2018年7月アーカイブ

 

BHP は7月26日、米国のEagle Ford、Haynesville、Permian 及びFayetteville の陸上石油・ガス資産全てを合計108億ドルで売却する契約を締結した。

売却の概要は下記の通りで、今後、所定の手続きを経て、10月末までに取引が完了する見込み。7月1日以降の経済的利益が買い手に移る。

BHPでは、事業を簡素化して強化し、株主価値を高めるという長期計画に沿い、2017年8月に米国のシェール事業の高値での売却を決定し、今回2社と契約を結んだ。

今後、売上高、利益の約4割を占める鉄鉱石や、電気自動車の普及で需要増が見込まれる銅など中核事業に経営資源を集中する。

同社では借入金は低位にあり、売却収入の株主還元を考えている。損益面では、税引前29億ドル、税引後で28億ドルの減損損失を計上する。

売却先 売却子会社 石油・ガス田 生産量 内訳 売却額
BP American Production Company Petrohawk Energy Corporation Eagle Ford 90,000 boe/d 70% liquids $10.5 billion
Haynesville 60,000 boe/d all gas
Permian 40,000 boe/d 70% liquids
MMGJ Hugoton III, LLC
(Merit Energy Company
子会社)
BHP Billiton Petroleum (Arkansas) Inc
BHP Billiton Petroleum (Fayetteville) LLC
Fayetteville 37,000 boe/d $0.3 billion


BHP Billitonは外国からの米国のシェールへの最大の投資者であり、
4つのシェールオイル (Eagle Ford、Permian、Haynesville、Fayetteville)で権益を有している。

BHPは2011年2月に、米天然ガス大手Chesapeake Energyからアーカンソー州のFayetteville Shaleの権益全てとパイプラインを47.5億ドルで買収した。

2011/2/23 BHP Billiton、米シェールガス鉱区を買収 

2011年7月には、テキサス、ルイジアナ両州に約100万ネットエーカーのオイルシェール資産を保有するPetrohawk Energy の全株式を現金でのTOBで取得する契約を締結した。
買収金額は121億ドルで、借入金込では151億ドルになる。

この買収で、BHPはテキサスの
Permian BasinEagle Ford、テキサスとルイジアナにまたがるHaynesvilleの権益を取得した。

2011/7/19  BHP Billiton、米のオイルシェール企業 Petrohawk Energy を買収

同社は2016年1月15日、米国のオンショアエネルギー資産(シェールガス)について減損処理すると発表した。72億ドル(税引き後で49億ドル)という過去最大の減損処理となる。

2016/1/17 東京ガスとBHP Billiton、米国のシェール関連で減損処理

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BPはBHPからの3つの石油・ガス田の買収により、米国の石油・ガス事業を拡大する。

BPの現在の米国での生産は744千boe/d (石油換算日量バレル)で、本土の陸上が315千boe/d 、メキシコ湾が315千boe/d 、アラスカが109千boe/d となっている。

同社は7月3日にアラスカの Greater Kuparuk 油田の39.2%の権益をConocoPhillips に売却した。アラスカのPrudhoe Bay油田に専念する。

これに今回の取得 190千boe/d を差し引きすると、米国での生産は約885千boe/d に拡大する。

京都大学医学部附属病院は7月30日、iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験を8月1日より開始すると発表した。
高橋淳教授らのチームが学内の治験審査委員会の審査を終えて、6月4日付で医薬品医療機器総合機構(PMDA)を通じ、厚生労働大臣に医師主導治験として治験計画届を提出していた。

iPS細胞からつくった細胞を人に移植する研究が認められるのは目の難病と心臓病に続いて3例目。パーキンソン病の治験としては世界で初めてとなる。

理化学研究所と先端医療振興財団は2013年7月30日、iPS細胞を使い、滲出型加齢黄斑変性の患者6人を対象に、目の網膜を再生する世界初の臨床研究を8月1日に開始すると発表した。

2013/12/4 大日本住友製薬と理研認定ベンチャーのヘリオス、iPS細胞由来医薬品を共同開発

厚生労働省の再生医療等評価部会は2018年5月16日、iPS細胞から作った心臓の筋肉細胞をシート状にして重症心不全患者の心臓に移植する大阪大の臨床研究計画を、臨床研究の患者の対象を厳しくすることなどの条件付きで承認した。

2018/5/19 iPS細胞の心臓病臨床研究、承認

パーキンソン病は脳で神経伝達物質のドパミンを分泌する神経細胞が失われる難病で、体が震えたり筋肉がこわばったりする。

ドパミンはドパミン神経細胞の中で作られる。パーキンソン病は、ドパミン神経細胞が進行性に失われ、ドパミン産生量が減少することにより発症する。

症状を和らげる飲み薬などの治療では神経細胞の減少を止められず、根本的な治療法はない。

京都大学iPS細胞研究所で構築している「再生医療用iPS細胞ストック」から提供されたiPS細胞をドパミン神経前駆細胞へ分化させ、分化誘導したドパミン神経前駆細胞(計約500万個)を、定位脳手術により、患者の脳の線条体部分(左右両側)に移植する。

ドパミン神経前駆細胞は、ドパミン神経細胞に分化する手前の細胞で、パーキンソン病モデル動物を用いた研究から、ドパミン神経前駆細胞を移植することによって脳内に成熟ドパミン神経細胞を効率的に生着させられることが明らかになっている。

手術は、頭部を固定した上で頭蓋骨に直径12mmの穴を開け、そこから注射針のような器具を用い、細胞を注入する。

細胞移植後に免疫反応が起こる可能性があるため、本治験では、既に臓器移植等において臨床実績のあるタクロリムスを細胞移植時の免疫抑制剤として使用する。

実施予定人数は7人で、移植後2年間観察する。

本治験は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)と大日本住友製薬より支援を受けて実施される。

治験が成功すれば大日本住友製薬が開発を引き継ぎ、実用化を目指す

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大日本住友製薬は2018年3月1日、吹田市の総合研究所内に建設中の再生・細胞医薬製造プラント「SMaRT」(Sumitomo Dainippon Manufacturing Plant for Regenerative Medicine & Cell Therapy)が竣工したと発表した。

本施設は、他家iPS細胞由来の再生・細胞医薬品専用の商業用製造施設としては世界初。

同社は産学の連携先と、加齢黄斑変性、パーキンソン病、網膜色素変性、脊髄損傷等を対象に、他家iPS細胞を用いた再生・細胞医薬事業を推進しており、本施設では、治験薬製造と初期の商用生産を行う。

京都大学iPS細胞研究所と大日本住友製薬は2011年4月、難治性希少疾患の治療法創成を目的とする5年間の共同研究を行うことについて合意し、共同研究契約を締結した。
研究期間は2011年3月〜2016年3月(5年間)で、両者は疾患特異的人工多能性幹細胞(iPS 細胞)を用いて、病気が進行するメカニズムを解明し、疾患特有の疾患関連シグナルを同定してその経路を阻害する治療薬を探索する。
大日本住友製薬は、両者の共同研究で探索した化合物の評価・最適化・合成展開を行う。

大日本住友製薬と理研認定ベンチャーのヘリオス(旧称 日本網膜研究所)は2013年12月2日、再生・細胞医薬事業に関する提携を発表した。
加齢黄斑変性等の眼疾患を対象としたiPS細胞由来網膜色素上皮細胞(RPE細胞)を用いるもので、世界初のiPS細胞技術を用いた再生・細胞医薬事業に向けたもの。

2013/12/4 大日本住友製薬と理研認定ベンチャーのヘリオス、iPS細胞由来医薬品を共同開発

京都大学 iPS細胞研究所(CiRA)と大日本住友製薬は2017年8月1日、戸口田淳也教授、池谷真准教授を中心とするグループが iPS細胞を使って、進行性骨化性線維異形成症(FOP)の異所性骨化のメカニズムを解明し、それを抑える薬の候補としてラパマイシンを同定したと発表した。

2017/8/3 京大が iPS創薬の世界初の治験開始

ベネズエラ政府は7月25日、ハイパーインフレに対応するため、通貨の単位を5ケタ切り下げるデノミ(通貨単位の切り下げ)を実施すると発表した。

8月20日付で、10万Bolivaを5ケタ切り下げ、新通貨1Bolivar Soberano (Sovereign Bolivar)に切り替える。

従来の計画では8月4日付で現在流通する1000 Bolivarを3ケタ切り下げ、新通貨1 Bolivar Soberanoに切り替えるとしてきた。

しかし、国際通貨基金(IMF)が同国の物価上昇率について年内にも100万%に達すると発表(下記)するなど上昇ペースが加速しており、対応しきれないと判断した。

ベネズエラでは外貨不足で生活に必要な物資を十分に輸入できず、足元では月2倍のペースで物価上昇が続いている。
下のグラフ(たった1年間のグラフ)では5月末時点で27,364%だが、議会の調査では6月では約4万6000%となっている。

ブルームバーグは独自に、首都カラカス東部にあるベーカリーのコーヒー1杯の値段を調査し、経済指標として使っている。「カフェ・コン・レチェ(ミルク入りコーヒー)指数」と呼ばれるこの指標によれば、過去12カ月間でインフレ率は6万%上昇した。上昇はさらに加速しており、過去3カ月のインフレ率は年率で30万%を記録した。


IMFの西半球部門のAlejandro Werner部長は、7月23日付のレポート Outlook for the Americas: A Tougher Recovery で、同国の
2018年のGDPは3年連続の2桁のマイナスが予想され、インフレ率は2018年末までに100万%に達する可能性があると警告した。

「経済活動の崩壊、ハイパーインフレ、公共財の供給不足、補助金つきの食料の不足が、大規模な国外への移住につながっている。近隣諸国にも大きな影響を与えるだろう」と指摘している。すでに生活条件の悪化から、100万人以上が国を捨て、近隣諸国へ逃げだしている。

IMFのReportは次の通り。

Venezuela remains stuck in a profound economic and social crisis.

Real GDP is projected to fall by about 18 percent in 2018--the third consecutive year of double-digit declines in real GDP--driven by a significant drop in oil production and widespread micro-level distortions on top of large macroeconomic imbalances.

We expect the government to continue to run wide fiscal deficits financed entirely by an expansion in base money, which will continue to fuel an acceleration of inflation as money demand continues to collapse.

We are projecting a surge in inflation to 1,000,000 percent by end-2018 to signal that the situation in Venezuela is similar to that in Germany in 1923 or Zimbabwe in the late 2000's.

The collapse in economic activity, hyperinflation, and increasing deterioration in the provision of public goods (health care, electricity, water, transportation, and security) as well as shortages of food at subsidized prices have resulted in large migration flows, which will lead to intensifying spillover effects on neighboring countries.

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インフレ率 100万%は第一次世界大戦の敗戦後の1923年のドイツや、2000年代後半のジンバブエに匹敵する。
(2015~2017年の
Ig Nobel 賞の賞金には10兆ジンバブエドル紙幣が与えられた。これは米国の40セントに相当する。)

産油国ベネズエラは、経済を支える原油の生産量が昨年28年ぶりの水準に落ち込んだ。 OPEC発表では、ベネズエラの昨年の原油生産は前年比約13%減の日量 2072千バレルで2017年12月の生産は日量1621千バレルで、前年比29%減った。

産油国は昨年、OPEC主導の協調減産を2018年末まで延長することで合意したが、他国が自主的に生産を抑えているのに対して、ベネズエラの石油産業は非効率な投資、納入業者への支払いの遅れ、米国の経済制裁、頭脳流出などで大きな打撃を受けており、6年続く原油生産の減少に歯止めを掛けることができずにいる。

本年5月20日に投開票された大統領選で、反米左派のニコラス・マドゥロ大統領(55)が再選された。

マドゥロ大統領は経済改革の実施を拒み、現在の危機を、国内の反政府派がアメリカやその他の競争相手国と手をくんで仕掛けた「経済戦争」のせいだとしている。政府機関は、国の崩壊の本当の姿を隠すために、経済統計の公表を停止している。


EU独占禁止当局は7月24日、自社製品のネット販売で固定、最低価格を設定したとして、台湾のPCおよびPCパーツ、スマートフォン、周辺機器製造メーカーのAsus、日本のDenon & Marantz とパイオニア、オランダの医療機器・ヘルスケア大手Philipsの4社に合計1億1120万ユーロの罰金を課した。

Reduction for cooperation Fine (€)
Asus 40 % 63,522,000
Denon & Marantz 40 % 7,719,000
Philips 40 % 29,828,000
Pioneer 50 % 10,173,000
合計 111,242,000


4社は、固定又は最低の
再販売価格維持制度(Resale Price Maintenance =RPM) をとり、ネット小売各社が台所器具やノートパソコン、ハイファイ製品などの価格を設定する能力を制限するなどした。

特に製品を安値で販売するネット小売り各社がメーカー希望価格に従わない場合、供給を停止するなどして脅した。モニタリングシステムにより、安値販売を見つけ、素早く対応した。

パイオニアの場合は更に、ネット小売りが欧州内の国を超えて販売するのを妨げ、国ごとに異なる価格での販売を維持した。

欧州委のMargrethe Vestager委員は声明で「これら4社の行為の結果、数百万人の欧州消費者が、台所器具やヘアドライヤー、ノートパソコン、ヘッドホンなど多数の製品価格上昇に直面した」と指摘した。


Denon & Marantzについて:

2001年に日本コロンビアのオーディオ&ビジュアル機器製造部門が独立し、デノンとなり、Ripplewood Holdingsが日本コロンビアから株式の98%を買収し、子会社とした。

2002年にPhilipsの傘下であった日本マランツ(前身はスタンダード工業)と株式移転により、D&M Holdings を設立した。

2008年にBain Capitalが友好的買収を行った。

2017年に米国のSound United LLCが買収した。


トランプ米大統領は7月25日、訪米中のJean-Claude Juncker 欧州委員長との会談後、関税引き下げに向け EUと協力することで合意したと述べた。

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米政府は5月31日、カナダ、メキシコ、EUに対し鉄鋼・アルミニウムへの輸入関税を適用すると発表した。適用は午前0時からで、税率は鉄鋼が25%、アルミニウムが10%。

2018/6/2 米、EU・カナダ・メキシコに鉄鋼・アルミ関税発動 

これを受け、EUの欧州委員会は6月6日、対抗措置として、米国からの輸入品に報復関税を課す方針を正式決定した。

EUは被害を2017年ベースで64億ユーロ(71億米ドル)とし、直ちに28億ユーロ(32億ドル)相当の製品に課税する。対象は、鉄鋼・アルミ製品のほか、オレンジジュース、バーボン、たばこ、化粧品、シャツ、ズボン、靴、バイク、ボートなど。

これを受け、トランプ大統領は6月22日、「EUが関税や障壁をすぐに取り除かないなら、輸入自動車全てに20%の関税をかける。米国で生産せよ!」と呟いた。

2018/6/7 EU、米国の鉄鋼・アルミニウム輸入制限への報復関税、7月発動へ

米オートバイ製造大手Harley-Davidsonは6月25日、EUの関税引き上げを受け、欧州向けオートバイの生産を米国から海外に移す方針を明らかにした。

2018/6/27 Harley-Davidson、一部生産を米国外に移転


米国が輸入自動車全てに20%の関税をかけると、世界中に影響が出る。

EUの欧州委員会は7月17日、 Juncker 欧州委員長が7月25日に訪米し、トランプ大統領と通商関係について協議すると発表した。
「Juncker委員長とトランプ大統領は欧米間の通商関係の発展と経済的連携の強化に注力する。」

欧州委員会のマルムストローム委員(通商担当)は、Juncker委員長の訪米で貿易摩擦が緩和されることを望むとしながら、米国がEUからの自動車輸入に関税を発動した場合に適用する報復関税のリスト作成を進めていることを明らかにした。

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両首脳は貿易戦争につながる懸念の沈静化に努めた。

7月25日の会談後の共同声明によると下記で合意した。

1) 自動車以外の工業製品について、関税ゼロ、非関税障壁ゼロ、補助金ゼロに向かい、協力する。

 また、非関税障壁を減らし、サービスや化学品、医薬品、医療製品、及び大豆の貿易を増やすため協力する。

何故、どちらが、自動車を対象から除外しようと提案したのか、不明である。

報道では、米側要請で政府調達が協議の対象から除外され、EU側要請で農産物が除外された。

但し、例外的に大豆が含まれた。EU当局者は、米側から大豆の輸入を拡大するよう強い圧力があったと明らかにした。
米農家は米国産大豆に対する中国の報復関税の打撃を受けており、トランプ大統領は7月24日、農家に対し最大120億ドルを支払う支援策を発表した。

なお、EU高官は7月26日、最終的には自動車も関税撤廃の対象に含まれるとの見通しを示した。自動車だけを除くのは考えられないとしている。

2) エネルギーに関し、戦略的協力関係を強化する。EUはエネルギー供給の多様化を図るため、米国からもっとLNGを輸入する。

Juncker委員長は、米国が欧州向けLNG供給を拡大するため輸出ターミナルを増設することで合意したと明らかにした。

大統領はドイツが参加するNord Stream 2 計画(ロシアの天然ガスの海底パイプライン輸送)に不満を表明している。

3) 貿易を容易にし、官僚的障害を減らし、コストを下げるため、基準に関する緊密な意見交換を行う。

4) 米国とEUの企業をアンフェアなグローバル貿易慣行から守るため協力する。
 同意見の諸国と緊密に連絡を取り、WTOを改革し、アンフェアな貿易慣行(知的財産の窃盗、技術移転の強制、補助金、国有企業による歪み、過剰生産など)に対応する。

5) これらに対応するため、直ちにExecutive Working Group を設置する。加えて、短期的な対策を検討する。

 この間は、どちらかが交渉を取り止めない限り、この合意の精神に反する行動を行わない。

EUは、「相互に追加関税の発動を控える」とし、ロス商務長官も「自動車の追加関税は課さない」とするが、大統領は「合意の精神に反することはしない」とだけ述べている。

いずれにせよ、トランプ大統領が今後の進展に不満を抱き、「交渉を取り止め」れば、関税を課すことは可能である。

9月を目処に高官級の作業部会の初会合を開き、交渉内容の具体策の検討に入る。120日以内に結果を報告する方針。

6) 鉄鋼とアルミの関税問題と報復関税を解決することを望む。
  (We also want to resolve the steel and aluminum tariff issues and retaliatory tariffs.)

どのように話を進めるのかについての言及は一切ない。 単なる希望だけか?

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トランプ大統領は会見後、両者の「関係は新たな段階に入った」とし、「自由で公正な貿易にとって重要な日」になったと語った。さらに、「今すぐ交渉を開始するが、向かっている方向はとてもはっきりしている」と述べた。

大統領はツイッターで、米国とEUはお互いが好きだと呟いた。

Obviously the European Union, as represented by Juncker and the United States, as represented by yours truly, love each other!

"We met today...to launch a new phase in the relationship between the U.S. & the EU - a phase of close friendship, of strong trade relations in which both of us will win, of working better together for global security & prosperity, & of fighting jointly against terrorism."

Great to be back on track with the European Union. This was a big day for free and fair trade!

EUが米国からの液化天然ガス(LNG)の輸入を増やし、EUは「巨大な買い手」になると語った。

さらに、大豆の非関税障壁を削減することで合意したとし、「EUは大豆の購入を大幅に増やす。彼らは巨大な市場で、特に中西部を中心とする農家から大量の大豆を買う」と述べた。

ツイッター:

European Union representatives told me that they would start buying soybeans from our great farmers immediately.

Also, they will be buying vast amounts of LNG!


Juncker委員長は、工業製品の関税ゼロに向けた取引が「主要な目的」だったと語った。

トランプ、Juncker両氏は声明で、自動車関税には直接言及せず、他の工業製品に焦点を当てた。
自動車・部品関税について問題解決に向けた進展があったのかは不明。


今回の会談を歓迎する向きが多いが、具体的に決まったことが少ないことから、米国と中国の交渉のように、後になってご破算になる恐れも残っているとする意見もある。

I told you so! The European Union just slapped a Five Billion Dollar fine on one of our great companies, Google.
They truly have taken advantage of the U.S., but not for long!

