2024年6月アーカイブ

欧州委員会は6月26日、ユーロを導入していない加盟国の進展状況を評価する2024年のConvergence Reportを発表した。

EC条約においては,EU加盟国は,基本的にEMU(経済通貨同盟)に参加し,単一通貨ユーロを導入することが想定されている。

但し,EC条約第122条に適用除外規定が認められており,デンマーク(とその後に離脱した英国)は適用除外が認められている。

現在、EU加盟27カ国のうち、適用除外が認められているデンマークを除き、6カ国(スウェーデン、ポーランド、チェコ、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア)がユーロ導入義務があるのに導入していない。

時期 EU ユーロ導入
1952 フランス 1999
(西)ドイツ 1999
イタリア 1999
オランダ 1999
ベルギー 1999
ルクセンブルグ 1999
1973 英国  適用除外
アイルランド 1999
デンマーク  適用除外 欧州為替相場メカニズム
1981 ギリシャ 2001
1986 スペイン 1999
ポルトガル 1999
1995 オーストリア 1999
フィンランド 1999
スウェーデン  国民投票で反対
2004 エストニア 2011/1/1
ラトビア 2014/1
リトアニア 2015/1
ポーランド  
チェコ  
スロバキア 2009
ハンガリー  
スロベニア 2007
キプロス 2008
マルタ 2008
2007 ブルガリア  
ルーマニア  
2013 クロアチア 2023/1/1
2020 英国離脱  
合計  27カ国  20か国


報告書は、ユーロを導入する法的義務がある6つの非ユーロ圏加盟国(ブルガリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スウェーデン)を対象としている。

報告書は、欧州連合の機能に関する条約の第140条1項に定められた収束基準( convergence criteria)、いわゆる「マーストリヒト基準」に基づいている。

ア 物価安定性:過去1年間,消費者物価上昇率が,消費者物価上昇率の最も低い3か国の平均値を1.5%超上回らないこと。

イ 健全な財政:過剰財政赤字状態でないこと。(財政赤字GDP比3%以下,債務残高GDP比60%以下)

ウ 為替安定:少なくとも2年間,欧州通貨制度(European Stability Mechanism : ESM)の為替相場メカニズム(European Rate Mechanism:ERM II)に深刻な緊張状態を与えることなく参加し,ユーロに対して自国通貨の切り下げを行わないこと。

エ 長期金利の安定性:過去1年間,長期金利が消費者物価上昇率の最も低い3か国の平均値を2%超上回らないこと。 このほか,市場統合性や国際収支の状況等も考慮される。


現在、これらの加盟国のうちどの国もユーロ圏加入のための全ての基準を満たしていない。

欧州メディアによると、ブルガリアは2025年1月のユーロ導入を目指していたが、延期は避けられない。

報告書の内容は次の通り。


物価安定性 健全な財政 為替安定 長期金利の安定性
ブルガリア
チェコ (○)
ハンガリー
ポーランド
ルーマニア
スウェーデン

スウェーデンは物価安定基準を満たしている。

・ブルガリアとスウェーデンは財政基準を満たしており、チェコは6月19日の第126条3項に基づく委員会報告書に基づいて満たすことが予想されている。

・ブルガリア、チェコ、スウェーデンは長期金利基準を満たしている。ブルガリアは為替レート基準を満たしている。

・その他の加盟国は為替相場メカニズム(ERM II)のメンバーでない。ユーロ圏加入前に少なくとも2年間のメカニズムへの参加が必要。

なお、欧州中央銀行によるとブルガリアの物価上昇率は5月までの1年間の平均で5.1%と高止まりし、基準の3%強を上回った。

・ブルガリアの立法が収束報告書に定められた条件と解釈に従ってEU法と適合すると結論付けている。

・他の5つの非ユーロ圏EU加盟国では、通貨分野の国家立法は経済通貨統合の規則と完全には適合していない。

原子力規制委員会は6月26日、関西電力大飯原発3、4号機について運転開始40年までの管理計画を認可した。2023年5月の法改正で導入が決まった運転開始30年を起点に最長10年ごとに計画を審査する新制度に基づく対応で、認可は全国の原発で初めて。


原子力発電所の運転期間の60年超への延長を盛り込んだGX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法は2023年5月31日の参院本会議で可決、成立した。既存の原発を可能な限り活用し、電力の安定供給と温暖化ガスの排出削減を目指す。

原子力規制委員会は2022年12月21日、原子力発電所の運転開始から30年以降10年以内ごとに繰り返し運転を認可する新ルール案を了承した。現行ルールを上回る「60年超」運転が可能になる。 

法改正前のルールでは、運転開始から40年を迎える原発は、規制委の運転延長の審査に合格した場合に限り1回のみ最長20年の延長が認可される。また、これとは別に、運転開始から30年以降の原発は、10年ごとに「高経年化対策」も実施されている。

新ルールはこれらを一本化する内容で、規制委は電力会社に対し、施設の劣化を管理する長期計画の作成を義務づけ、安全性を確認すれば運転延長を繰り返し認可する。福島原発事故以前の規制に戻すこととなる。

電力会社は運転開始30年を起点に最長10年ごとの管理計画をつくり、規制委の審査を受ける必要がある

下図は2023年5月31日の法改正時点のもので、「現行」は法改正前のもの。「規制委検討案」が現在のもの。

2023/6/1 GX脱炭素電源法が成立、原発運転「60年超」可能に 


法の成立を受け、関西電力が
2023年12月に規制委に申請した。

3号機は運転開始から今年で33年目、4号機は31年を超えている。

2基とも旧制度で設備の劣化点検の結果などを踏まえて40年までの運転が認められていたが、新制度ではさらに、安全確保に必要な部品や設備が製造中止になった場合に備えて、情報収集の仕組みや代替品の活用といった対応方針も審査した。

今回の認可で、大飯3号機は2031年12月、4号機は33年2月まで運転できるようになった。

今後も運転を延長する場合、10年以内ごとに同様の認可を受ける必要がある。

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なお、原子力規制委員会は5月29日、来年で運転開始40年を迎える関西電力高浜原発3号機、4号機について、60年までの運転を認可した。同原発の1号機、2号機はすでに延長の認可を得ており、4基全てが60年稼働となる。

日本全体で8基が60年稼働となる。

これが適用されたこれまでのルールでは、運転開始から40年を迎える原発は、規制委の運転延長の審査に合格した場合に限り1回のみ最長20年の延長が認可された。また、これとは別に、運転開始から30年以降の原発は、10年ごとに「高経年化対策」も実施されていた。(上図の「現行」参照)

2024/6/1 関西電力高浜原発3、4号機、60年稼働へ

日本財団と東京大学は6月21日、南鳥島周辺の排他的経済水域内で行った調査で、水深5千数百メートルの海底にニッケル、コバルトなどのレアメタルを豊富に含む海底鉱物資源「マンガンノジュール」が大量にあるのを発見したと発表した。100キロ四方の調査海域での総量は約2億3400万トンと見積もられ、含まれるコバルトとニッケルは国内消費量のそれぞれ 75年分(61万トン)、11年分(74万トン)に相当する。

採取や精錬などのコストを踏まえても商業化可能な資源量だといい、日本財団などは早ければ来年度中に、1日2500トン規模の採取実証を行う。

マンガンノジュール(Manganese Nodules:マンガン団塊)とは,深海底に分布する海底鉱物資源のひとつで,直径数~十数cmの球状の団塊。岩石の欠片やサメの歯などを核として、その周りに鉄やマンガンの酸化物が沈積し、同心円状に成長する。

有人潜水調査船「しんかい6500」によって日本の南鳥島EEZの深海底から採取されたもの。

銅・ニッケル・コバルトなどを豊富に含むため、1970年代から開発に向けた取組みが進められており、ハワイ沖のClarion-Clipperton 断裂帯海域には国際的な鉱区も設定されている。

JOGMECは1975年以降、経産省の委託を受けて、ハワイ南東海域の公海においてマンガン団塊の探査活動に着手するとともに、深海底鉱物資源の探査専用船「第2白嶺丸」を建造し、1980年から本格的な調査を開始した。
1982年9月には探査開発の推進母体となる「深海資源開発」(DORD)が設立された。
1987年12月に国連海洋法条約の下で、ハワイ南東沖にマンガン団塊鉱区75千km2を登録し、2001年6月に深海資源開発は国際海底機構との探査契約を締結した。

ーーー

東京大学大学院の加藤泰浩教授(地球資源学)らの研究グループは、2012年6月28日に資源地質学会で、「レアアース」を豊富に含む泥を南鳥島周辺の海底で発見したと発表した。

加藤教授らは、国際共同研究などで採取された南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)内の海底堆積物のボーリング試料を分析した結果、南鳥島の南西約300キロメートル、水深約5600メートルの海底の泥に最大約1700ppm、平均約1100ppmの高濃度でレアアースが含まれることを突きとめた。

2012/7/2 南鳥島沖にレアアース 

経済産業省は2013年7月20日、南鳥島の沖合の海底に存在するレアメタルについて、国際海底機構から探査の承認が得られたと発表した。
今後15年間にわたって日本が独占的にレアメタルの探査を行うことになる。

2013/7/24 南鳥島沖のレアメタル探査へ 

海洋研究開発機構、東京大学および千葉工業大学などの研究グループは、2010年から2016年にかけての複数の航海により、南鳥島周辺の排他的経済水域の南部から東部にかけての深海底(水深5,500-5,800 m)に広大なマンガンノジュールの密集域を発見した。

これまで、我が国のEEZでは海山の緩斜面にコバルトリッチクラストに伴って存在する小規模なマンガンノジュールの分布は知られていたが、深海底に広大なマンガンノジュールの分布が見つかったのは初めて。

本年4~6月に海底資源調査船を用いてより詳しく調査し、今回の発表となった。

ーーー

東京大学大学院の加藤泰浩教授の考えている採掘方法は下図の通り。

バックホウ(backhoe):油圧ショベルの中でも、ショベル(バケット)をオペレータ側向きに取り付けたもののこと。オペレータ側向きのショベルでオペレータは自分に引き寄せる(抱え込む)方向に操作する。地表面より低い場所の掘削に適している。
AUV(Autonomous Underwater Vehicle):人が操作せずに全自動で行動する自律型海中ロボット
ROV(Remotely Operated Vehicle:ケーブルを介して人が操縦する遠隔操縦ロボット
エアリフト:
パイプに圧縮空気を送り込んで泥水に空気を混ぜ、浮力を利用して引き揚げるもの

東大では、南鳥島海域で約1ヶ月の調査航海を行い、実際に採取したレアアース泥を用いて「選鉱→製錬→分離・精製→製品作成」という一連のフローの実証試験を行う計画で、南鳥島における調査航海には1回につき約1億5000万円が必要としている。

公的資金を活用しつつ、不足する部分を広く国民と、レアアースを活用する様々な産業界からの寄付によって支えてほしいとして寄付を募っている。

   https://utf.u-tokyo.ac.jp/project/pjt124

米財務省は6月20日、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表した。2023年12月までの4四半期の外国為替動向を対象としている。
     https://home.treasury.gov/system/files/136/June-2024-FX-Report.pdf

「為替操作国」基準にかかった貿易相手国・地域はなかった。

2019年8月に中国が、2020年12月にスイスとベトナムが「為替操作国」となった。それ以降、2022年11月までの間は、基準では対象となる国があったが、米財務省の判断で実際は非認定となった。
今回は基準でも対象となる国はなかった。

米財務省は為替操作国に指定する条件として(1) 対米貿易黒字の規模 (2) 経常黒字の規模 (3) 継続的な通貨売り介入――を掲げている。

  従来の基準 2019/5より改正
①重大な対米貿易黒字 対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上 同左
②実質的な経常黒字 経常黒字がその国のGDPの3.0%以上 GDPの2.0%以上
③外為市場に対する介入 GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入
(12カ月のうち、8カ月
同左
(12カ月のうち、6カ月


3基準全てに該当すれば「為替操作国」となる。

次の場合、「監視リスト」に入る。
  2基準に該当 & 1基準だが、前年「監視リスト」の場合
  なお、中国は常時、「監視リスト」

日本は永く2項目でひっかかり、「監視リスト」に入っていた。2022年11月から1項目だけとなり、2023年6月と2023年11月は「監視リスト」から外れた。しかし今回、①対米貿易黒字に加え、②実質的な経常黒字で該当し、再度、『監視リスト」に入った。

日本の経常黒字は、下図 (報告書に記載)の通り、2015年以降、GDPの3%(2019/5より2.0%)を超え、対米黒字と合わせ2基準でかかっていた。2022年は2%を下回り、(時期のずれで)2022/11~2023/11の3期が1項目だけ該当となった。しかし、2023年には経常黒字は再び2%を上回り、今回、2項目で該当することとなった。日本の経常黒字は最近はGDPの2~4%の範囲で動いており、米国が基準を2%としたために、基準に該当したり、しなかったりするだけである。

今回、操作国に戻ったことについて、鈴木財務相は、「米国が日本の為替政策を問題視していることを意味するものではない」としている。

日本は2023年12月までの4四半期には外為市場への介入していない。(本年4~5月の介入は、通貨安誘導ではなく、為替操作国の基準にも該当しない。)

