 BHP Billiton Marketing AG に販売する場合の移転価格。
豪州の法人税率は30%で、シンガポールは税率ゼロの適用を受けているため、移転価格を低くすれば、豪州の課税所得が減り、税金を減らすことが出来る。

同社の売上高の72%はアジア向けで、シンガポールの拠点を経て中国などに販売している。

同社は豪州国税局から、2014年4月に2003年~2008年分として362百万豪ドル(金利と罰金を含む)の通知を受け、更に2016年に入り2009年~2013年分として654百万豪ドルの追徴通知を受けた。合計で1,016百万豪ドルになる。

このうち、661百万豪ドルだけが本来の税金で、残りは金利と罰金である。

本来の税金661百万豪ドルは、BHPが同じ11年間に国に納めた税金とロイヤリティの2%以下に過ぎない。

BHP Billiton はこれを正式に拒否し、最終結論待ちの条件で276百万豪ドルだけを仮払いを行った。
同社のCFOは、「税金の議論は事実を基にやって欲しい。グローバル経済の現実、国家の利益を見て欲しい」と述べている。

同社は課税回避の考えは持たないとし、下記の説明を行っている。

豪州で生産した鉄鉱石などの生産で得られた利益は豪州の法人税率で納税しており、更に製品採掘のロイヤリティも支払っている。

加えて、シンガポール子会社がこれを販売した利益のうちの58%は、豪州の被支配外国会社合算課税制度 (Controlled Foreign Company Rule)に基づき、正規の税率 30% で課税されている。

BHP Billitonは、2001年にオーストラリアのBroken Hill Proprietary (BHP)とイギリスの会社で南アフリカで大規模に操業するBilliton の二元上場会社として設立された。出資比率は豪州のBHP が58%、英国のBillitonが42%で、このため、Controlled Foreign Company Ruleにより、被支配外国会社であるシンガポール子会社の利益の58%が豪州で課税される。


2016年度で世界全体で37億ドルの税金を払ったが、そのうち豪州では25億ドルを納税している。

総額は2015年の73億ドルから大きく減少しているが、これは鉄鉱石、銅、その他コモディティの販売価格の暴落の結果である。


シンガポール子会社のBHP Billiton Marketing AG
の扱う製品はコモディティの鉄鉱石であり、特別な機能は要しないため、その販売利益が同業のディーラーの口銭と比べて高すぎるかどうかであって、BHP Billiton がいかに豪州に貢献しているかどうかには関係ない。

同業のディーラーと比較すれば、豪州の国税局の主張が正しいかどうかはすぐ分かるはずである。





既報の通り、9月14日に出光の一部地域の販売店が創業家と出光興産経営陣へ再度話し合いを進めるよう促す具申書を送付した。

業界再編については「かねてより渇望するところ」とし、今回の合併案を「出光精神溢れる壮挙」としている。

2016/9/22 出光販売店の具申書


出光の系列給油所は全国に約3700カ所あり、約800の事業者が運営しているが、出光販売店でつくる全国組織「全国出光会」の理事会が9月26日に開催された。

16人の理事らから現状を憂慮する声が次々と上がり、合併を滞りなく進めるべきだとの意見でまとまった。
7月11日以降中断している経営陣と創業家の協議再開を求めることも決定した。

創業家に対して「全国出光会の思い」と題する書簡を送り、同会と対話の場を設けることも要請する。


しかし、販売店の動きを察知した創業家は9月23日付で合併反対の意思を示す出光昭介名誉会長名の書簡を全国の販売店各社に送付し、かたくなな姿勢を崩していない。

出光会会員の皆様へ」という書簡の概要は次の通り。

貴重なご意見をいただき、皆様に大変御心配をお掛けしていることを改めて深く認識させていただいた。

この度のことは、決して「出光家の乱」ではない。大株主としての創業家の責任として、合併は出光興産の今後の経営にとって決して正しい選択ではないと判断し、合併と、その前段階となる既に500~600億円の含み損を抱えている昭和シェルの株式の取得契約に反対している。

Shell からの購入株数 125,261千株、購入価格 @1,350 (2015/7/30の発表前は@1,100前後)
現在の株価 @900 程度  
含み損 約560億円

上場以来、一切口出しをせずにやってきた。

しかし、合併は、会社の在り方を根本的に、かつ、長期的に後戻りできない形で変える重大なこと。

株主としてしっかり意見を言うことが私の責任であると決意した。

昭和シェルは外国資本の会社で、外資流の合理主義に徹した会社で、組織率は低いが、先鋭な政治活動を行う労働組合がある。合併後は、出光家に次ぐ大株主はサウジアラムコ社になる。

両極端にある企業が対等合併して、一つの会社として合併の成果とされる500億円を達成するには、多大な困難と大変なエネルギーと時間を必要とする。

製油所や販売店の統廃合、人員削減など2つの異質な会社が一つの会社となることの具体的な難しさを考えるべきだ。

企業の数を減らして、競争をなくそうという再編成論は、消費者の利益も害し、結局は会社の競争力を弱める。それからでは後戻りできない。

石油危機の今こそ、合併に逃げ込むのではなく、創業時の理念にたち帰って、危機と正面から取り組み、販売シェアを回復し、事業内容を多角化するなど一丸となって頑張ることが大事である。

このように激しく変化する時代の中で、外国資本に支配されない唯一の民族系元売りグループとして誇り高く出光興産グループが頑張ってゆくことを株主として心から願っている。


出光創業家はホームページをつくり、情報を公開している。

「出光家からの情報を直接かつ速やかにご提供し、 出光家の考え、認識、代理人弁護士による法律上・制度上のご説明及び解釈などを、 正確にご認識、ご理解頂きたく、今般、本サイトを開設いたしました」としている。




米連邦準備制度理事会(FRB)のBen Bernanke 前議長は9月21日 ブログで "The latest from the Bank of Japan" を発表した。

https://www.brookings.edu/blog/ben-bernanke/2016/09/21/the-latest-from-the-bank-of-japan/

「黒田総裁は政府の支出を金融で賄ういわゆるヘリコプターマネーには反対を表明したが、国債の金利を無期限にゼロとすることはマネタリーファイナンス(=ヘリコプターマネー)の要素を持つ」と述べている。

ヘリコプターマネー」は、1969年に経済学者のMilton Friedmanが発表した概念で、需要喚起のために国民に対し直接紙幣のばら撒きを行う、という考えである。

2003年に"Ben" Bernankeが日本の需要低迷と物価下落への対策として提案した。

2001年3月からの日銀の量的金融緩和政策は中途半端であり、物価がデフレ前の水準に戻るまでお札を刷り続け、さらに日銀が国債を大量に買い上げ、減税財源を引き受けるべきだ。(「日本の金融政策に関する若干の考察」)

紙幣を刷って配る(政府が無利子の永久国債を発行して日銀が引き受ける)ため、実質的に国の債務を増やさずに需要を喚起できる。
但し、カネの価値を暴落させ、ハイパーインフレを招きかねないとされる。

2016/5/9 ヘリコプターマネー

ブログの要旨は次のとおり。

発表された日銀の政策には2つのポイントがある。

一つは、インフレレートが2%を超え、安定してそれ以上に留まるまでは、マネタリーベースの拡大を続けることをコミットしたこと。
2番目は、大きな変化として、10年物国債の利回りを0%にしたこと。

これは、日本のデフレを終わらせるという目標を再確認し、そのための新しいフレームワークを決めたもので、Good News である。
日銀は今後、場合によって、短期利率を下げることも、もっと長期の国債の利回り目標を下げることも出来る。

日銀がデフレとの戦いの放棄を考えているとの市場の推測を打ち消すのに役立ち、建設的である。

最も驚いたことで、興味があることは、10年債の利回りをターゲットにした決定である。

これは good idea だろうか?

一般的にはリスクがある。目標利回りで全ての国債を買い続ける必要がある。
しかし、日本の場合はやっていけるだろう。日銀がすでに大量の国債を買っており、他の国債保有者は理由があって保有している場合が多い。

日銀は日銀の金融緩和と政府の財政政策・構造改革のシナジー効果をうたっているが、黒田総裁はヘリコプターマネーへの反対を表明した。
しかし、国債の金利を無期限にゼロとすることはマネタリーファイナンス(=ヘリコプターマネー)の要素を持つ。

第二次大戦中と大戦直後にFRBは長期国債の利回りをターゲットとした。これは戦争の費用負担を下げるためであった。

日銀が更に長期の国債(日本には40年国債もある)の利回りをターゲットとするなら、ますますヘリコプターマネー的となる。

今のところは日銀は日銀の金融緩和と政府の財政政策・構造改革のシナジー効果で良しとし、明らかな財政・金融協力には反対している。

明らかな財政・金融協力(ヘリコプターマネー)が将来起こるかどうかは、日銀の今回の政策が成功し、決定的に日本のデフレを終息させることができるかどうかによるのだろう。

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日本銀行は9月21日、3年半にわたる異次元緩和の「総括的な検証」の結果を発表した。

 詳細は、日銀発表の 総裁記者会見要旨

               目で見る金融緩和の「総括的な検証」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」

これまでの総括

当初うまく機能し、実施1年後には消費者物価は1.5%(消費税の影響を除くベース)まで上昇した。

ところが、その後、逆風が吹いて実際の物価上昇率が低下し、その結果、予想物価上昇率の上昇も止まり、2%を実現できていない。

  ①2014年夏以降の原油価格の下落と消費税率の引き上げ後の需要の弱さ
  ②2015年夏以降の新興国経済の減速とそれを受けた世界的な金融市場の不安定化

今後の政策 「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和」

2%の物価安定の実現のためには、弱含んでしまった「予想物価上昇率」を引き上げる必要がある。
このため、2%の目標に向かう「フォワードルッキングな期待形成」のための方策をとる。

新しい政策枠組みの第一:金融市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」

「量的・質的金融緩和」は、経済・物価の好転をもたらした。その主たるメカニズムは、実質金利低下の効果。

これを長短金利の操作によって追求する「イールドカーブ・コントロール」を、新たな政策枠組みの中心に据える。

短期金利、および10年物国債金利の操作目標の2つの金利水準を提示する。

今回は、
短期金利:当座預金の政策金利残高に従来通りマイナス0.1%

長期金利:10年物国債金利がおおむね現状程度(0%程度)       

日銀の国債買入れは、買入れ額の「めど」を示したうえで、長期金利の操作方針を実現するように運営する。

現在の「年間80兆円増」は当面の「めど」とする。減少もありうる。

買入対象については、引き続き幅広い銘柄とし、現在の「7年~10年程度 」の平均残存期間の定めは廃止

イールドカーブ・コントロールの手段:

「政策金利残高に対するマイナス金利の適用」と「長期国債の買入れ」

日銀が指定する利回りによる長期国債買い入れ(指し値オペ

固定金利の資金供給オペを行うことができる期間を従来の1年から10年に延長

金利が上昇した場合などには、10年金利、20年金利などを対象とした指値オペを直ちに実施

新しい政策枠組みの第2: 「オーバーシュート型コミットメント」

生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。

インドネシアの石油・ガス開発生産会社のPT Medco Energi Internasional Tbkは9月19日、ConocoPhillipsからインドネシア法人のConocoPhillips Indonesiaを買収する契約を締結した。

ConocoPhillips Indonesiaは南シナ海の石油・ガス田の南ナトゥナ海B鉱区(South Natuna Sea Block B PSC) のオペレータで、権益の40%を保有しており、また石油・ガス田とシンガポールをつなぐパイプライン West Natuna Transpotation System を運営している。


South Natuna Sea Block Bの概要は下記の通り。

権益
ConocoPhillips Indonesia 40%  Operator
国際石油開発帝石(INPEX) 35.0%  1977年に17.5%、1994年に追加取得
Chevron 25.0%
生産量 原油:日量22千bbl
天然ガス:日量253百万cf (販売量) 
LPG:日量9千bbl
油田・ガス田 ベラナック油ガス田では、世界有数規模のFPSOにより2004年12月から原油・コンデンセート、2007年4月からLPGを生産
2006年以降ヒウガス田、クリシ油ガス田、ノースブルットガス田、バワルガス田から生産を開始
2014年4月に同鉱区のサウスブルットガス田で生産を開始
出荷 2001年からシンガポール向けに供給 (West Natuna Transpotation System)
2002年には新たにマレーシア向けのガス販売を開始

West Natuna Transportation SystemSouth Natuna Seaのガス田とシンガポールを結ぶ640kmの海底パイプラインで、年間34億m3 を輸送する。

ConocoPhillips Indonesia がオペレータで、他の権益所有者は Premier Oil とGulf Indonesia Resourcesである。

South Natuna Sea Block B がシンガポールに天然ガスを販売する長期契約を結んでいる。

Medco Energi は今回のConocoPhillips Indonesiaの買収により、South Natuna Sea Block B とWest Natuna Transportation Systemの権益を取得し、それぞれのオペレータとなる。

今回の買収は、インドネシアでの資源ナショナリズムの高まりと、南シナ海の領海の防衛を強化しようとする政府の動きのなかで行われた。
問題の
South Natuna Sea Block B の周辺は石油・ガス資源が豊富で、中国による進出の脅威に晒されている。


