2019年12月アーカイブ

アステラス製薬は12月26日、カリフォルニア州のXyphos Biosciences, Inc.の発行済み全株式を取得した。

2017年設立で、がん免疫治療技術を活用した医薬品の研究開発を行っており、従業員は7名。

買収手続完了時に1億2,000万ドル を支払った。
これと、開発の進捗に応じたマイルストン支払いを合わせ、最大で総額6億6,500万ドルが支払われる 。

Xyphos社が有するCAR(Chimeric Antigen Receptor:キメラ抗原受容体)細胞療法に関する技術プラットフォームであるACCELTM (Advanced Cellular Control through Engineered Ligands)とともに、がん免疫の分野をリードする優秀な人材を獲得する 。


CAR-T細胞治療は、患者由来の免疫細胞(T細胞)の遺伝子組み換えを行い、がん細胞を捉えて攻撃しやすくした上で患者の体内に戻す免疫細胞医療で、治療法が確立していない重篤・致死的な疾患に対する治療法として期待されている。

米国で2017年8月30日、再発・難治性(r/r)B 細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児および若年成人患者を対象とするCAR-T療法の CTL019(商品名 Kymriah)が米FDAの承認を得た。


厚生労働省は2019年2月20日、薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会を開催し、ノバルティスファーマの「キムリア点滴静注」(チサゲンレクルユーセル)を
国内初のCAR-T細胞医療として正式承認することを了承した。2019年3月26日に承認 を取得した。

CAR-T細胞療法では日本では、第一三共が米国Gilead Scienceの大細胞型B細胞リンパ腫を対象に申請準備中であるほか、大塚製薬やセルジーンが開発を行っている。


2019/2/22 厚労省部会、国内初の遺伝子治療2品目の承認を了承


Xyphos社独自のACCELTM技術は、タンパク工学により創製した受容体とリガンドタンパクの特異的な結合を利用した合成生物学的手法に基づいてい る。
受容体を発現させたナチュラルキラー(NK)細胞やT細胞といった免疫細胞(convertibleCAR®細胞)と、攻撃標的であるがん抗原を認識する抗体リガンドタンパクと融合させた抗体-リガンド融合タンパク(MicAbody)を患者に投与し、治療する技術 。

リガンド(ligand)とは、特定の受容体(receptor)に特異的に結合する物質

攻撃対象となるがん細胞の特徴に応じて、MicAbodyを取り替えたり、複数使用することで、convertibleCAR®細胞に異なるがん抗原や複数のがん抗原を認識させ、様々ながん細胞を攻撃することができ る。

また、MicAbodyの投与量を調節することで、免疫細胞による過剰な免疫反応を制御し、従来のCAR-T療法で見られるサイトカイン放出症候群(cytokine release syndrome)の発生を抑制できることも期待される。

サイトカイン放出症候群CAR-T療法下で見られる有害事象の一つで、過剰な免疫反応により多量のサイトカイン (細胞から分泌される低分子のタンパク質)が放出され、血中のサイトカイン濃度が高度に上昇することにより起こ る。
インフルエンザ様症状(発熱、悪心・悪寒、筋肉痛
等)重度の低血圧、頻脈、呼吸困難など症状が急激に進展すると死亡に至ることがあ る。

さらに、MicAbodyの抗体部分を別のタンパクに替えることにより、convertibleCAR®細胞の増殖や生存制御も可能にな る。

Xyphos社のconvertibleCAR®-T細胞のリードプログラムは現在、前臨床開発段階にあり、2021年に初めての臨床試験が行われる予定。

アステラス製薬では、自社子会社Universal Cells社が有するユニバーサルドナー細胞技術と組み合わせ、白血球型抗原(HLA)不適合による拒絶を抑えた多能性幹細胞からconvertibleCAR®細胞を作製することで、革新的CAR-細胞医療製品が創製できると期待してい る。

アステラス製薬は 米国のバイオベンチャーであるUniversal Cells Inc.を買収したと発表した。

Universal Cellsは、白血球型抗原(HLA)不適合による拒絶という細胞医療の課題を解決し、全ての患者の治療に用いることが可能な細胞医療製品を創製できる独自技術であるユニバーサルドナー細胞技術を有している。


独自に開発した遺伝子の編集技術を用いてHLA(自己と非自己を識別することができる細胞の表面抗原)の発現を調整する。
rAAV(recombinant adeno-associated virus)を用いてヒト胚性の幹細胞(ES細胞)の遺伝子編集を行なった結果として、免疫拒絶反応を免れる細胞を作製できた。


韓国の月城原発1号機のが永久停止がようやく正式に決定した。原子力安全委員会は12月24日、韓国水力原子力が2019年2月28日に申請した月城原発1号機の永久停止運営変更案を賛成5、反対2で承認した。

月城原発1号機は古里原発1号機に続き、国内で2番目の永久停止原発となる。

ーーー

月城原発1号機(67.9万kW)CANDU方式で1983年4月22日に稼働したが、2012年に第1次運営許可期間が終了した。
韓国水力原子力は7,000億ウォン
(約660億円を投入して設備を交換するなど安全性を強化した後、原子力安全委員会の承認を受け2022年までの延長稼働に入った。

これに対し、近隣の住民ら2100人余りが運転延長は無効だとして安全委を相手に行政訴訟を起こした。

一審のソウル行政裁判所は2017年2月7日、原告側の主張を認め延長を取り消す判決を言い渡した。延長審査の過程で原子力安全に関する法令が求める書類が不足していたことや、適切な決裁が行われなかったことなどを指摘、原子力安全委員のうち、委員の資格がないにもかかわらず審査に参加していた人物がいたことも問題視した。

韓国水力原子力は控訴した。

しかし、再稼働の方針は政権と共に変わった。

文在寅大統領は選挙運動中に「新規の原発建設を全面中断し、建設計画を白紙化する」と公言し、老朽のものを閉鎖、建設中のものは見直し、今後40年で原発に頼らないエネルギー政策に切り替えると述べた。

大統領選挙前の2017年4月14日、脱原発市民団体6団体と反原発についての政策協定を結んだが、月城1号については、「判決を尊重し、寿命延長裁判の控訴を取り下げ、1号機を即座に閉鎖する」とした。

大統領は2017年6月に「月城1号機を可及的早く閉鎖する」と述べた。

2017/6/1 韓国、建設予定の原発の設計を中断、新大統領の脱原発方針の一環

続いて韓国水力原子力の理事会は早期閉鎖を決定した。安全性ではなく経済性に問題があるという理由 であった

しかし、これが問題となった。7,000億ウオンを投入したのに、稼働率を50%台に下げて「経済性がない」と結論付けた。取締役会開催を前日に通知し、経済性を分析した具体的な計算資料も提示しなかった。「かっぱらい理事会」という批判が出 た。

その後、韓国原子力安全技術院は月城原発1号機の検査を進め、安全性に問題がないとの審査結果を原子力安全委に提出した。

韓国水力原子力は閉鎖を押し通し、2019年2月には安全委員会に永久停止の申請(運営変更許可申請)を提出した。

国会でも問題と判断し、「韓国水力原子力月城1号機早期閉鎖の決定の妥当性および理事らの背任行為」に関する監査院の監査要求案を本会議で議決した。監査院は間もなく監査を開始する。

しかし、原子力安全委員会は今回、評決を行い、常任委員2人が永久停止に反対したが、常任委員2人と非常任委員3人が賛成を表明した。
賛成した委員は「すでに3回目の審議なのに到底折り合いがつかない問題で本当に嫌だが、表決をするのがそれなりに賢明だ。月城1号機の寿命が現時点で3年も残っていないため、今回停止して消耗的な論争を減らすべき」と 述べた。

委員長は「これまで問題になっている韓国水力原子力の背任などは、安全性の審査段階での規制システムとは異なる部分 で、原発の再稼働の可否や追加の投入費用7000億ウォンなどは、われわれが責任を負う領域ではない」と述べた。



科学技術界の重鎮13人は12月19日、文大統領に対し、脱原発エネルギー政策の全面撤回を促すとともに、次世代原発モデルAPR-1400を引き続き輸出するために 、現在保留している新ハンウル(蔚珍)原発3、4号機の建設を再開するよう提言した。

 

 

運転開始 原子炉形式 容量
 kW
大統領の政策協定
ハンウル
(
蔚珍)

1

1988/9/10 加圧軽水炉 (PWR) 95万  
2 1989/9/30 加圧軽水炉 (PWR) 95万  
3 1998/8/11 加圧軽水炉 (PWR) 100万  
4 1999/12/31 加圧軽水炉 (PWR) 100万  
5 2004/7/29 加圧軽水炉 (PWR) 100万
6 2005/4/22 加圧軽水炉 (PWR) 100万  
新ハンウル 1 (2018/4) KSNP (APR-1400) 140万

建設を暫定的に中止し、社会的合意を通じて運転の是非を決定

2 (2019/2) KSNP (APR-1400) 140万
3   KSNP (APR-1400) 140万 許可を取り消す。
4   KSNP (APR-1400) 140万
ハンピッ

(霊光)

1

1986/8/25 加圧軽水炉(PWR) 95万  
2 1987/6/10 加圧軽水炉(PWR) 95万  
3 1995/12 加圧軽水炉(SYSTEM80) 100万  
4 1996/3 加圧軽水炉(SYSTEM80) 100万  
5 2002/5/21 KSNP(OPR-1000) 100万  
6 2002/12/24 KSNP(OPR-1000) 100万  
月城 1 1983/4/22 CANDU 67.9万 運転延長取り消し判決の控訴を取り下げ、今回閉鎖決定
2 1997/7/1 CANDU 70万  
3 1998/7/1 CANDU 70万  
4 1999/10/1 CANDU 70万  
新月城 1 2012/7/31 KSNP(OPR-1000) 100万  
2 2015/7 KSNP(OPR-1000) 100万  
3   KSNP(OPR-1000) 100万 (未認可)
4   KSNP(OPR-1000) 100万
古里 1 1978/4 加圧水型(PWR) 58.7万 (2017年6月停止が決定している。)
2 1983/7 加圧水型(PWR) 65万  
3 1985/9 加圧水型(PWR) 95  
4 1986/4 加圧水型(PWR) 95万  
新古里 1 2011/2 加圧水型(PWR) 100万  
2 2012/7 加圧水型(PWR) 100万  
3 2017/1 加圧水型(PWR) 140万  
4 間もなく 加圧水型(PWR) 140万

建設を暫定的に中止し、社会的合意を通じて運転の是非を決定

5   加圧水型(PWR) 140万 許可を取り消す。
6   加圧水型(PWR) 140万
三陟 4基       白紙に戻す。
盈徳 4基      


イタリア議会代議院(下院)は12月23日、2020年の予算案を賛成334、反対232で可決した。

このなかで、フランスに追随してデジタル課税の2020年1月1日導入を決めた。


世界での売上高が7億5000万ユーロ以上、イタリア国内で550万ユーロ以上の売り上げがある企業を対象に、デジタル収入に3%の税金を課す。

ネット広告や音楽のデジタル配信、クラウドコンピューティングなどを手がける企業が対象となる。

政府はデジタル課税で年間7億ユーロ程度の税収を見込んでいる。

グーグルやフェイスブックなど米IT大手は物理的な施設を持たずに、データのやりとりなどで稼ぐ。現在、オフィスや工場などの「恒久的施設」(Permanent Establishment ) がないと外国法人には法人税を原則課すことができない 。

このため、欧州や日本ではこれら各社の税負担が極端に低い。

欧州委員会は昨年3月21日、デジタル分野における課税に関する指令案を発表した。

その後、EUでは暫定的な税の適用について、議論を進めてきたが、税制の変更には全会一致の承認が必要となる。

EUのデジタル課税案には、低税率で米IT大手などを誘致してきたアイルランドなどが導入に猛反発し、また米国からの「報復」を警戒するドイツなども、国際的な課税ルール見直しの議論を見極めるべきだと早期導入に慎重な姿勢を崩さず、調整が難航した。

2019/3/12  EU、デジタル課税合意見送り、仏英など独自課税へ

フランス上院は7月11日、Digital Services Tax法案を可決し、Macron 大統領は7月24日にこれに署名、これが法律となった。

課税事業 (i) ユーザーが他のユーザーとコンタクトしたり、商品やサービスを購入するデジタルインターフェースの供与
(ii) フランスのユーザーに広告する業者にデジタルインターフェースでサービスを供与
課税対象企業 課税事業の全世界売上が750百万ユーロ以上で、
フランスのユーザーからのそれが25百万ユーロ以上
税率 対象売上高の3%
課税開始 2019/1/1に遡及
米通商代表部(USTR)は12月2日、フランスが導入したデジタルサービス税が米国のIT企業を不当に差別していると断定し、24億ドル分に相当するフランスの63品目に最大100%の制裁関税を検討する。

2019/12/5 米、仏デジタル税に制裁関税検討 

米国はイタリアに対しても報復措置をちらつかせている。

経済協力開発機構(OECD)もデジタル課税についての国際的なルール作りを進めており、2020年1月までの大枠合意を目指している が、ムニューシン米財務長官は12月上旬、OECDのグリア事務総長に「米国は独自のデジタル課税に強く反対する。米企業活動に差別的な影響を及ぼす」との書簡を送付した。米国の反対で協議は難航する可能性が高い。

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この動きに対し、アマゾンやグーグルは日本で法人税を支払うように変更した。

アマゾンは日本法人が2017年12月期と2018年12月期に、それぞれ約150億円の法人税を納付したとされる。

従来は、米国本社が日本の業者から購入、日本の需要家に販売する形をとっていた。売買差益は日本で非課税となる。

製品の倉庫への受け入れ、需要家への配送は日本子会社が受託し、受託料だけを収入として、少額の税金を納入していた。

現在は、日本法人が購入、販売する形に変更、売買差益は課税対象となった。


グーグルも、以前は日本の事業の大半はシンガポール法人が契約し、日本以外で売り上げを計上していた。
2019年4月からは、主力の広告事業で日本法人が日本国内の契約を結ぶことにした。

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今回、イタリアで2020年の予算案が議会で可決されたのは、大きな進展である。下院では予算案と政府の信任案との一体案として提出され、可決された。

昨年6月に発足したイタリアの「五つ星運動」と「同盟」の連立政権は、与党の「同盟」が内閣不信任案を提出し、崩壊の危機に瀕した。

2019/8/13 イタリア連立政権、崩壊の危機 

中道左派「民主党(PD)」とポピュリスト(大衆迎合主義者)政党「五つ星運動」は8月28日、新たな連立政権を樹立することで合意した。

コンテ首相は9月4日、「五つ星運動」と「民主党」の2党連立による組閣名簿をマッタレッラ大統領に提出、9月5日に新閣僚の就任宣誓式を行った。

両党は政策合意で、EUとの連携を打ち出した。連立政権は、次期総選挙が開かれる2023年まで続くこととなる。

今回の予算案の可決は両党の連立の結果である。上院では既に12月16日に承認されており、法として成立した。

主なポイント:

財政赤字目標 GDPの2.2% 

財政赤字問題については 2019/5/10 イタリアの2019年度見通し、債務削減の対EU公約未達へ

EUの財政規律の基本は、財政赤字の対GDP比 3%未満、公的債務残高の対GDP比率 60%未満である。 (公的債務残高は多くの国が基準を超えている。)

イタリアの公的債務残高は2018年の134.8%から、2019年には135.7%にアップする見込みで、2019年3QのイタリアのGDPは+0.1%に過ぎない。

付加価値税(VAT) 引き上げ凍結。 230億ユーロの歳入減、2021年に大幅引き上げが必要となる。

欧州委員会は付加価値税を2020年に予定通りひきあげ、財政規律を維持するよう促すが政権は慎重で、「別の税収確保の方法を考えたい」としている。

2018年予算安定化法案で2019年1月からの増税が定められていたが、2019年予算法において増税時期は先送りされ、2020年から実施すると定めている。

当初の税率の変更案  赤字は凍結

  現状 2019/1/1 2020/1/1 2021/1/1
標準税率 22% 24.2% 24.9% 25%
軽減税率 10% 11.5% 13%  

プラスチック税

2020年予算案には、プラスチック製品(ボトル、ポリ袋、トレイ、洗剤容器等々)に1kg当たり1ユーロの税を課す案が含まれた。

最終的に1kg当たり45セントに修正された。

 

中国の国務院関税税則委員会は12月23日、来年1月1日から食品やハイテク製品の部品など859品目の輸入品 について、WTO加盟国に対する最恵国税率(MFN税率)より低い輸入暫定税率を適用すると発表した。

そのほか、WTO加盟議定書の情報技術協定に基づき、2020年7月1日から情報技術製品176品目について、第5段階の引き下げを実施する。

中国の経済開放をアピールするとともに、内需を刺激する。

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昨年も同様の措置を行った。

中国財政部は2018年12月24日、2019年の輸出入の関税調整計画を発表した。

2019年1月1日より、自動車生産ライン向け産業ロボットなど706品目で現行の最恵国税率よりも低い暫定税率が適用される。
2019年7月からは電子・IT製品に対する通算4回目の減税も実施する。医療診断装置やスピーカー、プリンターなど幅広く、298品目が対象となる。

2018/12/26 中国、来年1月から一部品目で関税引き下げ

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今回の859品目のうち、ぜんそく治療用のアルカロイド類医薬品、新型糖尿病治療薬を生産する原料などについて、投薬コストを引き下げ、新薬の生産を促進するために、ゼロ関税を実施する。

また、国内で比較的供給が不足している財の消費を増やすため、食品について新たに暫定税率を設けた。

アフリカ豚コレラの流行により供給不足が指摘されている冷凍豚肉の関税率は12%から8%に引き下げられる。
冷凍アボガド、非冷凍のオレンジジュースなどの商品に対する輸入暫定税率を新たに引き下げる。

さらに、先進技術・設備・部品の輸入を拡大し、ハイテク技術産業の発展をサポートするためとして、自動車のオートマチックトランスミッションに用いるトルクコンバーターやアルミニウム製バルブコア、集積回路(IC)ストレージやフォトレジスト用分散液などの半導体関連製品についても、新たに関税率が引き下げられる。

現地の報道では、ハイテク製品については、一部の国がコアとなる部品・技術・原材料の供給を断つことで中国企業に圧迫を加えているとし、同分野の輸入を拡大することでボトルネックを解消する必要があること、また、一部の国が中国のハイテク製品に対し関税を引き上げているため関連企業が大きな圧力に直面しており、部品や原材料の関税率引き下げによって、こうした企業のランニングコストを削減できるとしている。

一方で、中国が輸入規制を強化している固体廃棄物のうち、タングステンとニオブの2種のくずに対しては輸入暫定税率が取り消され、より高いMFN税率が再び適用される。

1月1日からの859品目の関税は: http://gss.mof.gov.cn/gzdt/zhengcefabu/201912/P020191220564315355326.pdf