ーーー

今回は、日本に加え、前回に続き2項目の台湾、ドイツ、ベトナム、シンガポールと、今回1項目となったが前年監視リストに入っていたマレーシア、1項目だが常時「監視リスト」の中国の合計7カ国が「監視リスト」に載った。

昨年の監視リスト入りの6カ国に、新しく日本が加わる形となった。なお、③「外為市場に対する介入」でひっかかったのはシンガポールだけであった。 

操作国
3基準  
監視国
2基準  
監視国
1つで前年監視対象 &中国 丸数字は問題となった項目

                 
  日本 中国 韓国 台湾 ドイツ スイス インド アイルランド ベトナム イタリア マレーシア シンガポール タイ メキシコ
2016/4
2016/10
2017/4
2017/10
2018/4
2018/10
2019/5
 

①②



①②

 

 

①②

①②

①②

①②

2019/8   操作国  
2020/1
①②


①②

①②

①②

 



①②

①②

2020/12
①②


①②

①②

①②
操作国
①③
操作国
①②

①②


①②
2021/4
①②


①②
操作国
非認定

①②
操作国
非認定

①③

①②
操作国
非認定

①②

①②


①②

①②
2021/12
①②

①②

①②
操作国
非認定

①②

①③

①③

操作国
非認定

①②

①②


①②

①②
2022/6
①②


①②

①②

①②
操作国
非認定




①②



2022/11


①②

①②

①②
操作国
非認定







2023/6



①②

①②






①②



2023/11



①②

①②




①②


①②



2024/6
①②



①②

①②




①②





 赤字が為替操作国基準にひっかかった項目

韓国統計庁が2月28日に発表した「2023年人口動向調査」によると、2023年の出生数は前年から1万9,186人減少し、23万人だった。また、合計特殊出生率は前年に比べ0.06低い0.72で、8年連続で過去最低を更新した。

合計特殊出生率0.72はOECD加盟国の中で最低で、1.00を切ったのは韓国のみだ。同時に発表した2023年第4四半期(10~12月)の合計特殊出生率は0.65で、四半期ベースで過去最低、初めて0.70を割った。

   なお、中国については下記参照
    2022/1/20
中国の出生率、建国以来最低、2021年1,062万人で5年連続減


尹錫悦大統領直属の「低出産高齢社会委員会」は6月19日、大統領の主宰で会議を開き、次のような内容の「少子化傾向反転のための対策」を発表した。

ケア支援制度も強化される。現在0~2歳だけが対象の無償教育・保育を来年5歳、その後は2027年までに3~4歳に拡大することにした。
モデル事業を通じて外国人家事管理士も100人投じることにした。雇用労働部関係者は「成果評価に基づいて来年上半期までに規模を1200人水準に増やすのが目標」と話した。

住居支援も大幅に増強し、結婚と出産がマイホーム購入のメリットになるようにした。今年グリーンベルトを解除して新規宅地を2万戸用意するが、このうち新婚・出産・多子世帯に70%の1万4000戸を供給することにした。

国民対象の少子化克服公募展で1等を取ったアイデアも対策に含まれた。公共賃貸住宅に居住する新婚夫婦が子どもを産めばさらに大きな坪数の家に引越しできるようにサポートし、再契約も最大20年まで許容する。結婚特別税額控除を100万ウォン限度で新設する。

新生児特例融資を受けることができる夫婦合算所得要件も来年1月1日から3年間、出産した世帯に限って年間2億5000万ウォンに増える。
所得制限を事実上廃止して高所得の共稼ぎ夫婦も低金利の新生児特例融資を受けられるようにした。

子どもを産みたいと思う不妊治療中の夫婦に対する支援も手厚くなる。不妊治療支援に関連し、年齢や回数制限をすべて緩和した。
年齢を問わず不妊治療施術の時に健康保険本人負担率を30%に引き下げ(現在は45歳以上に50%支援)と施術支援も子女当たり25回(体外受精20回、人工受精5回)に拡大することにした。

「育児休職の回数を増やして分けることはどれも良いが、企業がそれを了承してくれるか心配」で、「正直言って、今でも妊娠された方々が周囲の目を気にして短縮勤務を十分活用することができないでいる」との意見もある。

今回の政府の方針について、従来の福祉強化政策の枠組みから抜け出せていないという指摘が出る。

ソウル大学保健大学院のチョ・ヨンテ教授は「構造的な対応策が抜けている」と話した。

例えば教育体系や大学入試制度を出生児童20万人時代に合わせ変えるべきなのに70万人時代のやり方を固守しているということだ。

人口非常事態を宣言したが核心政策である外国人・移民政策がほとんど検討されていない点も限界と指摘される。

人口戦略企画部に少子化予算事前審議権を与えることにしているが、審議結果を企画財政部がそのまま受け入れるかもカギだ。育児休職大幅拡大などが目立つのは事実だが、日本のように子ども3人以上の世帯の子ども(但し2人まで)の大学授業料免除、高校生までの児童手当て支援のような破格な対策はない。

結婚と出産を敬遠する若年層の考えを変えられるか疑問だ。今回の対策に対する20~30代の反応は交錯している。

「育児休職給与の引き上げはとても肯定的だ。政府が何かをしようという意志があるようだ」、「育児休職給与の引き上げと事後支給金廃止はとてもよい」との意見がある 反面、企業と社会の認識変化がなければ実効性が落ちるという懸念も聞かれる。

(主に韓国の中央日報の記事による)

大阪大学は5月31日、大学院医学系研究科中性脂肪学共同研究講座、循環器内科学講座、心臓血管外科学講座、放射線統合医学講座の研究グループが、腹部大動脈瘤の患者に対して、トリカプリンを投与する世界初の臨床試験を開始したと発表した。

腹部大動脈瘤は、腹部大動脈が部分的に拡張する疾患で、大動脈瘤のなかで最も発症頻度が高くなっている。腹部大動脈の拡張は、無自覚、無症状であることが多く、無自覚のまま腹部大動脈瘤が突然破裂することもあるため、「サイレントキラー」とも呼ばれている。

米国では毎年約20万人が腹部大動脈瘤と診断され、55歳以上の男性の死因では15位前後、英国では10位前後に位置している。日本における正確な患者数は不明だが、「大動脈瘤及び解離(腹部大動脈瘤以外の大動脈瘤や動脈解離を含む)」は死因の10位前後となっている。

これだけ患者が多い疾患にも関わらず、現状腹部大動脈瘤の治療法は手術に限られており、破裂の危険がある大きな動脈瘤(直径50mm以上)になるまでは、経過観察されている。血圧やコレステロール値を薬で下げ、動脈瘤が破裂することを防ぐ方法はあるが、大動脈瘤自体を縮小させる、あるいは予防する治療薬は現状存在しない。

ーーー

2023年2月3日に、近畿大学農学部応用生命化学科、大阪大学大学院医学系研究科中性脂肪学共同研究講座らの研究グループが、母乳にも含まれる栄養成分であるトリカプリンを腹部大動脈瘤のラットに与えると、一度できた腹部大動脈瘤が退縮(縮小)することや、発症前に投与しておくと腹部大動脈瘤ができなくなることを発見したと発表した。

研究グループは、中性脂肪の一種でありながら、動脈硬化や心不全といった疾患の改善効果が知られるトリカプリンに注目し、腹部大動脈瘤のモデルラットを用いて治療効果を検証した。その結果、トリカプリンが腹部大動脈瘤の発症を抑制し、破裂を完全に防ぐことができることが明らかとなった。また、患部の直径の縮小も確認でき、動脈の硬化抑制など血管の健全性を保つ効果があることも明らかになった。

トリカプリン(C10:TG)を投与した動物では、腹部大動脈瘤の形成・進展抑制が観察されたほか、形成後からトリカプリン(C10:TG)を投与すると、腹部大動脈瘤が退縮することがわかった。

  ①形成された腹部大動脈瘤 → ②トリカプリン投与後経過 → ③トリカプリン投与により腹部大動脈瘤が縮小

トリカプリンを投与した動物では、動脈の硬化、血管線維成分の破壊、線維分解酵素の増加(マトリックスメタロプロテアーゼなど)、血管平滑筋の低下、栄養血管の狭窄など、多くの腹部大動脈瘤関連病態が抑制されていることがわかった。

さらに、同じ中性脂肪の一種で、炭素の数が2個だけ少ないトリカプリリン(C8:TG)を投与した場合は腹部大動脈瘤抑制効果が観察されず、抑制効果はトリカプリン(C10:TG)に特有のものである可能性が示された。

本研究成果により、将来的に腹部大動脈瘤治療薬を創出できる可能性が示唆された。


トリカプリンは、炭素(C)の数が10個の脂肪酸で構成される中性脂肪(TG)の一種で、C10-TGと表記されることもある。

分子式 :  [CH3(CH2)8COOCH2]2CHOCO(CH2)8CH3   分子量 : 554.84



体内ですぐにエネルギー源として使用されるため、摂取しても血中の中性脂肪値や血糖値の悪化が起こりづらい。母乳やココナッツミルク、チーズ等に含まれるが、その含有量はごくわずかで腹部大動脈瘤に対して効果が期待できる量が入っていないため、動物実験にはトリカプリンを精製して純度を高めたものが使用された。

ーーー

この成果をもとに研究グループは、腹部大動脈瘤の患者に対して世界で初めて、高純度トリカプリンカプセル「カプリンHI®」を経口投与する臨床試験を開始した。

カプリンHI® はトリカプリンを高純度で含有した健康食品。大阪大学と栩野財団との共同研究「中性脂肪蓄積心筋血管症に対するトリカプリン栄養療法の開発研究」において開発され、大阪大学と栩野財団の共有成果物である。

本臨床試験は大阪大学医学部附属病院 認定臨床研究審査委員会にて2024年5月9日に承認され、大阪大学と栩野財団との共同研究「血管疾患に対するトリカプリンを用いた治療法の開発研究」を基盤として2024年5月17日より大阪大学医学部附属病院 循環器内科で開始された。

腹部大動脈瘤の患者(50歳~85歳)に1日3回トリカプリンのカプセル(カプリンHI®、一般財団法人栩野財団がメーカー)を毎日服用してもらう方法で安全性・有効性を検証する世界初の特定臨床研究で、①栄養成分トリカプリンが、腹部大動脈瘤の患者で安全に使用できるか、②ラットで見られた腹部大動脈瘤の退縮(縮小)効果がヒトで確認できるか、について10名の小さな腹部大動脈瘤(直径45mm以下)を持つ患者に1年間かけて確かめる。

腹部大動脈瘤の退縮(縮小)が数例でも見られれば、今後さらに大規模な臨床試験でトリカプリンの有効性を検証し、将来的に腹部大動脈瘤の薬物治療が実現できる可能性がある。またトリカプリンによる治療が、今までにない手術以外の進行予防法となれば、医学界に与えるインパクトはとても大きく、治療指針(ガイドライン)や医療経済にも大きな影響を及ぼす。

経済産業省は6月11日、浮体式洋上風力発電の導入に向けた実証事業について、「秋田県南部沖」、「愛知県田原市・豊橋市沖」の2海域で実施すると発表した。

政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を全体としてゼロにする目標を掲げた。この目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、実現するにはエネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションなど、現行の取り組みを大きく加速させる必要がある。

このため、経済産業省はNEDOに総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援するグリーンイノベーション基金事業を立ち上げた。

本プロジェクトでは洋上風力産業のうち、現状では技術成熟度が比較的低いながらも、長期的な支援によって技術開発の進展と大きな政策効果が見込める分野を支援対象としている。具体的には「洋上風力の産業競争力強化に向けた技術開発ロードマップ」に基づくサプライチェーン8分野のうち、対象として「風車」、「浮体式基礎製造」、「浮体式設置」、「電気システム」、「運転保守」を重点化した上で、まずはフェーズ1として要素技術の開発を進めてきた。

次世代浮体式洋上風力の技術開発のイメージは下図の通り。(出典 NEDO)


今回はフェーズ1での成果も踏まえ、浮体式洋上風力発電設備の将来的な大量生産に向けコスト低減を図るため、10MW以上の大型風車を用いた実海域での実証事業を実施し、早期のコスト低減を実現することで、浮体式洋上風力の早期社会実装を図るとともに、日本の洋上風力産業の競争力強化を目指す。

候補として、2023年10月に「北海道石狩市浜益沖」、「北海道岩宇・南後志地区沖」、「秋田県南部沖」「愛知県田原市・豊橋市沖」の4海域を選定していた。今回、北海道の2地域は採用されなかった。


選択された2候補の計画概要は以下の通り。

秋田県南部沖 愛知県田原市・豊橋市沖
場所 由利本荘市、にかほ市の沖合約25km、水深約400m
事業者 丸紅洋上風力開発(幹事会社)
東北電力、秋田県南部沖浮体式洋上風力、
ジャパン マリンユナイテッド、東亜建設工業、
東京製綱繊維ロープ、関電プラント、JFEエンジニアリング、
中日本航空
シーテック(幹事会社)
日立造船、鹿島建設、北拓、商船三井
計画 風車出力:15MW超
基数:2基

浮体形式:セミサブ浮体

風車出力:15MW超
基数:1基

浮体形式:セミサブ浮体

ーーー

これとは別に、浮体式に限らない「洋上風力発電」の決定を順次行っており、第3ラウンドとして「青森県沖日本海(南側)」「山形県遊佐町沖」の2つを2024年1月19日〜2024年7月19日の間で公募している。

