アラブ首長国連邦(UAE)は4月から中国Sinopharmのワクチンの生産を開始する。
Gulf Pharmaceutical Industries(通称Julphar)は3月28日、Sinopharmのこの地域でのdistributor であるAbu DhabiのGroup 42 (通称G42:人工知能とクラウドコンピューティングのリーディングカンパニー)との間でワクチンを生産する契約を締結したと発表した。G42は以前に、この地域での供給のため本年に生産を開始すると述べていた。
SinopharmとG42がJV を設立し、Julphar に生産を委託する形となる。能力は年2億回分になる見通しで、UAEだけでなく、広く中東・アフリカへの供給を考えている。
3月28日にUAEを訪問した中国の王毅国務委員兼外相とアブドラの外務・国際協力相との合意に基づく。
JulpharはRas Al Khaimah首長国にあるUAE初の製薬会社で、インスリンを製造する。
中国はUAEの石油の大顧客であるが、パンデミックの期間に関係を深めてきた。UAEはコロナ危機の初期に武漢に機器を送った。
UAEの保健予防省は2020年12月、中国の北京生物制品研究所が開発したSinopharmの新型コロナウイルス不活化ワクチンを認可したと発表した。
UAE国内でも125の国籍の31千人のボランティアに対して行われたフェーズIII臨床試験で86%の有効性を確認。抗体陽転率は99%、中等症・重症化の予防には100%有効で、安全性に対する深刻な懸念はないとした。
UAEでは既に 感染症対策の最前線に立つ人々に対して同ワクチンの緊急接種が認可されており、感染予防や医療の従事者だけでなく、UAE副大統領兼首相・ドバイ首長をはじめとする政府要人も接種済み、と報じられている。
また、アブダビ政府は12月7日、ロシア製ワクチン「スプートニク5号」のフェーズIII臨床試験を開始すると発表した。
UAEはワクチンの国際的な流通・供給拠点を目指すとの意向も示している。
アブダビでは、アブダビ保険局が関連機関・企業とコンソーシアムを組成し、数十億回分のワクチンを世界中に供給するロジスティクス・ハブを設置すると発表 した。
アブダビ港湾公社が運営するハリーファ工業団地にある最先端の定温倉庫1万9,000平方メートルを貯蔵に使用、輸送にはスイスのスカイセルが開発する次世代の温度管理技術による医薬品コンテナを用いる 。ドバイでも、航空貨物会社Emirates SkyCargoが、新型コロナワクチンに特化したエアカーゴ・ハブをAl Maktoum International Airportに開設する。同社の航空貨物拠点を用途転換し、医薬品の適正流通基準であるGDPコンプライアンスに準拠する4,000平方メートルの専用定温倉庫を運用する。
(JETRO ビジネス短信より)
王毅外相は、両国は共同して中東とアフリカでのパンデミックと戦うと述べた。
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王毅外相は3月22日、23日と広西チワン族自治区の桂林でロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談、事実上の「中ロ準同盟」を宣言した。
その後、3月24日から30日まで、サウジアラビア、トルコ、イラン、UAE、バーレーン、オマーンと6カ国を歴訪する「中東外交」を、精力的にこなしている。
3月24日にサウジを訪問、ムハンマド皇太子と会談した。
王毅外相は 、「サウジアラビアは中国の中東地域における重要な戦略パートナーであり、両国関係を発展させることは、中国の中東政策の優先課題だ。中国はサウジアラビアの国家主権の維持、保護、民族の尊厳、安全安定を固く支持し、いかなる勢力がいかなる口実をもってしてもサウジアラビアに食指を伸ばすことに反対する」と述べ、カショギ事件で米国とサウジの関係が怪しくなるなか、サウジ側に付くことを明確にした。
イランでは、今後25年間にわたって経済など幅広い分野で協力を深めることを盛り込んだ計画に署名した。ロウハニ大統領とも会談し、イラン核合意について意見を交わした。
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