2020年7月1日からは、ICや医療用診断装置など情報技術製品176品目に対する最恵国税率について5回目の引き下げを実施すると同時に、7つの情報技術製品の輸入暫定税率を廃止する。

7月1日からの情報技術製品の関税は:http://gss.mof.gov.cn/gzdt/zhengcefabu/201912/P020191220564315742803.pdf






ロシアとウクライナは12月19日、2020年1月以降もウクライナのパイプラインを経由してロシア産の天然ガスを欧州に供給することで基本合意した。

現在の輸送契約は2019年末に失効するが、新しい契約を結ぶ交渉が難航していた。

ロシアとウクライナは天然ガスを巡り、何度も争っており、ウクライナを経由するパイプラインでロシアから天然ガスを受けている欧州も巻き込まれてきた。

2009/1/2 ロシア、ウクライナ向け天然ガス供給停止
2013/2/19 ロシアとウクライナ、天然ガスで再び抗争
2014/4/7 ウクライナ問題の背景
2014/4/1 米国からの欧州向けLNG輸出
2014/4/4 ロシアGazprom、ウクライナ向けガス価格を大幅に引き上げ
2014/5/3   ウクライナ問題でのロシア制裁の影響
2014/6/14 ウクライナとロシアの天然ガス供給での対立続く
2014/7/11 天然ガスを巡るEUとロシアの攻防
2014/11/4 ロシアとウクライナ、天然ガス交渉で合意

ロシアの国営ガス会社ガスプロムはドイツに向かう「ノルドストリーム2」とトルコに至る「トルコストリーム」の2本の大型ガスパイプラインを2020年に稼働させる予定で ある。

Nord Stream -2 は全長約1200キロメートルで、バルト海を通ってロシアと独北部を結ぶ。輸送能力は年550億立方メートルで、ロシアの欧州へのガス輸出量の約4分の1に当たる。年内に完工するとの観測が出ている。

ウクライナを迂回したロシア産ガスの輸出ルートでは、黒海からトルコに輸出し、さらにブルガリアやハンガリーなどに輸出するTurkish Stream も建設されている。 2020年に運用開始の予定。

2019/11/9 Nord Stream -2、年内完工へ

ロシア側は「ノルドストリーム2」と「トルコストリーム」の開通で、ウクライナ東部で争っており、過去にガスパイプラインを巡って何度もトラブルを起こしていたウクライナ経由の輸送量を減らしたい思惑がある。

一方、経済の悪化に苦しむウクライナは多くの輸送量を確保した長期契約で、多額の通過料を得ることを目指した。 更に、過去の契約が不当だったとしてガスプロムを相手取り、複数の訴訟や罰金の請求を試みていた。

ーーー

今回の合意は、契約期間は5年で、ウクライナのパイプラインを経由する欧州への供給量を20年が650億立方メートル、2021年から400億立方メートルと段階的に減らす。

さらにロシアは国際裁判所の決定に従い、ウクライナに約30億ドルの賠償金を支払う。ロシア側が30億ドルの支払いに同意したことで 、他の訴訟問題などはひとまず取り下げた模様。

これにより、来年以降のロシアの欧州向けガス輸出は下記の通りとなる模様。

現状 今後
ノルドストリーム 1

590億m3

 →

ノルドストリーム 2 ーーー 550億m3
ベラルーシ経由

420億m3

 →

ウクライナ経由 800億m3 650→400億m3
トルコストリーム ーーー 315億m3
ブルーストリーム 130億m3

 →

なお、米国では12月20日、トランプ大統領の署名で「国防権限法」が成立した。

米国は、欧州のロシアへのエネルギー依存が深まることで「欧州の安全保障上の脅威」になると懸念しており、国防権限法で「ノルト・ストリーム2」への制裁を決めた。今後、明らかになるが、敷設事業に関係する企業が制裁対象になる見込み。

米国の決定を受け、敷設事業に参加するスイス拠点のAllseasは12月21日、作業の停止を発表した。

パイプラインの総延長約1200kmのうち、残りは約130kmとなっている。Allseas社の離脱で、事業を主導するガスプロムは関係企業に代行させる検討を始めた。

米国の制裁で、完成が来年後半にずれ込む可能性も取りざたされている。ラブロフ露外相は「対抗措置」も警告、ドイツのショルツ副首相兼財務相は「ドイツと欧州の主権への深刻な攻撃だ」と批判した。

2018年6月7日にBayerによるMonsanto買収が完了、MonsantoはBayerの100%子会社になった。買収額は総額625億ドル。

2018/3/23 EU、バイエルのモンサント買収を承認

原告   陪審員 裁判官判断
1 校庭の管理人   カリフォルニア 2018/8/10 Superior Court 2018/10/23
損害賠償 39百万ドル 39百万ドル
懲罰的損害賠償 250百万ドル 39百万ドル
2 Edwin Hardeman   カリフォルニア 2019/3/27 地裁 2019/7/16
損害賠償 527万ドル 527万ドル
懲罰的損害賠償 75百万ドル 20百万ドル
被害に対して15倍もというのは違憲
3 Pilliod 夫妻   カリフォルニア 2019/5/13 Superior Court 2019/7/25
損害賠償 55百万ドル 17 百万ドル
懲罰的賠償 20億ドル 69百万ドル 
陪審の懲罰的賠償は過大で憲法違反

現在、上の2番目の裁判の控訴審がサンフランシスコで行われている。

元の裁判では、裁判官は懲罰的賠償は高すぎるとして大幅に減額したが、「除草剤Roundupのラベルには発癌の危険が示されておらず欠陥である」との陪審員の判断については否定せず、有罪にした。

控訴裁でBayerは、Roundupが癌の原因ではないとし、無罪を主張した。

米EPAと司法省は12月20日、friend of the court brief (=amicus curiae:個別事件の法律問題で第三者が裁判所に提出する情報または意見)を提出した。

このなかでEPAは、EPAはRoundupのラベルを調べ、承認したこと、Roundupには発癌性はなく、このため、発癌性の危険を表示する必要性はないとした。判決は覆すべきであるとしている。

EPAは発癌性を認めず、製品ラベルには当然、発癌性の危険は表示されていない。しかし、カリフォルニア州は発癌性製品のリストに含めており、発癌性の危険が表示されていないのは違法となる。
原告側弁護士は、連邦法ではなく、州法を基に訴訟を起こし、一審の裁判官もこれを認めたもの。

州法に基づき、連邦法でのラベルを否定した形となっている。

EPAと司法省は、ラベルは法律で認めたもので、それと異なるやり方での使用は法律違反であるとし、州は農薬の販売や使用を制限することは出来るが、国が承認したラベルと異なるもの、追加したものを求めることは出来ないとしている。

ーーー

背景は以下の通り。

20153WHOの下部組織である国際がん研究機関(IARC)がRoundupの有効成分であるglyphosate グループ2Aヒトに対しておそらく発がん性がある)に分類した。グループ2Aは、「ヒトへの発がん性については限られた証拠しかないが、実験動物の発がんについては十分な証拠がある場合」である。

しかし、この判断は米国EPAやEU、豪州、ニュージーランド、ドイツ、日本、カナダなど各国の関係省庁の判断と異なる。

EPAは2017年12月、glyphosateは"not likely to be carcinogenic to humans"との判断を再確認した。

しかしながら、カリフォルニア州では上記IARCの判断に基づきglyphosateをカリフォルニアで発癌性があると知られる」"Prop 65" chemicals のリストに含めた。そして、 glyphosateを含む製品には警告ラベルを記載することを求めた。

プロポジション65(Prop 65)は、正式名称を「1986年安全飲料水および有害物質施行法」といい、1986年11月の環境投票活動として有権者によって制定された。
カリフォルニア州の市民および飲料水資源を、癌、先天異常または他の生殖害を引き起こすことが知られている化学物質から保護することを目的としている。

この結果、裁判では発癌性の警告がラベルになかったとして有罪判決につながった。

しかし、EPAは本判決後の本年8月、glyphosateを含む製品を登録している全社に手紙を送り、glyphosateはヒトへの発癌性はないとの判断に基づき、glyphosate製品ラベルにProp 65 の発癌性警告を載せることは「誤りで、ミスリーディングである」とした。

・法律では、農薬の "misbranding"は禁止されており、農薬のラベルはEPAの承認が必要である。
・EPAとしては、「誤りで、ミスリーディングである」発癌性警告を含んだglyphosate製品のラベルは承認しない。そのような警告はラベルから外す必要がある。
・連邦裁判所は既にカリフォルニア州がProp 65 labeling requirementを求めることを禁止している。(Nat'l Ass'n of Wheat Growers v. Zeise)

昭和電工は12月18日、日立化成を株式公開買い付け(TOB)により買収すると発表した。

12月初めに、日立製作所がグループの中核子会社である化学大手、日立化成の売却を巡り、昭和電工に買収の優先交渉権を与えることを決めたと報じられていた。

2019/12/2 日立製作所、子会社日立化成を昭和電工に売却へ 

発表では、TOB価格は1株4,630円、買付代金は総額9640億円となる。

昭和電工は、今回の買収によって、5G、半導体、自動車電動化などに注目した7事業領域での成長を目指す、としている。



日立製作所は所有する51.29%全てを譲渡する。譲渡金額は4,940億円になる。

付記

昭和電工は2020年3月23日、日立化成に対するTOBを3月24日に始めると発表した。期間は4月20日までで、1株あたり4630円、買収総額は約9600億円。

TOBの前提としていた日本、中国、韓国、米国、欧州連合及び台湾の独占禁止法の審査を通過した。
発行済みの全株式を取得し、6月の買収完了を目指す。

付記

TOBの結果、87.61%を取得した。取得金額は 8,445億69百万円。4月28日付で昭和電工の連結子会社になる。
今後、
全株式を取得し、6~7月をめどに完全子会社とし、上場廃止する。

買収によるノレン代は約5200億円で、20年償却でも償却費は年間260億円となる。

付記

日立化成は2020年6月19日に上場廃止となった。(1970年に上場)

昭和電工は6月23日、連結子会社化した日立化成の社名を2020年10月1日付で「昭和電工マテリアルズ株式会社」(Showa Denko Materials Co., Ltd.)に商号変更すると発表した。

ーーー

当初、三井化学などの総合化学メーカーや米投資ファンドなどが名乗りを上げたが、買収額などで折り合わなかった。2次入札で高値をつけた昭和電工が最終候補となった。

買収額の約1兆円は、日立化成の実績(売上高 6,810億円、調整後営業利益 486億円、株主帰属利益 287億円:2019/3連結)からみて、高すぎると思われる。

更に、通常の買収であれば51%を取得し、子会社にすればよい。この場合は5,000億円の支出で済む。

しかし、今回の場合は次の理由で100%のTOBが必要で、1兆円が必要となる。これも他社にとって障害になったと思われる。

証券取引所内外、どちらの取引であっても、買付け後の株式等所有割合が1/3を超える場合はTOBによる実施が義務付けられている。

現行制度上、公開買付者は、TOBに際して買い付ける株券等の数について、上限を設定することが認められている。
但し、買付け後の株券等所有割合が3分の2以上となる買付けを行う場合には、買付数に上限を設けることを認めず、応募のあった株券等を全て買い取ることを義務付けられる。
(51%の取得であれば、上限を設けることができる。)

但し、応募株券等の数の合計が上限を超えるときは、あん分比例の方式により応募株主から平等に買付けを行うものとされている。

今回の場合、日立化成の11月25日の終値は3,465円であった。昭電のTOB価格は1株4,630円 で、全株主が応募するのは確実である。

問題は、日立製作所は持株(51.29%)全てを売却するのが目的である。昭電が仮に51%のTOBをした場合、日立が売れるのは、按分により、26.2%にとどまってしまう。
このため、日立の51.29%を全部売却するには、100%TOBしかないことになる。

ーーー

昭和電工は、TOB当事者として完全子会社であるHCホールディングスを設立し、買収資金9700億円を次により手当てする。

昭電 みずほ銀行からの融資 2,950億円
HCホールディング みずほ銀行、日本政策投資銀行にA種優先株を発行 2,750億円
みずほ銀行からノンリコースローン 4,000億円
合計 9,700億円


優先株とノンリコースローン(日立化成の返済能力に依拠)の活用に
より昭和電工の直接的な出資金額を抑制する。
昭和電工は普通株式の発行を伴う
資金調達は予定せず、株式の希薄化は伴わない実質負担は①の2,950億円にとどまるとしている。

買収後、両社は2つのステアリング・コミッティを通じて事業統合を進める。
 ①
事業ポートフォリオ・マネジメント、投資、予算および資金調達に係る意思決定
 ②
統合作業の進捗管理・監督

株式取得日1年後を目途に実質的な統合を目指す。


昭和電工では、
事業ポートフォリオの再編・見直しを着実に進め、コスト面のシナジーとして3年後を目途に年間200億円以上の効果実現を図るとしている。

サハリン1のLNG計画

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12月20日付の日本経済新聞は、サハリン1のLNG計画について、日本の官民が米エクソンモービルなどと共同で事業を推進する方針を固めたと報じた。

エクソンとロシア国営石油会社ロスネフチのほか、経産省と伊藤忠、石油資源開発、丸紅などが出資する「サハリン石油ガス開発」 などの企業連合が事業を推進する方針という。

デカストリ港で年産620万トンの生産能力を持つLNGプラントの建設を目指している。2027年にも生産を始め、事業費は1兆円規模になる見通し。ロシアは天然ガスの供給先を欧州からアジアにも広げたい意向で、日本もロシアとの関係を強化し調達を多様化する。

サハリン1プロジェクトの概要は下記のとおり。

事業主体 Exxon Neftegas 30%
 (米、エクソン・モービル子会社、オペレーター)
・サハリン石油ガス開発(株)(通称:SODECO)30%
ONGC Videsh(インド、20%)
Sakhalinmorneftegas-Shelf(ロシア、11.5%)
Rosneft
-Astra (ロシア 8.5%)
投 資 額 約120億ドル以上
開発鉱区 オドプト、チャイヴォ、アルクトン・ダギ
推定可採
埋 蔵 量
①石油   約23億バレル
②天然ガス 約4,850億立方メートル

サハリン石油ガス開発には、経済産業大臣 50.00%、伊藤忠グループ 16.29%石油資源開発 15.3%、丸紅 11.68%、国際石油開発帝石 5.74% が出資(端数異動あり)

チャイウォ油ガス田からは、2005年10月より、海上のプラットフォームや陸上の坑井基地・処理施設などの生産施設を用いて原油・天然ガスが生産されている。2015年4月には大偏距掘削で13,500mという世界最長記録を達成した。オドプト油ガス田では2010年9月から、アルクトン・ダギ油ガス田では2015年1月より各々原油生産を開始している。

原油とガスの輸送については下記の通り。

 <石油>サハリン島を東西に横断し大陸側に至るパイプラインで運搬、そこからタンカーで日本等へ輸出
 

 <ガス>

当初案は、北海道の内陸の一部(石狩平野)を経由する海底パイプラインにより運搬する予定であったが、 パイプライン敷設の漁業補償問題や、最大需要家になるとみられた東京電力も購入に難色を示したため、この計画は白紙となった。

その後ガスプロムと英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが主導する「サハリン2」(南端のプリゴロドノエまでパイプラインで運搬し、液化)にガスを販売する計画だったが、価格交渉が決裂し、自前でLNGを輸出する方針に転換した。

ガスの液化については、当初はロスネフチとエクソン両社で建設する方針だった。

両社は2013年にLNGプラントの建設計画をプーチン大統領に提示した。しかし、ウクライナ紛争を巡る対ロシア制裁など多数の要因が重なり、現在まで実現していない。

2018年10月報道では、両社にサハリン石油ガス開発とインドのONGCを加えた4社での建設に変更された。

LNGの生産自体は経済制裁の対象ではないが、ロシア企業は制裁により金融市場へのアクセスが制限されている。 サハリン石油ガス開発とONGC両社と組むことで、コストを分担できるほか、制裁に伴うリスクを和らげる狙いもあるとみられる。



サハリン計画については https://www.knak.jp/blog/2006-6-1.htm#sakhalin

サハリン1計画については 2018/7/25 ロシア国営石油大手 Rosneft、サハリン1の参加者を提訴

サハリン2計画については 2007/1/9 サハリン2計画 再スタートとその背景 

METIは10月17日、2023年までの世界のエチレン系・プロピレン系誘導品及び芳香族製品の需給(需要、生産能力、生産量)の動向をとりまとめ、発表した。

発表内容は次の通り。

これをもとに、商品別の需要・能力・生産に組み替えた。 商品別国別集計(国別の需要・能力・生産)

商品別国別の需要・能力・生産をグラフ化した。https://www.knak.jp/METI-world/meti-2019/index.html

 

特記事項:

1.中国の動向等

中国において新増設計画は引き続き計画・検討されている。135ヵ年計画(13-5計画)では、次期統合型エチレンコンビナートとして2020年以降を目途に7つの地域に集約、原料の多様化、環境問題、エネルギー循環型も含めた、新規エチレンプラントの構想が打ち出されている

2.米国のシェール革命の影響

米国においてシェール由来のエタンコンプレックスの更なる新増設計画が予定されており、2030年を目途に米国のエチレン製造能力が5千万㌧規模に拡大する見通しとなっている。

昨年度1Q以降の DowDupont /Chevron Phillips/ExxonMobil150万トンのメガコンプレックスの稼働開始以降、予想通り、米国がエチレン系石化品の一大輸出基地化し、懸念通りグローバルな石化需給、市況に影響を与え始めている。

同時にスタートした米中経済摩擦も大きく影響し、グローバルなトレードに大きな変化をもたらした。

米国では堅調な経済成長を基に内需の伸びも期待されるが、現状で既にエチレン換算で約800万トン、プロピレン換算で約100万トンの輸出超過となっており、今後稼働する新増設計画の大部分が輸出に向けられと予想され、特に誘導品としてのPEEGを中心とした輸出増が201920年以降のグローバルなマーケットに与える影響が懸念される。

また、エチレンでの輸出も増加傾向にあり、今後の輸出用ターミナルの増強次第で、更に増加するものと予想される。


概要は以下の通り。

1.世界のエチレン系誘導品

1)生産能力
2)需要

  3)世界のエチレン系誘導品の需給バランス(エチレン換算 百万トン)

    世界計 アジア計 うち中国 北米計 中東計
2017 能力 178.2 70.7 29.0 35.2 31.1
生産 154.0 59.0 25.0 33.9 28.1
需要 149.7 74.1 44.1 25.7 9.6
バランス 4.3 -15.1 -19.1 8.2 18.5
2023 能力 222.8 97.9 48.4 45.1 33.8
生産 193.4 81.3 39.1 42.4 32.3
需要 182.5 94.8 59.1 28.9 12.4
バランス 10.9 -13.5 -20.0 13.5 19.9