      選定事業者 運転開始
促進地域 ①長崎県五島市沖 1.7万kw 戸田建設グループ  
②秋田県能代市・三種町・男鹿市沖 47.88万kw 三菱商事連合  
③秋田県由利本荘市沖 81.9万kw 三菱商事連合  
④千葉県銚子市沖 39.06万kw 三菱商事連合  
⑤秋田県八峰町・能代市沖 37.5万kw ジャパン・リニューアブル・エナジー(ENEOS グループ)
イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン、
東北電力 
2029/6/30
有望な区域 ⑥長崎県西海市江島沖 42.0万kw 住友商事、東京電力リニューアブルパワー 2029/8/31
⑦青森県沖日本海(南側)

 第3ラウンド

⑧青森県沖日本海(北側)      
⑨秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖 31.5万kw JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力 2028/6/30
⑩山形県遊佐町沖

第3ラウンド

⑪新潟県村上市及び胎内市沖 68.4万kw 三井物産、RWE Offshore Wind Japan村上胎内、大阪瓦斯 2029/6/30
⑫千葉県いすみ市沖    

米連邦最高裁は6月13日、人工妊娠中絶のための飲み薬(経口中絶薬)「ミフェプリストン」の認可差し止めをめぐる訴訟で、訴えた中絶反対派の医師たちに原告となる資格がないと判断した。

米食品医薬品局(FDA)の承認の是非については判断せず、米国でこの経口中絶薬を使い続けられることになった。この判断には9人の最高裁判事全員が賛成した。

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米食品医薬品局(FDA)は2023年1月、妊娠中絶に使用される経口薬「ミフェプリストン」の薬局での販売を許可すると発表した。

商品名:Mifeprex(一般名:mifepristone)は、妊娠を続けるために必要な黄体ホルモンのはたらきを抑える経口薬で、この薬をのんだ後、子宮を収縮させる働きがあるミソプロストールをのむことで中絶を起こすもので、世界で普及している。

日本では2023年4月28日、「子宮内妊娠が確認された妊娠63 日(妊娠9 週0 日)以下の者に対する人工妊娠中絶」を効能又は効果として製造販売承認された。日本では、母体保護法に基づき、母体保護法指定医師のみが人工妊娠中絶を実施することとされており、本剤の使用についても同様の扱いとなる。

米国では以前はこの錠剤は専門の医院でのみ調剤され、女性は直接受け取る必要があった。今回、小売薬局を通じての販売を可能にし、薬局はこれまで患者が直接受け取る必要があった錠剤を郵送で送ることができるようになる。

FDAの規則緩和を受け、米国での中絶処置の半数以上を占める経口中絶薬へのアクセスは中絶が合法とされている州では容易になる。

中絶に反対する医師らが2022年、FDAが2000年に承認したmifepriston は安全でないとしてFDAによる承認を無効にするよう求めて提訴した。

米テキサス州連邦地裁は2023年4月7日、認可を差し止める判断を下した。

Matthew Kacsmaryk判事は訴えを認め、FDAによる認可は、特定の医薬品に関する迅速認可のルールに違反したとの判断を示した。さらに、mifepristoneの「心理的影響」をFDAが「十分に考慮しなかった」ことの「重大性は看過できない」と指摘し、「生殖機能が発達中の18歳未満の少女への影響」が確認されていなかったと述べた。

その上で、FDAに控訴する時間を与えるため、判事自身がこの決定を7日間 一時停止(stay)した。

米司法省は、テキサス州地裁の判断を不服として連邦高裁に控訴した。

mifepristoneが禁止されればもう一方の薬ミソプロストールだけで処置することになり、効果が低下する。

司法省は最高裁に介入を求め、係争中は流通を全面的に認めることを求めた。

政権側の控訴を受けて連邦控訴裁は2023年8月、流通は認めたものの医師による対面の診察と処方を義務付け、郵送を禁止するなど入手を困難にする判断を出した。政権側がこれを不服として最高裁に上訴した。

2023/4/10 米国で経口中絶薬で相反する判決 を補正

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政権側の上訴を受け、米連邦最高裁は2024年3月26日、「ミフェプリストン」の流通規制の是非について口頭弁論を開いた。

保守派判事を含む多くの判事から規制に懐疑的な発言が相次いだ。

口頭弁論では原告の医師らに訴えを起こす権利があるかどうかが焦点の一つとなった。

原告は中絶薬の流通による具体的な損害を証明する必要がある。医師らは中絶薬の合併症の患者への対応を迫られれば中絶に反対する信念に反し、倫理的な損害を被ると主張した。

リベラル派のジャクソン判事は医師は信念に反する措置を拒否することが可能で、中絶薬の流通全体を禁止する必要はないと指摘した。

保守派のゴーサッチ判事やカバノー判事、バレット判事も同様の見解を示唆した。

最高裁は22年6月に中絶の権利を否定する判断を下し、主に保守地盤の州が中絶を禁止したり規制を強化したりした。米国では中絶を望む人の半数以上が中絶薬を使用している。流通が規制されれば、合法の州でも中絶が困難になると懸念されている。

また政権や製薬会社側は最高裁が原告の主張を認めてFDAの承認を無効にすれば、FDAの判断に疑問を呈することになり、FDAが承認する他の薬や医療機器などにも影響が及びかねないと警告した。

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米連邦最高裁判所は6月13日、国内に普及している経口妊娠中絶薬「ミフェプリストン」の入手や使用を全面的に認めるべきだとの見解を示した。
郵送禁止など、一定の制限を加えることを決めた下級審の判断を覆した。



最高裁の判事9人全員が制限導入に反対し、そうした措置を求めている原告側は訴訟を続ける上で必要となる法的な要件を満たしていないと指摘した。


ただ、判断は中絶薬の是非そのものには踏み込んでおらず、アメリカのメディアは今後またこの薬をめぐる新たな訴えが起こされる可能性があると指摘している。


中絶問題は11月の大統領選でも争点の一つになっている。トランプ前大統領は「各州の判断に委ねるべきだ」との立場をとっている。

TAVI方式が無理との判断で、心臓血管外科に引き継がれた。

当初は80歳以上ということで前向きでなかったが、面談し、身体の様子をみて、引き受けてくれた。


事前にいろいろの検査をして、当日を迎えた。

全身麻酔ですぐに意識を失った。以下はいろいろの資料で調べたもの。実際の処置と異なっている可能性はある。

1.経食道心臓超音波

口からカメラを飲み込ませ、食道(心臓の裏側)から撮影してチェックする。

2.胸骨正中切開

胸骨を縦割し、開胸器で大きく広げて、心臓の全てがよく見える状態にする。

→ 後述の通り、今回は吸収糸での埋没縫合のため、傷跡はしばらくすると消えた。 但し、胸骨を留めたステンレスワイヤーの 端が皮膚の下に点々と見える。

3.人工心肺を設置   

汚れた血(静脈)の心臓への入り口を遮断し、血を人工心肺に流す。

きれいな血(動脈)の出口を遮断し、人工心肺から全身にきれいな血を流す。

これにより、手術の間は心臓には血が流れないようにする。

なお、心臓を 長期間止めていると、心筋が傷むため、心筋保護液を注入する。

今回の心臓停止は約1時間とのことであった。

 

4.大動脈弁交換

大動脈遮断による心停止のもとに大動脈を切開し、狭窄している大動脈弁を切り取って、新しい弁(ウシの心膜)を縫い付ける。


グルタルアルデヒド緩衝溶液中で保存されたウシの心のう膜を柔軟性のあるステントに取り付けた三葉の生体弁
 

 

5. 切断した大動脈の縫合

 

6.追加処置(大動脈瘤の処理)

通常、大動脈は直径が20~25mmだが、手術付近で、直径が40mm、長さ80mmの筒状になっている。
厳密な意味での動脈ではないが、やはりリスクがあるとして、対策をとってくれた。

人工血管で太い部分をラッピングした。

人工血管/オープンステントグラフトJ GRAFT (グラフト素材:ポリエステル。ステント素材:ニッケルチタン合金)

 

7.人工心肺を外し、心臓を動かす。

流速は1.9m に向上、正常値である。

 

8.最終措置

胸骨を戻し、ステンレスワイヤーで締める。

皮膚の縫い付け。

吸収糸で埋没縫合(糸が外に出てこず、抜糸が不要な縫い方)する。

皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層になっている。従来は表皮も含めて縫い付けたが、埋没縫合では表皮と皮下組織だけを縫い付ける。表皮は分かれたままで、しばらくは創保護剤でカバーする。暫くすると自然に切り目がくっつく。内部の糸も溶けて排出される。


糸は「ポリグリコール酸」などの「高分子生分解性熱可塑プラスチック」で作られている。

水に触れるとつながっている分子がバラバラになり分解されていく「加水分解」という性質を持っているため、吸収糸は手術で縫い合わされた後、体内の水分によって次第に分解され、最後には二酸化炭素と水になり、体外に排泄される。

縫い目がまったく見えない。

皮膚表面に「カラヤヘッシブ」という名称の創保護剤(ハイドロコロイド創傷被覆材)でカバーしている。

手術3週間後に保護剤を外した。

 

1年半経過で、傷跡はほとんど見えない。ただし 胸骨を留めたステンレスワイヤーの 端が皮膚の下に点々と見える。

ーーー

手術の翌々日に一般病棟に移り、トイレは歩いていった。

一般病棟に移って1 時間後に執刀医が病室に見に来た。前夜もほとんど寝ていないのを知っていたため、バテていると思ったが、ベッドに座り、パソコンでグラフを作成していたので、驚愕していた。

翌日にはシャワー、翌々日には病院のジムでリハビリを開始。ストレッチのあと、自転車5分、またストレッチを行った。

手術11日後に退院した。退院翌日からジム通いを続けている。

半年に1回の検査を続けている。


その後、病院の要請で心肺機能のテスト(多くの機器をつけて自転車をこぐもの)を行ったが、優秀な結果と言われた。

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これで、身体の(喉)から、(尻)から、(へそ)から、(背中)からの内視鏡手術と、手首の血管からのカテーテル手術と続き、最後は(足の血管からのカテーテル手術の予定であったが、検査の結果実施不能で、)開胸手術となった。

なお、この開胸手術で身体障害者1級となった。

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最初にも書いたが、それぞれについての経験と、 好奇心から調べたもののまとめである。

あくまで素人の知識・理解であり、間違っているところもあると思われる。

参考にされるのはよいが、最終的には医師に相談してほしい。

2021年12月の急性心筋梗塞の手術の後の検査で、大動脈弁狭窄性が重症であることが分かった。

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心臓には 4つの部屋があり、全身をまわって汚れた血液を肺からの酸素できれいにし、全身に送り出す。

心臓は1分間に60~80回の拍動を行っている。 その都度、血液が送り出されるが、逆流しないよう、それぞれに弁がついている。

大動脈弁は、全身に送り出す血液が心臓に逆流しないよう、3枚の弁が組み合わさり、大きく開き、しっかり閉じる仕組みになっている。

100人に1人くらいは、弁が2枚しかない。(2尖弁)  小生はこのケース。

高齢化するにつれ、弁が石灰化し、開きにくくなる。 

血液の秒速は正常は2m以下。血液は一定量が送り出されるため、出口が狭いと、弁口を通過する血液の流れが速くなる。

心臓エコーで診断する。秒速4m以上が重症。

急性心筋梗塞手術の後の検査で、秒速4.1mで重症であることが判明した。

なお、この時点では健康面では全く問題なく、胸の聴診などでも問題はなかった。

2022年4月に、急に軽い息切れが発生した。このため、6月手術を決定。

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手術の方法は大きく分けて2つある。

1)開胸手術(従来からのもの)

2)カテーテルによる人工弁 (TAVI方式)

 折りたたんだ人工弁(金具にウシや豚の心膜を貼り付け)を足の動脈からカテーテルで入れ、古い弁の場所で開く。古い弁は血管に押し付けて潰す。

  ①バルーン方式(日本医科大学病院など) パッと開く。

  ② 自己拡張型(慶応大学病院など) 自動的にゆっくりと開く。

  
従来はすべて開胸手術であったが、老人の場合、体力が持たないため開発された。

  足の血管からカテーテルをいれるだけで、負担は非常に少ない。

  耐用年数があるので、若い人には使用できない。

  以上の点から80歳以上の場合はTAVI方式が一般的である。

但し、カテーテルの場合、手元の操作で合図するだけで人工弁がきちんと開くことが必要で、そのためには、元の3つの弁のそれぞれの場所に、人工弁の3つの弁を置くことが必要となる。

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当時、既に80歳を超えていたため、TAVI方式を検討した。

入院日記 1 で、脊柱管狭窄症 の事前検査で3つの問題点が分かったと述べた。その一つがニ尖弁であった。

精密検査の結果、やはりニ尖弁であることが確認され、また石灰が分厚いことも分かり、人口弁がきちんと開かないと判断された。



EUは、中国から輸入される電気自動車(EV)が、中国政府からの補助金を受け、EU市場での競争をゆがめているとして、2023年10月から調査を行っていた。

その結果、中国のバッテリー電気自動車(BEV)のバリューチェーンが不当な補助金を受けており、これがEUのBEV生産者に経済的な損害の脅威をもたらしていると暫定的に結論づけた。また、調査では輸入業者、ユーザー、およびEUのBEV消費者への影響や結果も検討された。