なお隣接の South Natuna Sea Block A ( Block Bの北側で、3地区に分かれる)はインドネシアのPremier Oil が中心に開発している。
Premier Oil は1996年にChevronからBlock A PSCの66.7%権益を取得した。

Block A PSC Premier Oil(Operator) 66.7%
Kuwait Foreign Petroleum Exploration 33.3%
Kakap PSC Premier Oil 18.75%
Gulf Indonesia Resources (Operator) 31.25%
Novus 25.00%
Pertamina 10.00%
Singapore Petroleum 15.00%
Tuna Block Premier Oil (Operator) 65%
三井石油開発(MOECO) 20%
GS Energy 15%

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Medco Energi は1980 年に設立され、1994 年には、石油・ガスの探鉱・開発事業を展開するインドネシア企業として初めて、ジャカルタ証券取引所に上場した。

アジアの民間エネルギー会社としては最大手で、インドネシア国内外に様々な石油・ガスの探鉱・開発権益を保有し、年間約2000 万バレルの石油と590億立方フィートのガスを生産 する。

インドネシアでの事業展開は西端のアチェ州から東端のパプア州に及び、国外では現在、米国、北アフリカ、中東、東南アジアで事業を展開し、さらに拡大を続けている。

2007年8月に三菱商事が3億5200万米ドルを投じて、Medco Energi の50.7% を持つ Encore Energy(シンガポール法人)の39.4%の株式を取得し 、間接的に Medco Energi に19.97%の出資をしている。
Medco Energi への資本参加及び戦略的提携関係の構築を通じて、探鉱・開発事業のポートフォリオ拡大を図るとした。

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資源ナショナリズムの一環として、Medco Energi は2016年6月に、インドネシア・スンバワ島にバツ・ヒジャウ銅金鉱山を含む鉱区を保有するPT Newmont Nusa Tenggaraを買収した。

同社の発表文のタイトルは、Medco Energi Leads "Indonesia, Inc." to Bring Back Indonesia's Strategic Assets from Newmont (インドネシアの戦略資産を取り戻すべく、㈱インドネシアを主導)としている。

Batu Hijau鉱山は南部の小スンダ列島(Nusa Tenggara)のスンバワ島(Sumbawa)南西部にある銅・金鉱山で、1990年に鉱床が発見され、2000年に生産が開始されている。

PT Newmont Nusa Tenggaraには米国の産金大手Newmont Mining と、日本企業連合 Nusa Tenggara Mining Corporation of Japan などが出資していた。

Newmont Miningと日本連合は2016年6月30日にNewmont Nusa Tenggaraの権益を、インドネシアの銀行家が三大銀行から融資を受けて設立した投資会社 PT Amman Mineral Internasional に売却した。他の2株主も売却した。
Medco Energi は同日、Amman Mineral のcontrolling stake(支配権)を取得したと発表した。

従来の株主 現在の株主
Nusa Tenggara Partnership B.V 56.0% Amman Mineral
(Medco 主導)
82.2%
    Newmont Mining (31.5%)
Nusa Tenggara Mining
住友商事 18.20%
住友金属鉱山 3.50%
三菱マテリアル 1.75%
古河機械金属 1.05%
(24.5%)
PT Multi Daerah Bersaing 24.0%
PT Indonesia Masbaga Investama 2.2%
PT Pukuafu Indah 17.8% Pukuafu Indah 17.8%


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2016年6月には、BHP Billiton がKalimantanで石炭を採掘する IndoMet Coal の持分75%をパートナーで残り25%を出資するPT Alam Tri Abadi に売却している。


今年のIg Nobel Prize 贈呈式が9月22日、米ハーバード大で開催された。

東山篤規・立命館大教授と足立浩平・大阪大教授が「知覚賞」を受賞した。日本人の受賞は10年連続となる。


受賞テーマは、前かがみになって股の間から後ろ方向にものを見ると、実際より小さく見える「股のぞき効果」である。
実験心理学が専門の東山教授が主に研究を行い、足立教授が統計分析に協力して、2006年に専門誌に論文を発表した。

股のぞきをして景色を見ると、天地が逆さまになり、直立した姿勢で見た時より平らで奥行きが少ない印象を受ける。

計90人に股のぞきなどをしてもらい、離れた位置に置いた目印(三角形の板)の見かけの大きさや距離を当ててもらう実験を繰り返した。

その結果、股のぞきをすると、直立して見るより目印が小さく、遠くの目印が手前にあるように感じる錯視の効果が確認できた。

「逆さ眼鏡」をかけて股のぞきをすると、見える景色は直立した姿勢と同じになるが、その場合も、同じような錯視が起きていた。

錯視が起きる原因に、前かがみの姿勢が深く関係していることも示した。

姿勢などの体感が視覚に直接影響する証拠の一つという。
「人間は、歩き始めると、直立した状態でモノを見るので、直立した状態の体の位置が、周りの空間を見るときの基準となっているのではないか」としている。

他の受賞は下記の通り。

生殖賞 ポリエステル、綿、ウールのズボン着用がラットの性生活に与える効果の研究 
ズボンの材料

100% polyester
50/50% polyester/cotton
all cotton
all wool.

綿やウールの場合は比較的正常だが、ポリエステルの場合の性行動は "significantly lower"。 多分、材料の帯電のせいか?

人間の男性にも同様のテストを実施。

経済学賞

「営業およびマーケティングの視点から石のブランドパーソナリティを評価」

「ブランドパーソナリティ」は、製品のブランドに「健全」や「若さ」、「知性」など、人格的な属性を付与する考え方に対するマーケティング用語。

いろんな石の写真を学生に見せ、どう見えるかを聞いた。

答えの例。

石 G :ニューヨークタイプのビジネスマンで、黒いブリーフケースを持ち、・・・・
石 I :ジプシーかヒッピーというものや、リベラルで魅力的な30歳代半ばの女性とするものなど。

物理学賞

偏光2件

① 白馬がアブに刺され難い理由

アブは獲物を探すために皮膚からの偏光を使うため、白馬よりも黒馬や茶毛の馬に魅かれる。

② トンボが黒い墓石に引き付けられる理由

ハンガリーの墓地で、餌はどこにもいないのに、トンボが黒い磨かれた墓石の上で時間を過ごしている。雌は墓石のうえに卵を産みさえする。
昆虫は水辺の巣を探すのに水面に光る偏光を探す。

化学賞

自動車の排ガステストの際に、自動的に、電気機械的に排ガス量を減らし、自動車の排ガス 公害問題を解決した。

排ガス不正を摘発されたVolkswagen が受賞した。

医学賞

腕にかゆみを与える薬品を注射して、鏡を見て、かゆい方の腕を掻かせるテスト。

右腕がかゆい場合、鏡に映った右腕(実際にはかゆくない左腕)をかいた場合も、かゆみが直ることが分かった。
脳が右腕をかいていると錯覚するため。

心理学賞

千人の嘘つきに、何回嘘をついたかを聞き、その答えが本当かどうかを検証。

人間は幼児から成長するにつれ、次第に多くの嘘をつくようになり、思春期にピークになる。大人は通常1日2回嘘をつく。
例外はあるが、齢をとると嘘は減る。
嘘つきは自分に対しても嘘をつき続ける。

平和賞

論文「あたかも意義深く聞こえるデタラメな言葉の受容と検知」

名言や、名言を一部変えて出鱈目な表現にしたものを学生に示し、どう反応するかを調べた。

生物学賞

野生動物を理解するための2つの実験

①人間以外の動物の世界観を理解するため、アナグマ、カワウソ、キツネ、鳥 と同じ野生の生活を体験
  ・アナグマとして昼間は寝て、夜中、食料のみみずを探して森を四つ這いで歩き回った。
  ・都市のキツネとして、ゴミをあさり、庭で寝た。

② 象の真似をしたかったが、危険なのでヤギの真似をした。
  特製の義肢をつけ、訓練した後、3日間 スイスアルプスでヤギと暮らし、草を食べ、群れに入り込もうとした。
  階級制度の群れのなかで友達をつくることが重要だと分かった。

文学賞 離島で、死んだハエ、まだ死んでいないハエを 収集する喜びを記した 3巻もの自伝。


イグノーベル賞の賞品は特製の時計と毎年恒例のジンバブエの「10兆ドル」札(米国の40セント相当)。

過去のイグ・ノーベル賞については、下記を参照。

2006/10/13 ノーベル賞とイグ・ノーベル賞
2007/10/8 2007年イグ・ノーベル賞
2008/10/4 2008年イグ・ノーベル賞
2009/10/3 2009年イグ・ノーベル賞
2010/10/7 2010年ノーベル化学賞とイグ・ノーベル賞
2011/10/1  2011年度イグノーベル賞
2012/9/25 2012年 Ig Nobel 賞に日本人の「スピーチジャマー」
2013/9/16 2013年 Ig Nobel 賞、日本の2チームが受賞
2014/9/20 2014年イグ・ノーベル賞
2015/9/22 2015年 イグノーベル賞

日本人の受賞は次のとおりで、2005年までに11件、2007年からは10年連続で11件(2013年は2件)で、合計22件の受賞となった。
なお、2008年の認知科学賞と、2010年の交通計画賞は、同一テーマの研究の延長で受賞している。

(敬称略)

名前 受賞
1992 神田不二宏, E. Yagi,
M. Fukuda
K. Nakajima,
T. Ohta and O. Nakata
(資生堂研究センター)
薬学賞
足の匂いの原因となる混合物の解明
1994 気象庁 物理学賞
地震が尾を振るナマズによって引き起こされるかどうかを7年間研究した功績
1995 渡辺茂(慶應義塾大学)
坂本淳子
脇田真清(京都大学)
心理学賞
ハトの絵画弁別(ハトを訓練してピカソとモネの絵を区別できるようにした)功績
1996 岡村長之助
(岡村化石研究所)
生物学的多様性賞
岩手県の岩石から古生代石炭紀(約3億年前)の石灰岩中に超ミニ恐竜化石を
発見した功績
(小さな石を顕微鏡で見て超ミニ恐竜化石だと主張して発表)
1997 舞田あき(バンダイ)
横井昭宏(ウィズ)
経済学賞
バーチャルペット(
たまごっち)の開発によりバーチャルペットへの労働時間を
費やさせた功績
1997 柳生隆視 他
(関西医科大学)
生物学賞
様々な味のガムをかんでいる人の脳波を研究
1999 牧野武
(セーフティ探偵社)
化学賞
妻や夫の下着に適用して精液の跡を発見できる浮気検出スプレーの開発
.
2002 佐藤慶太(タカラ社社長)
鈴木松美(日本音響研究所)
小暮規夫(獣医学博士)
平和賞
コンピュータ・ベースでの犬と人間の言葉を自動翻訳するデバイス「
バウリンガル」開発
2003 広瀬幸雄 教授
(金沢大学)
化学賞
銅像に鳥が寄りつかないことをヒントに、カラスを撃退できる合金開発
2004 井上大佑 平和賞
カラオケ
を発明し、人々に互いに寛容になる新しい手段を提供
2005 中松義郎
(ドクター中松) 
栄養学賞
36年間にわたり自分が食べたすべての食事を撮影し、食べ物が頭の働きや体調に
与える影響を分析
2007 山本麻由 化学賞
牛糞からバニラの芳香成分 vanillin の抽出
2008 中垣俊之ほか 認知科学賞
真正粘菌変形体という巨大なアメーバ様生物が迷路の最短経路を探し当てる
2009 田口文章ほか 生物学賞
パンダのフンから抽出したバクテリアを使って台所の生ゴミを分解し、9割減量
2010 中垣俊之ほか 交通計画賞
粘菌が交通網を整備
2011 今井眞ほか 化学賞
わさびの臭いが火災報知器の役割を成す理想的な空気中のわさび濃度
2012 栗原一貴、塚田浩二 音響賞
迷惑を顧みず話し続ける人の話を妨害する装置「スピーチジャマー」を開
2013 新見正則ほか 医学賞
心臓移植したマウスにオペラを聴かせると生存期間が延びた
今井真介ほか 化学賞
タマネギの催涙成分をつくる酵素
2014 馬渕清資ほか 物理学賞
「バナナの皮を踏むとなぜ滑りやすいのか」を実験で解明
2015 木俣肇 医学賞
情熱的なキスの生物医学的な利益あるいは影響を研究するための実験


Samsung Electronicsは9月18日、資金の効率化と中核事業への集中のため、下記の株式を売却したと発表した。
通常の経営活動の一環で、株式を売却した各社との協力関係に影響はないと説明している。

売却した海外企業の株式の額は1兆ウォン(約900億円)台に達するとされる。

オランダの半導体製造装置大手 ASML 持株の半分 1.5%
米のハードディスク駆動装置(HDD)大手Seagate Technology 4.2%全て
米の半導体開発大手 Rambus 4.5%全て
シャープ 0.7%全て


Samsung Electronicsは9月13日には、米の
HP Inc.にプリンター事業を10億5千万ドルで売却することで合意した。
Samsungは売却完了後に、公開市場での株式取得でHP Inc.に1~3億ドルを出資するとされる。

Samsung Electronicsの2015年の売上高 約18兆円のうち、スマホなどIT機器が46%、ディスプレーが12%、半導体が21%、家電が21%で、このうち複写機事業(家電部門)は1%に過ぎない。

