2021年1月アーカイブ

EUは1月29日、輸出の透明性を高めるためだとして、域内の工場で生産されたワクチンを輸出する際、事前申告と許可を必要とする措置を導入すると発表した。

「透明性・委任メカニズム」 Transparency and authorisation mechanism for exports of COVID-19 vaccines

対象は、EUが事前購入契約を締結している企業からの輸出に限定される。

この措置は、1月30日からことし3月末までの時限的なもので、ワクチンの公平な分配を目指す「COVAXファシリティ」と呼ばれる国際的な枠組みなどへの供給は例外だとしている。

欧州委員会が当初発表した「透明性・委任メカニズム」では、北アイルランドがEUから英国にワクチンを運ぶ「裏口」にならないよう、北アイルランド議定書16条を発動すると記されていた。

議定書では、EUから北アイルランドへの輸出はチェック無しで行われる。
但し、16条で、問題がある場合は双方が一方的にこれを中止できる。

Northern Ireland Protocol Article 16
allows the EU or UK to unilaterally suspend aspects of its operations if either side considers that aspect to be causing "economic, societal or environmental difficulties".

EUは、この措置はワクチン確保のために「正当性」があると説明していたが、北アイルランドは英国のワクチン接種事業を通じてワクチンが供給されているため、16条の発動が同地域に直接の悪影響を与えることはないと考えられている。

欧州委員会は英国からの「離脱の取り決めに反する」との批判を受け、16条は「発動しない」と発表。新たな「透明性・委任メカニズム」を30日にも公開すると述べた。


世界保健機関(WHO)は、「ワクチンの公平な分配を妨げうる」と批判した。原材料調達から接種までの複雑なサプライチェーン(供給網)が乱れかねないと指摘した。

Commission puts in place transparency and authorisation mechanism for exports of COVID-19 vaccines

In an effort to ensure timely access to COVID-19 vaccines for all EU citizens and to tackle the current lack of transparency of vaccine exports outside the EU, the Commission has today put in place a measure requiring that such exports are subject to an authorisation by Member States.

President of the European Commission Ursula von der Leyen said: "The pandemic is having devastating effects in Europe and all around the world. Protecting the health of our citizens remains our utmost priority, and we must put in place the necessary measures to ensure we achieve this. This transparency and authorisation mechanism is temporary, and we will of course continue to uphold our commitments towards low and middle income countries."

Executive Vice-President and Commissioner for Trade Valdis Dombrovskis said: "This time-limited and targeted system covers only those COVID-19 vaccines that were agreed by Advanced Purchase Agreements with the EU. The aim is to provide greater clarity on vaccine production in the EU and their exports - this transparency has been lacking and is vital at this time. This mechanism includes a wide range of exemptions to fully honour our humanitarian aid commitments and protect vaccines deliveries to our neighbourhood, and to countries in need covered by the COVAX-facility."

Commissioner for Health and Food Safety Stella Kyriakides said: "For the best part of the last year we worked hard to get Advance Purchase Agreements with vaccine producers to bring vaccines to the citizens, in Europe and beyond. We gave upfront funding to companies to build the necessary manufacturing capacity to produce vaccines, so deliveries can start as soon as they are authorised. We now need transparency on where the vaccines we secured are going and ensure that they reach our citizens. We are accountable towards the European citizens and taxpayers - that is a key principle for us."

The Commission has invested large amounts in the development of the production capacity of vaccine developers in the EU. This with the aim to ensure quicker delivery of vaccines to the European citizens, support planning and vaccination strategies with the ultimate goal to protect public health. It is therefore reasonable for the EU to monitor how the funds disbursed under the Advance Purchase Agreements (APA) have been used, especially in a context of potential shortages of essential COVID-19 vaccines. The main purpose is to offer public transparency to the European citizens. The transparency and authorisation system will require companies to notify the Member State authorities about the intention to export vaccines produced in the European Union.

The export authorisation scheme

This implementing act, adopted by urgency procedure and published today, provides for authorisations of exports outside the EU of COVID-19 vaccines until the end of March 2021. This scheme only applies to exports from companies with whom the EU has concluded Advance Purchased Agreements.

Based on the previous experience with a similar measure on personal protective equipment in Spring 2020, the Commission will assist Member States in setting up the relevant mechanism to ensure a smooth and coordinated implementation of the regulation.

This measure is targeted, proportionate, transparent and temporary. It is fully consistent with the EU's international commitment under the World Trade Organization and the G20, and in line with what the EU has proposed in the context of the WTO trade and health initiative. Committed to international solidarity, the EU excluded from this scheme vaccine supplies for humanitarian aid or destined to countries under the COVAX facility, as well as our neighbourhood.

About the EU's vaccine strategy

The European Commission presented on 17 June a European strategy to accelerate the development, manufacturing and deployment of effective and safe vaccines against COVID-19. In return for the right to buy a specified number of vaccine doses in a given timeframe, the Commission finances part of the upfront costs faced by vaccines producers in the form of Advance Purchase Agreements (APA). Funding provided is considered as a down-payment on the vaccines that will actually be purchased by Member States. The APA is therefore a de-risk investment upfront against a binding commitment from the company to pre-produce, even before it gets marketing authorisation. This should allow for a quick and steady delivery as soon as the authorisation has been granted.

米バイオ製薬 Novavaxは1月28日、開発中の新型コロナワクチン(NVX-CoV2373)について、英国で実施した最終段階の臨床試験(治験)の結果、予防効果が89.3%だったと発表した。

Developer/manufacturer Platform Type doses Timing Route Phase 承認
1 1/2 2 3
Novavax(米) Protein Subunit Full length recombinant SARS CoV-2 glycoprotein nanoparticle vaccine adjuvanted with Matrix M 2 0, 21 days IM