そのため、委員会はこれらの調査結果を中国当局と協議し、WTOに準拠した形で問題を解決する方法を模索している。

欧州委員会は中国から輸入されるBEVに対して暫定的な相殺関税を課すレベルを事前に公表している。中国当局との協議が効果的な解決策に至らない場合、これらの暫定的な相殺関税は7月4日から保証金として導入され、最終的な関税が課される場合に徴収される。

欧州委員会がサンプルとして選定した3つの中国の生産者に対して適用する関税率は以下の通り。

  • BYD:17.4%
  • 吉利汽車(Geely):20%
  • 上海汽車(SAI):38.1%
  • その他、調査に協力したがサンプルに選ばれなかったその他の中国のBEV生産者には21%
  • 調査に協力しなかった他のすべての中国のBEV生産者には38.1%

現在の関税率は10%で、これに上記が加算される。 上海汽車の場合、48.1%となる。

対象となるのは、中国メーカーに加えて、中国で製造する欧米その他のメーカーも含まれる。

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付記

EUは10月29日、中国から輸入した電気自動車(EV)に最大35.3%の追加関税を課すことを正式に決めた。10月30日から5年間、従来の関税率である10%に上乗せする

欧州委員会によると、中国勢のEVは欧州勢より2割ほど安く、低価格を武器にシェアを2020年の1.9%から2024年4~6月には14.1%まで急伸させている。
一方で、減税や好条件での融資などの間接的な形も含めた過剰な補助金に支えられているとも指摘されている。

EU加盟27カ国は10月4日に投票を実施。賛成10、反対5、棄権12となり、欧州委は課税に必要な支持を得た。その後も中国側と最低価格の設定などの解決策について協議したが、溝は埋まらなかった。

  • 賛成 10 : Bulgaria, Denmark, Estonia, France, Ireland, Italy, Lithuania, Latvia, the Netherlands and Poland. (45.99% of the EU population)
  • 反対 5 :Germany, Hungary, Malta, Slovenia and Slovakia. (22.65%)
  • 棄権 12 : Belgium, the Czech Republic, Greece, Spain, Croatia, Cyprus, Luxembourg, Austria, Portugal, Romania, Sweden and Finland. (31.36%)

追加関税率は、上海汽車(SAIC)の35.3%が最高で、吉利汽車(Geely)は18.8%、比亜迪(BYD)は17.0% 、中国で生産する米国のTeslaは7.8%。

他のメーカーで調査に協力したメーカーは20.7%、協力しなかった他のメーカーは35.3%。

各社との交渉などの結果、7月に示した暫定税率から0~2%ほど下げた。


中国商務省は30日、「中国は引き続き、中国企業の正当な利益を断固として守るために、あらゆる必要な措置を講じる」との報道官談話を発表し、さらなる対抗措置の発動を示唆した。

中国政府は、中国製電気自動車への追加関税を支持する欧州諸国への大型投資を一時停止するよう国内自動車メーカーに指示した。
追加関税案を巡る投票で棄権した国への投資は慎重にし、反対した国には積極的に投資するよう通達したと明らかにした。

加盟国による投票ではフランスやポーランド、イタリアなどが追加関税適用に賛成した一方、ドイツなど5カ国は反対票を投じ、12カ国は棄権した。

ーーー

中国から輸入されるEVの6割は米Tesla や仏ルノーといった欧米メーカーの製品である。

ーーー

EU側の発表に先立って中国外務省の林剣報道官は12日の記者会見で「市場経済の原則と国際貿易のルールに反し、中国とEUの経済貿易協力や世界の自動車生産のサプライチェーンの安定を損ない、最終的にはEU自身の利益を損なうものだ」と主張した。

そのうえで「われわれはEUに対し、自由貿易を支持し、保護主義に反対するという約束を厳守するよう求める。中国は、あらゆる必要な措置をとってみずからの合法的な権益を断固として守る」と述べ、対抗措置をとることを示唆した。


ドイツ政府の報道官は12日の記者会見で「われわれにはさらなる貿易の障壁は必要ない」と述べ、中国のEVに対する関税の上乗せに慎重な姿勢を示した。来月4日までには「まだ時間はある。友好的な解決にたどり着くことが望ましい」として、協議を通じて上乗せが回避されることに期待をにじませた。

ジムでいつものようにストレッチや筋トレをやり、次に自転車を漕いでいると、急に動悸がした。暫く休んでいても治らず、横になったが、30分以上休んでも全く治らない。

動悸だけが問題で、心筋梗塞の「脂汗が出るほどの激しい胸の痛み」などはなく、何だろうと不思議に思った。

自宅に戻り、かかりつけ医に行くと、直ぐ心電図をとってくれた。一部で血液が止まり、流れていないため、急性心筋梗塞だとして、病院に連絡するとともに救急車を呼んでくれた。(心筋梗塞疑いの場合は、時間が問題で、救急車と決まっている由)

ーーー

急性心筋梗塞(acute myocardial infarction: AMI)」は急激に血管内がプラークや血栓などで詰まり、冠動脈内の血流がなくなってしまい、心筋に栄養と酸素が十分に届かず、時間とともに心筋が死んでゆく(心筋の壊死)状態。

なお、狭心症は心臓に血液を送る冠動脈が詰まりかけている、或いは血管の痙攣によって一時的に血管が細くなって血の巡りが悪くなっている状態。これが進むと心筋梗塞になる。

ーーー

検査の結果、直ぐ手術になった。

左腕動脈からカテーテルを挿入、冠動脈にまで持ってゆき、これを通じて造影剤を注入する。

東芝心臓血管撮影装置(レントゲン撮影で動画を写すもの)で胸の右側からと左側から写すと、血管だけが造影剤で真っ黒に写る。

少し撮影しては止め、画像を戻して動かし、チェックしていく。この繰り返しで全体をチェックする。

狭心症ならその部分の血管が細く写り、心筋梗塞ならその部分で血流が途切れる。

小生の場合、先の方の非常に細い血管に血栓があった。

まず、カテーテルで血栓を取り除き、その後、カテーテルにつけたバルーンを膨らませ、血管を広げた。ステント(金属製のコイル)は入れていない。

手術時間は約2時間。大きな装置2台に挟まれ、モニター画面がよく見えなかったのが残念。真っ黒な血管が心臓の鼓動で動き回るのが見えた。

翌日、手術後の検査をしたが、ここで大動脈弁狭窄症が見つかった。かなりの重症で、年明けに精密検査をすることとなった。

手術の5日後に退院した。 

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医療機関のホームページでは、急性心筋梗塞の初期症状として下記のようなものがあげられている。

  • 胸や首、心窩部(みぞおちのあたり)の締めつけられるような痛み
  • 冷や汗がひどくなり、意識が遠のく
  • 30分以上発作が続く

小生の場合、動悸が続くだけで痛みや冷や汗はなく、意識も通常通りであった。大したことはないだろうと思ったが、「念の為」として医院に行ったのが幸いした。

放置していると、心筋が壊死する。急性心筋梗塞に限ると、年間約15万人が発症し、そのうちの約30%が亡くなっていると言われている。

「発症したら一刻を争う事態となるので、迷わず救急車を呼びましょう」とされている。

上記のような痛みなら、救急車を呼べばよいが、下記の記事のように、この病気と結びつかない症状が多い。小生の場合も「動悸」が続くだけで、痛みは全くなかった。

2023年9月25日付け毎日新聞に、急性心筋梗塞での死亡が年間3万人を超えるが、女性の死亡率は男性のほぼ2倍との記事がある。

急性心筋梗塞を発症した際、訴える症状が男女で異なることは海外の研究でも報告されている。男性は主に胸の痛みを訴えるが、女性は背中やあご、のどなどに痛みを感じるほか、食欲不振や倦怠感など、すぐにこの病気とは結びつかない症状がみられるケースが多い。「女性患者が救急車を呼ぶのをためらう一因にもなっている」という。


 急性心筋梗塞 男女で異なる主な症状 「循環器領域における性差医療に関するガイドライン」より

  男性により多くみられる症状

   ・胸痛 ・冷汗

  女性により多くみられる症状

   ・腹痛 ・背部痛 ・めまい ・呼吸困難感 ・倦怠感 ・あご、のど、肩の痛み ・食欲不振 
   ・吐き気や嘔吐 ・どうき ・失神


「80代の女性。胃部の不快感、みぞおちあたりに痛みがあり、吐いています」。救急隊が総合病院に搬送してきた女性患者の訴えは当初、胃や腸など消化器系の疾患を疑わせるものだった。消化器内科の専門医が胃のCT検査などで原因を探っていくが、分からない。1時間、2時間と時間だけが過ぎていく中、最後に実施した心電図検査でようやく心臓に異常が見つかった――。」

「心臓を診る循環器の医師のところに患者が来た時には既に心不全になっていたり、心電図をもっと早くとっておけば......という症例を見たりした」と振り返る。(安田聡・東北大教授)

小生の場合、念のために医院に行き、心電図ですぐ分かった。とりあえず医院に行くのをお勧めする。

福井県の衣料素材メーカー、福井経編興業(福井市)が開発した心臓・血管修復パッチ「シンフォリウム」が6月12日、発売される。

患者の成長に合わせて伸びる機能で手術回数を減らす効果が期待できる。

本件の開発については、6月8日のNHKの新プロジェクトXで、「技術よ 小さき命を救え 〜町工場 夢の心臓・血管パッチ開発〜」として詳しく取り上げられた。(NHKオンデマンドでみられる。)

年間売り上げ目標は2億円ほど。販売は、共同開発した帝人のグループ会社「帝人メディカルテクノロジー」が担う。同社が取り扱う先天性心疾患向けの既存パッチの売り上げは年間9~10億円で、うち2割をシンフォリウムに置き換えたいという。今後は欧米など海外での販売も目指す。


ドラマ「下町ロケット ガウディ計画」のモデルとなり、医療分野への挑戦という同社の希望も託された心臓パッチが10年の時を経てついに市場へ挑む。

(「下町ロケット」では心臓手術などが取り上げられているが、本筋は下請けが大手メーカーと争う話で、心臓・血管修復パッチの話は取り上げられていない。)

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日本では約100人に1人の割合で「先天性心疾患」の赤ちゃんが生まれている。

「先天性心疾患」は、生まれつき心臓の中のしきりに穴があったり、出入りする血管が狭くなったりしている病気で、手術では「パッチ」を使って穴を塞いだり血管を広げたりする。

既製品のパッチは動物由来の素材が多く、人体に使用すると異物反応による劣化が起こりやすい。

患者の成長に伴い再手術によるパッチの交換はほぼ不可欠で、患者や家族にとって身体面や精神面、金銭面の負担が重い。

心臓病の子どもにとって負担の大きな再手術のリスクを減らすため、心臓外科医・根本慎太郎氏(大阪医科薬科大学病院・小児心臓血管外科診療科長)のアイデアをきっかけに、福井経編興業が伝統的な繊維産業の高度な経編の技術によって、「患者の自己組織に置き換わり、身体の成長に合わせて伸張可能な特殊素材のパッチ」の試作品を考案した。

福井経編興業では、まず子供の成長に合わせ、拡がるパッチを検討したが、失敗した。

拡がるのではなく、まず大きなパッチをつくり、溶ける繊維を使って縮小するというアイディアを考えた。同社の持つ経編み技術を生かし、吸収性糸が溶けると非吸収性糸の編み目がほどけ、血管の成長とともにパッチが伸びるしかけを施した。

吸収性糸が解けた後は約2倍まで伸長し、小児時点で手術した場合も再手術の必要性は少なくなる


しかし、血が漏れるという問題が発生、福井経編では解決できず、取引先の帝人に持ち込んだ。

帝人では長期の研究の結果、ゼラチンとグリセリンの組み合わせで、編地に対して血液漏れを防ぎかつ自己の組織に置き換わる機能を持つゼラチンを一体化する技術を開発、問題を解決した。帝人は製品化に向けた設計開発や薬事申請などを担う役割として本計画に参画した。

大阪医科薬科大学病院、福井経編興業、帝人の3者の共同研究の結果、生分解性合成高分子糸(ポリ-L-乳酸:PLLA 糸)と非生分解性合成高分子糸(ポリエチレンテレフタレート:PET 糸)から構成される編物に架橋ゼラチン膜を複合化した合成心血管パッチ「シンフォリウム」を完成、20195月に開始された臨床試験においては、本製品によると考えられる不具合や再手術は、現在まで発生していない。



2023/7/11付で厚生労働省より製造販売承認を取得した。

2020年12月にピロリ菌を処理し、これで胃潰瘍は大丈夫と思っていた。

ところが、突然、大貧血で前回と同様の状況になり、入院し、内視鏡検査で胃潰瘍と分かった。

ピロリ菌による胃潰瘍が知られているが、NSAIDs胃潰瘍(非ステロイド系抗炎症薬胃潰瘍)というのがあるのを知った。

老人(特に80歳以上)又は胃潰瘍経験者で、 特定の痛み止め薬(NSAIDs薬)を、 長期間(10日以上とか)服用した場合にかかる。

Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugsの略であり、非ステロイド性抗炎症薬と訳される。ロキソニン、ボルタレン、アスピリン、バッファリン、イブ等々が該当する。