これまでの最高額は2017年6月に同じく Googleに支払いを命じた2,424,495 千ユーロで、ネット検索市場での支配的な地位を乱用し、商品価格を比較する際に同社のサイト Google shopping を競合他社のサイトよりも目立つように表示されるようにすることで、公正な競争を阻害したとした。Googleはこれを不服としてEU司法裁判所へ提訴し、法廷闘争が続いている。

2017/7/4 EU、Google に24億2千万ユーロの制裁金 

今回、モバイルプラットフォームAndroidを採用するデバイスにGoogleのアプリをプリインストールさせ、モバイル検索やモバイルサービスにおける公正な競争を阻害していると判断した。

90日以内にGoogleが効果的な対策を講じなければ、Alphabetの毎日の世界の売上高の最大5%の罰金を追加で科す。


GoogleはGoogle検索アプリ(Google Search)で収入の大部分を得ている。

同社は早くから、デスクトップコンピューターからモバイルインターネットにシフトすると予想、ユーザーがモバイルでも確実にGoogle Search を使うよう動いた。

2005年にAndoroid社(2003年設立)を買収、それ以降、開発を続け、現在では欧州及び世界のスマホの約80%がAndroidで動いている。これとGoogle Search を結び付けた。

スマホ向けOSで圧倒的シェアを占める「アンドロイド」と自社製のアプリを「抱き合わせ」でメーカーなどに提供する戦略などが、他社のアプリを締め出して競争を損ねたと判定した。

具体的には、デバイスメーカーや通信キャリアに対して以下の3つの制限を設けることで、Andoridを通じて「モバイル検索サービス」「ライセンスを与えられるスマートモバイルOS」「Android用アプリストア」で市場を独占しているとしている。



1) Googleのアプリストア (Google Play Store)のライセンス条件として、Chromeブラウザ(Google Chrome browser) と Google検索アプリ (Google Search) のプリインストールをメーカーに要求。

Google Play Storeは、Android向けのコンテンツサービスで、Android搭載スマートフォン/タブレットで利用できるアプリ、映像、音楽、電子書籍などが配信されている。

欧州委員会の調査では、ユーザーはPlay Storeが入っているのが必須としている。

Googleは、Play Storeのラインセンスで、Google Chrome browser Google Search をプリインストールすることを条件とした。

2) Google検索アプリ(Google Search)のみをデバイスにプリインストールする一部の大手メーカーやモバイルネットワークオペレータにインセンティブ支払い。


3) Googleのアプリのプリインストールを希望するメーカーが、Google版ではないAndroidフォーク (Androidのベース部分だけを使用、独自のアプリを採用するもの)を販売するのを妨げた。

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AppleのiOSやBlackberryもモバイルOSにブラウザや様々なアプリをプリンストールしている 。
それらはハードウェアとOS、ソフトウェアの統合によって自社製品の体験を向上させるものであり、サードパーティのデバイスメーカーへのライセンスは行っていない。
サードパーティへのライセンスを通じて大きな市場シェアを握るGoogleとは、ビジネスモデルが異なる。

Googleの場合、ライセンスを通じて多くのユーザーがAndroidを使用し、Androidにアプリを提供する開発者が増え、さらにユーザーが増加するネットワーク効果が、Googleのサービス分野に他社が参入するのを妨げる高い障壁になっているとしている。

 


メキシコ外務省は7月23日、メキシコとコロンビア、ペルー、チリの中南米4カ国が参加する貿易自由化の枠組み「太平洋同盟」に韓国が準加盟国としてメンバー入りを申請する手続きを始めたことを明らかにした。
ビデガライ外相はツイッターを通じて韓国に対して歓迎の意向を示した。

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中南米の太平洋岸にあるメキシコ、コロンビア、ペルー、チリの各大統領は2012年6月6日、チリ北部パラナル天文台で首脳会合を行い、経済統合を目指す「太平洋同盟」設立の合意文書に署名、同盟が発足した。

オブザーバーのパナマとコスタリカも上記諸国との二国間FTAが終了した段階で正式に加盟する。

太平洋同盟4カ国の人口は計約2億人で、GDPは計約1.7兆ドル、親米色が比較的強い。

2011年4月にペルーの当時のガルシア大統領が、メキシコ、コロンビア、チリ及びパナマに呼びかけ、首脳会合を行い、「太平洋同盟」の設立に合意した。
この時の「リマ宣言」では、加盟国間の財、サービス、資本、人の流れを一層自由化するとともに、アジア太平洋地域との政治経済関係の強化を謳い、「深く統合された地域を形成する」とした。

2012/6/30 中南米4カ国の太平洋同盟発足 

現在の加盟国・オブザーバー国は次の通り。

太平洋同盟の4カ国はコロンビアを除き TPP 11に参加している。コロンビアもすでに参加を希望する意向を表明している。

ステータス 条件 会合出席 国名 国数
正規加盟国 全加盟国との間で
2国間FTAを締結
全会合 チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー 4
加盟国候補
オブザーバー
全加盟国の半数とFTAを締結 全会合 コスタリカ、パナマ 2
オブザーバー 閣僚評議会の承認のみ 首脳会合、
閣僚会合のみ
カナダ、米国、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ハイチ、ドミニカ共和国、トリニダードトバゴ、エクアドル、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン、日本、韓国、中国、タイ、シンガポール、インド、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド、トルコ、イスラエル、エジプト、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、英国、デンマーク、ドイツ、ベルギー、オランダ、フランス、スペイン、ポルトガル、イタリア、スイス、オーストリア、ギリシャ、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ルーマニア、ジョージア、ウクライナ、スロベニア、リトアニア、クロアチア、モロッコ 50
合計 56

太平洋同盟の第17回閣僚評議会が2017年6月2日、メキシコ市で開催された。同会合では、「準加盟国(Estado Asociado)に関する指針」が採択され、太平洋同盟と域外国の間の自由貿易協定(FTA)締結に向けた道筋が明確となった。

指針1で「準加盟国」の定義を「太平洋同盟枠組み協定の目的の追求に資するハイレベルの経済連携・通商協定を締結し、発効させている国」とした。

招待や要請が承認された場合、太平洋同盟と域外国の間で交渉が開始されるが、最初に太平洋同盟側から経済連携・通商交渉の範囲とスケジュール案が域外国に提示され、域外国の同意を求める。
経済連携・通商交渉の範囲については、最低でもモノの貿易、サービス貿易、投資の3分野が含まれなければならない。3分野に加え、政府調達や知的財産権保護などその他の分野を含む、より包括的な協定であってもよい。

太平洋同盟に加盟するためには、全ての正規加盟国とFTAを発効させる必要がある。
加盟国候補として承認されているのはコスタリカとパナマだけで、コスタリカは全加盟国とFTAを発効させており、正規加盟に向けたプロセスを進めている。

太平洋同盟の第12回首脳会合が2017年6月30日、コロンビア西部のカリで開催され、カナダとオーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの4カ国との準加盟交渉を開始することが発表された。

太平洋同盟の発足当初から基本方針に盛り込まれていたアジア太平洋地域との関係強化に向けた取り組みが、いよいよ本格化する。

今回、韓国が準加盟交渉を開始する。


南米には既に関税同盟のMERCOSUR共同市場形成を目指すアンデス共同体がある。

太平洋同盟とMERCOSURは7月24日、首脳会議を開き、通商・経済関係を緊密化する決意を表明した。米国発の貿易戦争のリスクに対抗する。

メキシコのペニャニエト大統領は「中南米で最も重要な貿易圏の関係を強化することを目指す」とし、「地域の統合と自由貿易を推し進めるという明確なシグナルを世界に送る」と述べた。

また、太平洋同盟とMERCOSURが共通の利益となる分野の貿易拡大を目指し新たな協力の方法を探ることで一致したと明らかにした。 チリのピニェラ大統領は、太平洋同盟として加盟国間の貿易品の約8%に依然適用されている関税を撤廃することに取り組むと表明した。

  太平洋同盟 メルコスル アンデス共同体 TPP
メキシコ Observer  Observer
コロンビア 準加盟  
ペルー 準加盟
チリ 準加盟 (→) 準加盟
パナマ 加盟前提のObserver   Observer  
コスタリカ      
アルゼンチン 準加盟  
ブラジル 準加盟  
パラグアイ 準加盟  
ウルグアイ 準加盟  
ベネズエラ   () 脱退  
ボリビア    
エクアドル   準加盟  
ガイアナ 準加盟
スリナム 準加盟

域外

カナダ 準加盟申請
オーストラリア 準加盟申請
ニュージーランド 準加盟申請 Observer
シンガポール 準加盟申請
韓国 準加盟申請
 

 

旭化成は7月19日、米国の自動車内装材メーカーである Sage Automotive Interiors, Inc.を現金約700百万米ドルで買収することを決定したと発表した。

Sage社を100%保有するClearlake Sage Holdings, LLCとの間で合意した。

取得価額約700百万米ドルは、クロージング時点での現預金・借入金の残高や運転資金の増減等により変更される。なお、本取得価額にSage社の純有利子負債を加えて算出した買収価格は1,060百万米ドルとなる。

Sage社は自動車内装材に用いる各種繊維製品の開発・製造・販売を手掛けており、シートファブリック市場ではグローバルNo.1シェアを保持している。

同社の推移は下記の通り。

2009年に米国の繊維・化学品メーカーであるMilliken & Companyからスピンオフした。役員2人と投資会社のAzalea Capital, LLC. が買い取った。

2011年5月に、投資会社のThe Gores Group, LLCが買収した。

2014年10月に投資会社Clearlake Capital Groupが買収した。

同社は内装材に関する総合提案力、高いデザイン力、加工技術等により、自動車メーカーおよび部品メーカーに対し高いプレゼンスを有しており、ニット・織物の多様な技術的繊維を含め、車載用ボディークロスを世界の大手自動車メーカーに供給している。
生産拠点を米国、イタリア、ポーランド、ルーマニア、ブラジル、中国に持つ。

旭化成はスエード調人工皮革「ラムース」をSage社に販売しており、両社は従来より良好な関係を構築・維持してきた。
(Sage 社が「ラムース」を購入、染色などの加工を施した上で部品メーカー・ 自動車メーカーに供給している)

旭化成は、成長する自動車内装市場でのポジションを強化し、自動車分野向け事業の拡大実現を目指しており、 領域内横断で「自動車メーカーおよび部品メーカーとのコネクト(関係)強化」「グローバル拠点の確立」等に取り組んでいる。

自動車分野向け事業の拡大を加速させるためにSage社の事業を取り込むことを検討してきたが、2017年10月より両社で協議を始め、このたび本買収の合意に至 った。

買収を通じ、「川上」から「川中」へサプライチェーンを拡大する。


本買収による具体的な効果は以下のとおり。

自動車メーカーおよび部品メーカーに対するアクセスを強化し、自動車市場の動向やニーズを迅速かつ的確に把握

Sage社の有するマーケティング力・デザイン力と、 旭化成の有する繊維製品、樹脂製品、センサ等のさまざまな製品・技術を組み合わせて、車室空間に関する総合的なデザイン、ソリューションを提案・提供

Sage社の営業・製造・マーケティング拠点を、旭化成のグローバル展開にあたっての経営インフラ・リソースとして活用


旭化成は2012年に米救急救命機器大手 Zoll Medical を約1800億円で、2015年に米セパレーター(絶縁体)メーカーのPolypore Internationalを約2600億円で買収しており、買収金額でそれらに次ぐ規模になる。

2012/3/19 旭化成、米国ZOLL Medical Corporationを買収

2015/2/26 旭化成、米電池素材会社Polypore International を買収


付記

帝人は7月30日、子会社の帝人フロンティアが、欧州を中心に自動車向け内装材の生産・販売を展開する J.H. Ziegler GmbHの全株式を約125百万ユーロで取得し、完全子会社にすると発表した。

Ziegler は、長年培ってきた不織布の生産・加工技術を応用し、優れた静音性能を有する吸音材製品を市場投入しており、欧州で高いシェアを誇っている。欧州の自動車市場においては、シートワディング材のリーディングメーカー。欧州に4ヵ所の工場を有し、2014年には中国・浙江省に工場を新設して、グローバル展開を加速している。

帝人は、この買収により、欧州、北米、アジアにおける生産・販売拠点を取得することとなり、今後、自動車事業のグローバル展開を加速していく。

ロソア国営石油大手 Rosneft はこのたび、サハリン1 計画に参加する5社に対し、889億ルーブル(1411百万米ドル)の支払いを求め、提訴した。

各社に対する求償額は次の通りで、サハリン1の出資比率に応じている。
なお、
Sakhalinmorneftegzs-Shelf と RN-Astra はRosneft の子会社である。

出資 億ruble 百万$
Exxon Neftegas 30% 267 423.8
Sakhalin Oil and Gas Development 30% 267 423.8
Indian VIdesh 20% 178 282.5
Sakhalinmorneftegzs-Shelf 11.5% 102 161.9
RN-Astra 8.5% 75 119.0
合計 889 1411.0


サハリン石油ガス開発の株主構成は、日本政府50%、伊藤忠商事14.46%、石油資源開発15.3%、丸紅11.68%、伊藤忠石油開発 1.83%、国際石油開発帝石 6.08%などとなっている。

訴状を受理したサハリン州仲裁裁判所の発表によると、訴訟は2015~2018年の「不当な収入」と「他者の資金の利用による金利」(unjust enrichment as well as interest for using other entity's funds in 2015-2018) に対して申し立てられた。

サハリン1のオペレーターのExxon Neftegaz は、提訴内容については否定し、サハリン1 の権利を守るため戦うと述べた。

予備審問は9月10日に行われる。


訴因については、サハリン1に隣接するロスネフチ管轄の油田との原油生産の分配を巡り、5社とロスネフチの間で意見の相違があったとの情報もある。

これから考えると、サハリン1のChayvo 鉱区 & Arkutun-Dagl 鉱区と、これらに隣接するサハリン3のVeninsky鉱区との境界線での生産ではないかと思われる。

付記

提訴された5社が9月29日までにRosneft と和解した。日本側関係者が明らかにした。5社側は2億3000万ドルを支払う。


Rosneft
は同社の鉱区から隣接するサハリン1に地下を通じて原油が流れ、5社が不当に利益を得たとして、889億ルーブル(1411百万米ドル)の支払いを求めて提訴した。

今回、サハリン1からRosneft の鉱区に原油が流れた場合に同社に賠償請求しないなどの条件で和解が成立した。和解金は5社が権益比率に応じて支払う。サハリン石油ガス開発は30%。

サハリン1は3つの鉱区からなる。

実は、この付近は多くの鉱区が入り組んでいる。

株主 鉱区
サハリン 2 Gazprom 50%+1株
Shell 27.5%-1株
三井物産 12.5%
三菱商事 10%
Piltun-Astokhskoye (サハリン1のArkutun-Dagiの北隣)
Lunskoye(サハリン3のKirinskyの北西隣)
サハリン 3 Gazprom East Odopinsky (サハリン1のOdoptuの東隣)
Ayashsky(サハリン1のArkutun-Daglの東隣)
Kirinsky (サハリン2のLunskoye の東隣)
Rosneft 74.9%
Sinopec 25.1%
Veninsky(サハリン1のChayvo & Arkutun-Dagl の南隣)


2006/6/6 「新・国家エネルギー戦略」発表 のサハリン計画の項を参照

トランプ大統領はEUとの間で関税問題で揉めているが、NATOのと間でも問題発言をしている。

(防衛費)

トランプ大統領は7月11日に開幕した北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、加盟各国による防衛費の支出を国内総生産(GDP)比4%に引き上げるよう要請した。

NATOはこれまでに加盟国の防衛費を対GDP比2%以上とする目標を掲げているが、ドイツなど目標を達成してない加盟国は多く、トランプ大統領は首脳会談に先立ち、各国の拠出が不十分として批判していた。

2024年までに全加盟国がNATOへの防衛費支出を対GDP比2%に引き上げると公約したにもかかわらず、現在、GDPの2%を超えているのは、米国のほか、英国、エストニア、ラトビア、ギリシャだけである。

フランスは1.8%、ドイツにいたっては1.2%にとどまっている。

トランプ大統領自身は、NATO加盟国が直ちに防衛支出の対GDP比率を2%に引き上げる必要があるとツイッターに投稿し、「ドイツがロシアに対し天然ガスとエネルギーを巡り多額の支払いを行うなら(下記参照)、NATOにどのような価値があるのか。米国は欧州の防衛のために多額の支出を行う一方、貿易で多額の損失を出している。防衛支出の対GDP比率を直ちに2%に引き上げる必要がある。2025年までではない」との考えを示した。
そのうえで、4%まで増やすべきだと主張した。

ドイツはロシアとともに、シベリアの天然ガスをサンクトペテルブルク北方からバルト海海底約1200キロを通ってドイツ北東部グライフスバルトに運ぶ Nord Stream 2 計画を進めている。

2015/9/10 BASFとGazprom、Nord Stream 2 計画もスタート  

トランプ氏は、ドイツがガスパイプライン・プロジェクト「Nord Stream 2 」に参加することについて問われると、「それはドイツの選択だ。しかし、NATO加盟国であるため、難しい」と語った。

加盟国首脳らは共同声明で「加盟各国のコストや責務の負担において均衡を取ることにコミットする」とし、防衛費支出を拡大する目標の達成に向けた「揺るぐことのないコミットメント」を確認した。

(モンテネグロ)

旧ユーゴスラビアのモンテネグロは2018年6月5日、NATOに正式加盟した。これで加盟国は29カ国となった。

NATOの外相理事会は2015年12月2日、モンテネグロの新規加盟を承認した。その後、各国が批准手続きをとっていた。

バルカン半島に位置するモンテネグロはユーゴスラビア時代の1999年にNATOが空爆したかつての「敵国」だが、2006年に独立して以降はEU加盟を目指して民主化政策を推進し、NATOにも2009年から加盟手続きに入っていた。

旧ユーゴスラビアは現在、モンテネグロ、スロベニア、クロアチア、セルビア、マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ となっている。
このうち、スロベニアとクロアチアはEUとNATOの双方に加盟、モンテネグロは今回NATOに加盟したが、EUには入っていない。
他の3国はいずれにも入っていない。

モンテネグロのNATO加盟には、同国と歴史的につながりの深いロシアが強く反発していた。

トランプ米大統領は7月17日放送の米FOXニュースのインタビューで、NATO加盟国のモンテネグロに対して集団防衛義務を果たせば「第三次世界大戦になる」と、その必要性を疑問視するような発言をした。

NATO条約第5条は加盟国に対する攻撃をNATO全体への攻撃と見なす集団的自衛権を規定している。

だがトランプ氏はインタビューで、「モンテネグロは小国だが、国民は非常に強く攻撃的だ。(集団防衛義務を果たせば)彼らはもっと攻撃的になり、第三次世界大戦になる」などと答えた。

NATOとEUの加盟状況は下記の通り。

NATO EU
原加盟国 米国 対象外
カナダ
イタリア 1952
オランダ
フランス
ベルギー
ルクセンブルク
英国 1973
デンマーク 1973
ポルトガル 1986
アイスランド

非加盟

ノルウェー
1952/2

ギリシャ

1981
トルコ 非加盟
1955/5 ドイツ(西ドイツ) 1952
1982/5 スペイン 1986
1999/3 チェコ 2004/5
ポーランド
ハンガリー
2004/3 エストニア 2004/5
ラトビア
リトアニア
スロバキア
スロベニア
ブルガリア 2007/1
ルーマニア
2009/4 アルバニア 非加盟
クロアチア 2013/7
2017/6 モンテネグロ 非加盟
非加盟 アイルランド 1973
オーストリア 1995
フィンランド
スウエーデン
キプロス 2004/5
マルタ
非加盟 スイス 非加盟
ボスニア・ヘルツェゴビナ
セルビア
マケドニア
ベラルーシ
モルドバ
ウクライナ
29か国

28か国


東洋エンジニアリングは7月19日、タイSCG Chemical (67%)と米国 Dow Chemical (33%) の合弁会社であるMap Ta Phut Olefins Co., Ltd によるオレフィン増産プロジェクトの設計・調達サービスを受注したと発表した。

Map Ta Phut Olefins は2012年4月に生産を開始した。現在の能力は、エチレン90万トン、プロピレン80万トンとなっている。

2012/4/5 Dow、タイで新コンプレックスの開所式 

今回、470百万ドルを投じて35万トンを増設する。このうち、85-90%がエチレンとされており、増設後のエチレン能力は120万トンとなる。2021年第2四半期の完成を目指す。

タイのオレフィン事業の状況は下記の通り。

エチレン プロピレン
2011/2 2013/2 2014/2 2011/2 2013/2 2014/2

NPC
(National Petrochemical Corp.)

PTT(タイ石油公社)38%
Siam Cement 25%

TOC
(Thai Olefins)

PTTが49%保有

PTT Global Chemical
(merger of PTTCH & PTTAR)
1,376 1,376

2,376

487 487

512

NPC、TOCが合併→PTT ChemicalPTTCH)
PTT Aromatics and Refining と合併→PTT Global Chemical
2013/7 PTTPEから移管

PTTPE

1,000

1,000


25

25


(jv of PTT and PTT Chemical)
2013/7 PTT Global Chemicalに移管

ROC
(Rayong Olefins Co.)
800 800 800 400 400 400

Siam Group

TPI (Thai Petrochemical Industry)IRPC
(Integrated Refinery Petrochemical Complex)

360 360 360 312 412 412

経営危機でPTTが31.5%保有

Map Ta Phut Olefins 900 900 900 800 800 800 Siam Cement / Dow
Alliance Refining *
Star Petroleum Refining
132 130 130
HMC 310 310 2010年 PDH
合計 4,436 4,436 4,436 2,156 2,564 2,564

+

*Alliance Refining
  Star Petroleum Refining (Chevron Texaco /PTT) Rayong Refinery (Shell/PTT) JV



千代田化工建設は7月17日、Nigeria LNG(NLNG)がナイジェリアの沖合で計画するLNGの第7 系列プロジェクトのFEED(基本設計)業務およびEPC(設計・調達・建設工事)業務をイタリアのSpaipem、韓国の大宇建設両社と共同受注したと発表した。

NLNGは同国リバーズ州ボニー島で、石油・ガスの開発プロジェクトを推進中で、既存のLNGトレインの拡張に加えて輸出用Jettyや周辺設備の拡張、既存設備との接続も業務範囲となっている。

Nigeria LNG はナイジェリアのNLNG Act に基づき、同国の豊富な天然ガスをソースにLNGとNGLsの生産のため、1989年5月17日に設立された。

株主は、政府を代表するNigerian National Petroleum (49%)と、Shell (25.6%)、Total Gaz Electricite Holdings ​ (15%) 及び Eni (10.4%)の4社。

原料ガスは次の各社と長期供給契約を締結している。

Shell Petroleum Development Company of Nigeria (SPDC)
Total Exploration Production Nigeria (TEPNG)
Nigerian Agip Oil (NAOC):
joint venture of Nigerian National Petroleum, Eni, and ConocoPhillips

現在、Bonny Island に6系列のLNGプラントが稼働している。

日量35億立方フィートの天然ガスから、年産2200万トンのLNG、500万トンのNGLs(LPGとコンデンセート)を生産する。

今回の第7系列の増設で、LNG能力は年産3000万トンになる。

LNGプラント 建設業者 他の工事 生産スタート
Base Project Train 1 Technip
Snamprogetti、
Kellog
Japan Gas Corp(日揮 )

(TSKJ コンソーシアム)

Gas Transmission System (GTS)
Residential Area
2000/2
Train 2 1999/9
Expansion Project Train 3 condensate stabilisation system 2002/11
NLNGPlus project Train 4 2005/11
Train 5 2006/2
NLNG Six project Train 6 condensate processing facility
LPG storage facility
2007/12
本件 Train 7 千代田化工
Spaipem
大宇建設
輸出用Jetty
周辺設備の拡張
既存設備との接続