1万5000人余り(18歳~84歳、うち65歳以上が27%)を対象に実施したPhase 3の臨床試験では有効性89.3%となり、主要評価項目が達成された。

偽薬(placebo)グループで56人、ワクチン投与グループで6人の合計62人が感染した。61人が軽症で、重症の1人は偽薬グループだった。

62人のうち、英国型変異種が32人、既存種が24人、不明1人。

既存のウイルスに対するものに対する有効性は95.6%で、英国型変異種に対するものは85.6%だった。

英国では有効性が確認できたとして、ワクチンの承認に向けた手続きを開始する。


一方、南アフリカで4400人を対象に実施したPhase 2b 臨床試験結果、
対象の94%を占めるHIV陰性の人では有効性は60%だった。

偽薬(placebo)グループで29人、ワクチン投与グループで15人の合計44人が感染した。重症は1人で、偽薬グループだった。

感染者のうち、分析した27人のうちの25人(92.6%)が南ア型だった。

HIV陽性を含めた全体での有効性は49.4%であった。

南ア型に対して相対的に効果が低くなった治験結果を踏まえ、変異種への効果を高める追加接種のワクチンの治験を4~6月中に開始する。


米国とメキシコでOperation Warp Speed の支援のもとで実施するPhase 3 治験 (
PREVENT-19) は継続中で、目標の3万人(2月央まで)のうち、1万6千人のテストを実施した。4月までに米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請する。

富士フイルムの子会社 FUJIFILM Diosynth Biotechnologiesは2020年7月、Novavaxより、最大30,000人規模のPhase 3 臨床試験に向けたワクチン候補「NVX-CoV2373」の原薬製造を受託した。ノースカロライナ拠点で原薬製造を開始した。

ーーー

Novavaxは2020年8月7日、開発中のワクチンNVX-CoV2373の日本における開発、製造、流通に向けた提携に関して基本合意したと発表した。

- Novavax社が新型コロナウイルス感染症ワクチンの製造技術を提供し、武田薬品が日本国内向けにワクチンを製造・流通
- Novavax社がアジュバントMatrix-Mを供給
- 日本政府は本ワクチンの製造技術移転、生産設備の整備、スケールアップに対し助成

武田薬品は Novavaxからのワクチン製造技術の移転、生産設備の整備、およびスケールアップの資金として、厚生労働省から助成金を受領する。
年間2億5千万回分以上のワクチンの生産能力を整備する。
 

2020/8/23 新型コロナウイルスワクチンの日本における生産体制の構築 

ーーー

米テキサス大学と Pfizerが共同で行った研究結果(米研究所などが運営するbioRxivに掲載)では、Pfizer ワクチンは英国型、南ア型、双方に共通するタイプの計3種類の変異種に対して予防効果が確認された。南ア型はわずかに効果が低くなったという。

アストラゼネカは2020年12月10日、日本政府との間で、日本における1億2千万回分の新型コロナウイルスワクチンAZD1222の供給について最終合意書を締結した。

日本においては国内の臨床試験の結果も合わせてアストラゼネカが承認申請を行う。

米政府の新型コロナウイルスのワクチン開発を加速するOperation Warp Speedのスラウイ首席顧問は2020年12月30日、このコロナワクチンの緊急使用について、米国では2021年4月に承認される公算が大きいと述べた。

日本への供給の1億2千万回分のうち、25%分は輸入し、75%の9千万回分を日本で委託生産する。輸入の3千万回分は3月までに輸入する。

製造委託先は
JCRファーマで、海外での供給遅れが表面化するなか、国内のワクチン生産で一定量を確保して安定供給につなげる。

JCRファーマは20201230日、下記発表を行った。

当社アストラゼネカが開発中のアデノウイルスベクターを用いたCOVID-19に対するワクチン(AZD1222)について、国内における原液製造に関し、アストラゼネカと業務請負契約を締結した。

アストラゼネカが国内導入するワクチンの原液の国内製造を受託すること、よび、原液製造のために室谷工場(神戸市西区)の製造ラインを確保し製造することにつき、アストラゼネカと合意し契約を締結した。

当社は、バイオ医薬品の製造技術を有する製薬会社として、遺伝子治療の研究に携わっている研究員も参画し、早期に同ワクチンの国内安定供給に向け、原液の製造を加速する。

JCRファーマは旧称日本ケミカルリサーチ㈱で、「バイオ医薬品のJCRと自負している。

アストラゼネカから製造技術の移管を受け、遺伝子を改変したアデノウイルスの提供も受けた。これを培養し、精製する。

JCRでの出荷準備が整うのは早くても5月頃とされる。

日本での供給体制は下記の通り。

原液

① 輸入、② JCRファーマに製造委託

バイアル充填 第一三共バイオテック KMバイオロジクス
保管・流通 第一三共 Meiji Seika ファルマ

KMバイオロジクス は1945年に熊本大学の実験医学研究所を母体として設立された化学及血清療法研究所の医薬品製造販売業を継承して2018年に設立された。明治ホールディングスの連結子会社で、「ヒト用ワクチン」「動物用ワクチン」「血漿分画製剤」を扱う国内唯一のバイオロジクス企業。

付記

ニプロは5月26日、製造子会社ニプロファーマがアストラゼネカのワクチン「バキスゼブリア™筋注」の製剤化工程の製造に係る受託製造契約を締結した。国内生産分の一部を受託する。

PfizerやModernaのワクチンは零下20~70度での保存が必要とされるが、AstraZenecaのは普通の冷蔵庫と同じ2~8度で保存できるため扱いやすく、接種を大規模に広めやすいとされている。 ーーー

AstraZenecaは2020年6月、日本政府との間で、新型コロナウイルスワクチンの日本への導入に向けた具体的な協議を進めることに合意した。

厚生労働相は2020年8月7日、AstraZenecaから日本国内向けに1億2千万回分の供給を受けることで基本合意したと発表した。

第一三共は6月26日、このワクチンの国内における製剤化(バイアル充填、包装、保管等)などについてAstraZenecaと協議を進めることに合意したと発表した。

明治ホールディングスは同日、傘下のMeiji Seika ファルマとKMバイオロジクスが、アストラゼネカ㈱が日本へ導入予定の新型コロナウイルスワクチンの国内安定供給に向けた協議を進めることに合意したと発表した。

2020/6/27 政府、新型コロナワクチン供給でAstraZenecaと協議 

ーーー

EUはAstraZenecaに対し、Astraが契約通りに供給しないことに不満を表し、英国工場からの供給を強く求めた。

European Medicines Agency (EMA) は間もなく、このワクチンを承認する。(英国は既に2020年12月30日にこれを承認している。)

付記

欧州委員会は1月29日、AstraZenecaのワクチンを承認した。EUでの新型コロナワクチンの承認は3例目で、近く接種を始める。
ドイツの当局は65歳以上への使用を推奨しないとの考えを示していたが(下記)、EMAは高齢者に対しても効果が期待できるとした。