逆に大丈夫な薬はステロイド系で、アセトアミノフェン(カロナール)、バッファリンルナ等々である。


大分前から腰痛がひどく、整形外科医でロキソニンテープをもらって10日以上貼ったが、効かず、その日にボルタレンSRカプセルをもらって服用した。 1日2錠で、薬剤を24時間放出する。
ボルタレンSRカプセルと併用してムコスタという酸を弱める薬も処方してもらい、服用したが、これは効き目が低いものと分かった。このような場合、タケキャブを服用するしかないとのこと。

内視鏡で見ると、細い傷跡が見える。血は止まっている。

おそらく、NSAIDsが胃壁を傷つけ、細い血管から出血したと思われる。傷跡も細く、出血も止まっているため、特に手術はせず、薬のみとした。

なお、ボルタレンSRカプセル服用のせいか、腰痛は治った。胃潰瘍の代償を払ったが。
ーーー

胃酸は食物の消費のためにつくられるが、同時に胃の内壁も痛める。
そのため、COX-1酵素というのが胃壁を胃酸から守っている。

別途、COX-2酵素があり、これが炎症原因となるプロスタグランジン(PG) を生成する。

痛み止め薬は、COX-2を破壊して、PGの生成を防ぎ、痛みを止める。

しかし、痛み止め薬のなかの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はCOX-2を破壊し、PGの 生成を防ぐが、同時に胃壁を胃酸から守るCOX-1も破壊することで胃の内壁を傷つけ、NSAIDs胃潰瘍をもたらす。

カロナールのようなステロイド系の薬剤は、COX-2を破壊し、痛みをとめるが、COX-1は破壊しない。

もし、NSAIDs薬を服用する場合は、タケキャブ錠を服用して胃酸の分泌を抑えることが必要である。


全く前兆なしの異変だった。

夕食後、寝転んでいて、立ち上がると、突然、息苦しくなり、立っておれず、座っても苦しく、横になっていた。
通常血圧の上が120程度だが、85まで下がっていた。(この時に突然、胃に穴があき、かなり出血した模様)

近くの医院で血液検査の結果、血中ヘモグロビンが異常に下がっていることが分かり、病院に行った。

再検査すると数値が更に下がっており、便の色が真っ黒であることから、胃からの出血ということで、内視鏡で見てもらった。

その結果、特殊な胃潰瘍であることが判明した。一般的な胃潰瘍はかなり広い範囲に潰瘍が発生、ひどくなると出血するが、小生の場合、潰瘍はなく、穴がポツンと開いていた。
太い血管に孔が開き、かなりの出血があっただろうとの所見だった。

内視鏡手術で孔の部分をクリップで血管ごと挟む処理をした。
(退院後すぐに、同病院で大腸がん手術の半年ごとのチェックがあり、CT写真をみせてもらうと、クリップが写っていた。)

この処理で出血がとまり、便も普通の色になり、1週間後にへモグロビンも9.8まで上がり、退院した。

なお、クリップは傷口が回復したあと、自動的に外れ、知らない間に便と一緒に排出されていた。

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調べたところ、骨髄の造血幹細胞で赤血球がつくられ、成熟するとヘモグロビンがつくられるが、赤血球の寿命は約120日とされ、全身を循環し、寿命を全うすると脾臓や肝臓で破壊される。

毎日だいたい赤血球全体の0.8%が破壊され、その分が補給される。

胃から大量出血すると、毎日の補給分に加えて赤血球をつくる必要があり、戻るまでに時間がかかる。 これを薬で補った。

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原因はピロリ菌 (Helicobacter pylori) である。

胃には強い酸(胃酸)があるため、昔から細菌はいないと考えられていたが、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が胃粘膜に生息していることが分かった。
(1979年に豪州の2人が発見、2005年のノーベル医学生理学賞を受賞)

ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を出して食品の尿素を分解し、自分の周りにアルカリ性のアンモニアを作り出すことで、胃酸を中和しながら、胃の中に存在している。

(逆に、ピロリ菌が無い場合、胃酸が中和されないため、胃酸過多の人が多いことが分かった。胃酸過多の主な症状は、胸焼け・げっぷ・胃もたれなど)


ピロリ菌は現在は抗生物質で除去する。

抗生物質は酸性下では効果が減少するため、昔は使えなかった。ピロリ菌胃潰瘍になった場合、手術しか治療方法はなかったという。

2015年に武田薬品が胃酸の分泌を抑えるタケキャブを発売。これで胃の中の酸性の度合いが弱まるため、抗生剤の効果が高まった。


退院後、ピロリ菌の除去を行った。

  まずタケキャブを1日1回1錠を14日続ける。

  続いてタケキャブ1錠と抗菌作用の抗生物質(クラリス錠200とアモリンカプセル250)を1日2回、7日間飲む。これで終了。

非常に簡単なので、まだ除去していない人は、すぐ除去することをお勧めします。




参考 2020/12/20 ピロリ菌が胃炎を引き起こすメカニズム解明、新たな治療標的に

 

Saudi Aramco が米国のLNG計画の一つへの参加を決め、更に、別のLNG計画への参加、また他のLNG計画と長期のLNG引取の交渉を行っている 。


同社はグローバルなLNG市場での役割を強化しようとしている。

2023年9月に、エネルギーインフラ分野の大手機関投資家であるEIGが設立・運営するLNG会社、MidOcean Energyの戦略的少数株主持分を5億ドルで取得することで合意した。将来的にMidOcean Energyの保有株式を増やすオプションを持つ。

現在、規制当局の承認等を待っている。

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EIGは、グローバルなエネルギーおよびインフラ分野における主要な機関投資家。41年の歴史の中で、EIGは42カ国6大陸にわたる400以上のプロジェクトや企業に対して、エネルギー分野に450億ドル以上をコミットしてきた。

MidOcean Energyは、多角的なグローバルLNGビジネスを構築する成長戦略を掲げ、東京ガスから豪州のLNGプロジェクト4件の権益を取得した。

東京ガスは2022年10月、豪州子会社の4プロジェクトをMidOcean Energy に譲渡することを決定し、契約を締結した。2024年3月に取引完了。

プロジェクト名称 権益持分比率 オペレーター LNG 生産開始 液化能力
 万t/年
プルート LNG 5% Woodside 2012 年 4 月 ......490
ゴーゴン LNG 1% Chevron 2016 年 3 月 1,560
QCLNG 1.25% QGC 2014 年 12 月 850
イクシス LNG 1.575% INPEX 2018 年 10 月 890
譲渡対象外
 ダーウィン LNG

3.07%

Santos

2006 年 1 月

370

MidOcean Energyは2023年3月、Brookfield Renewable Partners などとのコンソーシアムとして Origin Energy Limitedの株式100%を買収する契約を締結した。

Origin Energy は豪州を拠点とする総合エネルギー会社で、主な事業は、天然ガスの探鉱・生産、発電、電力・ガスの卸売・小売販売、液化天然ガスの販売など

MidOcean Energyは2024年4月に韓国のSK EarthonからPeru LNGの持ち分20%を買収した。

三菱商事が2024年4月にMidOcean Energyに戦略的投資をすることを決めたと報じられている。

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Aramcoのアップストリーム担当プレジデントは、「これは、世界をリードするLNGプレーヤーになるというAramcoの戦略における重要な一歩。当社は、構造的かつ長期的な成長が見込まれるこの市場に大きなチャンスがあると考えていMidOcean Energyは増大するLNG需要に対応するための十分な設備を備えており、この戦略的パートナーシップは、主要な国際プレーヤーと協力して世界レベルで新たな機会を特定し、切り開くという当社の意欲を反映していと述べた。

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Aramcoは現在、米国のTellurianとの間で、Lake Charles 近郊のDriftwood LNG export facilityの持ち分の買収交渉を行っている。

Driftwood LNG計画は年間約2,760万トンのLNG輸出施設で、フェーズ1ではLNGプラント2基(年間最大1,100万トン)を建設する。

Tellurianは本年末までに最初の2系列の最終投資決定を行う予定である。現在、バイデン大統領が新しいLNG輸出設備の承認を中断しているが、これについてはすべて認可済みで、影響しない。

計画詳細は 2023/4/12 米国で多くのLNG計画が進展 

Aramcoはこれとは別に、米国のLNG業者NextDecade との間でRio Grande project の第5系列からのLNGの長期購入契約を交渉している。

Rio Grande Project の詳細は 2023/1/23 伊藤忠、米 NextDecade Corporation とLNG購入の長期契約締結

付記  NextDecadeは6月13日、SaudiAramco との間で年間120万トンのLNGを20年間供給する契約(non-binding agreement) を締結した。

...

上記の手術の1ヶ月後に検査結果を聞くために病院に行った。消化器内科と外科の医師から「転移あり」と伝えられ、手術を勧められた。

そして、臨床応用研究中のダヴィンチ手術を紹介された。

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ダヴィンチ法は、元々は1980年代の後半に米国陸軍と旧スタンフォード研究所において開発されたもので、戦地での負傷者の手術を、離れた場所にいる空母や米本土の病院の医師が遠隔操作ですることを狙った。

1995年、民間での応用をさらに推し進めるため、Intuitive Surgical 社が設立され、1996年には最初のロボット支援下手術用サージョンコンソールを開発した。

(戦争はミサイルによるものになり、昔のように兵士が敵地で手術を必要とするようなケースは激減した。このため、民間用の手術方法となった。)

1999年1月に、da Vinci Surgical Systemを上市、2000年には、一般的な腹腔鏡下手術を適応とする初のロボット支援下手術システムとして、FDAにより認可された。その後は、胸腔鏡手術、補助切開部からの心臓手術のほか、泌尿器科、婦人科、小児外科、経口アプローチによる耳鼻咽喉科の手術についてもFDAから認可を得ている。

日本では、2009年11月に、泌尿器・一般消化器・婦人科・胸部外科でダヴィンチの薬事承認がなされ、2010年3月に販売を開始した。
2015年9月に心臓手術も承認された。

2018/2/6 手術支援ロボット ダヴィンチ(da Vinci Surgical System)の保険適用拡大へ 

2018年4月から直腸癌も保険適用となった。(筆者の手術時点では適用外)

通常の腹腔鏡下手術は、腹に4つ(ヘソと他に3つ)の穴をあけて、機器の出入り口であるポートを設置し、ヘソからは腹腔鏡を入れる。
(他に血液などを外に出すためのドレン用の穴をあけるため、合計5つの穴)

手術者は腹腔鏡の画像を映すモニターをみながら、ポートからいれた機器で手術を行う。 当然、手ぶれの恐れなどもあり、ずっと上向きのため、長時間の手術は疲れる。

ダヴィンチ法では、システムは、サージョンコンソール、ペイシェントカート、ビジョンカートなどから構成される。
3つのアームと1つのステレオ3Dカメラを搭載し、アームのカセットを交換することで、様々な処置を行うことが出来る。

通常の腹腔鏡下手術では医師が直接鉗子を操作して行うが、「ダ・ヴィンチ」による手術では鉗子の操作はロボットアームにより行われる。

執刀医は数m離れた場所に置かれた「サージョンコンソール」という機械に座り、術野の3D画像を見ながら、ロボットアームを遠隔操作する。
患者の横には吸引作業や機器カセットを交換したりする補助作業者が立つ。

両眼視で見る3Dモニターを使用して下向きの目線(開腹手術と同じ目線)で操作を行うために術者の疲労が少なく、視野も広く奥行きの把握も良好とされる。

通常の腹腔鏡下手術ではポートに入れた鉗子の先が開閉するだけだが、「ダ・ヴィンチ」では鉗子の先が人間の手首と同じように自在に曲がるので、可動域が広くなる。
手の震えを除去できる手ぶれ制御機能が付いているうえに、可動域の広さが人の手首以上となっており、人の手以上に細かく、丁寧に、確実な手術ができる。

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当時は直腸癌は保険適用外であったが、東京都では有用性と安全性の確認のための臨床応用研究として人数を絞って手術を行っており、それを勧められた。

それまで、手術のやり方を詳しく説明し、もしもの場合の対策があることなども説明して、ようやく2例を実施した段階であった。

小生は以前からこれについて聞いており、関心があったので、即座に応じ、医師を驚かせた。「もしかして、同業ですか?」と聞かれた。

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腹腔鏡による手術の手順は次の通り。全身麻酔のため、手術の経緯は資料で調べたもの。

切除した大腸部分をどうやって取り出すのか、切除した後でどうやって接続するのかが大きな疑問であった。

手術の概要

尿管や神経を傷つけないように腹腔鏡や鉗子を入れ、切除する腸に関係する栄養血管の処理を始める。血管の根元をクリップで止めて出血しないようにしたあと、切り離す。

次に、直腸の周囲を覆う腸間膜のうち、背中側の膜を結腸側から肛門側に向かって電気メスで剥がして、仙骨と分離させる。その後、直腸を固定している側方靱帯も電気メスで剥がす。