HP Inc. は2015年11月1日のHewlett-Packard の会社分割で生まれた。

エンタープライズサービス、ソフトウェア、サーバ事業は、Hewlett-Packard Enterpriseと なり、
PCおよびプリンティング事業は、HP Inc.となった。

HP Inc. は利益の大半を自社製プリンター向けインク・トナーの販売で得ているが、この分野の成長は頭打ちとなっている。
今回のプリンター事業買収で、レーザープリンターの重要な機構である印刷エンジンの製造も可能になる。
HP Inc. では、印刷エンジン技術の取得は利益率改善とともに、レーザープリンターの進化に貢献すると指摘している。

ーーー

Samsung はシャープとの資本提携交渉時にシャープの複写機事業の買収を提案していた。

シャープ社内には資金の確保のためにこれに賛成する一派もいたが、日本からの技術流出(特にSamsung への流出)への反対から最終的に拒否した。
実際には日本のメーカー数社との間で相互に特許ライセンスを行っており、技術全体の譲渡は不可能であった。

ーーー

Samsung Groupは総帥の李健煕・サムスン電子会長 の指導の下で拡大を続けてきたが、李健煕会長が2014年5月に急性心筋梗塞で倒れ、後継者の李在鎔・サムスン電子副会長がグループの再編を開始した。

先ず2014年11月に、防衛関連と石油化学の4社を合計1.9兆ウォンでハンファグループに売却した。

防衛関連 Samsung Techwin の32.4% 8400億ウォン
Samsung Thalesの 持分(50%)
Samsung Techwinと仏大手電機メーカーThalesのJV
石油化学 Samsung General Chemicalsの57.6% 1兆0600億ウォン
Samsung Total Petrochemicals の持分(50%)
Samsung General Chemicalsと仏 Total のJV


2014/12/1 Samsung Group、防衛、石化事業をHanwhaに売却 

2015年にはサムスン精密化学など残る化学事業をすべてロッテグループに譲渡を発表、2016年に完了した。

1)Samsung SDI の化学部門(エンプラ等)

2)Samsung Fine Chemicals のSamsung 持分

3)Samsung BP の49%(酢酸、酢ビなど)

2015/11/5 Samsung Group、残る石油化学部門をロッテに売却

韓国ロッテグループの辛東彬(重光昭夫)会長(創業者の次男)は9月20日午前、背任や横領の疑惑に絡む事情聴取を受けるため、ソウル中央地検に出頭した。

約18時間にわたる事情聴取を受けたが、これでロッテグループの裏金疑惑に関する捜査は終結に向かう。

検察は創業者、次男、長男、創業者の内縁の妻、徐美敬氏ら創業者一族を全員起訴する方針とされる。

創業者の長女の辛英子氏は、韓国の化粧品会社などからロッテ免税店への出店を認めるよう頼まれ、リベートとして計30億ウォン(約2億6400万円)を受け取ったほか、辛容疑者が実質的に運営する企業に娘3人を取締役にするなどで約47億ウォンを横領した疑いで起訴され、収監されている。同氏は9月12日、裁判所に保釈を申請した。

朝鮮日報は、辛東彬(重光昭夫)会長が逮捕、起訴された場合、同氏が経営の一線を追われる可能性があると指摘し、その場合、「韓国 5位の財閥が日本の経営陣数人に左右されるという、あきれた状況が現実になるかもしれない」と伝えた。 

ーーー

韓国の検察は6月10日、ロッテグループの幹部が帳簿外の裏金づくりを行った疑いがあるとして、大々的な家宅捜索を行った。


ロッテは李明博前大統領の政権で最も恩恵を受けた企業だとされる。

辛格浩氏の宿願だったソウルの複合商業施設「ロッテワールドモール (第2ロッテワールド)」の認可を受けるために裏金を使って政界に金品を供与した疑いをはじめ、釜山のロッテワールド用地の用途変更やビール事業進出、免税店運営事業の受注など、前政権時代の恩恵に絡む数々の疑惑がある。

2016/6/15 韓国検察、ロッテグループを家宅捜索 

創業者の辛格浩(重光武雄)氏の次男で韓国ロッテグループ会長の辛東彬(重光昭夫)氏と、長男の辛東主(重光宏之)氏との争いの過程で内部資料が検察に流れたとの憶測がある。

2015/8/1 ロッテの内紛、 2015/8/19 ロッテ、次男中心の体制に

調査の過程で、グループ幹部で、辛東彬(重光昭夫)会長の側近の李仁源・副会長兼政策本部長が、出頭を要請された8月26日の朝、自殺しているのが発見された。

2016/8/27 ロッテグループのナンバー2、検察取り調べ前に自殺

ロッテ創業家の 関係図は下記の通りで、これまでに創業者、次男、長男が事情聴取を受けた。創業者の長女の辛英子氏は別件で既に起訴、収監されている。

創業者 辛格浩(重光武雄)氏

ソウル中央地検は9月8日、高齢で病身の創業者の辛格浩総括会長(94)をロッテホテル執務室で事情聴取した。

ロッテグループの巨額の裏金疑惑のほか、脱税疑惑も調べた。

同氏は2005年に、他人名義で保有していた日本のロッテホールディングスの持ち株を 内縁の妻 徐美敬氏と娘の辛ユミ氏に譲渡した際、米国や香港、シンガポールなどに設立したペーパーカンパニーを通じて譲渡し、約 6千億ウォン(約550億円)の贈与税を脱税した疑惑が浮上した。

徐美敬氏は日本在住で、数回にわたる韓国検察の出頭要請に応じておらず、検察は外交部の協力の下、強制帰国のための手続きを進めている。

検察は徐美敬氏が韓国内に所有している全財産を差し押さえた。

地検とは別に、韓国公正取引委員会は9月21日、虚偽資料を提出した疑いでロッテグループの辛格浩(重光武雄)総括会長を検察に告発した。

事実婚関係にある徐美敬氏と娘、辛ユミ氏が株主となっている「ユニプレックス」とユギ開発、ユウォン実業、ユギインターナショナルの4社に関する資料を故意に 提出しなかった。
その結果、4社はロッテグループの系列会社(相互出資制限企業集団)には編入されず、関連規制から逃れていた。

ホテルロッテなど11社の株主である海外16社についてオーナー家とは関係の無い「その他株主」と誤った記載をした。

韓国では資産5兆ウォン以上の「大企業集団」は系列会社の記載や、系列会社に対する株式保有状況について厳しい報告義務があり、虚偽資料提出容疑では、最高1億ウォン(約900万円)の罰金刑が下される。

公取委は、ユニプレックスなど4社を2010年10月1日にさかのぼって、ロッテの系列企業に編入する措置を取った。

ホテルロッテなどグループに属する11社が企業集団現況公示、株式所有現況申告で海外の系列会社16社を「その他株主」と虚偽申告していたことについては、過料5億7300万ウォンと警告の処分を下した。

ロッテ側は、日本の系列企業の状況を十分把握できなかったためで故意ではない、と釈明している。

ーーー

長男 辛東主(重光宏之)氏

韓国検察は9月1日、辛東主(重光宏之) 氏を事情聴取した。2006年から2015年まで、勤務実体がないのにロッテ建設やホテルロッテなど7~8社の取締役を務め、400億ウォン(約36億円)の報酬を受けた横領疑惑。

ーーー

次男 辛東彬(重光昭夫)会長

辛東彬(重光昭夫)会長は9月20日午前、背任や横領の疑惑に絡む事情聴取を受けるため、ソウル中央地検に出頭した。

検察が問題視するのは次の点。

(1)組織的な巨額の裏金作りに関与していた疑い

ロッテ建設がここ10年間に300億ウォン台の裏金をつくった問題で、同氏の直接、間接的な関与があったかどうかを調べた。
グループの司令塔役を担う政策本部の指示や黙認なしにロッテ建設が独自に多額の裏金を作るのは難しく、検察はグループの最高経営陣が裏金作りを進めたとみている。

(2)M&Aの過程で生じた損失を系列会社に押しつけた背任容疑

ホテルロッテのロッテ済州・扶餘リゾートの安値での買収、中国のホームショッピング企業ラッキーパイなどの海外企業の高値でのM&Aで系列会社に損害を与えた。

(3)日本のロッテグループの系列会社に役員として名を連ね、業務の実体がないにもかかわらず、毎年100億ウォン(約9億1千万円)以上の給与を受け取っていた横領容疑

(4)グループ内企業の有償増資に関する不可解な支出や創業家が所有する企業に対する集中的な仕事の発注など

検察は下記の案件に辛東彬(重光昭夫)会長が指示をしたかどうかを調べた。

・資金難に陥ったロッテ PS Net の360億ウォン規模の有償増資を実施し、これに応じたロッテ情報通信、コリアセブン、ロッテドットコムに損害を与えた。

・ロッテケミカルが2008年から昨年まで訴訟詐欺を行ない、270億ウォン台の法人税などの不正還付を受けた件(当時、ロッテケミカルの代表)

同氏の横領、背任の規模は1000億~2000億ウォン台に達するとされる。

これに対し同氏はロッテ建設の帳簿外資金の存在を全く知らなかったと答えるなど、容疑を全面的に否認する趣旨の供述をした。
グループ会社間の資産の移転についても、当時の経営判断によるもので、背任の意図は無かったと話した。

ーーー

付記

ソウル中央地検は9月26日、背任・横領の容疑で、辛東彬(重光昭夫)韓国ロッテグループ会長の逮捕状を請求した。
ソウル中央地裁は9月29日、逮捕状請求を棄却した。

ソウル中央地検は9月20日、「国税庁と協議して徐美敬氏が国内に持つ全財産を差し押さえた」と明らかにした。

地検は9月
27日、徐美敬氏を、贈与に絡む税を脱税したとの特定犯罪加重処罰法違反罪で在宅起訴したと発表した。日本に滞在しているとみられ、今後、出廷も拒めば裁判所が拘束手続きを取る可能性がある。


アイルランドに本拠を置く製薬大手のAllergan Plc は9月20日、バイオ医薬品大手の米Tobira Therapeutics Inc. を最大16億9500万ドルで買収することで合意したと発表した。

1株当たり28.35 ドルの現金と、最大 49.84ドルのContingent Value Right (CVR) を与える。
CVRは「不確定価額受領権」で、Tobiraが具体的な開発、登録に成功し、一定の販売目標を達成した場合にその程度に応じて支払われる。

一時払いされる28.35 ドルは前日の終値(4.74ドル)の6倍に相当する。

買収額が高すぎるとの見方もあり、Allerganの株価は下落した。

Tobira は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:non alcoholic steatohepatitis )と呼ばれる肝臓病の治療薬を開発している。

肝細胞の約 1/3 以上脂肪がたまっている状態、又は脂質量が肝重量の5~10%以上を占めるのが脂肪肝。
脂肪肝にはアルコール性と非アルコール性がある。

非アルコール性脂肪肝に、もう一つの原因が加わり、炎症を起こしたものがNASHで、肝硬変や肝癌に進むことがある。

現在、FDAの認可を受けた治療薬はない。

TobiraはNASH治療薬として、Cenicriviroc (CVC) とEvogliptin の2剤 を開発している。これがAllergan の消化器病系のパイプラインに加わる。

Evogliptin はTobiraが韓国の東亜STとの契約で、単独又はCVCとの合剤として、米国、カナダ、欧州、豪州で独占的に開発販売する権利を持つ。
逆に東亜STはCVCを単独又はEvogliptinとの合剤として韓国で独占的に開発販売する権利を持つ。

Tobiraは2016年7月のCVCの第2b相試験において、主要評価項目の脂肪肝治療効果を示せなかったと発表した。しかし、同試験において設定されていた副次的主要評価項目のNASHを悪化することなく線維化を改善させるという項目は有意に達成した。

NASHはバイオでは最もホットな分野で、これがAllerganが高値で買収した理由である。

NASH 治療薬を開発しているIntercept Pharmaceuticals、Galectin Therapeutics、Conatus Pharmaceuticals、大手のGilead Inc. などの株価も軒並み上昇した。

ーーー

Allerganは同日、NASH治療薬としてAKN-083を開発中の英国のAkarna Therapeutics Ltd.を買収すると発表した。他に開発中のFXR compounds を持つ。

一時金 50百万ドルで、開発に応じたマイルストーン支払が条件となっている。

ーーー

Allergan はWatsonによるActavis、ActavisによるAllerganと、二度にわたる買収で、いずれも買収された会社の社名を新社名にしている。

本社を税率の低いアイルランドに移すため、Pfizerが買収したが、米国の新たな税制では本社移転による恩恵がなくなり、断念した。
最近、Carl Icahnが同社の株を大量に取得したとされる。

2014/10/22 米製薬会社 Allergan を巡る買収合戦
2015/11/26 Pfizer、アイルランドのAllerganを買収
2015/7/29 後発薬最大手のTeva、米 医薬大手の Allerganから後発薬事業買収
2016/4/7 Pfizer とAllergan、合併計画断念

 

出光販売店の具申書

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出光興産によるShellからの昭和シェル株式の購入とその後の出光・昭和シェルの統合は難航している。