18歳以上が対象で、1回目の接種から4~12週間後に2回目を接種する。

AstraZenecaはEUに対し、欧州工場(ベルギーとオランダ)における生産問題が原因として2021年1~3月に契約量の60%しか供給できないと伝えていた。

生産が予定より2か月遅れているとしている。

英国には予定通り供給しているが、これについてAstraZenecaは、EUは2020年8月に3億回分の契約をしたが、英国はその3か月前に契約しており、十分調整できたとしている。

これに対しEU側は、契約には早く契約したところを優先するという条項はないとし、英国工場からの供給を求めた。


欧州委は近く、ワクチンをEUから域外に輸出する場合、登録を義務付ける新制度の提案をまとめる。輸出禁止を計画しているものではなく、透明性を高めることが目的だとしている。


米Pfizerも、1月下旬から2月上旬にかけ、出荷量が一時的に減少すると発表した。

ーーー

ドイツのワクチン委員会は1月28日、AstraZeneca ワクチンについて、65歳以上の高齢者に接種すべきではないとの見解を発表した。

「65歳以上の被検者の数が少なかったことから、高齢者における有効性と安全性に関する結論を出すことはできない。従って現時点でワクチンを勧告するのは、18~64歳の年齢層のみとする」としている。

これに対しAstraZenecaは、「65歳以上の高齢者に対する同ワクチンの有効性は、最新の臨床試験データの分析によって裏付けられている」と反論、EU医薬品規制当局による判断を待つとしている。

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Biden米大統領は1月27日、温暖化ガスの排出削減を目指す新たな大統領令に署名した。

大統領令 Executive Order on Tackling the Climate Crisis at Home and Abroad

資料
FACT SHEET: President Biden Takes Executive Actions to Tackle the Climate Crisis at Home and Abroad, Create Jobs, and Restore Scientific Integrity Across Federal Government

スピーチ 
Remarks by President Biden Before Signing Executive Actions on Tackling Climate Change, Creating Jobs, and Restoring Scientific Integrity

大統領は、「将来のクリーンエネルギーで米国は世界をリードする」と脱炭素の実現に意欲をみせ、石油・ガス業界に対して「雇用を失うのではなく、我々は雇用をつくり出す」と理解を求めた。

概要は次の通り。

 温暖化対策を米国の外交政策、安全保障の中心に置く。
 政府を挙げて温暖化危機に対応

The President will host a Leaders' Climate Summit on Earth Day, April 22, 2021

 政府の購買でリード  電気、自動車(クリーンエネルギーを推進、かつ Made-in-America で)
 各省庁は温暖化対策実施
 

 化石燃料開発の再検討 (国有地の新規リース中止、既存リースも再検討)

to pause on entering into new oil and natural gas leases on public lands or offshore waters to the extent possible,
launch a rigorous review of all existing leasing and permitting practices related to fossil fuel development on public lands and waters,

identify steps that can be taken to double renewable energy production from offshore wind by 2030.

 化石燃料補助金の廃止

to eliminate fossil fuel subsidies as consistent with applicable law
and identify new opportunities to spur innovation, commercialization, and deployment of clean energy technologies and infrastructure.

 インフラ投資での温暖化対策

directing steps to ensure that every federal infrastructure investment reduces climate pollution and that steps are taken to accelerate clean energy and transmission projects under federal siting and permitting processes in an environmentally sustainable manner.

 国土、海洋の保全

the goal of conserving at least 30 percent of our lands and oceans by 2030
conserving and restoring public lands and waters, increasing reforestation, increasing carbon sequestration in the agricultural sector, protecting biodiversity

 化石燃料産業の救済

to coordinate investments and other efforts to assist coal, oil and natural gas, and power plant communities.
reduce emissions of toxic substances and greenhouse gases from existing and abandoned infrastructure and prevent environmental damage
to turn properties idled in these communities, like brownfields, into new hubs for the growth of our economy.

 環境面での正義

to address the disproportionate health, environmental, economic, and climate impacts on disadvantaged communities.

 科学、データに基づく決定

directs agencies to make evidence-based decisions guided by the best available science and data

これについては別途、メモランダムを発表した。政治的配慮で歪めてはいけないとしている。

Memorandum on Restoring Trust in Government Through Scientific Integrity and Evidence-Based Policymaking


It is the policy of my Administration to make evidence-based decisions guided by the best available science and data.

Scientific and technological information, data, and evidence are central to the development and iterative improvement of sound policies, and to the delivery of equitable programs, across every area of government.

Scientific findings should never be distorted or influenced by political considerations.

When scientific or technological information is considered in policy decisions, it should be subjected to well-established scientific processes, including peer review where feasible and appropriate, with appropriate protections for privacy.

Improper political interference in the work of Federal scientists or other scientists who support the work of the Federal Government and in the communication of scientific facts undermines the welfare of the Nation, contributes to systemic inequities and injustices, and violates the trust that the public places in government to best serve its collective interests.

米下院の弾劾管理人は1月25日、トランプ前大統領に対する弾劾条項を正式に上院に送付した。

2021/1/14 トランプ大統領 2度目の弾劾訴追

米上院では1月26日に上院議員100人全員が陪審員役としての宣誓を行った。

前回のトランプ大統領の弾劾裁判では、John Roberts最高裁長官が裁判長となったが、今回はトランプは前大統領であるため、上院仮議長(the president pro tempore )のPatrick Leahy 上院議員が裁判長を務める。

憲法第1章第3条第6項
すべての弾劾を裁判する権限は、上院に専属する。この目的のために集会するときには、議員 は、宣誓または宣誓に代る確約をしなければならない。合衆国大統領が弾劾裁判を受ける場合には、最高裁判所長官が裁判長となる。何人も、出席議員の3分の2の同意がなければ、有罪の判決を受けること はない。

宣誓の後、共和党のRand Paul 上院議員が、退任して民間人となったトランプ前大統領の弾劾裁判は「違憲」とし、弾劾裁判自体の合憲性を問う動議を提出した。

これに対し、民主党Chuck Schumer 院内総務は、退任すれば弾劾されないなら、弾劾されるべき大統領に憲法が免罪符(get-out-of-jail-free card)を与えることになるとして反論した。