後方の処理が済んだら、直腸の前側の腹膜を剥がして、男性なら、精のう、前立腺と直腸の間を、女性なら膣と直腸の間を剥離する。

最後に、がんより肛門側で直腸を切り離し、へその穴を広げて、切り取った腸癌の部分を含む)を取り出す。

切り取った直腸とつながっている細い血管を処理しながら、がんのある腸を切除する。

残る腸をへそから体内に戻し、残してあった腸と自動吻合器(円形にホッチキスが配置され、その内側にカッターがある)で接続する。

①病変部分を切除したS状結腸にアンビルヘッドを固定し、体内に戻す。

②肛門から自動吻合器を挿入して、S状結腸に固定したアンビルヘッドと結合する。

③自動吻合器でホッチキスで留めながら、余分な部分を切り取る。

④自動吻合器を抜く。

ホッチキスの針はチタン製で、そのまま埋め込む。

3年後の内視鏡でのチェック時には、ホッチキスでとめた部分を肉が覆っており、見えなかった。

手術翌日から歩いており、手術翌日の昼から栄養剤、2日目からはお粥、3日目夜から常食で、手術1週間後に退院した。

手術翌月に病理検査の結果の説明があり、転移していないことが判明した。

その後、6か月後にCT検査を受け、5年で治療が完了した。



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医療用ロボットを開発するメディカロイドは2020年8月7日、国産メーカーで初めて手術支援ロボットhinotori サージカルロボットシステム」の製造販売承認を厚生労働省から受けた。

名称は、医師免許も持つ漫画家の手塚治虫の作品「火の鳥」から採った。

2020/8/14 国産手術支援ロボ 発売へ

発端は2017年7月に受けた東京都の定期健康診断で、唯一、検便で引っかかった。

それまで10年程度、検便で問題になったことはなく、今回も2日の便サンプルのうち、1日分のサンプルだけで引っかかった。

医師からは、検便でひっかかっても癌は数%との説明があり、(但し検便でOKでも癌の場合あり)、内視鏡での検査を勧められた。

(実際には下図のような大きな癌ができていた。おそらくかなり以前からできていたと思われる。その間、今回まで1回も検便でひっかからなかった。検便でひっかからないから大丈夫と思うのも危険)

この年に健康診断を受けたのが幸いであったし、念のためにと内視鏡の検査を受けたのも幸いであった。



内視鏡検査では、ポリーブを3つ取ってもらい、これで最後という段階で大きな塊(直径2.2cm、高さ2cm)が見つかった。

凹凸が分かるよう、黒いインキをかけている。

奥や手前に小さな塊が多数あり、内視鏡で取れるものではなく、手術することとした。

某専門病院の消化器内科に入院、内視鏡的粘膜下層剥離術手術を受けた。


癌は粘膜上に発生するが、その下層に液体を注入して膨らませ、電気メスで切り取るもので、痛くもかゆくもない手術。

麻酔も必要なく、ずっと画面を見ていた。切り取った部分も見せてくれた。


その段階では、転移の可能性は少ないということであったが、病理検査の結果、リンパ管に転移していることが分かった。 (約1カ月後)

粘膜上で発生した癌は次第に下の方にも発展する。粘膜下層には血管やリンパ管があり、これらに転移していると、肝臓や肺臓やその他に転移する可能性がある。

小生の場合、癌は粘膜下層に3mmほど拡大しており、切り取った塊の中のリンパ管が癌になっていた。血管には転移無し。周辺のリンパ節への転移の可能性は10%程度とのこと。

今の医学では、これがリンパ節に転移しているかどうかをチェックするには、腸を切り取ってチェックするしか方法はないそうで、癌が粘膜下層に及んでいる場合は切除を推奨しているとのこと 。

このため、手術を受けることとした。(次回)

なお、癌が粘膜下層に達していない場合、「上皮内新生物」と呼ばれる。

この場合、「癌」ではあるが、切ってしまえば、それで終いである。「できもの」を除去するのと同じである。このため、これを「がん保険」の対象にしないケースが多い。保険により対象が異なる。

小生の保険の場合、「上皮内新生物は」対象にならないが、粘膜下層に達しており、直腸を切除したため、「がん保険」の対象となった。

筆者はこの10年超で7回入院し、6回手術を受けた。

手術は、身体の上(喉)から、下(尻)から、前(へそ)から、後(背中)からの内視鏡手術と、手首の血管からのカテーテル手術と続き、最後は足の血管からのカテーテル手術の予定であったが、検査の結果実施不能で、開胸手術となった。

最後の人工心肺を使っての大動脈弁狭窄症の手術で、身体障害1級となった。

ただし、全く元気で、週に6回、ジムに通い、スクワットや自転車、水中ウォーキングをやっている。

「多病」息災と自称している。

それまで医学については全く知らず、どうやって手術するのかについて好奇心はあった。病気になったのを機に、病気や手術について調べた。

以下はそれぞれについての経験と、それについて調べたもののまとめである。適宜、掲載する。

ただし、参考にされるのはよいが、あくまで素人の知識・理解であり、最終的には医師に相談してほしい。

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脊柱管狭窄症(2012年、背中からの手術)

その少し前から足の筋肉痛があったが、突然、「間欠性跛行 」になった。

しばらく歩いていると、急に右足の力が完全に抜け、立っておれなくなる。しばらく座っていると、歩けるようになる。これの繰り返しである。

近所の整形医院に行くと、牽引やマッサージ、血流を速める薬などの治療をするが、治らず。担当のマッサージ師 の提案で医師にMRIをとることを要請した。

MRIで椎間板ヘルニア & 脊柱管狭窄症と診断され、病院に行った。


病院でもこれが確認されたが、心臓病の場合は手術が難しいため、まず精密検査を行った。

その結果、下記の3点が分かったが、手術には支障がなかった。

 ①高血圧: 起床時だけ高く、暫くすると下がるので、健康診断時には分からなかった。→降圧剤服用(現在も)

 ②動脈瘤: 当初の平面画像では胸部大動脈が直径40mmで動脈瘤と診断された。(通常は25~30mm、要手術は45mm程度以上)
        その後の検査で長さが80mmの筒状で、危険度は少ないと診断された。
 
 ③大動脈弁が通常の三尖でなく、ニ尖弁であること。当面は問題なしとされた。

 ③は大動脈弁狭窄症の手術で問題となり、②は同じ手術で処置された。

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脊柱管には脳から続く脊髄神経が収まっており、脳脊髄液で満たされている。

脊柱管狭窄症とは、
①神経の背中側にある黄色靭帯が固まったり、
②胸側の椎体と椎体の間にある椎間板が突出してヘルニアとなったり(椎間板ヘルニア)、
③又はその両方で、
脊柱管が胸側、背中側から圧迫され、狭くなった状態のことを指す。

脊柱管が狭窄すると中を走る神経が圧迫される。その結果、腰から下のしびれや痛みなど、いろいろな症状が出る。治療法もそれぞれ異なる。

小生の場合、下図のように腹側から椎間板ヘルニア、背中側から固まった靭帯が、両側から脊柱管を圧迫ている状態 であった。

 

手術は、椎間板ヘルニアと固まった黄色靭帯を切除する。

全身麻酔手術のため、意識はなく、手術過程は後に聞いたもの。

背中の下を5cmほど切って器具で幅を広げ、手術用顕微鏡を当ててモニターで見ながら行う。

まず骨を削って、その隙間から神経の通っている脊柱管や血管などを避けながら、脊柱管を両側から圧迫している椎間板ヘルニアと黄色靭帯を切除した。

両方を切除すると細くなっていた脊柱管がゆっくりと膨らんできたとのこと。神経を痛めているとその部分が赤くなるそうだが、小生の場合は赤くなっていなかった。

手術完了後、傷口をホッチキスで止め(看護婦に数えてもらうと12針とのこと)、針の隙間からチューブを差し込んで、体中の血液などを外に出した。

手術時間は2時間で、麻酔や手術準備を入れると3時間。

手術の3日前に入院、手術の12日後に退院した。

退院前にホッチキス外しの器具で針を一つずつ引き抜かれた。



歩行障害は全くなくなり、前年来の両足の筋肉痛もなくなった。

骨を削っているので、念の為、腰にコルセットをつけ、ジムでの運動をやめた。散歩はした。

3ヶ月後の検診で異常なしと診断され、ジムでの運動を再開した。

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椎間板ヘルニアについては手術なしで症状を改善する薬が開発された。

2014/6/11 生化学工業、椎間板ヘルニア治療薬を開発 

椎間板の変性をiPS細胞で防止する方法も開発されている。

2022/4/20 iPS細胞で椎間板を再生


米エネルギー大手 ConocoPhillipsは5月29日、同業Marathon Oil を株式交換方式で買収することで同社と合意したと発表した。Marathon Oil の価値は約170億ドル(約2兆6700億円)と評価された。

Marathon Oil 株主はMarathon Oil の1株につき、ConocoPhillips 0.255株を受け取る。5月28日のMarathon Oil の株価終値を14.7%上回る。今回の取引で純負債54億ドルを含む企業価値は225億ドルとなった。

買収計画は監督当局の承認を得て、10-12月(第4四半期)に完了する見込み。

Marathon Oil は1887 年、米国オハイオ州で原油生産会社として設立された。設立時の社名はオハイオ石油であった。設立 2 年後の 1889 年にスタンダードオイル・トラストに買収され、上流部門に加え、パイプライン会社としてもその地位を確立した。
第二次世界大戦後は、米国内での下流事業の強化のほか、上流事業をカナダ、英国等米国以外でも展開した。

1962 年に社名をMarathon Oil Companyに変更し、1982 年にUS Steelに買収され、同社の 100 %子会社となった。2002年にUS SteelはMarathon Oil を分離した。

Marathon Oil はConoco Phillipsとともに、日本向け最初の LNG 事業となったアラスカのプロジェクトを 1969 年11 月に立ち上げた企業でもあり、LNG、GTL 等ガス関連事業をコア事業と位置づけ、赤道ギニア等で事業の立ち上げを計画している。

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ConocoPhillipsは米国でExxonMobilやChevronに次ぐ規模の石油会社。Marathon Oil 取得によってテキサス州からノースダコタ州まで国内に幅広くシェール油田の拠点を拡大できるほか、赤道ギニアなど国外での採掘権も手にする。

Conocoはここ数年、130億ドルでのConcho Resources 買収やShellのシェール資産買収(95億ドル)を通じて米パーミアン盆地での資産を拡大している。

ConocoPhillipsは2020年10月19日、米国シェール開発会社のConcho Resources Inc.を買収することを発表した。買収額は97億ドルで2020年のシェール会社の買収案件では最大規模となる。

Conchoの生産量は日量約31万9千バレルで、買収によりConocoの生産量は日量150万バレル相当以上となり、独立系の米石油会社として最大となる。また、Conocoは約230億バレル相当の資源を確保することとな る。

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Shell は2021年9月20日、テキサス州とニューメキシコ州にまたがるシェールの最大鉱区、Permianシェール事業をConocoPhillipsに現金95億ドルで売却する契約を締結したと発表した。

2021/9/24 Shell、米国のPermian シェール資産をConocoPhillips に売却

今回のMarathon Oil 買収に際し、ConocoPhillipsは同社の強みを下図により説明している。

ConocoPhillips はMarathon Oil 買収後、赤道ギニアとオクラホマ州Anadarko BasinでLNGと天然ガス資産を拡大する。

1) LNG 両社の統合でEagle Ford、Bakken、Delaware のLNGのシェアが高まる。Anadarko Basinも増。


2) 赤道ギニア

赤道ギニアでは今回買収するMarathon Oil に加え、ExxonMobil、Amerada Hess、Devon Energy、ChevronTexacoが権益を持っている。

Marathon OilはAlbaガス田(埋蔵量 4.7Tcf)で生産した天然ガスについて、カナダNoble Energyならびに赤道ギニア国営石油会社のGE Petrolと共同で,容量 27.2 万m3 (38 万kl)のLNG貯蔵タンクを建設し,2007 年から輸出を開始 した。事業総額は 14 億ドルの見込みで、大西洋地域において最も低コストのLNGプロジェクトの一つとなる模様。プラントサイトはBioko島Punta Europeで,供給能力は 340 万t/yである。


なお、ConocoPhillipsは2013年3月、
メキシコ湾深海のShenandoah評価井の掘削において、大規模な油田を発見したと発表した。

ShenandoahではConocoは30%の作業権益を保有、他の共同所有者は、Anadarko Petroleum(オペレーター)が30%、Cobalt International Energyが20%、Marathon Oil が10%、Venari Offshore LLCが10%となっている。

なお、オペレーターのAnadarko Petroleumは、当初、Chevronが買収したが、最終的にOccidental が買収した。

  2019/4/16 Chevron、米石油・ガス開発のAnadarko Petroleum を買収→逆転:Occidental Petroleumが買収

尹錫悦大統領は6月3日、「慶尚北道浦項の迎日湾(ヨンイルマン)近海に莫大な量の石油とガスが埋蔵されている可能性が高いという物理探査結果が出た」と明らかにした。

韓国は1996年から海底石油ガス田探査を着実に進めてきた。その結果、迎日湾(ヨンイルマン)近海に1990年代後半に4500万バレル規模の東海ガス田を発見し、3年前の2021年までに商業生産を終えている 。

付記

その後、韓国ではこれに関する疑問が多数出ている。

東海油田の石油・ガス埋蔵の可能性を確認したコンサルティング会社アクトジオの専門性をめぐる論争。
売上
高がわずかの「1人企業」にすぎないという報道

韓国石油公社と15年間にわたり深海ガス田探査を共同遂行したオーストラリア最大石油開発会社ウッドサイドが昨年1月に撤収した。事業性が低いという判断から手を引いたという。
その近辺で大油田があったなど、あり得ない。

最大野党・共に民主党の李在明代表は、「十中八九(成功確率最大20%)失敗する事案に全額国民の血税を投入するのも心配だ」とし「国会レベルで徹底的に点検しなければいけない」と述べた。民主党のノ・ジョンミョン院内報道官もこの日の論評で「大統領の支持率が20%を割りかねないという危機感から企画された局面転換用の政治ショー」と批判した。


ーーー

韓国石油公社(KNOC)とオーストラリアの石油探査企業 Woodside Petroleumは2014年12月10日、日本海のBlock 8、Block 6-1-N 鉱区の深海で精密探査を行った結果、韓国の年間天然ガス消費量の1.3倍に相当するガスが埋蔵されているとみられることが判明したと発表した。

Block 8、Block 6-1-N
は浦項市の沖合いにある。その南部にあるBlock 6-1-Cでは1988年にKNOCが東海1号ガス田(DH-1) を発見し、2001年に開発許可を受け、2004年から生産を開始した。更に2005年に近くに東海2号ガス田(DH-2) を発見、開発の準備をしている。

Woodsideは2004年の東海1号の生産開始後、大陸棚に石油やガスが埋蔵されている可能性が高いことに着目し、KNOCの探査資料を約1年間かけて再分析し、ガス田の可能性を予測した。

2007年2月、KNOCとWoodsideは50/50での共同開発契約を締結した。

Block

Area (km2)

Working Interest

Operator

6-1N 3,665 KNOC/Woodside 50%/50% KNOC/Woodside
8 6,257 KNOC/Woodside 50%/50% KNOC/Woodside


2014/12/13 
韓国石油公社と豪Woodside、日本海で大規模天然ガス田発見?