 

2.世界のプロピレン系誘導品

1)生産能力
2)需要

3)世界のプロピレン系誘導品の需給バランス(プロピレン換算 百万トン

    世界計 アジア計 うち中国 北米計 中東計
2017 能力 117.0 52.9 34.2 17.4 10.3
生産 104.4 55.5 29.5 14.7 9.5
需要 98.7 56.4 34.3 14.0 3.6
バランス 5.7 -0.9 -4.8 0.7 5.9
2023 能力 147.6 86.7 50.8 19.8 12.0
生産 130.4 76.5 43.1 15.9 11.1
需要 120.0 71.8 45.5 15.2 5.0
バランス 10.4 4.7 -2.4 0.7 6.1


3.主要製品の需給 (総能力、総生産と地域別需要)

   PSは生産が需要を常時大きく下回っており、元資料に誤りがあると思われる。
   
   

他の商品のグラフ 及び商品別の国別の需要・能力・生産のグラフは下記にあります。

https://www.knak.jp/METI-world/meti-2019/index.html

キリスト教福音派は米人口の4分の1を占めるとされる最大の宗教勢力で、トランプ米大統領の支持基盤となっている。

福音派の指導的牧師として保守派に強い影響力を持ち、トランプ氏を支持したBilly Graham(2018年2月に死去)が創刊した雑誌Christianity Today は12月19日、「トランプは罷免されるべきだ」(Trump Should Be Removed from Office)と題する論評を掲載した。
 
 https://www.christianitytoday.com/ct/2019/december-web-only/trump-should-be-removed-from-office.html

内容は次の通り。

本誌の創設者の Billy Graham は、Christianity Today は福音派のクリスチャンが信仰の面からニュースを理解するのを助けるとした。
トランプ大統領の弾劾は重要な事件だ。

大統領は政敵の評判を落とすため、自分の権力を使って外国首脳に働き掛けた。そうした行為は憲法違反というだけでなく、極めて不道徳的だ。

大統領は政権で道徳概念を捨て去った。

福音派支持者は、彼の最高裁任命、宗教の自由の保護、経済運営などを支持する。

しかし、弾劾のヒアリングで、個人の利益のため権力を乱用し、憲法上の誓約を裏切った。大統領の道徳欠如が明らかになった。大統領制を傷つけ、米国の威信を傷つけ、米国民の精神と未来を傷つけた。業績よりも道徳的、政治的危険の方が大きい。

トランプ氏を上院で罷免すべきか、次の選挙で落選させるべきかは、慎重な判断を要する問題だ。トランプ氏の罷免は党派ではなく十戒の創造主への忠誠心が試される問題となっている。
That he should be removed, we believe, is not a matter of partisan loyalties but loyalty to the Creator of the Ten Commandments.

これに対し、大統領は12月20日、「極左雑誌だ」「もう読まない」などとツイッターで反撃した。「私ほど福音派のために尽力した大統領はいない」とも述べた。

A far left magazine, or very "progressive," as some would call it, which has been doing poorly and hasn't been involved with the Billy Graham family for many years, Christianity Today, knows nothing about reading a perfect transcript of a routine phone call and would rather have a Radical Left nonbeliever, who wants to take your religion & your guns, than Donald Trump as your President.

No President has done more for the Evangelical community, and it's not even close. You'll not get anything from those Dems on stage. I won't be reading ET again!

I guess the magazine, "Christianity Today," is looking for Elizabeth Warren, Bernie Sanders, or those of the socialist/communist bent, to guard their religion. How about Sleepy Joe?
The fact is, no President has ever done what I have done for Evangelicals, or religion itself!

Billy Grahamの息子のFranklin Grahamは、この雑誌を創刊した父はこの論評に同意しなかっただろう、失望しているだろうと述べた。父は真のトランプを知っており、彼を信じ、彼に投票した。トランプが国民に必要な人間だと信じていたとも述べた。

CT Magazine released an editorial saying Trump should be removed from office & they invoked my father's name, so I felt I should respond.
Yes, Billy Graham founded Christianity Today; but no, he would not agree with their piece. He'd be disappointed.

I hadn't shared who my father Billy Graham voted for in 2016, but because of CT Magazine's article, I felt it necessary to share now.
My father knew real Donald Trump, believed in him & voted for him. He believed Donald J. Trump was the man for this hour in history for our nation.

Franklin Grahamは「トランプ氏こそ神から遣わされた大統領だ」と述べていた。

ーーー

福音派は聖書の信仰に目覚めた保守的なプロテスタントの総称。

Billy Grahamは福音派を代表する指導者で、全米各地にとどまらず、世界185の国と地域で伝道し、2億を超える人々に教えを説いたとされている。トルーマン以降、歴代すべての大統領と親しい関係を結んだことでも知られている。

大統領選挙では、トランプ候補が福音派から圧倒的多数の支持を集めたことが勝利を決定づける要因のひとつになった。福音派からの支持率は81%に上った。

トランプ候補は、最高裁をはじめ連邦判事に保守派を選ぶと公約し、妊娠中絶などに強く反対した。イスラエルのアメリカ大使館をエルサレムに移転すると公約し、その通りしている。

アメリカの税法には教会など免税措置を受ける非営利団体が、選挙で特定候補を応援したり反対表明したりすることを禁じる規制(ジョンソン修正条項)があるが、トランプ大統領は今この条項を撤廃して、宗教団体による政治参加を広げるよう目指している。


ジョンソン首相は12月20日、EUと合意した離脱協定案を国内法に反映する関連法案を提出した。 前回の法案に、EUとのFTAの締結が間に合わない場合でも、来年12月末までの移行期間を延長したり、EU法の英国への適用停止日を延期したりできなくする条項を付け加えた。

下院は12月20日、離脱関連法案の第二読会を行い、法案の基本方針を 359 対 234 で可決した。その後、日程を決める議事進行動議を 353 対 243で可決した。

この後、来年1月6日と7日に委員会審議が行われ、1月8日に第三読会で最終審議を行う。

与党保守党は今回の総選挙で過半数を得ており、来年1月31日の離脱は確実になったとみられる。

議会の法律審議は次の通り行われる。

一読会(First Reading 本会議で法律案の題名朗読
読会(Second Reading 本会議で法律案の基本方針審議(その後は、基本方針から外れる修正案は許されない)
議事進行動議Programme Motion その後の法律案審議の日程表決
委員会段階(Committee Stage 逐条審査
第三読会(Third Reading 本会議での法律案最終審議


10月の離脱関連法案の審議では、10月22日の
「第二読会」議案を329対299で可決した。 
しかし、
離脱関連法案を早期に成立させるために政府が提出した「議事進行動議」が308対322の僅差で否決された。
否決後、ジョンソン首相は立法手続きを中断した。

2019/10/23 Brexit の延期 濃厚に

その後、総選挙となり、今回の圧勝となった。

議席の推移と今回投票結果:

解散

2017/6/8
選挙
今回
解散前
今回
選挙
12/20
賛成 反対 棄権
保守党 330 317 298 365 353 10 2
民主統一党(NI) 8 10 10 8 7 1
(与党)

(327) (308)
労働党 232 262 243 202 6 162 32 2
スコットランド国民党(Scot) 56 35 35 47 45 2
自由民主党 8 12 20 11 11
独立党 1 0 0 1 1
独立グループ 0 24
Change UK 5 0
シンフェイン党(NI) 4 7 7 7 7
ブライドカムリ(Wales) 3 4 4 4 4
緑の党 1 1 1 1 1
社会民主労働党(NI) 3 0 0 2 2
北アイルランド同盟党(NI) 0 0 0 1 1
アルスター統一党(NI) 2 0 0 0
無所属 1 1 0 0
議長 1 1 1 1 1
空席 0 0 2 0
合計 650 650 650 650 359 234 52 5
議長と副議長(3人:未選任)、シンフェイン党(7人)は投票せず。
付記 2020/1/8 副議長が選任された。保守党から2人、労働党から1人となった。

ーーー

英議会下院は12月17日に再開し、初日慣例の議長選任(Sir Lindsay Hoyle が再任)と議員による宣誓が行われた。

総選挙前の10月31日にJohn Bercow下院議長が議員を引退した。後任の議長の選任は11月4日に行われ、労働党のSir Lindsay Hoyleが議長に選任された。

北アイルランド選出のシンフェイン党はこの国家元首(エリザベス2世)への宣誓を拒否し、登院をせず、議員歳費も受け取っていない。

Sir Lindsay Hoyle議長選任で、労働党は202議員となった。


エリザベス女王は12月19日にジョンソン政権の施政方針を読み上げた。

来年1月末のEU離脱が最優先課題とあらためて表明し、離脱の移行期間を延期しないことを明言した。

「EU離脱を達成することが優先課題であり、英国は1月末に離脱する」
「英国を優柔不断の締め付けから解放し、人々や企業の信認を取り戻す。離脱後の移行期間を2020年以降に延期する可能性を排除し、これ以上の躊躇や遅れを回避する」

また、離脱後はFTAに基づくEUとの将来関係を模索するとともに、EU以外の主要経済国とも通商交渉を開始するとした。
海外からの移民についてはポイント制を導入し、英国に寄与する熟練労働者を優遇するとしている。


移行期間の11カ月内にEUとのFTAを締結し、発効させなければ、2021年1月にEUとの間で関税が発生することとなり、合意なき離脱に似た事態が発生する。

移行期間は2020年12月末までとなっており、双方が合意すれば移行期間の延長を2年までも認められる。
但し、移行期間中は英国はEU法に従うと共に、EU予算への拠出も継続する。一方、加盟国としての権利は失う。

EUとしては、英国が簡単に、有利に離脱出来た場合、今後、離脱を希望する加盟国が出る可能性があるため、英国に厳しい姿勢を示している。

しかし、FTAが期間内に発効せず、合意なき離脱 に似た状況になることはEUにとっても好ましくない。
ジョンソン首相は、これを盾に、2020年中のFTA締結・発効をEUに求めるもの。

トランプ大統領の弾劾で大騒ぎの米国議会は暫定予算の期限切れ直前の12月19日に予算案(2019/10~2020/9)を可決し、大統領に送った。トランプ大統領は署名するとみられ、政府機関の一部閉鎖は回避される。

付記 大統領は12月20日に署名し、予算は成立した。

予算を巡っては、7月22日に、今後2年間の連邦政府の歳出と債務の上限について与野党で合意した。2020会計年度(2019年10月~20年9月)と21会計年度の歳出上限を計3200億ドル引き上げるほか、債務上限については、2021年7月末まで2年間棚上げする。

2019/7/25 米 歳出上限と債務上限を引き上げ 

しかし、具体的な予算についてはトランプ大統領が選挙公約に掲げる「国境の壁」の建設費などで妥協点を見いだせておらず、進展がなく、9月27日に米連邦政府の支出を2019年のレベルで11月21日まで手当てするつなぎ予算が通った。

2019/9/30 米つなぎ予算が成立、11月21日まで協議継続  

トランプ大統領は11月21日、12月20日までの暫定予算案に署名、暫定予算成立により政府機関閉鎖は寸前で回避された。

2019/11/25 トランプ大統領、暫定予算案に署名 、政府閉鎖を回避

その期限が近づくなか、大統領弾劾の議論の最中、議会は数週間にわたり超党派協議を行ない、政権と暫定合意した。

法案の規模は1兆4000億ドルで、社会保障費など「義務的」経費は今回の法案には含まれない。歳出増は財政赤字の拡大を招き、2019会計年度の財政赤字は9840億ドルとなる。議会予算局(CBO)は、今後10年の財政赤字の年間平均を1兆2000億ドルと予想している。

国防総省の予算は、前年度から220億ドル増額の7,380億ドルとなった。トランプ大統領が目玉政策として掲げる宇宙軍創設に関する予算も盛り込まれた。

トランプ大統領はメキシコ国境の壁建設費として50億ドルを要求していたが、予算案に盛り込まれたのは前年度並みの13億7000万ドルにとどまった。但し、民主党が反対していた軍事予算の壁建設への転用が可能とすることで折り合った。

下記が盛り込まれた。

非軍人の給与を平均で3.1%引き上げ。

若者の喫煙対策として、たばこの最低購入年齢を現行の18歳から21歳に引き上げる措置。
米食品医薬品局(FDA)が半年以内に規制案を策定し、3年をかけて州当局と連携して新たなルールを導入する。

オバマケア(医療保険制度改革法)の財源を支える目的で創設されたものの、導入見送りとなった税などの廃止。

地方自治体が来年11月の大統領選および議会選挙の準備に充てる費用.。サイバー攻撃に対するインフラ強化などに充てる。

数十年間凍結されてきた銃犯罪に関する研究予算。

民主党は裁量的経費が現行水準より440億ドル増えることになったと成果を強調した。ペロシ下院議長は、「全ての民主党員は、米国民の健康や金融面の安定、福利にとって大きな勝利となったこの力強い歳出パッケージを大いに誇りに思ってよい」と話した。


下院は12月17日、各省庁の予算のうち、国防総省関連歳出法案と非国防省庁などの歳出法案に分けて投票し、それぞれ可決した。

第一の法案は、国防総省、国土安全保障省、商務省、司法省、財務省その他の歳出

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 130 150 280
反対 62 75 1 138
棄権 5 7 12
合計 197 232 1 430

下院総数 435、現在 欠員 4、民主党1名欠席

第二の法案は、農務省、労働省、内務省、運輸省、国務省その他の歳出
共和党の反対が多い。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 79 218 297
反対 112 7 1 120
棄権 6 7 13
合計 197 232 1 430


2法案は上院に送られ、12月19日に可決された。

第一の法案

共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 46 34 1 81
反対 4 7 11
棄権 3 4 1 8
合計 53 45 2 100

第二の法案
こちらも共和党の反対が多い。

共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 31 39 1 71
反対 21 2 23
棄権 1 4 1 6
合計 53 45 2 100


日立製作所は12月18日、日立と三菱重工業火力発電システム事業を統合したJVの三菱日立パワーシステムズが取り組南アフリカ共和国のボイラー建設プロジェクトの承継関して、和解が成立した と発表した。

和解に至るまでの経緯:

三菱重工業と日立製作所は2014年2月に両社の火力発電所のインフラ事業を統合し、三菱重工業 65%、日立製作所 35%出資で、三菱日立パワーシステムズを設立した。

三菱日立パワーシステムズが承継した日立受注事業で問題が生じた。

日立は2007年から2008年にかけて、南アの電力会社 Eskom から、同社が建設するMedupi 発電所および Kusile発電所向けに各6基、計12基の石炭火力発電プラント用ボイラー設備を総額約5,700億円で受注した。しかし、1基目の運転開始が当初予定の2012年から2015年にずれ込むなど工期は大幅に遅れ 、損失膨らんだ。設計の見直しなどで今も完工していない。

この事業を三菱日立パワーシステムズが引き継ぐための契約では、

・効力発生日より前の事象に起因する偶発債務及び同日時点において既に発生済みの請求権については日立が責任を持ち、
・効力発生日以降の事業遂行については三菱日立パワーシステムズが責任を持つことを前提に、
・効力発生日時点に遡ったプロジェクト工程と収支見積の精緻化を行い、それに基づき最終譲渡価格を決定し、暫定価格との差額を調整する旨が合意されている。

三菱重工は、分割効力発生日時点において既に損失が見込まれたプロジェクトであり、受注条件などに問題があったとして、三菱日立パワーシステムズ発足後に発生した損失も日立が負担すべきだと主張し 、2016年3月に約3,790億円の請求を行った。

日立は同年4月に、契約に基づく法的根拠に欠けるため請求に応じられない旨を回答した。

三菱重工は、2017年3月には請求額を約7,634億円に増やした。

その後両社で協議してきたが、まとまらなかったとして三菱重工は7月31日、第三者に解決を委ねる仲裁の手続きを、日本商事仲裁協会に申し立てたと発表した。

2017/2/13 三菱重工と日立、南アの火力発電プラント工事で争い

両社は仲裁手続きと並行して協議を続けてきたが、今回、下記の通り和解に至った。

1) 日立は三菱日立パワーシステムズの日立所有株式全て(保有比率35%)を 三菱重工業に引き渡し 、火力発電事業から撤退する。

2) 日立は、三菱重工業に対し、2000億円の賠償金を支払う。
  日立の
三菱日立パワーシステムズの子会社に対する債権を700億円で三菱重工業に譲渡する。
  これらを相殺し、差引1,300億円を三菱重工業に支払う。

3) 三菱重工業は株式と現金の受領後、仲裁請求を取り下げる。


日立は2020年3月決算で特別損失として3,780億円を計上すると発表した。

和解金 -2,000億円
債権譲渡 700億円
差引現金支払 -1,300億円
JV 株式等 -2,480億円
差引合計 -3,780億円


債権を700億円で譲渡し、和解金と相殺するため、現金支払いは1300億円で正しい。
但し、700億円の債権を700億円で譲渡するとすれば、この分の損益はゼロで、和解金の2000億円と株式譲渡損の合計の4,480億円の損失となる。

現金支払い分の1300億円を損失にする場合、既に評価減して簿価をゼロとしている債権を700億円で譲渡する必要がある。

恐らくそうと思われるが、今回発表では不明。

発表のとおりであれば、結果的には、2016年3月に三菱重工業が請求し、日立が拒否した金額の支払いで決着したこととなる。

日立製作所は12月18日、画像診断関連事業を富士フイルムに譲渡することを決定したと発表した。

日立は関連事業を新設の子会社 富士フィルムヘルスケアに移管し、同社の株すべてを富士フィルムに譲渡する。

分割する部門の事業内容 は、画像診断システム(CT、MRI、X線診断装置、超音波診断装置等)、電子カルテ等の研究開発・製造・販売・保守サービス で、この事業の2019年3月期売上高は 1,432億円 であった。

両社は事業価値を1,790億円 とすることで合意しており、最終的な株式譲渡価額は、純運転資本額 と純有利子負債額で調整し、確定する。

日立は連結決算 で事業再編等利益 約1,110億円を計上する 。

画像診断関連事業は、先進国では高齢化や慢性疾患の増加、新興国では経済成長に伴う医療水準の向上などのニーズがあり安定的な成長が見込まれている 。
一方で、業界再編の進展やグローバル競争の激化により、事業規模の拡大がますます重要になっている。