なお、米司法省はTSKJコンソーシアムが、受注と引き換えにナイジェリアの公務員に対して贈賄を贈ったとして海外腐敗防止法( FCPA ) で起訴した。

今回はこの事件で4社が外れ、新しく3社が選ばれた。

起訴されたのは、TSKJの4社、Kelloggの元会長、英人弁護士、丸紅、Kollogg元社員。

1994年から2004年6月の間、4社は受注のため、ナイジェリア政府の役人に広範囲に賄賂を渡すことを決めた。
ナイジェリアの高官に賄賂を渡すため、英人弁護士を、下級役人に渡すために丸紅を雇った。
英人弁護士の Gibraltarの企業を通じ132百万ドルを、丸紅を通じ51百万ドルを支払った。

各社はそれぞれ下記の罰金を支払い、司法省と和解した。
 Technip:2010/6 240百万ドル
 Snamprogetti:2010/7 240百万ドル
 Kellog(の後継の
Kellogg Brown & Root LLC):2009/2 402百万ドル
 Japan Gas (日揮):2011/4 218.8百万ドル
 丸紅:2012/1 54.6百万ドル

次の3人の個人は、裁判所で下記の判決を受けた。英人2人は英国から米国に引き渡された。

 Kellogg元CEO:禁固30カ月+その後3年の仮釈放、および、別の賄賂事件被害者のKBRへの10.8百万ドルの返還

 英人弁護士:禁固21カ月+その後2年の仮釈放と罰金 2万ドル、及び報酬 149百万ドルの没収

 Kellogg 元社員(英国人):禁固1年、罰金2万ドル、及び報酬 727千ドルの没収

公取委は7月11日、「確約手続に関する対応方針」(案)を作成し、意見募集を始めた。

環太平洋パートナーシップ協定において、競争政策は第16 章に規定されているが、次の規定が含まれている。

「各締約国は、自国の国の競争当局に対し、違反の疑いについて、当該国の競争当局とその執行の活動の対象となる者との間の合意により自主的に解決する権限を与える」

このため、「環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」(平成28年法律第108号)により、独占禁止法の違反の疑いについて公正取引委員会と事業者との間の合意により自主的に解決するための手続(「確約手続」)が導入された。

これを受け、公取委では、確約手続に係る法運用の透明性及び事業者の予見可能性を確保する観点から、まとめたもの。

確約手続きとは、独禁法違反の疑いに係る公取の通知を受けた者が、その疑いの理由となった行為を排除するために必要な措置に関する計画を作成して公取委の認定を申請し、公取委が当該計画を認定した場合には、排除措置命令及び課徴金納付命令をしないという制度。

下記の行為は確約手続きの対象としない。

・ 入札談合、価格カルテル等のいわゆるハードコアカルテルである場合
・ 違反被疑行為に係る事件について10年以内に同一の違反行為を行ったことがある場合
・ 刑事告発に相当するような国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質・重大な違反被疑行為である場合

確約措置の典型例

・ 違反被疑行為をT李辞めること、又は取り止めていることの確認
・ 取引先・利用者等への通知又は周知
・ コンプライアンス体制の整備
・ 契約変更
・ 事業譲渡等
・ 取引先等に提供させた金銭的価値の回復
・ 履行状況の報告

施行期日

環太平洋パートナーシップ協定が日本国について効力を生ずる日。2018年12月30日
(少なくとも6か国がそれぞれの国内法上の手続を完了した旨を寄託者のニュージーランドに通報した日の60日後)

メキシコ、日本、シンガポール、NZ、カナダ、オーストラリアの6カ国が批准、「6カ国の国内手続きが終了した60日後」の2018年12月30日に発効する。

エーザイ及びアルツハイマー薬で同社と提携するBiogen, Inc は7月6日、両社が共同開発している抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体 BAN2401 の早期アルツハイマー病856人を対象とした臨床第Ⅱ相試験において、有意な結果を得たと発表した。

臨床第Ⅱ相試験の18カ月の最終解析で、統計学的に有意な臨床症状悪化抑制脳内アミロイドベータ蓄積減少を証明した。

米国イリノイ州シカゴで開催されるアルツハイマー病協会国際会議(Alzheimer's Association International Conference)において、7月25日に口頭発表する。

この発表を受け、同社の株価は高騰した。

ーーー

エーザイとBiogen は2017年10月23日、臨床第III相試験進行中のaducanumabを含むアルツハイマー病治療剤の開発・販売に向けた提携契約を拡大すると発表した。

両社はアルツハイマー関連で下記の製品を開発しており、エーザイが以前から販売しているアリセプトを除き、開発で提携している。

今回の提携契約拡大で、エーザイは、Biogenの抗アミロイドβ(Aβ)抗体BIIB037=aducanumab に対する共同開発・共同販促オプション権を行使した。

エーザイ アリセプト 〈既存製品〉
(donepezil)
エーザイの杉本八郎博士らが開発
アルツハイマーでは、神経伝達物質のアセチルコリンが脳内で減少している。

アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、アセチルコリンの濃度を高める。

新規ヒト化モノクローナル抗体
「BAN2401」
2007/12 スウェーデンのBioArctic Neuroscience ABから全世界の研究・開発、製造、販売の独占ライセンスを受ける。 アルツハイマー病の原因と考えられるベータ・アミロイド成分を除去
βサイト切断酵素(BACE)阻害剤
elenbecestat「E2609」 x下記
エーザイが創製

βアミロイドの脳内の沈着はアルツハイマー型認知症の病因の一つ
アミロイド前駆体タンパク質のβサイト切断酵素であるBACEを阻害することでβアミロイドの総量を低下させる。
Biogen 抗アミロイドβ(Aβ)抗体
aducanumab
(BIIB037) x→申請へ
Neurimmune社より共同開発およびライセンス契約締結のもとに導入 アミロイド斑(プラーク)は、アミロイドβ蛋白が蓄積したもので、アルツハイマー病患者の脳にみられる。

aducanumab 投与でアミロイドプラークのレベルを下げる

2017/10/27 エーザイとバイオジェン、アルツハイマー治療剤での提携契約を拡大 

付記

Biogenとエーザイは2019年3月21日、aducanumab(BIIB037)の有効性、安全性を評価する臨床第III相国際共同試験(ENGAGE試験、EMERGE試験)を中止することを決定したと発表した。本試験において主要評価項目が達成される可能性が低いと判断されたことに基づくものであり、安全性に関する問題によるものではない。

    付記 2019年10月22日、新薬承認をめざす

付記

エーザイとBiogen は2019年9月13日、経口βサイト切断酵素(BACE)阻害剤elenbecestat「E2609」 について、早期アルツハイマー病(AD)を対象とした臨床第Ⅲ相試験(MISSION AD1、AD2)の中止を決定したと発表した。独立安全性データモニタリング委員会(DSMB)により行われた安全性レビューにおいて、本試験を継続しても最終的にベネフィットがリスクを上回ることはないとの判断から試験の中止が勧告されたことに基づく。

ーーー

今回の「BAN2401」は、スウェーデンのBioArctic Neuroscience ABが開発した、アルツハイマー病に対する免疫療法剤創製を目的としたベータ・アミロイド(Aβ)に対するヒト化モノクローナル抗体で、2003年1月に同社を設立した Uppsala UniversityのProf. Lannfelt により発見された家族性アルツハイマー病の原因であるアークティック変異Aβに関連する研究に基づいたもの。

アルツハイマー病発症には、神経毒性を有するAβの脳内への蓄積が重要な役割を果たしていると考えられている。病理学的には、繊維化し不溶性となったAβを主成分とする老人斑が脳内に認められる。

近年の研究により、アルツハイマー病の発症プロセスとしての神経毒性の本体は、繊維化し不溶性となったAβではなく、その前段階であるAβプロトフィブリルを含む可溶性のAβ凝集体であることが明らかにされている。

アルツハイマー病免疫療法には、
Aβを投与して生体内でAβに対する免疫反応を惹起させるワクチン療法や、
Aβをターゲットとしたモノクローナル抗体を投与する抗体療法がある。

BAN2401はBioArctic が有する技術を用いてAβプロトフィブリルをターゲットとした抗体療法を目指すもので、アルツハイマー病発症の原因の一つと考えられている脳内のAβプロトフィブリル量を低下させるもの。


エーザイとBioArctic は、2007年12月3日、BAN2401について、全世界におけるアルツハイマー病を対象とした研究・開発、製造、販売に関する独占ライセンス契約を締結した。

BAN2401は、Aβの可溶性凝集体の一種であるプロトフィブリルを選択的に認識するヒト化モノクローナル抗体であり、前臨床段階にある。

エーザイは、自社で創製したE2012(ガンマ・セクレターゼ・モジュレーター)とともに新規性の高い抗体であるBAN2401の開発を進めることで、低分子化合物と免疫療法という異なるアプローチで次世代のアルツハイマー病治療薬の創出を目指す。「アリセプト®」によって切り開かれたアルツハイマー病の薬物療法のパイオニアとしての使命を果たすため、自社開発および他社との提携を通じて、次世代のアルツハイマー病治療薬の開発を加速させていく 。

アリセプト(donepezil) は、コリンエステラーゼ阻害剤の1種であり、アルツハイマー型認知症(痴呆)、レビー小体型認知症進行抑制剤として利用される。

E2012はエーザイが創製した低分子化合物で、ガンマ・セクレターゼ・モジュレーターとして病因となるAβの産生を抑制する。
一方、BAN2401は免疫療法薬を目指すヒト化モノクローナル抗体で、アルツハイマー病の原因と考えられるAβ成分を除去する。

2014年3月にBAN2401に関する共同開発・共同販促契約をBiogenと締結した。

エーザイは2006年3月31日、ディナベック ㈱(NNAVEC:現在のIDファーマ)との間で アルツハイマー病に対するワクチン療法の創薬研究に関する契約を締結。
ディナベック ㈱
1995/3 遺伝子治療関連技術開発を目的とした、国家研究プロジェクトが開始され、医薬品機構及び製薬会社7社が出資し、㈱ディナベック研究所 設立
2003/9 経営陣と製薬会社4社(協和発酵工業、三共、久光製薬、山之内製薬)が出資、上記から営業譲渡を受け、ディナベック㈱を設立
2006/3 エーザイと「センダイウイルスベクターを用いたアルツハイマー病用ワクチンの開発」に関する研究協力契約を締結
2013/10 ㈱アイロムホールディングスの子会社に
2015/4 ㈱IDファーマに改称
エーザイは2002年以降、TorreyPines Therapeutics, Inc.との間でアルツハイマー病に関する遺伝子の発見の共同研究を行ってきたが、2008年11月にこれを終了し、TorreyPines Therapeuticsの研究結果を全て買い取った。


この領域で世界初の薬「アリセプト(一般名ドネペジル)」を1997年に発売すると、ピーク時の2010年3月期には世界で約2900億円を売り上げた。

しかし、アリセプトの特許は米国で2010年11月に、日本では2011年6月に切れ、売上高は激減した。

今回の発表を受けての株価高騰は、この新薬への期待を表している。

しかし、Nuclear Regulatory Commission は4月5日、今までの情報では資金面で十分であるとの認識は出来ないとし、両社に詳細な説明を求めた。
NRCがライセンスの移転を認めないと、売却は意味がない。

州のPublic Utility Commission は7月6日、NRCが結論を出すまで、売却承認の決定を延期すると発表した。

両社は依然、12月31日までに売却することを期待している。


米当局は7月10日、企業秘密の窃盗で米Appleの元社員 Xiaolang Zhang を起訴した。自動運転車に関連した設計図を個人のパソコンにダウンロードし、出国しようとしたという。

最高10年の懲役と25万ドルの罰金を科される可能性がある。

Xiaolang Zhang は、2015年12月に 自動運転車のソフトウエアとハードウエアの開発者として採用され、回路基盤の設計やテストに携わった。

Appleの 自動運転車プロジェクトのデータアクセス権限を持つ従業員はざっと5000人で、その中でもZhangは、より高度なアクセス権を認められた約2700人の「コア従業員」だった 。


本年4月に子供が生まれ、4月1日~28日の間、父親としての育児休暇をとり、家族と中国に一時帰国した。

米国に戻り、4月30日に上司に、Appleを辞めて病身の母親のいる中国に戻り、中国の電気自動車会社のXMotors (Xiaopeng Motors:小鵬汽車) に転職する意思を伝えた。

小鵬汽車は電気自動車のスタートアップ企業(2014年設立)で、インターネット通販のAlibaba と世界大手電子機器受託製造企業の鴻海科技(Foxconn Technology)から出資を受けている。

上司は 彼の言動を不審に感じ、社内のセキュリティ部門に連絡、調査を開始した。

その結果、下記が判明した。

4月30日までの数日間にAppleのネットワークへのZhangのコンタクトが過去2年と比べて「指数関数的に増加」して いる。
大部分は膨大な資料探索と秘密データベースからの情報のダウンロードである。

休暇中の筈の4月28日の午後に、自動運転車のソフトウエアとハードウエアの研究所に現れ、1時間後にコンピューターのキーボード、ケーブルと大きな箱を持ち出すのが映っていた。

AppleはZhangを呼び出し、証拠を示して尋問すると、下記を認めた。

Apple在籍中にXMotorsに移籍の話をしていたこと。
休暇の前に、ハードウエア研究所からの2枚の回路基板とLinuxサーバーを持ち出したこと。
その理由は、Appleの他の部署への異動の話があり、新職場で役立つと思ったためであること。
持ち出したデータは妻のパソコンにダウンロードしたこと。

そして、自宅に取りに戻り、妻のパソコンと持ち出した回路基板とLinuxサーバーを提出した。

AppleはFBIに通報、データの60%が問題を含むものであると伝えた。

Zhangは5月5日にAppleを退職、XMotors のMountain Viewオフィスに入社した。

FBIは6月27日、自宅の捜査令状をとり、尋問した。

FBIは7月7日に、Zhangが同日の北京行き飛行機の予約を取ったことを知り、空港で逮捕した。

小鵬汽車はZhangの起訴について、「非常に驚いており、事態を遺憾に思う」との声明を出している。法律事務所の協力の下で独自の社内調査を実施しており、Zhang はすでに「正式に解雇した」という。

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Appleが自動運転技術の開発に取り組んでいるという噂は数年前からあったが、詳細は不明だった。

今回の事件で、研究体制の概要が明らかになった。

Appleは本年4月、社内ブログで、昨年のうちに「29件の情報 漏洩が発覚し、12人が逮捕された」と述べるとともに「失業するだけでなく、他社での再雇用も非常に困難になるかもしれない」と警告したと報じられてい る。

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小鵬汽車(広東省)は4月23日、同社初の市販車「G3」を発表した。

人工知能(AI)を駆使し、ドライバーが降りたあと、リモコンのボタン一つで車が自動で縦列駐車をするなど便利な機能を搭載した。

価格は20万~28万元(約340万~約480万円)だが、政府の補助金を受けられるため、価格は実質200万円台となる。納車は年末になる見込み。

車の屋根部分に360度回転するカメラを搭載、風景を撮影しながらドライブし、車内のタブレット画面やスマホで見て楽しめるようにするといった工夫をした。
20分で、8割の急速充電ができる。

何小鵬・董事長は日経(2018/2/27)のインタビューで次のように話している。

来年半ばに年産20万台の自前の新工場も完成し、事業を本格化する。

米テスラからは自動運転の責任者を採用し、シリコンバレーに開発拠点を設け、優秀な人材を集めている。
日本メーカーの経験者も多く、元マツダのデザイナーもいる。
年内には自動運転の技術者は6倍の600人にする予定。


イタリアのディ・マイオ経済発展・労働相は7月13日、EUとカナダの包括的経済貿易協定(CETA)について、「イタリアは批准しない」と述べた。


CETAの正式な発効には28のEU加盟国全ての議会での批准が必要で、EUが目玉としてきた協定が破談となる可能性も出てきた。

イタリアの農産物の保護などが理由で、6月に発足した政権は公約に「自国産の農産物を守る」と盛り込んでいる。

経済発展・労働相は、CETAはイタリアの特産品の保護を十分に保証していないとし、カナダからの輸入増加がイタリア産品に悪影響を与えると懸念を示した。

EUは地域の高品質な農産品や食品を保護するため、「原産地呼称保護(Protected designation of origin:PDO)」や「地理的表示保護(Protected geographical indication:PGI)」という制度を運用しており、イタリアはパルマハムなど約290品目が認定されている。

しかし、カナダとのCETAで保護対象になっているのは40品目ほどにすぎない。農業生産者団体は「多くの偽物が出回るリスクがあり、地元農家などが不利益を被る」と反発している。

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カナダとのCETAは当初から揉めた。

2014年に交渉が終わり、2016年10月27日に正式調印を目指していた。

CETAが実現すれば、関税が98%撤廃されるだけでなく、手厚く保護されているEUの農業市場をカナダの農家に開放するほか、EU企業がカナダの公共部門の調達市場にアクセスできるようになる。
同時に、労働および環境の基準、公共サービスなどについての国家の選択に新たなセーフガードも設けられる。

具体的な内容:

  • 関税撤廃:協定発効後、ほとんどの品目(全ての関税品目の99%以上)で速やかに関税を撤廃

   農産品関税については https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/1dfdcf14c5f14bcb/20170075.pdf

  • 非関税障壁(NTBs):双方の適合性評価承認の改善を図ることで、技術的な規則における透明性の改善
  • サービス貿易:企業従業員の一時的派遣(移動)の容易化や専門職資格の相互承認
  • 投資:無差別で公平かつ公正な扱いと、収用権を行使する際の適切な賠償を保証するEUの投資家保護規定を盛り込む
  • 公共調達:連邦政府より下位の全てのレベルでの調達市場を2国間で開放
  • 地理的表示保護制度(GI):特定の地理的起源を持つ多くのEU農産品リストに対して、カナダ市場での特別な地位を承認、保護
  • 紛争解決メカニズム:公式な協議を通じた合意形成に失敗した場合、独立した法律専門家を入れた仲裁パネルの設置を要請できる
  • 調停:EU・カナダ間の貿易と投資に有害な影響を与える措置に取り組むため、任意の調停メカニズムを用意

正式調印にはEU加盟の28カ国の全ての承認が必要である。

当初、ブルガリアとルーマニアがCETAに留保を表明した。

これについては、両国からカナダへの渡航者に対する査証(ビザ)取得義務を2017年後半までに撤廃することにカナダが合意し、政治的解決を見た。

しかし、ベルギーのWallonia地域議会が投資家を保護する紛争解決手続きに問題があるとして反対を決定した。ベルギーの条約締結には地方議会の承認が必要なため、ベルギーは国として承認できない状態となった。

反対の核心は、投資家と政府の間の紛争を解決するための独立した法廷を設置することで、多国籍企業に強すぎる権力を与えることを懸念した。

欧州委員会は、CETAでは新たに設置する法廷が政府にサービスの民営化を迫ったり国営化を阻んだりするために利用されないよう確約するなど、強力なセーフガードを設けてあると主張したが、了解を得られなかった。

2016/10/29 EUとカナダの貿易協定、ベルギーの一地区の反対で締結できず 

この問題は最終的に、反対していたベルギーのWallonia地域の説得に成功し、EUとカナダは10月30日、ブリュッセルで首脳会談を開き、署名した。

首脳会談終了後に発表された「共同声明」でも、「公共の利益の観点、特に公共サービスや環境配慮、労働者の権利保護などの分野で政府が規制する権限は、自由貿易協定においても守られることを原則として確認する」とあらためて明記した。

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欧州委員会は2017年7月8日、EUがカナダの「包括的経済貿易協定(CETA)」を9月21日から暫定適用することでカナダと合意したと発表した。

正式発効には加盟国全ての批准が必要だが、加盟国がEUに対して権限移譲している分野についてのみ、欧州議会の批准手続き後に発効に先行して適用を開始するもの。

欧州議会は2017年2月15日に、カナダ側は2017年5月17日に批准を終えていた。

正式発効には時間がかかる見通しである。

韓国とEUは2010年10月6日に、自由貿易協定(FTA)を締結した。欧州議会は2011年2月17日、賛成多数で承認した。

2011年7月に暫定適用を開始したが、イタリアなどの批准手続きに時間がかかり、最終的に協定全体が正式発効したのは2015年12月だった。

今回、イタリアの新政権が批准に反対の意向を表明したもの。

EU離脱を巡り、英国が混乱している。

7月8日夜、デービス欧州連合(EU)離脱担当相が辞任した。メイ首相がEUとの関係を重視する「穏健離脱」の方針を打ち出したことに反発した。
翌7月9日、ジョンソン外相が辞任した。

EUとの合意のないまま「無秩序離脱」を迎えるリスクが高まった。

メイ氏の責任論もくすぶり始めた。保守党内の規定では保守党議員の15%にあたる48人が同意すれば、首相の不信任投票の手続きが可能。

今後英政府が体制を立て直せても、EUは、通商協議のほか、アイルランド国境問題など離脱協定の全てで合意できなければ交渉を「白紙」に戻す方針。

2019年3月に混乱なく離脱するためには、英・EUは2018年10月までに離脱条件や将来関係の大枠で合意する必要がある。10月までの残り3カ月でメイ氏が党内融和とEUとの離脱交渉を進められなければ、EUと合意のないまま離脱する「無秩序離脱」 は現実味を帯びる。

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これまでの経緯は下記の通り。

2016年6月23日英国で実施されたEU離脱の是非を問う国民投票は、大方の予想を裏切る「離脱」という結果となった。

スコットランドは、全選挙区で「残留」支持であった。

2016/6/25 英国、EU離脱 

英国のTheresa May首相は2017年1月17日、EUからの離脱を巡り、移民制限や司法権独立など英国の権限回復を優先し、EU単一市場から完全に離脱すると表明した。

単一市場に残りながら移民を制限する "soft Brexit " は、「いいとこ取り」を認めると他に離脱国が出ることを恐れるEUが認めないことが確実なため、"hard Brexit" に踏み切った。

2017/1/19 BREXIT の12のポイント

欧州理事会(EU首脳会議)のDonald Tusk常任議長は2017年3月31日、今後のEUとしての交渉ガイドラインの原案を公表した。

課題として、次の4つを挙げている。

 1. 英国で生活・就労・就学するEU市民、EUで生活・就労・就学する英国市民の互恵・無差別の権利保全

 2. 英国でのEUの企業、EUでの英国企業に影響を与えるが、法的空白を避ける必要がある。

 3. EUも英国も、離脱前に決めた義務を守る必要がある。全ての法的、予算上の約束、偶発債務を含めた債務についてである。

 4. 英国(北アイルランド)とアイルランドの国境問題について、国境復活などの厳格な対応ではなく、柔軟で建設的な解決を模索すべきである。

2017/4/6 EUのBrexit 交渉ガイドライン

EUは2017年12月15日の首脳会議で、英が払う「清算金」などの離脱条件を協議してきた「第1段階」に「十分な進展」があったと判断。「第2段階」となる通商協議に入るための交渉指針を採択した。