出光は2016年9月7日に、公取委審査の遅れから、昭和シェル株式の譲り受けは2016年10月~11月とすること、経営統合のスケデュールは、2017年4月1日のままであることを発表した。

しかし公取委のOKが出ても、出光創業家の反対で計画通りの昭和シェル株式の購入は難しい状況である。

出光経営陣は市場外で Shell 所有の昭和シェル株 35%のうち 33.3%を1株あたり 1,350円で買い取る計画であった。

しかし、創業家が市場で昭和シェル株を40万株(発行済み株式の0.1%)を購入したため、これを合わせると出光側の保有割合が3分の1を超えることになり、TOBの義務が生じ、Shell のみから市場外で株を購入することが出来なくなる。
TOBの場合、多数株主が応じるとみられ、買収金額は膨れ上がる。

報道では、会社側はShellからの購入株数を減らす交渉をしているとされるが、創業家側は更なる買い増しも示唆しており、見通しがつかない状況にある。
創業家側は話し合いさえ拒否していると報道されている。

2016/8/5 出光創業家、合併阻止へ強攻策

Shellから昭和シェル株を買ったとしても、臨時株主総会で合併に必要な株主の「3分の2以上」の賛成を得るのも難しい。

昭和シェルは、合併が実現せず、昭和シェルが出光の関連会社にとどまることを恐れ、出光に対し、2017年4月の合併を確約するよう求めていると報道されている。


この状況を受け、9月14日に出光の一部地域の販売店が創業家と出光興産経営陣へ再度話し合いを進めるよう促す具申書を送付した。

業界再編については「かねてより渇望するところ」とし、今回の合併案を「出光精神溢れる壮挙」としている。
創業家と経営陣の「欧米流の主張合戦」を憂慮し、「出光精神のもと大同団結してこの難局を打開されんことを衷心より願う」としている。

この動きが他の出光販売店へ広がっていると報道されている。

創業家側がどう対応するか、注目される。

要旨は次のとおり。

今般の創業家と出光興産経営陣との経営を巡る一連の報道を心より憂慮している。

私どもが誇りとし、守ってきた「出光」の名が巷間にて醜聞として流れ、今まさに地に堕ちようとしている。慙愧に耐えない。

佐三店主が大切にしていた和の精神・互譲互助の精神、そして世のためにことをなすという志は今もなお出光大家族全員の基本的な精神であると信じている。

欧米流の主張合戦には違和感を覚えざるを得ない。双方、「日本人にかえれ」という佐三店主の言葉を胸深く刻み込み、出光精神のもと大同団結してこの難局を打開されんことを衷心より願う。


石油業界の構造的な過当競争体質と需要の縮小傾向が続く中、廃業や撤退を余儀なくされ、会員数も徐々に減少しつつある。

そのような中、今回の業界再編による市場の正常化は、かねてより渇望するところであった。

時の流れが不可逆である以上、創業の精神を守ることは大切だが創業時に戻ることは許されない。精神を守りつつ、時代に即した変化を成し遂げる勇気が不可欠だ。

今回の業界再編の主体的な取り組みは近年まれにみる痛快事であり、出光精神溢れる壮挙として評価すべきと考えている。

今回の再編により、出光ブランドが毀損することは望むところではない。その点については会員の総意として要望した。

出光大家族の一員であるという誇りを以て、そして出光を心より愛する日本人の一人としてこの意見を具申する。


なお、9月22日付けの日経によると、出光の販売店が加盟する「全国出光会」が9月26日の理事会で出光と昭和シェルの合併に賛成の立場を確認し、創業者側に伝えるという。

付記 販売店の動きを察知した創業家は9月23日付で合併反対の意思を示す書簡を全国の販売店各社に送付し、かたくなな姿勢を崩していない。

入閣中は原発反対を封印していた河野太郎代議士が大臣を辞め、再び原発問題を取り上げている。

「ごまめの歯ぎしり」2016年9月11日号では「エネ庁の陰謀」、続いて 9月17日号では「報道ステーションは白旗を上げたけれど」を書いている。

  「エネ庁の陰謀

この夏、エネ庁の中を怪文書が駆け回っている。

その怪文書を持って、議員会館の中をせっせと回る官僚もいる。

それをすっぱ抜いたのが9月8日付けの毎日新聞の記事だ。

東京電力の福島第一原発の廃炉費用や事故の賠償費用に、そのほかの原発の廃炉費用を合計すると8.5兆円(正確には8.3兆円)になり、その負担を電力会社だけでなく、新電力にも求めようというスキームが描かれている。


事故から5年、国民ももはや原発のことはそれほど気にしていない、声を上げない、というのが今のエネ庁の考えだ。

ーーーー

  「報道ステーションは白旗を上げたけれど

報道ステーションを見た人は、違和感を感じただろう。

経産省が原発のコストを新電力に負担させることを検討しているというニュースの中で、経産大臣の「今は検討していません」というコメントをキャスターがおうむ返しにして締めくくった。
本当は、「原発のコストが安いというのは嘘だったのか、という批判は避けられそうもない」というのが締めのコメントではなかったのか。


もし、あなたがこれはおかしいと思うならば、ぜひ、与党である自民党、公明党の国会議員に働きかけてほしい。肝心なのは、この問題に絞って抗議すること。

毎日新聞の記事(9月8日)、報道ステーション(9月16日)の報道の概要は下記の通り。

政府が原発の廃炉や東京電力福島第1原発事故の賠償を進めるため、大手電力会社だけでなく、新電力にも費用負担を求める方向で調整に入ったことが分かった。

現行制度では、
福島第1原発事故の賠償
は、東電が国の認可法人「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」から必要な資金の交付を受け、原発事業者が負担金を同機構に納付する。


原発の廃炉
は、原発を保有する大手電力が自社の電気料金から費用を回収することになっている。

しかし、賠償額はどんどん膨れ上がっている。東電が6月末時点で見積もっている要賠償額は、約6兆5600億円と、すでに前提としていた5兆4000億円を大きく上回る。
エネ庁では総額7兆円と想定し、今後3兆円が必要としている。

福島第一の廃炉費用も必要である。
東電の数土文夫会長は廃炉費用について「今のところ見えていない」とし、「負債が青天井では経営再建に有効な手が打てない」と、国に追加支援を求めている。
エネ庁では4兆円と想定している。

更に他の原発についても、廃炉費用の引当が不足している。

廃炉に必要な見積額は合計で2兆8200億円。
このうち2013年3月末時点で解体引当金として積んでいたのは1兆5800億円で、その後も積み増ししているものの、解体費の上ぶれも含めると1.3兆円が不足するが、電力全面自由化で将来、徴収が進まない可能性もある。


これにより、今後追加で必要となる費用は8.3兆円と想定される。

電力自由化で大手電力から新電力に契約を切り替える消費者が増えた場合、原発を持つ電力会社だけでは巨額の費用を賄えなくなる可能性がある。

このため、エネ庁資料「電力システム改革の貫徹」では、この8.3兆円を、全国の送電線の使用料金に上乗せする形で、太陽光発電などすべての電力会社の電力料に上乗せして回収しようというもの。東京電力管内では毎月180円、それ以外の地域で毎月60円を想定している。

エネ庁資料

金額

標準家庭
 月別電気代
総額 関東負担 その他負担 関東 その他
福島第一 

          

賠償 不足分 3兆円 1兆円 2兆円
廃炉費用 4兆円 4兆円
その他原発 廃炉費用不足  0.8兆円 0.2兆円 0.6兆円
解体費上ぶれ 0.5兆円 0.2兆円 0.3兆円
合計 8.3兆円 5.4兆円 2.9兆円 180円 60円


新電力に切り替えた消費者も、過去には大手電力が原発で発電した電力を使っており、「過去に大手電力の電気を利用した需要家(消費者)と、電力自由化後の需要家の間に負担の公平性が損なわれてはならない」というのが新電力にも負担させる理由という。

世耕経産大臣はこの政府案について「現段階では検討していない」と述べ、今後の可能性については「発言通り」として明言を避けた。

しかし経産省は9月20日、これに関連する二つの委員会の設置を決めた。

 「東京電力改革・1F 問題委員会」 東電の経営問題や福島第一原発(1F)の廃炉費用の負担を議論

 「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」 卸電力市場活性化や全国の原発の廃炉費用負担を検討

経産省は両委員会の議論を受けて、来年の通常国会に電気事業法改正案の提出を目指す。


毎日新聞は原発をめぐる政府の主張と問題点を以下の通り、まとめている。

 <政府>

・電力自由化で大手電力は廃炉や福島原発事故の費用を回収できなくなる恐れがある。
・新電力に切り替えた消費者も、過去には大手電力が原発で発電した電力を使っている。
・原発の廃炉や事故の賠償を円滑に進めるには、新電力を含むすべての契約者に負担を求めるべきだ。

 <消費者や有識者>

・廃炉や賠償の費用は大手電力が経営努力で電気料金から回収すべきだ。
廃炉や賠償の費用を入れても原発は安いと言っていた主張と矛盾するのではないか。
・原発のない新電力や沖縄県の契約者が費用を負担するのはおかしい。大手電力の救済ではないか。

河野議員のブログ発言

「もし、あなたがこれはおかしいと思うならば、ぜひ、与党である自民党、公明党の国会議員に働きかけてほしい。」




米医薬・生活用品大手 Johnson & Johnson (J&J)は9月16日、Abbott Laboratories から Abbott Medical Optics (AMO) を43億2500万ドルで買収すると発表した。
2017年第1四半期に取引が完了する見込みで、AMO社が強みを持つ白内障治療やレーザー治療技術などを取り込み、眼科治療関連ビジネスを強化する。

他方、Abbott Laboratoriesは「選択と集中」を加速させ、循環器系の医療器具や診断分野に経営資源を集中させる。

J&Jは、「目の健康は最も成長が早い分野で、買収により眼科ビジネスの多様化を図る」 と述べている。

同社はコンタクトレンズの「ACUVUE®」を世界展開するが、AMOの買収で治療分野に本格的に進出する。

AMOは売上高11億ドルで、眼科分野で3つのセグメントを持つ。

 ・白内障・緑内障手術
 ・レーザー屈折矯正手術(近視、遠視、乱視の矯正)
 ・眼科関係消費者用製品:ドライアイ用目薬、ソフトコンタクトレンズ用ケア用品

WHOは白内障による失明が世界で約2000万人に達する 、白内障で視力が弱まっている目が少なくとも1億個あると試算しており、J&Jでは今後も白内障患者は増え続け、眼科治療分野の需要が大きいとみる。

J&J の売上高は下記の通り。 Oral CareにはListerinがある。



30年以上前にAmerican Hospital Supply Corporationの部門のHeyer-Schulte Medical Optics Center が眼科の研究を開始し、Center はAmerican Medical Optics (AMO) と改称した。

1976年に白内障治療用の眼内レンズを販売、その後、超音波水晶体乳化吸引システム(SOVEREIGN® System)を開発した。

1986年にAmerican Medical OpticsはAllergan, Inc. に売却され、Allergan Medical Optics (同じく AMO)に改称した。

2002年6月にAllerganからスピンオフし、独立した。社名はAdvanced Medical Optics (同じく AMO) とした。

2005年にはレーザー屈折矯正手術用品を扱うVISX, Incorporated を買収した。

2009年にAbbott Laboratories がAdvanced Medical Opticsを買収し、Abbott Medical Optics (同じく AMO) とした。買収価額は、借入金込みで28億ドルであった。

Bayer、Monsantoを買収

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Bayerは9月14日、Monsantoの1株128米ドルの現金での買収で合意したと発表した。

債務を含む買収総額は約660億ドル、債務除きでは570億ドルの買収で、9月6日に提示した1株 127.50ドルからさらに引き上げ、ようやく合意にこぎつけた。
買収価格は、Bayerが書面で初めて提案を行う前の5月9日のMonsanto株価に44%上乗せした水準である。

買収は2017年末までに完了する見通し。

買収資金は債務と株式の組み合わせで賄う方針で、株式部分に関しては強制転換社債と株主割当発行を通じて約190億ドルを調達する。金融機関が、570億ドルのつなぎ融資を行うという。

統合会社の農業部門は、種子関係と北米の営業本部は(Monsantoの)St. Louis, Missouri に置き、本部と農薬部門はMonheim, Germany に置く。

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Monsanto は5月18日、Bayer から買収提案を受けたと発表した。Bayer の5月23日の発表では、1株当たり122米ドル、総額620億ドルで買収 で、これは5月9日の終値に37%のプレミアムとなる。

Monsantoは取締役会がBayerの提案内容を吟味していると述べたが、Bayerは7月初めに、買収価格を 122ドルから125ドルに引き上げると通知した。5月9日の終値に40%のプレミアムを乗せたものとなる。全株を取得すれば635億ドルとなる。

Monsantoは7月19日、この提案を安すぎるとして再度拒否した。交渉は続ける。

Bayer は9月6日、127.50ドルに引き上げた。

今回、128ドルで決着した。

Bayer の一部株主は買収額が高過ぎ、製薬事業軽視につながる恐れがあるとして、警戒感を示している。

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Bayerは2004年7月にBayer Chemicalsの大半とBayer Polymersの一部を Lanxess として、2015年9月にはMaterial Science部門をCovestro として分離独立させ、純粋なLife Science 会社になっている。