また、日立の場合、機器の単独販売が多く、営業利益率は低水準になっている。

本年8月の報道では、日立は画像診断機器事業を売却する方針で、売却先の選定に入っており、海外の投資ファンドなどが買収に関心を示している とされた。

今回、補完性の高い販売チャネルや画像処理などの優れた技術力を持つ富士フイルムに対象事業を譲渡することが、さらなる成長と競争力強化のために最適であると判断した。

売却する事業は、日立の子会社だった旧日立メディコ が手掛けるMRIとコンピューター断層撮影装置(CT)、さらにその子会社日立アロカメディカルが強みを持っていた超音波診断装置を中心とした画像診断機器事業である。

 日立メディコ:

1949年に日立製作所と紡織機械メーカー 6社の出資により東日本繊維機械として設立。

当初は紡織機械の販売にあたっていたが、日立の各種レントゲン機械を扱うようになり、1954年 に日立レントゲンに改称した。
1969年に大阪レントゲン製作所を合併、医療機器部門に本格的に乗り出し,1973年社名を日立メディコに変更した。
X線装置,コンピュータ断層撮影装置,磁気共鳴画像 MRI装置などを独自に開発した。 

 アロカメディカル:

超音波診断装置、骨粗鬆症診断装置、放射線測定装置、バイオ関連装置、検体検査装置、分注装置などを手がける。
特に超音波診断装置については、世界で初めて製品化したパイオニアとして知られ、広く海外にも展開した。

日立は2016年にヘルスケア事業強化に向け、日立メディコおよび日立アロカメディカルの製造部門以外の部門を日立に 吸収し、製造部門は日立メディコを存続会社として合併し、日立ヘルスケア・マニュファクチャリングとした。

ーーー

日立製作所は急速に構造改革を進めている。

このたび、中核子会社である化学大手、日立化成の売却を巡り、昭和電工に買収の優先交渉権を与えることを決めた。

昭和電工は12月18日、日立化成を株式公開買い付け(TOB)により買収すると発表した。買付代金は総額9640億円となる。
日立は所有する51.29%全てを譲渡する。譲渡金額は4,940億円。

2019/12/2 日立製作所、子会社日立化成を昭和電工に売却へ

火力発電システム事業 では、別記の記事の通り、三菱重工業 とのJVの三菱日立パワーシステムズ にかかわる紛争をこのたび解決し、同社の株式をすべて三菱重工に譲渡し、この事業から撤退する。

今後は、収益重視の選択と集中を加速し、インフラやITに経営資源を集中し、海外勢との競争に勝つ体制づくりを急ぐ。

ーーー

調査会社によると、画像診断機器ではドイツのシーメンスがシェア23.1%でトップ、GEが21.8%で2位、オランダのフィリップスが20.5%で、キャノン(9.5%)、富士フィルム(5.5%)、日立(2.9%)などが続く。

富士フイルムは医療用画像管理システムでは世界シェアで首位(17.5%)に位置するが、MRIやCTといった医療機器を持っていなかった。

富士フイルムホールディングスは、日立の磁気共鳴画像装置(MRI)などの医療機器に富士フイルム独自の画像処理技術や人工知能(AI)などのソフトウエアを組み合わせ一括して提供し、海外大手3社を追い上げる。

米下院は12月18日の本会議でトランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾訴追決議案を賛成多数で可決した。

「権力乱用」の弾劾条項は賛成230、反対197で可決した。

  共和党 民主党 無所属 合計 民主党
賛成 0 229 1 230
反対 195 2 197 Peterson
、Van Drew
present 1 1 Gabbard
棄権 2 1 3
合計 197 233 1 431

議会調査への協力要請を拒否するよう政権幹部らに指示した「議会妨害」の条項は賛成229、反対198で可決された。

  共和党 民主党 無所属 合計 民主党
賛成 0 228 1 229
反対 195 3 198 Peterson、Van Drew、Golden
present 1 1 Gabbard
棄権 2 1 3
合計 197 233 1 431

注:下院総数 435、現在 欠員 4

共和党は棄権の2名を除き、全員が反対した。

民主党からは下記議員が賛成せず。

Collin PetersonとJeff Van Drewの2人は、10月31日に下院本会議でトランプ大統領に対する弾劾調査の手続きを定めた決議案 に民主党から反対した2名である。
Jeff Van Drewはその採決の後、「党派を超えた支持がなければ、弾劾調査は国家をさらに分断し、最終的には上院で却下されるだけだ」と主張した。
今回、
数日内に民主党を離脱するかどうかを発表すると述べた。12月13日にホワイトハウスでトランプ大統領と面会している。

Collin Petersonは大統領は罪を犯していないと述べた。

Jared Golden 議員は「権力乱用」では賛成、「議会妨害」では反対した。

Tulsi Gabbard議員は両議案でいずれも、「出席」と返事し、棄権した。

大統領が弾劾訴追されたのは米史上3人目で、社会の分断が深まる同国で、二大政党間の対立が一段と激化する見通し。

2020年1月上旬には、上院での弾劾裁判に移るが、上院は、与党・共和党が優勢のため、罷免に至る可能性は低いとみられている。

付記

上院共和党は短期に否決する構えだが、下院のペロシ議長は政権高官を証人として招致することなどを求め、対立している。
民主党は裁判の公平性確保を求めており、上院が裁判の手続きを決めるまで、弾劾決議を上院に送付しない。また、弾劾裁判で検事役を務める下院議員の指名もしていない。


ジャパンディスプレイ(JDI)は12月12日、独立系投資顧問のいちごアセットグループからの資金調達に関する基本合意書 を締結したと発表した。

いちごアセットは、日本開発銀行客員研究員やモルガン・スタンレー証券の株式統括本部長を務めたScott Callon 氏が2006年5月に設立した

社名の「いちご」は千利休が説いた茶人の心構え「一期一会」から採った。経営理念は、 「日本を世界一豊かに。その未来へ心を尽くす一期一会の『いちご』」である。

Callon 社長の投資スタンスは長期保有が原則とされる。

ーーー

JDIはSuwa Investment Holdingsとの間で800億円の投資を受ける契約を締結しているが、Suwa Investment 出資者が次々離脱しており、残る出資者と交渉を継続しているが、目途が立っていない。

Suwa Investment Holdingsとの交渉経緯:

 

当初案

2019/6/17 JDI 発表

6/27 発表 7/12発表 9/26発表
状況
台湾 TPK Holding
宸鴻集団
230百万ドル
(250億円)
離脱通知受領
Cosgrove Global 130百万ドル
(140億円)
機関決定の通知未受領
  →
離脱通知
中国 Harvest Tech Investment Management
嘉実基金管理)
190百万ドル
(210億円)
200百万ドルに増
200百万ドル
(220億円)
自社 200百万ドル
Apple 100百万ドル
 (計 322億円)

離脱通知

(CB-2)       200億円 機関決定。 200億円

 

200億円

  不足の場合、更に出資 200百万ドル
(220億円)

未定

+100百万ドル
香港 Oasis Management 離脱代替150百万ドル  150百万ドル
(160億円)
150180百万米ドル
(約
161193億円)

800億円との
差額追加

交渉

合計 800億円   800億円 683億円~715億円 800億円

2019/8/14 JDIが債務超過に

今回、このSuwaからの 出資が20191231日までに実施されなかった場合に、いちごトラストから800億円から900億円の資金調達を実施する旨の最終契約の締結に向けて協議を進めることを合意した。具体的な内容及び条件につ いては、今後両社協議の上決定する 。

付記 Suwaからの出資 は20191231日までに実施されなかった。JDIはいちごトラストとの協議を進める。

JDIはこれに加え、下記の交渉をしていることを明らかにした。

1) 需要家のApple

 AppleはSuwaの中国投資家を通じて100百万ドルの出資を予定していた。

 12月12日に、いちごアセットから400億円以上の資金調達を条件に、下記の点で協議することで合意した。

 ・取引の支払い条件の緩和
 ・白山工場生産装置の購入を通じる可能性も含め、200百万ドルの供与

2) 別の取引先

 いちごアセットからの資金調達を条件に、下記の点で協議することで合意した。

 ・JDIに対する資金援助、JDI所有資産の取得及び支払期限の延長等を含めた事業面及び財務面における総額約50百万ドルの支援
 ・
車載分野及びディスプレイ分野での戦略的提携、及びサプライチェーンマネジメントにおける協業

ーーー

JDIについては、下記の問題がある。

1) JDIは11月21日、経理担当の男性幹部が不正経理を繰り返し、会社の資金約5億7800万円を着服していたと発表した。

  JDIはこの幹部を2018年12月に懲戒解雇するとともに、刑事告訴しているが、この発表後に自殺したと報道されている。

2) この幹部は11月26日に、JDIの過年度決算で不適切な会計処理を行っていたこと、それが当時の経営陣からの指示で行ったことを会社に伝えた。

  JDIは今後特別委員会で事実関係の調査を進めるとしている。

3) 債務超過

  2019年9月末の中間決算で 101,612百万円の債務超過となった。

単位:億円
売上高 営業利益 経常利益 特別損益 当期利益 期末
純資産
2017/3 8,844 185 -89 -24 -317 3,271
2018/3 7,175 -617 -937 -1,437 -2,472 820
2019/3 6,367 -310 -442 -625 -1,094 70
2018/4-9 2,143 -145 -190 119 -95
2019/4-9 2,378 -356 -438 -637 -1,087 -1,016
増減 235 -211 -248 -756 -992

下記の特別損失を計上した。

白山工場減損追加(一時停止関連)-514、早期割増退職金 -90、その他、合計 -637百万円

参考 2019/4-6決算 2019/8/14 JDIが債務超過に


本業の液晶パネル事業が韓国や中国メーカーとの厳しい競争にさらされている。

これまでSuwa Investment との交渉は二転三転した。
今回、協議開始で合意した段階であり、実際に出資が行われるまでは安心できない。


HOYAは12月13日、東芝子会社の半導体製造装置メーカーのニューフレアテクノロジーのTOBを実施すると発表した。1株12,900円でのTOBで、最大1477億円を投じて全株の取得を目指す。


TOBの買付予定数の下限を
7,634,000株(66.67%)と設定しており、東芝デバイス&ストレージが応募することが必要条件となる。


ニューフレアテクノロジーの大株主は次の通り。(2019/9/30)

東芝デバイス&ストレージ 52.35% 東芝子会社
東芝機械 15.78% 東芝が売却、グループから外れる。2020/4に芝浦機械に改称

一方、親会社の東芝は12月13日、上場子会社4社のうち、POSレジ世界首位の東芝テックを除く3社、発電設備の東芝プラントシステム、船舶や産業向けの電機システムを手掛ける西芝電機と、ニューフレアテクノロジー に対しTOBを実施すると発表した。
総額は約2000億円。完全子会社化することで、少数株主との利益相反の可能性を回避し、経営資源の相互活用や意思決定の迅速化につなげる。

付記

東芝プラントシステムと西芝電機に対するTOBは成立した。
東芝プラントシステム
は持株が95.28%、西芝電機は92.68%となるが、今後、残る株式を取得して完全子会社化する。

なお、東芝は12月23日、ニューフレアテクノロジーのTOBを2020年1月16日まで延長すると発表した。株主に両社の提案の検討期間を設けるため、ニューフレアが東芝にTOB期間の延長を要請した。

付記

東芝機械は1月15日、東芝によるニューフレアテクノロジーのTOBに応募すると発表した。

東芝はHOYAの提案に応じないと決めており、HOYAのTOBが成立する可能性はなくなった。このため、東芝機械は東芝によるTOB(HOYAの提示価格より安い)に応募しても、株主から訴訟を起こされる恐れがなくなったと判断した模様。

付記

東芝は1月17日、ニューフレアテクノロジーに対するTOBが成立したと発表した。
東芝は従来からニューフレア株の52.4%を保有していたが、TOB後の保有割合は84.66%になる。

HOYAも同日、TOBを実施しないと発表した。


東芝はニューフレアが手掛ける製造装置の基幹部品を製造しており、完全子会社化することで研究開発が機動的にできると判断した。

東芝のニューフレアTOB価格は11,900円で、買い付け期間は2019年11月14日から12月25日となっている。
(12月12日の終値は11,930円、13日は13,330円)


これに対し、HOYAは1,000円高い12,900円でのTOBで、東芝(東芝デバイス&ストレージ)によるTOBが成立していないことを条件にした。 2020年4月のTOB開始を目指す。

東芝側はこれに応じない構えで、敵対的な争奪戦に発展する可能性がある。

東芝はTOBの成立条件として14.27%を下限に設定している(これで保有株が2/3を超えることとなる)。
東芝機械が応じれば、この時点でTOBは成立し、その後は株式売り渡し請求や株式併合などの手段で完全子会社とし、上場廃止となる。しかし、この可能性は低い。

東芝機械は1938年に芝浦製作所(東芝)が出資・設立した老舗のグループ企業だった。

東芝は2017年3月2日、20%超を出資する東芝機械の株式を売却すると発表した。当時、原子力発電事業の巨額損失で揺らいだ財務の立て直しのため、事業や保有株の売却を急いでいた。

3月3日の取引開始前に東芝機械が東京証券取引所の立会外取引を通じて自社株買いを実施し、東芝所有株を買い受けた。

2020年4月からは、社名から「東芝」を外し、芝浦機械に改称する。同社のブランドは「SHIBAURA」である

現在の東芝機械の筆頭株主は、村上世彰氏が事実上率いるファンドのオフィスサポートで、自社で5.93%、共同保有分を含め9.19%を保有する。

村上氏は「東芝機械は、今のまま東芝のTOBに応じるなんてことはしないはずだ」とコメントした。

証券会社幹部も「このまま東芝機械が価格が低い方の東芝のTOBに応じたら、東芝機械自身が株主代表訴訟を起こされるリスクがある」と指摘する。

今後、東芝が買い取り価格を引き上げ、HOYAとの間で争奪戦となる可能性がある。

逆に、東芝が路線変更する可能性も噂されている。ニューフレアを完全子会社化すると約650億円の出費となるのに対し、HOYAのTOBに応じれば700億円以上の現金が手に入る ことになる。

ーーー

ニューフレアテクノロジーは2002年に東芝機械から半導体装置事業を継承して創業した。

半導体デバイスの性能と生産性向上の源泉である微細化の要となるフォトマスク に高精度な回路パターンを形成する電子ビームマスク描画装置に関して30年以上の開発の歴史を持つ。

また、フォトマスクの仕上がりを検査するマスク検査装置を開発し、さらに、今後電気自動車など用途の拡大が期待される パワー半導体向けのエピタキシャル成長装置も開発から実用化の段階に入っている。

HOYAは半導体ウエハーに回路を描く原版となる「ブランクス」と呼ぶガラス製品で7割以上のシェアを握るほか、この表面に微細な回路を形成した「フォトマスク」も提供している。

回路を描画する装置を手掛けるニューフレアを取り込むことで半導体関連の事業を強化したい考え で、2017年以降、ニューフレアに対して複数回、提携を打診していたという。

米Merckと仏Sanofiは12月9日、別々に、がん治療薬を手掛ける同業の買収を発表した。

米Merck (ドイツのMerckと区分するため、米加以外での社名は MSD )は中堅の米国のArQule を27億ドルで、Sanofiは米の新興メーカー Synthorxを25億ドルで買収する。

前者は時価総額の1.32倍、後者は2.82倍と、大幅なプレミアムをつけた買収である。売り手市場となっている。

1) Merck / ArQule

ArQule は多種の癌と非腫瘍学的兆候に関与する生物学的経路に焦点を当て、治療法の研究・開発を行うバイオ医薬品会社である。

臨床段階のパイプラインは、標的とされる患者集団に属する約4つの候補薬から成り立つ。

「ARQ 531」は野生型およびC481S変異型のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の強力且つ可逆的な二重阻害剤である。
「ARQ 092」はプロテインキナーゼB(AKT)、セリン/スレオニンキナーゼの強力で選択的な阻害剤である。
「ARQ 751」は、AKTの強力且つ選択的な阻害剤で、AKTを保有する固形腫瘍、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)の臨床開発段階にある。
「ARQ 087」は、線維芽細胞を優先的に阻害するよ
うに設計されるマルチキナーゼ阻害剤である。

Merckは特に「ARQ 531」を重視している。


なお、第一三共は2008年11月にArQule との間で抗がん剤の研究開発で提携することに合意した。
契約一時金は計7500万ドルで、第一三共が重点領域とするがん治療領域の研究開発パイプラインの強化が狙いである。

ArQuleが米国で開発中の固形がんを対象とするARQ197のアジアの一部(日本・中国・韓国・台湾)を除く全世界での開発および販売権を取得するライセンス契約と、ArQuleが所有する新規キナーゼ阻害薬を探索する技術(AKIP)を用いた共同研究契約からなる。

ARQ197は、肝細胞増殖因子HGFの受容体であるc-Metを選択的に阻害する新規機序の低分子化合物。

第一三共は2015年12月の報告で、ArQuleとの提携による肝細胞癌治療薬チバンチニブ(ARQ197)に期待を示しているが、2017年2月に、第3相臨床試験において、全生存期間の延長を達成することができなかったと発表した。

2) Sanofi / Synthorx

自然界のすべての生物の遺伝子情報は、A、G、C、Tの4種類の文字で表わされるが、Floyd Romesberg博士が率いるサンディエゴにあるScripps Research Instituteと博士が設立したSynthorxの研究チームが、自然界には無い2種類の遺伝子文字を追加した細菌を作成し、異質なたんぱく質を作り出すことに成功した。

博士は、「地球上の多様な生命はたった2つの塩基対、A-TとC-GからなるDNAでコードされている。われわれが作成したのは、この2対に加えて第3の人工の塩基対が安定して組み込まれた生物だ」と述べた。

Synthorxのプロジェクトの1つでは、抗がん剤「インターロイキン-2」の新しいバージョン(THOR-707)を作ることを目指している。インターロイキン-2は複数の厄介な副作用を伴うが、半合成のバクテリアが鍵となるポイントにおいて普通で無い成分に入れ換えることで、問題を解決できるかもしれないとされる。

Sanofiはこれを大きく評価しており、これと同社の製品とのコンビネーションを期待している。

ーーー

Sanofiは買収資金を確保するため、提携相手の米Regeneron Pharmaceuticalsの株式を売却する可能性があることを明らかにした。

Sanofiはまた、血友病や乳がん、多発性硬化症、希少疾患など6つの有望な治療分野に照準を定め、糖尿病と心臓疾患の研究をやめ、生産性を高めることで2022年までに20億ユーロの節減を見込むことを明らかにした。

「画期的なイノベーションがより難しくなりつつあり、効率を高めてチャンスのある分野に経営資源を投入する必要があることを認識している」としている。

米中両政府は12月13日、貿易協議の「第1段階」で正式合意したと発表した。

米国は対中制裁関税の新規発動を中止し、発動済みの関税を一部緩和する。米政府によると、中国は米国から年間500億ドル規模の農産品購入を約束した。
来年1月初めの署名を目指して中国と合意文書の作成作業を進める。

今回は口頭での合意で、これから文書化して署名する。双方の発表には一致していない部分もあり、両国首脳が署名して初めて安心できる。

付記

トランプ大統領は12月31日、中国側高官を1月15日にホワイトハウスに招き、正式に合意文書に署名するとツイッターで表明した。

I will be signing our very large and comprehensive Phase One Trade Deal with China on January 15.
The ceremony will take place at the White House. High level representatives of China will be present.
At a later date I will be going to Beijing where talks will begin on Phase Two!

