2011年7月アーカイブ

ニプロは727日、医薬用硝子容器事業でインド、ロシア、欧米への進出を発表した。

同社は、1954年の創業以来、アンプル用・錠剤瓶用の硝子管販売等の素材・材料関連事業に携わり、そこで培われた技術を礎に医療機器、医薬品等の事業に拡大展開を図ってきた。

2020年度に向けてのグループ長期計画では、連結売上高5,000億円を目指すが、材料関連事業を1,000 億円の事業規模に成長させるとなっている。

同社では、長期計画を遂行するは、市場規模の拡大が見込める海外における展開が必須と考え、手を打ってきた。

20109月に、海外展開の一環として、中国四川省でアンプル・管瓶などを製造販売する成都平原尼普洛薬業包装有限公司の60%を取得し、合弁事業を開始した。
日本で培った技術で品質を向上しつつ低コストでの生産を実現し、中国を含めた世界各国における展開を行う計画で、今後、他の中国企業数社とも合弁事業を行う予定。

20113月には日本電気硝子の株式の10.62%を取得して主要株主となり、材料硝子について協働して世界展開を図ることとした。

今回、以下の3件を発表した。

1)インドにおける合弁事業の開始

ンドでアンプル・バイアルなどを製造販売するTube Glass Containers Ltd.の発行済株式の55%を取得し、合弁事業を開始した。

ニプロは、既に20104月に医薬用硝子生地管の製造販売を行うNipro Glass India Ltd.を立ち上げており、生地管供給からアンプル・バイアルの加工までをグループ内で一貫して行う体制が整う。

2)ロシアにおける合弁契約締結

ロシアにおける医薬用硝子事業の展開のため、医療事業において長年の取引関係がある現地企業Freesom Holdings Ltd.と合弁契約を締結した。(ニプロ 51%出資)

スイスに合弁持株会社Nipro Pharma Glass AGを設立し、ロシアへの投資を行う形態をとる。

合弁パートナー企業が保有する硝子工場を基盤にし、本年12月には操業開始の予定で、将来的には生地管製造から加工までの完全内製化した製品の流通を視野に入れる。
高品質と低価格を武器にロシアの医薬用硝子容器市場におけるロシア国内トップシェアを目指し、周辺CIS諸国への販売も行う。

3)Amcor 社のガラス事業取得

オーストラリア最大の包装資材メーカーのAmcorから、医薬品容器用等の硝子事業および子会社株式を161百万米ドルで譲り受けた。

Amcorの医薬用硝子事業は120年余りの歴史があり、高品質の製品を製造する技術力を蓄積してすでに欧米の有力製薬企業の多くと取引関係を確立している。
この取得により、欧米での事業を一気に拡大する。

譲受けの対象は以下の通り。
Amcor Packaging Glass Pharma SASの全株式
   フランスで医薬用アンプル、バイアル、生地管等硝子製品の製造販売
   
Nipro Glass France S.Aと改称

Amcor Verrerie Amiable Industrie et Commerce SAの全株式
   ベルギーで医薬用バイアル等硝子製品の製造販売
   
Nipro Glass Belgium N.V.と改称

Amcor Pharmaceutical Packaging USA Incの硝子事業
   米国でアンプル、バイアル、硝子生地管等、硝子製品の製造販売
   ニプロが新規設立した子会社
Nipro Glass Americas Corporationが取得

ーーー

なお、これらとは別に、ニプロは711日、Novartis generic 部門であるSandozとの間で、日本国内における後発医薬品の開発、販売、製造等の事業活動において、広く協力する旨を定めた戦略的業務提携契約を締結したと発表した。

両社は2007年から、複数の後発医薬品について提携を開始している。
これをベースに、開発品および既販売の後発医薬品について、共同開発、共同販売、その他導出入等を通じて、より効率的な事業活動を行う。資本提携は行わない。

さきにシェールの環境問題に触れました。

2011/7/4  三井物産、テキサス州のシェール開発に参加;米国でシェール論争 

 

NHKBS世界のドキュメンタリーで、「ガスランド ~アメリカ 水汚染の実態~」がアンコール放送されます。   

  前編 7月31日 日曜 午後1:00~1:50 
  後編 7月31日 日曜 午後2:00~2:50

 

いまアメリカでは、従来は採算が合わないとされてきた「シェールガス」と呼ばれる、新しいタイプの天然ガスの生産が急増中だ。採掘には、地下に高圧大量の特殊溶液を注入し、岩石層に亀裂を生じさせる「フラクチャリング(水圧破砕)」という方法が用いられる。

世界の資源地図を塗り替えると期待される、新しい天然ガス「シェールガス」。その開発に疑惑を持ち、コロラド、ワイオミング、テキサス、ルイジアナ・・・ と自家用車で旅を続けるジョシュが見たものは、飲み水や大気の汚染で深刻な健康被害に怯える人々と、無残な姿をさらすアメリカの大地だった。

行政担当者や環境問題の専門家などに話を聞くうち、汚染の原因は、岩石層の水圧破砕のために地下に注入する特殊溶液にある可能性が浮上してくる。アメリカでは飲料水の安全確保のため、水源地帯の土中に異物を混入する行為は厳重に規制されている。ところが、住民の要請を受け当局が調査を行った形跡はなく、ガス会社には溶液の成分を公表する義務さえないという腑に落ちない事実が明らかになっていく。

こうしたガス開発を優先する特例を推し進めたのは、巨大エネルギー会社のCEOからブッシュ政権入りしたチェイニー前副大統領だった。特例を認めるべきか?否か?安全な水を求めるジョシュの取材の旅は、ついに連邦議会での攻防の場へとたどり着くことに・・・ 
(NHK ホームページから)

イラン、イラク、シリア3国の石油相は7月25日、イランのSouth Parsガス田からイラク、シリア、レバノンを経由し、地中海の海底を通って欧州まで通じるガスパイプラインの建設の覚書を締結した。

1か月内に3つのワーキンググループが技術面、資金面、法律面の検討を開始する。年内に最終契約の締結を目指す。

実際のルートは不明

2008年から検討が続けられてきたもので、総投資額は100億ドル程度と見積もられている。資金の確保後、35年が必要とみられている。

Islamic Pipelineと呼ばれる56インチのパイプラインは延長5600kmで、完成すれば日量110百万m3(年間400m3)の天然ガスを輸送できる。

イランのガス生産量は23年内に倍増し、日量250百万m3のガスの輸出が可能となる。
イラクの必要量は
10-15百万m3、シリアは15-20百万m3、レバノンは5-7百万m3とされる。

イランとイラクはこのパイプラインを通して欧州にイランのガスを送ることでの協力を決めている。

ーーー

イランはまた7月23日に、トルコに天然ガスを送る660kmのパイプラインを建設する契約を締結した。
3年以内に建設され、日量50~60百万m3のガスを輸送できる。
全体の23%はイランが建設し、残りはトルコ側(
Som Petrol)が建設する。

イランは欧州へのガス輸出のため、トルコを横断するパイプラインの使用料を支払う。

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欧州の天然ガス需要を満たすため、現在、NabuccoSouth StreamNord Stream3つのパイプラインが計画されている。

これらについての詳細は下記参照。

2010/9/22  カスピ海の天然ガス、黒海経由で輸出へ

2011/3/30  BASFがロシアの South Stream 天然ガスパイプライン計画に参加

Nabuccoガスパイプラインの建設・運営会社はこのほど、着工時期を2011年末から 13年に延期し、2014年末に予定していた稼働時期も2017年に先延ばしした。「カスピ海地域と中東からの供給時期の変更」を理由に挙げた。

South Streamでは20115月中旬、投資計画決定が12年末に延期された。通過国の許可取得やルート選定で調整が遅れている。稼働時期は15年末から変更せず、Nabuccoに先行したい考え。

Nord Streamはシベリアの天然ガスであるが、他は全て、中央アジアの天然ガスを狙ったもので、量的にも全てが実現することはないとみられている。

このため、米国による制裁にもかかわらず、イランの天然ガスの重要度が増大している。

 

 

 

第2四半期の輸入価格平均は56,979円/klとなり、国産ナフサ基準価格は59,000円/klとなった。

2008年第3四半期は85,800円で過去最高を記録したが(第4四半期に52,000円に下がった)、今回はこれ以降の最高となった。

ナフサ輸入価格の推移は以下の通り(単位:円/kl)
国産ナフサ基準価格は、輸入価格の四半期平均(四半期ごとの加重平均価格)に2,000円を加算(10円単位を四捨五入)

(コメントで指摘いただき調べると、2010年の輸入金額が遡及修正されていました。
下記が正しい数値です。端数のため、基準価格に変更はありません)
 

  輸入価格 平均価格 基準価格
'10/1  45,470  45,713  47,700
2 46,363
3 45,249
4 47,536 47,650 49,700
5 49,151
6 46,379
7 42,356 40,713 42,700
8 39,989
9 39,715
10 40,712 43,123 45,100
11 42,222
12 46,708
'11/1 49,202 50,382 52,400
2 50,257
3 51,923
4 55,522 56,979 59,000
5 58,400
6 57,297

国産ナフサ基準価格の意味については下記を参照

   2006/7/29 2Qの国産ナフサ基準価格 49,800円/klに

 

 

Dow727日、ポリプロ事業を340百万ドルでBraskemに売却する契約を締結したと発表した。

Dowは、この売却金額は金利償却前利益の6.7倍になり、これにより売却益を計上するとしている。

売却するのはダウの米国の2工場とドイツの2工場、および、在庫、事業ノウハウ、特定の技術、需要家リスト。

米国の工場はテキサスの
Freeport Seadriftにあり、合計能力は50万トン。(後者は100%子会社のUCCの工場)
ドイツの工場は
Schkopau Wesselingにあり、合計能力は54.5万トンとなっている。

Braskem2010年に米国の石油会社Sunocoからポリプロ事業を買収し、ペンシルベニア州Marcus Hook、テキサス州La Porte、ウエストバージニア州Neal3工場を取得しており、今回の買収で米国最大のPPメーカーに躍り出る。

2010/2/3 Sunoco、ポリプロ事業をブラジルのBraskemに売却

Braskemは今回の買収で米国の能力は5割増しの140万トンになるとしている。
Sunocoの事業買収時には合計能力は95万トンとしていた。)

また、今回の2つ目の買収により、グレード多様化、経費削減、運転資金や物流の最適化を通じ、140百万円のシナジー効果が見込めるとしている。

Dowではこれを、付加価値の高い技術差別のつけられる分野への移行方針の一環であるとしている。

Dow5月後半にPPレジン事業と触媒事業の売却先を探していることを明らかにしていた。
今回の売却には触媒事業は含まれていない。

Dowはこの2週間で、三井物産とのブラジルでのバイオプラスチック事業サウジでのAramcoとの石油化学事業と立て続けに新規事業の発表を行っている。

Braskem721日、砂糖キビエタノールからのグリーンプラスチックに次いで、2003年から新しい原料、廃プラからつくったナフサを使用開始すると発表した。

このナフサは、カナダのWastechグループの子会社で、ブラジルBahia州で廃棄物処理を事業とするNovaenergiaが同州に建設する最新技術によるリサイクル工場で製造する。

工場では毎日
450トンの廃棄物を処理し、廃プラを合成石油に変換する。
36トンの廃棄物から30キロリットルの軽油を製造、これからナフサ、燃料油、低硫黄ディーゼル油を製造する。
この処理と、工程での他のリサイクル物質回収により、ゴミの埋め立て量が
50%減少する。

Braskemは当初、廃プラからのナフサを年間140万リットル購入し、Camaçari Complexで使用する。

Novaenergiaのリサイクル工場建設の投資額は約1600万ドルで、2012年末に完成する。

Braskemでは本件は、持続可能性へのコミットメントと、環境に優しい技術を求める戦略に合致するものとしている。

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Wastech グループはこの技術を2008年にドイツのClyvia Technologyから導入した。

廃棄物からディーゼル油を製造するのが目的で、同社ではこれを'liesel'と呼んでいる。Clean(ポルトガル語でlimpardiesel から作った語で、環境をcleanにする意味。
契約ではブラジルで
5年の独占権があり、50までのリサイクル工場を建設できる。

BASF720日、Bahrain International Investment Parkに最新鋭の酸化防止剤ブレンド(Customer Specific antioxidant blends:CSB) 工場を建設し、中東地区の合成樹脂メーカーに供給すると発表した。

能力は世界最大規模の年産16千トンで、本年9月に建設を開始し、2012年末までに稼働する。

酸化防止剤は材料特性や使用環境を勘案し、最適の処方が選択される。
参考 
http://www.tenkazai.com/monthly_Polyfile11.pdf

これはBASFにとって、20094月のCiba買収に伴うプラスチック添加剤での大きな投資で、この分野に引き続き注力するというコミットメントを示すものであり、同時に、これにより成長の著しい中東地区に拠点を持つこととなる。

この事業は元はCibaの事業である。

CibaBahrain Ciba Specialty Chemicals Middle East を設立し、中東各国、アフガニスタン、パキスタン、リビア、スーダンなどに販売していた。製造に関しては、サウジの高品質マスターバッチ、コンパウンドメーカーのAstra Polymersとの間でCSBの委託加工契約を結んでいた。

20088月にCibaAstra PolymersCSBの製造・販売のJVCiba-Astra Additives Co.をサウジに設立する契約を締結した。
Saudi ArabiaBahrainKuwaitOmanQatarUAEの顧客に供給することを計画した。
合わせて、サウジに酸化防止剤のプラントを建設する
FS実施の覚書も締結した。

しかし、20094月にBASFCibaを買収した。

BASFはこの事業とこの計画を再検討し、この地域の重要性を勘案し、BASFと需要家にとって、より良い案を採用することとした。

20107月にBASF Astra PolymerはこのJV案を撤回することで合意した。
BASFからAstra Polymerへの委託加工は継続する。

同年10月、BASFBahrainに酸化防止剤のブレンド工場を建設する案を明らかにした。

 

 

DowとSaudi Aramcoは7月25日、両社の取締役会が、サウジのJubail Industrial Cityにワールドクラスの統合石化コンプレックスを建設するJVの設立を承認したと発表した。

JVの名称は "Sadara Chemical Company"(Forefront Chemical Companyの意味)で、一部を公募し(2014年初めを予定)、残りを両社が均等出資する。(Dowは一部を技術供与などの形で出資する)
総投資額は200億ドルと見込み、自己資本で35%、輸出信用機関や金融機関からの借入金で65%を賄う。

付記

両社は2011年10月8日、Sadara ChemicalについてのJoint Venture Shareholders' Agreementに調印した。  

11月28日、JV設立を発表。

エタンからのエチレンのほか、ポリウレタン(イソシアネート、ポリエチレンポリオール)、酸化プロピレン、プロピレングリコール、エラストマー、LLDPE、LDPE、グリコールエーテル、アミンなど、合計26基のプラントを建設する。
エチレンの能力は明らかにされていないが、当初、120万トンと噂された。