退任後の弾劾は "late impeachment"と呼ばれるが、異論はあるが、違憲でないとするのが一般的である。大統領弾劾では先例はないが、閣僚では辞任後に弾劾訴追された例がある。

1876年に米下院は陸軍大臣のWilliam Belknap を収賄で弾劾しようとしたが、BelknapはWhite Houseに行き、辞表を提出した。

しかし下院は弾劾で告発し、上院は、辞任しても許されない、さもないと、弾劾されそうになると辞任して逃げてしまうとして裁判を行った。結果は37対29で、3分の2を得られず、無罪となった。

Rand Paul 上院議員が提案した動議を棚上げにする採決が行われ、55対45で棚上げが決まった。共和党からは5人が民主党に同調した。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 5 48 2 55
反対 45 45

合計

50 48 2 100

弾劾裁判は2月9日から実質的な審理が始まる。

有罪には出席議員の2/3の賛成が必要で、共和党から17名の造反が必要である。Rand Paul 上院議員は26日の採決で5人しか造反がなかったため、「弾劾裁判はもはや終わったも同然だ」と宣言した。

しかし、反対した共和党議員の中には弾劾裁判での投票とは別であるとする議員もいる。

ーーー

トランプ氏は弾劾裁判に対応する弁護士チームを集めつつあり、防御戦略をサウスカロライナ州コロンビアのButch Bowers 弁護士と練り始めた。
情報筋によると、トランプ氏は弁護士探しに苦労している。いくつかの法律事務所は報酬を受け取れるのか疑念を抱いているほか、死者が出た議事堂事件とのつながりを回避したいとの思惑を持つところもあるという。

顧問弁護士の Rudy Giuliani 氏は、議事堂乱入事件直前の支持者集会に自らも参加していたことを理由に弁護を担当しない考えを明らかにした。

バイデン大統領は1月25日、政府調達で米国製品を優先する 「バイ・アメリカン」法の運用を強化する大統領令に署名した。

Executive Order on Ensuring the Future Is Made in All of America by All of America's Workers

Buy American Act は米国で国内産業の保護・生産奨励を目的として、自国製品の優先購入などを義務付けた法律で、大恐慌下の1933年に、連邦政府が物資の購入契約又は公共建設の委託契約を締結する場合に、米国製品の購入又は米国製資材の使用を連邦政府に義務づけるものが最初。

米国製 」は米国産品の比率が50%以上のもの。

次の場合は適用除外

 ①公共の利益に反する場合、
 ②米国製品価格
が外国製品より6%以上高く 、当該米国製品を調達することが「不合理」とされる場合、
 ③当該製品が米国
内で入手不可能な場合等

米国がGATT/WTOのGPA(政府調達協定)を締結したため、連邦政府に関しては同協定の締約国に対する適用が除外されている。
また、NAFTAや二国間自由貿易協定を独自に結んだ国なども除外される。

今回、「バイ・アメリカン」法の運用を強化する。

 ・ Directs agencies to close current loopholes in how domestic content is measured and increase domestic content requirements.

「バイ・アメリカン条項」で政府調達で一定比率以上の米国製品を使うよう求めているが、 従来認められてきた適用除外を最小限に減らし、運用面の抜け穴をふさぎ、調達条件となる米国製の要件を引き上げる。

(i) "component test" で米労働者が製造に寄与した付加価値を考慮
domestic content is measured by the value that is added to the product through U.S.-based production or U.S. job-supporting economic activity

(ii) 国内比率の引き上げ

(iii) 外国品使用が可能な場合の内外価格差の引き上げ

 ・ Appoints a new senior leader in the Executive Office of the President in charge of the government's Made-in-America policy approach.
 ・ Increases oversight of potential waivers to domestic preference laws.

ホワイトハウス内の米行政管理予算局に担当ポストを設け、米国製品を優遇する政策を省庁横断で進める 。

 ・ Connects new businesses to contracting opportunities by requiring active use of supplier scouting by agencies.

全米のネットワークManufacturing Extension Partnershipを活用し、省庁が必要とする製品を生産できるメーカーを探すのに役立たせる。

 ・ Reiterates the President's strong support for the Jones Act.

米国内の地点間の物品の輸送を行う船舶は米国船籍で、1)米国人配乗、2)米国人所有、3)米国建造でなければならない、という法律

 ・ Directs a cross-agency review of all domestic preferences.

各省庁は半年ごとにレビュー

政府の調達を通し、米国労働者をサポートするとしている。



大統領は署名に先立ち、記者団に対し「米国の製造業の活力が過去のものであるということを私は少しも信じない」と指摘。「米製造業は第2次世界大戦時における民主主義の兵器庫だった。そして現在では、米国の繁栄の原動力の一部でなければならない」と述べた。

「アメリカは将来に向けた競争で傍観者の立場を取ることはできない。われわれの競合相手は待ってはくれない」と指摘。「アメリカで将来がつくられることを確実にするため、われわれは今日の雇用だけでなく、明日の雇用と産業を勝ち取る必要がある」と述べた。

Remarks by President Biden at Signing of Executive Order on Strengthening American Manufacturing

バイデン政権の高官は、新型コロナウイルス流行によって重要な医薬品などの流通システムの弱点が明らかになったことを受け、米国のサプライチェーンを強化することがバイ・アメリカン政策の目標だと説明した。


バイデン大統領は1月25日、上記の他に次の大統領令を出した。

トランスジェンダーの米軍入隊 許可
(トランプ大統領令の取消)
Executive Order on Enabling All Qualified Americans to Serve Their Country in Uniform

Remarks by President Biden in Signing of Executive Order Reversing the 2018 Transgender Military Ban

Fact Sheet: President Biden Signs Executive Order Enabling All Qualified Americans to Serve Their Country in Uniform

トランプ大統領は2017年7月、トランスジェンダーが軍務に就くのを「いかなる資格」においても禁止すると表明し、8月に禁止指示文書に署名 、国防総省が2018年3月に従来の方針の見直しを決めた。

今回、ホワイトハウスは、「トランスジェンダーの軍人が、性自認を理由に除隊や分離される可能性はなくなる」との声明を発表した。

コロナ懸念国からの入国禁止

(トランプ大統領令の取消)

Proclamation on the Suspension of Entry as Immigrants and Non-Immigrants of Certain Additional Persons Who Pose a Risk of Transmitting Coronavirus Disease