ーーー

今回発表では、東海ガス田は3年前の2021年までに商業生産を終えている。

「現政権になり昨年2月に東海ガス田周辺にさらに多くの石油ガス田が存在する可能性が高いという判断の下で世界最高水準の深海技術評価専門企業 の米国ACT-Geoに物理探査深層分析を依頼した。」

「最近140億バレルに達する石油とガスが埋蔵されている可能性が非常に高いという結果が出て、有数の研究機関と専門家らの検証も経た。」

その上で「1990年代後半に発見された東海ガス田の300倍を超える規模で、韓国全体で天然ガスは最大29年、石油は最大4年を以上使える量と判断される」と付け加えた。


尹大統領はこの日、産業通商資源部の探査ボーリング計画を承認し、来年上半期まである程度の結果が出るだろうとしながら「国民のみなさんは落ち着いてボーリング結果を見守ってほしい」と話した。

今回発見したのは Block 6-1N、Block 8 の周辺とされる。この鉱区は2007年2月にKNOCと豪州のWoodsideが共同開発契約を締結したが、大統領によると、3年前の2021年までに商業生産を終えている」





米Merck (米国・カナダ以外での社名は MSD) は5月29日、眼科に特化した英国の非公開バイオ企業 Eyebiotech Limited (略称 EyeBio)を最大30億ドル(約4720億円)で買収することで同社と合意したと発表した。

Merckは前払い金として13億ドルを支払いEyeBioが将来の事業目標を達成した場合にさらに最大17億ドルを支払う。

Merckにとって大きな課題の1つが、2030年の前にも特許切れによって減収が予想される主力製品、がん免疫治療薬「キイトルーダ」の穴埋めを見つけることである。収益源を分散化するため買収を活発化している。

Merckは2023年4月16日、潰瘍性大腸炎やクローン病(炎症性腸疾患)向けの治療薬を開発している米バイオ企業Prometheus Biosciencesを買収すると発表した。

2023/4/18 米Merck、バイオ企業を1.4兆円で買収

EyeBioは、網膜血管漏出に関連する視力喪失の予防および治療のための臨床および臨床前候補薬のパイプラインを開発している。

同社の主要候補薬であるRestoret™(EYE103)は、Wingless-related integration site(Wnt)シグナル伝達経路のアゴニストとして作用する、潜在的に初の四価の三特異抗体。新生血管を伴う加齢黄斑変性や糖尿病に伴う眼疾患などの治療法として期待されている。

通常、生体内にある抗体は、1つの標的に対して作用にする。

しかし、免疫研究の進展、がん免疫療法の登場に伴い、より高度に生体を調節する期待を以て、2つの標的に結合する二重特異性抗体が開発された。二重特異性抗体は、従来の抗体では達成できない細胞同士の架橋、細胞やタンパク質を物理的に近接させる効果、標的の二重阻害等の効果が期待できる。現在までにアムジェンやロシュが抗がん剤や血友病治療薬を上市しており 、2021年の二重特異性抗体の世界市場規模は38億ドルと見積もられている。また、今後も市場成長を続け、2028年の市場規模は129億ドルに達するという予測がある。

臨床で二重特異性抗体の実績が確認されたことを受け、更に高度に生体を調整するために、多重特異性抗体の技術開発が行われている。直近1年では、特に三重特異性抗体を開発するスタートアップに対する動きが目立った。2023年11月に1.3億ドルに調達を行ったスタートアップEyeBio(2021年設立)は、網膜疾患(血管新生加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫)に対する三重特異抗体Restoretを開発している。Restoretがタンパク質に結合することで、タンパク質同士の複合体を形成させる、という新たなメカニズムを有する。

バイオ医薬品における新規モダリティと周辺市場の形成

EyeBioは2024年2月13日、Wnt(Wingless-related integration site)シグナル伝達を活性化するアゴニスト抗体(Restoret、EYE103)の第1b/2a相臨床試験(AMARONE試験)の中間解析結果を発表した。

糖尿病黄斑浮腫(DME)、新生血管を伴う加齢黄斑変性(NVAMD)患者を対象にRestoretを増量法で硝子体内投与し、未治療のDME患者を対象とする概念実証(POC)パートでは、単剤で最高矯正視力(BCVA)の改善、網膜厚の減少が認められた。

2024年後半にDME患者の治療を調査するための重要な第2b/3相試験に進むことが予想されている。

この買収により、Merckのパイプラインが補強されるだけでなく、同社の眼科領域での存在感が大幅に拡大する。

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参考

アステラス製薬2023/7/11、米国のIVERIC bio, Inc.総額約59ドルの現金を対価として買収した。

前立腺がん治療剤 XTANDI ®の独占期間満了対策で、癌などの治療薬を得るのは難しいため、ニッチである眼科に進出、多額を投資した。

IVERIC bio, Inc.は2023年8月4日、地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性の治療薬として開発中の IZERVAY™ (一般名:avacincaptad pego )硝子体内注射液について米国食品医薬品局(FDA)から承認を得た。
米国における適応症は地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性で、この適応症に対して唯一承認されている補体因子C5 阻害剤である。欧州でも承認申請中。

2023/8/7 アステラスの眼疾治療薬、米で承認

OPECプラスは6月2日の閣僚級会合で、協調減産を2025年末まで延長することで合意した。需要の伸び悩みや高金利などに圧迫される原油価格を下支えする。


OPECプラスは2022年終盤から一連の減産を実施し、現在の削減規模は合計で日量586万バレルと世界の需要の約5.7%に相当する。

OPECプラスは3月3日、現行の追加自主減産(3月末期限)を2024年6月末まで延長することを発表していた。

2022/11
 協調減産
2023/5 2023/7

2024/1-3

自主減産

自主減産

サウジアラビア OPEC+全体 500 +1,000 1,000 継続
イラク 211 223
UAE 144 163
クウェート 128 135
カザフスタン 78 82
アルジェリア 48 51
オマーン 40 42
ガボン 8
小計 1,157
ロシア (輸出削減) 500 500
合計 2,000 1,657 2,657 +1,196
(計2,196)
総計 2,000 3,657 4,657 ↓ 5,853
今回延長の期限 2025年末 2024年9月末

  以降 段階的縮小

2023/12/3 OPECプラス、協調減産不発、有志国で自主減産 付記


このうち日量3,657千バレルの協調減産は2024年末、8カ国による同2,196千バレルの自主減産は今月末が期限だった。

OPECプラスは今回、協調減産を2025年末まで、2,196千バレルの自主減産を今年9月末まで、それぞれ延長することで合意した。自主減産は10月から来年9月にかけて段階的に縮小する。

日産自動車は5月31日、下請法違反を繰り返しているとの一部報道を受けての社内調査結果を、長島・大野・常松法律事務所と共同で公表した。

日産自動車では、今年3月に公正取引委員会から下請法違反の勧告を受けた後も、取引先に対して不当な減額を強要していたと一部報道されていた。

これを受け同社では、外部の弁護士などによる第三者が社内調査を実施した。調達部門の担当者260人のメールを確認し、関係があると考えられる部門の関係者37人への延べ43回のヒアリングや収集した見積書などを確認・精査して実施した。

その結果、試作品のメーカーに対して原価低減目標を示したフォーマットがある事実などは確認されたものの、取引先への依頼は根拠があり、下請法などの法令違反は確認されなかったとしている。

報道された具体的内容については後記の通り。

「一部の試作部品に対して毎年減額率(6%)を記した発注フォーマットがあったこと」、「日産からの目標金額を示したメールがあったこと」などは確認された。しかし、契約は一部試作品のプレス部品への限定的かつ両社の話し合いのもとでの契約である。

また量産車部品に対する恒常的かつ自動的な原価低減を要求する発注フォーマットは見つからず、「ほぼ30%、ひどいときは50%」というような圧力をともなう大幅な減額要求も確認できなかった。

外部弁護士は、あくまで調査対象は社内のみ(相手からは聞いていない)とした上で、代金は双方で合意されたものだとの文書があると説明、「現時点で下請法など何らかの法令違反があると断定的に評価する状況にない」とした。

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しかし、内田誠社長は「取引先から(強引な値引き要請などの)声があがっていることが問題」と述べ、サプライヤーの困りごとなどの相談を受け付ける部署を新設するなど、サプライヤーとの関係改善を図る方針を示した。

内田社長は「国や業界をあげて適正取引の徹底に向けて取り組み進める中、こうした報道がされたこと、各方面から厳しい声が上がっていること、大変重く受け止めている」と述べ、下記の方針を挙げた。

・下請けとの取引の適正化といった対応を強化するため、社長直轄の新たな組織を6月に設置する。

・下請法違反の勧告を受けた部品購入代金の「割戻金」については、下請法の対象外の大手サプライヤーを含めて廃止した。

・サプライヤーが日産との取引に関する問題や相談を匿名でも応じるホットラインを設置する。ここで受け付けた情報に法令違反など問題がある場合は購買部門に提言するなど、対応していく。

・「パートナーシップ改革推進室」を新設する。ものづくりや取引に関する法令に詳しい人材約20人を配置し、取引先の一次サプライヤー約2000社に直接出向いて困りごとの相談に乗るほか、日産に対する要望も社内に持ち帰って対応していく。同室に持ち込まれた案件は上位組織のパートナーシップ委員会でも論議し、スピーディーに対応していく。


日産は下請法違反で勧告を受けた件に関する社内調査の結果と再発防止策は6月末までに(7月以降に先延ばし)策定し、関係当局に提出する。下請法違反の監督責任を明確化するため、内田社長は4月から3カ月間、報酬の30%を自主返納することも明らかにした。

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テレビ東京の5月10日「The 追跡」での報道についての調査結果 

A社の説明:

①下請け先(A社)は、日産が作成したフォーマットに従って作成した見積書を提出することとなっている。
②フォーマットには、日産が指定する一定の減額率(「原低率●%」)が記載され、自動計算式が設定されている。
③A社が正規価格をフォーマットに入力すると「数%から数十%」の原低率相当額が控除された金額が、自動表示され、価格が一方的に減額される。
④A社が日産に2024年4月●日付けで提出した見積書には、日産のフォーマットにより「個別原低とは、弊社より依頼したもの」との記載が当初から存在するところ、「弊社」はA社を意味しており、A社側が原価低減を依頼しているという見積もり上の体裁を日産が作出している。


弁護士の調査結果:

報道されたような計算式と個別原低に関する記載が存在する見積書のフォーマットの利用というものが確認されている。

このフォーマットというものは量産品サプライヤーとの間では利用されておらず、あくまで試作品のプレス部品を製造する数社との取引により限定的に利用されるもの。
2015年に一品一様の試作品プレスの価格レベルの妥当性・一貫性を担保する目的で、日産自動車と各サプライヤーは原単位コストテーブルにより算出される単価の使用を合意した。
試作品のプレスということで、その単価というものを算定することが難しいということで、試作品の難しさであったり、そういった個別の事情に応じて単価というものが算定される、そういった原単位のコストテーブルを合意した。

FY16からFY19にかけて、日産自動車と各サプライヤーは、そのフォーマットから導き出される査定値というものを基準に毎年6%の原価低減の実施を合意し、計算式を設定するという取り扱いにした。
毎年6%ということなので、FY19時点では6%の4乗という計算式が設定されたフォーマットということになる。
FY19以降は原価低減率の加算というものは行なわれなかったが、この計算式が設定されたフォーマットを利用する運用というものは継続することになった。
したがって、2024年時点もFY15の時点で合意した原単位コストテーブルに基づく査定値、それに所定の原価低減を行なうことで見積もり金額が算出される仕組みになっていた。