直ちに建設を開始し、一部は2015年下期に生産を開始、2016年には全系列が操業する。生産開始後は数年以内に100億ドルの売り上げを期待している。

中東8か国はJVが販売を行い、その他はダウが販売を受託する。
販売先はアジア太平洋が45%、中東が25%、欧州20%、その他10%と見込んでおり、特に成長の著しい中国を狙う。

両社は2007年5月に本計画の詳細覚書を締結したが、当初はJubail南東のRas TanuraにあるSaudi Aramcoの製油所に隣接して建設する計画であった。

    2007/5/15  
アラムコとダウ、世界最大級の石油化学コンプレックス建設

2010年4月にJubail Industrial Cityへの移転を発表した。Ras Tanuraの土地の造成費が高いこと、同地が過密であることが理由で、Jubail には電力、水などの用役が揃っているため、移転により40%ものコスト節減が可能となるとした。
原料は当初のナフサとエタンからエタンのみに変更された。

     2010/4/26  アラムコとダウ、石油化学コンプレックス建設地を変更

 

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Saudi Aramcoはサウジで住友化学とのJVPetroRabighで石油化学事業を行っている。
現在の出資は住友化学 37.5%/Saudi Aramco 37.5%/サウジ一般投資家 25%となっている。

2009/4/10 Petro-Rabigh スタート・アップ

現在、第二期計画のFSを実施中。

2009/4/21 住友化学とアラムコ、「ラービグ第2期計画」の共同FS実施

Saudi Aramcoは中国で福建石化計画に参加している。

 

日本メジフィジックスは、超ウラン元素(プルトニウム、アメリシウム、キュリウム)による体内汚染を軽減するペンテト酸剤の「ジトリペンタートカル」と「アエントリペンタート」の承認を7月1日に取得したと発表した。
緊急被ばく医療専門の医療機関などにおける備蓄を目的とする。

静脈内に投与することで、ペンテト酸が血液中を循環中の超ウラン元素とキレート結合することにより、速やかに尿中排泄され、内部被ばく線量が低減する。

同社は放射性セシウムによる体内汚染を軽減する「ラディオガルダーゼ(R)カプセル」を2010年10月27日に承認取得している。

体内に入った放射性セシウムは、その多くが腸管から静脈、肝臓を循環しているが、この物質はそのもの自体は殆ど体内に吸収されず、腸管のセシウムを吸着して、便から排泄する。

同社は、福島第一原発での放射能漏れを受け、ドイツの製造供給元からの緊急輸入を行い、これを政府に無償提供した。

これらは海外において緊急被爆医療における標準的な医薬品として位置づけられており、米国においては戦略的国家備蓄資材(Strategic National Stockpile)に指定されている。

厚生労働省による「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討結果を経て、迅速な承認取得に至った。

いずれも、開発者であり、また諸外国において製造供給実績のあるドイツのHeyl Chemisch Pharmazeutische Fabrikとの提携により、日本メジフィジックスが輸入販売する。

 

製品名 ラディオガルダーゼ(R)カプセル500mg DTPA(ペンテト酸)剤
ジトリペンタートカル静注1000mg アエントリペンタート静注1055mg
一般名 ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸鉄(Ⅲ)水和物 ペンテト酸カルシウム三ナトリウム ペンテト酸亜鉛三ナトリウム
効能又は効果 放射性セシウムによる体内汚染の軽減

体内に入った放射性セシウムは、その多くが腸管から静脈、肝臓を循環している。
この物質は一種の吸着剤で、そのもの自体は殆ど体内に吸収されず、腸管のセシウムを吸着して、便から排泄する。

超ウラン元素(プルトニウム、アメリシウム、キュリウム)による体内汚染の軽減

静脈内に投与することで、DTPAが血液中を循環中の超ウラン元素とキレート結合することにより、速やかに尿中排泄され内部被ばく線量が低減する。

用法及び用量 通常、1回6カプセルを1日3回経口投与
患者の状態、年齢、体重に応じて適宜増減
1000mg11回点滴静注、
または緩徐に静脈内投与する
1055mg11回点滴静注、
または緩徐に静脈内投与する
開発 ドイツ Heyl Chemisch Pharmazeutische Fabrik
製造元

ドイツ Haupt - Pharma

                     ドイツ JENAHEXAL Pharma
承認 2010/10/27 2011/7/1


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日本メジフィジックスは放射性医薬品、診断用薬、治療薬、医療機器および関連製品を扱っている。
サイクロトロンを自社所有し、核医学画像診断やポジトロン断層法(PET診断)、放射線療法に用いられる放射性医薬品の研究・開発や製造、販売を行う。

1973年に米Medi-Physics(50%)と住友化学(45%)住友商事(5%)のJVとして設立された。

RosheによるMedi-Physics買収に伴い、1975年に日本ロシュが株主となったが、1990年にRoshe本社が放射性診断薬事業を英国のAmersham Internationalに売却した。

このため、日本メジフィジックスは住友化学95%、住友商事5%としたが、Amershamからの要請を受け、1994年に20%を譲渡、1996年に住友商事分を含め更に30%を譲渡し、住友化学とAmershamの50/50 JVとした。

2004年4月、GEはAmershamの全発行株式を取得し買収した。GEの医療事業部門をGEメディカルシステムからGE Healthcareと改称した。

これに伴い、日本メジフィジックスは住友化学とGE Healthcareの50/50 JVとなった。

民主、自民、公明3党の実務者は7月22日、原発賠償支援法案の修正で大筋合意した。
早ければ7月26日にも衆院を通過し、8月上旬にも成立する見通しとなった。

付記 8月3日の参院本会議で、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立した。

同法案は6月14日に閣議決定し、国会に提出されたもので、5月13日に発表された政府支援の枠組みをベースにしている。

                    2011/5/16 福島原発損害賠償の政府支援の枠組み 


今回、とりあえず政府案をベースとして新機構を作るが、野党の修正要求がかなり盛り込まれた。

また、野党五党が提出した国が東電に代わり賠償金の半額以上を立て替え払いする「原子力事故被害緊急措置(仮払い)法案」を民主党が受け入れた。
「仮払い法案」は支援機構法案と同時に採決される見通しで、早ければ8月下旬から国の立て替え払いが可能になる。

     付記

原発賠償仮払い法が7月29日の参院本会議で賛成多数で可決、成立した。
原発事故の被害者への賠償金の半額以上を国が仮払金として立て替える内容で、国が政府の原子力損害賠償紛争審査会の指針に基づいて被害者に仮払金を支払い、代わりに東電への賠償請求権を取得する。
地方自治体の事故対策費を国が補助するための原子力被害応急対策基金設置も盛り込んだ。


各報道によると、原発賠償支援法案の主な修正点は以下の通り。(最終法案が出れば修正します)

1) 原子力事業を推進してきた国の賠償責任を条文に明記。
   
2) 原子力損害賠償法(原賠法)の見直し

「1年後をめどにした原賠法の改正」を付則に盛り込む。
原発1カ所につき1200億円とした国の負担上限額の引き上げや、原子力事業者の無限責任の見直しを検討する。

第三条 (無過失責任、責任の集中等)
原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。
ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
 
第六条  原子力事業者は、原子力損害を賠償するための措置を講じていなければ、原子炉の運転等をしてはならない。
第七条  損害賠償措置は、・・・原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約の締結・・・
.
注)
通常の原子力損害の場合の賠償に対しては、民間の損害保険会社による保険である責任保険により、賠償措置額(発電用原子炉の場合は通常
1200億円)まで保険金が支払われる。
地震、噴火、津波の自然災害による原子力損害等の場合は政府補償により、賠償措置額まで補償金が支払われる
   
3) 他の電力会社が機構に拠出する負担金の扱い

自公両党は他電力分を賠償に充てないよう要求。民主党は東電が債務超過に陥りかねないと反対。

当面は他電力分も賠償に充当されるが、電力会社ごとに帳簿を付け資金の出入りを管理する折衷案で合意。
賠償に使われた分は最終的に各電力会社に返済し、東電と国が責任を負う。

   
4) 東電が機構を通じて公的支援を受けるための特別事業計画を策定する際に株主などのステークホルダーにも協力を要請。
「東電を債務超過にさせない」としていた閣議決定(6月14日)は白紙に
.

閣議決定
(具体的な支援の枠組み)
3.機構は、原子力損害賠償のために資金が必要な原子力事業者に対し援助(資金の交付、資本充実等)を行う。援助には上限を設けず、必要があれば何度でも援助し、損害賠償、設備投資等のために必要とする金額のすべてを援助できるようにし、
原子力事業者を債務超過にさせない。

「この法案が成立することによって、あの閣議決定は意味を失うというをはっきりさせ、東京電力が債務超過になることがあり得るということを認めさせた。」(河野太郎議員の「ごまめの歯ぎしり」2011/7/22)

   
5) 今回のスキームそのものをなるべく早く見直す。

「即時法的破綻処理ではなく、二段階方式ではあるが、東電を破綻処理して出直しをさせる、つまり、長期間債務の返済だけをやるゾンビ企業にはしないということが確認された。」(「ごまめの歯ぎしり」7/22)

「当初は財務省プランでスタートするが、折を見て、東電を破綻処理させますという経産省プランを持って、経産官僚が議員会館を回り始めた。」(「ごまめの歯ぎしり」(7/7)

 

付記 河野太郎代議士の「ごまめの歯ぎしり」(7月27日号)では玉虫色の修正案となっている。(以下、要約)

実際の修正は、東京電力を債務超過にしないとうたった6月14日の『具体的な支援の枠組み』を、
「その役割を終えたものと認識し、政府はその見直しを行うこと」という文言を付帯決議に入れるという中途半端なものになったので、質疑できちんと答弁をさせることになった。

しかし、海江田大臣は、東電を債務超過にすることは想定していないという答弁をする。それでは、まったく付帯決議の精神に反するので、修正案もダメということになりかけたが、午後の経産委員会で、経産大臣が、現時点での東電の債務超過は想定していないが、将来は、あらゆる可能性があると答弁する。さらに、この法案に関しては、修正案の立法者の意思を尊重して政府は対応していくと明確に答弁。

修正協議で、法案の附則第六条2項が新設された。
「政府は、この法律の施行後早期に、平成23年原子力事故の原因等の検証、平成23年原子力事故の係る原子力損害の賠償の実施の状況、経済金融情勢等を踏まえ、平成23年原子力事故に係る資金援助に要する費用に係る当該資金援助を受ける原子力事業者と政府及び他の原子力事業者との間の負担の在り方、当該資金援助を受ける原子力事業者の株主その他の利害関係者の負担の在り方等を含め、国民負担を最小化する観点から、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。」

これが「魔法の杖」だ。まともな政府なら、この条文を使って、この賠償スキームを変更し、東電を債務超過と認定し、破綻処理をさせる。

財務省は、依然として東京電力を債務超過にせず、交付国債を何十年もかけて返させることによって、国の財政負担を避けようとしている。
東電が債務超過になって破綻処理されれば、賠償金の残額は国が負担することになるので、財務省は債務超過させないということを死守しようとしている。
今回のこの修正により、他の電力会社の負担金を、計数管理をして将来精算させることになると、東電は債務超過になる。
単に計数管理だけするという修正になったので、そこも玉虫色だ。

西村代議士は法案提出者として、審議のなかで、将来精算させると明確に答弁している。ほんとうに東電に精算させることになると、間違いなく債務超過になる。

 

2011年7月9日、南スーダン共和国:Republic of South Sudanが分離・独立した。首都はジュバ(Juba)。
アフリカ大陸では
54番目の国。
国連は7月14日、国連加盟を承認した。
193番目の国となる。

22年間続いた南北間の対立が「南北包括和平合意(CPA:Comprehensive Peace Agreement)」によって終わり、1月に行われた国民投票の結果、南部が独立することが決まった。

2011/2/12 スーダンと中国

しかし、まだ多くの問題が未解決で、南北スーダン間で継続交渉中である。

1)Abyei暫定統治地域

南北の境界付近にあり石油資源が豊富なAbyeiでも住民投票が行われる予定だったが、南北が対立し、投票は無期限延期された。
CPAでは特別地域とされ、南北双方の軍の侵入が禁じられている。

北部政府軍は5月21日、Abyeiに進攻し、南部のスーダン人民解放軍との激しい戦闘の末、同地を掌握した。
国連安全保障理事会は翌22日、北部政府軍の即時撤退を求める声明を出した。

2)南スーダン産出石油の収益の南北利益配分

南部には油田の4分の3が集中するが、精製施設や輸出港へと続くパイプラインは北部にしかない。

2005年の和平合意に基づき、南北は石油収入を暫定的に折半してきたが、南部独立に際し、北部は引き続き「折半」もしくはそれに相当する「パイプライン使用料」を要求し、支払わなければパイプラインを封鎖するとしている。

ーーー

南スーダンからケニアへのパイプライン計画が注目されている。

この計画は2つの計画を結合するものである。
一つは南スーダンの石油の輸出であり、もう一つはウガンダの石油の輸出である。

1)南スーダン石油の輸出

これが完成すると、北スーダンのGreater Nile Oil Pipelineを経由せずに、南スーダンの石油を輸出できるようになる。
南スーダンの首都
JubaからケニアのLamu島までの1400kmのパイプラインで、Lamu島に輸出ターミナルを建設する。

2010年3月の外電は、豊田通商がこれを計画していると報道した。

それによると、能力は日量45万バレルで、建設費は15億ドル、20年後にケニアと南スーダン政府に引き渡されるとされた。

2)ウガンダの石油の輸出

ウガンダではLake Albert Rift Basinで石油が発見されている。

英国の石油・ガス探査会社のTullow Oil PLC331日、ウガンダに保有する鉱区のBlock 123Aの権益の3分の1ずつを中国海洋石油(CNOOC)とフランスのTotalに譲渡すると発表した。売却金額は合計で29.33億ドル。

Tullow Oil PLCHeritage Oil PlcLake Albert Rift Basin鉱区のBlock 1及び3A(埋蔵量合計35億バレル)の権益を50%ずつ保有していたが、20107月にHeritage の権益を買収した。
しかし、開発権の取得に対するキャピタルゲイン課税をめぐってウガンダ政府と折り合いがつかず、
2鉱区の開発は事実上、棚上げとなっていた。

ウガンダ政府は本年に入り、CNOOCTotal2社を参加させることを条件に両鉱区及びBlock 2の開発を認可した。

ウガンダ国内に製油所を建設し石油を供給するが、残りは輸出する予定。

このため、南スーダンからケニア向けのパイプラインに繋ぎ、ウガンダの原油も輸送する構想が生まれた。

 

なおスーダンでは、PetroChinaが油田の権益の40%を獲得し、開発を手掛けており、スーダンの石油の60%が中国に輸出されている。

Greater Nile Oil PipelineにはPetroChinaが40%を出資し、運営を担当している。

2011/2/12 スーダンと中国

原子力発電所のストレステストについて、経産省原子力安全・保安院は7月21日、実施内容の修正版を原子力安全委員会に報告、了承された。7月15日に報告したが、委員から「わかりにくい」と指摘され修正を求められていた。
   