2017/12/20 英のEU離脱交渉、第2段階へ 

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上の4つの課題のうち、英国とアイルランドの国境管理が解決不能の問題として残った。

アイルランド島は、EUに残留するアイルランド共和国と英国の北アイルランドに分かれており、英国が唯一、EU加盟国と陸路で接しているところである。
また北アイルランドは、先住のアイルランド人と後に英国から移住した英国人が、長年にわたり争いを続けてきた。

1998年の聖金曜日の和平合意により、争いが終結した。
北アイルランド人は英国籍かアイルランド国籍、あるいは両方を取得できるようになり、さらに、検問がなくなって国境地域は通商で大きな恩恵を受けるようになった。

英EU離脱はこれら全てを切り崩してしまう。

アイルランドは、逸早く国境問題を英EU離脱協議の優先課題にするようEU諸国を説得した。
英国がアイルランドの要求(北アイルランドの現状維持)に応じない場合、アイルランドは離脱交渉の進め方に拒否権を使うと明言している。

EUの交渉ガイドラインでは、「北アイルランドとアイルランドの国境問題について、国境復活などの厳格な対応ではなく、柔軟で建設的な解決を模索すべきである」としている。

しかし、これを実行すれば、[EU=アイルランド]と[北アイルランド=英本土]が結びつき、人やモノが自由に移動できることとなり、EU離脱の意味が無くなる。

逆に北アイルランドと英本土の間を遮断すれば英国が分断される。
メイ首相は、「北アイルランドは英国と同じ条件でEUから離脱しなければならない。経済的にも政治的にも英国との規制の違いは受け入れられない。英国との一体が損なわれることは認められない」と述べていた。

2017年12月に、下記の通り合意した。

南北アイルランドの間では従来通り、国境管理(規制)を行わない。

北アイルランドと英国本体との間に新たな規制の障壁を設けない。北アイルランドの企業の英国本体の市場へのアクセスを保証する。

英国は南北アイルランドの協力と、南北アイルランド国境に鉄条網や検問所などハードボーダーを設けないと約束する。これは英国とEUとの将来の関係を通じて達成する。

実際には詳細を先送りしているが、今回の合意で、北アイルランドは英国本体と一体となってEUの統一市場と関税同盟から離脱できると解釈でき、英国側の懸念が消えた模様。


しかし、実際には、南北アイルランドにハードボーダーを設けずに、北アイルランドが本土と一体になってEU統一市場と関税同盟から離脱する方法は見つかっていない。離脱交渉の最大の難関となった。

ここにきて、一時的対策「backstop措置」 が提案された。(Backstopは野球のバックネットの意味)

EU案は、英領北アイルランドとアイルランド共和国との国境を目に見えないままにし、北アイルランドを関税同盟に残す もの。

英国は、これは英本土と北アイルランドの間に関税国境をつくるものとして反対した。

英国は正式提案していないものの、EU案を英国全体に適用すべきだとの考えを示唆し た。これはアイルランド島内での国境設置を回避する最後の手段として、英国全体が単一市場と関税同盟の一部にとどまることを意味する。

  しかし欧州委員会はこれに反対しており、北アイルランドに特別な地位を与えるだけにとどめたい意向 である。

英国は6月7日、アイルランド問題解決のためのTechnical note: temporary customs arrangement を発表した。

EUの提案は、英本土と北アイルランドの間に関税国境をつくるもので、受け入れられない。
英国案は、2020年12月に移行期間が終了した後、一定期間、英国全体をEUと関税同盟を結ぶというもの。
但し、将来の協定ができるまでの臨時の措置であり、遅くとも2021年12月末までと期待する。

この期間中も英国は世界の他の国々と貿易協定を結び、施行できる。但し、モノの貿易はEUとの関税同盟があるため、他国との協定はサービスに関することに限られる。

EU側はこれに抵抗感を示した。

6月20日に、現在受け入れているEU法を国内法に置き換えるEU離脱法案が議会を通過した。離脱後も英国内の規則や規制を継続させるためのもので、スムーズな離脱を目指すメイ政権 にとり重要手続きの一つ。


この法案をめぐっては、英国がEUと合意に至らないまま離脱日を迎えた場合について激しい議論があった。
EUとの合意なしの強行離脱に反対する親EU派の議員が、内閣の強硬離脱の提案を認めない権限を英議会に与える修正案を付けた。

メイ首相は交渉の手足を縛られるのを嫌いつつ、親EU派にも配慮し、交渉決裂時には英議会で審議する時間を設けると約束 した。

この結果、修正案は303票対319票の僅差ながら反対多数で否決された。

メイ英首相は7月6日、閣議を開き、EU離脱後の通商関係について議論し、交渉方針で合意した。

EUとの関係を尊重する内容で、EUの影響力を排した完全な離脱を求めるジョンソン外相ら強硬派閣僚が反対し、メイ氏が約12時間かけて説得した。

離脱条件を巡るEUとの実質合意期限が10月に迫る中、「Hard Brexit(強硬な離脱)」から協調優先の「Soft Brexit(穏健な離脱)」路線に修正して交渉の局面打開を図る もの。

内容は次の通り。

「モノの自由貿易圏」創設を提案し、EUとの貿易面での緊密関係を維持する。EUが定める製品や農産物の規格などEUの一定の通商ルールに離脱後も従う。

関税面でもEUと連携し、現状並みの円滑な貿易を確保することで企業が国境を越えて展開するサプライチェーンを守る。

離脱後に米国などとの自由貿易協定(FTA)締結を目指すほか、TPP 11への参加も視野に入れる。

人の移動の自由を終わらせる。EU加盟国の漁船が英国領海内で操業することを認めず、英国の海域を自国でコントロールする。

但し、金融サービス分野の一部では、EUと現状通りの取引ができなくなることを受け入れる。 (EU側の「いいとこ取りは許さない」との主張に配慮)

この案には「いいとこ取り」の面が強く、EUのバルニエ首席交渉官は「実現可能性を吟味したい」と述べた。

強硬離脱派は、メイ氏の方針では部分的に事実上、関税同盟に残ることになり、「EUにさらなる譲歩を迫られやすい弱い立場に追い込まれる」と厳しく批判した。

7月8日夜、デービス欧州連合(EU)離脱担当相が辞任した。「政府方針は離脱を骨抜きにし、英国はEUに対して交渉で弱い立場になる」と述べた。

同氏は7月6日の閣議の前にメイ首相に宛てた書簡で、首相の案を実行不可能とし、首相の新提案は失敗すると指摘した。

デービス欧州連合(EU)離脱担当相に続き、ジョンソン外相が7月9日、辞任した。

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メイ首相のSoft Brexit 路線の新しい交渉方針では、離脱後に米国などとの自由貿易協定(FTA)締結を目指すほか、TPP 11への参加も視野に入れるとしている。

しかし、訪英中のトランプ大統領が冷水を浴びせた。

大統領は7月12日の英紙サンとのインタビューで、メイ英首相が進めるSoft Brexit 手法に賛同しない考えを示し、現状の離脱条件では米英の貿易協定にも悪影響が及ぶことになると警鐘を鳴らした。この案で進められれば英政府は米国との貿易協定を「おそらく結べない」と述べた。

また、辞任を表明したジョンソン前外相については、「非常に能力のある人物」と辞任を惜しみつつ「将来は偉大な首相になると思う」と付け加えた。

トランプ氏は米大統領予備選挙中の2016年5月、英国がEUから離脱した方が良いとの考えを示していた。

7月13日の首脳会議では、トランプ大統領はメイ首相に、英国はEUと交渉するよりEUを訴えるべきだと提言した。

インドネシアのジョコ大統領は7月12日、米鉱山大手 Freeport-McMoRan Inc.の現地法人 PT Freeport Indonesiaの株式の51%を国営鉱業大手のアサハン・アルミ(PT Indonesia Asahan Aluminium:Inalum)が取得すると明らかにした。世界第2の銅鉱山のGrasberg鉱山を取得する。

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アサハンアルミ(Inalum)はインドネシア国有のアルミニウム精錬会社であるが、2017年に政府の方針で、国有の鉱工業企業の持株会社となった。

2017年11月の政令で、非鉄金属のPT Aneka Tambang (ANTM) の65%、石炭のBukit Asam (PTBA)の65%、錫のTimah Tbk PT (TINS)の65.2%の政府持ち株がアサハンアルミに譲渡された。
各社固有の経営資源と技術の相乗効果を狙う。

シナジー効果の一つは、後述のアルミナ生産計画の加速化である。また、PTBAがこれら他の国有会社と共同で発電所を開発することにより、ANTMのフェロニッケル製錬所やInalumのアルミニウム製錬所に電気を供給するプロジェクトも計画されている。その他には、港湾建設の下流事業への投資も拡充する予定。

インドネシア政府は、国内の豊富な鉱石をそのまま輸出するのではなく、国内での加工を推進しようとしている。

2014年1月12日、国内での加工推進を目的とし、未加工の鉱石の輸出禁止措置を導入した。

2014/1/16 インドネシアが鉱石禁輸実施、直前に緩和 

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大統領は、世界第2の銅鉱山(金、銀も産出)のGrasberg鉱山を運営するFreeport-McMoRanに対し、採掘権や輸出を認める代わりに、株式の51%超を譲渡するよう求めていた。

今回の合意で、政府は現在 9.36%のFreeport Indonesiaの 持株を51.38%に引き上げる。将来的にはGrasberg鉱山があるパプア州政府や地元自治体も一定の株式を持つ見通し。

実際の取引にはRio Tintoも絡む。

Grasberg鉱山の運営会社は、Freeport Indonesiaが60%、Rio-Tintoが40%所有するJVである。

Rio Tintoはインドネシア政府の資源ナショナリズムに
対応し、離脱を模索していた。

Inalumは、JVのRio権益持分(40%)を35億ドルで 買収する。これをFreeport Indonesiaに譲渡し、見返りにFreeport Indonesiaの株式32.66%を取得する。

別途、InalumはFreeport Indonesiaに9.36%を出資するFreeport-McMoRanの投資会社PT Indocopper Investamaを3.5億ドルで買収する。

この結果、既存の政府持ち株を合わせ、Inalumは51.38%を取得する。

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アサハンアルミ(Inalum)は、日本とインドネシアのJVとして設立された。

1975年7月に日本側参加12社とインドネシア政府間の基本協定が締結された。

同年末に日本側投資会社の「日本アサハンアルミニウム」が設立された。

国際協力銀行 50%
精錬5社 各7.5%、計37.5%
7商社合計 12.5%

1976年1月、日本アサハン 90%、インドネシア政府 10%の出資で、P.T. Indonesia Asahan Aluminium (INALUM)が設立された。

北スマトラ、Kuala Tanjung地区にアルミニウム年産225千トンの製錬工場(75千トン3系列)
トバ湖から流れるアサハン川の上流のSiguragura、Tanggaの両瀑布に最大出力513千kwの発電所
原料アルミナは輸入(Alcoa of Australia)

2010/10/14  インドネシア、アサハンアルミの将来

インドネシアと日本のJVのアサハンアルミが操業30年を迎える2013年11月以降、インドネシア政府は日本の出資分を買い取る権利を持つ。

2010年現在の出資比率は日本側 59%、インドネシア側 41%となっている。
JV協定は「生産開始」(1983年11月1日)から30年後に満了、設備は簿価などの補償を条件として、インドネシア政府に移管されることとなっている。

日本の企業連合とインドネシア政府は2013年12月9日、日本側が全保有株を同政府に5億5670万ドルで売却するとの合意文書に調印した。
合弁は解消され、インドネシアが事業を国有化した。

2013/12/11 日本企業連合、アサハンアルミから撤退 

アサハンアルミの現在の能力は26万トンである。

同社は現在、ボルネオ島Kalimantan の新立地で、次の通り35億ドルの拡張を計画している。

アルミ精錬第二工場(20万トン) 7億ドル
 (当初の構想は、
アルミ精錬能力を2020年に50万トンに、2025年に100万トンとする というものであった。

800MW水力発電 10億ドル

アルミナ工場 50万トン 18億ドル

原料アルミナは現在輸入しているが、自製を開始し、輸入依存を減らす。

立地は西カリマンタン。

今回Inalumの子会社となった非鉄金属のPT Aneka Tambang (ANTM) とInalum のJV PT Inalum Antam Alumina が中国のAluminium Corporation of China (CHALCO) と合弁で生産する。
インドネシア側が過半数を持つ。

ANTMがカリマンタンで採取するボーキサイトを原料とする。

これまでANTMはボーキサイト全量を 中国などに輸出、アサハンはアルミナを全量、オーストラリアとインドから輸入している。(インドは最近)


Pfizerは7月10日、今月1日に米国で実施した医薬品の値上げを撤回し、当面は以前の値段に戻すと発表した。

値上げの撤回は、同社のCEOがトランプ大統領と直接話し合って決めた。価格据え置きはあくまで一時的な措置で、大統領が進めている薬価引き下げの取り組みを形にする「機会を与える」と説明している。

大統領は早速、呟いた。

Just talked with Pfizer CEO and@Sec Azar (Alex Azar, Secretary of Health & Human Services ) on our drug pricing blueprint.
Pfizer is rolling back price hikes, so American patients don't pay more.
We applaud Pfizer for this decision and hope other companies do the same.

Great news for the American people!

この問題は、大統領が医薬品値下げに懸命になっている時に、Pfizerほかが値上げを発表したことから発展した。

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トランプ氏は大統領就任直前の2017年1月11日、製薬会社は生死にかかわるような医薬品の価格を大幅に値上げし、「殺人」の罪を犯しているにもかかわらず、罰せられておらず、政府に多額の費用を負担させていると批判、薬価の改革を進める意向を表明した。

また海外へと拠点を移す動きが加速しているとして、製薬業界を国内に回帰させる必要があるとした。

トランプ氏は薬価をめぐり、新たな入札制度を導入し、費用を圧縮すると主張、「われわれは世界最大の医薬品の買い手であるにもかかわらず、適切な価格設定が出ていない。入札を開始し、数十億ドルを削減する」と述べた。

トランプ氏は選挙期間中、高騰する薬価の問題に言及してきた。公約では「製薬産業は民間部門だが、製薬企業は公共サービスを提供している」と指摘、メディケア(高齢者向け公的医療保険)プログラムについて、現在は法律で禁止されている政府と製薬会社との薬価交渉を可能にするとしていた。

2017年1月31日の製薬企業幹部との会談では、薬価の引き下げと米国内での製造拡大を求めると同時に、新薬承認の迅速化や規制緩和を約束した。

新薬承認の迅速化は、大統領選直前に公表した「有権者との契約」(就任後100日間で実行)にも盛り込まれていた。
「お役所的な複雑な手続きの打破」を含むFDAの改革を公約、「4000もの医薬品が承認を待っている。特に生命を救う医薬品の迅速な承認を望む」としていた。

2018年1月30日に行った一般教書演説では、薬価の高騰問題について、「政権にとって、最優先課題のひとつだ」と述べた。

医療関連としては、オバマケアの撤回、オピオイド乱用問題、薬価の高騰問題に言及した。

薬価については、「同じ薬剤に対して諸外国の人が払う額は、米国人よりもはるかに安い。非常に、非常に不公平だ」と指摘した。

その後も、医薬品価格の引き下げに度々言及した。

2018年5月11日、トランプ米大統領は処方箋薬の価格抑制に関する演説を行った。製薬会社、保険会社、薬剤給付管理会社(PBM)が処方箋薬を高価で手の届かないものにしたと非難し、競争強化と価格引き下げに向けた措置を取ると表明した。

製薬業界の「中間業者」が大きな富を得ているとして排除する方針を示したほか、医薬業界のロビー団体についても、納税者の金で富を得たと批判した。
外国政府についても、米製薬会社に不当な引き下げを強要しているとして批判した。

米保健社会福祉省は「American Patients First」と題した詳細な計画を公表。メディケア(高齢者向け公的医療保険)パートD(処方せん薬給付)管理会社の製薬会社との価格交渉能力を高めることなどが含まれる。

但し、専門家からは、レトリックにすぎないとの批判がなされた。

5月30日、大統領は突然、主要医薬品会社(複数)が2週間以内に医薬品価格を「自発的に、大幅に」引き下げると発表した。医薬会社の役員(名前を明らかにせず)がホワイトハウスを訪問し、発表すると述べた。

大統領は、末期患者が実験中の医薬品を使うのを容易にする法案にサインしながら、「我々はまた、医薬品のコストの引き下げに努力しており、国民はこの国で初めて、処方箋薬の大幅引き下げを経験することとなる」と述べた。

しかし、その後、値下げの発表はなく、大統領が予告した理由は不明のままである。

逆に、Pfizerは7月1日付で値上げを発表した。

「バイアグラ」を含む同社の代表的製品100品目を値上げした。値上げ率は大半の品目で9%強で、消費者物価指数を大きく上回る。
バイアグラは19.8%の値上がりとなった。
但し、5品目については、価格を16~44%引き下げている。

Pfizerでは、割引やリベート(割戻金)を計算に入れると値上げ幅は「1桁台前半」にとどまるとしている。

Pfizerのほか、イスラエル製薬大手 TevaやスイスのRoche なども最近値上げに踏み切っている。


トランプ米大統領は7月9日のツイッターで、「理由もなしに値上げした。自らを守ることができない貧しい人々などの弱みにつけこみ、他方で海外で安値販売している」と、Pfizer などの製薬大手を批判し、何らかの対策を講じると言明した。

Pfizer & others should be ashamed that they have raised drug prices for no reason.
They are merely taking advantage of the poor & others unable to defend themselves, while at the same time giving bargain basement prices to other countries in Europe & elsewhere.

We will respond!

これを受け、PfizerのCEOがトランプ大統領と直接話し合い、値上げ撤回を決めた。


Tesla は7月10日、中国・上海にEVの新工場を建設することで上海市政府と合意した。

巨大電池工場「ギガファクトリー」のほか、モーターなどの主要部品から車両の組み立てまでを担う拠点になるとみられる。年50万台の生産を目指す。同社が米国外に工場を設けるのは初めて。

最大市場である中国での販売を拡大すると同時に、過熱する米中間の貿易摩擦の影響を現地生産により回避する狙いもある。

Tesla はこのたび、中国での販売価格を引き上げた。セダン「モデルS」と多目的スポーツ車(SUV)「モデルX」について、販売価格をそれぞれ約2割引き上げた。

知的財産権の侵害を理由に米国が7月6日に発動した追加関税の報復措置として、中国が米国製の自動車などに追加関税を課したためとみられる。

Teslaの2017年の中国販売は約1万5千台と世界販売の約15%を占めるが、全量が米国からの輸出である。

トランプ大統領の強硬策は、Harley-Davidsonと同様、生産の米国からの移転という逆の効果を生むこととなる。

当局の認可が下り次第、着工する予定で、2年ほどで生産が始まる見通し。年産約50万台の生産能力に達するのはそれから2、3年先になる見込み。

今回、投資額が公表されなかった。
Teslaは「モデル3」の生産ペース引き上げが難航し、巨額の手元資金を投じており、手元資金が3月末で27億ドルにとどまった。

アナリストは「投資家にとって現在最大の問題はTeslaがどうやってその費用を賄うかだ。Teslaは資本を得る必要があるだろう」と指摘した。


中国国内に外国自動車メーカーが100%所有する生産施設が建設されるのは初めてとなる。

Teslaは以前から中国で単独出資での現地生産を模索していたが、外資規制(現在50%が上限)などが障壁となり実現していなかった。
しかし、中国政府が今年に入り自動車分野で出資規制を撤廃、単独出資での中国進出が可能となり、5月に上海に中国法人を設立した。

習近平国家主席は4月10日、博鰲(ボアオ)アジアフォーラムで演説し、自動車への輸入関税を今年引き下げ、自動車合弁の外資出資規制を緩和する方針をあらためて表明した。
米トランプ政権が保護主義に傾倒するなか、中国政府は市場開放をアピールする狙いもあるとみられる。

国家発展改革委員会は4月17日、自動車の外資規制撤廃のロードマップを明らかにした。

2018年中に、EVなどの新エネルギー車
2020年に、トラックやバスなどの商用車
2022年に、乗用車

中国での自動車生産JV数(現在、新エネ車を除き原則2社まで)も2022年に制限を撤廃

 

大陽日酸は7月5日、米国のPraxair, Inc.による欧州事業(一部)の分割譲渡に係る入札に参加し、同日付でPraxairと子会社株式の売買契約を締結したと発表した。

本件の実行はPraxairとLinde AGが、各国の競争法当局から合併の承認を得られること、並びに本買収が競争法当局から承認を得られることにより、PraxairとLinde AGの合併が完了することを条件とする。

買収の概要は次の通り。

 取得対象事業

Praxairの欧州事業のうち、
ドイツ・スペイン・ポルトガル・イタリア・ノルウェー・デンマーク・スウェーデン・オランダ・ベルギーの産業ガス事業、
英国・アイルランド・オランダ・フランスにおける炭酸ガス事業、及び
ヘリウムに関連する事業

 取得のストラクチャー
取得対象事業に関連する会社の株式を買収

主要3社

社名 Praxair Espana, S.L. Praxair Deutschland Holdings Praxair Italia
場所 Madrid, Spain Dusseldorf, Germany Milan, Italy
設立 1954 2004 2014
事業

産業ガス及び関連機器・装置の製造・販売


 取得価額:
取得価額:5,000百万ユーロ(約6,438億円)  
取得価額は、クロージング時点での現預金・借入金の残高や運転資金の増減、等により調整が入る。

他に、アドバイザリー費用等:約27億円

ーーー

Praxairは2017年6月1日、ドイツのLinde Aktiengesellshaftとアイルランドに新たに持株会社Linde Public Limited Companyを設立して合併することで合意した。