2015/9/2 Bayer のMaterial Science 部門、Covestro として分離独立

2015年の(Covestro分を除いた)Life Science の売上高は343億ユーロ(うちCrop Science が30%、Healthcareが67%)であるが、Monsantoを含めると471億ユーロとなる。
統合では Crop Science が49%と約半分を占めることとなる。

世界の農業会社では、Syngentaを買収したChemChina、DuPont/Dow合併後のDuPont/Dow Agriculture、BASFの各社を大きく上回ることとなる。

2016/2/5 中国化工集団(ChemChina)、スイス農薬のSyngentaを買収

2015/12/14 Dow と DuPont、経営統合を発表

また、将来の事業の元となる投資額についても、他社を大きく上回る。

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問題は各国の独禁当局がどう動くかである。

DowとDuPontの合併は難航している。

両社は本年6月22日に欧州委に合併計画を提出した。問題点を指摘されたため、7月20日に欧州委の予備的な懸念を解決するため対応策を示したが、同委は深刻な懸念の払拭には不十分だとみなした。

欧州委員会は8月11日、農薬 (Crop protection) や種子、特定の石油化学製品などの分野で市場の寡占を招く可能性があるとして、合併の是非を見極める 精密調査(in-depth probe)に着手したと発表した。調査期間は90日で、12月20日までとなっている。

しかし、欧州委員会は9月初め、調査を中断した。
合併の詳細と、欧州の農業市場での競争への影響について、もっと資料が必要としている。

今回のケースも、米国やカナダ、ブラジル、EUなどの規制当局が時間をかけて、買収を精査する公算が大きい。Monsantoでは買収承認申請を約30地域で行う必要があるとの認識を示した。

規制当局が買収を認める確率は5割と予想するアナリストもいる。

7月初めの値上げ提案時には、Bayerは「独禁当局の認可取得に自信があり、もし認可が得られない場合、15億ドルの "reverse antitrust break fee"を支払う 」としたが、最終交渉ではこれが20億ドルとなっている。 


三菱化学は9月14日、連結子会社の日本化成を完全子会社化すると発表した。

三菱化学は1960年に日本化成に資本参加し、2013年には三菱商事の持つ同社株を譲り受け、現在、64.88%を出資している。

三角株式交換の方法により、日本化成の他株主に三菱ケミカルホールディングスの株式を割り当てる。

株式交換は2017年1月1日を予定しており、日本化成は本年12月28日に上場停止する。

三菱化学グループの無機化学部門における中核企業としての現在の位置づけを更に発展させ、機能性無機事業をはじめ、グループ内の協奏・インテグレーションをより一層進めていくべく、 検討を行い、従来以上に関係を緊密すると同時に、迅速な意思決定を行うことができる体制を構築することが不可欠であるとの認識を共有するに至った。


三菱化学は8月5日、日本合成化学工業にTOBを実施すると発表している。

2016/8/9 三菱化学、日本合成化学にTOB、最大430億円 

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日本化成は1937年に日本水素工業として発足、1939年に小名浜でメタノール、硫酸の製造を開始、その後、アンモニア、硫安、化成肥料などを順次生産した。

1971年に三菱化成、三菱商事などがアンモニア、尿素大型工場建設のため設立した(旧)日本化成を吸収し、日本化成に改称した。

1999年には三菱化学から緩効性化成肥料を全面移管、2004年には三菱化学のアンモニア系製品事業、2005年には合成石英事業を移管した。

現在の日本化成の事業と業績は下記の通り。

2016年3月期実績(百万円)

売上高 営業利益 製品
無機化学品 15,738 392

アンモニア系製品、合成石英粉、電子工業用高純度薬品等

機能化学品・化成品 11,120 381

紫外線硬化性樹脂、ゴム・プラスチック架橋助剤、脂肪酸アマイド、アクリレート、メタノール等

エンジニアリング 4,560 149
貨物運送・荷役 1,163 59
その他 122 19
調整 168 112
合計 32,871 1,112
税引前利益 1,373
当期純利益 895

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完全子会社化の後の体制は下記の通りとなる。

統合後

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三菱ケミカルホールディングスの動きは、欧米の企業の動きと異なる。

欧米の大企業は、今後の事業の方向を先ず決め、それに合わせ、買収を行うとともに、自社及び買収企業の不採算事業のみならず、儲かってはいるが将来の成長が見込めない等の事業についても売却したり、スピンオフしている。

2015/12/24  2015年 回顧と展望 再び 「ガラパゴス鎖国」論 

Bayerは今回、Monsantoの買収を決めたが、Bayerは2004年7月にBayer Chemicalsの大半とBayer Polymersの一部を Lanxess として、2015年9月にはMaterial Science部門をCovestro として分離独立させ、純粋なLife Science 会社になっている。

2015/9/2 Bayer のMaterial Science 部門、Covestro として分離独立

それに対し、同社の場合は、集める一方である。三菱樹脂、三菱レイヨン、大陽日酸、日本合成化学、日本化成、・・・ と買収するが、それぞれの企業のどの部門も売却していない。(インドと中国の高純度テレフタル酸事業のように、破綻した事業の売却はあるが 。)

各社の事業全てが成長事業で、同社の将来の事業の方向に合っているとは思えない。今回の日本化成の場合、三菱化学が以前に売却した
アンモニア系製品、合成石英主力製品に含まれている。

企業の規模は大きくなるが、資金効率は悪い。

三菱化学・三菱樹脂・三菱レイヨン3社の統合による三菱ケミカル㈱ 設立時に、方向に合わない事業を放出するであろうか。


なお、三菱ケミカルホールディングスの柱の一つで、利益の大きな源泉である田辺三菱製薬への出資は56.34%のままである。
これこそ100%子会社にすべきだが、2007年10月1日の合併時の約束で、10年間はこの比率を維持することとなっている。

2017年秋に残りを買い取る資金を準備しているのだろうか。

因みに、他株主の株数は245,098千株で、9月15日終値 2,053円で計算すると 5,032億円、2015年下期以降の高値 2,252円(約10%のプレミアムアップ相当)では5,520億円となる。


付記

住友化学の大日本住友製薬も同様で、住友化学の持株は50.12%にとどまっている。

2005年10月1日の合併時に、「議決権の比率を基本的に10年間は50.1%以内に留め、新会社の上場の継続に協力するとともに、公開企業としての長期的な成長を支援する」ことに合意している。

既に10年は経過している。

カナダ肥料大手のPotashCorp (Potash Corporation of Saskatchewan Inc.) は9月12日、カナダ同業のAgrium Inc.経営統合すると発表した。
統合会社の売上高は約210億ドルで、世界最大の肥料会社として経営基盤を強化する。


形式的には対等合併で、新設会社が両社を保有する形となる。PotashCorp 株主は1株につき新会社株式 0.400 株を、Agrium 株主は 2.230 株を受け取る。
PotashCorp 株主は新会社の株式の約52%を、Agrium 株主は48%を保有することとなる。

PotashCorp は加里で強みを持ち、Agrium の硫酸、燐酸などを取り込むことで、2位のMosaic CompanyCargill の肥料部門と米国の肥料会社 IMC Globalが統合、燐酸と加里を扱う)を引き離す。


製品別能力の世界の順位は下記の通り。

Uralkali :2010/12/25 ロシアの2大肥料会社が合併へ

     2013/8/8 加里の国際輸出カルテル 崩壊?

CF Industries:2013年にリン酸塩事業をMosaicに売却し、窒素生産に事業集中

Yara International はノルウェーの窒素肥料メーカー

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PotashCorp は2010年8月に BHP Billiton から敵対的TOBを仕掛けられた。

カナダの法律では、政府は外国企業によるカナダ企業買収が国益に反すると判断した場合、拒否できる。
カナダ政府が
BHPによる買収を拒否したため、BHPは敵対的TOB提案の取り下げを発表した。

2010/8/23 BHP Billiton、カナダのPotashCorpに敵対的TOB

逆にPotashCorpは2015年にドイツのK+S を88億ドルで買収しようとしたが、断念している。



世耕経産大臣は9月15日、経団連と自動車工業会との懇談会で、「未来志向型の取引慣行に向けて」を発表した。

経団連に対して、「日本経済を持続的な成長軌道に乗せるには中小企業の取引条件改善が必要だ」と協力を要請、自動車工業会に対しては、自動車産業の適正取引の推進のための自主行動計画の策定と付加価値向上のための先進的な取り組みの推進を要請した。

日本商工会議所との会談では、「公正取引委員会とも連携し、下請け取引の適正化に徹底的に取り組む」と述べた。

「未来志向型の取引慣行に向けて」の概要は下記の通りで、自動車業界などを念頭に、下請けに対して「一律 5%の値下げ」等を要請する商慣習を改めるよう求めるもの。

具体的には、「下請法」の運用基準を改正し、下請けに一律の割合で値下げ要求したり、金型の保管費用を押しつけたりするケースを違反事例として公正取引委員会に提案する。

来年の春闘をにらみ、中小企業が賃上げしやすい環境を整える狙いとみられる。

大企業のうち2015年に賃上げした割合は89%にのぼる一方、中小企業は63%に過ぎない。個人消費の底上げには中小企業の賃上げが効果的である。
特に、自動車産業の場合、部品の一律値下げ要請(強制)が賃上げを阻害している。

現在でも、取引主体(売り手と買い手)の自主的な判断で取引が行われていない場合は、「不公正な取引方法」で独禁法違反である。政府が賃上げを要請している現在において、最低の賃上げも出来ない下請けに値下げを要求するのは、本来、独禁法違反である。

本ブログでは以前に、 下記のように、自動車メーカーによる部品価格値下げ要求を公取委が問題視しないことを批判した。

本来、公取委が経産省の反対を押し切ってでも摘発すべきことを、経産省の側から公取委に提案するのは面白い。

公取委は売り手側のカルテルは徹底的に取り締まるが、買い手側の値上げ阻止、値下げ要求の行動はカルテルでない限り、問題としない。

自動車メーカーによる部品価格の値下げ要求が一つの例である。

公取委の「不公正な取引方法」の1つに下記を挙げている。カルテルでなくても、違反である。

自由な競争の基盤を侵害するおそれがあるような行為で、大企業がその優越した地位を利用して、取引の相手方に無理な要求を押し付ける行為 。

この行為の形態から直ちに違法となるのではなく、それが不当な場合(公正な競争を阻害するおそれがあるとき)に違法とな る。

「公正な競争を阻害するおそれ」の例に、
取引主体の自主的な判断で取引が行われていないこと(自由競争基盤の侵害)により、競争秩序に悪影響を及ぼす行為 。

自動車メーカーの定期的な値下げ要求に対し、低賃金の弱小部品メーカーが自主的判断で常時値下げに応じていたとは考えられない。

「法的解釈」からは明らかに違反と思われるが、どうして放置しているのだろうか。

公取委も、まさか、「申告がないから自主的判断で値下げに応じていると思っていた」とは言わないだろう。
そんな申告をしたら、切られるのは明らかで、出来る筈がない。

ギリシャ、イタリア、フランス、ポルトガル、キプロス、マルタ、スペインのEUの南欧7カ国の首脳は9月9日、アテネで初の南欧諸国会議(Euro-Med summit)を開いた。

旗振り役のギリシャのチプラス首相は開会に当たり、参加国は「経済危機難民危機で不公正な打撃を受け、移民流入の圧力を受け、不安定な中東・北アフリカ諸国に隣接している」と指摘した。

会議は、難民・移民問題や失業、安全保障など南欧が苦しむ課題について提言をまとめ、EUに一層の対応を求めることで一致し、「アテネ宣言」(Athens Declaration)を採択した。

全文 http://primeminister.gr/2016/09/09/15173

9月16日には、EU離脱を決めた英国抜きの非公式なEU首脳会合がスロバキアの首都Bratislavaで開かれるが、宣言に基づく提案を行うとみられる。

アテネ宣言は「欧州の経済と社会モデルの構築」を目指すとし、経済成長や難民問題、安全保障の各分野でEUが採るべき施策を提案した。

経済面では、EUが主導した緊縮策で失業者が増大し、貧困が拡大したことを受け、雇用創出に向けたEUの資金援助を大幅に拡充することを要求している。

「欧州は繁栄と社会正義の約束を守る必要がある。経済危機に打ち勝ち、雇用を産み、社会モデルを守り、我々の経済の将来に備えるため、更なる成長と投資が必要である 」としている。

とりわけ、高失業率に苦しむ若年層への支援強化を求めた。

提案3.Fostering Growth and Investment in Europe

提案4.Strengthening programmes for youth

難民問題では、ギリシャやイタリアに負担が集中している現状を打開するため、EU各国による「責任の共有」を要望している。

国境管理や移民・難民対策は欧州の将来へのチャレンジであるとし、レーシズムや外国人嫌悪は許容できないとしている。

EU の現行の難民政策はDublin systemと呼ばれ、政治的な迫害などを逃れてきた難民申請者に対しては、最初に入国したEU 加盟国のみが難民申請手続きを受け付けることになっているが、責任と連帯の原則に立ち、これを見直すことを求めている。