トランプ政権は1月18日、新型コロナウイルス拡大防止策として導入してきた欧州などからの外国人の入国禁止措置を1月26日に解除すると発表した。
シェンゲン圏(欧州26カ国:EU以外を含む)、英国、アイルランド、ブラジル

2021/1/20 トランプ政権、欧州諸国等からの入国禁止を解除、バイデン政権はこれに反対 

今回、これを取り消すとともに、新たに南アを禁止対象に加えた。

サキ報道官は記者会見で「新型コロナの感染拡大が悪化し、感染力が強い変異種が拡大している。今は国際的な渡航制限を解除する時期ではない」と述べた。

1月26日の大統領令は次の通り。

差別対策 Remarks by President Biden at Signing of an Executive Order on Racial Equity

アフリカ系アメリカ人の黒人男性George Floydが、2020年5月25日にミネアポリス近郊で、警察官の不適切な拘束方法によって死亡させられた事件に触れ、差別問題の解決を図るとした。

Memorandum Condemning and Combating Racism, Xenophobia, and Intolerance Against Asian Americans and Pacific Islanders in the United States

アジア系、南太平洋諸島系の米国人に対する差別批判

Memorandum on Redressing Our Nation's and the Federal Government's History of Discriminatory Housing Practices and Policies

黒人等の住宅政策差別の是正

Memorandum on Tribal Consultation and Strengthening Nation-to-Nation Relationships

部族国家(American Indian and Alaska Native Tribal Nations)の自治の尊重

私営の刑事拘禁施設への依存を段階的に廃止 Executive Order on Reforming Our Incarceration System to Eliminate the Use of Privately Operated Criminal Detention Facilities


投獄と矯正シスムは
rehabilitation and redemptionを優先すべきだが、私設施設はこの点で劣る。
私営の刑事拘禁施設との契約を更新しない。

ワクチン 接種 Remarks by President Biden on the Fight to Contain the COVID-19 Pandemic


Fact Sheet: President Biden Announces New Steps to Boost Vaccine Supply and Increase Transparency for States, Tribes, and Territories

ワクチン供給を週860万回分から1000万回分に増やす。

3週間先までの予定の開示、地方政府が効率的に接種の計画を立てられるようにする。

Pfizer、Modernaから各100万回分を追加で購入
 ワクチン供給を4億回分から
6億回分に50%アップ、これで夏の終わりまでに3億人に接種

塩野義製薬は1月26日、アレルギー性鼻炎に対する適応取得を目指して開発を進めていたDP1受容体拮抗薬S-555739について、 米国のBioAge Labs, Inc.との間で COVID-19の重症化抑制を対象としたライセンス契約を締結したと発表した。


BioAge Labsは本化合物のCOVID-19の重症化抑制に関する米国、欧州での独占的開発・販売権を獲得、さらに、
新型コロナ以外の感染症の重症化抑制など、他の疾患への適応追加に対する独占的交渉権が付与される。

塩野義は、本契約の締結に伴う一時金、今後の開発進展に応じたマイルストン、製品上市後の販売額に応じたロイヤリティーを受領する。

この化合物は、塩野義が創製したDP1受容体拮抗薬であり、アレルギー性鼻炎に対する適応取得を目指して開発を進めていたが、この開発は現在中止している。
複数の非臨床および2,400例以上を対象とした臨床試験において、DP1受容体への高い親和性および選択性に加え、良好な忍容性、安全性が確認されている。

DP1受容体(DP1 receptor)は、ヒトなどに存在するGタンパク質共役受容体の1種で、全身の様々な細胞に発現しており、様々な生理反応に関与している他、病理学の分野では炎症やアレルギーに関係する受容体の1つとして知られる。

BioAge Labs は加齢や老化に関連する疾患を治療するための医薬品を開発している米国のバイオテクノロジー企業で、同社が実施した独自のAIによるオミクス解析(生体を構成しているさまざまな分子を網羅的に調べること)から、加齢に伴う免疫機能低下を改善する創薬ターゲットとして、DP1受容体が同定された。

加齢による免疫機能の低下は、感染症に対する罹患率ならびに死亡率を高める大きなリスク因子となる。そのため免疫機能を亢進させることで、COVID-19を含む種々の感染症の重症化抑制に繋がる可能性が示唆されている。

また、アイオワ大学で実施されたSARSコロナウイルスを感染させた加齢マウスモデルに既存のDP1受容体拮抗薬を投与した試験では、マウスの死亡率の改善とともに、肺内のウイルス量の有意な低下が報告された。

これらを踏まえてS-555739のドラッグリポジショニング(ヒトでの安全性や体内動態が確認されている既承認薬について、別の疾患に対する治療薬として開発する手法)による高齢者の免疫亢進薬としての開発期待から、今回の契約締結に至った。

BioAge Labsは、2021年上期に、COVID-19患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験の開始を計画している。

塩野義では、BioAge Labsによる試験結果が良好であれば、これを活用して国内申請する可能性もあるとしている。

神戸市立神戸アイセンター病院は1月20日、「網膜色素上皮(RPE)不全症に対する同種iPS細胞由来RPE細胞懸濁液移植に関する臨床研究」が、1月20日に開催された厚生科学審議会再生医療等評価部会にて了承されたと発表した。

付記

神戸アイセンター病院は3月12日、「網膜色素上皮不全症」の患者にiPS細胞を含む液体を移植する手術を行い、成功したと発表した。

RPE細胞は視細胞の外側にあり、視細胞を保護する役目を持つ。

RPE不全症は、RPE細胞の遺伝子に異常があったり、近視がとても強かったり、加齢によるストレス、または炎症が起きたりすることでRPE細胞が働かなくなり、続いて、RPEに保護されなくなった視細胞も働かなくなるために、目が見えにくくなってしまう、いろいろな種類の病気が含まれる。

理化学研究所と先端医療振興財団は2013年8月1日、iPS細胞を使い、RPE細胞異常による滲出型加齢黄斑変性の患者6人を対象に目の網膜を再生する世界初の臨床研究を開始した。