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan055/siryo1-1.pdf

原子力安全・保安院は、7月22日に、電力各社にストレステストの実施を要請する。

定期検査で停止中の原発が対象となる1次評価では以下の事項について評価を行う。
(3)と(6)が追加された。

(1)地震 ①設計上の想定を超える程度に応じて、建屋、系統、機器等が損傷・機能喪失するか否か
②燃料の重大な損傷に至る事象の過程を同定し、
 クリフエッジ(小さな変動に反応して発電所の状態が突然大きく変動)の所在を評価する。
③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷の進展を防止するための措置
(2)津波 ①設計津波高さを超える程度に応じて、建屋、系統、機器等が損傷・機能喪失するか否か
②クリフエッジの所在を特定
③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷の進展を防止するための措置
(3)地震と津波
  (追加)
同上
(4)全交流電源喪失
①全交流電源喪失による燃料の重大な損傷に至る事象の過程と全交流電源喪失の継続時間
②クリフエッジの所在を特定
③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷の進展を防止するための措置
(5)最終的な熱の逃し場
 (最終ヒートシンク)の喪失
①最終ヒートシンク喪失による燃料の重大な損傷に至る事象の過程と最終ヒートシンク喪失の継続時間
②クリフエッジの所在を特定
③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷の進展を防止するための措置
(6)その他のシビア
  アクシデント・
  マネジメント(追加)
事業者が整備しているシビアアクシデント・マネジメント対策
(燃料の重大な損傷を防止するための措置、
放射性物質の大規模な放出を防止するために閉じ込め機能の健全性を維持するための措置)の効果

なお、全原発を対象とする2次評価は上記に加え、「全交流電源喪失と最終ヒートシンクの喪失の複合」を挙げている。

2次評価については、欧州諸国におけるストレステストの実施状況、東京電力福島第一の事故調査・検証委員会の検討状況も踏まえ、必要に応じ、実施事項を修正する。

原子力安全・保安院は、電力会社による評価の提出を受け、その内容を評価する。
評価結果は原子力安全委員会に報告し、同委員会の確認を求める。

これについて、河野太郎議員の「ごまめの歯ぎしりメールマガジン版」(7月22日)は以下の通り述べている。

合否判定はどうするのかという質問に対して、保安院からは、合否判定はしませんという返事。

合否ではなく、それぞれの原発に関してどれだけの安全率、安全裕度があるかを出して、保安院と原子力安全委員会が確認し、その背景を説明し、それを経産、原発担当、官房長官の三人の大臣に提出する。

三大臣がこの結果を見て、それぞれ個別の原発ごとに再稼働を認めるかどうか判断をするという返答。

それを聞いて出席者のストレスレベルは確かに上がった。三大臣が再稼働を認めるかどうかの判断基準はどうなるのか?
 

参考  

  2011/7/7  EUの原発ストレステスト
  2011/7/12  原発の安全性基準に関する「政府統一見解」

 

付記

原子力安全・保安院は7月22日、玄海3号機の耐震安全性評価において、入力データの一部に誤りのあったことが分かったため、九州電力に対し、①正しいデータを用いた評価、②入力データに誤りが発生したことの原因究明、③再発防止対策、④他プラントの入力データについてのチェックを10月末までに報告するよう指示した。
保安院によると、データの誤りは建物内の機器や配管にも影響するため、再計算に約3カ月かかる。

これらはゼネコンの大林組に委託して入力・解析したもので、2008年の中間報告にも含まれていたが保安院は見逃しており、今回、最終報告書を「原子力安全基盤機構」が再点検する中で見つけた。

大林組は少なくとも他の3事業者の8基でデータ解析を請け負っており、他の原子力事業者に対しても、入力データのチェック体制について再点検を行い、結果を8月22日までに報告するよう指示した。

これによりストレステストの実施がずれ込むこととなる。(玄海3号機のストレステストは早くても11月以降になる。)

中国海洋石油(CNOOC)は、破綻したカナダのオイルサンド開発会社OPTI Canadaを現金と債務合わせ21億米ドルで買収することで合意した。

OPTI Canada1999年にイスラエルの石油会社Ormat IndustriesがカナダのSuncor Energyとの50/50JVとして設立し、アルバータ州のLong Lakeでオイルサンドの試掘を始めた。

しかし、
Suncorが撤退、OPTIは上場と借入で資金を集め、カナダのNexenと組んで商業生産を開始した。
現在、
OPTIが権益の35%Nexen65%を保有し、Nexenがオペレーターとなっている。

Long Lake Project SAGDSteam Assisted Gravity Drainage)によるビチュメン採掘の設計能力が日量72千バレルで、Upgrade設備はOrmat Industriesが開発したOrCrude法(ガス化設備と水素化分解設備を一体化)を使用し、主として低硫黄分のPremium Sweet Crudeを日量58.5千バレル生産する予定。
(現在のビチュメン生産は
28,300バレル/日)

これに続き南に隣接するKinosis鉱区の開発を計画している。SAGDを先行させるが、ビチュメン日量14万バレルの認可を得ており、まず4万バレルでスタートする。これが成功し、採算が取れるようなら Upgrade設備を建設する。

将来はCottonwood鉱区、Leimer鉱区も手掛ける。

OPTIは資金繰りが悪化、債権者との交渉を続けていたが、話し合いがまとまり、713日に Albertaの裁判所で再建計画手続きを開始したばかり。
再建計画では新株を発行して債務と交換することとなっている。

720日のOPTI発表によると、CNOOCによる21億ドルの買収額の内訳は以下の通り。
 ・第二抵当の債権
1,750百万ドルを1,179百万ドルで取得
 ・全株式を
34百万ドルで取得(10.12ドル)
 ・第一抵当の債権
825百万ドルを引き継ぐ
 ・その他の債権
37.5百万ドルを引き継ぐ

取引成立には第二抵当債権の債権者の過半の承認を要する。
9月に会合を開く。株主総会の承認は不要。
カナダと中国の当局の承認と
Albertaの裁判所の承認が必要。

仮にこの取引が成立しない場合は、
713日に開始した再建計画手続きを進めることとなる。

ーーー

中国勢の北米のエネルギーへの進出状況は以下の通り。

2005/4   CNOOCカナダのオイルサンド開発企業・MEGエナジーの株式の16.69%を買収
2005/6   Sinopecカナダのアルバータ州のNorthern Lightsにおけるオイルサンド事業の権益の40% をSynenco Energy から買収
2009年に50%にアップ
2009/9/10   PetroChina、カナダのオイルサンド事業に参加 (Athabasca Oil Sands)
2010/4/16   Sinopec、カナダのオイルサンドに投資 (ConocoPhillipsのオイルサンド事業会社 Syncrude Canada)
2010/10/18   CNOOC、テキサス州のEagle Ford Shale projectに参加 Niobrara shaleを追加
2011/2/16   PetroChina、カナダの天然ガス権益取得  Encana Corporation から天然ガスの権益の50%を買収

三井物産は720日、Dow全額出資のSanta Vitória Açúcar e Álcool LtdaSVAA)の株式50%を増資引受にて取得すると発表した。
ブラジルでサトウキビ農園運営からバイオポリエチレン等、バイオ化学品製造までの一貫事業を合弁で行う。

ミナスジェイラス州に2013年以降、年産能力24万klのバイオエタノール工場を複数建設する。
2015年にはこのエタノールを原料に年産35万トンの植物樹脂工場を建設する。植物樹脂工場としては世界最大規模。

名称 Santa Vitória Açúcar e Álcool Ltda
Santa Vitória Sugar and Ethanol Inc.)
所在地 ブラジルMinas GeraisSanta Vitória
事業内容 サトウキビ農園運営、化学品原料としてのバイオエタノール製造事業。
バイオエチレン、バイオポリエチレン及びバイオマス資源からの化学品製造販売事業へ順次拡大予定。
出資比率
(出資後)
Dow50%
三井物産:50%
三井投資額 2億米ドル

 

プロジェクト概要

三井物産とDowにとり、これは北米の電解事業に続く戦略的パートナーシップの第2号案件となる。

2010/7/2 三井物産とダウ、合弁でテキサスで電解事業 

ーーー

SVAAの歴史は20077月に遡る。

Dowは2007年7月、ブラジルのバイオエタノール大手のCrystalsev と共同で、ブラジルでサトウキビからワールドクラスのLDPE工場の建設計画を明らかにした。

Crystalsev はサンパウロ州の砂糖とエタノール製造の9社の販売を担当する会社で、エタノールの輸出ではブラジル最大。
Crystalsevの親会社が
Santelisa Valeである。

MOUによれば、両社はブラジルで合弁会社SVAAを設立して、Minas Gerais州のSanta Vitoria 350千トン能力のLDPE工場を建設、2011年に生産を開始する。
DowのPE技術(DOWLEXT法)とCrystalsev のエタノールのノウハウと経験を統合し、Dowのブラジルの需要家に供給、輸出も考えるとした。

2007/7/27 Dow、ブラジルでサトウキビからLDPE製造

しかし、Santelisa Valeの経営が悪化、DowSantelisa Vale20092月、この計画の延期を発表した。

200910月にフランスのコモディティ企業のLouis Dreyfus CommoditiesがSantelisa Vale を買収した。

Louis Dreyfus は自社の子会社のLDC BioenergiaとSantelisa Vale を統合し、新会社LDC-SEVを設立、13の砂糖とエタノールの工場(圧搾能力 40百万トン)を引き継いだ。
Louis Dreyfusが
60%、 Santelisa Vale株主が18%、他出資者が9%、Goldman Sachsと現地銀行が13%を出資する。

20106月に、DowSVAAの旧Santelisa Valeの持分を買収し、100%子会社としたが、Dowにとっては当初の提携相手で原料供給元を失ったこととなる。

このため、単独で農場経営~バイオ化学品事業を行う資金負担、リスクを避けるため、三井物産と提携したと思われる。

 

 

ConocoPhillipsの取締役会は714日、同社をスピンオフにより Exploration & Production事業とRefining & Marketing事業の2つの独立した企業に分割し、それぞれを上場する計画を承認した。

これにより、競争力があり、多様化したソースを持つ専業のExploration & Production会社が誕生する。
また下流の
Refining & Marketing会社は更なる合理化を進める。

分割には株主の承認は不要で、2012年の上半期に完了する予定。資産負債の分割や経営陣の布陣、具体的手続きは直ちに検討を開始する。  

付記

ConocoPhillipsの取締役会は2012年4月4日、分離を承認した。
Exploration & Production会社がConocoPhillipsの名称を引き継ぎ、下流のRefining & Marketing会社はPhillips 66となる。Phillips66は上場する。

4月30日に、株主は2株につきPhillips66の株1株を交付される。

新しいConocoPhillipsはPhillips66の株を持たない。
 

ConocoPhillips2002年にPhillips PetroleumConocoが合併して誕生した。

それ以前の20007月に、PhillipsChevronが石化部門を分離して50/50JVChevron Phillips Chemicalを設立しており、現在はConocoPhillips50%株主となっている。

ーーー

1)ConocoPhillips Exploration & Production事業

分割により、専業としては米国最大のE&P companyとなる。

2010年生産量(原油換算 日量千バレル)

 米48州   440
 アラスカ   240
 カナダ   270
 北海   350
 ロシア/カスピ海   50
 アジア太平洋   280
 中東/アフリカ   120
 合計   1,750

今後の成長のベースは以下の通り。

アジア太平洋:Australia Pacific LNG 50%出資)、マレーシア、インドネシア
北海:
Jasmine, Clair, Ekofisk, Eldfisk
カスピ海:Kashaganガス田
       
EniShellTotalExxonMobilKazMunayGas 16.81%
       ConocoPhillips 8.40%Inpex 7.55%
48州:オイルシェール(Eagle Ford, Bakken, Barnett, Permian
カナダ:
SAGD法によるオイルサンド
      
FCCL Partnership(Cenovus Energy との50/50JV)、Surmont(Totalとの50/50JV

2)ConocoPhillipsRefining & Marketing事業

 

グローバルな精製能力は日量 2.4百万バレルで、米国内は2.0百万バレル。

 

 

BHP Billiton7月15日、テキサス、ルイジアナ両州に約100万ネットエーカーのオイルシェール資産を保有するPetrohawk Energy の全株式を現金でのTOBで取得する契約を締結した。買収金額は121億ドルで、借入金込では151億ドルになる。
直近の取引価格に65%のプレミアムを上乗せした。

Petrohawk Energyの取締役会は満場一致で、株主に対してTOBに応じるよう、リコメンドした。
TOBは7月25日に開始の予定となっている。

BHP2月にも、米天然ガス大手Chesapeake Energyからアーカンソー州のFayetteville Shaleの権益全てとパイプラインを47.5億ドルで買収している。

2011/2/23 BHP Billiton、米シェールガス鉱区を買収 

今回の買収でBHPテキサスのPermian BasinEagle Ford、テキサスとルイジアナにまたがるHaynesvilleの権益を取得する。

2011年のPetrohawk Energy生産量は日量950百万立方フィート(石油換算で日量158千バレル)で、確認埋蔵量は天然ガス換算で3.4兆立法フィートとなっている。

Haynesville:同地区に深さの異なる2層のガス層がある。2011年生産量 日量650百万立方フィート
EaglefordLiquid shale。 2011年生産量 日量210百万立方フィート
PermianPetrohawkが最近取得したLiquid shale

BHPでは今後、シェールの開発に注力するとしている。

Petrohawk2011年の投資計画は28.5億ドル。
BHPの計画は、2015年で4050億ドル、2020年で5065億ドルとなっている。

米国ではシェールガス開発がブームとなっている。
Obama大統領も、天然ガス(シェールガス)の可能性は膨大だと述べた。

しかし、他方、シェールガスの採算面、環境面での懸念も増大しており、論争が起こっている。

2011/7/4  三井物産、テキサス州のシェール開発に参加;米国でシェール論争 

 

 

 

7月12日付けの人民網日本は、「5年間赤字続くも循環型農業に挑む日系企業」という題で、アサヒビールが主体の山東朝日緑源農業高新技術有限公司を大きく取り上げている。

山東省煙台市の県級市・莱陽市で農業に取り組む日系企業の山東朝日緑源農業高新技術有限公司は、設立から5年が経つものの赤字続きで、現地の農民の笑い者になっているという。

同公司は2006年、日本のアサヒビール、住友化学、伊藤忠商事により合弁設立された。
当時、同公司は莱陽市で1500ムー(100ヘクタール)の土地を借りて、酪農を始め、トウモロコシや小麦やイチゴ などを植えた。土地の借用期間は20年間だった。

同市大明村の村民は、「あの人たちは土地の扱い方を知 らない」と話す。
化学肥料を使わず、農薬を使わず、除草をしないこともあり、 1ムーの土地の収穫量は現地の農民の半分ほどに過ぎなかったのだ。