ーーー

Trump大統領は5月5日、中国の知的財産権侵害などを理由に2000億ドル分の同国製品に課す関税を、5月10日から現在の10%から25%に引き上げると表明した。

大統領は5月8日、フロリダ州で開かれた支持者集会で、「中国が約束を破った。そんなことは許さない。だから中国は代償を払うことになる」と述べた。

米ブルームバーグ通信によると、北京での閣僚協議で中国側が、外国企業に対する技術移転強要を是正する法整備を拒否した。ライトハイザー氏からその報告を受けた大統領が怒り、追加関税を課す対中制裁の強化を決めたという。

中国側は文書に署名して初めて正式合意であるとした。

2019/5/14 米中通商協議で3つの相違点

ーーー

White Houseは"Historic Phase One Trade Agreement"で合意したと誇った。

中国は、知財、技術移転、農業、金融サービス、通貨、為替レートの分野での構造改革に同意した。
効果的な実施のための強力な紛争解決制度を含んでいる。

合意の一部として、米国はSection 301での追加関税を大きく修正することに合意した。

このPhase 1 交渉は、米国の対中貿易のバランス回復に向け重要な一歩となる。

USTRも同様の発表をしたが、中国製品に対する制裁関税については以下の通り。

米国はSection 301 調査で制裁関税を課した。
今回、中国製品2500億ドルに対する25%の制裁関税は維持する。1200億ドルに対する関税(現在15%)は7.5%とする。

(12月15日発動予定の消費財 1600億ドル に対する15%の制裁関税は延期と報じられるが、USTRはこれに触れていない。)

USTRは Fact Sheet を発表した。

技術移転 中国は外国企業の中国進出や政府承認の取得等の見返りに技術移転を求める永年の慣行を止めることに同意。
技術移転、ライセンスは市場条件に基づく。
中国政府は外国の技術を取得するための海外投資支援をやめる。
農業 貿易の構造的障壁を取り除き、米国の食品、農業製品・海産物の輸出の大幅拡大をサポート
農業製品・海産物への非関税障壁を取り除く。
金融サービス 幅広い金融サービス業者に対する永年の貿易・投資バリアを取り除く。
通貨 通貨切り下げや為替レートの目標設定をやめる。透明性、説明メカニズムを推進。
貿易拡大 中国は2年間で2000億ドル以上の財・サービスの輸入(2017年比で)
輸入増は、製造製品、食料、農業・海産物、エネルギー製品、サービスを含む。
2021年以降も数年間、同じ傾向を続け、米中貿易のリバランスに。
紛争解決 合意違反なら必要な措置を取る。(報道では関税再発動)

中国政府高官は13日、第1段階の貿易協定を発表した。

合意は、「序文、知的財産権、技術移転、食料と農産物、金融サービス、為替レートと透明性、貿易拡大、二国間評価と紛争解決、最終条項の9章」が含まれる。

可能な限り早期に法的なレビューや翻訳校正などの必要な手続きを完了し、契約の正式な署名に関する具体的な取り決めを交渉する。

米国が中国製品に対する関税の賦課を段階的に廃止する。

中国は米国の農産物の輸入を大幅に増やし、農産物の国内需給のギャップを埋めることができる。米国は、中国で作られた「調理された家禽およびナマズ製品」、および梨の柑橘類と新鮮なナツメヤシを米国に輸出することに同意した。

知的財産権に関して、企業秘密、薬物に関連する知的財産権の保護、特許の有効性の延長、地理的表示、著作権侵害の取り締まり、電子商取引プラットフォームの偽造など、いくつかの分野で合意に達した。著作権侵害および偽造製品の生産と輸出を取り締まり、商標の悪意のある登録を取り締まり、知的財産権の司法執行と手続きを強化する。
これは、知的財産保護の強化に関する中国の改革の方向に沿っており、イノベーションの保護に資し、外国の知的財産の中国への参入を促進し、高品質の経済発展を促進する必要性を満たしている。-

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報道では、制裁関税での合意は以下の通り。

米国 2500億ドル分は25%の関税を維持
1200億ドル分は15%の関税を半分の7.5%に引き下げ (署名の30日後に)
12/15実施予定の1600億ドル分への15%追加課税を延期
中国 12/15実施予定の5%&10%追加関税を延期(自動車関税 25%+10% も延期)


米国の対中制裁関税:

当初 8/23 発表 10/11 12/13
①~③
2500億ドル
① 340億ドル  2018/7/6  25% 2019/10/1 30%予定
(→10/15に延期)
引き上げ延期 
(25%維持)
25%据え置き
② 160億ドル 2018/8/23  25%
③ 2000億ドル 2018/9/24   10%
→2019/5/10 25%
④ 3000億ドル 一般  1200億ドル 2019/9/1  10% 9/1  15% 7.5%に引き下げ
消費財 1600億ドル 2019/12/15 10% 12/15 15%予定 発動見送り


中国の対米報復関税:青字が今回合意

当初 8/1発表 12/13
①+② 
500億ドル
①340億ドル 2018/7/6 25%


うち自動車
2019/1から停止→



(自動車)
2019/12/15 復活





(自動車部品)
2019/12/15 復活

5078の税目、約750億ドル
5% & 10%(追加&新規)

2019/9/1 計1717品目

2019/12/5 計3361品目予定

なお、9/11に除外品目発表

①②③ 9/11除外品目除き、据え置き
自動車・部品は停止


5078の税目
9/1実施分 据え置き
12/5分 見送り

②160億ドル 2018/8/23 25%
③600億ドル A 2018/9/24 5%


うち部品
2019/4から停止→

B 2018/9/24 10%
Bの一部 2019/6/1→ 20%
Bの一部     → 25%


中国の乗用車関税:

  全体 対米国
当初 25% 25%
2018年5月 15%

15%
2018年7月 対米追加関税 25% 40%
2019年1月~3月 対米追加関税免除 15%
2019年4月1日より追加関税を一時停止 15%
2019年12月15日以降 復活+追加10%予定 50%
2019/12/13  停止 15%


これまでの経緯:

8/1 米国 中国からの輸入品3千億ドル分を対象とする追加関税「第4弾」を9月1日に発動
 2019/8/2 トランプ大統領、9月1日に対中関税第4弾 ツイートで表明
8/6 中国 「第4弾」の発動表明への制裁措置
 2019/8/7 中国、米農産品の購入を一時停止
8/13 米国 「第4弾」9/1発動、健康や安全、安全保障に関わる製品は除外し、1200億ドルに課税
    特定品目(1600億ドル)の発動を12月15日に先送り
 
2019/8/14 米の対中関税第4弾、スマホなど12月15日に先送り
中国 米国原産の5078の税目、約750億ドル分の製品に対し、10%と5%の追加関税(9/1、12/15)
停止していた自動車向けの25%追加関税を2019年12月15日から復活 
 2019/8/26 中国、米国製品750億ドル分に追加関税
8/23 米国 中国の報復への再報復
これまでに課している2500億ドル相当の中国製品に対する関税を10/1から現在の25%から30%に引き上げ
第4弾税率も10%→15%
 2019/8/26 米国、中国の報復関税に更に対抗関税、米国企業に中国撤退を要求 
9/11 米国 2500億ドル分の中国製品に対する制裁関税の拡大を10月15日に先送りすると発表。
中国 対米追加関税対象商品の除外リスト第1弾、16品目を発表。
続いて、大豆や豚肉などの追加関税適用を除外するとともに、農産物を一定量購入することを決めた。
 2019/9/16 中国、対米追加関税除外を拡大
10/11 米国 10月15日に実施予定の2500億ドル分の中国製品に対する制裁関税の拡大は延期
 2019/10/12 米中貿易協議 部分合意、対中関税引き上げ延期

英国の下院総選挙が12月12日に実施され、即日開票となった。

前日時点では、与党・保守党が優位を保っているが、最大野党・労働党の差は徐々に縮まっており、なお予断を許さないとされていた。

しかし、結果は保守党の圧勝で、365議席を確保し、過半数の326議席を大きく上回った。

労働党は40議席を失い、203議席にとどまった。 (下院議長のSir Lindsay Hoyleを除くと202議席)
特に、離脱賛成が多いイングランドで47議席を失った。

スコットランドの独立・EU残留を主張するスコットランド国民党が議席を大きく増やした。

保守党の勝利には次の点が影響を与えた。

これまでの議会の議論への失望
Brexit 党が候補を出さなかったことで、共倒れが避けられた。
労働党がBrexitの賛否を明らかにしなかった。(党内にBrexit派と残留派がいて、対応に苦慮し、Brexitの是非を問う国民投票の再実施などを公約に掲げた。 )

2019/11/29 英国与野党の選挙マニフェスト

今回の結果と過去の実績:

解散

2017/6/8
選挙
2019/10 直前の異動 今回
解散前
今回
選挙
保守党 330 317 288 +10 298 365
民主統一党(NI) 8 10 10 10 8
(与党)

(327) (298) (308)
労働党 232 262 244 -1 243 203
スコットランド国民党(Scot) 56 35 35 35 47
自由民主党 8 12 19 +1 20 11
独立党 1 0 0 0 1
独立グループ 0 36 -10 -1 -1 24
Change UK 5 5 0
シンフェイン党(NI) 4 7 7 7 7
ブライドカムリ(Wales) 3 4 4 4 4
緑の党 1 1 1 1 1
社会民主労働党(NI) 3 0 0 0 2
北アイルランド同盟党(NI) 0 0 0 0 1
アルスター統一党(NI) 2 0 0 0 0
無所属 1 1 0 0 0
議長 1 1 1 -1 +1 1
空席 0 0 0 +2 2 0
合計 650 650 650 650 650 650

John Bercow下院議長が10月31日に議員を引退した。他に独立グループから1名引退、1名が自由民主党に移った。
後任の議長の選任は11月4日に行われ、労働党のSir Lindsay Hoyleが議長に選任された。
与党保守党は党籍停止者のうち、10名を党に復帰させた。

NI: 北アイルランド政党、Scot:スコットランド政党、Wales:ウェールズ政党

投票数では、保守党が43.6%、労働党が32.1%、自由民主党が11.5%、スコットランド国民党が3.9%・・・ となっているが、単純小選挙区制度で各選挙区での勝者が当選するため、議席数は大きく差が出る。

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保守党は勝利を受け、10月のEUとの合意に基づくEU離脱協定法案を年内にも議会に提出し、年明けに通過させ、2020年1月31日に離脱を実現する。

2019年3月29日から3度にわたって延期されてきたブレグジットがようやく実現する。

なお、協定に基づき、2020年12月末までが移行期間となり、その間の短期間にEUとのFTAを締結・発効させることが必要となる。
FTAを発効できないと、移行期間終了後に関税が発生することになる。

韓国の基礎科学研究院多次元炭素材料研究団のRodney Ruoff団長〔蔚山科学技術院 自然科学部特訓教授〕が率いる研究チームは12月10日、簡単な工程でグラフェンを0.5ナノメートルのダイヤモンド薄膜(diamane)に変身させることに成功したと発表した。

ダイヤモンドを2次元の平面形態として製作することができれば、ダイヤモンドの優れた物性を半導体素子をはじめ電気・機械・化学などの多分野に幅広く利用することができる。
研究結果は国際学術誌 Nature Nanotechnology電子版に掲載された。

シリコンや炭化ケイ素、窒化ガリウムといった半導体素材と比べ、ダイヤモンドは絶縁耐圧や熱伝導率といった物理特性に優れており、究極の半導体になると言われているが、その実用化は技術的に実現不可能と思われてきた。近年、物質・材料研究機構、産業技術総合研究所などの日本の研究グループや日本国内の企業などで高品質ダイヤモンド薄膜の合成に成功するなど、基礎技術が発展がしてきている。

ダイヤモンドは熱伝導性が高く、硬くて熱や電気にも強いという特性があるため、たとえば電力制御系の半導体においてはシリコン製の半導体の約30分の1の薄さで同じ電圧に耐えられ、小型化できる。また、1万アンペア以上の大電流を扱える半導体素子や、温度が上がるほど発光効率が高まるLEDなども期待されている。

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グラフェンとダイヤモンドはともに炭素原子だけで構成されているが、原子の結合形態が異なる。

グラフェンは強度が高くて、熱と電気をよく伝えることはもちろん、2次元物質なので自由自在に曲がる。
反面、ダイヤモンドは熱伝導性と剛性に優れているが電気は通さず、簡単に曲がらない。

これまでグラフェンの結合構造に変化を与えて薄い超薄膜ダイヤモンド(Diamane) を合成しようとする研究が登場したがまだ商用化に至ることはできなかった。
結合構造を変化させる過程で非常に高い圧力が必要で、製造費用がかさむだけでなく、圧力が低くなれば再びグラフェンに戻るなど安定性を維持できなかった。

研究陣は2個のグラフェンが重なり合う構造の二層グラフェンで大気圧でも安定したダイアメインを世界で初めて合成した。

常温・低圧環境で化学的処理だけを経てダイアメインを合成できるため、高圧が必要だった既存の技術に比べて製造費用を大幅に軽減できるという長所もある。

「フッ素を注入する過程を通じてグラフェンの炭素結合をダイヤモンドのような結合形態に簡単に変え、欠陥も最小化した」としており、フッ素化過程を通じて合成したという意味で、「F-diamane」と命名した。

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なお、炭素原子を含む原料を分解し、炭素原子を組み上げてグラフェンを合成するボトムアップ合成法は、CVD法 (化学的気相合成法)、SiC (シリコンカーバイド)分解法に限定されていた。
熱化学反応のみを利用するCVD法やSiC分解法では、通常、高温の熱エネルギーが必要となる。

東北大学多元物質科学研究所、学際科学フロンティア研究所は12月11日、亜臨界水反応場を適用することで、電気分解によるグラフェン合成に世界で初めて成功したと発表した。

水熱電解法では、熱エネルギーに加えて電気エネルギーも併せて利用でき、新たな選択肢が加わった。

酢酸水溶液を封入し、昇温、昇圧した容器中の電極間に3.5 Vの電圧を印加することで、白金陰極表面にグラフェンを堆積させることが出来る。
酢酸以外にも蟻酸、エタノール、メタノールからも同様のグラフェン合成が出来る。

米、カナダ、メキシコの3国は12月10日、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の内容を一部修正する議定書にサインした。

3カ国は昨年、新協定に署名したが、その後、米下院で過半数を握る野党民主党が労働基準の厳格化などを要求し、3カ国が修正協議を行ってきた。

ペロシ米下院議長(民主党)は12月10日の記者会見でUSMCAの修正についてトランプ政権と合意に達した旨を発表した。「政権の当初案よりはるかに優れている」とし、USMCAは下院で採決できる内容になったとの見方を示した。年内の会期中に採決したいとした。

トランプ大統領はツイッターに「USMCA法案は米国史上で最良かつ最も重要な貿易協定になる。皆にとって良い内容だ」と投稿し、「最悪の協定だったNAFTAをついに廃止できる!」と強調した。

ライトハイザーUSTR代表は署名式の席上、「交渉の結果、歴史上最高の協定となった。域内の労働者、農家に有益で、デジタル貿易および電子商取引はゴールドスタンダードとなる。協定は初めての真の超党派の合意で、大統領や下院議長、民主・共和党、労働組合、産業界が一体となった奇跡的なもの」とたたえた。

ホワイトハウスは年内の批准を「強く求めていく」と言明した。

ただ、共和党のマコネル上院院内総務は、上院では休会前に協定を取り上げないと発言。採決が年明けに持ち越される可能性が浮上し、早期批准に新たな不透明感が生じた。


付記

米議会下院は12月19日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定(USMCA) の実施法案を可決し、上院へ送付した。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 192 193 385
反対 2 38 1 41
棄権 3 2 5
合計 197 233 1 431

上院は2020年1月に開くトランプ米大統領の弾劾裁判後に採決する。

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Ronald Trump は2016年10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約 "Donald Trump's Contract With The American Voter" を発表した。

大統領就任の1日目に、米国の労働者保護のため、7つのアクションを行うとし、そのなかにNAFTA再交渉が含まれた。

 1) 米・加・メキシコの北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思を発表

大統領就任直後の2017年1月22日、トランプはメキシコ、カナダとの個別の首脳会談でNAFTAの再交渉を始めると表明した。

米通商代表部(USTR)は2017年7月17日、カナダ、メキシコと始めるNAFTA再交渉に向け、貿易赤字の削減など22項目の協議目標を公表した。

その後、3カ国は交渉を続け、2018年9月30日に内容について実質合意がされ、2018年10月1日に正式に合意した。 新しいNAFTAは米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に改称した。

2018年11月30日にブエノスアイレスにおける2018G20サミットの席上で署名された。

2018/10/4 NAFTA、3カ国協定を維持、USMCAに改称

各国の立法府による協定の批准が必要である。

トランプ米大統領は2018年12月1日、既存の北米自由貿易協定(NAFTA)からの離脱を議会に近く通知する意向を示した。
議会通知後6カ月で正式に離脱できることになっており、それまでにUSMCAが発効していないとカナダ・メキシコとの貿易協定がなくなることとなり、議会に早期承認を迫った。

米国国際貿易委員会(ITC)は2019年4月18日、USMCAが米国経済や産業へ与える影響報告書を発表し 、USMCAが米国経済にポジティブな影響を与えると結論付けた。

しかし、民主党は、労働基準やバイオ医薬品に関する規定などの問題について懸念は解消されないと主張し、説得に応じなかった。

米国の労働組合と民主党は、これまで長い間、メキシコの労働者が自由に労働組合を結成し、公正な賃金を要求することが常に許されているわけではないと指摘 してきた。
それにより米国の製造業が悪影響を受けていると主張している。

メキシコ上院は2019年6月19日、USMCAの批准法案を賛成114、反対3、棄権3の賛成多数で可決し 、官報での公布で批准手続きが完了した。

一方、カナダは米国と歩調を合わせたいとして批准手続きを先送りした。

ペロシ下院議長は、最終的にはUSMCAを支持する方針を示唆しているものの、補完協定等による対応では不十分として再交渉を求め た。
ライトハイザー通商代表は、再交渉は否定しつつ、ペロシ氏の意向を尊重する姿勢を示しており、民主党との調整が続い た。