網膜下の脈絡膜新生血管や傷害を受けたRPEを取り除いた後、iPS細胞から作製したRPEシートを網膜下へ移植する。

  2013/12/4 大日本住友製薬と理研認定ベンチャーのヘリオス、iPS細胞由来医薬品を共同開発

神戸アイセンター病院では、滲出型加齢黄斑変性の患者に対し、RPE細胞の移植(自家細胞シート1例、他家懸濁液5例)を実施した。(安全性について確認済)

これまでのRPE細胞移植では、安全性を確認することを主な目的としていたが、今回の臨床研究では、移植の対象疾患を拡充し、新しい治療法の有用性(視機能、QOL)や安全性を確認する。

今回の臨床研究では、RPEシートの移植ではなく、他家(他人の細胞)のiPS細胞より作製したRPE細胞を含む液体(懸濁液)を、RPE不全症の患者に移植する。

理化学研究所で製造したRPE細胞を使って、神戸アイセンター病院網膜再生細胞手動調製室で細胞懸濁液を作る。

目標症例数は50例で、移植後の観察期間は4年間。

RPE不全症に含まれる病気のうち、どの病気にRPE細胞移植の効果が期待できるかを調べることと、移植の効果を調べるために行う検査について評価する。
また、移植したRPE細胞が患者の眼の中で生着しRPE細胞としての機能を果たすかや、免疫拒絶反応などの安全性の評価も行う。


神戸市立
神戸アイセンター病院は、「網膜色素変性に対するiPS細胞由来網膜シート移植に関する臨床研究」を実施している。

2020/6/15 iPS網膜シートの移植、臨床研究開始へ 


なお、大阪大の西田幸二教授(眼科)らのチームの
「角膜上皮幹細胞疲弊症に対する他家 iPS 細胞由来角膜上皮細胞シー トの first-in-human 臨床研究」を行なっている。

2019/3/8 厚労省、iPS細胞の角膜移植臨床研究計画を了承 

米国のMerck (米加以外での社名はMSD : Merck Sharp and Dohme)は1月25日、同社のCOVID-19ワクチン(V590 と V591) の開発プログラムを打ち切ると発表した。
2つの新型コロナ治療薬の開発に集中する。

2種のワクチンは、Phase 1の臨床試験で自然感染や既存のワクチンと比べ、免疫反応が劣るとデータで示された。

開発中止となるワクチン候補は、Merckのエボラ出血熱の予防接種技術を用いた「V590」 (「国際エイズワクチン推進構想(IAVI)」との協業)と、欧州で使われている「はしかワクチン」を基にしたThemis社の「V591」 で、Merckは2020年5月26日、COVID-19ワクチンを開発しているオーストリアのThemis Bioscience社を買収すると発表した。

Developer/manufacturer Platform Type doses Timing Route Phase
1 1/2 2 3
Merck/ IAVL

V590 Replicating Viral Vector Replication-competent VSV delivering the SARS-CoV-2 Spike 1 IM
Institute Pasteur/Themis/Univ. of Pittsburg CVR /Merck V591 Replicating Viral Vector Measles-vector based 1 or
2
0, 28 days IM

一方、2つの新型コロナ治療薬、MK-7110 MK-4482の開発に集中する。

うち1つの治療薬「MK-7110」(旧称CD24Fc) は、バイオ医薬品会社OncoImmuneが開発したもの。

Merckは2020年11月23日、株式非公開のバイオ医薬品会社OncoImmuneを425百万ドルの現金前払いで 買収すると発表した。2020年末までに買収を完了する。
OncoImmuneの株主は売上高および一定の規制関連のマイルストン達成に基づいた支払いを受け取る権利を得る。

OncoImmuneは 新型コロナ治療薬「CD24Fc」のほか、がんや自己免疫疾患の治療薬を開発する。

「CD24Fc」は、自然免疫系を標的とするfirst-in-classの組換え融合タンパク質で 、過剰な免疫反応を抑えることで炎症を防ぎ、治療の効果を飛躍的に高めるも

2020/11/28 米メルク、バイオ医薬品会社OncoImmuneを買収、新型コロナ薬候補を取得

Merckは2020年12月23日、開発中の新型コロナウイルス治療薬「MK-7110」 6万~10万回投与分を3億5600万ドルで供給する契約を米政府と結んだと発表した。
米当局から緊急使用向けの承認が受けられた場合、2021年6月末までに最大で10万回分の出荷を目指す。

新型コロナで入院中の重症患者を対象としたこれまでの臨床試験(治験)で、この薬を投与した患者グループは偽薬と比べて病状の改善や死亡リスクの低下が認められた。


MK-4482 (molnupiravir)はRidgeback Bioと共同で開発中で、現在 Phase 2/3 臨床試験中。体内でウイルスの増殖を抑える経口薬で、感染患者の早期回復や重症化防止への効果を期待している。

経口薬のため、実用化すれば患者が自宅で服用できる利点がある。

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のAnthony Fauci 所長は1月22日、今後2週間以内にJohnson & Johnson 子会社のJanssen Pharmaceutical が開発中の新型コロナウイルスワクチンがFDAから緊急使用の承認を受けるとの見通しを示した。
"I would be surprised if it was any more than two weeks from now that the data will be analyzed and decisions would be made."

付記 Johnson & Johnson は2月4日、新型コロナウイルスワクチンの緊急使用許可をFDAに申請した。

所長は、「J&Jのワクチンは超低温で保管する必要がないうえ、接種は1回で済むという点で、Pfizer製やModerna製とは大きく異なる」と評価した。

超低温が必要ではないため、保管や管理が容易であり、開発途上国では評価が高いだろうと述べた。

J&J は当初は2回接種で試験をしていたが、現在の試験は1回接種で行なっている。

J&Jは、FDAからの緊急使用許可が得られれば、4月までに1億本(1億人分)のワクチンを生産し、2021年中に全世界向けに10億本を供給する。
2020年10月にはEUと最大4億回分のワクチンを供給することで合意している。

J&J は2020年10月12日、Janssen Pharmaceutical の新型コロナウイルスワクチンの全ての臨床試験を一時停止したと発表した。治験参加者が原因不明の病気になった。
しかし、
本ワクチン候補が本事象を引き起こしたというエビデンスは認められず、試験を再開した。