ーーー

莱陽市の土地は肥沃だが、化学肥料や農薬をたくさん使ったために土地が退化しており、土地は化学肥料を絶えず追肥しなければ収穫量を保てず、このようにして生産された農作物には化学品が残留していることが多い。

そこで同社は、初めの数年間は土壌の回復に大きな力を注ぐことにした。

  http://j.people.com.cn/94476/7437441.html

人民網日本は7月13日付で、「中国の伝統備えた日系企業を前に中国は冷や汗」という記事でこれをフォローしている。

われわれが真っ先に気づくべき点は、中国食品産業は安全問題で損なわれており、未来の食品市場は空白であることを同公司が見据えているという点だ。

次に気づかなければならない点は、同公司の土地に対する態度から、中国古代の質朴で持続可能な発展の哲学思想がうかがえるということだ。
残念なことに、中国の現在の農業生産では、こうした伝統的で素朴な持続可能な発展の観念が、短期的な利益や目先の利益のためにしばしば覆われてしまっている。

自分たちの土地にどのように接するべきか。再生不可能な自然資源にどのように対処すべきか。農薬をたっぷり浴びた農産品をどのように扱うべきか。こうしたことをしっかり考えた時、同公司のやり方を前にしてわれわれに冷や汗が出ることは確実だ。笑い話ではない。

  http://j.people.com.cn/94476/7438875.html

ーーー

山東朝日緑源農業は2006年5月に、アサヒビール73%、住友化学17%、伊藤忠商事10%の出資で設立された。

・トレサビリティーの確保や循環型農法などの先進技術を導入
・中国都市部で高まる安全・安心で美味しいというニー ズに応えた農作物を生産し、
 徹底した品質管理のもとで中国国内に供給。
・農作物の栽培から物流・販売まで一貫したフードシステムを構築
して新たな農業経営モデルを示す。

このため、レタスやスイートコーンなどの野菜栽培(露地栽培)、イチゴなどの果実栽培(温室栽培)に加えて、搾乳牛で将来的には1000頭規模の酪農を行うとした。

2008年4月には、同地に、アサヒビール90%、伊藤忠商事10%の出資で、牛乳・乳製品の製造・加工・販売を行う山東朝日緑源乳業有限公司を設立した。

・日本の品質管理技術を導入し、単一農場の原料牛乳を使用して成分無調整のチルド牛乳を製造。
・アサヒ(朝日緑源)ブランドの牛乳を、上海・北京・青島の市場にむけて販売を開始。

山東朝日緑源農業は、青年海外協力隊でケニア、パナマ、ネパールなどでの指導経験がある農業技術者、獣医師を中心に事業を運営しており、近代農業を志す現地雇用者とともに、中国における新たな農業経営モデルを実践している。

同社は日本の先端農業技術を導入した大規模農業経営を展開している。

1)循環型農法

 酪農から生じる牛糞を用いた堆肥を野菜や果実の畑に散布し、化学肥料などに頼らず地力を維持する循環型農法を実践。

2) 省エネ

風力発電や太陽光発電設備を導入するほか、堆肥工場を建設し、堆肥が発酵するときに出る熱を利用してビニルハウスを温めることで農場でのエネルギー使用量の削減を進める。

3)IT活用

温室での各種センサーによる栽培管理や農作物の生産履歴管理、ICタグによる乳牛の個体管理などITを駆使してトレーサビリティの充実を図る。また、温度管理を徹底した鮮度物流システムの構築を進める。

 

丸善石油化学は76日、C5系石油樹脂と液状石油樹脂事業から撤退すると発表した。
311日の東日本大震災の影響を受けたもの。

同社では地震発生後、アルコールケトン製造装置で火災が発生した。

同時に停止した第3エチレン製造装置、芳香族製造装置の一部、酸化工チレン製造装置などは44日以降スタートしたが、アルコールケトン製造装置については復旧には最低でも1年間は必要と判明した。

このため、同社は復旧までの期間、同装置の製品のメチルエチルケトン(MEK)、セカンダリーブチルアルコールSBA、ジイソブチレン(DIB)の出荷を停止することとした。

同装置はC4留分のうちのブチレンを原料とする。

MEK塗料溶剤、印刷インキ、接着剤等に用いられる。
2006年に能力を14万トンから17万トンに増強した。

SBAは化学品原料、塗料溶剤等に用いられる。MEKはこれから製造される。

DIBはイソブチレンのニ量化により得られるC8オレフィンで、付加反応、オキソ反応等により数々の有用な誘導体を生じる。
印刷インキやタイヤ添加剤に使用される。(下記参照)

今回撤退するC5系石油樹脂と液状石油樹脂はC5留分を原料とするもので、アルコールケトン製造装置とは別の装置であるが、生産時の副産物の大量の油をこれまではアルコールケトン製造装置で使用していた。

アルコールケトン製造装置の停止の結果、
コンビナートの燃料バランス復旧に数年間必要とし、C5系石油樹脂製造装置の再稼動の見通しが立たない状態にあるため、撤退することとした。

C5系石油樹脂(商品名:マルカレッツ) 横断歩道など交通用塗料の原料 年間販売量は約1万トン
液状石油樹脂(ポリイソペンタン;商品名マルカクリアー) 接着剤原料 年間販売量は約
700トン

いずれも輸入品などで代替しており供給に問題はない。

 


ーーー

丸善石油化学の停止中のアルコールケトン製造装置の製品のうち、ジイソブチレン(DIB)については、大手では世界で生産するのが同社を含め3社で、同社は能力5万トン強で最大である。

INEOS Oligomers
 1961年にBayerBPJVErdochemieが生産を開始。
 その後、
BPBayerErdochemie持分を買収、更にINEOSBPの石化事業を買収した。

TPC(旧称 Texas Petrochemicals)
 同社は元々は1943年に米国政府が合成ゴム製造促進のためにつくったRubber Reserve Co.
 その後、合成ゴム事業は各社に分離され、同社は現在はC
4留分の専業会社となっている。
 
2006年にHuntsmanからMTBEとブタジェンのプラントを購入している。
 
2000年にDIBに進出した。

このDIBに出光興産が参入する。
中国のタイヤ生産の拡大などを背景に、今後世界需要が拡大するとみて、震災前から参入を計画していた。

溶剤を生産している徳山工場のプラントにタンクや配管を追加し、生産設備を整える。年9000トンを生産する計画で、23年内の能力倍増も検討している。

付記

JXエナジーは川崎のプロピレン製造装置で発生する物質を活用し、2006年からDIBを製造し、ガソリン添加剤として自家使用している。
能力は25~30千トン。

同社ではこれを外販することとした。

商務部は2011年7月14日、レアアースの通年の輸出枠を発表した。

   2009  2010 前年比  2011 前年比
上期  25千トン  22,282トン -11%  14,446トン -35%
下期 25千トン 7,976トン -68% 15,738トン  
年間  50,145トン 30,258トン -40% 30,184トン -0.2%


通年では前年(2009年比で40%減)とほぼ同じとなり、下期は上期枠より上回った。

しかし、商務部と税関総局は2011519日、ジスプロシウム鉄合金、テルビウム鉄合金などレアアースの含有量が高い合金をレアアースの輸出割当に含め、管理すると発表した。

2011/6/1 中国政府、レアアース業界のガイドライン公表、レアアース取引所設立承認 

このため、実質的には年間枠は前年よりもっと縮小することとなる。

 

付記

新華社は9月5日、最大産地の江西省贛州市にあるレアアース(希土類)鉱山3カ所が近く生産を全面的に停止すると報じた。

市は乱開発の防止などを理由に、生産量の厳守を通知した。今年の枠はすでに超過している模様。 

江西省の2010年の生産枠は8500トンだった。贛州市は特にジスプロシウムなど重希土の世界的な産地で、中国の30%以上の重希土が埋蔵されているとみられる。

 

工業情報化省(MIIT) は7月11日、昨年に続き、鉄鋼やセメントなど素材産業を中心に18業種2255社に対して、旧型で小規模な生産設備の年末までの廃棄を命じた。国務院の「旧式の製造設備の更なる廃棄について」の通知に基づくもの。

中国では過剰な生産能力が問題化しており、政府はこれにより、市場の安定のほか、地球温暖化や住民の健康被害につながる有害物質の排出抑制を狙う。

中国は昨年も多くの旧型設備を廃棄させたが、本年に入り、重産業の生産が急増している。

中国は最近、電力不足に悩んでいるが、産業の電力消費は前年比で12%増えており、電力不足の主因はエネルギー効率の悪い重産業の操業にあるとされる。電力の48%は化学、建設資材、鉄鋼、非鉄金属などの重産業で使用されている。

廃棄指示の対象は以下の通り。

  分 野 2010年 2011年
社 数 能力合計 社数 能力合計
1 (Iron) 175  3,524.6万トン
(全体の5%)
96 3,122万トン
2 鋼鉄 (Steel) 28 876.4万トン 58 2,794万トン
3 コークス 192   87 1,975万トン
4 フェロアロイ 143   171 211万トン
5 カーバイド 39 74.5万トン 48 152.9万トン
6 アルミ 17 37.1万トン 22 61.9万トン
7 銅精錬 6   24 42.5万トン
8 鉛精錬 17   38 66.1万トン
9 亜鉛精錬 53   32 33.8万トン
10 セメント 762 1億トン
(全体の5%)
782 1億5327万トン
11 ガラス 19   45 2,940.7万トン
12 製紙 279   599 819.6万トン
13 アルコール 38   31 48.7万トン
14 MSG 
(グルタミン酸ナトリウム)
7   4 8.38万トン
15 クエン酸 2   3 3.55万トン
16 製革 84   58 487.9万トン
17 染色加工 201   144 19.9億メートル
18 化学繊維 25   13 34.98万トン

工業情報化省が生産設備の廃棄を命じた企業リストは以下にある。

  2010 http://finance.sina.com.cn/chanjing/cyxw/20100808/20148442910.shtml
  
2011 http://202.123.110.3/gzdt/att/att/site1/20110711/001422358b040f84e43801.doc

地方的には河北省291社、湖南省226社、山西省173社、河南省151社、四川省131社、広東省114社、江西省112社、山東省102社となっている。

 

 

 

 

EUの一般裁判所(General Court:第一審裁判所を改称)は7月12日、2007年1月に欧州委員会が電力用ガス絶縁開閉装置で国際カルテルを結んでいたとして日欧10社に7億5千万ユーロの制裁金支払いを課した件で、東芝と三菱電機への制裁金を無効とし、富士電機への制裁金を減額した。日立製作所の提訴は却下した。

このカルテルには日本企業は参加していないが、日本企業は欧州で販売せず、欧州企業は日本で販売しないことも決めていたとされ、「欧州でほとんど売っていないのを理由に多額の制裁金を課せられる」という珍しいケースとなった。

2007/1/26 EU、電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルで1200億円の制裁金

日本企業は、欧州市場参入を見送った経緯について「参入しても採算を取るのは難しい」との判断があったと説明、東芝、日立製作所、三菱電機は、制裁を不服として提訴していた。

ーーー

裁判所はまず、欧州企業が日本市場に参入しないことを決め、日本企業に欧州での割り当てを通知していたとし、日本企業が欧州市場に販売しないとのカルテルがあったことを認めた。

次に制裁金の計算方法を検討し、欧州委員会が三菱電機と東芝には2001年の売上高を使用し、欧州企業には2003年の売上高を使ったことを問題とし、平等な扱いでないとみなした。

欧州委員会が年度を変えた理由は、東芝と三菱電機は2002年10月に両社の電力系統・変電事業を統合して50/50の合弁会社TMT & Dを設立した(2005年4月末に解消)が、カルテルにはJVではなく、東芝と三菱電機として参加していたため、JV設立前の両社の売上高を採用したもの。

裁判所は、意図は理解できるが、何か別の方法を使用することにより、日本企業を不平等に扱わないようするべきであったとし、平等処理の原則に反しているとして、東芝(90.9百万ユーロ)と三菱電機(118.6百万ユーロ)の制裁金を取り消した。

富士グループについては2002年10月以前の分の制裁金を240万ユーロから220万ユーロに減額した。

日立については却下した。理由は明らかにされていない。

なお、裁判所はこれに先立ち本年3月に、Areva(とArevaが引き継いだAlstromの事業)への制裁金(共同負担)を53.5百万ユーロから48.2百万ユーロに減額、別途Alstomへの単独の制裁金を11.5百万ユーロから10.3百万ユーロに減額している。

対象企業と制裁金の額は以下の通り。(単位:千ユーロ)

  免責額 制裁金 判決
Siemens(ドイツ)     396,563  
Siemens(オーストリア)      22,050  
ABB(スイス)  215,156       0  
三菱電機     118,575     0
東芝      90,900     0
Alstom(フランス)      11,475   10,300
Areva/Alstom(フランス)   53,550   48,200
日立製作所      51,750   却下
Schneider(フランス)      8,100  
富士電機システムズ      3,750 2,4002,200
日本AEパワーシステムズ*      1,350  
合計  215,156   750,713  
* 富士電機システムズ、日立、明電舎のJV


日立は「当社の主張が認められなかったことは遺憾であり、今後の対応については、判決内容を精査の上、検討してまいります」としている。

ーーー

付記

EUのGeneral Courtは7月14日に、合成ゴムカルテルの制裁金についても、減額及び取消の判決を行った。

2006年11月、ブタジェンゴム(BR)とエマルジョンSBRESBR)の価格カルテルで合成ゴムメーカー5社に519百万ユーロ(約800億円)の罰金支払いを命じたもので、ENIShell と(Bayer)は再犯ということで罰金が50%増しとなった。

2006/12/5 EC、合成ゴム価格カルテルで5社に約800億円の罰金支払い命令

ENIと子会社Polimeriについては、過去に何度も違法行為を行ったことについて、十分詳細な具体的な証拠がないとして、制裁金を181.50百万ユーロ(割増なし)に減額した。

理由は明確ではないが、今回の違反行為は子会社のPolimeriであり、Polimeri自体は再犯ではないというのがEniの主張であった。

チェコのUnipetrolと子会社のKaucukとTrade-Stomilについては、違法行為に参加した十分な証拠がないとして、制裁金を取り消した。
Shellについては却下した。

罰金の内訳は以下の通り。

  社名・国 減免率
   %
減免額
     euros
罰金
     euros
2011/7
General Court
1. Bayer, Germany    100   204,187,500         0  
2. Dow, USA     40    43,050,000    64,575,000  
3. Eni, Italy     0         0   272,250,000 181,500,000
4. Shell, Netherlands     0         0   160,875,000  
5. Unipetrol, Czech Republic     0         0    17,550,000 0
6. Trade-Stomil, Poland     0         0     3,800,000  
  TOTAL     247,237,500   519,050,000  

宇部興産とDow Chemicalは7月6日、リチウムイオン二次電池向け電解液の製造及び販売等を行う合弁会社を設立することで合意したと発表した。

・社名 : Advanced Electrolyte Technologies LLC
・所在地 : 米国ミシガン州
・代表者 : 宇部興産から派遣
・設立 : 設立の認可が取れ次第ただちに
・出資比率 : 宇部興産(米国子会社) 50%、Dow 50%