ペロシ下院議長は9月3日、カナダのトルドー首相と電話で会談し、USMCAについて、民主党は特に執行の問題とメキシコの労働基準の施行面の問題を懸念していると伝えた。
「労働基準、処方薬の価格、環境保護、具体的な執行メカニズムが民主党の重要な懸念事項になっている」との認識を改めて示した。

ペロシ下院議長は11月25日、USMCAについて最終的な見直しが必要との見解を示し、民主党が支持できる修正案が「射程内」に入っていると述べた。

メキシコのセアデ外務次官は11月27日、米国、メキシコ、カナダの3カ国は合意に向け前進していると説明し、米国内での批准を後押しするため、労働争議をどのように扱うかに関して修正することが可能との見解を示した。

トランプ政権と下院民主党は、労働分野や鉄鋼・アルミ分野などの修正を巡りメキシコ側と協議を重ねた。

メキシコの外相によると、米国側が議会の批准承認審議を進めるために修正を求めているのは、以下の内容。

1) メキシコの職場での労働法順守を確認するための米国査察官による査察受け入れ

2 )環境保護対策の強化

3) バイオ医薬品の承認とデータ保護期間

4) 鉄、アルミニウムの原産地規則

このうち、1)は内政干渉だとし、メキシコ政府として断固として拒否する構えだが、国家間の紛争処理パネルで、他のテーマ同様に労働問題を扱うことには賛成するとしている。4)については、鉄は協定発効から5年間の猶予期間を求め、アルミについてはメキシコでは原料のボーキサイトが取れないことから拒否する構え。

ペロシ米下院議長(民主党)は12月10日の記者会見でUSMCAの修正についてトランプ政権と合意に達した旨を発表した。

米、カナダ、メキシコの3国は同日、USMCAの内容を一部修正する議定書にサインした。

修正事項は下記の通り。


米国・メキシコ間の協議で米国側が要求していた、鉄鋼とアルミニウムについて域内での鋳造加工を求める原産地規則は資料には盛り込まれていない。
鉄鋼については協定発効から7年後に義務化される見込みだが、アルミニウムに関しては10年かけて3カ国間で交渉し、扱いを定めるもよう。

労働ルールの修正について、AFL-CIOは「義務を順守しない工場や施設に対して査察を行う手続きを含め、初めて取り締まり可能な労働基準ができる」として、修正を支持するコメントを発表した。

処方薬に関わる修正について、バイオ医薬品データを10年間保護する規定が削除された。民主党が米国の薬価上昇につながると懸念した。
製薬団体は「今回の勝者は米国の知的財産を奪ってただ乗りする外国政府のみ」と反対意見を表明した。


ロシアのエネルギー大手Rosneftが、北極圏の油田開発で三菱商事など複数の日本企業に出資を打診することが分かった。

近く来日するロスネフチのイーゴリ・セチン最高経営責任者(CEO)が日本政府や企業に北極圏の資源開発計画「ボストーク・オイル」の概要を説明し、事業への出資と協力を要請する見通しだ。資源エネルギー庁や石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、国際石油開発帝石などの幹部が説明を受ける。日本経済新聞が報じた。

Vostok Oil は、国営石油会社 Rosneft とRosneft の元社長のEduard Khudainatovが経営するロシアの私企業 Neftegazholding (NGH) のJVである。

下記の通り、Vostok OilにはRosneftとインドの投資家グループが組んで10年ほど操業している油田が含まれるが、RosneftはVostok Oilの株の15-20%をインドの投資家グループに渡す予定である。これに加え、日本企業からの出資を求める。中国なども参加を考えているとされる。


Rosneftは同じ地域に未開発の油田を持つNeftegazholdingとのVostok Oil 計画を立てた。

2019年4月1日、プーチン大統領はRosneftのIgor Sechin社長と面会し、特に北極海航路の輸送量増加や船舶建設について、2018年の成果や今後の計画について議論を行った。

この中で、Sechin社長は、北極海で同社が有するVankor油田群(Suzunskoye,、Tagulskoye、Lodochnoye)やTaymyr南部油田、Taymyr東部油田などの探査プロジェクトを統合することで、2030年までに1億トンの原油を生産したい、と述べた。また、同氏は資産を統合することで、外国の投資を呼び込むことができると説明し、すでに欧州や東南アジアの投資家が関心を示しているとした。

Sechin社長はまた、北極海の効果的な開発には政府の支援が必要だとし、特に外国からの投資を増やすための前提条件として、税金面や規制面で、生産の全期間に亘って安定性を保証する政策の必要性を説明した。

インドや中国などの投資家のコンソーシアムは、ロシア政府の支援がある場合のみ出資するとしてRosneft を支援した。

Vostok Oilは北極圏で次のような油田を持っている。

Paiyakhskoye 油田(未開発): Neftegazholdingの所有で、採掘可能埋蔵量は88億バレル。

Vankor 油田群:Rosneft の所有。Rosneftはインドの投資家グループと組み、10年ほど操業している。

Rosneft とBPが2016年に設立したJV(Rosneft 51%) の Yermak Neftegaz LLC (2023年操業開始予定)をVostokに含む件が交渉中である。

Rosneftは当初、次の支援策を要求した。

30年間の免税:
 新油田での資源採取税の免税、操業中のVankor油田での資産採取税の減税
 不動産取得税の免税
所得税の減税(20%を7%に)

これを受け、ロシア政府も支援策を決めた。(今後、議会で審議)

資源採取税(mineral extraction tax )については、年間生産量が埋蔵量の1%に達するまでの間(又は12年間)ゼロにし、次の5年は1%とし、その後順次引き上げる。
土地や資産に課す税金もゼロにする。インフラへの投資額の50%の減税。外国労働者の制限の免除など。


本件は 開発費が17兆円規模に達すると想定される大型案件で、2030年に日量200万バレルの生産を目指す。

実現すれば中東に原油を依存する日本にとって調達先の分散につながる。政治リスクや収益性などを見極めたうえで、実際の参画を検討する。

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なお、2019年6月29日に石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と三井物産は、Novatekが推進するアークティックLNG2プロジェクトへの10%出資を決めている。

2019/4/30 北海LNG計画に中国2社が参加 付記

米民主党は12月10日、トランプ大統領に対する弾劾条項(弾劾訴追状)を発表した。弾劾条項は正式な決議案の形式で、トランプ氏を職権乱用と議会妨害の罪に問う内容。

職権乱用は、大統領がウクライナ政府への支援を保留し、民主党の政敵に対する捜査の発表を求めたことによるもの。
議会妨害は、弾劾調査のため出された召喚状に従わないよう連邦当局者らに命じたことによるもの。

決議案は今週、下院司法委員会で可決、来週には下院本会議で採決にかけられる見通し。可決されれば、トランプ氏は弾劾訴追され、上院で弾劾裁判にかけられる。

下院司法委員会のNadler委員長(民主党)は、2020年米大統領選に介入するようウクライナ政府に圧力をかけたことは、「国益を無視し、もしくは国益を傷つけながら、不当な個人的利益を得るため」に行った大統領権限の乱用だと言明した。

さらに委員長は2つ目の弾劾条項として、トランプ氏が一貫して下院の弾劾調査を妨害してきたと指摘。個人的利益のため政敵への捜査をウクライナに働きかけたことが「ばれて、下院が弾劾調査を開始すると、トランプ大統領は前例がないほど全面的かつ一貫して、弾劾調査に抗ってきた」ため、これが議会妨害にあたると述べた。

「次のことをはっきりさせなければいけない。たとえ大統領であろうとも、法を超越することは誰にもできない。彼は(国民の)信頼を裏切り、国よりも自身を優先することで、憲法やわれわれの民主主義、国家安全保障を危険にさらしている」と指摘した。


一方、大統領はツイッターで、弾劾条項の内容を「sheer Political Madness!」と一蹴し、ウクライナ側は圧力はなかったとしており、民主党を知っていると述べ、「魔女狩り」だと叫んだ。

To Impeach a President who has proven through results, including producing perhaps the strongest economy in our country's history, to have one of the most successful presidencies ever, and most importantly, who has done NOTHING wrong, is sheer Political Madness!

Nadler just said that I "pressured Ukraine to interfere in our 2020 Election." Ridiculous, and he knows that is not true.
Both the President & Foreign Minister of Ukraine said, many times, that there "WAS NO PRESSURE."
Nadler and the Dems know this, but refuse to acknowledge!

WITCH HUNT!

京都大学が実施するヒトのiPS細胞のストック事業を巡り、竹本科学技術担当相は12月6日の閣議後記者会見で「2022年度まで支援を続ける」と述べた。当初の計画通り年間十数億円が補助される見通しとなった。

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山中教授は2012年5月のフォーラムで、iPS細胞による再生医療について「2020年まで全力疾走で研究を進め、新しい医学を確立させたい」と述べ、iPS細胞をタイプ別に準備する「iPS細胞ストック」の構築事業に取り組む方針も明らかにした。

iPS作成には1人当たり1千万円程度がかかり、作製に半年が必要で急場の間に合わない。このため、再生医療用に研究機関や企業に提供するため、厳重に品質管理されたiPS細胞ストックを構築するもの。

2012/7/26 「iPS細胞ストック構築」で赤十字と提携

ストック事業は、文部科学省の再生医療に関するプログラムの一環として2013年に始まった。

当初は140種類のiPS細胞をそろえて日本人の9割をカバーする目標が設定されたが、その後、供給が始まった4種類と、拒絶反応が起きにくいようゲノム編集した6種類のiPS細胞で日本人のほぼ全員をカバーする方針に転換した。

国はこの事業を10年間は支援することにし、昨年度は13億円、これまでに計90億円以上を投じてきた。

山中所長らは2018年12月に、高品質な細胞を大量培養するストック事業を研究や教育に主眼を置く大学で両立させるのは困難だとして、事業を外部移管する方針を表明。文科省の専門部会が2019年8月に了承した。

京都大は2019年9月6日、「ストック事業」を移管するための一般財団法人「京都大学iPS細胞研究財団」を設立した。合わせて内閣府に対し、税制優遇を受けられる公益財団法人になるための申請をした。

財団では、大学から独立してiPS細胞の製造や品質評価、保管・管理などを担い、備蓄細胞の販売収入などで事業を継続できる体制を整える。

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今秋に入り、京都大のiPS細胞の備蓄事業について、政府が、年約10億円を投じてきた予算を打ち切る可能性を京大側に伝えた。
ノーベル賞受賞から7年たって基礎研究から事業化の段階になってきたことや、企業ニーズとの違いが浮き彫りになったことが背景にある。

iPS細胞から移植用の細胞をつくる企業の側は、複数の型を使うことに慎重なことが明らかになった。
免疫抑制剤の進歩もあり、1種類のiPS細胞だけを使い、免疫抑制剤で拒絶反応を抑える方が事業として成り立ちやすいとの判断がある。

iPS細胞からつくった細胞が臨床研究で目や神経の難病患者に移植されるようになったことで、政府は事業化の段階に入りつつあると判断、医療政策を担う内閣官房の幹部らが、来年度から研究開発費を打ち切る可能性を山中教授に伝えたという。

付記

一部報道で、和泉洋人首相補佐官と大坪寛子厚生労働省大臣官房審議官(兼内閣官房健康・医療戦略室次長)が密室の場で国費投入の廃止を突如打ち出していたと報じられた。

事業の責任者を務める山中教授は「研究に専念させてほしい」と訴えるなど、打ち切り反対の論陣を展開した。

細胞の製造、培養する部屋は14あり、年15~16億円の予算が必要になるという。

企業に運営費を負担してもらうという考え方もあるが、山中教授は「コストを単純計算すると1億円以上かかるが、この段階でお金を回収することが目標ではない。今は企業の競争力を上げ、できるだけたくさんの企業に成功してもらうことが目標だ」と している。「(企業が育てば)将来的に雇用や税収という形で国にも返ってくる。患者にもより早く新しい医療が届く。先々の投資という意味で、国の支援は続けて欲しい」と述べた。

自民党と公明党も、竹本科技相に宛て現状のまま支援を継続するように提言を出した。


OPECは12月6日、ウィーンの本部でロシアなどOPEC非加盟の産油国も参加する閣僚級会合を開き、原油の減産規模を日量50万バレル拡大させることで合意した。

2019年1月から実施している日量120万バレルの協調減産の規模を50万バレル拡大し、170万バレルとする。年明け1月以降、3月まで実施する。

2020年3月末までとしている減産期間の延長は盛り込まず、延長の是非を3月上旬に協議することとした。サウジのエネルギー相は「この協力体制は続いていく。今後は状況を確認しながら、追加の対策が必要かどうかを確認する必要がある」と述べた。

OPECプラスの決定は最近の生産水準を追認する規模でしかなかったが、その後の記者会見で、サウジは独自で更に日量40万バレルの減産を自発的に行うと表明した。自発的な追加減産は他のOPEC加盟国がそれぞれの生産目標を完全に履行することが条件になるとくぎを刺した。

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OPECとロシアなどの非加盟の主要産油国は2016年12月10日、ウィーンのOPEC本部で閣僚会合を開き、協調減産で合意した。

OPECは11月30日に国別としては8年ぶりの減産で合意した。日量1,164千バレルの減産とし、2017年1月以降の生産枠を32,684千バレルとしたが、非加盟国の参加を減産実施の条件としていた。

参加したのは、ロシア、メキシコなど、合計11国で、ロシアが日量300千バレル、メキシコが100千バレルなど、合計558千バレルの減産を約束した。これにより、OPECと合わせて1,722千バレルの減産となる。

2016/12/12 OPEC と非加盟国、原油の協調減産で合意

OPECとロシアなど非加盟国は2018年12月7日、2019年1月から合計で日量120万バレル減産することで合意した。

2018年10月の生産量をベースに、OPECは日量80万バレル(2.5%相当)、非OPEC諸国は40万バレル(2.0%相当)を減産する。

2018/12/8 OPEC-Plus、減産を発表

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2017年1月から始まった協調減産は長期化しているものの、価格上昇につながっておらず、参加国からは不満の声が出ている。

サウジアラビアは同日、OPEC加盟国と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」会合で合意した50万バレルの減産に加え、さらに40万バレルを自発的に減産すると明らかにした。

サウジアラビアは、国営石油会社Saudi Aramcoの新規株式公開(IPO)を控えており、原油価格を下支えすることで同社の株価低迷を避ける思惑もあると見られる。

2018年10月の生産量をベースとする減産量は下記の通りとなる。

2019/1~ 2020/1~ サウジ自主 合計
OPEC 80万バレル 37万バレル 40万バレル 157万バレル
非OPEC 40万バレル 13万バレル 53万バレル
120万バレる 50万バレル 40万バレル 210万バレル



新聞情報による国別減産量は下記の通り。

OPEC加盟国

    加盟 脱退

減産(千バレル)

2019

2020

イラク 中東 1960   141 50
イラン 中東 1960   0 0
クウェート 中東 1960   85 55
サウジアラビア 中東 1960   322 167 400
ベネズエラ  南米 1960   0 0
カタール 中東 1961 2019
インドネシア アジア 1962 2016
リビア  アフリカ 1962   0 0
UAE 中東 1967   96 60
アルジェリア  アフリカ 1969   32 12
ナイジェリア アフリカ 1971   53 21
エクアドル 南米 1973 2020  16
ガボン アフリカ 1975   6 2
アンゴラ  アフリカ 2007   47 0
赤道ギニア アフリカ  2017   4 1
コンゴ アフリカ  2018   10 4
加盟国   16か国

13か国

812 372 400
 
Non-OPEC
減産(千バレル)
2019 2020
Russia 旧ソ連 230 70
Azerbaijan 旧ソ連 20 7
Kazakhstan 旧ソ連 40 17
Bahrain 中東 5 2
Oman 中東 25 9
Brunei アジア 3 1
Malaysia アジア 15 5
Mexico 北米 40 18
South Sudan アフリカ 3 1
Sudan アフリカ 2 1
合計 10か国 383 131

当初は11カ国であったが、赤道ギニアが2017年5月25日の総会で、OPEC即時加盟の承認を得た。

 


米野党・民主党のペロシ下院議長は12月5日、トランプ大統領を弾劾訴追する方針を正式に表明した。

「大統領の行動は深刻な合衆国憲法違反だ。大統領はまたもや自らの利益のために選挙を腐敗させようとしており、我々には行動以外の選択肢は残されていない」と述べ、弾劾の根拠や理由などを記した決議案の作成をJerrold Nadler下院司法委員長(民主)に指示した。月内にこの決議案を下院本会議で採決する構え。

これに先立ち、トランプ大統領はツイッターで、「何もしない、crazy になった」民主党を批判、上院での弾劾裁判で否決するので、民主党は速やかに訴追を行うべきだと書き込んだ。
上院では共和党が過半数を占めており、2/3の弾劾賛成は無理と見られている。

The Do Nothing Democrats had a historically bad day yesterday in the House.
They have no Impeachment case and are demeaning our Country.
But nothing matters to them, they have gone crazy.

Therefore I say, if you are going to impeach me, do it now, fast, so we can have a fair trial in the Senate, and so that our Country can get back to business.
We will have Schiff, the Bidens, Pelosi and many more testify, and will reveal, for the first time, how corrupt our system really is.

I was elected to "Clean the Swamp," and that's what I am doing!

弾劾するなら、今、速やかにやれ。上院でフェアな弾劾裁判をやれる。我国が仕事に戻れるように。
Schiff下院情報委員長、Biden前副大統領親子、Pelosi 下院議長その他に証言させ、このシステムがいかに腐敗したものかを明らかにする。
私は問題解決のために大統領にえらばれた。それをやっているのだ!

The Do Nothing, Radical Left Democrats have just announced that they are going to seek to Impeach me over NOTHING.
They already gave up on the ridiculous Mueller "stuff," so now they hang their hats on two totally appropriate (perfect) phone calls with the Ukrainian President.

民主党はなにもしていない私を弾劾しようとしている。
2016年米大統領選へのロシアの介入疑惑に関するMueller特別検察官の馬鹿げた捜査報告書を使うのを諦め、ウクライナ大統領との全く問題ない電話会談を 理由にしている。

This will mean that the beyond important and seldom used act of Impeachment will be used routinely to attack future Presidents.
That is not what our Founders had in mind. The good thing is that the Republicans have NEVER been more united. We will win!

将来の大統領を常時 攻撃するために弾劾が使われることになる。これは建国者たちが考えたことではない。
共和党はこれまでになく まとまっている。我々は勝つ!