2020/10/15 Johnson & Johnson、コロナワクチンの治験を一時停止、Eli Lillyの抗体治療薬も

ーーー

Fauci 所長は米国政府が6つのワクチン候補について医薬会社と作業を進めていると述べた。

米国では既に、Pfizer/BioNTech と Moderna のワクチンがFDAから緊急使用許可を受けている。

Fauci 所長は、12月に2回目のワクチン(Moderna)の接種を受けた際、軽度の副反応があったことを明らかにした。倦怠感や痛みがあったが「病気ではない」としている。
ワクチンに対する信頼を高めるため、自身がワクチン接種を受ける模様を公開した。

他に、2020年12月28日時点で、米国ではJ&J (Janssen) 、AstraZeneca、Novaraxの3つのワクチンがPhase 3 の臨床試験を行っている。

AstraZenecaは既に2020年12月30日に英国の承認を受けている。

これで5種類となるが、あと1種類は明らかでない。ドイツのCureVacのワクチンの可能性がある。

ドイツのCureVacのワクチンについて、メキシコ政府が1月初めにPhase 3の臨床試験実施を承認した。
CureVac は欧州に加え、米国での販売も狙っていると思われる。同社は2020年8月に米国のNASDAQに上場した。

同社のワクチンについては、トランプ政権が独占を狙い、EUやドイツなどは多額の資金を供与し、これを防いだ。

2020/3/19 米国がコロナウイルスワクチン技術独占を画策?

CureVacは1月7日、開発中のワクチンについて、当局の承認獲得や配布で Bayerと提携すると発表した。
Bayerは、臨床、規制対応、医薬品の安全性対策、医療情報、サプライチェーン、特定の国での支援などの分野において専門知識と確立されたインフラを提供する。
EU域内と、域外の特定市場への販売はCureVacが担当し、Bayerはこれを支援する。一方、その他の市場については、Bayerが販売権取得のオプションを付与された。
ワクチン製造に関しては、CureVac はWacker Chemie AGと契約を締結している。



先進ワクチンの状況

Developer/manufacturer Platform Type doses Timing Route Phase 承認
1 1/2 2 3
University of Oxford/AstraZeneca Non-Replicating Viral Vector ChAdOx1-S 1*   IM  

UK 2020/12/30
EU 2021/1/29

CanSinoBiological Inc./Beijing Institute of Biotechnology Non-Replicating Viral Vector Adenovirus Type 5 Vector 1   IM   〇   
Gamaleya Research Institute
(ロシア)
Non-Replicating Viral Vector Adeno-based 2 0, 21 days

 

IM  

Sputnik V
ロシア 2020/8
 

Vektor (State Research Center for Virology and Biotechnology)
ロシア
                 

EpiVacCorona
ロシア 2020/10

 

Janssen Pharmaceutical (J&J) Non-Replicating Viral Vector Ad26COVS1 2→1 0,56 days IM      
Sinovac(中国) Inactivated Inactivated 2 0, 14 days IM      
Wuhan Institute of Biological Products/Sinopharm Inactivated Inactivated 2 0,14 or
0,21 days
IM  

 

 
Beijing Institute of Biological Products/Sinopharm Inactivated Inactivated 2 0,14 or
0,21 days
IM    

 

中国 2020/12/31

Bharat Biotech (インド) Inactivated Whole-Virion Inactivated 2 0, 14 days IM    

Covaxin
インド 2021/1/3

Moderna/NIAID(米国立アレルギー感染症研究所) RNA LNP-encapsulated mRNA 2 0, 28 days IM  

FDA 2020/12/17
EU 2021/1/6

BioNTech(独)/Fosun Pharma(上海復星医薬)/Pfizer   RNA 3 LNP-mRNAs 2 0, 28days IM  

 

UK 2020/12/2
FDA 2020/12/11
EU 2020/12/21
WHO 2020/12/31

Novavax(米) Protein Subunit Full length recombinant SARS CoV-2 glycoprotein nanoparticle vaccine adjuvanted with Matrix M 2 0, 21 days IM    
Curevac(独) RNA mRNA 2 0, 28 days IM 〇 

貧困国へのワクチン供給について、この数日間で多くの動きがあった。

WHOのTedros Adhanom 事務局長は1月18日、COVID-19ワクチン接種の状況について、分配の不平等が起きていると懸念を示した。

WHOなどが主導する枠組み「COVAX ファシリティー」で貧困国・低所得国にワクチンの供給を 行なうこととしているが、一部の先進国はCOVAXに先回りして自国分を確保するため、ワクチン価格を押し上げて製薬会社と取引している、と苦言を呈した。

また、これまでに少なくとも49の高所得国で計3900万回分以上が投与された一方、アフリカのギニアを想定して「最低所得国での投与はたったの25回だ」とも指摘し 、「世界は悲惨な道徳的失敗の危機に瀕している」として、先進国や製薬企業に公平なアクセスへの貢献を求めた。

直後の1月22日、WHOは「COVAXファシリティー」を通じた新型コロナウイルスのワクチン供給を2月に開始すると発表した。
このたびPfizer /
BioNTechが開発したワクチンについて、4000万回分の供給を受けることで合意し、開始のめどが立った

ーーー

2020年4月24日にWHOとCEPI、GAVI(下図参照)が国際協働の仕組み「Access to COVID-19 Tools Accelerator」(ACT Accelerator を立ち上げた。この柱の一つのワクチン分野をCOVAX(COVID-19 Vaccine Global Access)ファシリティが担当する。

CEPI「感染症流行対策イノベーション連合」が開発GAVIワクチンアライアンスが供給を取りまとめる


COVAXの目標は、2021年末までに、規制当局の承認やWHOの事前承認を受けた20億回分の安全で効果的なCOVID-19ワクチンを提供する。各参加国の20%を占める弱者に対して収入レベルに関わらずワクチンの平等な分配を実現しようとするもので、10年前のパンデミックから得た教訓をもとにしている。

資金を出して参加する国は一定額を前払い金として支払う。ワクチン開発に取り組む複数の製薬企業の研究開発などに使われ、開発に成功した場合、出資国は人口の20%分を上限にワクチンを確保できる。
途上国はGaviを通じてワクチンの提供を受ける。