宇部興産は、リチウムイオン二次電池の主要四部材のうち、電解液とセパレーターを事業化している。
電解液事業については、高純度電解液に添加剤を加えることで電池性能を向上させるというコンセプトのもと製品を拡充した。

宇部興産はグローバルな生産・販売体制を早急に構築することが不可欠であると判断し、Dowとの折半出資により合弁会社を設立する。

Dowにとってはエネルギー貯蔵関連の製品群に電解液事業を加えることで、Energy Materials事業の成長戦略を強化する。
JVの製品はDowのリチウム電池JVのDow Kokamなどに供給する。

代替エネルギーはDowの戦略の中心の一つで、住宅の屋根に設置するDow Powerhouse solar shingle(太陽光発電屋根)を第4四半期に発売する計画。

合弁会社は今後順次、米国・中国・欧州に年産5000~1万トンの電解液の製造設備を有する子会社を設立する予定だが、Dowでは最初のプラントはMidlandに建設し、2012年にスタートアップするとしている。

宇部興産は、電解液の技術を合弁会社にライセンス供与する。

ーーー

電池材料は、宇部興産が最重点事業とする4つの事業領域(医薬・電池材料・ファインケミカル・ポリイミドチェーン)の一つ。

本年2月にLiB用の電解液とセパレーターの両事業を統合し、「機能電池材料ビジネスユニット」を新設するとともに、両事業に関わる開発機能を統合する組織として「先端エナジーマテリアル開発センター」を新設した。

別途、欧州及び北米におけるLiBの需要拡大に対応するため、欧州製造拠点のスペインのUBE Chemical Europeに自動車や電力貯蔵用途の大型電解液開発体制を整備した。

今回のJVで、日本と欧州に開発拠点、日本と米国及び中国・欧州に製造拠点を持ち、自動車メーカー、電池メーカーに供給する。

同社の電池材料の戦略は以下の通り。

 電解液事業
  ・高性能電池向けの高機能電解液では技術開発力トップの地位を維持
  ・コスト競争力の強化とさらなるシェアの拡大
  ・車載・電力貯蔵LIB電解液の積極的展開

 セパレーター事業
  ・伸長する中国市場におけるデファクトスタンダードの堅持
  ・生産技術の高度化と増産設備の立上げ
  ・車載・電力貯蔵LIBセパレーター拡販
  ・宇部マクセル社での開発促進

宇部興産と日立マクセルは本年1月リチウムイオン電池用塗布型セパレーターの製造および販売等を行う合弁会社を設立することで合意した。(宇部 51%、日立マクセル 49%)

宇部興産はPEとPPの積層膜に均一な微細孔構造を形成する乾式プロセス技術でセパレーターを量産しているが、この積層膜に、マクセルの分散塗布技術を利用して無機微粒子によるコーティング膜を形成することで、高温耐熱性をさらに高め、異常発熱時の熱収縮を小さく抑え電池内部での短絡を防ぐもの。 

社名:宇部マクセル株式会社
所在地 京都府乙訓郡大山崎町

付記

宇部興産は2012年4月、車載用リチウムイオン二次電池向けなどでの需要増大に対応するため、堺工場で新たにセパレーター製造設備を増強することに着手した。

現在、セパレーターを宇部ケミカル工場のみで生産しているが、堺工場でも2013年度初めより生産開始し、段階的に能力増強を実施する計画で、2014年度末には2工場合わせた生産能力を2億m2に拡大する。 

付記

宇部興産は2012年4月、中国に炭酸ジメチル製造のJV設立を決めた。
COを原料としてDMCを製造する宇部興産独自の気相ナイトライト技術を使用するもので、宇部興産は、合弁会社からDMCを購入し高純度化することで電解液用途での自家消費や外販を行う。

社名:河南碳一新能源有限公司(Henan Tanyi New Energy Co., Ltd.)
場所:
河南省濮阳市
出資者:
中原大化 51%、宇部興産 24.5%、ハイケム 24.5%
能力:10万トン

宇部興産は宇部に15,000t/年のプラントを有している。

宇部興産はリチウムイオン二次電池と電解液で重要な特許群を保有しており、パテント・リザルトの2010年の有機電解液に関わる調査では、特許の質と量から総合的に見た評価で総合力1位にランキングされている。

同社はこのたび、TDKが2005年に買収したポリマーリチウム電池製造販売会社Amperex Technology(本社:香港、中国・東莞市に製造拠点)に、特許の一部をライセンスし、ビジネス関係を強めていくことで合意した。

宇部興産では、ライセンス供与により、"機能性電解液"を通じて、リチウムイオン二次電池市場でのプレゼンス強化を図ると共に、ATLと友好的な関係を構築していくとしている。

ーーー

電解液の世界シェアは以下の通りとされる。(テクノ・システム・リサーチ 2010年数量ベース)

  宇部興産 24%
  三菱化学 17%
  PANAX ETEC(韓国) 13% (第一毛織から事業譲渡を受ける)
  
Techno Semichem(韓国) 9%
  電池メーカー自製 13%
  その他 24%

三菱化学はリチウムイオン二次電池の主要四部材(正極材、負極材、電解液、セパレーター)の全てを扱っており、同社によると電解液の2009年のシェアは25%で、英国、米国での新設を合わせ2015年には40%に引き上げるとしている。 

2010/9/13 三菱化学、リチウムイオン二次電池用負極材の製造能力増強 

原子力安全委員会の班目春樹委員長は7月11日、定期検査の最終検査をしないまま調整運転を異例の長さで続けている北海道電力泊原発3号機と関西電力大飯原発1号機について「明らかにいいことではない」と苦言を呈し、原子力安全・保安院に、適切に対応するよう求めた。

原子力安全・保安院は7月12日、「正当な理由がないまま検査を受けずに長期化するのは法令上問題ある可能性がある」と述べ、最終検査の申請を出すよう促した。検査を受けられるのに受けない場合、電力会社は電気事業法上、検査忌避とされる可能性がある。

「定期検査」では、最終段階で原子炉を起動して調整運転に入り、発電機を回すタービンを動かす。約1か月弱、その状態を保った上で、国が「総合負荷性能検査」で、原子炉内の温度やタービンを回す蒸気の流量などが安定しているかを確認し、問題がなければ「終了証」が交付され、定期検査は終了する。

泊3号機は3月7日、大飯1号機は3月10日に原子炉を起動し、調整運転に入った。
しかし、総合負荷性能検査を受けないまま、4か月以上、実質的な営業運転を行っている。

理由については両社とも「地元自治体の理解が得られていないので......」としていた。

ーーー

定期検査の場合、電力会社は自治体の同意(震災前は「確認」)を得て、調整運転に入り、最終検査を受けて営業運転に入る。

両原発とも調整運転前に確認を得ていた。(伊方3号機、玄海2・3号機などは調整運転前の状態)

しかし、福島原発事故で状況は一変した。北海道は国に対し「中部電力浜岡原発と泊原発の違いを説明してほしい」と要請している。

総合負荷性能検査を受けて定期検査が終了すると、正式の再稼働となり、問題とされることを懸念し、「定期検査中」と偽って稼働させていることとなる。

ーーー

原発の安全性基準に関する「政府統一見解」では「定期点検中で起動準備が整った原発」は一次評価を受けることとなっている。

保安院は、この2つの原発は既に起動中であるため、最終検査を通れば定期検査を終了し、通常運転を認めることに問題はないとしている。申請があれば、最終検査は数日程度で終わるとみられ、月内にも通常運転に移行する見通し。
次の定期検査を来年5月までに実施する方向で調整している。

しかし、2原発は定期検査中で最終検査を受けていないため、「定期検査中」と「稼働中」の境界線上であり、統一見解のグレーゾーンとなる。

菅首相はこの問題の報告を受け、「これでは定期検査の意味がない」と不快感を漏らしたとされ、首相周辺では「このまま運転を続けるのは難しいかもしれない」としている。

ーーー

大飯1号機の出力は117.5万キロワットで、関電の電力供給の3%強を占め、夏場の供給計画にも織り込んでいる。

付記

関西電力は7月16日、調整運転中の大飯1号機で、緊急炉心冷却システム (ECCS)を構成するタンクの圧力が低下するトラブルがあったと発表した。保安規定に基づき原子炉を手動停止する。

オーストラリア政府は7月10日、包括的な温暖化対策の詳細を発表した。年内に法案を上程する。

炭素税導入で2020年までに自動車4500万台に相当する1億6000万トンのCO2排出量削減をめざす。
一方で、鉄鋼や石炭火力発電など大きな影響を受ける産業の雇用対策などに3年で92億豪ドルを投じる。

   発表 http://www.cleanenergyfuture.gov.au/clean-energy-future/securing-a-clean-energy-future/#content01

企業の二酸化炭素(CO2)排出に費用を課す「炭素価格制度」を2012年7月1日から導入する。

炭素価格制度では排出量の多い約500社は排出する炭素1トンごとに"Permit"を購入する。
  
201271日施行で、最初の3年間は税金と同じ扱い。
  企業は排出量分の
Permitを購入する。売買や将来の年度での使用はできない。
  炭素価格は
   
2012-13年(2012/7-2013/6)はトン当たり23.00豪ドル
   
2013-14年は24.15豪ドル
   
2014-15年は25.40豪ドル 
    (注 1豪ドルは約84円) 

201571日に排出量取引制度(Emissions Trading Scheme)に移行する。
  炭素価格は市価となる。
  
2014年予算で、最初の5年間の総排出枠(Cap)を発表する。

・農業やバイオ燃料、バイオマス利用の排出は対象外

・対象ガス
  京都議定書の6種のガスのうちの4種:CO2、メタン、酸化窒素、アルミ精錬からの
PFCperfluorocarbon

・対象企業
  CO2排出25千トン以上

・雇用維持、競争力維持対策
  輸出競争力が問題となるアルミ・亜鉛精錬、製鉄などは最初の3年間、業界平均排出量の94.5%が無償
  LNG開発は50%が無償  

・炭素価格は製品価格に上乗せされるため、2012年度(2012年7月~2013年6月)の消費者物価指数が0.7%上がると試算。
  
このため、 炭素税の税収の50%以上を充て、補助金や所得税減税を実施する。
  10家族のうち9家族が減税や補助金で炭素税のコストアップをカバーされる。

 

豪州では2007年にハワード政権が排出量取引制度の導入を表明し、その後のラッド政権が法案化したが上院の否決で断念している。

 

 

政府は7月11日、原子力発電所の再稼働の可否などを判断する新たな安全評価をとりまとめ、公表した。

1) 一次評価(先行実施)
   対象:定期点検中で起動準備が整った原発
   目的:再稼働の可否を判断
   内容:大規模な地震や津波など設計上の想定を超える事象に対し、
      重要な施設、機器などがどの程度の安全度を有しているかを評価

付記 一次評価の項目は以下の6項目(後の2項目を追加)
     地震、津波、全電源の喪失、原子炉の熱を逃す機能の喪失
     大地震と津波の複合事故
     シビアアクシデント対策

2) 二次評価
   対象:全原発
   目的:運転継続または中止の必要性などを判断
   内容:
欧州のストレステストの実施状況や福島原発の事故調査・検証委員会の検討状況などを踏まえ、
       今後、内容や実施時期を確定

経済産業省原子力安全・保安院は今週内にも評価項目や計画を作成し、安全委に提示する。
原発事業者による評価結果について保安院とともに、安全委も妥当性を確認する。

首相が原子力安全委員会も関与するよう指示した。
しかし、安全委は「保安院の確認行為の妥当性についての判断はするが、再稼働の可否は政府が決めること」としている。

付記
EUとの違いは、EUでは欧州委員会の1人と27か国の規制当局から6人の合計7人から成る多国籍チームがPeer reviews を行うこと。現地訪問も行う。

定期検査を終えた九州電力玄海原発などで先行実施するが、これにより再稼働は8月以降にずれ込む見通しとなった。

ーーー

玄海原発などの再稼働については政府内部で混乱した。

海江田経産相は6月18日に原発の安全宣言をし、玄海町は7月4日に運転再開を了承したが、首相は急に、「新たなルールを作って、あらためて国民が納得できる判断が出るよう指示している」と述べた。

海江田経産相は7月6日、原発の安全性確保のため、全原発を対象にストレステスト(事故・災害への耐性調査)を行うことを明らかにしたが、これが再開の条件になるのかどうかで意見が分かれたため、統一見解をまとめたもの。

ーーー

客観的にみて、福島原発の事故がありながら、6月18日に保安院が発表した「シビアアクシデントへの対応に関する措置の実施状況の確認結果について」だけで「安全宣言」をしたのはおかしいと言える。

今回の統一見解には、「保安院による安全性の確認について、理解を示す声もある一方で、疑問を呈する声も多く、国民・住民に十分な理解が得られているとは言い難い」とある。

これは「シビアアクシデントが発生した場合でも迅速に対応する観点から措置すべき事項のうち、直ちに取り組むべき措置」であり、内容は以下のものだけである。

① 中央制御室の作業環境の確保
② 緊急時における発電所構内通信手段の確保
③ 高線量対応防護服等の資機材の確保及び放射線管理のための体制の整備
水素爆発防止対策
⑤ がれき撤去用の重機の配備

河野太郎議員ブログ「ごまめの歯ぎしり」は、これらでさえ、全ての原発で対応を終えていないとしている。

有名になった
原子炉建屋に穴を開けるドリルさえも女川原発、浜岡原発では7月末完了予定であり、本格的な水素対策は今後3年かけてという原発もある。
玄海原発の場合、格納容器内に静的触媒式水素再結合装置を今後3年程度で設置するとなっている。 


もっと大きな問題がいくつも残っている。

1)外部電源

敦賀原発、伊方原発1、2号機、東通原発などは、1カ所の変電所から送電線を引くため、地震などで変電所が長期停電すると早期に復旧できない恐れがある。(原子力安全・保安院 6月9日発表)

2)電源喪失対策

安全委が1990年に定めた原発の安全設計審査指針では「長期間にわたる電源喪失は、送電線の復旧、非常用発電機の修復が期待できるため、考慮する必要はない」とされている。安全委はこれが誤りであったことを認めた。

ほとんどの原発が非常用炉心冷却装置を作動させる補助電源を持っていないとされる。

3)原子炉格納容器 MarkⅠ

国際原子力機関(IAEA)閣僚級会議に出席した海江田万里経済産業相は6月20日、ウィーンで会見し、東京電力福島第1原発1~5号機に使われている米GE開発の原子炉格納容器 MarkⅠについて、安全性の観点から、廃炉を含めた検討が今後の課題になるとの考えを示した。

MarkⅠについては1972年に米国原子力委員会の安全担当のStephen H. Hanauerが安全性の問題で廃止するよう主張している。
容量が小さいため、水素が溜り、爆発・破壊の危険があるというもの。