弾劾調査を進める下院司法委員会は弾劾訴追状の作成に向けて公聴会を12月9日に開く予定で、代理人を出席させるかどうか、大統領に回答を求めていた。

ホワイトハウスは12月6日、今後も公聴会などに政権関係者を出席させない考えを伝えた。「弾劾調査はまったく根拠が無く、適正手続きや公正さの基本原則を犯している。即刻、この弾劾調査を終わらせ、公聴会で時間を無駄にするべきではない」と述べ、調査に協力しない考えを示した。そのうえで、「弾劾したいなら、今すぐやれ。そうすれば、上院でフェアな弾劾裁判を開くことができる」という大統領の言葉を引用し、挑発した。

下院本会議では、民主党が過半数を占めるため (共和党 197、民主党 233、無所属 1)、決議案は可決される公算が大きい。

可決案が下院で可決されれば、上院で弾劾裁判が始まる。

弾劾には2/3 の賛成が必要だが、上院は共和党53、民主党系 47のため、弾劾には上院から20名の賛成が必要である。今のところ上院はまとまっており、否決される可能性が高い。


トランプ大統領が弾劾訴追されれば、1868年の第17代のAndrew Johnson、1998年の第42代のClinton 両大統領に続いて米国史上3人目の大統領となる。前の2人はいずれも、上院で2/3に達せず、弾劾を免れている。

Johnson大統領は、連邦政府による南部再建で南部人に寛大な政策をとったとみられ、そのせいで共和党急進派のメンバーと馬が合わず、政敵である陸軍長官スタントンを罷免したことからThe Tenure Law(政府高官が在職中は罷免を免れる法律)を破ったという口実で弾劾裁判にかけられた。
上院での弾劾決議の採決では賛成35票・反対19票で2/3に1票足りず、大統領の座を保った。


Clinton大統領は、「不適切な関係を持った」Monica Lewinsky事件で大統領の「品格」を問われ たが、「不適切な関係」では、さすがに弾劾にはならない。
大統領は大陪審での判事の前での宣誓証言の場で疑惑を全面否定した。前職のアーカンソー州知事時代のセクハラ疑惑で州職員の女性から訴えられていたが、その宣誓証言の場でたまたま、この実習生ジョーンズとの関係を聞かれ、うその供述をした。

司法委員会は4つの訴因を挙げた。第1の訴因は大陪審への偽証、第2の訴因は司法手続きの妨害、第3がジョーンズ訴訟での偽証、第4は下院司法委員会から大統領に送られた81の質問の一部に対する虚偽の回答である。

下院本会議での審議では、第1の訴因については228対206、第2の訴因については221対212の僅差であった。残りの訴因は否決された。

上院の弾劾裁判では、第1訴因については45対55、第2訴因では50対50で、いずれも弾劾賛成が2/3に達せず、大統領罷免は免れた。


なお、Nixon大統領のWatergate事件では、下院司法委員会は第1の弾劾(司法妨害)で27票対11票、第2の弾劾(権力の乱用)で28票対10票で、第3の弾劾(議会に対する侮辱)で
21対17で弾劾勧告を可決、下院本会議での弾劾決議が出る前に大統領を辞任した。


米下院は12月3日、中国の新疆ウイグル自治区での少数民族ウイグル人弾圧をめぐり、中国政府の高官らに制裁を科すよう トランプ大統領に求める「2019年ウイグル法案(Uighur Act of 2019)」を賛成407、反対1で可決した。

上院では9月11日に 新疆ウイグル自治区におけるトルコ系イスラム教徒に対する重大な人権侵害を非難し、中国の内外でこれらの少数民族に対する恣意的な拘禁、拷問、嫌がらせの終了を求める超党派法案 が満場一致で可決されているが、下院案はこれよりも厳しい内容。

下院案は上院に送付された。再度可決されれば大統領に送られる。

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香港人権・民主主義法案については、11月に上下両院でほぼ満場一致で可決され、大統領に送られた。

中国との貿易協議を抱えるトランプ大統領は、
香港の人権尊重と習氏との個人的関係を「両立させたい」と述べ、悩んだが、上院共和党への配慮で11月27日に署名し、法律となった。(拒否しても、上下院の2/3の賛成で覆すことができるため、法律になることは確実であった。)

中国は12月2日、対抗措置として、アメリカ軍の艦船が香港に寄港することを拒否するとともに、アメリカの複数のNGOに制裁を科すと発表した。

2019/11/25 米議会、香港人権法案を可決 及び 付記

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下院の「ウイグル人権法案」では、中国当局が2014年以来、テロ対策を名目に新疆ウイグル自治区でウイグル族らの弾圧を強化したと指摘。「再教育」施設に多数を収容、信教の自由を否定し、拷問などを実施していると強調した。

①大統領に対し、イスラム教徒への弾圧を非難し、新疆ウイグル自治区の北西部にある大規模な収容施設の閉鎖を呼び掛けることを求め、
②大統領に、法成立後120日以内に弾圧に関与した当局者のリストを議会に提出し、Global Magnitsky Actに基づき制裁を科すよう要求(同法は査証の発給停止や米国内の資産凍結の根拠となる)、
③ポンペオ国務長官に対し、自治区の再教育・強制労働施設に収容されている人数を推計するなど、弾圧の実態を報告するよう要求、
④顔・声認証技術など、個人の監視に利用可能な製品の中国への輸出も事実上禁止している。

Global Magnitsky Actは、ロシアのMagnitsky弁護士 が、ロシアの国営企業の不正を暴露して投獄され、暴力を受け続けて獄中死したことから、「弁護士の死とロシアにおける人権侵害に関わった全ての者に制裁を科す」として2012年に成立した。2016年以降、グローバルに適用される。


中国外務省は12月4日、法案可決は「内政干渉だ」として「強烈な憤慨と断固とした反対」を表明する報道官談話を発表した。

中国の過激派の根絶に向けた取り組みとテロ対策に対するいわれのない中傷で、中国政府の新疆統治政策に対する悪意に満ちた攻撃だと批判した。

「新疆問題は人権、民族、宗教問題ではなく、テロや国家の分裂にどう対抗するかという問題だ」とし、自治区政府によるテロ取り締まりは「新疆の各民族の広い支持を得ており、世界の反テロの取り組みにも貢献している」と主張した。


「香港人権・民主主義法」に続き米中関係の新たな火種となりそうだ。


サウジアラムコは12月5日、新規株式公開(IPO)の公開価格を32リヤル(8.534米ドル)に設定したと発表した。調達額は256億ドルと、2014年の中国アリババグループがNew Yorkで調達した250億ドルを超す「史上最大のIPO」になる。( 1リヤル=0.266688 US$)

この株価で計算すると、同社の企業価値は1.71兆ドルとなり、ムハンマド皇太子がこれまで主張してきた「2兆ドル」を下回る。


付記

Saudi Aramco は12月11日、国内証券取引所タダウルに株式を公開した。初値は値幅制限の上限となる35.2リアルを付け、売り出し価格(32リヤル)を10%上回った。
時価総額は約1兆8770億ドルと、米Apple(約1.2兆ドル)を上回り、世界最大の上場会社となった。

12月12日序盤の取引で8%高の38.15リヤルをつけ、企業価値は2兆ドルを超えた。(1.5%上場分の株価によるもので、実際の価値ではない。)

付記

Saudi Aramco は2020年1月12日、当初の30億株に加え、4.5億株を追加公開したと発表した。38億ドルを調達、合計で294億ドルとなった。

"greenshoe option"(or over-allotment) によるもので、引受証券会社は、売出し後に株価が堅調に推移している局面において、追加売出し分を、自らが売出人となり売出しを行うことが出来るが、その追加売出し分については、発行会社から追加調達するもの。


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Saudi Aramco は11月17日、新規株式公開(IPO)の購入希望の受け付けを正式に始めた。

AramcoはIPOを2段階で実施する。国内の証券取引所 Tadawul への上場を先行させ、2020年以降に海外市場でのIPOに踏み切る。

同社の発行済み株式数は2千億株だが、先ず、その1.5%の30億株を国内で売り出す。

Aramcoが設定した目標株価は30~32サウジリヤル(約 8.00~8.534米ドル) で、30億株で240~256億ドルになる。

サウジ人やサウジに居住する外国人投資家は11月28日までに購入の申し込みをする。内外の機関投資家向けの販売活動も正式に始まった。
全体の応募の締め切りは12月4日で、Aramcoは12月5日に最終的な売り出し価格を発表する。

2019/11/19 サウジアラムコ、まずサウジ国内で上場、IPOの受付開始

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アラムコは今回の30億株の1/3をリテール投資家に割当て、残りの2/3を機関投資家に割り当てた。

サウジアラビア通貨庁(SAMA)は国内投資家の需要を喚起するため、IPOでAramco株を取得するリテール投資家への貸し出し上限について、通常のIPOの2倍に引き上げた。

報道では、募集額の4.65倍(1190億ドル相当)の応募があったという。

2014年のナショナル・コマーシャル・バンクのIPOには公開株数の23倍の需要が集まっており、それらと比較すると、需要が強いとは言えない。

情報筋によると、アラムコはリヤドの Tadawul 取引所で12月12日に取引を開始することが予想されている。

米下院情報特別委員会は12月3日、トランプ大統領の「ウクライナ疑惑」に関する弾劾調査の報告書を公表した。

報告書は下院情報委が開いた公聴会や非公開証言をまとめた内容で、計300ページに及ぶ。下院を主導する民主が中心になって作成しており、 情報委員会でも党派に沿い、13対9 の賛成多数で承認した。

ただ、トランプ氏が弾劾に値するかどうかの判断には言及していない。

報告書の主な内容は下記の通り。

大統領は、自らの再選に有益とみてバイデン前副大統領に関する調査をウクライナに求めた。

ウクライナが調査を公表することをホワイトハウスでの首脳会談、軍事援助の条件にした。

こうした行為は「2020年大統領選で外国勢力の干渉を求めた」ことになる。

個人的利益を国益より上位に置き、大統領選のプロセスを損ね、米国の国家安全保障を危険にさらした。

疑惑解明に向けた調査にトランプ政権が非協力的だった。行政機関に、委員会での証言や資料提出に応じないよう指示し、証言者に脅しをかけた。

「トランプ氏は弾劾調査に対する前代未聞の妨害キャンペーンに関わった」。

「大統領の不正行為と、議会を妨害した証拠は計り知れないほどある」。

これに対し、ホワイトハウスの報道官は、下院民主党が「一方的な見せかけの手続き」を行ったものの、大統領による不正の証拠は出てこなかったと反論した。

情報委員会の報告発表を受け、12月4日からは下院司法委員会に舞台を移し、弾劾の法的根拠に関する審議に着手する。12月中の弾劾訴追をめざして詰めの作業を急ぐ。

下院司法委員会は12月4日、4人の憲法学者らを招き、公聴会を開いた。公聴会は生中継された。

民主党が推薦した3人はトランプ氏によるウクライナ政府への政敵調査の働きかけなどは「弾劾に値する」と表明したが、共和党推薦の証人は「拙速だ」として反対姿勢を示し、見解が割れた。

民主推薦のNoah Feldmanハーバード大教授:

18世紀に憲法が起草された時、草案者は「現職の大統領が職権を乱用して大統領選の結果を自身に有利になるよう歪める」と懸念していた。トランプ氏の行動はまさにこの懸念を体現する。「個人的な利益のために職権を乱用する大統領を弾劾できなければ、われわれは民主主義の国に住んでいるとは言えない。君主主義、もしくは独裁主義の下で暮らしていることになる」

民主推薦のPamela Karlanスタンフォード大学法科大学院教授:

トランプ大統領が外国に対し米選挙に介入するよう要請することで職権を乱用した。トランプ氏のウクライナに対する要求は憲法の下で贈収賄と解釈される。

民主推薦のMichael Gerhartノースカロライナ大学教授:

共和党は大統領による憲法に対する攻撃を看過した。
「議会が今回の件で弾劾に失敗すれば、弾劾手続きは全ての意味を失う。これに伴い、米国の地に国王が擁立されることを防ぐ憲法の安全装置が失われることになる。大統領であっても憲法および法律を超越することはできない」

共和推薦のJonathan Turleyジョージ・ワシントン大学教授:

トランプ氏の行動は贈収賄には当たらない。集められた証拠は民主党の主張を裏付けるものではない。「証拠が足りないからといって、怒りに駆られて弾劾の要件を下げることを懸念している」

ただ、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談について、政敵捜査の見返りとして米国の軍事支援を利用したことが「証明されれば、弾劾可能な事案となる可能性はある」

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司法委員会はトランプ大統領にも公聴会出席を呼び掛けており、11月29日に出欠の返事を要請した。

ホワイトハウスは12月1日、4日に開く公聴会について、トランプ氏も弁護士も出席しないとする書簡を、同委員会に送った。大統領が「公正に」公聴会に参加できるとは思えないとした。
2回目の公聴会への出席要請については、6日までに別途回答するとしている。

与党共和党の下院メンバーは12月2日、トランプ氏を全面擁護する調査報告書をまとめた。
トランプ政権のウクライナへの圧力は、ゼレンスキー大統領に腐敗対策を講じさせるためだったとし、「政敵捜査を求めるために権力を乱用した」という野党民主党の主張を否定した。

トランプ大統領は12月2日、ツイッターで "Breaking News"として、「ウクライナ大統領がトランプ大統領は何も悪いことをしていないと述べた」と伝えた。

"Breaking News: The President of Ukraine has just again announced that President Trump has done nothing wrong with respect to Ukraine and our interactions or calls. If the Radical Left Democrats were sane, which they are not, it would be case over!"

しかし、New York Timesは、「ウクライナ大統領はそんなことを言っておらず、逆にトランプ大統領の発言を批判している」と報じた。

Nowhere in the interview did Mr. Zelensky say that his American counterpart did "nothing wrong."

In fact, he criticized Mr. Trump's comments about corruption in Ukraine and his decision to suspend military aid to Kyiv.

アステラス製薬は12月2日、米国のバイオテクノロジー企業 Audentes Therapeutics, Inc.との間で、アステラス製薬がAudentes社を買収する契約を締結した。
本契約に基づき、 現金による株式公開買付けおよびそれに続く現金を対価とする合併を実施する。Astellas US Holdinngの100%子会社である Asilomar Acquisition Corp.を通じて行う。

公開買付け終了後、AsilomarとAudentesは、Audentesを存続会社として合併し、Audentesは アステラス製薬の連結子会社となる予定。

Audentesが発行済みの全ての普通株式を1株当り60.00米ドルの現金を対価として取得する。これは2019年12月2日終値に対して110%のプレミアムを加えた価格となり、総額は約30億米ドルとな る。

Audentesの取締役会は、本公開買付けへの応募をAudentes社株主に推奨する旨の決議をしてい る。

アステラス製薬は、「Focus Area アプローチによる価値創造」を経営計画2018における戦略目標の一つに掲げ、バイオロジーとモダリティ/テクノロジーを組み合わせ、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出を目指している。 現在、4つのPrimary Focusを特定し、優先的に経営資源を投下しているが、「遺伝子治療」をそれらに続く有望なPrimary Focus候補と位置付け、遺伝子治療薬の研究開発に取り組んでいる。

Audentesは、希少かつ重篤な神経筋疾患を対象に、アデノ随伴ウイルス(AAV)に基づく遺伝子治療薬の研究開発に注力するバイオテクノロジー企業で、 特にX染色体連鎖性Myotubular Myopathy(XLMTM)を対象とするAT132は、第I/II相臨床開発段階にあ る。

Myotubular Myopathyは、生直後あるいは乳児期より、顔面を含む全身の筋緊張低下を主症状とする遺伝性筋疾患で、筋肉の発達に必要なミオチューブラリンと呼ばれる蛋白を作るのに必要な遺伝子であるMTM1の異常により起こる。

X連鎖劣性遺伝は基本的に男の子だけに起こる。症状は非常に重く、歩くことや食事が自分でできないだけでなく、自分で呼吸をすることも困難で、多くはチューブを使った食事(経管栄養)や人工呼吸器が必要になる。

予後も非常に悪く、半分の男の子は1歳半までに亡くなり、10歳まで生きることはほとんどない。

同社のAT132は、アデノ随伴ウイルスを使った遺伝子治療で、正常なMTM1遺伝子を筋肉の細胞に届けるように設計されており、正常なMTM1遺伝子により、筋肉の発達に必要なミオチューブラリンを作ることが可能になる。

アデノ随伴ウイルス(AAV)は、1965年にピッツバーグ大学のDr. Bob AtchisonとNIHのDr. Wallace Roweによりアデノウイルス調製中の混入物として発見された。その後の研究により、彼らはAAVウイルス粒子の複製がアデノウイルス存在下でのみ可能であることに気づいた。

アステラス製薬はAudentes社の買収の戦略的意義は以下の通り としている。

  • 極度の筋力低下、呼吸不全および早期の死亡という特徴を有する重篤で生命に関わる希少な神経筋疾患であるXLMTMを対象に開発されているAT132による、近い将来における当社の成長機会の獲得

  • Audentes社のAAVに基づく遺伝子治療薬の技術プラットフォーム、大規模な自社製造能力および神経筋疾患の研究開発に関する知見と、アステラス製薬の研究開発力およびグローバルでの事業基盤を融合させることにより、遺伝子治療プログラムの強固なパイプラインの構築と開発のスピードアップ

  • Audentes社の製造能力、患者団体や学術的なパートナーなどとの貴重な人的ネットワークの取り込みによる、遺伝子治療の領域におけるパートナリングやパイプライン拡大の機会創出


なお、Audentes Therapeutics, Inc.の最近の決算は下記の通り(千ドル)で、赤字が続いている。

2016/12 2017/12 2018/12
売上高
当期純利益 -59,668 -90,238 -128,821

米通商代表部(USTR)は12月2日、フランスが導入したデジタルサービス税が米国のIT企業を不当に差別していると断定した 調査報告書を発表した。

24億ドル分に相当するフランスの63品目に最大100%の制裁関税を検討する。

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フランス上院は7月11日、Digital Services Tax法案を可決し、Macron 大統領は7月24日にこれに署名、これが法律となった。

内容は次の通り。

課税事業 (i) ユーザーが他のユーザーとコンタクトしたり、商品やサービスを購入するデジタルインターフェースの供与
(ii) フランスのユーザーに広告する業者にデジタルインターフェースでサービスを供与
課税対象企業 課税事業の全世界売上が750百万ユーロ以上で、
フランスのユーザーからのそれが25百万ユーロ以上
税率 対象売上高の3%
課税開始 2019/1/1に遡及
仏経財省によると、30社あまりが対象となる可能性があり、4億ユーロ程度の税収となる。

Trump大統領は7月26日、同国に対し「相当な」報復措置を取ると宣言した。

2019/7/31 フランスのデジタル課税法案成立、米国は報復を示唆

フランスのマクロン大統領は8月26日、フランスの「デジタル課税」を巡り、米国と合意を得たことを明らかにした。

マクロン大統領は主要7カ国首脳会議(G7サミット)閉幕後、トランプ米大統領と共同会見し、「二国間の取り組みとして多くの作業を行い、両国の不和解消に向け合意を得た」と述べた。