2016/12/24 独 Linde、米 Praxair と対等合併

Linde と Praxair が統合すれば、圧倒的な業界第1位企業となる。

現在、各国の競争法当局による審査が行われているが、欧州委員会は2018年2月16日、予備調査で次の点が問題となり、詳細調査に入ると発表した。

合併は両社の多くの活動分野で競争を減らす恐れがある。

特に、産業用ガス、医療用ガス(及び関連サービス)、特殊ガス、ヘリウムの供給で問題があると懸念する。

需要家の製造工場内にガスの製造プラントを建設できる能力を持つのは(欧州に)4社しかない。世界でヘリウムの供給源にアクセスできるのも彼らである。

このため、需要家は4社が3社に減ることに恐れを抱いている。

これを受け、Praxairは欧州事業(一部)を売却することを決めたもの。

しかし、LindeとPrexair は、他の各国の当局の承認を得るには更なる事業売却が必要と考えている。Lindeは7月5日、両社が2018年後半の統合完了を目指し、各国当局と議論しており、また売却相手候補と交渉を行っていることを明らかにした。

EUは7月4日、酸化チタンメーカー Toronox による同業のサウジのCristal 買収を条件付きで承認した。米国はまだ審査中。

付記

しかし、米国FTCは市場シェアが大きくなり過ぎるとし、反対した。

対策として、Toronoxは2019年3月、Cristalの北米事業をIneosに7億ドルで売却した。

Ashtabula Ohioの2工場を含む。塩素法でTiO2を生産する。中間体としてTiCl4も生産、外販もしている。


Tronox Limited は2017年2月21日、Cristal の酸化チタン事業を現金 1,673百万ドルと Tronox のClass A普通株24%で買収する契約を締結したと発表した。

現金部分は事業売却で賄うとし、アルカリ事業やその他の非コア資産の売却プロセスを進めるとした。

同社は2017年9月1日、Alkali Chemicalsを Genesis Energy, L.P. に売却したと発表した。
対価は運転資本106百万ドルを含め、1,325百万ドルとなっている。

合併により、新しいTronoxは8カ国に酸化チタン合計130万トンの11の工場を持つこととなる。(Tronox 465千トン、Cristal 858千トン)

原料鉱石事業の面でも、Tronoxの南ア2カ所、豪州2か所、Cristal のブラジル、サウジ、豪州2か所の合計8カ所で年間生産能力150万トンとなる。

Tronoxは豪州に登記上の本社を置き、米国を本拠とする。

2006年にKerr-McGee からスピンオフした。(Kerr-McGeeはその後、Anadarkoが買収)
その際に、Kerr-McGeeから環境汚染の復旧費用と訴訟費用などを引き継いだが、これが主因で2009年1月にChapter11を申請した。

20098月、HuntsmanTronox の主要資産の買収契約を締結したが、同年末にTronox はこの契約を破棄した。
   
2009/12/25 Huntsman による酸化チタンメーカーTronox の資産買収 破談に

2011214日、Tronox はChapter 11 から離脱、既存事業を再建した。

Cristal (The National Titanium Dioxide Company Ltd.) はサウジのTasnee(The National Industrialization Company)の子会社。

中東/北アフリカでの唯一のメーカーで、サウジのYanbu Al-Sinaiyah 工場で1991年から生産して いる。
2007年2月に、Lyondellから旧Millennium Inorganic Chemicalsの酸化チタン事業 (能力67万トン)を負債込みで12億ドルで買収。

2007/3/5 Lyondell、酸化チタン事業をサウジ社に売却

EUは、紙のラミネート加工分野で競争を制限する恐れがあるとの判断をしたため、Tronoxはこの用途の世界中の酸化チタン顔料事業を売却することを提案、EUはこれを条件に買収を承認した。

既に、サウジ、豪州、中国、ニュージーランド、トルコ、韓国、コロンビアの当局が買収を承認しているが、米司法省は競争上、問題があるとしている。

2017年の世界の酸化チタンメーカーの能力は次の通り。TronoxはCristal 買収で能力トップとなる。

Chemours (ICI) : 

2011/5/18  DuPont、酸化チタンの大増設計画発表

2015/6/12 DuPont、Performance Chemicals 事業を分離 The Chemours Company

Venator (Huntsman) :

ICIの酸化チタン事業はポリエステル事業と合わせDuPontへ売却する合意が一旦成立したが、酸化チタン事業については紐余曲折を経た後、1999年6月末にHuntsmanに売却された。

20098月、HuntsmanがChapter 11 を申請したTronox の主要資産の買収契約を締結したが、同年末にTronox はこの契約を破棄した。
   2009/12/25 Huntsman による酸化チタンメーカーTronox の資産買収 破談に

2017年にPigments and Additives をspin-offし、Venator Materials Corporationとした。
当初はTextile Effects部門も合わせて分離するとしていたが、この分離は取りやめた。

Huntsmanの歴史:2017/5/26 Huntsman と Clariantが統合(取り止め)の付記

Cristal (National Titanium Dioxide ) :

サウジのTasneeの子会社、上記

Lomon Billions (龍蟒佰利聯集團股份有限公司):

Henan Billions(河南佰利聯化学)と Sichuan Lomon(四川龍蟒集団)が2016年に合併した。

中国3か所に合計70万トンの工場を持つ。四川省攀枝花市に原料鉱山を持つ。

Tronox:上記

Kronos Worldwide, Inc.:

ノルウェー、ドイツ (2)、ベルギー、カナダ、米 (HuntsmanとのJVのLouisiana Pigment Co.)6工場 を持つ。
ノルウェー
に鉱山 。

ーーー

なお、東邦チタニウムは、サウジに Cristal(The National Titanium Dioxide)とその親会社のTasnee(The National Industrialization Company)とのJVでスポンジチタンを製造している。

 東邦チタニウムは2014年1月22日、サウジでスポンジチタンを製造販売するJVを設立する基本合意の覚書を締結したと発表した。

JVの相手は、サウジの酸化チタンメーカーのCristal(The National Titanium Dioxide)とその親会社のTasnee(The National Industrialization Company)で、Yanbu 工業団地のCristal の酸化チタン工場の隣に、年産15,600トンのスポンジチタン製造工場を建設する。投資額は約420 百万米ドルで、2016年末の完成を目指す。

 2016年3月3日、新会社設立を発表した。

JV名:Advanced Metal Industries Cluster and Toho Titanium Metal Company Limited
株主:東邦チタニウム 35.0%
Advanced Metal Industries Cluster Company Limited 65%
    (Cristal とTasnee の折半出資の投資会社)

 2017/6/1、スポンジチタン製造工場が竣工、2018 年初の商業生産開始を目指す。
  工場生産能力  スポンジチタン 15,600 t/年

2014/1/27 東邦チタニウム、サウジでスポンジチタンの製造販売JV 

東邦チタニウムはこの工場で、これまで日本のスポンジチタン製造において使用されていなかったチタンスラグ由来の四塩化チタンを原料とする。

Cristal は豪州にミネラルサンドの生産会社、Bemax Resources Ltd.を子会社として持つ。
Cristal は、Bemaxのイルメナイトを主な原料とするチタンスラグの工場をサウジアラビアに建設しており、ここでは標準的なTiO2純分のチタンスラグを生産する。
(Cristal とTasnee の折半出資のAdvanced Metal Industries Cluster が工場を所有する。)

スポンジチタンはこれを原料とする。

Tronoxは5月9日、このチタンスラグをつくる会社の90%をAdvanced Metal Industries Clusterから取得するオプション契約を締結したと発表した。
Tronoxはこの工場のスタートアップを支援する
Technical Services Agreement を締結している。





出光興産は7月10日、創業家(持株28.48%)のうちの、長男の出光正和氏(同1.16%)と同氏が社長を務める資産管理会社の日章興産(同13.04%)との間で統合等に関する合意書を締結したと発表した。
(出光昭介氏と次男の正道氏は依然反対している模様。)

「物言う株主」として知られる村上世彰氏が、出光の株を1%弱取得し、株主として創業家を説得したとされる。

合意書の内容:

下記の条件で、昭和シェルとの経営統合について、株主総会で賛成する。

・ 取締役候補として2名を推薦
・ 出光興産の商号を維持する。
・ ブランドは継続して使用する。

大株主との上記の合意をもとに、出光興産は同日、昭和シェル石油との間で、2019年4月に株式交換を通じて経営統合する合意書を締結した。

2019年4月1日に経営統合する。

2018年10月 株式交換契約
 (出光興産の株式を昭和シェルの株主に交付し、出光興産が昭和シェルの全株式を取得、交換比率は今後詰める)
2018年12月 両社の臨時株主総会でこれを承認

2019年3月29日 昭和シェル上場廃止

統合後の取締役

昭和シェルが3名、出光興産が5名(大株主推薦の2名を含む)とする。他に社外取締役。

トレードネーム

「出光昭和シェル」とする。一定期間は両社の既存トレードネームを使用する。

説明によると、統合後の社名は登記上は「出光興産」とし、事業上の通称は「出光昭和シェル」を使うという。

なお、創業家は出光側に自社株式の取得を求めてきたため、出光は同日、1200万株、550億円を上限とする自己株式の取得を実施すると発表した。
これにより株主還元を充実させる。統合の際に昭和シェルの株主に対して交付する株式としても利用する。

付記 1200万株を買い取ると、創業家の持ち株比率は28.46%から30.28%に上昇する。(59,246,700/196,000,000)


石油元売りは2強時代を迎える。(昭和シェルは2017/12末決算、他は2018/3末決算)

ーーー

経緯は下記の通り。

出光興産は2015年7月30日、昭和シェル石油の株式 33.24% をShellから取得する株式譲渡契約を締結したと発表した。
出光と昭和シェルはこの株式譲渡を前提に経営統合に向けた協議を進めてきたが、これを加速する。

2015/8/3 出光興産と昭和シェル石油、経営統合で基本合意

出光興産と昭和シェルは2015年11月12日、対等の精神に基づく両社の経営統合に関する基本合意書を締結したと発表した。

2015/11/16 出光興産と昭和シェル、経営統合に関する基本合意書締結

出光興産は6月28日、定時株主総会を開催したが、出光家の代理人から、現在協議を進めている昭和シェル石油との経営統合について反対の意見表明がなされた。

2016/6/29  出光興産の創業家、昭和シェルとの合併「反対」

創業家は8月3日、昭和シェル株式を0.1%強を取得したと表明した。
出光興産の昭和シェル株式購入はこれを合わせると 1/3 を超えることとなり、TOBが必要で、出光興産が計画していたShell からの市場外での昭和シェル株式買収ができなくなる。

2016/8/5 出光創業家、合併阻止へ強攻策

公取委は、出光興産による昭和シェル石油の株式取得について、12月19日に排除措置命令を行わない旨の通知を行い、本件審査を終了した。

出光興産は公取委の承認を受け、シェルから昭和シェル株式 31.3% (株数を減らした)を158,978百万円で取得した。

2016/12/20 公取委、出光興産による昭和シェル石油の株式取得を承認 

2016/12/20 出光興産、シェルから昭和シェル株式取得

出光興産は2017年7月3日、公募増資で1385億円を調達すると発表した。これにより出光一族の出資は現在の33.92%から26%に低下し、株主総会で合併を拒否できる3分の1を下回る。

創業家は、「創業家の保有する議決権比率の希釈化を目的とすることは明らか」とし、株式発行の差し止めの仮処分を申し立てた。しかし、東京地裁、高裁は「新株発行の主要目的が不当とは認められない」としてこれを却下した。このため、会社側は直ちに総会を開き、合併の承認を求めることができなくなった。

2017/7/3  出光興産、増資発表

出光創業家は2017年12月20日、株式買い増しを発表した。創業家、出光美術館及び出光文化福祉財団の株式保有割合は、1/3未満ではあるが、合計で28%を超えるとしている。

当初 増資後 買い増し後
日章興産  16.95% 13.04% 27,119,900 13.04%
出光昭介  1.21% 0.93% 1,928,000 0.93%
出光正和  1.51% 1.16% 2,416,000 1.16%
出光正道 1.51% 1.16% 2,416,000 1.16%
宗像合同会社 4,974,400 2.39%
共同保有届け出 21.18% 16.29% 38,854,300 18.68%
出光文化福祉財団 7.75% 5.96% 12,392,400 5.96%
出光美術館 5.00% 3.85% 8,000,000 3.85%
合計 33.92% 26.09% 59,246,700 28.48%
発行済 160,000,000 208,000,000

2017/12/21 出光創業家、株式買い増し

その後、出光と昭和シェルは合併を一時棚上げする一方、2017年5月9日に趣意書を締結したブライターエナジーアライアンスに沿って協働事業の強化・推進を続けてきた。

現在の昭和シェルの主要株主は次の通り。サウジのAramcoが統合後の新社の株主となる。

出光興産 31.25%
Aramco Overseas Company B.V. 14.96%
The Shell Petroleum Co., Ltd (売却の残り) 1.99%
The Anglo-Saxon Petroleum Co., Ltd (Shell) 1.80%

付記  2019年4月1日に両社が統合したが、Shellが残る持ち株を全て売却していたことが判明した。

トランプ大統領は7月9日、7月31日付で引退するAnthony Kennedy判事(81歳)の後任として、首都ワシントン連邦巡回区控訴裁判所のBrett Kavanaugh判事(53) を指名した。

2018/6/28 米最高裁 Anthony Kennedy判事 引退へ 

付記

米上院は10月6日、連邦最高裁判事にトランプ大統領が指名したBrett M. Kavanaugh(53)をあてる人事案を賛成50、反対48の賛成多数で承認した。民主党からWest Virginai選出のJoe Manchin 議員が賛成した。
採決を経て宣誓を行い、最高裁判事に正式に就任した。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 49 1 50
反対 46 2 48
賛否なし
"present"
1 1
欠席 1 1
合計 51 47 2 100

賛成した民主党議員は、全体を判断して賛成したとしている。
賛否なしの共和党議員は、反対をこういう形で表現した。棄権と異なり、投票数に計算される。
欠席の共和党議員は娘の結婚式に出席のため。

仮に民主党議員が反対しておれば、49対49になるが、可否同数の場合、上院議長を兼務する副大統領が均衡を破る1票(議長決裁票)を投じることができるため、可決となる。

最高裁判事の上院承認には本来、60票が必要だが、2017年4月の最高裁判事承認で「核オプション」を使い、過半数で承認したのがきっかけで過半数となった。

トランプ大統領のツイッター:

I applaud and congratulate the U.S. Senate for confirming our GREAT NOMINEE, Judge Brett Kavanaugh, to the United States Supreme Court.
Later today, I will sign his Commission of Appointment, and he will be officially sworn in. Very exciting!


大統領は、25人の候補者リストから4人を選び、その中から指名するとしていた。

他の3人は、Thomas Hardiman、Amy Coney Barrett 、Raymond Kethledge 各判事で、いずれも若く、保守派である。

Brett Kavanaugh 判事は連邦巡回区控訴裁判所の判事を12年間続けたベテラン。

Buah(子)元大統領から高裁判事に指名される前は、同元大統領スタッフの事務方を務めていた。

同氏は高裁判事として環境規制無効を支持したほか、オバマ前政権時に制定されたインターネット規制を自分なら覆しただろうと発言した。
不法入国後に拘束された10代の少女の人工中絶を認める高裁判断の際、反対票を投じた。

大統領は、自分にとって重要なことは、判事の政治的信条ではなく、法律や憲法が求めるときに判事が自分の信条を横に置くことができるかどうかだと述べ、最適の人を選んだと自賛した。

これまではKenndy判事が「スイングボート」として、リベラル派4人と保守派4人の間で判決を左右してきたが、今回の筋金入りの保守派のKavanaugh 判事の指名で保守派5人、リベラル派4人となり、保守派が優勢となる。

保守派 Kennedy
保守系中道
(swing)
リベラル派
以前 4 ← 1 → 4
2016 Scalia 判事死去 3 ← 1 → 4
2017 Gorsuch 就任* 4 ← 1 → 4
2018 Kennedy 引退、Kavanaugh指名 5 4


*上院本会議が2017年4月7日に禁じ手の「核オプション」を使い、54 対 45 の賛成多数でNeil Gorsuch判事を承認した。

2017/4/8 米上院、異例の手続きで最高裁判事を承認 

Kavanaugh 判事が承認されると、最高裁はこの数十年間で最も保守派寄りに傾く公算が大きく、人工妊娠中絶の権利を認めた「Roe v. Wade」や、死刑制度の合憲性や人種差別、環境法制、同性愛者の権利といったKennedy判事がリベラル派側に付いた問題で過去の判例を覆すことも起こり得る。

「Roe v. Wade」は、妊娠中であった未婚女性と中絶手術を行い逮捕された医師などが原告となり、妊娠中絶手術を禁止したテキサス州法が違憲であるとして、1970年3月に Wade 地方検事を相手取って訴えた訴訟。

最高裁は1973年1月22日、7対2でテキサス州の中絶法を違憲とする判決を下した。
1992年に最高裁は「Roe v. Wade」判決を5対4で維持した。Kennedy判事は他の2人と共同で、憲法が女性の中絶の権利を保障していることを再確認する複数意見を述べた。

* Roe(又はDoe)は法律上の仮名。男子の場合はJohn Roe (Doe)、女性はJane Roe (Doe)、赤ん坊はBaby Roe (Doe)
殺虫剤の処方の登録はDistributorが取得し、顧客に使用を認めるが、その元の登録(ラベル)をJohn Dow Label という。顧客は自社のラベルを付け、そのまま登録申請する。

ただ、最高裁判事の就任には上院(定数100)の承認が必要だが、与党・共和党と野党・民主党の議席は51対49と拮抗している。

共和党上院議員のうち、Susan Collins と Lisa Murkowski は妊娠中絶を認める立場で、去就が注目されている。 (2人ともNeil Gorsuchの指名には賛成した。)

本来の60票はもちろんのこと、核オプションでの過半数の確保も難航必至である。

これまで、共和党52、民主党46、無所属(民主党と同一会派) 2 であった。

2017年2月にトランプ大統領が指名した共和党のJeff Sessionsアラバマ州選出上院議員が司法長官に就任、補欠選挙までは州知事指名の共和党員が臨時の議員を務めた。

2017年12月12日に投開票された補欠選挙で、民主党候補のダグ・ジョーンズ氏が共和党のロイ・ムーア氏を破り、これにより、共和党51、民主党47、無所属2 となった。

2017/12/13 米アラバマ州上院補選、民主党候補が当選確実、共和党上院議員51名に 

日本・EU EPA 調印

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EUの欧州委員会は7月6日、日本との経済連携協定(EPA)を7月11日に署名することを正式決定した。全28加盟国(離脱予定の英国を含む)が賛成した。

11日にブリュッセルのEU本部で、安倍晋三首相も出席して署名式典を開く。
との予定であったが、首相は7月9日、大雨被害で外遊を取り止めた。

EPAの署名も延期する。安倍首相がユンケル欧州委員長と電話で協議し、7月17日に東京で開催する方向になった。

調印後はそれぞれの議会での批准手続きに入り、2019年3月29日の英国のEU離脱より前の発効を目指す。

付記

安倍首相とEUのトゥスク大統領とユンケル欧州委員長は7月17日、首相官邸で日本とEUの経済連携協定に署名した。日本政府は秋にも予定する臨時国会での承認手続きの完了を目指す。

付記 参院は12月8日、賛成多数で承認した。EUは12月12日に採決し、承認した。この結果、2019年2月1日(双方が国内手続きを終えた翌々月の1日)に発効する。


日本とEUの世界における地位は次の通り。

日本とEUは2013年3月にEPAの交渉を開始した。

2016年にかなりの部分で合意し、安倍晋三首相は12月9日の参議院のTPP 特別委員会で、「2016年中の大枠合意の実現を目指して精力的に交渉を進める」と述べ、意欲を示した。

しかし、交渉のため来日していたEUの首席交渉官は12月17日、「いくつかの論点で思っていた以上に妥協が難しい状況だ」と述べ、双方の溝が埋まらないまま終了したことを明らかにした。

交渉では日本はEUに、自動車に10%、テレビに14%かかる関税の即時撤廃を要求、EUはチーズや豚肉、ワインなどの関税引き下げを求めていたが、難航した。

EU側は、日本製の自動車を巡っては「関税撤廃の準備はある」としたが、日本がEU産農産品の関税を撤廃することと「バランスが重要だ」と述べた。
EUが日本に輸入自由化を求める豚肉に関しては今回の交渉で「大きな進展があった」と表明しているが、チーズについては「より問題が複雑だ」として決着が難しい段階にあると示唆した。

2016/12/19 日欧 EPA、年内合意困難に

なお、韓国とEUは、それに先立つ6年前の2010年10月6日、自由貿易協定(FTA)の締結で正式署名、2011年7月1日に発効している。

双方は、相手地域で生産した自動車・冷蔵庫・カラーTVなど工業品に対しFTA発効5年以内に全関税を撤廃することで合意した。
EUの関税は、自動車で10%、テレビで14%と高率で、関税撤廃による韓国企業の輸出拡大が予想される。

工業製品関税については、原則 5年間で関税を完全撤廃。
  自動車部品は協定発効と同時に関税を撤廃、
  中大型乗用車は3年、小型自動車は5年内に撤廃
韓国は例外として40余りのセンシティブ品目について7年内の関税撤廃。
 (関税率が16%のその他機械類、純毛織物など)

見返りとして、農業品などの関税撤廃についても大部分は合意した。
韓国政府は、期間10年、総額270億ドルの国内農家向け支援策をまとめた。

EU産ワインは、直ちに撤廃
EU産豚肉に対する関税は、冷蔵肉全体とバラ肉冷凍肉は10年以内に、その他の部位の冷凍肉は5年以内に撤廃。

但し、韓国のコメ市場は開放しない。トウガラシ、ニンニク、タマネギも「主要調味料」として関税を据え置く。

2010/10/12  韓国とEU、自由貿易協定締結


その後、日本とEUは精力的に交渉を続け、2017年7月に大枠で合意した。

問題となっていたカマンベールなどの欧州産ソフト系チーズについては関税割当てとする。初年度2万トンから始めて16年目に3万1千トンまで増やす。枠内の税率は段階的に下げ、16年目に無税とする。