提案5.Addressing the challenge of migration

このほか、次の2つの提案をしている。

提案1.Ensuring the internal and external security of Europe

提案2.Reinforcing the cooperation in the Mediterranean and with African countries

今後も南欧諸国会議を続けることを決めた。次回はポルトガルで開催する。

これに対し、緊縮策を推進するドイツからは厳しい意見が相次いでいる。「仏大統領や伊首相はギリシャのチプラス首相に利用されている」とのコメントも出た。

ーーー

ドイツ主導のEUの緊縮策により、南欧諸国の経済は停滞し、失業率が増大している。特に若年層の失業率は大きい。
ドイツやオランダとの差が著しい。

難民・移民問題については、最初に入国したEU 加盟国のみが難民申請手続きを受け付けるというDublin systemでは「玄関口」にあたる国に負担が集中するため、これを緩和するため、EUの内相会議は2015年9月、加盟国の経済規模などに基づいて難民を割り当てることを賛成多数で決めた。

ギリシャやイタリアにたどり着いた約16万人を2年間かけて分担する目標だったが、両国から移転した難民は3%未満の約4700人にとどまっている。一部の中東欧諸国は反対の姿勢を崩していない。

ポーランドやハンガリーは受け入れを拒否、ハンガリーとスロバキアは決議無効を訴えて欧州司法裁判所に提訴している。

「寛容な」難民受け入れ政策を進めてきたドイツのメルケル首相の選挙区で、首相のキリスト教民主同盟が州議会選挙で大敗した。移民受け入れがその原因である。

9月16日の非公式なEU首脳会合は、英国の離脱後のEUの団結を議論する予定だが、ドイツと南欧諸国との対立が拡大する恐れもある。


付記

9月16日の27カ国の非公式首脳会合は、今後半年間に最優先で取り組む政策課題をまとめた「行程表」を採択した。

 ・ 移民・難民問題
 ・ テロ対策・安全保障
 ・ 反グローバル化への対応・若年対策
 ・ EUの将来  来年3月に将来像を提示

イタリア首相は会議終了後に単独で記者会見を開き、「今回の結論には満足していない」と言及。難民・移民対策で突っ込んだ議論を避けた会議進行や、緊縮的な財政政策を重視するドイツへの不満を隠さず、独仏との共同記者会見を拒否したことを明かした。




世界貿易機関(WTO)の上訴機関である上級委員会は9月7日、米国が2013年に韓国製洗濯機に課した9~13%の反ダンピング関税がWTO協定に違反するとの判決を下した。
WTO上級委は通商紛争の最終審で、3年以上に及んだ反ダンピング紛争で韓国の勝訴が確定した。

米国は2013年1月、サムスン電子とLG電子が不当に安い価格で洗濯機を輸出したとして、反ダンピング関税を適用し た。

これに対し、韓国政府は同年8月、米国の「ゼロイング」方式と「標的ダンピング」方式 は協定違反としてWTOに提訴した。

「ゼロイング(Zeroing)」は、高値輸出の分はダンピングマージンをゼロと、安値輸出のみで計算することにより、全体のアンチダンピング税率を不当に高くする計算方法。

正常価格 100
輸出価格がAが80(ダンピングマージン 20)、Bが125(同
-25)、Cが150(同 -50)の場合
(いずれも同数量とする)

通常の計算 〔(20)+(-25)+(-50)〕/(80+125+150) = -15.5% ダンピングなし
  

ゼロイング  〔20+0+0〕
/(80+125+150) = 5.6% ダンピングあり

WTOは2007年1月、日本の申立てを認め、米国にゼロイングの撤廃を勧告したが、米国は従わず、WTO の紛争処理上級委員会は2009年8月、小委員会(第1審)の判断を支持し、米国がWTOの是正勧告に従っていないと認定した。日本の「勝訴」が確定し、米国は計算方法の見直しが義務付けられた。

2009/8/20  米の反ダンピング関税調査、WTO違反が確定

米国は依然としてゼロイングを適用し続けたが、2012年2月に、米国は日本とEUに対しては「ゼロイング 」を撤廃することを約束した。

2012/2/8  米が反ダンピング課税で「ゼロイング」廃止 

しかし、韓国に対しては依然として「ゼロイング」を適用し、WTOの協定違反の判定を受け、「ゼロイング」と「標的ダンピング」を合わせる方法を考案した。

「標的ダンピング (Targeted dumping) 」は、輸入された全体物量でなく、特定の時期に特定の地域で販売された物量に対してのみダンピングマージンを計算する方式である。

米国はサムスン、LGが2012年のBlack Friday(11月の第4木曜日の感謝祭の翌日の金曜日のことで、クリスマス商戦の開始の日)に合わせて輸出した洗濯機を標的にした。米国メーカーも値引き販売するが、韓国製だけがダンピング判定を受け た。

2013年8月の韓国政府の提訴を受け、WTO紛争解決機関小委員会は2016年3月、「ゼロイング」+「標的ダンピング 」計算方式が国際協定を違反していると判断した。

しかし、米国は2016年4月に
上訴した。 しかも、WTOの上級委員会の韓国出身の委員の再任を拒否すると愚挙に出た。

WTOの通商紛争解決手続きは二審制で、小委員会(パネル)の調停が一審、上級委員会の調停が二審となる。
7人で構成されたWTO上級委員会は国家間貿易紛争で最終決定を出す「最高裁裁判官」と同じ役割をする。

張勝和・ソウル大法学専門大学院教授は2012年に韓国人では初めてWTO上級委員に選出された。

委員の任期は4年で、一度だけ再任可能となっており、再任にはすべてのWTO紛争解決機構加盟国の同意が必要である。

米国は張勝和委員の再任に反対し、再任は不可能となった。

これに対しては、現在の上級委員全員と、18人の元委員のうち生存している13人全員が抗議声明を出し た。
「米国の行為はWTOの自由貿易体制を危機に陥れ、根幹を揺るがす」とし、「上訴機構の判決と勧告は委員個人でなく上訴機構レベルで出した決定という点を看過した行動」と指摘した。

関係者は「洗濯機紛争は米国のゼロイング慣行を一度に崩す可能性があり、波及力が大きい」とし「もし上訴機構が韓国の手をあげればその後の判決の基準となるだけに、米国の産業界が急いで動いている」と説明した。
しかし、再任反対は、オバマ政権レベルで熟慮した決定ではなく、米通商代表部(USTR)の独断的な突発行動である可能性が高いと見られている。

張勝和の再任は拒否されたが、上級委員会はWTO協定に違反するとの判決を下した。

韓国産業通商資源部関係者は「世界的な保護貿易主義の流れに影響を与える。韓国企業の対米輸出環境が改善する」と述べた。


カナダのパイプライン運営大手Enbridge Inc. は9月6日、米同業のSpectra Energy Corp. を370億カナダドル(280億米ドル)で買収すると発表した。

原油価格低迷と政府の規制が高まるなか、パイプラインの新設は難しく、統合により北米のエネルギーインフラの巨人になるとしている。

Enbridgeは、Alberta のオイルサンドをBritish Columbiaの港に運ぶNorthern Gateway について、カナダの最高裁が今夏、カナダ政府の認可を覆したため、着工できないでいる。

同社は先週には、長く遅れていたSandpiper pipeline project (North Dakota からWisconsin のハブに原油を送るもの)を原油価格の下落を理由に凍結した。

Spectra はNew England の既存のネットワークの拡大を計画したが、Massachusetts 最高裁が、需要家の電力会社が追加コストを電力料値上げで転嫁するのをブロックしたため、頓挫した。

本件は両社のトップの間で、Project Rainbow の名で数ヶ月にわたり協議されていたという。

Enbridgeが運営するのはカナダから米中西部・メキシコ湾岸に向けての原油パイプラインが主力で、原油安による原油減産の影響を受け輸送量の減少傾向が続いていた。

一方、Spectra Energy が運営するパイプラインのほぼすべてが天然ガス用で、米国では本格的に天然ガスの輸出が始まり、今後も案件が目白押しのため輸送拡大が期待できる。

同社はシェールガス優良鉱区の東部ペンシルベニア州 Marcellus地区から天然ガス輸出基地が集中するメキシコ湾岸にかけて天然ガスパイプラインを持っている。
また、New York市に天然ガスを供給する最大の天然ガスパイプラインを持つ。

Spectra の買収により、Enbridgeのパイプラインは原油とガスを合わせて総延長が約19万キロメートルになる。

Enbridgeの予測によると、2025年までに天然ガス輸送量は年率3~5%成長する。輸出事業拡大の効果のほか、環境意識の高まりを背景に産業分野での天然ガスの使用拡大効果も見込めるという。



小泉純一郎元首相が9月7日、東京の外国特派員協会で記者会見した。

録画 https://www.youtube.com/watch?v=BhNGZItxWOM&feature=youtu.be

テーマは、①「トモダチ作戦被害者支援基金」と、②原発反対の考え方について。

途中、通訳が「変人」を「Strange person」と訳したのに対し、「私はstrangeでも eccentric でもない、常識人だと思っている。ある人からもっと適切な訳があると教えてもらった」と述べた。それは「Extraordinary」であると。

①「トモダチ作戦被害者支援基金」

2011年の福島第一原発事故の際に「トモダチ作戦」に参加して被爆し、被害を受けた兵士が多数いることを本年3月に知り、5月にSan Diegoに行き、被害を受けた兵士と面会した。

放射能は海の方に流れていたが、兵士は防護服を着ずに作業をした。
当時のビデオでは空母に戻ったときに、汚染が分かり、「すぐ服を脱ぎ、シャワーを浴びろ」との声が入っている。しかし、シャワーは汚染された海水から塩分を除いただけのもの。

作戦終了後に鼻血や下血など体の調子が悪くなり病院で診察を受けたが、「放射能の影響によるものとは断定できない」とされた。

これまでに7人が亡くなり、300人(最近では400人)も病気で苦しんでいる兵士が出てきている。

兵士は法律上、米政府を訴えられないので、東電やGEを訴えている。
(東京電力側に10億ドルの救済基金設立を求める集団訴訟を起こしている。)

これはほっとけないなと思った。

外務省北米局長は事情は正確に把握しており、帰国後報告したが、同情はするが、政府としては何も出来ないということであった。

米側も放射能被害と「断定できない」との立場であった。

しかし、頑健な兵士が病気になっており、常識的には放射能の被害ではないか。

そこで「トモダチ作戦被害者支援基金」を7月2日に立ち上げた。目標は来年3月末までに1億円。
建築家の安藤忠雄氏の協力で8月に大阪で講演会をし、会費1万円で1300人が集まった。


②原発問題

何故、総理をやめて、原発反対になったのか? 

総理のときは、専門家の意見を信じていた。
  「安全」、「コストは一番安い」、「CO2を出さない Clean energy」である。
..... 資源のない日本に原発は必要。

311で勉強し直し、上記3点が全て嘘と分かった。嘘を信じたのを恥じた。
日本では、「過ちては改むるに憚ること勿れ」「過ちて改めざる、是を過ちと謂う」

スリーマイル島、チェルノブイリの大事故があった。
チェルノブイリの後、日本の専門家は、「日本の原発は違う。絶対安全なのだ。多重防護されている」とした。
ところが311が起こった。

「絶対安全はない」、しかし原発は事故が起これば飛行機事故などよりずっと大きな被害を与える。

東電も電力会社も、「安全第一」ではなく「収益第一」「経営第一」だ。防護が必要との声があったが、多重防護で大丈夫としてきた。

事故直後に原発40年を決めたが、今は変わった。申請すれば政府は認める。

原発が動かないと、利益が出ないから。

3年前に原発ゼロは無責任と言われた。直ちにゼロにすると、冷房、暖房が動かず、大変だと。
ところが2年間ゼロでも、最近の2~3基だけの稼動でも、全く支障がない。ゼロでやっていける。

原発が安いというのは嘘。最も高い。
東電は賠償で政府の支援を求めた。5兆円が9兆円になった。最近はもっと支援をといっている。
廃炉でも政府のカネが必要。

「もんじゅ」など30年経っても動かない。維持費だけで1日5000万円。1兆2000億円かかっている。

原発は日本でやってはいけない産業だ。ピンチはチャンス、自然エネルギーで更なる発展ができる。


Q&A

1.安倍首相の評価

 原発については全く意見が違うが、(2期目は)総理としてはかなり頑張っている。

2.安倍首相の「福島 under-control 」 発言について

 これは嘘。全くコントロールされていない。
 凍土壁での地下水コントロールも出来ていない。
 よくあんなことが言えるなと不思議。

 田中委員長が川内原発について、新しい基準に合格したといったが、その後、「安全だとは申し上げない」といった。
 政府は日本の原発は世界で最も厳しい安全基準だといっている。
 アメリカと比べてみろ。

3. 反原発の進め方

 政党としてでなく、国民運動としたい。 

4.原発の対案は?