GEの元社員Dale G. Bridenbaughと同僚2人は、MarkⅠ型原子炉について重大な欠陥があり大規模事故につながると確信し、1975年に退職した。「設計の際に、冷却水が無くなった時の動的荷重を勘案していないのが問題」としている。(2011/3/15 米ABC News)

1980年に米原子力規制委員会が再評価した際、原子炉格納容器の圧力上昇を抑える圧力抑制プールの耐震強度が十分でない可能性を予測しながら、米国内の電力会社の意見を参考に「無視できる」と結論づけていたことが、NRCの「安全性評価報告書」で分かった。

日本の原子力安全委員会も1987年の指針で、圧力抑制プール内の地震揺動を検討項目に含めなかった。

MarkⅠはGEが1960年代に開発した。

 
福島1~5号機    福島6号機

同型炉は、米国は東部に24基、日本には10基、ほか台湾2基、スイス1基、スペイン1基がある。

日本は、廃炉が決定している福島第一の1~4号機と浜岡1~2号機のほかに、女川1号機、敦賀1号機、島根1号機、福島第一の5号機である。

敦賀市の河瀬一治市長は6月1日の定例記者会見で、運転開始後40年を超えている敦賀1号機をめぐり、福島の知見で高経年化(老朽化)などの影響があったと明らかになった場合には「早く廃炉に持っていくことも選択肢の一つ」と述べ、2016年としている運転終了の前倒しもあり得るとの考えを示した。

日本原子力発電は2002年に、敦賀1号機の運転を2010年に終了し、廃炉にすると表明したが、その後、3、4号機の建設が遅れている事情もあり、運転期間を2016年まで延長している。

なお、沸騰水型の原発で事故が起きた際、原子炉格納容器の損傷を防ぐため、容器内の圧力を外部に逃がす「耐圧強化ベント」の設備が、国内では敦賀1号機だけ設置されていないことが分かった。

インドのコンツェルン Aditya Birla Group(世界4位のカーボンブラックメーカー)は621日、米国のカーボンブラックメーカーのColumbian Chemicalsを買収する契約を締結したと発表した。

買収価額は875百万ドルで、買収によりAditya Birla Group はカーボンブラックの能力が90万トンから200万トンとなり、世界一のカーボンブラックのメーカーとなる。

Aditya Birla インド、タイ、中国、エジプトの4か国6プラントに、Columbian Chemicals の米国、カナダ、ブラジル、ドイツ、ハンガリー、スペイン、イタリー、韓国、中国の9か国11プラントを加え、12か国に17の工場を持つこととなる。

ーーー

Aditya Birla GroupBirla 一族が支配するコンツェルンで、金融、IT/ITアウトソーシング、アパレル、絶縁体、カーボンブラック、肥料等のAditya Birla Nuvo、アルミ産業のHindalco-Novelis、携帯電話通信のIdea Cellular、 セメント及び繊維産業のGrasim Industries などインド経済において重要な位置を占める。

Hindalco-Novelis はアルミ圧延では世界一、精錬ではアジアでトップ3社の一つで、銅の精錬では一工場では最大。
2007年にNovelis Inc.を買収した。

カーボンブラックでは世界4位、ビスコースステープル繊維で世界一、アクリル繊維で世界5位、セメントで世界8位となっている。

ーーー

Columbia Chemicalの歴史はカーボンブラックが産業用に初めて利用されるようになった1860年に遡る。
1922年にいくつかの小さなメーカーが合併してColumbian Carbon Companyが設立された。

1986年に同社は鉱山会社のPhelps Dodge Corporation に買収され、以降20年余で、欧州に事業を広め、南米とアジアの事業を買収した。

なお、Phelps Dodge 2007年にFreeport-McMoRan に買収され、Freeport-McMoRan Copper & Gold Inc.と改称した。

20063月に同社は韓国の東洋製鉄化学(DC Chemical)とJPMorgan Chase子会社の投資会社One Equity Partners.6億ドル(負債込み)で買収された。前者が67%、後者が33%を保有した。

DC Chemical2001年に設立された化学品商社で、化学品ではベンゼン、トルエン、TDIを生産している。

中国に山東
DC Chamicalを設立した。
Shandong Haihua Coal ChemicalとのJV。ピッチ、カーボンブラックオイル、ナフタレン、コールタールを生産)

2005年にSodiff Advanced Materialsを買収、ポリシリコンの製造を開始した。
2009年にOCIに改称した。

DC Chemical 2009年にポリシリコンに事業を集中することを決め、Columbia Chemicalの持分をOne Equity Partners に売却した。

OCIは現在、ポリシリコン第3期のデボトルネッキング中で、能力は2011年末に42千トンとなる。
更に第
420千トンを建設中で、2012年末に完成するが、本年4月に第5期の建設を発表した。能力は1系列では世界最大の24千トンで、2013年末の完成時には合計能力は86千トンとなる。

中国国家統計局は7月9日、6月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で6.4%上昇したと発表した。

内訳は、全体の3割を占める食品が前年同月比14.4%、食品以外は3.0%の上昇だった。

最近、中国の食卓に欠かせないブタ肉価格が季節的要因に反して大幅に上昇している。(5月は前年同月比で40.4%、6月は57.1%上昇した。豚肉のウェイトは消費の3%、食料の約1割を占めるとされる。)
また、南部地域で日照りや洪水が発生し、野菜の生産量が減少したことにより、野菜価格の低下傾向にストップがかかっている。

食品価格の上昇は低所得層の生活を直撃し、生活苦で暴動が起きる事態になっている。

また、6月の工業生産者出荷価格指数(PPI)は前年同月に比べ7.1%上昇した。

中国政府は経済政策の最優先課題として「インフレ抑制」を掲げ、今年の通年のCPI上昇率を「4%程度」とする目標を掲げたが、目標達成は困難な情勢。

このため、景気には減速感も表れているが、中国人民銀行は当面、物価抑制に軸足を置いた金融政策運営を続ける。

ーーー

中国人民銀行は6月14日、預金準備率を50ベーシスポイント引き上げた。預金準備率の引き上げは昨年10月以降で9度目、年初から6度目で、今回の引き上げで預金準備率は過去最高の21.5%となる。

 

付記
中国人民銀行(中央銀行)は11月30日、預金準備率を12月5日から50ベーシスポイント引き下げると発表した。欧州債務危機が輸出と成長を脅かす中で、2008年以来で初めての引き下げで、21.0%となる。

中国人民銀行は7月6日、金融機関の預金と貸出の基準金利(期間1年)をそれぞれ0.25%幅引き上げると発表した。
利上げは今年3回目、昨秋からの引き締め局面で5回目で、預金が3.50%、貸出が6.56%となる。

 
    金利率 
 預金   貸出
2010    
 10/20  2.50  5.56 
 11/26  2.75  5.81
2011    
  2/9  3.00  6.06
  4/6  3.25  6.31
  7/6  3.50  6.56

 

 

欧州委員会は2009年11月、塩ビ用熱安定剤のカルテルでAkzo、Ciba等に制裁金を科した。

2009/11/18 欧州委員会、熱安定剤カルテルで制裁金

欧州委員会は7月4日、このうちのCiba/BASFElementisの課徴金を取り消すと発表した。
Elementis32,575千ユーロ、その後BASFに買収されたCibaは32,575千ユーロの制裁金を命じられていた。

このカルテルは2000年まで続いていたが、CibaElementisの両社は1998年までカルテルに参加していた。

このため、2009年の命令は10年の時効経過後となるが、欧州委員会では、両社とは別の企業が委員会のカルテル調査に関してEUの裁判所に異議を申し出ていたため、当事者だけでなく、カルテル参加者全員に10年の時効の中断が生じたと判断し、制裁金を科した。

しかしながら、本年329日に、欧州司法裁判所は別のArcelorMittal のケースで、これが行為を行った企業にのみ適用されるとの決定を行った。

両社は制裁金の決定までになんらのアクションも取っていないため、10年の時効が成立することになる。

Sinopecはこのたび、江蘇省政府との間で連雲港市の徐ウ新区に年産32百万トン製油所を建設することで合意した。

投資額は1000人民元(155億ドル)を超えると見られており、これが完成すると中国で初めて能力が30百万トンを超える製油所となる。 

計画は2期に分かれ、第一期(2013年建設開始、2016年完成)では年産12百万トンの製油所と年産100万トンのパラキシレン、第二期(2016年建設開始、2020年までに完成)では20百万トンの製油所と年産100万トンのエチレンを建設する。

Sinopecと連雲港港口集団(Lianyungang Port Group)は30万トンの原油桟橋の建設契約を締結した。Sinopec70%、港口集団が30%を出資するJV2013年に建設を開始する。

シノペックの上級幹部によると、シノペックは多国籍企業と協力し、共同で誘導品を生産することを検討している。

中国の石油需要は2020年末までに昨年のレベルから55%増えると見込まれており、この計画はこれに対応するもの。


徐ウ新区は江蘇沿岸部開発戦略を実施するために設立した開発区。

ーーー

連雲港市は新ユーラシア・ランド・ブリッジの東側の橋頭堡で、中部と西部の一級行政区に連絡している。東部は海をはさんで日本や韓国などの北東アジア諸国を望んでおり、中部地区と西部地区が最短距離で海に出る重要な拠点であり、対外開放の重要な拠点でもある。

中国国務院は5月31日、江蘇省連雲港市に「国家東・中・西部地域協力モデル地区」を設立することを認可した。

モデル区は、徐ウ新区、連雲港経済技術開発区、連雲港国際ビジネスセンター、連雲港区、連雲港保税物流センターからなっており、計画では徐ウ新区をパイロット地区として、地域協力モデルの刷新を図る。

海路の利便性向上、協力サービスシステムの構築、産業協力基地の建設、協力体制の刷新に力を入れ、東・中・西部地域の科学的発展を推進する体制づくりに取り組み、10年後をめどに中西部地区の対外開放における重要な窓口、東中西産業提携に向けたモデル地区、地域協力体制に向けた試験地区を完成させる計画。

新ユーラシア・ランド・ブリッジは中国とヨーロッパを鉄道によって結ぶ物流ネットワーク。

アジアとヨーロッパをつなぐ鉄道網にはシベリア鉄道がある。

国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が1960 年代に「Trans-Asian Railway Network 構想」を打ち出した。
シンガポールからイスタンブールまでを結ぶ鉄道網構想で、その後欧州やアフリカへ鉄道網を延伸していくもの。

新ユーラシア・ランド・ブリッジ(第2ユーラシア・ランド・ブリッジ)は中国の連雲港市からオランダのロッテルダム港まで結ぶ鉄道で、山東省、江蘇省、河南省、安徽省、陝西省、甘粛省、山西省、寧夏省、青海省、新疆自治区を通し、ロシアとの国境の阿拉山口で中国を出、その後、三つの路線でオランダのロッテルダム港に繋がる。全長10900キロで、30余りの国や地区に及んでる。

海江田経産相は7月6日、原発の安全性確保のため、全原発を対象にストレステスト(事故・災害への耐性調査)を行うことを明らかにした。

経産相は、「安全性はすでに確保しているが、地元住民のより一層の安心を得るために実施する」と述べたが、首相は、「従来法では原発の安全性は経産相が判断できるが、新たなルールを作って、あらためて国民が納得できる判断が出るよう指示している」と述べ、ストレステストの実施が再稼働判断の前提になるとの見解を表明した。

報道では首相は経産相に対し、「原発の再稼働は認めない」と繰り返し、6月18日に原発の安全宣言をした経産相を非難したという。

ストレステストの内容は決まっておらず、実施に何か月もかかる可能性があり、その間原発の再稼働は出来ない可能性が強い。

玄海原発2、3号機の再稼働問題で、7月4日に運転再開を了承した玄海町の岸本町長は7月7日、町役場で臨時会見を開き、了承撤回を表明した。

日本では今頃になって(一旦安全宣言をしてから)ストレステストの実施を決めたが、EUでは福島事故発生直後に動き出し、既にテストに入っている。

経産相は「IAEAやEUの知見も参考にする」と述べた。

ーーー

EUは、域内の原発143基のすべてについて6月1日からストレステストを行っている。

311日の福島の事故を受け、この事故を教訓に同様の事故がEUで発生しないよう、すべての原発を再評価するもので、早くも325日に欧州委員会でこの問題を議論し、EUの全ての原発のストレステストを行うことを決めた。

EUは「福島事故で、考えられない事態が起こること、2つの自然災害が同時に起こること、全電源の喪失が起こることを学んだ」としている。

テストは包括的なもので、以下の事態に耐えうるかどうかを調べる。

①天災
 地震、洪水、極端な低温、極端な高温、雪、氷、嵐、竜巻、豪雨、その他

②人の起こす危険(失敗、行為)
 飛行機墜落、原発近辺での爆発(ガスコンテナー、近くでのタンカー爆発)、火災。
 テロ攻撃(飛行機での突っ込み、爆弾)

地震に関しては、操業前に、過去の地震を参考にし、その地域で予想される地震に耐えられるかどうかについてはチェックを受けている。しかし、福島の例で、過去にその地で起こったよりも強い地震がありうることが分かった。
このため、
Richter scale 6に耐えうるとして設計された原発は、それ以上の地震にも耐えられるかどうか、即ち、すべての安全機能が稼働するか、安全に停止できるか、電力の供給は十分か、放射性物質が放出されずに閉じ込められるかどうかをチェックする。
洪水や、他の天災についても同様。

電源に関しては、どんな事態でも、電源がカットされた場合に十分なバックアップ電源を持つこととしている。数日間電源がカットされても大丈夫か、最初のバックアップのバッテリーが動かない場合にどうするかなどにも答える必要がある。

飛行機墜落(災害、テロとも)については、原発の格納容器が厳しいダメージを受けるかどうかをチェックする。
そのため、材質、壁の厚さ、接近する飛行機の重量、スピードなどを検討する。

ドイツは最近の専門家による安全検査の結果、南部にあるビブリス原発など4基が、飛行機の墜落に構造的に耐えられないと判定されている。

爆発、火災についても同様。

このほか、テロ攻撃に対する予防措置が検討されるが、これは各国のセキュリティに関するもので、公表できないという理由で(ストレステストは全て公表される)、「専門家委員会」を別途設置して調査する。

テスト方法については欧州委員会とEuropean Nuclear Safety Regulators' Group (ENSREG) とで協議して決めた。

ストレステストは3段階で行われる。
Pre-assessment
  原発の操業責任者がストレステストの質問に答え、証明する資料や研究、計画を提出する。

National Report
   各国の規制当局が上記回答が正しいかどうかチェックする。

Peer reviews
   多国籍チームが②をレビューする。
   このチームは欧州委員会の
1人と27か国の規制当局から6人の合計7人から成る。現地訪問も行う。

ストレステストは2012年4月末までに完了する。

ストレステストの結果を受け、各国はどうするかを決定する。
その国の責任ではあるが、EUとしては、対応が技術的にか、経済的にかでできない場合、停止されると信じるとしている。
報告は公表されるため、停止しない場合にはその国は国民に理由を説明する必要がある。