欧州産ワインの関税は即時撤廃。パスタやチョコレートも段階的に無税にする。

日本から欧州への輸出では、EU側が日本の乗用車にかける10%の関税を7年かけて引き下げ、8年目に撤廃する。自動車部品の92.1%(貿易額ベース)は即時撤廃する。

このほか日本酒や日本産ワイン・ウイスキー、牛肉などの関税は即時撤廃。知的財産の保護や電子商取引、農業協力なども明記した。

大枠合意では詰めきれなかった投資家と国家の紛争解決制度などの分野の協議を進め、年内に最終合意する予定とした。

投資紛争の解決制度についての双方の考え方は次の通り。

日本:TPP交渉と同じく、不当な扱いを受けた企業が進出先の政府を訴えることができる「ISDS」での対応を求める。
EUは:ISDSでは大企業による国家のルールへの干渉が防げないと懸念し、政府側が裁判官を選任する常設の「投資裁判所」制度を提案

2017年12月8日、交渉が妥結した。投資紛争の解決制度を除いた関税・ルール各分野で合意し、同日夜に安倍晋三首相とユンケル欧州委員長が電話協議で確認した。

その後、2018年3月に非公式の首席交渉官会合で投資紛争の解決制度について切り離し、まず関税・ルール分野の発効を優先する方向性を確認した。


EPA協定の概要は次の通り。

詳細は、Fact Sheet https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000270758.pdf

日本産品のEU市場へのアクセス EU産品の日本市場へのアクセス
撤廃率
(品目数)
EU側撤廃率:約99% 日本側撤廃率:約94%   
農林水産品:約82%
工業品等:100%

工業製品

100%の関税撤廃を達成

乗用車(現行税率10%):8年目に撤廃

自動車部品:貿易額で9割以上が即時撤廃

化学工業製品、繊維・繊維製品等:即時撤廃。

皮革・履物(現行税率最高30%):11年目又は16年目に撤廃

農林水産品等 牛肉,茶,水産物等の輸出重点品目を含め,ほぼ全ての品目で関税撤廃(ほとんどが即時撤廃)

酒類:日本ワインの輸入規制(醸造方法・輸出証明)を撤廃。

農産品や酒類(日本酒等)に関する地理的表示(GI)の保護を確保

コメは関税削減・撤廃等の対象から除外。

麦・乳製品の国家貿易制度,糖価調整制度,豚肉の差額関税制度は維持。
関税割当てやセーフガード等の有効な措置を確保。

ソフト系チーズは関税割当てとし,枠数量は国産の生産拡大と両立可能な範囲に留めた。
牛肉は15年の関税削減期間とセーフガードを確保

  

日本とEUの貿易関係は次の通り。


本ブログではこれまで日本及び欧米の独禁法問題を多く取り上げてきた。

   日本   欧米

米国でカルテルで摘発された企業はほとんどが司法取引を行い、罰金支払いで終わる。

しかし、個人については罰金 and/or 禁固刑である。

1990年代後半までは、外国人については罰金のみであった。
しかし、その後、米国人と同じ扱いになり、禁固刑も課せられるようになった。

日本人の場合、2000年代は2名だけが禁固刑となった。

2010年代に入り、自動車部品カルテルが摘発され、多くの日本人が起訴され、多数が禁固刑を受けるようになった。
このブログで取り上げた範囲で、日本人で禁固刑を受けたのは、自動車部品で30名、海上貨物輸送カルテルで3名、電解コンデンサカルテルで2名で、それ以前を加算すると37名に達する。

以下に日本人のケースをまとめた。

(米国のカルテル訴訟)

司法省が起訴し、大陪審が起訴か不起訴を決定する(検察官の処分だけで事件が裁判に付されるのを防ぐ目的)。 起訴が認められると裁判になる。

シャーマン法では独禁法違反で有罪となった場合の罰則は次の通り。

罰則  法人 1億ドル以下の罰金
    個人 100万ドル以下の罰金 and/or 10年以下の禁錮刑

(司法取引)

日本企業の場合は、ほとんどが裁判になる前に司法省と司法取引を行う。

これまで数えきれない企業が起訴されたが、日本企業で裁判になったのは、2016年6月15日に起訴された東海興業とマルヤス(及び両社の米国子会社)のみ である。

東海興業は無罪となり、マルヤスは最後に1件だけの有罪を認める司法取引を行った(実質勝訴とされる)。

2018/1/24  米の自動車部品カルテル裁判で東海興業に無罪 及び付記
  

(外国人に対する"No-jail" policy)

個人については、1990年代後半までは外国籍の役職員については収監されることがないという"No-jail" policy があり、罰金だけであった。

映画になり有名となったリジンカルテルでは、1996年に各社が罪を認めた。

ADMは司法取引で70百万ドル(同時に判明したクエン酸事件の30百万ドルを加え、合計100百万ドル) の罰金を払い、2名が罰金と3年の懲役となった。
主人公はカルテルの存在を通告し、免罪となる筈が、横領が分かって取り消しとなり、8年半服役 (会社側の報復で検察の恩赦申請を大統領が拒否)。

カルテルに参加した味の素と協和発酵、及び韓国のSewonは各社と各社の役員各1名が罰金を払った。

2010/1/12 映画 The Informant

(個人の罰金の扱い)

個人の罰金を会社が負担することは出来ない。

リジンカルテル事件の際に、味の素の社員の罰金を会社が支払った疑惑が問題となった。


("No-jail" policyの廃止)

2000年代に入ると"No-jail" policy は破棄され、外国籍の役職員に対しても積極的に禁固刑+罰金刑 を科すようになった。


(司法取引による免責の例外)

企業が司法取引を行う場合、罰金の支払いに同意することで、原則としてその企業の従業員や役員なども刑事免責の対象となる。

しかし、司法省は、カルテルの撲滅のためには、それに関わったできるだけ高い地位にいる人物を処罰することが重要であると考えており、カルテルに係ったり、黙認した役員等数名を免責対象から除外する。これをcarve-outと呼ぶ。各司法取引において2名から5名程度のcarve-outが行われることが多いとされている。

通常は担当役員数名だが、例外は防カビ剤のソルビン酸カルテルである。

チッソがカルテルを司法省に申告して判明、2001年にダイセル、上野製薬、日本合成、Hoechstが起訴された。チッソは減免 を受けた。
各社は司法取引で罰金を払ったが、Carve-outにより、ダイセル4名、上野製薬3名、日本合成1名、Hoechst 1名が起訴された。

すべて役員クラスだが、ダイセルの1名だけは当時40歳前の主席部員であった。

チッソが提出した詳細な資料に、本人が中心となってカルテルを運営していたことが判明し、司法省としては免責にすることはできないと判断した。



(起訴された日本人)

上記の2件の裁判では、東海興業の役員1名は無罪判決を得た。マルヤスの場合、4人が起訴されたが、このうち3名は司法省が起訴を取り下げた。(これも実質勝訴とされる所以である)

通常、本人が司法省と司法取引を行い、罰金刑 and/or 禁固刑となる。

日本人の場合、1年程度の禁固刑+罰金2万ドルが通常だが、2年の禁固刑もあり、罰金が8万ドルというのもある。

これまで多数の日本人が起訴されたが、自動車部品カルテルが摘発されるまでは、日本人で刑を受けたのは2人だけで、他は刑を受けていない。


2人のうち、ソルビン酸カルテルでのダイセル担当者については後述の通り、自ら米国に渡り、刑を受けた。

もう一人は
マリンホース国際カルテルのブリヂストン社員で、米国でのカルテル協議中に逮捕された。(出国禁止になるため、免れない)
禁固2年+罰金8万ドルは日本人では最も重い。 (自動車部品カルテルで、禁固2年+罰金2万ドルが2人いる。)

2008/12/12 マリンホース国際カルテル事件で日本人に有罪判決


(刑を受けないケース)

自動車カルテルでは起訴されたうち、約半分が刑を受けた。

これは、司法省が起訴する場合、起訴された人が大陪審に出て、正式に起訴された場合に司法取引を行う。

起訴された人が日本に留まれば、大陪審での決定ができず、時効の中断扱いとなる。

このまま日本に留まれば、下記の場合を除き、刑を受けることはない。

米国政府が犯罪人引き渡し条約に基づき、引き渡しを要請し、日本政府が応じた場合
旅行で米国に入国し、入国時に逮捕(旅券番号が米国政府に通知されており、即逮捕される)

他の国に旅行し、その政府と米国政府の犯罪人引き渡し条約に基づき、引き渡される場合。

起訴された人に聞くと、米国弁護士から、海外旅行する気がないなら、放っておけと言われた由。但し、米国はもちろん、中国や欧州に旅行しても危ないと言われた。

10年間で2人しか禁固刑を受けていないのは、摘発された時点で米国におらず、そのまま日本に留まったためである。
その後に急増したのは、自動車部品のように米国駐在でカルテルに参加し、摘発時にも米国に滞在していたケースが多いと思われる。

(海外滞在者の禁固刑の例)

これまで、起訴時に米国以外にいて(そのままなら刑を受けないのに)刑を受けたのは3例のみ(厳密には2例のみ)

①上記のダイセルの主席部員

まだ若いため、今後一切海外に行けないのでは仕事にならないと考え、自ら出頭した。

米国司法省も、これまで起訴した日本人全員が時効中断のままであるのに対し、自ら渡米して禁固刑をうけるという世界初の例を重視し、非常に寛大な措置(3か月の禁固と罰金2万ドル、週末は出所可能とされる)を行った。

米国司法省は、独禁法を有効に施行するという司法省の能力を示すものとして、「日本人で最初に服役」と誇らしげにこれを発表している。
   http://www.usdoj.gov/opa/pr/2004/August/04_at_543.htm

本人は3ヶ月の服役の後、欧州子会社の代表となり、その後も活躍している。

炭素ブラシのカルテルと司法妨害で訴えられた英国のMorgan Crucibleの元CEO Ian Norrisが英国から米国に引き渡され、18ヶ月の禁固刑を受けた。
   但し、カルテルの時点ではカルテルは英国の犯罪ではなかったとの主張で、カルテルは落とされ、司法妨害の罪のみとなった。

両国でいずれも処罰の対象となる犯罪のみが引き渡しの対象となる。

マリーンホース国際カルテルで起訴されたが、当時米国におらず逮捕を免れていたイタリアのParker ITRのRomano Pisciottiは、2013年6月にドイツで逮捕され、2014年4月3日に米国に送還された。

Romano Pisciottiはナイジェリアからイタリアに戻る途中、ドイツの空港で逮捕された。

その後、Pisciottiはイタリアの裁判所とEUの人権裁判所に訴え、EUの法律が適用されるべきとするとともに、ドイツによる国籍差別の犠牲者であると主張していた。

Romano Pisciottiは4月24日、有罪を認め、禁固2年、罰金5万ドルを受け入れた。
ドイツでの拘束期間の(9ヶ月+ 16日)がこれから差し引かれる。

2014/5/8  マリーンホース国際カルテルでのイタリア人被告の米国への引渡し

この件では、上記の通り、ブリヂストン社員が禁固刑となっている。

(日米 犯罪人引渡条約)

日米の場合は1980年の条約で、両国でいずれも処罰の対象となり、両国の法律で死刑、無期懲役、1年以上の拘禁刑に当たる罪の場合は引渡しが可能となっている。

しかし、これまでは日本の独禁法の罰の最高が懲役3年で、執行猶予が付いた。このため、日本政府は独禁法違反の場合は該当せずとしてきた。

2009年改正により、独禁法の最高が懲役5年となったため、執行猶予の対象外となり、条約上の引渡し対象となる。

条約第5条では、「被請求国は、自国民を引渡す義務を負わない。ただし、被請求国は、その裁量により自国民を引き渡すことができる」となっており、日本政府の判断で引渡しを行うかどうかを決めることとなる。


(自動車部品カルテル)

上述の通り、2011年以前では、日本人で刑を受けたのは2人だけである。

自動車部品カルテルが摘発されて以降、刑を受ける人が急増した。


古河電工は2011年9月29日、米国司法省との間で、自動車用ワイヤーハーネス係るカルテルに関して以下の内容の司法取引に合意した。

 起訴事実を認め罰金200 百万米ドルを支払う。

 社員3名が有罪を認め、禁固刑に服する。(それぞれが2万ドルの罰金)
     F氏 1年と1日
     N氏 15か月
     U氏 18か月

2011/10/4 古河電工、自動車用ワイヤーハーネス・カルテル問題で米国司法省と合意 

その後、摘発が続出した。

現時点までの状況は下記の通りで、大部分が日本企業である。(司法省発表より 1社、1名少なく、調査中)

起訴 司法取引 未決

裁判

無罪 起訴取消
法人 48社 45社 2社 1社
   

日本企業 41社 38社 2社 1社
外国企業 5社 5社
同上 日本法人 2社 2社
罰金総額 29億ドル
個人 65名 31名 30名 1名 3名
 

   

日本人 64名 30名 30名 1名 3名
外国人 1名 1名

日本企業のうち、日立オートモティブシステムは2回摘発されている。
法人の無罪は
東海興業と子会社、起訴取消はマルヤス子会社。
個人の無罪は東海興業、起訴取消はマルヤス。

最終リスト 2015/9/7 日本ガイシ、自動車用触媒担体のカルテルで米司法省と司法取引 の付記

個人については、刑を受けたものと未決が半々。

2011年以降、刑を受ける個人が急増したが、米国に駐在中に起訴されたと思われる。
日本企業の従業員に対する反トラスト部門の積極的な 責任追及姿勢も響いている。


(その他のカルテル)

海上貨物輸送カルテル

 企業   個人
会社名

罰金
百万$

決定日 個人 禁固刑 罰金 決定日
Compañía Sud Americana de Vapores S.A.(チリ) 8.9 2014/2
川崎汽船 67.7 2014/9 H. T. 1年6ヶ月 2万ドル 2015/1
T. Y. 14ケ月 2万ドル 2015/2
日本郵船 59.4 2014/12 S. T. 15ケ月 2万ドル 2015/3

2015/3/12 米、海上貨物輸送カルテルで3人目の日本人に禁固刑


電解コンデンサ カルテル

罰金 10人を起訴
2015/9/2 NEC TOKIN 13.8百万ドル
2016/4/27 Hitachi Chemical 3.8百万ドル
2016/8/22 Rubycon Corporation 非公表
Elna Co., Ltd. T. T. 禁固 1年と1日
Holy Stone Holdings *
2017/2/8 Matsuo Electric 非公表 S. O. 禁固 1年と1日
2017/7/11 Nichicon 42百万ドル
2017/10/8 Nippon Chemi-Con 非公表


*日立化成エレクトロニクスは、2009年10月29日、三春工場のタンタル・ニオブコンデンサ事業を、三春工場関係の資産とともに台湾の禾伸堂企業股份有限公司(Holy Stone Enterprise Co., Ltd. )が新たに日本に設立する法人に譲渡することを決議

2016/4/30  日立化成、コンデンサ事業でのカルテルで米国司法省と司法取引付記


Yates メモ)

2015年9月にSally Quillian Yates連邦副司法長官が司法省の検察官に向けて発表した 「Yates メモ」 が話題を呼んだ。

司法取引で政府への協力により便益を得ようとする会社は、従業員や役員の刑事責任に関連する事実を全て提出しなければならないというもの 。

便益を得ようとする会社は、従業員を 「差し出さなければならない」とも受け取られた。

これについて、その後、次のように説明した。

従業員による不正行為を完全に 示すにあたり「関連する事実の全て」を開示しなければならないということを意味したものではない。
調査によっても従業員の有罪責任 を立証するのに必要な「全ての」事実が判明しないこ ともあることはDOJも認識しており、会社として合理的に示すことができる事実の一切を開示しなければならないという意味である。

(カルテル捜査対象者のその後の扱い)

カルテル事件などを捜査する米司法省反トラスト局が2014年に、捜査対象になった従業員を継続雇用しないことを企業に求める新たな方針を示し、問題となった。

企業が司法取引を行った後、司法取引の条件のコンプライアンスプログラムを作成し、きちんと改善したとしながら、有罪の可能性のある役員で、責任を認めず、司法取引からcarved out されている役員を雇用し続けている企業がある。

企業がその人間を、重要な権限を持つポジション、直接・間接に共謀行為を続けられるポジション、企業のコンプライアンス計画を監督するポジション、その人間の犯罪行為について証言する人間を監督するポジションで雇い続ける場合、その会社が新しいコンプライアンスプログラムを本気で実行することに疑問がもたれることとなる。

その後どうなったかは不明だが、優遇するのは問題となる。

2015/4/9 米司法省の カルテル捜査対象者の雇用中止要請 

LGグループの具本茂会長が5月20日に死去した。73歳だった。

具会長は3代目で、LGを20年余りでテクノロジーおよび化学分野の世界的企業に育て上げた。

グループの持ち株会社・LGは6月29日、臨時株主総会で具光謨・LG電子常務 (40) を取締役に 選任し、総会後の取締役会で代表取締役会長に選出した。
代表取締役兼最高執行責任者(COO)の河炫會・LG副会長とともに、複数代表取締役としてLGの経営を担うことになる。

一部には、具本茂氏の 弟(三男)で、LGディスプレーなど主要グループ企業で経営手腕を発揮した具本俊・LG副会長 が短期的に会長になるのではとの推測もあったが、同氏は同日からLGグループの経営一線から完全に退き、年末の役員人事で退任する。

具光謨氏は具本茂会長の弟の具本綾氏の長男で、事故で息子を亡くした具本茂氏が2004年に養子に迎えた。
グループの中核会社・LG電子で常務として、B2B(企業間取引)事業本部の Information Display
事業部長を務めていた。


取締役会であいさつした具氏は「これまでLGが培ってきた顧客価値の創造、人間尊重、正道経営という資産を継承し、発展させていきたい。変化が必要な部分は改善し、長期的な観点から成長基盤を構築することに最善を尽くす」と述べた。

年末まで主要系列会社の懸案を把握後、経営の前面に出るとみられる。これを機に、LGグループの事業再編が本格化するとみられている。


韓国の主要10企業グループのうち、4代目の総帥が誕生するのは初 めて。2代目が5人で最も多く、サムスングループの経営トップ、李在鎔・サムスン電子副会長らは3代目。


Saudi Aramco と Abu Dhabi National Oil Company (Adnoc) は6月25日、インド西海岸での440億ドルの精油所建設計画に共同で投資する契約に調印したと発表した。


計画は、インドの西部 Maharashtra州Ratnagiri に大規模石油精製・石油化学コンプレックスを建設するもの。

インド国営の石油会社3社が計画しているもので、第1期 40 百万トン、第2期 20 百万トンで合計60 百万トン/年(日産120万バレル)の製油所を建設する。石油、ディーゼル、LPG、航空燃料、石化原料を生産する計画で、2022年のスタートを目指している。

当初は、Indian Oil Corp. (IOC) が50%、Bharat Petroleum Corp. (BPCL) とHindustan Petroleum Corp. (HPCL) が各25%を出資することとなっていた。

Saudi Aramcoは2018年4月11日、インド側3社のコンソーシアム "Ratnagiri Refinery and Petrochemicals Ltd." (RRPCL)との間で参加のMOUを締結したと発表した。

2018/3/2 サウジアラムコのインド進出計画 

今回、Aramcoは自社の持分をAdnocと分け合う。両社のこのような契約は初めて。

サウジでムハンマド皇太子が実権を握って以降、UAEと政治的に近くなっていることが背景にある。

両国の皇太子は2016年初めにサウジの広大な砂漠へ1泊のタカ狩りキャンプに出掛け、それ以降、非常に親密になったとされる。


事業会社への出資比率はAdnocとAramcoが25%ずつで、残りをインド3社が分け合う。

Adnocはこれにより、主要市場に原油を供給するとともに、世界で最大かつ最速に成長する石油・石化市場へのアクセスを強化する。

予備的FSは両社で行うが、スケデュールは明らかにされていない。

トランプ米政権は7月6日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を発動した。

米通商代表部(USTR)は、第一弾の340億ドル分について、米東部時間7月6日午前0時1分(日本時間午後1時1分)以降に米国に到着したり、国内の保管庫から取り出されたりした輸入品から関税を徴収すると通知を出した。

大統領は7月5日、記者団に対し、制裁関税を予定通り発動する方針を表明した。
そのうえで残りの「160億ドル分も2週間で実施する」と語った。

付記 

米通商代表部(USTR)は、中国の知的財産侵害に対する第一弾500億ドルの制裁関税の残り160億ドル(25%)を8月23日に発動すると発表した。

集積回路などの半導体関連や電子部品、プラスチック・ゴム製品、鉄道車両、通信部品、産業機械などを含む。6月15日に発表した原案からは企業の要請を受けて鉄道コンテナや工作機械など5品目を取り除いた。


これを受け、中国も、残り160億ドルの追加関税の対象製品リストについて相応の調整を行った後、2018年8月23日午後0時1分より25%の追加関税を課すことを決定したと発表した。

6月発表の当初案に含まれていた原油は今回の最終リストからは除外された。ただ、対象品目の数は114から大幅に増加。対象となる輸入品の額は変更されていない。

調整後の品目は 对美加征关税商品清单二.pdf

トランプ米大統領は6月18日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を巡り、新たに2千億ドル相当の輸入品に10%の追加関税を検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したと発表したが、これにも触れ、最終的には中国から輸入するほぼ全ての製品に対象を拡大する姿勢を示した。

付記

米通商代表部(USTR)は7月6日、中国への制裁関税を巡り、特定の製品を対象から外す手続きを実施すると発表した。

除外するのは
(1)輸入元が中国に限られる
(2)関税を課せば米国の国益に大きな経済的損害をもたらす
(3)中国のハイテク産業育成策「中国製造2025」に関連した製品ではない――
といった条件を満たした特定の製品で、メーカーやブランドではなく、製品単位で除外すべきか判断する。