 太陽光で原発1基100万KWを賄うには山手線内の土地全てがいると言われた。昨年1年で政府支援なしで 2700万KWがやれた。
 あと風力も地熱もある。

 原発なしでもやっていける。

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なお、8月26日の深夜、NHKで生放送された討論番組『解説スタジアム』が反響を呼んでいる。

タイトルは「どこに向かう 日本の原子力政策」。

NHKによる番組紹介

今月、愛媛県の伊方原発3号機が再稼働するなど、原発再稼働の動きが相次いでいます。また「核燃料サイクル」が行き詰まりを見せるなど、日本の原子力政策の根幹が問われています。日本の原子力政策をどう考えていくか。解説委員が生放送で徹底討論します。

NHKの7人の主要解説委員が、日本の原発政策を多角的に議論するという番組だが、解説委員7人のうち6人が政府や原子力規制委員会、そして電力会社の問題点を徹底的に批判した。

イランのNational Petrochemical Companyは2016年8月24日、Kurdistan provinceで石油化学プラントの生産を間もなく開始すると発表した。

253百万ドルを投じたもので、LDPE年産300千トンを生産する。

具体的には下記の通りで、当初は2012年に生産開始とされていた。

社名:Kordestan Petrochemical

立地:Sanandaj, Kurdestan province

製品:LDPE 300,000t/y

5月31日にはMahabad のMahabad Petrochemical がLLDPE/HDPE 300千トン、Butene-1 30千トンをスタートしている。

原料のエチレンはBandar Imam とAssaluyeh からWest Ethylene Pipelineにより輸送される。

West Ethylene Pipelineの第二期(Kermanshah からMahabadまでの585km) は間もなく開通する。

West Ethylene Pipelineは350万トンのエチレンを輸送する能力を持つ。


 2006/7/20 イラン、地方での石油化学推進

 

豪州のWoodside Petroleumは9月5日、BHP Billiton から豪州西部沖のScarborough ガス田などの権益の半分を4億ドルで取得すると発表した。
BHP Billiton がExxonMobil と共有しているガス田の25%分と、BHP Billiton が単独所有するガス田の50%を取得するもので、後者についてはOperator になる。

取得する権益は下記の通り。
Operator
ガス田 鉱区 現在の所有 今後の所有 埋蔵量
(Best Estimate)
BHP
Billiton
Exxon
Mobil
BHP
Billiton
Woodside Exxon
Mobil
総量 Woodside
持分
Scarborough WA-1-R 50% 50% 25% 25% 50% 6.9Tcf 1.7Tcf
WA-62-R 100% 50% 50% 1.8Tcf 0.9Tcf
Jupiter WA-61-R
Thebe WA-63-R
合計 8.7Tcf 2.6Tcf


Woodsideは取引完了後に250百万米ドルを支払い、Scarborough ガス田の最終投資決定の段階で追加の150百万米ドルを支払う。

これにより取得する埋蔵量は2.6Tcf (Best estimate =2C)と評価される。 

Scarborough は洋上でLNGを生産する浮体式LNGによる開発を計画してきた。
Woodsideの参入により、既存のパイプラインにガスを流し込むなど浮体式LNGに比べコストが安い開発方法に切り替え、商業化を速める可能性が出てきた。

Woodsideが主体のPluto計画は、ガスを海底パイプラインで豪州西岸のBurrup 半島のBurrup LNG Park(North Rankinの液化基地に隣接)に運び、LNG化する。

業績不振のBHP Billitonは、2016年6月期通期決算では米シェールガス関連の減損が響き、64億ドルの赤字に転落した。
ガス資産を売却し、主力の石油や鉄鉱石、銅などに注力する。


近辺の計画は次のとおり。

Gorgon  Chevron50%、ExxonMobil 25%、Shell 25%
North Rankin Japan Australia LNG (MIMI) (三井物産・三菱商事)、BHP Billiton、BP、Chevron、Shell、Woodside Energy 各1/6
Pluto Woodside Energy 90%、関電 5%、東京ガス 5%


2009/9/18 
Chevron、豪州でのGorgon Natural Gas Project 実施の最終決定


米食品医薬品局(FDA)は9月2日、抗菌作用のあるトリクロサンなど19種類の殺菌剤を含む抗菌石鹸やボディーソープなどを販売禁止にすると発表した。

長期に日常使用した場合の安全性と、通常の石鹸水より殺菌効果があるということをメーカーが証明できなかったとしている。
一部企業は既にこれらの殺菌剤を製品から除外し始めている。


「消費者は抗菌石鹸は細菌の増殖を防ぐのにより効果があると考えがちだが、通常の石鹸と水より有効だという科学的根拠はない」と指摘した。さらに「殺菌剤は長期的に利点よりも有害となりうる可能性があるとの指摘もある」と警告した。

規制対象となったのはトリクロサン、トリクロカルバンなど下記の19種類の殺菌剤を含む石鹸やハンドソープ、ボディーソープなど。

  • Cloflucarban
  • Fluorosalan
  • Hexachlorophene
  • Hexylresorcinol
  • Iodine complex (ammonium ether sulfate、polyoxyethylene sorbitan monolaurate)
  • Iodine complex (phosphate ester of alkylaryloxy polyethylene glycol)
  • Nonylphenoxypoly (ethyleneoxy) ethanoliodine
  • Poloxamer-iodine complex
  • Povidone-iodine 5 to 10 percent
  • Undecoylium chloride iodine complex
  • Methylbenzethonium chloride
  • Phenol (greater than 1.5 percent)
  • Phenol (less than 1.5 percent) 16
  • Secondary amyltricresols
  • Sodium oxychlorosene
  • Tribromsalan
  • Triclocarban
  • Triclosan
  • Triple dye

トリクロサンは殺菌効果などをうたう液体抗菌製品の93%に含まれており、2千種以上が販売されているという。
水で使用し、使用後に洗い流すものが対象で、除菌用ローション (Hand sanitizers)や医療の場で使われる殺菌製品には適用されない。

FDAでは、トリクロサン(液体石鹸)、トリクロカルバン(固形石鹸)など殺菌製品に使われる殺菌剤の長期使用で菌への抵抗性やホルモン効果などの健康リスクがあることを示すデータが出たため、2013年にルールを提案し、販売を続ける場合には安全性と有効性の追加データを出すよう求めた。

しかし、メーカーは19種類の殺菌剤についてデータを出すことが出来なかった。他の3種類、Benzalkonium chloride、Benzethonium chloride、Chloroxylenol (PCMX) については、追加データ待ちで1年間だけ使用を認めた。

FDAは通常の石鹸と水による手洗いを推奨しており、石鹸がない環境ではアルコール消毒液(60%以上のアルコールを含むもの)の使用を勧めている。

ーーー

欧州でもEuropean Chemicals Agency (ECHA)が2015年6月25日にトリクロサンの使用禁止を決定した。

ホルモンの働きを妨害し、甲状腺や生殖成長、発達機能などに影響を及ぼす可能性があることや、抗生物質が効かない抗生物質耐性菌が生まれているとの研究報告がある。

日本では1990年代に病原性大腸菌O157の被害が広がると抗菌剤に注目が集まり、トリクロサンが配合された薬用せっけんなどが広く使われるようになった。
現在も、トリクロサンやトリクロカルバンを含む製品が多く販売されている。

菅官房長官は9月7日の記者会見で、「日本において同様の成分を含む製品の確認を早急に実施している。この調査結果を踏まえ、厚生労働省の審議会において日本が取るべき措置について検討を行い、速やかに結論を導きたい」と述べた。

英主要メディアは9月5日、英国のEU離脱決定をめぐり、日系企業に関税や通関手続きなど新たな負担がかからないよう求めた日本政府の要望書について、「日本が警告の砲弾を放った」などと大きく報じた。

日本政府は9月2日にBrexit に伴う対応を検討する関係省庁会議を首相官邸で開き、1) 現行の関税率や通関手続きの維持、2) 外資参入にかかる基本政策の維持、3) 英・EU間の規制、基準の維持――などを柱とする要望事項をまとめた。
文書は9月2日付で外交ルートを通じて英政府とEUに伝達し、9月5日の日英首脳会談でもあらためて意向を伝えたもよう。

文書は、"Japan's Message to the United Kingdom and the European Union" というタイトルで、要約 1ページ、本文4ページ、英国及びEU宛の要望書10ページの合計15ページに及ぶ。
  全文:www.mofa.go.jp/files/000185466.pdf

要約は次のとおり。

開かれた欧州の維持がアジアを含む世界にとっての関心事である。

不確実性が経済にとって大問題で、post Brexit がどうなるのか、はっきり分かるような「予測可能性」が確保されることを望む。そのためには、暫定期間の設定を含めた交渉の段取りや制度変更時の移行・周知期間を含め、透明性の高い離脱交渉が必要である。

日本の多くの企業が英国で活動しているが、以下の要望(詳細添付)を日本政府に出している。

追加の関税や手続きを必要としない貿易の維持
投資に拘束を受けないこと
欧州でのサービスや金融取引がスムースに行える環境の維持
必要なスキルを有する労働力の確保
英国とEU間の調和のとれた規則や基準

日本政府は英国とEUがこれらの要請をフルに留意し、これらに応え、現在のビジネス環境を維持し、急激な変化の影響を緩和し、魅力的な進出先であり続けることを望む。

日本は、Brexit の交渉プロセスが世界経済に悪影響を与えずにスムースに進められるよう、協力する。

文書では、欧州では日本企業は44万人の雇用を行い、多くの企業が英国に集まっていること、2015年の欧州向け直接投資の約半分が英国向けであることなどを示し、上記の要請が満たされない場合、英国から大陸欧州に移転する可能性があることを示唆している。

日本は「労働者の移動の自由」と「EU諸国との従来通りの貿易」 を求めているが、後者については英国も望んでいるものであるのに対し、Brexit のそもそもの目的が「移民の流入の阻止」である。
日本の要請は、国民投票の結果を否定する内政干渉らえられる恐れがある。

Guardian 紙は、要望書が「メイ首相のチームに大きな困難をもたらした」と報道、他のEU非加盟国から同様の要望が相次ぎ、離脱交渉の手足が縛られることを、英首相官邸が恐れていると論じた。

大衆紙 Daily Express は「破滅の恐怖をあおる日本、離脱後の英国の混乱を警告」(Doom-mongering Japan issues warning of TURMOIL in Britain post-Brexit during G20 )と扇情的な見出しを掲げた。同紙電子版には「日本製品はボイコットだ」「英国から出て行け」「脅しには屈しない」などと反日感情をむき出しにした読者のコメントが相次いだ。
「日本が英国から出て行けば、ボイコットする日本製品がなくなってしまうな」というのもある。

9月5日の英議会での質疑でも国会議員が相次いで取り上げた。デービスEU離脱担当相は答弁で「我々は単に、日本政府に明らかに関心があるような、限られた数の会社や銀行の利益を見ているのではない。経済全体の利益を見ており、(離脱案作りには)少し時間がかかる」と述べた。(朝日新聞)





アブダビ石油は1969年に試掘1号井で出油に成功し、1973年から商業生産を開始した。
現在、ムバラス油田、ウム・アル・アンバー油田、ニーワット・アル・ギャラン油田の3油田から生産される原油をブレンドし、ムバラスブレンド原油として、全量をコスモ石油とJX日鉱日石エネルギーが引き取っている。

アブダビ石油は2012年にアブダビでの石油開発の45年間の期限を迎えたが、2011年2月に30年更新の新利権協定を締結した。

既存のムバラス油田、ウム・アル・アンバー油田、ニーワット・アル・ギャラン油田の3油田(合計日量 24千バレル) に加え、同程度の生産量が見込めるヘイル油田の権益も取得した。

2009/1/23 アブダビ石油の油田権益 20年延長へ



アブダビ石油では 新たに権利を得たヘイル油田に、総事業費約800億円で貯蔵設備やパイプラインなどを整備し、2017年半ばの生産開始を目指している。2018年に全面稼働し、日本向けに日量2万バレル超を生産する計画で、生産中の3油田と合わせた生産能力は倍増する。

国際協力銀行(JBIC)とメガバンク3行が約600億円を協調融資し、支援する。

ーーー

コスモ石油は2014年11月6日、コスモ子会社のコスモエネルギー開発が保有するアブダビ石油の株式を新設分割により設立する会社に承継させ、新設会社の一部持分をスペインの総合石油会社のCEPSAに譲渡すると発表した。

コスモ石油とCEPSAは共にアブダビ国営の投資会社 International Petroleum Investment Company(IPIC)グループの一員同士である。

IPICは2007年にコスモ石油に20%出資し、筆頭株主となった。
IPICはCEPSAの株式を順次取得し、2009年8月にTotal から48.83% を買収、最終的に100%をおさえた。

2014/11/11 コスモ石油、UAE油田開発でCEPSAとJV 

フランスの原子力安全局 (ASN) は6月28日、フランスで運転中の58基の加圧水型原子力プラントのうち、9つの原発の18基の蒸気発生器で水室(Channel Head) の機械的強度が想定より低い可能性があると発表した。

これらはArevaのCreusot 工場 と日本鋳鍛鋼(新日本製鐵グループ及び三菱グループの共同出資)が鍛造したもので、機械的強度を低下させる炭素濃度の高い領域を持つ鍛造鋼が使われた可能性がある。

2015年4月、建設中のフランスの Flamanville 3号機で、Areva社傘下のCreusot 工場 (Creusot Forge ) が製造した原子炉容器上蓋と下鏡に鋼材組成の異常が見つかり、調査を指示していた。