フランスのデジタル課税と経済協力開発機構(OECD)がまとめている課税制度に基づく税収の差額を仏政府が企業に払い戻す方針で暫定合意に達した。

この時点では、米国が報復措置は取らないことで合意したとみられていた。

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今回、USTRは「通商法301条」に基づき、仏デジタル税が不公正な慣行かどうかを調べ、「GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)など米IT企業を狙い撃ちにした措置」と認定した。利益ではなく売上高に課すなど、国際的な課税ルールにも反するとして制裁を発動すべきだと結論づけた。

追加関税を課す対象として、スパークリングワインやチーズ、ハンドバッグなどを含む品目リストの 原案をFederal Register に提示した。対象規模は米企業が被る損害に基づき算定した。

公聴会を開いて産業界から意見を募ったうえで、トランプ大統領が制裁を発動するか最終判断し、発動する場合の発動日や関税の税率などを決める。

2020年1月中旬まで意見を募る予定のため、実際の発動はその後になる見通し。

USTRは、フランスだけでなく、オーストリア、イタリア、トルコの調査に入るとしている。

オーストリアはオンライン広告の売上に5%課税する案を公表
イタリアは2020年からの3%課税を表明
トルコは7.5%課税の2020年中の施行を目指している。

他に、英国も2020年4月から2%の課税を始める計画。

欧州訪問中のトランプ米大統領は12月3日、ロンドンでマクロン仏大統領と会談し、課税撤回を直接求めた。

「話し合いで解決するか、相互に有益な税にするかが重要だ」と述べ、制裁関税を用意していることも指摘した。

「米国も米国企業に課税したいと思っている。課税するのは米国以外の国ではない」とした。

マクロン大統領は、問題を解決できると思うとしつつ、安易には譲歩しない姿勢を示した。

フランスの経済・財務相も、「EUは強力に反撃する用意ができている」と述べ、報復措置をとる構えを見せた。

メルケル独首相の大連立政権を支える国政第2党、ドイツ社会民主党(SPD)の155年の歴史上初の女性党首Andrea Nahles党首が2019年6月2日、党首を辞任する考えを示した。

SPDは欧州議会選で歴史的な大敗を喫した。欧州議会選で過去最低の15.8%の得票にとどまり、緑の党に抜かれて第3党に転落していた。

2019/6/4 ドイツ 社会民主党党首が辞任へ 

ドイツ社会民主党(SPD)は11月30日、次の党首を決める決選投票で連立懐疑派のNorbert Walter-Borjans(州の元財務相)とSaskia Esken下院議員のペアが53.1%の得票で勝利したと発表した。

連立維持派とのOlaf Scholz財務相とSaskia Esken 地方議員のペアは45.3%にとどまった。

SPDは12月6日からの党大会で、勝利した2人を正式に共同党首に選出し、連立政権にとどまるかどうかも議論する。

共同党首は現在のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との連立協定を見直し、気候変動対策やインフラなどへの大胆な投資や最低賃金の引き上げなどの政策を実現できるのであれば、政権にとどまる意向とみられているが、CDU・CSU内では年金制度改革などでこれまでもSPDに十分配慮してきたとの意見が強く、連立協定の見直しにはCDUのKramp-Karrenbauer 党首らが否定的な考えを示している。

仮にSPDが政権を離脱すれば、メルケル政権は少数与党内閣となるか、2021年秋に予定されている連邦議会選挙を前倒しするかなどの選択を迫られる。

下院の勢力図は下記の通り 。(2017/9/24 選挙結果)

キリスト教民主同盟 (CDU) キリスト教
民主・社会同盟
(CDU/CSU)
246 連立与党

399

キリスト教社会同盟 (CSU)
ドイツ社会民主党(SPD) 153
緑の党 67 310
自由民主党(FDP) 80
ドイツのための選択肢(AID) 92
左派党 69
無所属 2
合計 709


元々、SPDはメルケル政権の第一次で連立、第二次では離脱、第三次で再度連立、第四次では離脱を表明したが、与党の緑の党や自由民主党との連立が成立せず、長時間の交渉の結果、合意に達したもので、メルケル首相が率いるCDU・CSUが4カ月間の政治空白の解消に向けて大幅に譲歩した。

SPDの46万4千人のすべての党員による投票で、賛成が66.02%、反対は33.98%だった。

  第一次
2005/11
第二次
2009/10
第三次
2013/12
2017/9/24 選挙
キリスト教民主同盟 (CDU) キリスト教
民主・社会同盟
(CDU/CSU)
連立 連立 連立 246 連立協議 → 連立
キリスト教社会同盟 (CSU)
ドイツ社会民主党(SPD) 連立   連立 153 離脱表明 →
緑の党       67 連立協議  
自由民主党(FDP)   連立 議席 0 80 連立協議→離脱  
ドイツのための選択肢(AID)     議席 0 92  
左派党       69  
無所属       2  
合計       709  

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2018年10月28日にヘッセン(Hesse) 州で実施された州議会選挙で、メルケル首相率いる与党 キリスト教民主同盟(CDU)が得票率を大きく落とした。

第1党の座は確保するが、前回2013年よりも11ポイント強低い27.4 %と52年ぶりの低水準に落ち込んだ。

国政でCDUと大連立政権を組むドイツ社会民主党(SPD)も11.1ポイント低い19.6%と、歴史的な大敗になった。

州議会で連立を組む「緑の党」が頑張り、議席数では合計でなんとか過半数を超えた。

逆に、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が大躍進し、初議席(17議席)を確保した。

メルケル首相は10月29日記者会見し、州議会選で連敗した責任をとり、保守系与党のキリスト教民主同盟(CDU)の党首を退任する考えを表明した。

12月の党大会で「党首に再び立候補せず、2021年の任期切れまでは首相にとどまり、その後 政界を引退する意向を示した。

CDUは12月7日、メルケル首相に代わる党首として、側近の女性幹事長 Annegret Kramp-Karrenbauer を選出した。

メルケル首相のかつての政敵で連邦議会(下院)元院内総務のFriedrich Merzとの決選投票で勝利した。但し、517 対 482 の僅差であった。

2018/10/30 メルケル与党、独ヘッセン州でも敗北、メルケル氏 党首を退任

付記 

CDUのKramp-Karrenbauer 党首は2020年2月10日、次期首相候補となることを断念し、党首も近く辞任する意向を固めた。メルケル首相の後任選びは白紙に戻る。

チューリンゲン州選挙で極右の「ドイツのための選択肢」の後押しを受けた自由民主党のケミリヒ氏が当選し、首相に就任したが、同氏を支持したCDUも強い批判を受けた。
ケミリヒ首相は1日で辞任に追い込まれた。

党首は、これを含め、政治的失言や相次ぐ選挙敗北で求心力を失い、メルケル首相も辞任を支持した。

パナソニックは11月28日付の取締役会決議で、100%出資のパナソニックセミコンダクターソリューションズを中心に運営している半導体事業を、台湾に本社を置く半導体企業であるWinbond Electronics 華邦電子股分有限公司傘下のNuvoton Technology (新唐科技股份有限公司) に譲渡することを決定した。

売却額は2億5千万ドルで、来年6月1日を予定している。

同社の半導体事業は、過去数年来、AV分野から車載・産業分野へのシフトとともに、イメージセンサなどの「空間認識」技術と、バッテリーマネジメント用ICやリチウムイオン電池保護回路用MOSFETなどの「電池応用」技術を注力分野と位置付け、これらの分野にリソースを集中することで事業成長を目指してきた。

一方で、国内外拠点の統廃合を行い、アセットライト化による事業リスクの低減を図り、競争力の強化に取り組んできた。

パナソニックの半導体事業の歴史:

松下電器産業は1952年にフィリップスとのJV(松下 65%) で松下電子工業を設立、1957年に高槻工場で半導体の生産を開始した。1968年には京都府の長岡工場でシリコントランジスタ / バイポーラICの量産を開始した。

1993年にフィリップスの持株(35%)を1850億円で買い取り、松下電器の100%子会社とし、2001年に吸収合併した。

2014年にセミコンダクター事業部の半導体等の開発・製造・販売に関する事業を、新しく設立したパナソニックセミコンダクターソリューションズに移管した。

2014年4月に北陸工場(魚津・砺波・新井)の半導体ウェハ製造工程を、イスラエルの半導体ファウンドリ企業 Tower Semiconductor Ltd. (米子会社はJazz Semiconductor)との合弁会社パナソニック・タワージャズ セミコンダクターに移管した。(パナソニック側 49%)

Tower Jazzは、3か国で7か所の製造拠点を持つ。イスラエルに2か所(150mmと200mm)、米国カリフォルニア州とテキサス州にそれぞれ1か所(200mm)に加えて、パナソニック・タワージャズ セミコンダクターの3カ所。

さらに同年6月にはシンガポール、インドネシアおよびマレーシアに保有していた半導体組立工場を、香港に本社を置くUTAC Manufacturing Servicesへ譲渡した。

2019年4月には、パナソニック セミコンダクターソリューションズの次の事業を半導体メーカーのロームに譲渡することを決定している。

・トランジスタ(バイポーラ、抵抗内蔵型、接合型電界効果)
・ダイオード(ショットキーバリア、TVS、ツェナー、スイッチング、ファストリカバリ)

しかしながら、近年の競合他社の勢力拡大、注力事業への巨額投資、M&Aを通じた業界再編の進行等、半導体事業を取り巻く競争環境は熾烈を極めており、今回、同社が蓄積してきた技術力、商品力を高く評価し、それらを最大限活用し、持続的な事業成長が期待できる Nuvotonの下での事業運営が最善と判断し、本件譲渡を決定した。

以下により譲渡する。

事前に、パナソニック出資管理合同会社のもつパナソニックデバイスシステムテクノ (半導体設計サービス、ソフトウェア開発サービス等)及びパナソニックデバイスエンジニアリング(技術業務請負)の全株式をパナソニックセミコンダクターソリューションズに移管

パナソニックが持つ半導体事業関連の知的財産権および契約の一部、半導体事業関連資産・負債の一部をパナソニックセミコンダクターソリューションズに移管

その上で、パンソニック出資管理合同会社のもつパナソニックセミコンダクターソリューションズ株式をNuvotonに譲渡する。
この結果、パナソニックタワージャズセミコンダクターの株式49%はNuvotonの傘下に入る。

但し、パナソニックセミコンダクターソリューションズの事業のうちのリードフレーム(半導体チップを支持固定し、回路基板の配線と接続する部品事業については、新たに設立するパナソニック出資管理合同会社の完全子会社に承継させる。

シンガポール法人パナソニックアジアパシフィックにおいて、半導体の開発・販売事業を担当する社内カンパニーであるパナソニックデバイスセミコンダクターアジアの事業を、Nuvotonのシンガポール法人に譲渡する。

パナソニックチャイナ子会社のパナソニックセミコンダクター蘇州の半導体事業に係る設備・在庫等をNuvotonの中国法人に譲渡する。


ーーー

パナソニックは11月22日、IRミーティング「Panasonic IR Day」を開催した。

空間演出や産業向け電子部品など競争力のある成長事業に経営資源を集中させる一方で、赤字事業からは撤退・縮小する方針を改めて強調した。


トップ
ダウンでポートフォリオマネジメントを実行

 21年度までに構造的赤字事業を撲滅

 低収益事業について21年度までに方向性を決定

 競争力維持が困難な事業についても大胆な資本政策も含めて方向性を検討

本年に入り、液晶パネルの生産停止、太陽電池での中国メーカーとの協業を決めており、今回、半導体事業を売却した。

パナソニックは11月21日、液晶パネルの生産活動を終了すると発表した。
パナソニック出資管理合同会社の子会社であるパナソニック液晶ディスプレイが2021年を目処に生産を終了する。

パナソニックは2008年2月、姫路市に液晶パネル新工場を建設すると正式発表した。
投資額は約3千億円。2010年1月に稼働し、13年のフル稼働時の生産能力は32型換算で年1500万台を予定した。
プラズマに続き液晶でも部材から一貫生産する垂直統合モデルを構築する。
運営は
パナソニック液晶ディスプレイ(旧称 IPSアルファテクノロジー)が担当する。

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パナソニックは5月9日、中国太陽電池メーカーのGS-Solar(China) と太陽電池事業で協業することに合意したと発表した。
パナソニック エナジー マレーシアを譲渡するとともに、太陽電池の研究開発機能を分離して新会社を設立し、GSソーラーと共同で出資、運営する。

共同研究の新会社は大阪府貝塚市に建設予定で、設立時期は未定。高効率の太陽光電池の開発に向けた研究を行う。

パナソニックが国内と米国に抱える生産拠点は維持する。

ーーー

家電での地域・事業の絞り込みも行うとしている。
 2019年7月末にメキシコ拠点でのテレビ生産を終了した。






日立製作所はグループの中核子会社である化学大手、日立化成の売却を巡り、昭和電工に買収の優先交渉権を与えることを決めた。各紙が報じた。

日立製作所は、企業価値向上向上に向けて様々な検討は行っているが、本件も含め、現時点で決定した事実はないとしている。
昭和電工も、業価値向上を目的に日立化成の株式取得を含め、常にさまざまな検討を行っているが、現時点で決定した事実はないとしている。

日立化成は 半導体やリチウムイオン電池の材料などを幅広く手がけ、2019年3月期の売上高は6810億円。かつては日立金属や日立電線とともに「日立御三家」と呼ばれた。

日立化成は2013年1月1日に日立化成工業から改称。
日立電線は2013年7月1日に日立金属に吸収合併された。

付記

昭和電工は12月18日、日立化成を株式公開買い付け(TOB)により買収すると発表した。
TOB価格は1株4630円、買付代金は総額9640億円となる。
昭和電工は、今回の買収よって、5G、半導体、自動車電動化などに注目した7事業領域での成長を目指す、としている。
日立は所有する51.29%全てを譲渡する。譲渡金額は4,940億円。

ーーー

日立製作所は「選択と集中」を旗印に、成長分野と位置づけるエネルギーなどのインフラやIoT(モノのインターネット)事業に経営資源を集中させる方針で、日立化成との相乗効果は生み出しにくいと判断した 。

日立製作所は現在約800社のグループ会社を数年問で500社程度まで整理・統合する方針を掲げている。

非中核分野を次々に売却しており、2009年に22社あった上場子会社は日立化成 、日立金属、日立建機、日立ハイテクノロジーズの4社に減った。

子会社 時期 持株比率
日立物流 2016/5/19 59.01%→30.01% 株式の29%をSGホールディングスへ譲渡
日立キャピタル 2016/10 60.61%→33.40% 株式の23.01%を三菱UFJフィナンシャル、4.20%を三菱UFJリースに譲渡
日立国際電気 2017/1   4割超→ゼロ グループで保有する4割超をKKRに売却(配当金を合わせ752億円で)
KKRはTOBを実施、傘下のHKホールディングスの完全子会社とし、2018年に工機ホールディングスと改称。

KKRは日立国際電気の半導体製造装置事業を分離、2018/6にKokusai Electricを設立したが、
2019/7 これをApplied Materialsに22億ドルで売却した。

日立工機
(電動工具)
2017 
  
40.25%→ゼロ
KKRに売却(KKRがTOB)
日立アーバンインベストメントも 10.90%→ゼロ
クラリオン 2018/10 6割超→ゼロ 仏自動車部品大手フォルシアに譲渡、売却価額は899億円
日立オートモティブ
システムズ
2019/10 ホンダのケーヒン、ショーワ、日信工業と統合(下記)
日立製作所が66.6%、ホンダが33.4%

日立製作所、本田技研工業(ホンダ)、日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業の6社は2019年10月30日、日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業の4社の経営統合に関する基本契約を締結した。

CASE分野においてグローバルで競争力のあるソリューションの開発・提供を強化することが目的。経営統合は以下の流れを予定している。

(1)本田技研工業がケーヒン、ショーワ、日信工業の普通株式を対象として公開買付け。
(2)本田技研工業がケーヒン、ショーワ、日信工業を完全子会社化。
(3)日立オートモティブシステムズが、日立オートモティブシステムズを存続会社とし、ケーヒン、ショーワ、日信工業を消滅会社とする吸収合併を実施する。

統合後の新会社の持ち分比率は、ホンダ以外の自動車メーカーへ広く拡販するため日立製作所が66.6%、ホンダが33.4%となる。

日立オートモティブシステムズの ブリス・コッホCEOは「新会社はグローバルなメガサプライヤーとなる。電動パワートレイン、シャシーと自動運転やADASにおいて、規模の力と4社の人材を効率的に活用する」と自信を見せた。

ーーー

日立化成は東証1部上場会社で、日立製作所が51%の株式を保有する。

日立製作所は5月以降、日立化成を通じて買収を希望する企業を入札方式で国内外から募っていた。

当初、三井化学などの総合化学メーカーや米投資ファンドなどが名乗りを上げたが、買収額などで折り合わなかった。
2次入札で高値をつけた昭和電工が最終候補となった模様で、報道では、日立化成は11月25日の取締役会で昭和電工に優先交渉権を与えることを決め、日立製作所も同意した。

買収はTOB方式で実施する見通し。

昭和電工は日立製作所の保有分に加え、残りの49%も含めた日立化成の全株式を買い付けることも視野に入れる。

日立化成株の11月25日の終値は3465円で、時価総額は7,219億円。全株買い付けとなれば現在の株価にプレミアムを乗せ、買収額は9,000億円規模になる可能性がある。

日立化成は半導体の封止材料やリチウムイオン電池の負極材などで世界でも高いシェアを持つ。

昭和電工はハードディスクや製鉄用の黒鉛電極で世界トップシェアを持つ。
買収が実現すれば、昭和電工の売上高は単純合算で約1兆7000億円となり、同業の三井化学や信越化学工業を抜く。

日立化成の最近の業績(IFRS方式)は下記の通り。

単位:億円、配当は円

売上高

営業損益

税引前 
損益
株主帰属 損益

配当

中間 期末
16/3 5,465 530 537 385 25 25
17/3 5,541 532 544 402 25 30
18/3 6,692 462 489 363 30 30
19/3 6,810 364 405 287 30 30

20/3予

6,400 300 325 220 30 未定


セグメント別業績

機能材料 電子材料 半導体用材料
ディスプレイ・タッチパネル関連材料
太陽電池用材料
機能性フィルム
食品包装用ラップ
無機材料 カーボン製品・セラミックス
先端部品・システム 樹脂材料 樹脂材料
接着剤・テープ
電気絶縁材料
配線板材料 基板材料
プロセス材料
その他機能材料 LEDリフレクター用白色モールド樹脂
レジンコーテッドサンド


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