企業などの申請を審査する。申請は10月9日まで受け付ける。除外を認めた場合の有効期間は1年間で、7月6日にさかのぼって適用する。

中国も対抗して7月6日に同額の輸入品に追加関税をかけるとしている。時差の関係で中国に先に7月6日が来る。

しかし商務部は「中国は決して先に引き金を引かない。ただ、仮に米国が追加関税措置を取れば、中国は国家と人民の利益を守るために反撃せざるを得ない」と述べた。中国税関総署も「米国からの輸入商品への追加関税は米国の追加関税が効力を発揮してから実施する」との声明を出した。

その後、米国の発動を受け、中国も報復関税を発動すると発表した。

付記 中国政府は、アメリカがWTOのルールに違反し、史上最大の貿易戦争を仕掛けたと強く非難し、追加関税措置の発動についてWTOに提訴した。

ーーー

トランプ米政権は6月15日、中国の知的財産権侵害への制裁措置として、中国による知財侵害の被害額と同規模の500億ドル分の中国製品に25%の追加関税を課すと発表した。

中国が巨額補助金を拠出してハイテク産業を育成する「中国製造2025」計画を名指しで批判し「中国は不公正な手法で米国の知財や技術を得ており、もはや耐えられない」と主張し、「中国が報復措置に動けば米国はさらなる追加関税の発動に踏み切るだろう」と圧力をかけた。

まず7月6日に340億ドル分の制裁関税を発動し、残りの160億ドル分は一般の意見聴取後に発動する。

今回の第1弾の対象は産業ロボットや電子部品などハイテク製品を中心に818品目で、消費者への影響を考慮し、4月時点での約1300品目からテレビなど消費者向け汎用品などを除外した。

第2弾の160億ドル分の対象は、化学品や光ファイバーなど、「中国製造2025」の重点分野に絞った。第1弾と合わせ約1100品目となる。


中国商務省は6月16日、報復措置として、659品目、総額500億ドル規模の米国製品や農水産品に25%の追加関税を課すと正式発表した。

7月6日に発動する第1弾の追加関税は下記の545品目、約340億ドル相当。

大豆、牛肉、豚肉、鶏肉、水産物、じゃがいも、たまねぎ、キュウリ、ホウレンソウ、マンゴー、オレンジ、ブドウ、りんご
ウイスキー、たばこ、綿花、乗用車、電気自動車など

米国産大豆は中国が輸出先の6割を占めている。

原油、天然ガス、石炭、エチレン、医療器具など資源エネルギー分野を中心とした114品目、約160億ドル相当は後日、発動日を公表する。 航空機は対象から外れた。

2018/6/16 米、対中制裁関税 発動へ、中国も報復 

トランプ米大統領は6月18日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を巡り、新たに2千億ドル相当の輸入品に10%の追加関税を検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したと発表した。

米国による500億ドル分への25%の関税に対し、中国が同規模の報復措置を打ち出したのを受けての追加措置。

2018/6/20 トランプ大統領、対中貿易制裁の追加の検討を指示 


付記

トランプ米大統領は8月1日、2千億ドル分の中国製品を対象とした第3弾の対中制裁を巡り、関税率を当初の10%から25%に引き上げるよう米通商代表部(USTR)に指示した。

U.S. District Court for Eastern Pennsylvaniaは6月29日、米製薬会社AbbVie 提携先のBesins Healthcareに対し、独禁法違反で罰金448百万ドルの支払いを命じた。
自社のブランド薬AndroGelとジェネリック薬との競争を回避し、AbbVie
とBesinsの独占による利益を長期にわたって維持しようとしたとしている。

被告の行為でジェネリックの上市が本来の2013年6月から2014年12月に延びたとし、その間の利益分として448百万ドルの罰金とした。


2014年9月に
連邦取引委員会(FTC) は、AbbVie Besins Healthcareベストセラー新薬のテストステロン補充療法ジェル薬AndroGelのジェネリック薬への米国民のアクセスを違法に妨害したとして両社を提訴した。

AndroGelは、テストステロン値の低い男性に対して用いられるテストステロン補充療法ジェル薬として認可された話題の医療用ジェルであり、米国における年間売上高は10億ドル以上である。

FTCによる提訴の主要点は,次の2つの反競争的行為の疑いである。

1) 両社はAndroGelのジェネリック薬のFDAによる承認を遅らせ、ブランド薬である自社の製品に係る独占的な利益を拡大するために、ジェネリック薬メーカーのTeva及び Perrigo Co. に対する根拠のない特許侵害訴訟を提起した。

本件偽装特許侵害訴訟で問題となっているのは、AndroGelのミリスチル酸イソプロピル(IPM)という成分である。
IPMは、皮ふや血流を通じて薬の有効成分であるテストステロンの循環を促進させることから、「浸透促進剤」として知られている。
AndroGelの特許は、IPMを浸透促進剤として使用するという製法に係る製剤特許に過ぎない。
 
Teva及び
Perrigoは、IPMとは別の浸透促進剤を使用したテストステロン補充療法ジェル薬を開発したにもかかわらず、両社に対して、特許侵害訴訟を提起した。
(AbbVie
とBesinsは、AndroGelの特許承認を得る際に、それらの浸透促進剤に対する主張を放棄しており、特許対象外であることは明らか)

当該訴訟が提起されたことにより、FDAの認可権限は、特許侵害訴訟請求の内容のいかんにかかわらず30か月の自動停止となった。

2) Tevaは、両社に対し当該訴訟は根拠がないと主張した後、反訴を取り下げ、テストステロン補充療法ジェル薬市場に参入しない見返りに、AndroGel とは無関係の製品(2011年の米国における売上が10億ドル以上であったTricorと称するコレステロール薬)を包括的に販売する権利を得るという形で、AbbVieから違法な支払を受けた。

これは、"Pay-for-delay" or "Reverse payment"と言われ、特許権侵害訴訟を和解により解決する際の方策として、先発品メーカーが後発品メーカーに一定の金銭を支払い、後発品メーカーは後発品の上市を一定期間遅らせることに同意するというもの。

FTCは、これはAbbVie Tevaによる不当な取引制限行為であるとした。

FTCは、被告人の行為がFTC法に違反しているとの宣告、被告人に対する不当利得返還命令、被告人による同様の反競争的行為についての将来にわたる禁止についての判決を求めた。


台湾の半導体大手、UMC(United Microelectronics Corporation:聯華電子)は7月3日夜、特許侵害などを巡り係争中の米Micron Technology に対し、中国・福州中級人民法院がUMCの主張を認め、MicronのDRAMやNANDフラッシュメモリー関連など26の半導体製品の販売を差し止める仮処分を下したと発表した。 陝西省西安の工場と上海の設計・営業拠点が対象。DRAMは2013年に買収した旧エルピーダメモリの広島工場でも生産している。


台湾の新竹に本社を置くUMCは、中国の半導体市場で事業を拡大している。中国のファウンドリーの運営の他に、さまざまな企業にメモリ技術のライセンスを提供している。
福建省晋華集成電路(
Fujian Jinhua Integrated Circuit Co., Ltd. : JHICC)は、56億5千万米ドルを投資して、福建省晋江市にUMCの技術を移管したメモリ製造工場を建設し ている。

UMCは2018年1月、Micronが中国で販売する製品が自社の特許を侵害したとして、福州中級人民法院に訴訟を起こした。プレスリリースで、「UMCは、徹底的な調査の結果、中国本土で販売されているMicronの製品が、当社の特許権を侵害していると判断し、公正な判断を仰ぐために特許侵害訴訟を起こした」と述べている。

特許を侵害しているとされる製品の製造、輸入、販売を禁止するほか、全ての在庫を破棄し、2億7000万元(約45億円)の賠償を 行うことなどを求めていた。

Micronの中国向け売り上げは2017年度で全体の5割強を占めている。

この問題はUMCとMicronの間の幅広い係争の一環である。

Micronは2017年12月、UMCがMicronの台湾拠点から人材を引き抜いて 半導体メモリーに関する企業秘密を不正に持ち出させたなどとして、営業秘密防衛法(Defend Trade Secrets Act)および不正収益・腐敗組織法(通称RICO法:Racketeer Influenced and Corrupt Organizations Act)の民事規定に基づき、UMCと JHICCを米カリフォルニア州の裁判所に訴えた。

以前Micronに勤めていた従業員が社外秘のメモリー・チップ設計図を持ち出してUMCに転職し、UMCがそれらの設計図を中国のJHICCに渡 したという。

Micron 傘下の瑞晶電子や華亜科技では、すでに多くの技術者や幹部が中国新興IC企業に転職している。Micronでは先端技術が流出するのを防ぐために、2017年初めの時点で傘下 の台湾企業従業員の中国転職の阻止に動いていた。台湾の検察当局に対し、技術流出に絡んだ特別調査に踏み切るよう要求している。

中国はメモリー製品の最大の輸入国で、世界のDRAMの20%を消費している。買収や提携を通じた自国の半導体産業育成を目指しているが、米国などが安全保障上の懸念を示しており、半導体の国産化は計画通りには進んでいない。


今回の販売差し止め仮処分には、NANDフラッシュメモリーやDRAMが対象に含まれている。

NAND型フラッシュ市場では、MicronはIntel とのJVをつくっているが、2019年にJV解消が決まっている。

DRAM価格が急上昇する中、中国当局はMicronや韓国の半導体メーカーの調査に乗り出している。

中国の独占禁止当局が米 Micronとサムスン電子、SKハイニックスのメモリー半導体3社による価格談合など独占禁止法違反の疑いで調査に着手した。国家市場監督管理総局傘下の反独占局の調査官らは5月31日、北京、上海、 深圳にある3社のオフィスを突然訪れ、検査を実施した。

2018/6/9 中国、米・韓の半導体3社を独禁法違反の疑いで調査

ーーー

米中間では知財関連の摩擦が深刻化している。

トランプ米大統領は3月12日、シンガポールに本社を置く通信用半導体大手Broadcom Limitedによる米Qualcomm Incorporatedの買収を禁じる命令を出した。Broadcomと華為技術の企業としての近さも警戒された」とされる。

2018/3/14 米大統領、BroadcomによるQualcomm買収禁止命令

これに対し中国商務部は翌月、Qualcommによるオランダの NXP Semiconductors 買収の承認を認めなかった。

2018/4/24 中国商務部、QualcommによるNXP買収の承認に慎重 

トランプ大統領は3月22日、米通商代表部(USTR)に中国の知財侵害に制裁関税を課すよう指示する大統領令に署名、USTRは4月3日、通商法301条に基づき、中国の知的財産の侵害に対して発動する制裁関税の原案を公表した。

これに対し、中国商務部は米国産の大豆やその他の農産物、自動車、化学品、飛行機など計106品目(2017年の輸入額は約500億ドル)に25%の関税をかける方針を発表した。

トランプ大統領は更なる追加関税を検討する方針を表明した。

7月6日に相互の最初の部分の課税が開始される。

時差の関係で中国に先に7月6日が来るが、商務部は「中国は決して先に引き金を引かない。ただ、仮に米国が追加関税措置を取れば、中国は国家と人民の利益を守るために反撃せざるを得ない」と述べた。中国税関総署も「米国からの輸入商品への追加関税は米国の追加関税が効力を発揮してから実施する」との声明を出した。

2018/4/5 USTR、通商法301条に基づく対中制裁関税案を発表、中国も対抗措置を発表 

2018/4/7 米、対中制裁追加を検討

米商務省は4月16日、中国通信機器大手の中興通訊(ZTE Corporation)がイランや北朝鮮に対し通信機器を違法に輸出していた件で、商務省との約束を守っていなかったため、米企業によるZTEへの製品販売を7年間禁止すると発表した。

両国トップの協議の結果、米商務省は6月7日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しで同社と合意したと発表した。

但し、米上院がこれに異議を唱えている。

ZTEは取締役全員の退任と新会長指名を発表し、制裁解除の条件履行へと大きく前進している。

2018/6/22 米上院、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しに反対

スイスのNovartisは6月29日、眼科分野の子会社Alconをグループから分離すると発表した。
2019年前半にスイス証券取引所とニューヨーク証券取引所に上場させる。時価総額は250億ドル以上とみられている。

売上高は約70億ドルで従業員は2万人以上の規模になる。

Alconはコンタクトレンズや眼科手術用の医療器具の世界大手。

Novartisは2007年に医療用栄養食品のMedical Nutrition とベビーフードのGerberをNestleに売却したが、代わりにNestleからAlconを買収した。(2008年に25%、2010年に52%で、合計77%)

Novartisは2014年4月22日、大規模な事業再編を発表した。

GlaxoSmithKline (GSK) から抗がん剤製品群を買収するとともに、大衆薬事業はGSKの事業と統合し、GSK主体のJVとする。
更にインフルエンザ以外のワクチン事業をGSKに売却する。
これとは別にインフルエンザワクチンの売却を進めており、動物薬事業はEli Lillyに売却する。
(インフルエンザワクチン事業は2014年10月、オーストラリアのワクチン大手CSLに275百万ドルで売却すると発表した。)

2014/4/25 Novartis、GSKとの取引等で事業再編 

これにより、Novartisは事業を医薬品、Eye care製品、大衆薬事業(Generics) の3つに絞り込んだ。

しかしその後、Alconは業績が伸び悩んでおり、Novartisはこれを自社で再建するか、株式の上場や売却で切り離すかを検討していた。
今回、Novartisは「100%の分離が株主の利益とNovartisの戦略にとって最適だ」と述べた。

なお、Alconの眼科用の医療用医薬品はNovartis本体に残す。



Novartisは2018年3月末に上記のGSKとの大衆薬事業JVの持分をGSKに130億ドルで譲渡することで合意した。

Novartis は2018年4月9日、遺伝子治療薬開発の米 AveXis Inc. を87億ドルで買収すると発表した。

2018/4/26 Novartis、遺伝子治療薬開発のAveXis を買収

今回のAlconの分離で、医薬品、Eye care製品、Generics の3分野のうち、後の2分野を切り離すこととなり、医療用医薬品に経営資源を集中させる。

Novartisは同日、50億ドルの自社株買いを実施することも発表した。2019年末までに終える。


原子力規制委員会は7月4日の定例会で、日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村、110万キロワット)について、再稼働に向けた安全対策の基本方針を定めた新規制基準に適合しているとする審査書案を了承した。安全審査の事実上の「合格証」で、国民からの意見公募などを経て正式合格する。

規制委は、地震や津波、炉心溶融のような重大事故への対策が新基準に照らして妥当と判断した。

東海第2原発は、電力大手9社と電源開発の共同出資による日本原子力発電が1978年に運転を開始。国内で初となる出力100万キロワットを超える大型の沸騰水型原発で、東電と東北電力に送電してきた。

2012/10/20  日本原子力発電の損益状況

東日本大震災で5.4 メートルの津波に襲われた。運転を緊急停止し、外部電源を失い、非常用発電機1台が停止した。安定した冷温停止になるまで3日半かかった。同じ敷地内の東海原発は廃炉作業中。

2011年の東日本大震災で地震や津波の被害を受けた原発としては初の合格となる。

安全審査の合格は全国で8原発15基目。東京電力福島第一と同じ沸騰水型炉(BWR)としては、柏崎刈羽6、7号機に続き2カ所目となる。

原発の運転期間は原則40年と定められ、規制委が認めれば1度だけ最長20年間延長できる。このため東海第2は運転40年の前日の11月27日までに、新規制基準適合に加えて運転延長、設備の工事計画の二つの審査をクリアする必要がある。

原電は安全対策工事を2021年3月までに終える予定で、実際の再稼働はそれ以降になる。

想定する最大の地震の揺れ(基準地震動)を1009ガル、最大の津波の高さを約17メートルとして安全対策を強化。高さ20メートル、全長約1.7キロの防潮堤を建設して津波の浸入を防ぐ。
また原子炉格納容器の容積が小さく、事故時に事態が悪化しやすい沸騰水型の特徴を踏まえ、炉心を冷やす予備の冷却装置を追加で備える。

安全対策費に1740億円が必要としたが、原発専業の原電は自前で調達できず、規制委は資金確保を合格の前提条件とする異例の対応をとった。
原電は東京電力と東北電力から支援を受ける方針を示した。

また原電は必要な地元同意について、立地自治体以外の周辺5市にも「実質的な事前了解権」を認める全国初の安全協定を結んでいる。東海第2は首都圏唯一の原発で、30キロ圏内に全国の原発で最多の96万人が暮らしており、地元同意は難航も予想される。

既存の安全協定では事前了解権が東海村と県に限られるため、東海村・日立市・ひたちなか市・那珂市・常陸太田市・水戸市の「原子力所在地域首長懇談会」は、原電に「東海村と同等の権限」を要求した。


辛東彬(重光昭夫)会長は2015年に、不透明な支配構造を改善するため、グループ企業間で株式を持ち合う「循環出資」をなくし、持ち株会社制へ移行する方針を明らかにした。

循環出資を減らすことで支配構造が単純化し、投資と事業部門を分離することで経営効率が上がり、経営が安定するとみられている。


その第一弾として、
2017年10月12日にロッテ製菓など系列4社の投資部門が統合した持ち株会社「ロッテ持ち株株式会社」(Lotte Corporation) が正式に発足した。

同社は2018年2月27日に発足後最初の株主総会を開催し、韓国富士フイルムやロッテ商事など非上場系列6社の編入を承認し、4月1日付で統合した。

韓国のロッテグループのうち、下記の各社は統合に参加していない。今後、時間をかけて統合すると思われる。

 旅行、サービス:Hotel Lotte、Lotte World、Lotte Rental、Rotte Duty Free 等

 重化学:Lotte Chemical、Lotte Advanced Materials(ABS関連)、Lotte Fine Chemical、
     Lotte Engineering & Construction、Lotte Aluminum 等

 その他


以前の循環出資の状況は下図の通り。

韓国ロッテグループは2017年10月12日、ロッテ製菓など系列4社の投資部門が統合した持ち株会社「ロッテ持ち株株式会社」(Lotte Corporation) が同日正式に発足したと発表した。

ロッテ製菓、ロッテショッピング、ロッテ七星飲料、ロッテフードの4社を投資部門と事業部門に分割した上で、ロッテ製菓の投資部門が残り3社の投資部門を吸収する形で形成された。

2017/8/31  韓国ロッテグループ、持ち株会社制へ一歩

その後2018年4月1日付で、ロッテ情報通信、韓国富士フイルム、ロッテ商事、ロッテGRS (旧ロッテリア)、物流企業のロッテロジスティクス、広告代理店事業を手掛ける大興企画(Daehong Communications)の6社が統合された。

現在、子会社が23社、子会社の子会社が27社となっている。

統合後の状況:

Lotte Confectionary(ロッテ製菓)が他社の投資部門を吸収してLotte Corporation となったため、下図の子会社には含まれていない。


現在の株主構造は下図の通り。

2018/6/22日経によると、創業者の辛格浩(重光武雄)が2.78%、次男の辛東彬(重光昭夫)が10.54%、長男の辛東主(重光宏之)が0.15%となっている。

ロッテHDは6月29日に東京の本社で開いた定時株主総会で、辛東彬(重光昭夫)・韓国ロッテグループ会長の取締役留任が決まった。

辛東彬会長の兄、辛東主(重光宏之)元ロッテHD副会長が、経営権奪還を模索し、辛東彬(重光昭夫)の取締役解任と自らの取締役選任の議案を提出したが、いずれも否決された。


辛東彬会長は今年2月、懲役2年6カ月の実刑判決を言い渡され、現在収監されている。

ソウル中央地裁は2月13日、朴槿恵前大統領の親友で、大企業から資金拠出を強要したとして職権乱用罪などに問われた崔順実被告らの裁判で、贈賄罪で在宅起訴された韓国ロッテグループの重光昭夫(辛東彬)会長に対して懲役2年6月の実刑判決を言い渡した。

会長はロッテグループの企業内の不正事件で懲役1年8カ月、執行猶予2年 の判決を受けており、今回の有罪で執行猶予が無効となり、懲役は合計4年2か月となる。

2018/2/13 朴前大統領親友に懲役20年、ロッテ重光会長も実刑

判決後、ロッテHDの代表取締役を辞任したが、取締役としてはとどまっている。

今回、東主氏は韓国で実刑判決を受けた東彬氏が取締役にとどまることは経営の原則に見合わないと訴えていた。

東彬氏は経営権防御に向け、株主総会出席のための仮保釈を申請したものの決定が遅れ、今回の株主総会に出席できなかった。

付記

2019年2月20日、辛東彬(重光昭夫)ロッテグループ会長が1年ぶりに日本ロッテホールディングスの代表取締役に就任し、日本ロッテ経営に復帰した。

拘束中だった2018年2月21日、ロッテホールディングスの代表取締役から自ら退いた。

今回、ロッテホールディングスは再び佃孝之社長との2人体制に転換する。

ーーー

2015年7月17日、韓国ロッテの会長でロッテHDの取締役副会長の重光昭夫(辛東彬)氏が、ロッテHDの代表取締役副会長に就任した。
重光武雄(辛格浩)会長、重光昭夫副会長、佃孝之社長の代表取締役3人体制となった。

直後の7月28日、ロッテHDは取締役会を開き、創業者の重光武雄会長が代表権を外れ、名誉会長に就く人事を決めた。

創業者の重光武雄(辛格浩)氏の長男 重光宏之(辛東主)氏と次男 重光昭夫(辛東彬)氏の内紛の結果とされる。

ロッテHDは8月17日、臨時株主総会を開き、重光昭夫副会長を中心とした体制で経営を続けると確認した。

2015/8/19 ロッテ、次男中心の体制に 

兄弟による経営権争いが2015年7月に表面化して以降、兄弟がロッテHDの株主総会で対決するのは5回目で、東彬氏は過去4回と同様、今回も勝利した。

兄の東主氏は、ロッテHDの株式の28.1%を保有する光潤社の株の「50%+1株」を保有する。

弟の東彬氏は、ロッテHDの株を4.0%所有(以前の1.38%からアップ)、従業員持株会(27.8%)、役員持株会(6.0%)、関連会社(13.9%)などが支持した。

東主氏はロッテHDの取締役を解任され、その後にグループ会社の取締役を解任されたのは不当だとして日本で損害賠償請求訴訟を起こしたが、本年3月に敗訴した。
東京地裁は、東主氏が経営者としての適性に疑問を抱かせる事業を進めたとして、解任には正当な理由があるとの判断を示した。