これを受け、原子力規制委員会は8月24日、国内の実用発電用原子炉の原子炉容器等において炭素濃度の高い領域が残っている可能性がある鋼塊部分を含んだ鍛造鋼の使用の有無等について確認する必要があると判断し、下記の調査対象機器について、製造方法及び製造メーカーを調査し、その結果を報告することを指示した。

加圧水型原子炉:原子炉容器、蒸気発生器、加圧器
沸騰水型原子炉:原子炉圧力容器

2016/8/25 原発に強度不足の鋼材使用の可能性 


原子力規制委員会は9月2日、電力各社からの報告を発表した。

13基の原発で原子炉容器に日本鋳鍛鋼の鍛造鋼が使用されており、その他、4基の原発で蒸気発生器で使用されていることが分かった。

鍛造鋼の使用が確認された原発については、当該鍛造鋼が規格(JIS等)を上回る炭素濃度領域を含む可能性について評価し、その結果を10月31日までに報告させ、対応を検討する。

電力会社 原発 現状

原子炉容器

蒸気発生器
上蓋 下鏡 胴部 一次側鏡板
北海道 泊1号
泊2号
東京 福島第二 2号
福島第二 4号
北陸 志賀1号
関西 高浜2号
高浜3号 運転差止
高浜4号 運転差止
大飯1号
大飯2号
四国 伊方2号
九州 玄海2号
玄海3号
玄海4号
川内1号 営業運転
川内2号 営業運転
日本原子力 敦賀2号
(基数)

(13基)

(他4基)


フランスでは運転中の18基でこの鋼材が用いられているが、当局は直ちに安全上の問題があるとは判断していない。

日本鋳鍛鋼では、「原子力の分野では特に厳しい仕様を定め、検査で強度も確認しており、現時点で問題はないと認識している。事業者の調査に協力し、原子力規制委員会から要請があれば、いつでも調査を受ける」としている。(産経新聞)


年金積立金管理運用独立行政法人(GRIF)は8月26日、2016年度第1四半期(4-6月)の運用状況を発表した。

運用益は マイナス5兆2342億円で、2015年度第4四半期のマイナス4兆7990億円に続き、2四半期連続の巨額赤字となった。

GRIFでは、赤字の要因として、①中国の景気の悪化、②5月の米雇用統計の想定外の低迷、③英国のEU離脱を問う国民投票を挙げ、それらが重なり株安や円高となったとしている。

6月末の円相場は3月末との比較で主要10通貨全てに対して上昇した。国内株は大幅に下落する一方、日本銀行のマイナス金利政策を受けた国内債の利回りは低下した。
下記の通り、株式比率を大幅に増やしたことが響いた。

株式の赤字の多くは期末時点での時価に基づく評価損であり、全額が実現した損益ではない。
保有している株式については、今後に株価が上がると取り戻せる可能性はある。第1四半期の利子・配当収益は8,342億円であった。

GRIFは、「市場変動による影響について多角的に分析しつつ、長期的な観点から運用を行っており、短期的に市場価格が上下しても年金受給に支障を与えることはありません 」としている。

なお、2015年度通期の運用損益はマイナス 5兆3098億円であった。

市場運用開始(2002年度)以降の累積収益額は、2014年度末では50兆7338億円であったが、2016年度第1四半期末には40兆1898億円に減少した。

第1四半期末での運用資産額は129兆7012億円であった。

ーーー

GRIFは2014年10月に運用方法を大幅に見直し 、これまで24%であった株式(国内、外国12%ずつ)を50%(国内、外国25%ずつ)に増やし、株式と債券が半分ずつで国内資産6割・外貨建て資産4割という分散型 とした。5%だった短期資産は各資産に分散して管理している。

理由は制度を維持できるだけの運用益を確保するため。

今の制度に必要な利回りは1.7%だが、低金利の国債で運用しても目標を達成できない。
また、「全額国債運用なら、1%金利が上昇すれば、(債券価格が下落するので)10兆円の評価損が出る。国債は安全で、株式は危ないという考えがあるが、そうではない」と説明した。

今後、新たな基本ポートフォリオを目標として中長期的に資産配分を調整する。

2013/6/7 2014/6/末

2014/10/31

2016/6/末
基本 上下
変動率
基本 上下
変動率
国内株式 12% 6% 16.79% 25% 9% 21.06%
外国株式 12% 5% 15.54% 25% 8% 21.31%
国内債券 60% 8% 51.91% 35% 10% 39.16%
外国債券 11% 5% 10.76% 15% 4% 12.95%
短期資産 5% 5.00% 5.51%
合計 100% 100% 100% 100%

上下変動率は国内債券が8%から10%、国内株式6%から9%、外国債券5%から4%、外国株式5%から8%に変更された。

新たな目標値に向けた資産構成への変更がほぼ終了した2015年7-9月期に自主運用開始以降で最大の評価損を計上した。

金融市場は昨年末にかけて持ち直したものの、本年に入ると円高・株安が再燃し、再度大幅赤字となった。

2015年 4-6 2兆6489億円
7-9 -7兆8899億円
10-12 4兆7302億円
1-3 -4兆7990億円
2016年 4-6 -5兆2342億円

国内債券は黒字であるが、比率を増やした株式(国内及び外国)が大幅赤字である。


GRIFは「投資は長期で見るもの」としているが、株式比率を上げるとボラティリティが高まることを被保険者に十分に伝えていないことを問題視する意見が多い。

JXホールディングスと東燃ゼネラル石油は8月31日、来年4月1日に経営統合し、新統合会社「JXTGホールディングス」を設立することで最終合意したと発表した。

両社は2015年12月3日に経営統合を目指すことで基本合意書を締結している。

2015/12/4 JXホールディングスと東燃ゼネラル石油の経営統合

手続きは下記の通り。

① 経営統合日(2017年4月1日)に、東燃ゼネラル1株に対し、JXHD株式 2.55株を割り当てる株式交換を行う。

   2016年12月21日の両社株主総会での承認、関係当局からの許認可を前提。

② 同日にJXエネルギーを存続会社、東燃ゼネラルを消滅会社とする吸収合併を行う。


統合持株会社は、社名をJXTGホールディングスとし、会長に木村・JX会長、社長に内田・JX社長、副社長に武藤・東燃ゼネラル社長が就任する。

なお、これらに先立ち、2017年1月1日付けで、東燃ゼネラルは子会社のEMGマーケティングを吸収合併する。

統合効果については、昨年の発表時には「統合後5年以内に、事業年度当たり連結で1000億円以上の収益改善効果」としていたが、新たな目標を「統合後3年以内に1000億円」とした。

内訳概算は下記の通り。

供給・物流・販売部門 280億円 原油調達オペレーション最適化、陸海上配送効率化など
製造部門 400億円 川崎地区の一体運営による約100億円の収益改善
ベストプラクティス活用による省エネ促進・補修費削減など
購買部門 150億円 工事資材、触媒などの購買コスト削減
その他 170億円 統合基幹業務システム導入による業務改善
その他効率化・合理化など
合計 1000億円 「数百人規模の人員効果を含んでいる」

両社で合計11カ所ある製油所についても統廃合を早期に実現する。

なお、商品ブランドは各社の現在のブランドを継続して使用し、将来の最適ブランドについては引き続き検討を続ける。

EUは8月30日、アイルランドが米国のAppleに対して税を優遇していたのは、EUの法律が禁止している不当な補助にあたるとして、最大で130億ユーロ(プラス金利)の追徴課税を行うよう命じた。

EU執行機関の欧州委員会は、2014年6月11日、Apple、Starbucks、Fiat Finance and Trade 3社の法人税に関して、それぞれアイルランド、オランダ、ルクセンブルクの各国税務当局が下した判断について、本格的な調査を開始したことを明らかにした。

欧州委員会では、これら企業の税金が大幅減額になった可能性があるため、これら企業に対して適用する税制の優遇措置がEUで定めている「国の補助」の規則に違反していないか調べる。

EUでは加盟国政府や自治体などによる国内企業に対する補助・支援は、域内の他国企業との公正な競争を阻害してはならないとする規則がある。

欧州委は税務当局と個別企業との間の優遇措置などを規定した「税務取り決め」自体は問題ではないが、一部の企業に特別な利益を与えることにつながっていると懸念している。

EUはその後、2014年6月11日付けのアイルランド向けのレターを公表した。Appleに対する課税の疑惑を詳細に述べ、今後調査を続けることを伝え、資料の提出を要求している。

2014/6/13 欧州委員会、Apple等の法人税を調査 


参考 

2012/12/14 スターバックスの移転価格税制問題
2014/10/20 買収・合併による節税目的の海外移転禁止の動き強まる
2014/11/27 欧州委員会、オランダのStarbucks への税優遇の内容を公表
2015/10/27 欧州委員会、StarbucksとFiatの税優遇を違法と認定、追加徴税を指示
2015/12/9 EU、McDonald'sに対するルクセンブルグの法人税優遇措置を調査
2016/1/14 EU、ベルギーの「税優遇制度」は違法
2016/1/26 Google、追加納税で英税務当局と合意
2016/3/8 Facebook、英で法人税納付拡大

アイルランドのApple子会社は欧州 (及び中東、アフリカ、インド)での販売利益を全てアイルランドに集めている。

欧州委員会は、調査の結果、アイルランド政府は通常の法人税率 12.5%に対し、Appleには、2007年の税務取り決めに基づき、利益の1%以下しか納めないで済むように優遇措置を認めていたとして、EUの法律が禁止している国による違法な補助にあたると判断した。

そのうえで、2003年から2014年にAppleが支払うべきだった最大で130億ユーロを追徴課税するよう、アイルランド政府に命じた。

ルールでは、違法な国の支援については、欧州委員会が最初に情報を求めてから10年間となっている。
本件では2013年に情報を求めた。Appleでは2015年にアイルランドでの体制を変更し、2007年の税務取り決めは無効となった。

欧州委員会の競争担当のMargrethe Vestager 委員は会見で「国が特定の企業を優遇してはならないという明確なメッセージだ」と述べた。

これに対し、Appleは顧客向けのコメントを発表し、「違法ではない」と主張した上で、法的措置をとる方針を明らかにした。

アイルランドの財務相は、欧州委員会の決定を受け入れられないとの見解を示した。
税全額が納付されており、政府の補助は一切ないとの立場に変わりなく、アップルに優遇税制を講じてはいないと表明した。

米国財務省は「失望した」とし、アイルランドや欧州の他国への外国からの投資に影響を与えるだろうと述べた。
企業側が米国での納税に際してその分の控除を受けようとし、米国の納税者に「最終的につけが回される」可能性があるとし、欧州委員会による遡及課税はアンフェアであり、確立した法原則に反するものであるとしている。

付記

Appleは9月1日、海外事業で稼いだ多額の現金を来年以降、米国に還元するとの考えを示した。
この場合、追加課税により還元金額は大幅に減少し、米国の税金が減ることとなる。

なお、オランダ(Starbucks) 、ルクセンブルグ(Fiat) はEUの措置を不満とし、欧州司法裁判所に提訴している。


欧州委員会の発表内容は下記の通り。

Apple Inc.はアイルランドに Apple Sales International と Apple Operations Europe を持つ。

両社はAppleとの間で Cost Sharing Agreement を締結し、Appleの知財を使用する権利を持ち、欧州、中東、アフリカ、インドでApple製品を販売する。

Apple Sales International が主で、世界中からApple製品を購入し、販売する。
Apple Operations Europe は一部のAppleコンピュータを製造し、販売する。

各国の需要家は製品を直接両社から購入する契約を結ぶ。

社はCost Sharing Agreement に基づき、米国本社にロイヤリティを支払う。2011年の支払は20億米ドルで、2014年に著しく増大した。

販売利益からこれを控除したものが両社の利益となるが、この扱いについて、Appleは1991年にアイルランド政府との税務取り決めを結び、2007年にこれを改定した。

それによると、この利益の大半を両社の "head office" に移転する。ごく一部が残り、アイルランドで課税される。

"head office"はどの国にも属さず、従業員も事務所もない。活動はときどき取締役会を開くだけ。"head office"に移された大半の利益は、どの国からも課税されない。

2011年には、Apple Sales Internationalの利益は160億ユーロであったが、このうち50百万ユーロだけが課税所得となり、10百万ユーロの税金を支払った。
残りの利益159億95百万ユーロは非課税となった。

この結果、Apple Sales International の実効税率は2011年で0.05%、2014年には利益は増えたが課税所得は増えなかったため、実効税率は 0.005%になった。

Apple Sales International と Apple Operations Europe の活動で大半の利益が計上されており、 "head office" は実際の事業活動を一切行っておらず、金利収入のみが利益である。

これをベースに考えると、アイルランド政府の税務取り決めの結果、Apple は他の企業よりも著しく低い税金しか払わずに済むこととなり、EUの国による支援のルールでは違法なものとなる。

ルールでは違法な支援は取り戻すこととなっている。罰金を課すのではなく、他の企業と同じ扱いにするだけである。

試算では、取り戻しの対象期間(欧州委員会が最初に調査を求めた2003年から、この税務取り決めが取り消される前の2014年まで)の未払い税金は130億ユーロ(プラス金利)である。

Apple Operations Europe分が50百万ユーロで、残りがApple Sales International の分。

もし、この発表により他の国が両社に課税することとなる場合には、その分は控除される。



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