サプライヤー自身の見積もり金額ではなく、FY15に合意した原価低減前の当該コストテーブルにより算出される査定値、それを入力する運用となっていた。
この原単位コストテーブル、個別の原価低減にかかる合意の交渉経緯に関して、資料の検討やヒアリングのプロセスで特段の問題は確認されていない。

報道ではこのフォーマットに『個別原低とは、弊社より依頼したもの。』という記載があるが、実際のフォーマットにはそれに続けて、『御社で独自に取り組んだもの。等の原低内容です。』という記載が存在した。
したがって、日産自動車とサプライヤーの双方が原価低減に取り組んでいる、そういう内容の書面だった。

B社の説明:

①日産の担当者が、下請け先(自動車部品メーカーB社)に対し、「当社の目標は●円以下」という内容のメールを送付するなどし、日産が納得する水準の価格になるまで見積書の再提出を複数回求める。
②日産の担当者がB社に対し、「長い付き合いだからといっていつまでも仕事もらえると甘く見るなよ」などと告げる。
③減額率は「ほぼ30%」、「ひどいときは50%」である。

弁護士調査結果

設備手配案件の調達プロセスにおいて、日産自動車の購買業務の委託先がサプライヤーに対して『当社の目標』としての金額等を示すメール、それを送付していた事実が確認されている。

報道で黒塗りされているが、以下の記載がある。

「御社の最終見積書をご提出お願いいただけますでしょうか」 「御社のベストプライスで最終見積書を」 「尚、ご参考ながら、当社の目標は●円でございます」

このようなメールは、業務手順書に基づき送付するもので、言及されている金額は、日産自動車の調達依頼部門が過去案件等を参考に技術的な観点から査定したもので、一定の根拠のある数値であった。

その内容について、調達依頼部門からサプライヤーに対しそれを説明する場合もあるということ。また、こういったメールを送るのは2回までである。

メール中の記載の通り、この目標金額というものはあくまで参考として示されていて、これを下回る提案がサプライヤーからなされなければ取引が成立しないというような運用ではない。

過去約8年間のこの委託先が関与する設備手配取引を確認したところ、減額率が30%を超える取引が多数であるというような状況はわれわれの調査では確認されていない。
こうした設備手配の案件において、威圧的なコミュニケーションがなされている事実は、われわれの調査で確認されていない。

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「一部試作品のプレス部品」であればメーカーの数は限られている。調査に当たった外部弁護士が直接ヒアリングをせずに、日産側の主張だけで「法令違反があると断定できない」とするのは理解できない。

米石油大手Chevronは2023年10月23日、米同業Hess Corporationを530億ドルで買収すると発表した。

買収は全額、株式交換方式で行う。Hess株主は1株あたりChevron株 1.025株を受け取る。負債込みの買収額は600億ドルとなる。

2023/10/26 ChevronHess Corporationを530億ドルで買収

Hessは2024年5月28日に開催した株主総会でChevron による買収案が承認されたと明らかにした。

買収案を巡っては、ガイアナの油田権益を巡るExxonMobileとの対立を理由に、複数の有力投資家に加え、議決権行使助言会社 ISSが棄権を呼び掛けていた。

買収案は今後、米連邦取引委員会(FTC)の承認を得る必要があるし、ガイアナ油田の権益を巡るエクソンとの係争問題も解決しなければならない。

Chevronにとっては、Hess買収を通じてガイアナの油田権益30%を手に入れることができる。

これにより、カザフスタンの油田開発合弁プロジェクトが地政学リスクにさらされている問題や、オーストラリアにおけるLNGプロジェクトのコスト増などによる業績への悪影響を緩和することができる。

2016/7/13 Chevron、カザフスタンのTengiz 油田拡張計画を発表 

Chevron は、豪州最大の LNG 生産者であり、North West Shelf に参画し、Gorgon 及びWheatstone LNG ではオペレーターを務める。


南米ガイアナ沖のStabroek鉱区(総面積26,820平方キロメートル)では、ExxonMobil(権益保有比率45%)Hess(同30%)およびCNOOC(同25%)により組成されるコンソーシアムが2015年にLiza油田を発見して以降、30以上の油田が発見された。2022年4月には、同鉱区の可採埋蔵量が110億バレルを上回ることが明らかにされた。

ExxonMobilとパートナーは、ガイアナ環境保護庁(EPA)に対して、同鉱区で試掘井と評価井を合わせて35坑を掘削することについて申請を行っていたが、2023年7月にこれが認められた。掘削は2023年第3四半期に開始される予定で、2028年まで続く可能性があるという。

今後の10年にわたる生産拡大が期待されている。

2016年にHessは隣接のスリナム沖のBlock 42 の1/3の権利を取得した。 その北側のDeepwater Block 59は2017年にHess、ExxonMobil、Equinor が取得した。

Stabroek鉱区の開発はExxonが主導する企業連合にHessと中国海洋石油が参画する形で行われており、ExxonはHessの権益をChevronより先に買い取る権利があると主張。
他方、Chevron は「Hessの買収手続きの完了を遂行する」として協議は平行線を辿っている。

ExxonMobil は2024年3月上旬、Chevron の他社(Hess) 買収による参画は契約上阻止できるとしてスイスのジュネーブにある国際商業会議所に訴えた。3月18日から始まった国際会議の場で、両社のCEOはそれぞれを非難する異例の応酬をみせた。

Chevon側は、「契約事項は入念にチェックしていたので、自信はある」と自社の正当性を強調した。国際仲裁の判断がでるには5〜6カ月かかる見込み。

中国政府は 、台湾から輸入する潤滑油など134品目に対 し、6月15日から追加で海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)に基づく関税の優遇措置を停止すると発表した。

国務院関税委員会は2023年12月21日に、台湾が一方的に中国大陸の産品に対して差別的な輸入禁止や制限などを行っており、ECFAの規定に違反しているとして一部品目の関税譲歩を停止したが、台湾は未だに有効な措置を講じていないためとしている。

5月20日に就任した台湾の頼清徳総統は中国側が主張する「1つの中国」の原則を認めておらず、これに反発した中国軍が23日と24日に台湾周辺で軍事演習を行ったばかりで、中国は軍事だけでなく経済の分野でも頼政権への圧力を一層強めているとみられている。

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中国国務院関税税則委員会は2023年12月21日、海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)に基づいて台湾に対して実施している関税引き下げ措置を一部の品目につき停止すると発表した。2024年1月1日から実施される。


関税引き下げ停止措置の対象となる品目は、パラ-キシレン、プロピレン、塩化ビニルなどの12品目の石油化学品。ECFAに基づき、いずれもゼロ関税が適用されているが、措置の実施後は、品目ごとに規定された関税率(1%~10%)が付加される。

同委員会は措置の実施理由について、台湾が一方的に中国大陸の産品に対して差別的な輸入禁止や制限などを行っており、ECFAの規定に違反しているためと説明した。

台湾側は「国家安全」、「産業発展」上の理由から、他のWTOメンバーに対するよりも厳しい経済交流規制を中国に適用してきた。

その典型例が品目別の対中輸入規制である。2024年2月19日現在 2,513品目の中国製品が輸入禁止扱いとされている。その数は全品目の20.0%に相当する。主たる輸入禁止品目は、農水産品、卑金属・同製品、紡織原料・同製品、機械・電機、輸送機器・同部品である。

中国商務部は2023年12月15日、中国に対する台湾の貿易制限措置について貿易障壁調査を行った結果、台湾が実施している措置は「貿易障壁」と認定していた。

商務部は調査によって明らかになった事項として、次の5点を挙げた。

  1. 台湾は関係法規により中国大陸産の製品に対し輸入禁止制度を実施している。
  2. 台湾が輸入禁止としている中国大陸産の製品の数量は膨大で、かつ近年その範囲が拡大傾向にある。
  3. 台湾が中国大陸産の製品を輸入禁止とする具体的なプロセスが公開されておらず不透明だ。また、輸入禁止により影響を受ける企業が、そのプロセスに参与する機会がなく、救済措置もない。
  4. WTO事務局は台湾の関連措置に対し、注視すると複数回述べているが、台湾は措置の改善をしておらず、WTOへの通報義務も履行していない。
  5. 海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)により、中国は、台湾に対し優遇措置を長期にわたり実施しているが、台湾は中国に対する貿易制限を実質的に減少させていない。

中国の対外貿易障壁調査規則第33条では、貿易障壁調査の対象となる措置や慣行が同規則第3条に定義する「貿易障壁」に該当すると認定された場合、商務部は状況に応じて2者協議の実施やマルチの紛争解決メカニズムの開始、その他適当な措置を取ることができるとしていた。

商務部の束珏婷報道官は12月12日の定例記者会見で、商務部が台湾に対して実施した貿易障壁調査の結果、台湾がECFAの規定に違反していると判断したことに触れた上で、「(台湾与党の)民進党当局が断続的に、さまざまな口実や手段を用い、両岸の交流と協力を妨害している」とコメントした。

これに対し台湾側は、中国側による対台湾貿易障壁調査プロセスにおける透明性の欠如、台湾側との協議の意図的排除、一方的な結果の認定とECFAの部分的停止がWTOやECFAの規範・規定に反しており、当該調査に基づくECFAの部分的停止は「経済的威圧」の一環だと批判している。短期的には選挙への介入、長期的には統一促進、台湾経済の弱体化と「中国大陸へのロックイン」などを狙ったものだと、台湾で対中政策の企画・執行を担っている大陸委員会は指摘している。

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両岸経済協力枠組協議(海峡兩岸經濟合作架構協議、Economic Cooperation Framework Agreement=ECFA)は、台湾と中国が締結した実質的な自由貿易協定(FTA)である。

台湾立法院が2010年6月に承認し、2011年初から実施された。

協定締結時に優先実施項目として

・中国側が539品目、台湾側が267品目の関税を段階的に削減し、3年目からゼロにする、
・中国は金融、病院の設立、会計士など11のサービス分野の参入条件を緩和する、
・台湾の銀行支店開設申請要件を事務所開設後2年から事務所開設後1年に緩和する、

などがおもな内容。

中台関係は、台湾に馬英九政権が発足した2008年以降、急速に改善し、「三通(直接の通航、通商、通信)」、中国人観光客の受け入れ、台湾の対中投資規制の緩和や中国からの直接投資の受け入れ解禁などの規制緩和が実現した。

原子力規制委員会は5月29日、来年で運転開始40年を迎える関西電力高浜原発3号機、4号機について、60年までの運転を認可した。

同原発の1号機、2号機はすでに延長の認可を得ており、4基全てが60年稼働となる。

日本全体で8基が60年稼働となる。

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民主党政権の細野豪志・原発担当相は2012年1月6日、運転開始から40年が経過した原発を原則として廃炉にする「40年運転制限制」を導入すると発表した。4月の法改正をめざす原子炉等規制法に盛り込む。延長申請があった場合には施設の老朽化や原子力事業者の技術能力を審査して例外的に認めるという。

その後、政府は、運転期間が40年を超えた原子力発電所を原則廃炉にする法改正案について、環境相の認可を条件に最長20年、1回に限り延長を認める例外規定を設ける方針を決めた。

2012/1/7 原子炉等規制法改正案、原発は原則40年で廃炉 

当時の野田首相は、延長について「極めて例外的なケースに限られる」と説明した。


原子力規制委員会は2013年6月19日、福島第1原発事故の教訓を踏まえた新しい規制基準を決定した。7月8日に施行する。

テロ対策などを盛り込んだ「過酷事故対策編」、既存設備の安全対策を強化する「設計基準編」、活断層調査の強化や津波防護策を定めた「地震・津波編」の三つに大別される。

基準には、最新の安全対策を義務付ける「パックフィット制度」が導入され、既設原発も対象になる。

2013/6/21  原子力規制委員会、原発新基準を決定 

その後、順次、6基について20年延長が認可された。

原子力規制委員会は2016年6月20日、関西電力高浜原発 1、2号機について、最長20年にわたって運転期間を延長することを認可した。
  2016/6/22 関電高浜1、2号機の20年延長、規制委が認可

2016年11月16日、関西電力美浜原発3号機の20年延長を認可した。

2018年11月7日、東海第2原発の運転延長を認可した。ただし、地元の同意が得られず、稼働の見通しは立っていない。
  2018/11/10 東海第2原発の運転延長を認可

2023年11月1日、九州電力川内原発1、2号機の運転期間を最長20年間延長することを認可した。

今回の認可で延長は8基になる。

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原子力規制委員会は2022年12月21日、原子力発電所の運転開始から30年以降10年以内ごとに繰り返し運転を認可する新ルール案を了承した。当時のルールを上回る「60年超」運転が可能になる。 

それまでのルールでは、運転開始から40年を迎える原発は、規制委の運転延長の審査に合格した場合に限り1回のみ最長20年の延長が認可される。また、これとは別に、運転開始から30年以降の原発は、10年ごとに「高経年化対策」も実施されている。

新ルールはこれらを一本化する内容で、規制委は電力会社に対し、施設の劣化を管理する長期計画の作成を義務づけ、安全性を確認すれば運転延長を繰り返し認可する。

福島原発事故以前の規制に戻すこととなる。

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