欧州委員会はまた、EU域外の諸国(スイス、ロシア、ウクライナ、アルメニア)の原発事故の影響を受けるため、各国と原発の再評価の話し合いをを行っている。各国とも前向きで、ロシアは既に国際的な核の安全のフレームワーク作りの具体的提案を行っている。

欧州委員会は更に、IAEAや途上国に対し、安全レビューや国際的な枠組み作りの協力の用意があるとしている。

付記

アルメニアの原発は「EU全体にとって危険な存在」とされている。

旧ソ連の第一世代型VVER440/V-230タイプの耐震性を改良したV-270型で、Metsamor に2基あった。出力はそれぞれ40.8万Kwで、1号機は1977年から、2号機は1980年から操業を開始した。

1988年12月7日にアルメニアで地震が発生した。
地震による被害はなかったが、原発からスタッフが逃げてしまい、原子炉加熱の危機も生じていたとされる。

旧ソ連閣僚会議はアルメニア原発の停止を決め、1989年に2基とも停止した。

その後、アゼルバイジャンとアルメニアの戦争が起こり、自国に化石燃料をもたないアルメニアは化石燃料をまったく輸入できない状況となった。このため、6年半にわたり、極度の電力不足の状況となった。

アルメニアは1991年末に旧ソ連から独立し、原発の運転再開と新規建設への支援を西側に求めた。
米・仏・露社の技術支援を得て、1995年11月に第2号機の運転を再開した。

EUは2004年までに閉鎖することを求めたが、現在も運転を続けている。

豪州のレアアース開発会社のLynas Corp. を巡って、このところ豪州の新聞に「三菱」の記事が掲載されている。

1.三菱UFJファイナンシャルグループ

三菱UFJファイナンシャルグループ(MUFG)Lynas株の9.99%を取得した。

これはMUFGが6月30日に、保有していたMorgan Stanleyの転換型優先株式の全てを普通株式に転換し、これによりMorgan Stanleyの議決権の約22.4%を保有し、同社を持分法適用関連会社としたことに伴うもの。

両社はLehmanショック時の2008年9月29日に戦略的資本提携で合意し、MUFGがMorgan Stanleyの優先株式を引き受けるとともに、企業金融・投資銀行業務、リテール業務、資産運用業務等の幅広い分野で、グローバルなアライアンス戦略を展開してきた。

本年4月に優先株式の普通株式への転換で合意した。

Morgan StanleyはこれまでLynasの株式購入を行っていたが、豪州の会社法によれば、Morgan Stanleyの株式の20%以上を保有したMUFGMorgan Stanleyの支配株主となり、Lynas9.99%の株主とみなされることとなった。

Lynasについては 2010/10/5 レアアース、米・豪・カザフなど生産拡大 

これについて、現地の報道のなかには、レアアースを求めて日本最大の商社の三菱(商事)Lynasの大株主になったとしているものもある。
「三菱」を混同したもので、実際にはレアアースに関しては、既に双日が同社との間で契約を締結している。

Lynas と双日は2010年11月に、レアアースの日本向け供給、およびLynas のレアアース拡張プロジェクトに関して、戦略的提携を締結することに基本合意し、2011年3月に双日と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、Lynasへ総額250百万米ドルを出融資することを決定し、10 年に亘って日本の消費量の約3 割にあたる年間約8,500 トン(±500 トン)以上のレアアース製品を長期供給する契約を締結している。

2010/11/25 双日、レアアースの供給・拡張プロジェクトで豪州Lynasと戦略的提携の基本合意

2.マレーシアのレアアース分離プラント

Lynasは西オーストラリア州のMt.Weld 鉱床でレアアースを採掘する。

同社は当初、中国山東省にレアアース分離プラントの建設を計画したが、中国政府による締め付けが強くなったことから、中国を断念し、マレーシア東海岸のPahang 州 Kuantan のGebeng Industrial Area にプラントを建設することとした。

Mt.Weld レアアース鉱床からレアアース鉱物(モナザイト等)を採掘、西オーストラリア州南部のEsperance 港からマレーシアへ海上輸送、分離・精製し、更に最終消費者の要求にあったレアアース製品とした後、米国・欧州・日本などへ販売する計画である。

ここにきて、マレーシアの計画に問題が出てきた。三菱化学の過去の行動によるものである。

計画が発表されると、近辺の住民の間で健康への影響を懸念する声が高まった。マレーシアの抗議団が豪州のLynas本社で反対のデモを行った。

マレーシアでは1979年に当時の三菱化成が35%出資でAsian Rare Earth (ARE)を設立し、1982年にイットリウムなどレア・アースをスズの鉱石と一緒に出るモナザイト鉱などから抽出する事業を開始した。

能力は年産 4200 トンの軽希土類、550トンの重希土類、4400トンのリン酸三カルシウムで、希土類は全て日本に輸出され、日本で分離精製されが、工場はトリウムを含む残土の保管施設を持たず、工場の裏にあった池や地面に野積み状態にしていた。

このトリウムはウランと同じように放射性物質で、日本では 1968年の原子炉等規制法の改正により、その投棄や保管には厳格な法規制が課せられ、1971年には日本での操業はなくなった。同社はマレーシアでこれを放置していた。

工場の目の前には人口1万人が住むBukit Merah 村があった。住民たちの間に健康被害が現れ、住民はAREの操業停止を求めて抗議活動を展開した。

三菱化学は1994年1月、マレーシアからの撤退を決め、問題の工場も閉鎖されたが、廃棄物処理施設の設置工事の契約締結は2009年8月になってからである。

2009/11/14 三菱化学、マレーシアの撤退工場に廃棄物処理施設を設置

今回の抗議はこれが繰り返されるのを恐れた住民とグリーングループが行ったが、これに政治も絡んだ。

2011年末にも予定される総選挙を前に、首相は外国資本の投資を望みつつ、国民の怒りを起こすことも恐れた。

首相は本年初めに、環境面の影響をもとにする反対を受け、石炭火力発電所建設を取りやめた。
Lynasへの反対を受けて、政府は香港のCVM Minerals Perakで計画していたレアアース採掘のFSの覚書を取り消した。

マレーシア政府はLynasに対し、廃棄物処理の詳細計画を提出するよう命じ、それまで操業ライセンスを抑えている、

Lynasは現在建設中の工場のスタートが遅れる可能性があるとしている。

製薬会社225社で構成する医療用医薬品製造販売業公正取引協議会(医薬品公取協)は、製薬会社の医薬情報担当者(MR)による医師への接待にかかわる自主規制を、2012年4月から強化する。

医薬品公取協は、1984年に医療用医薬品の流通適正化推進の一環として、景品表示法に基づき公正取引委員会の認定を受けた公正競争規約の運用機関として設立された業界の自主規制のための団体。

医療用医薬品の供給・販売に際し、公正かつ自由な競争が行われるためのルールを定めた公正競争規約の周知徹底と公正競争規約に関する相談、指導等を目的としている。

接待にかかわる自主規制の見直しは2002年以来で、これまでも「華美過大な接待は好ましくない」としてきたが、過剰接待はなかなか止まなかった。

製薬会社と医師との「癒着」を厳しくチェックする傾向は、国際的な流れになっている。

医薬品公取協では以下のように述べている。

医療における医薬品の購入・選択は、品質と価格および的確な情報に基づく医療機関の適正な判断によって決められるべきであり、医療機関、医療担当者等に対する不当な金品・サービスなどの景品類提供は、この医薬品の適正な選択を歪め、過剰使用・不当使用を招くおそれがあります。

特に医薬品は生命に直接関連する商品であって、最終消費者は医薬品を選択する医師ではなく患者さんであること、その費用には公的財源が使用されていること等から、医薬品購入を誘引する手段として不当な景品類を提供する行為は、他の産業に比べて格段に大きな弊害をもたらします。

更には、薬剤価格の適正な決定を妨げ、薬価基準制度の適正な運営を阻害するおそれも生じます。

今回の改正後は以下の通りとなる。

・ゴルフ、カラオケ、観劇、スポーツ観戦、2次会 禁止
・製薬会社の自社製品にかかわる講演会後の立食パーティー
・講演会や研究会で講演やパネリスト、進行役などを慰労する飲食会
・講演会などの世話人会やアドバイザリー会議などでの飲食
・製薬会社の社内研修会での講師の慰労
1人あたり 2万円上限
・商談や打ち合わせを伴う飲食 1人あたり 5千円上限
・製品説明会などの弁当や茶菓 1人あたり 3千円上限

違反を繰り返したり、悪質な違反の場合には社名や内容の公表や、違約金や除名などの処分を検討する。

ーーー

日本製薬工業協会は6月15日、米Merck & Co., Inc.の子会社のMSDを(現行の)公正競争規約違反で「会員資格停止」措置を決定したと発表した。

昨年10月に「警告」措置を受けたにもかかわらず、同様の事案が発覚したことを重く見て、除名に次ぐ重い処分に踏み切った。
今後6カ月ごとに、MSDから体制改善に向けた活動報告を受け、当面は2年間にわたり指導を行っていく考え。

違反事項は以下の通り。

・インターネットによる血圧値、検査結果データ報告の対価として、商品券を提供
・若手糖尿病専門医を派遣した豪州の研修会で、謝金と旅費・宿泊費などを負担
・ワクチンに関するアドバイザリーパネルで役割のない参加医師に謝金を支払
・コレステロールに関するアドバイザリーパネルで役割のない参加医師に謝金を支払

これら4件の事案について、同協議会は「調査・研究委託、仕事の依頼の対価として、金銭を提供したかのような形を取っているが、実体を伴っていない」と指摘した。


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番外編

| コメント(2)

本日でこのブログは2000回となりました。

第1号は2006年2月15日でした。

翌年の2007年が、ベルギー系アメリカ人のベークランド博士がフェノール樹脂(商品名:ベークライト)を開発し、初めてプラスチックが誕生してから100周年に当たるという記事である。

    2006/2/15 
プラスチック100周年

第1号から今日まで、5年4か月ですが、おかげさまで平日は2800人前後の方が見てくれています。

今後も引き続き、書いていくつもりですので、よろしくお願いします。

ーーー

奇しくも本年は、第1号で書いたベークライトが日本で最初に試作されて100年にあたり、日本のプラスチック100周年になる。

発明者のベークランド博士の親友であった高峰譲吉博士が、特許権実施の承諾を受け、三共商店(今の第一三共)の品川工場で製造した。
(そもそも、三共商店は高峰博士のタカヂアスターゼを技術導入して1899年に設立されたもので、1913年に三共株式会社となったが、初代社長に高峰博士が就任している)

1932年にベークライト部門が三共株式会社から独立し、日本ベークライト株式会社が設立された。その後1955年に住友化工材工業(1938年㈱合成樹脂工業所として設立)と合併、住友ベークライト株式会社になった。

東京電力は6月14日、福島第1原発で放射性物質を高濃度に含む汚染水を浄化するシステムの一部の試運転を始めた。

6月6日から装置の動きを確認、10日にKurionの装置で水漏れが発生した。当初、水漏れや流量不足が見つかったが、その後の補修や点検で改善した。   

2011/6/16 福島原発、汚染水浄化装置

その後、トラブルが続出した。

10万トンを超える高濃度汚染水を浄化するのは世界でも経験がなく、東芝の浄化装置、KurionArebaの放射能除去システム、日立GEニュークリア・エナジーの淡水化装置を組み合わせる複雑なもので、配管の長さは4kmにもなる。

Kurionによれば、「米スリーマイル島原発事故では汚染水浄化の準備に18カ月かかった」のを、設計完了から5週間で完成させる強行軍となった。

このため、初期トラブルは当初から想定されたが、実際のトラブルの大部分は人為的なミスであった。しかも初歩的なミスが多い。

6/14   Kurion装置で動作を確認、セシウムの量を最大3300分の1に。
15   Areva装置に低濃度の汚染水を流し、性能をチェック
両装置の一貫テスト
16   Kurionで水漏れが発生
17   本格運転開始
セシウム吸着塔24基のうち最初の4基部分で箱形設備の表面線量が交換基準の毎時
4ミリシーベルトに。
18日午前054分、システムの運転をいったん停止。
   

装置の処理能力はもっと高いが、吸着剤交換の際に作業員の被ばく量を抑えるため4ミリシーベルトを基準にしている。
装置は本来、停止させずに汚染水を流す配管を切り替えながら吸着剤を交換することができる。東電は運転させながら1日
24本の交換を想定していた。しかし、今回は予想以上に線量の上昇が早く、念のため停止させた。
→汚染水の放射性物質の濃度が想定以上に高かったためであることが判明

21   試験運転再開
Aevaの機器に水を送るポンプの一部が自動停止
22   Kurionの装置が、海水混じりの高濃度汚染水だと50分の1程度にしかならない。
   

弁の開閉表示の誤りのため、吸着塔4本のうち、1本だけ迂回させるところを3本を迂回させていたことが判明
23日に再開

24   目標の放射性物質の濃度を10万分の1に下げる能力に達した。
    淡水化装置も同日から稼働、塩分濃度約250分の1に。
27   「循環注水冷却」を開始。
    ホースの継ぎ目から水が漏れたため、1時間半で中断
   

PVC製、直径約10センチで、処理水タンクから原子炉までは 約1.5kmあり、ホース約50本をつないでいる。

29   再開。夜に再度手動停止。
   

本来「自動」に設定する弁が「手動」になっており、運転中に弁が閉じたままの状態になった。このため、弁の上流側のタンクの水位が上昇。

30   Areba装置の放射性物質を除去した後の処理水の貯蔵タンクの水位の異常低下で停止。
   

タンクの水量を30%に設定するべきなのに、作業員が誤って3%に設定。

東京電力は7月2日、福島第1原発の循環注水冷却を安定させるための貯水タンク(1000立方メートル)を新設し、中断していた汚染浄化処理した水による原子炉への注水を再開した。

これまでは、ダムからの淡水(毎時3立方メートル)と汚染水浄化システムで処理した水(毎時13立方メートル)を、別々の系統で1~3号機へ注水していた。
しかし配管が複雑で、水位や圧力が変動しやすく、6月27日に汚染浄化した処理水を原子炉に注水し始めてから、水漏れなどで6回も運転が停止した。連続注水できたのは29日から7月1日までの42時間が最長だった。

複数の系統でも安定的に注水するため、圧力変動などを緩衝させる機能を持たせた貯水タンクを6月1日に新設し、今後は処理水と真水を新設するタンクに集め、1本の配管で原子炉に注水する。

再開後の注水量(毎時16立方メートル)はすべて処理水に切り替えており、汚染水をこれ以上増やさない完全な循環注水が実現したことになる。処理水が使用できない場合は、従来のようにダムからの淡水を貯水タンクを介して使用できる。 

とりあえず、循環注水が出来たが、大きな問題が残っている。

東電ではこの処理で発生する汚泥の1cm3あたり1億ベクレルという高濃度の放射性廃棄物が年末までに2000m3(ドラム缶1万本)発生するとみている。そこに含まれる放射性物質は20京ベクレルに達する。
この高濃度放射性廃棄物は、一時的に敷地内に保管するが、最終処分の方法はこれから考える必要がある。