財界は、東彬氏が韓国ロッテを事実上支配するロッテHDの取締役にとどまることで韓・日ロッテの協調が維持され、支配構造改編に向けたグループの取り組みが順調に進む可能性が高いとみている。


スマートフォンの意匠にかかわる知的財産権侵害をめぐって法廷係争を続けてきたApple と韓国 Samsung電子が、6月27日付でカリフォルニア州サンノゼの地裁に 和解したことを通知した。


本年5月にサンノゼの連邦地裁陪審が、予想に反して、Samsungに5億3900万ドルの支払いを命じた。Samsungはこれに不服で、 控訴する可能性があった。

さらに、最近の情報では、Samsungは問題となっている主要事実が現実に存在しないことを証明できる書面を保持しているとして、略式判決か、再審を求めたとされる。また特許権侵害で支払った149百万ドルについても、問題特許は既に無効化されているとして払い戻しを要求しているとされ、これらの審問が7月26日に予定されているとされる。

そのなかで、突如、和解が明らかになった。和解金の金額など、条件の詳細は明らかにされていない。

ーーー

2011年4月にAppleが米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に、Samsung がスマートフォン「Galaxy S」やタブレット端末「Galaxy Tab」などでAppleの知的財産権を侵害したとして提訴した。

裁判は延々と続いた。1次評決で陪審員団が1,050百万ドルの賠償金を算定したが、その後、裁判長による減額があり、2015年5月18日に特許訴訟を専門に扱う米連邦巡回区控訴裁判所 (CAFC) は、SamsungがAppleの複数の特許を侵害したと認定したが、賠償の一部は無効と判断した。これを除くと548百万ドルとなる。

これを受け、2015年12月3日に、Samusung が Appleに548百万ドルの損害賠償金を払うことで両社が合意し、12月14日に支払が行われた。

しかし、Samsung は2015年12月14日、米最高裁判所に上告し、上記の548百万ドルのうち、特許3件に関する149百万ドルを除き、デザイン特許に対応する399百万ドルについて、意匠に関する権利がどの範囲まで適用されるのか、またどのような賠償を請求できるのかについて指針を示すことを求めた。

裁判でSamsung側は、意匠権侵害での損害賠償は侵害に起因する利益に限定されるべきだとしたが、裁判所は、「特許法289条は特許意匠がつけられた製品(article of manufacture) から得られる総利益を意匠特許権者に与えることを明確に許可している」として、侵害スマホから得た総利益399百万ドルの支払いを命じた。

対象となるのは次のデザイン特許3件。

iPhone Front (D'677) iPhone Back (D'087) iPhone Home Screen (D'305)

2012/8/28 Apple、Samsungとの特許係争で勝訴

2015/12/30 iPhone と iPad の特許をめぐるApple、Samsungとの特許係争、続く

最高裁は2016年3月21日、Samsung が同社とAppleとの間で争われている知的財産侵害訴訟の判決を見直すよう求めて上訴した件について、Samsungの上訴を認める決定を下した。

2016/3/26 米最高裁、Samsung とApple のデザイン訴訟を審理


最高裁が意匠に関する訴訟を取り扱ったのは、1800年代にスプーンの取っ手、カーペット、鞍、ラグなどに関するものが最後で、その後は扱っていない。

連邦最高裁が上訴を認める確率は1%にも満たない。Samsungに有利に進んでいると見られた。

Samsung と Apple のデザイン特許訴訟で、2016年10月11日に連邦最高裁でヒアリングが行われた。

2016/10/21 Samsung と Apple のデザイン特許訴訟で米最高裁のヒアリング

複数の最高裁判事が「SamsungがAppleに支払うデザイン特許に関する損害賠償金は、Samsungが侵害認定を受けたスマートフォンから得た総利益とすべきでない」という見解を明らかにした。

最高裁は2016年12月6日、連邦巡回区控訴裁判所 (CAFC) の判決を8:0で覆し、次の通り述べた。

特許法289条の Article of manufacture は製品全体及び構成部品の両方を意味する。
消費者に販売される最終製品のみを意味するという解釈は狭すぎる。
意匠特許保有者は侵害製品の総利益を常に回収する権利は持たない。
意匠特許侵害製品が複数の部品で構成される場合、損害賠償金が侵害微分に対応する額に限定される場合がある。

Apple側は、審理中に、侵害部分が製品全体ではないことの証明責任はSamsungにあるが、同社はこれを証明しなかったとした。

最高裁は本事件において、Appleの意匠特許を侵害する「article of manufacture」はスマートフォンまたはスマートフォンの構成部品のどちらかという問題については明言せず、連邦巡回区控訴裁判所に対し、「本事件で『article of manufacture』はスマートフォンの全体を意味するか、それとも、構成部品を意味するか」を 審理するよう命じた。

差し戻し審で、米カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁陪審は2018年5月24日、Appleへの損害賠償を5億3900万ドルと認定した。

最高裁が2016年に見直しを求めた賠償額は399百万ドルであった。最高裁が下級審に見直しを求めたことでSamsungが支払う賠償金は減額されると見られたが、今回の陪審評決が認定した賠償額は1億4000万ドル上積みされた。

専門家は、「陪審はアイフォーンのデザインの要素に関連する部分に大きな価値を置き、Appleがこれまでに獲得した金額を上回る賠償額を認定した」と分析した。

Samsungは評決の後の声明で、「今日の認定は、意匠権侵害の範囲に関して最高裁が全会一致で下したSamsungに有利な判断を無視した行動だ。企業や消費者全員にとって創造性や公正な競争を妨げない結果を獲得するためあらゆる選択肢を検討する」とコメントした。Samsungの弁護士は陪審評決は「証拠に裏付けられて」いないとし、控訴する可能性があると説明した。

Samsungは問題となっている主要事実が現実に存在しないことを証明できる書面を保持しているとして、略式判決か、再審を求めたとされる。また特許権侵害で支払った149百万ドルについても、問題特許は既に無効化されているとして払い戻しを要求しているとされ、これらの審問が7月26日に予定されているとされる。

このなかでの和解である。

ーーー

これとは別に、Appleが別の5つの特許侵害で、Samsungは自社の2つの特許侵害で、相互を訴えた裁判がある。

これについては、2014年5月2日付で地裁で実質的にApple側の勝訴となったが、2016年2月に米国連邦巡回控訴裁判所は、これを覆し、Samsungに対する119.6百万ドルの支払い命令を取り消している。

2016/3/1 Samsung、Apple との特許闘争に逆転勝訴


欧州連合は6月28~29日に開いた首脳会議で、徹夜の激しい議論の末に移民・難民問題をめぐって一応の合意に達した。

欧州理事会のDonald Tusk常任議長(EU大統領)が「EU加盟28か国の首脳は、欧州理事会で移民問題を含む結論に同意した」と明らかにした。

発表文  http://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2018/06/29/20180628-euco-conclusions-final/

移民問題については、各国の立場の違いを映し、具体策の先送りが目立つ内容である。域外に置く難民申請手続きのための「入国プラットフォーム」 も場所は未定、EU加盟国内に設定する共通の収容施設の場所も未定、認められた難民の受入場所の決め方も先送りした。

共同声明では「再配置や再定住など、これらのセンターの文脈における全ての措置は任意となる」としており、実現に疑問が持たれる。

Tusk常任議長(EU大統領)も、「難民問題については成功というには余りにも早すぎる。合意しようと努力したが、決まったのは最も簡単な部分であり、多くの問題が待っている」と述べた。


しかし、ドイツの主張を容れ、「難民らの加盟国間移動抑制のため、必要なあらゆる法的・行政的手段を行使する」と明記された。

Merkel首相は会議後、「難民の移動について秩序と対策が必要なことが確認された」と述べ、キリスト教社会同盟(CSU)の要望に一定の回答が出たとの見方を示した。

現在の第4次Merkel政権は、CDU・CSUと第2党のドイツ社会民主党(SPD)の大連立政権であるが、キリスト教社会同盟(CSU)の党首である Seehofer内相が、寛容な難民政策が「欧州を分断させた」と糾弾し、他のEU諸国で難民登録済みの場合はドイツへの入国を許さず、元登録国に送還する措置の即時導入を要求している。

   2018/6/26 EUの危機:難民問題

首相は全体会議とは別に、ギリシャ、スペインの間で難民送還について合意したと発表した。両国で難民登録した難民がドイツに入国しようとした場合、両国に送還するというもの。

付記

ドイツは8月6日、スペイン経由でドイツに渡ってくるアフリカ系移民について、スペインに送還することでスペインと合意した。

8月11日以降、スペインに最初に入国したことが判明した移民について、ドイツは48時間以内にスペインへ送り返す。これまで両国の間には明確な取り決めがなく、経済が堅調なドイツを目指しアフリカや中東から渡ってくる移民が絶えなかった。

Merkel首相はフランスのほか、チェコ、ハンガリー、ポーランドといった中欧の国々を含む計14か国と同様の合意を結ぶと している。

しかし、移民・難民の受け入れに猛反対しているハンガリーとチェコは、そんな合意は存在しないと強く反発した。
また、移民が大量に流入するイタリアは合意相手に含まれていない。(イタリアが同意することは考えられない。)

Merkel首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と Seehofer 内相のキリスト教社会同盟(CSU)は、7月1日(日曜)にこれらの合意について話し合った。

内相は、首相が決めた案は不十分であると決めつけ、移民を送り返すしかないと述べた。

7月2日に首相と会談し、さらなる譲歩を求める。首相から納得のいく回答を得られなければ、内相と党首を辞任すると示唆した。

辞任の場合、連立離脱、政権崩壊の可能性が高まる。

付記  ドイツ、土壇場で政権崩壊を回避

Merkel 首相は7月2日夜、対立していた Seehofer 内相と会談し、新たな難民対策で合意した。Seehofer 内相は先に表明していた辞意を撤回、連立政権崩壊の危機はひとまず回避された。

会談にはMerkel 首相の国政第1党・キリスト教民主同盟(CDU)と、統一会派を組む Seehofer氏の南部州地域政党・キリスト教社会同盟(CSU)の幹部が参加 した。

Merkel 首相はSeehofer 内相が主張する国境での入国拒否を認めなかったが、ドイツに向かう難民の「玄関口」にあたるオーストリアとの国境に管理施設 (transit centres)を設け、他のEU加盟国で難民申請登録した人々はその国へ送り返すことで合意した。 送還は2カ国間協定を結んで行う。

Merkel 首相は会談後の記者会見で「EU内を移動する2次的移民を制御できる」と述べた。

最初に登録した国が送還を受け入れないために多数が残留しているが、これらについては経由地であるオーストリアに送り返すとしている。
しかし、オーストリアとは送還に関する合意はなく、これに反発している。

またCDU・CSUと連立を組む社民党(SPD) は7月2日、「閉鎖的な施設は拒否する」と明言しており、新たな政権不安につながる。

ドイツの民間難民支援団体はEU首脳会議で合意した難民管理施設を「絶望的な収容施設」と指摘、「政府首脳たちには、追われた人々への同情がない」と厳しく批判しており、今回の決定についても議論を呼ぶのは必至である。

一方で、Merkel首相が難民送還に動いたことで、これまで人道的な難民保護策を目指してきたMerkel首相の求心力低下も みられる。

ドイツの民間難民支援団体は難民管理施設を「絶望的な収容施設」と指摘、「政府首脳たちには、追われた人々への同情がない」と厳しく批判した。

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6月28日午後3時に始まった首脳会議は、 まずEUの通商政策や安全保障などの分野で合意文書をまとめた。その後の夕食会合で難民・移民問題の協議をする予定だった。

しかし、反移民を掲げるイタリアのポピュリスト政権を率いるGiuseppe Conte首相が、移民の受け入れに関する負担の分担を強く要求し、合意文書のサインに拒否権を発動するという異例の行動に出た。

欧州への難民流入数は年間100万人以上に及んだ2015年などに比べれば大きく減っているが、地中海を船で渡ってくる難民や移民はあとを絶たない。その玄関先になっているイタリアのConte首相は、負担をほかの加盟国が分け持つよう強く主張した。

2018/6/26 EUの危機:難民問題

Conte首相はEU本部ビルに到着した際、「言葉だけはもうたくさん。必要なのは行動だ」と述べ、イタリアが求める難民受け入れの分担に加盟国が応じなければ「合意なしで首脳会議を終わらせる」と妥協しない姿勢をアピールした。

このため、12時間にわたって協議が続けられた。

移民問題についての結論は次の通りだが、各国の立場の違いを映し、具体策の先送りが目立つ内容である。

今後、EUとして足並みをそろえた対応を打ち出して問題を解決できるか、結束が問われる。

地中海中央ルート(イタリア)に関しては、リビアその他からの違法流入を止める努力を強化。
東部ルート(ギリシャ)については、EUとトルコの協定を完全実施し、新たな流入を防ぐ。
西部ルート(スペイン)での最近の流入増に対し、スペインや流出・中継国(モロッコ等)の違法流入防止の努力を資金面その他で支持する。

難民申請手続きのための「入国プラットフォーム」を域外に設置する。そこでは国際法に基づき、個々人の事情を審査し、不法移民をより分けて出身国に送り返すことなどを狙っている。
設置場所は北アフリカになる可能性が最も高いが決まっていない。

救助された難民はEU加盟国内に設定する共通の収容施設に移し、送還されるべき不法移民か、保護されるべき対象かを区分する。
認定された場合は、受け入れをEU各国で分担し、認められなければ直ちに祖国へ送還する。
共通の収容施設の設置やどこに移すか、どこに居住させるかは全てボランタリーベースで、ダブリン規定に縛られない。

共通の収容施設はフランスが主張したという。スペインやイタリアなどを想定しているが、設置は加盟国の判断に任せることで一致した。 スペインやギリシャが設置に前向きな意思を示したという。フランスが自国に収容施設は置かない方針を主張したため、イタリアが態度を硬化させ、最終的に施設の設置は強制しないことで折り合った。Conte首相は同国内にこのようなセンターをつくるかはまだ決めていないと語った。

認められた難民の受入についても、ハンガリーなど受け入れ自体を拒否する国もあり、EU内で受け入れをどう分担するかの議論は先送りした。

トルコのシリア難民施設に2回目の30億ユーロ(20億ユーロはEU予算から、10億ユーロは各国の拠出から)の支払いをするとともに、EUのアフリカ信託ファンドに5億ユーロを送金する。

EUの外部との国境の管理の強化と違法移民の効果的な送還が重要で、欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)を強化する。欧州委員会が欧州の送還政策を改善する案を提案する。

難民の加盟国間の移動が問題を生む恐れがあるため、抑制のため、各国はこれに対する必要なあらゆる法的・行政的手段を行使し、互いに協力しあう。

Conte首相は合意後、記者団に「イタリアはもはや孤独ではない。われわれは満足している」と語った。

イタリアにとって負担減になることは、具体的には何も決まっていない。Conte首相がこれで何故満足したのか、分からない。

Merkel首相は合意内容を歓迎し、「今日を終えて楽観的になった。やらなければならないことがたくさんあるが、われわれは今こそ、異なる見解さえ克服して、本当に取り組みを進めることができる」と述べた。

GEは6月26日、今後の事業構造を発表した。

 

GEは2017年6月12日、GE Healthcareの社長John Flanneryが8月1日付でGEのCEOになり、2018年1月1日付で会長兼CEOになると発表した。
Jeff Immelt 会長兼CEOは2017年12月31日に会長を退任し、引退する。

2017/6/16 GEのJeff Immelt 会長、退任

Jeff Immelt 氏は2001年9月にJack Welch, Jr. の後を継いで会長兼CEOに就任した。在任16年 で、前任のWelch 路線を大転換させ、本来の中核事業である産業機器を中心とする製造業に回帰する戦略に突き進んだ。

2000年のGEの売上高は金融が50%を占めた。2016年の売り上げ構成は産業機器がほとんどを占める。
また、Industrial Internetを標榜し、IoTや3次元プリンターを駆使した新たな製造業の姿を模索した。

GEは2006年9月、シリコーン事業のGE Advanced Materials をApollo Management, L.P. に38億ドルで売却すると発表した。

    2006/9/21 GE、シリコーン事業を売却 

2007年5月にはGE PlasticsをSABICに売却した。

    2007/5/22 速報 GE、GE PlasticsをSABICに116億ドルで売却

2015年6月、金融事業の大幅縮小を打ち出し、2017年末ごろまでに2500億ドルの資産を売却する方針を決めた。

2016年1月15日、厨房機器など家電製品部門を中国の海爾集団 ( Qingdao Haier Co., Ltd.) に54億ドルで売却する契約に調印したと発表した。

2016/1/20 GE、厨房機器など家電製品部門をハイアールに売却 

Flannery CEO は2017年11月、電力、航空、ヘルスケアの3事業を中核と位置づけ、その他の分野で200億ドルの事業売却を進めるリストラ策を発表していた。

だが、その後も過去に手掛けた金融事業で1兆円近い追加損失が発生するなど業績悪化に歯止めがかから.ず、戦略の抜本的な見直しを迫られた。

今回定めた新しい方針は次の通り。

売上高
(億ドル)

中心
事業
Aviation 273 71 Commercial Engines
126 Commercial Services
40 Military
13 Business & General Aviaton  
Industrial Solution
20 Avionics, Avio, Additive
(航空機の電子機器)
Power 359 92 Gas Power
132 Power Services
54 Grid
24 Steam
27 Nuclear, Power conversion
55 Disposition ( Water, IS, DP)
分散電源向け発電機器事業売却 (*1)
Renewable 102 77 Onshore Wind
3 Offshore Wind
3 LM Wind Power
(GEが買収したデンマークの風力発電会社)
9 Hydro
処分
事業
Transportation
(機関車)
40 WABTECと合併 (*2)
HealthCare 190 分離 (*3)
Baker Hughes
(石油・ガス)
220 売却 (*4)


GE Capital については、引き続き縮小し、コア事業を支える方向
に進める。

処分事業:

*1 GEは2018年6月25日、分散電源向け発電機器(Distributed Power )事業を投資会社 Advent International に32億5000万ドルで売却することで合意した。

は分散型電源対応用のJenbacher 及びWaukesha ガスエンジンに加え、オーストリアと米国、カナダの製造拠点を取得する。

*2 GEは2018年5月21日、Transportation(機関車)部門を米鉄道機器メーカーのWABTECと合併することで合意した。
(WABTECの売上高は約40億ドル)

GEは29億ドルの現金を受け取るほか、GEと同社株主は合併後の統合会社の50.1%を保有する。WABTEC株主は残りを保有。今回の統合は非課税で、来年初めに完了する見通し。

*3 GEは2018年6月26日、ヘルスケア事業を分離すると発表した。

子会社GE HealthCareの株式の20%を売却、80%をGEの既存株主に割り当てる。

この分社化で誕生する新会社が180億ドルの負債をGE本体から引き継ぐという.

売却や割り当ての条件は今後詰める。一連の手続きが完了するまでには12~18ヵ月かかる見込み。

*4 GEは2~3年以内にBaker Hughesの持分を売却する。

GE は2016年10月31日、GEの石油・ガス事業と油田サービス会社のBaker Hughes を統合することで合意した。
GE はPartnership の権益の 62.5%を、Baker Hughesの既存株主は権益の37.5% を受け取る。
Baker Hughesの既存株主は更に、GEがPartnership に拠出する74億ドルを使って、1株当たり17.50ドルの特別配当を受け取る。

2016/11/8 GE、Baker Hughes と石油・ガス事業統合

GEはこれらの事業売却などで2020年までに250億ドルの有利子負債を圧縮する計画。

Flannery CEOは、これまで以上に、事業分野を絞り込んでいく方針を明確にし、「GEはこれから航空、電力、再生可能エネルギーの企業として進んでいく」とコメントした。

複数の慢性疾患に悩まされる高齢者などを対象に、日時が刻印されたパックに複数の医薬品をあらかじめ仕分けするサービスを提供する。

患者のもとには、ロール状になったパッケージが引き出せるようにデザインされた箱と、各薬品の説明書などが2週間ごとに届く。吸入具やクリーム等も一緒に届けられる。

上の例では、水曜日朝8時に飲む袋には5種類の薬が詰められている。

同社は、医薬品の再購入時期の判断や患者の自己負担金の確定、保険の確認、予定通りの配送確認などといった薬局の日常的な業務の多くを自動化するソフトウエアも展開している。

同社については、2018年4月にWalmart が買収のための初期段階の協議を行っていると報じられた。

実現すれば、Walmartの薬局事業拡充につながる可能性がある。

Walmartにとって、高齢者は鍵となるターゲット層で、米国内で薬局約4700店を運営する同社は、ヘルスケア事業の拡充を長年目指している。

今回、Amazonが競り勝ったとみられる。

米政府によれば、2016年に消費者が処方薬に支出した額は3286億ドルで、 米国の処方薬市場は巨大である。

PillPackは全米50州全てで通販薬局のライセンスを所持しており、Amazonは急速に事業を拡大できることとなる。


日本では、
2013年11月国会提出の改正薬事法で、医師の処方箋が必要な医療用医薬品のネット販売を認めず、対面販売でなければならないと明記した。
それまでも省令で禁じているが、市販薬の省令によるネット販売規制が最高裁で違法とされたため、法律で位置づけた。

2014年6月施行の改正薬事法(現 医薬品医療機器法)により、処方箋なしで購入できる市販薬(一般用医薬品)のネット販売が解禁されたが、国は医療用から市販薬に切り替わったばかりで、副作用の評価が定まっていない一部の薬については原則として3年間ネット販売を禁止した。

この規制が憲法違反だとして、ネット通販を手掛ける楽天の子会社が国に販売規制の取り消しを求めた訴訟の判決が2017年7月18日、東京地裁であり、裁判長は規制の合理性を認め楽天子会社の請求を退けた。

2017/7/22 医薬品のネット販売規制、違憲の訴え認めず 

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この会社は3社の従業員と家族向けにあらゆる医療とヘルスケアを提供していくという。

新企業設立の目的は社員の福利厚生の増進であり、利益追求の必要がないため長期的計画に基づいたサービスが提供できることが特長だという。社員のヘルスケアにおいて外部の営利企業によるサービスを利用する必要を一切なくするのが3社の最終的な目的だという。

将来、新しい事業に展開する可能性もある。

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