付記

7月10日、Arevaの「薬剤注入装置」から「凝集沈殿装置」につながる部分から薬剤が漏れ、停止した。
12日には放射性汚染水と薬剤を流す配管の接合部分の腐食で漏れた。

13日にも漏れて停止したが、これは薬液を注入するラインのホースと配管を接続するPVC製の継ぎ手の部分完全にちぎれたため。
破損部周辺は、放射線量が非常に高く、作業員1人あたり1~2分程度しか作業を続けられない状況。
10人の作業員が2分間ずつ交代で作業して補修。14日午後6時半に再稼働した。

なお、東芝・IHI・米ショー社の3社が共同で製造した新たな汚染水処理装置「サリー」が7月14日に船積みされた。
放射性物質を吸着させる合成ゼオライトとチタンケイ酸塩を詰め込んだ直径1.4m、高さ3.6mの円筒形の容器を直列につなげ、汚染水を流して浄化する。

汚染水の濃度を最大100万分の1まで下げることが可能という。

 

ーーー

東京電力は6月30日、「メガフロート」への低濃度放射性汚染水移送を開始した。
6号機の仮設タンクに貯めてある低濃度放射性汚染水がタンク容量の限界に近づいたためで、メガフロートへの放射性汚染水の移送は今回が初となる。

メガフロートは静岡市が海づり公園で使っていたもので、長さ136m、幅46m、高さ3mの鋼製の浮体構造物。
中が空洞になっており、約1万トン入れられる。クレーンも装備されており、原子炉建屋を覆うカバーの鋼材の荷揚げなどにも活用する。

造船会社や鉄鋼会社などが共同で設立したメガフロート技術研究組合が1999年、羽田空港D滑走路への採用を目指して神奈川県横須賀市沖での実証実験のために建造した。

 


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原油、ナフサの価格情報は https://www.knak.jp/


 

三井物産は6月30日、子会社Mitsui E&P Texas LPを通じ、米国SM Energy Companyのテキサス州Eagle Ford シェール地区の権益の12.5%を取得し、開発に参加する契約を締結したと発表した。

取得対象は以下の権益の12.5%
(1)持分面積約160km2のイーグルフォード・シェール層
(2)上記(1)エリアに加え約30km2の合計持分面積190km2のピアサル・シェール層(イーグルフォード・シェールの下に位置)
なお、同鉱区のオペレーターはAnadarko Petroleum
である。

対価は約6.8億ドルでSM Energyの将来開発費を肩代わり負担する。

三井持分は、ピーク時生産量が原油換算で日量2万バレルで、生産期間は約30年間、開発総費用は約12億ドル。

付記

三井物産は2012年11月2日、追加開発を発表した。
同社持分の概要は以下の通り。

  当初計画 改正
ーク時生産量 原油換算 日量約2万バレル 原油換算 日量約2万4千~3万バレル
開発総費用 約12億米ドル 18億米ドル
生産期間 約30年間 約30年間

三井とSM Energyは今後同エリアを対象として新規権益を共同取得していくことでも合意した。

三井物産にとって、これはMarcellus Shaleに次ぐ米国のシェール開発の第2弾となる。

ーーー

米国ではシェールガス開発がブームとなっている。

Obama大統領も、天然ガス(シェールガス)の可能性は膨大だと述べた。

米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)は発表の都度、国内のシェールガスの供給量を増やしており、投資家も業界も明るい未来を繰り返している。

日本の各社も下記の通り、これに出資している。

しかし、626日付のNew York Timesが"Behind Veneer, Doubt on Future of Natural Gas"という記事で、EIA内部から提供された職員のe-mail を公表し、多くの職員がシェールガスの将来に疑念を抱いていることを明らかにし、問題となっている。

この記事を受けて連邦議会の議員が628日に、SECEIA、会計検査院などに対し、天然ガス業界が長期的な収益性や埋蔵量などを正確に投資家に伝えているかどうかを調査するよう要求した。
シェールガスの採掘、特に水圧破砕hydrofracking)技術について、環境面、採算面での懸念が増大している。

各州でも情報を要求する動きが強まった。

New York Timesがコピーを入手したe-mailでのEIAの職員の発言は以下の通り。

・シェール産業は失敗するだろう。
・恐らく多くの企業が破産するだろう。
・産出量に関する業界の予測は誇張されている。
・井戸がいつまで生産できるかや、土地ブームの時に払った高いリース料、シェールガス掘削の予測不可能性への懸念
・収益性の誇張(ベストな井戸の実績や、過大に楽観的なモデルの使用)
・成功した井戸の例がすべてに当て嵌まると誤解。

EIAは業界と結びつきがある外部のコンサルタントの調査に依存している。
EIAの上部が外部のコンサルタントに依存し過ぎ、不完全な、たびたび非現実的なデータを使っている


EIA
ではデータはシェールガスが国内の天然ガスの供給の重要なソースになったことを示しているとして、これらの批判を否定した。

しかし、非常に多くの職員(なかにはかなり上位の職員も)がシェールガスの経済性に疑いを示している。

ーーー

シェールガスの環境問題については、2011/3/31Time Magazineが"Could Shale Gas Power the World?"という記事を載せている。

水圧破砕(
fracking)では大量の水と薬剤を投入するが、これが地下水を汚染するとの懸念がある。
(一つの井戸で
19百万リットルの水と、その0.5%の薬剤を投入する)
しかし、
Marcellusでは地盤からみて、この可能性は少ないだろうとしている。(間に数千フィートの岩盤がある)

問題は、地表近くで、井戸のケーシングでのセメント工事のミスにより、上がってきたメタンが漏れて地下水を汚染する可能性がある。

また、
frackingでは大量の有害な排水が出てくる。テキサスなどではDeepwellに投入して処分するが、ペンシルバニアでは地形上これが出来ず、下水処理場に輸送して処理している。輸送前の貯水池からの漏えいや、輸送中の漏れ、処理場で汚染物質を処理できないケースなどがある。
(薬剤が何かは明らかにされていない。地底の放射能に汚染されている可能性もある)

排水の再利用などの考えもあるが、計画通りなら今の量の何十倍にもなるため、今後どうするのか、大問題であるとしている。

世界のドキュメンタリー「ガスランド ~アメリカ 水汚染の実態~」では飲み水の着色や異臭はもとより、家庭の蛇口から出る水が燃えるという異常な事態を示している。

NHK BS世界のドキュメンタリーで7月31日にアンコール放送される。
  前篇 午後1:00-1:50
  後篇 午後2:00-2:50

参考 2011/4/14 「岐路に立つタールサンド開発」

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北米のシェールガス開発では、以下の各社が開発に参加している。

三菱商事 ブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガス
 
Penn West Energy Trustから50%の権益

 
2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 
三井物産 ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアのシェールガス
 
Anadarko Petroleum から32.5%の権益

 
2010/2/18  三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画

②テキサス州Eagle Ford shale (今回)
 SM Energyから12.5%の権益

住友商事 ①テキサス州Barnett Shale field開発
 
Carrizo Oil & Gasから12.5%の権益

②ペンシルベニア州
Marcellus Shale field開発
 
Rex Energyから30%の権益

 
2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 
双日 テキサス州北東部Carthage onshore gas 鉱区Tightsand gas、シェールガス
 
20077月に権益取得

 2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う

伊藤忠 ワイオミング州Niobraraのシェールオイル
  
Fidelity Exploration & ProductionMDU Resources Group子会社)から25%の権益

 2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う 

付記 2011/11/28 KKRと伊藤忠など、米Samsonを72億ドルで買収へ

日揮 テキサス州Eagle Ford シェール
  
2011/6 TriTech I, LLCからChesapeake Energy運営の鉱区の10%の権益

 


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経済産業省原子力安全・保安院は6月30日、コスモ石油に対し、千葉製油所の高圧ガス保安法に基づく完成検査及び保安検査に係わる認定を取り消す行政処分を行ったと発表した。

東日本大震災で発生した千葉製油所(千葉県市原市)の火災をめぐり、緊急時の安全確保基準に違反していたと判断した。

311 1547分頃 LPGタンク付近で火災を確認、全装置停止
3
21日 10時10分   鎮火確認

処分理由は以下の通り。
①今回の事故で重症1名、軽傷5名の負傷者を出したほか、製油所外への部材飛散、製油所外での火災を引き起こした。
②千葉県知事から事故が発生したLPG出荷設備の使用停止命令を受けた
③同LPG出荷設備で、高圧ガス保安法で設置を義務付けられている緊急遮断弁3基をピンで「開」状態で固定していた。

また、調査過程で、千葉製油所での高圧ガス保安法の手続き不備、千葉製油所と四日市製油所での技術上の基準の遵守不履行が判明したため、厳重注意を行い、再発防止策の策定を指示した。
①千葉製油所でプロパンガス貯槽として許可を受けていた2基に、許可を受けずにブタンガスの貯蔵を行っていた。
②千葉と四日市で、「緊急遮断弁」を「開」状態で固定していた。

さらに、高圧ガス保安法で緊急遮断弁の設置を義務付けられている事業者に対し、注意喚起を行った。

完成検査及び保安検査に係わる認定取消により、コスモ石油千葉製油所は自ら法定検査(完成検査・保安検査)を行うことが出来ず、知事の検査を受ける必要がある。
また、法律に定められた要件を満足していると認められた設備については、最高5年の連続運転が可能となっているが、取消により、保安検査を年1回受けることが必要となる。(毎年、約1ヶ月の操業停止、定期修理の実施が必要となる)

同工場は今後2年間は認定を受けることが出来ない。

 

(参考)高圧ガス保安法に基づく完成検査及び保安検査に係る認定について

  完成検査 保安検査
原則 コンビナート等の高圧ガス製造事業者は、その製造設備について、補修等の変更工事を行う際には、都道府県知事の許可を得るとともに、完了時に都道府県知事が行う完成検査を受けなければならない。
(高圧ガス保安法第20条第3項本文)
高圧ガス製造事業者は、その製造設備について、都道府県知事が行う保安検査を年1回受けなければならない。
(同法第35条第1項本文)
認定 自ら変更工事に係る完成検査を行うことができる者として、経済産業大臣が認定を行った者(認定完成検査実施者)については、自ら完成検査を行い、その記録を都道府県知事に届け出れば、都道府県知事による完成検査を受けなくても良い。
(同法第20条第3項第2号)
自ら保安検査を行うことができる者として、経済産業大臣が認定を行った者(認定保安検査実施者)については、自ら保安検査を行い、その記録を都道府県知事に届け出れば、都道府県知事による保安検査を受けなくても良い。
(同法第35条第1項第2号)
1997年4月、要件を満足していると認められた設備については、
最高5年の連続運転が可能となった。
取消 「高圧ガスによる災害が発生したとき」、「認定基準に該当していないと認められるとき」等は、経済産業大臣は、認定を取り消すことができる。(同法第39条の12第1項)
認定取消し後2年間は、再び認定を受けることができない。(同法第39条の6第1項第5号)

ーーー

最近では2008年2月に、三菱化学の鹿島事業所の事故で完成検査及び保安検査に係る認定を取り消す行政処分が行われた。

 2008/2/15 三菱化学鹿島事業所の事故で行政処分

2003年6月以降、認定保安検査実施者等の認定を受けた事業所において、法令に定められた検査が適正に行われていなかった事例が続けて報告された。経済産業省は認定保安検査実施者等の認定を受けていた全ての事業所に対し、保安検査の実施状況等を報告するよう指示、同年9月8日までに提出された各事業者からの報告について調査を行い、合計で6社、11事業所が認定を取り消された。

東ソー/四日市事業所
新日本石油精製/麻里布製油所・大阪製油所
三井化学/大阪工場
日本ゼオン/徳山工場・水島工場
協和油化/四日市工場・千葉工場
旭化成ケミカルズ/水島製造所B地区・同C地区・川崎製造所


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Solvay623日、中国にPVDF(ポリフッ化ビニリデン)Solef(R)、フッ素ゴムTecnoflon(R)、およびそれらの基礎原料のフッ化ビニリデンモノマー VF2 の工場を建設すると発表した。
アジアでのこれら製品の需要の伸びに対応する。

Solef PVDF はリチウムイオン電池、水の浄化用膜、石油・ガス採取などに使用される。

フッ素ゴムTecnoflonは自動車, 航空・宇宙, 石油掘削等の事業で、高度な耐熱性や耐薬品性が求められるシーリング部材の原料として広く使用されている。

工場は江蘇省常熟市の江蘇省常熟新材料産業園(Jiangsu Changshu Advanced Materials Industrial Park)のSolvayの工場内に建設される。

同産業園には、新規材料産業やファインケミストリー、バイ オケミストリー、医薬ケミストリー産業を中心に、Arkema DuPontArkema、ダイキン、台湾の華新麗華、上海の三愛富など国内及び国外の企業が投資している。

Arkema 20109月に、同工場で2011年初めにポリフッ化ビニリデン(PVDF)の生産を開始すると発表している
   
2010/10/20 Arkema、中国でPVDF生産 

Solvay2008年から同地で四フッ化エチレンPTFEの微粉を生産している。
同社では次期計画として
PVDFとそのモノマーを挙げていた。

同社は201010月、同地に高機能コンパウンド工場の建設を発表した。
2012年末のスタートを目標に、Polyphthalamide (PPA)Polyarylamide (PARA)、および変性PARAのコンパウンドを生産する。
これらはバリア性と耐燃料性で優れており、燃料システムに適したプラスチックである。

ーーー

Solvayのフッ素化学品事業は子会社のSolvay Solexisで扱っている。

Solvay20027月にMontedisonからフッ素化学品製造子会社のAusimont を買収した。

この買収に際し、米国FTCは、米国には両社とDuPont3社しかないとして、本件買収は競争を実質的に制限するとみなし、米国の事業を180日以内に売却すること、PDVFに関する知財権をライスンスすることを条件とした。

このため、Solvayは米国子会社Solvay Fluoropolymers3M100%子会社のDyneon LLCに譲渡した。
Solvay FluoropolymersDyneon LLCPVDFモノマーの製造のための50/50JV Alventia LLCを持っていたが、この持分もDyneonに譲渡した。

SolvayはこのAusimontを自社のフッ素化学事業のSolvay Fluoropolymersと統合し、200711日にSolvay Solexisとした。
(社名の由来は
SOLvayEXcellence In Scienceを組み合わせたもの)

同社の扱い製品は以下の通り。

パーフルオロポリエーテル(PFPE
  フッ素オイル、フッ素化液、フッ素系表面処理剤および中間体、誘導品
フッ素ゴム:Tecnoflon
四フッ化エチレン樹脂(PTFE
パーフルオロアルコキシ樹脂(PFAMFA)、アモルファス樹脂(TFE/TTD)、
エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体樹脂(
ECTFE
ポリビニリデンフルオライド樹脂(PVDF
フッ素系モノマー


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