日本政府は2020年9月1日、「COVAXファシリティ」に参加する方針であると発表した。

ホワイトハウスは9月1日、WHO主導の「COVAX」には参加しない方針を明らかにした。

トランプ政権は2020年7月6日、国連のグテーレス事務総長にWHOからの脱退を正式に通知し、1年後の2021年7月6日に脱退すると表明した。

COVAXの参加表明の期限だった9月18日までに日本を含む150カ国以上が加わったが、米国やロシア、中国は参加を見送っていた。

しかし、中国外務省は10月8日、「COVAX」に正式に加入した。「実際の行動でワクチンの公平な分配や発展途上国への供給確保を促進するためだ」と説明した。

2020/8/5 政府、ワクチン確保へ国際共同購入を検討

5月中国の習近平国家主席はWHO総会で演説し、途上国を中心とする国際的な感染対策のために今後2年間で20億ドル(約2100億円)を提供すると表明。ワクチンの開発に成功すれば「国際公共財」とする考えも示した。


Trump大統領は不参加を決めたが、Biden新大統領は1月21日、大統領令でCOVAXへの参加を表明した。

National Security Directive on United States Global Leadership to Strengthen the International COVID-19 Response and to Advance Global Health Security and Biological Preparedness

Sec. 2. United States Leadership in the Global Response to COVID-19

The Secretary of State and the Secretary of HHS shall inform the WHO and Gavi, the Vaccine Alliance, of the United States' intent to support the Access to COVID-19 Tools (ACT) Accelerator and join the multilateral vaccine distribution facility, known as the COVID-19 Vaccine Global Access (COVAX) Facility.

米国立アレルギー感染症研究所のAnthony Fauci 所長は1月21日のWHO執行理事会で、米国がCOVAXを含むWHOの包括的な新型コロナ対策支援策「ACTアクセラレーター」に参加し、WHOへの拠出金を出す義務を果たすと表明した。

米国のCOVAX加入で途上国などへのワクチンの公平な配分が進む可能性がある。

ーーー

「COVAX」は1月21日、本年に18億回分を貧困国・低所得国に供給するとの最新目標を明らかにした。
ワクチン買い取り補助金事前保証制度(AMC)を通じ、92カ国に供給する。対象国の総人口の約27%への接種が可能になるという。

今年後半には、これと別に自国で資金の工面ができる参加国との供給契約を履行したいとの期待も示した。


WHOは1月22日、「COVAXファシリティー」を通じた新型コロナウイルスのワクチン供給を2月に開始すると発表した。
既にAstraZenecaなどとは合意に達していたが、このたびPfizer /
BioNTechが開発したワクチンについて、4000万回分の供給を受けることで合意し、開始のめどが立った。

PfizerのCEOは1月22日、WHOのテドロス事務局長らとともにオンラインで会見し、同社が年内に製造する20億回分のうちCOVAXに供給する分は「利益を度外視する」と述べ、今後、追加供給する意向も明らかにした。


中国政府は1月20日、「COVAX」に国内のワクチンメーカー3社が参加を申請したと発表した。

シノバック・バイオテック(科興控股生物技術)、中国医薬集団(シノファーム)、康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)がCOVAXを通じたワクチンの供給を申請したと明らかにした。ワクチンの供給量等は明らかにしていない。

上院で予定されるトランプ前大統領の弾劾裁判は2月9日に審理を開始することで与野党が合意した。

1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件について、民主党はトランプ氏が「反乱を扇動」したとして、1月13日に下院で
232対197の賛成多数で弾劾訴追した。

2021/1/14 トランプ大統領 2度目の弾劾訴追

本来であれば、下院は弾劾訴追決議を上院に付託し、 これを受けて上院は弾劾裁判を開く。

しかし、今回はバイデン政権の閣僚指名の承認手続きがほとんど終わっておらず、また経済対策法案の審議も必要であり、これらを優先させる必要がある。

報道によると、Biden次期大統領は共和党のMcConnel上院総務に電話し、弾劾と通常審議を(例えば午前と午後に分け)並行して行う「分離審議(Bifurcatiion)」の可能性について話し合ったというが、合意できていない。

このため、下院は上院への送付を遅らせた。

民主党と共和党で日程を協議した結果、下記の通りとなった。

1月25日に下院が弾劾決議を上院に送付

(この間、通常の法案審議と、トランプ前大統領の弁護準備)

2月9日に審理開始 

上院議員が弾劾裁判の陪審員となり、最高裁長官が裁判長となる。

上院の審議日程は、多数党の院内総務が決める。今回、民主党が多数党となったが、民主党院内総務のChuck Schumer上院議員が審理開始前の準備期間を認めた。

共和党のMitchell McConnell 院内総務は、 審理開始前の準備期間を民主党が認めたことを歓迎し、「下院が素早く最低限の手続きで進んだだけに、共和党としては上院が今後、トランプ前大統領の権利と法定手続き、上院という制度や大統領の職位を尊重するよう、働きかけた。その目的は実現した。これは法定手続きと公平性の勝利だ」 と評価した。

トランプ前米大統領は、上院での弾劾裁判を担当する弁護人にサウスカロライナ州のButch Bowers 弁護士を起用した。
当初は顧問弁護士の Rudy Giuliani 氏が担当する見込みだったが、同氏は最近、議事堂乱入事件直前の支持者集会に自らも参加していたことを理由に弁護を担当しない考えを明らかにした。

上院は与野党の勢力が50対50となったが、有罪とするには3分の2以上(67人)の賛成が必要で、共和党から少なくとも17人の賛同が必要となる。

McConnell 院内総務は1月19日の上院本会議で、連邦議会議事堂占拠事件について、「トランプ大統領や他の影響力を持つ人々に扇動された」と発言した。
「暴徒はウソをすり込まれていた」と述べ、大統領選で大規模な不正があったとの根拠のない主張を繰り返したトランプ氏らを批判、「我々は団結し、米国ではたとえ一晩でも怒る暴徒たちが法の支配を拒否することはさせないと明言した」と強調した。

同事件を巡る上院のトランプ氏弾劾裁判に影響を与える可能性がある。

有罪となった場合、上院は過半数の賛成で、トランプ氏から今後公職に就く資格を剝奪することができる。

憲法に2つの規定がある。

憲法 第1章第3条第7項

弾劾事件の判決は、職務からの罷免、および名誉、信任または報酬を伴う合衆国の官職に就任し在職する資格の剥奪以上に及んではならない。
"Judgment in Cases of Impeachment shall not extend further than to removal from Office, and disqualification to hold and enjoy any Office of honor, Trust or Profit under the United States."

第6項では「何人も、出席議員の3分の2の同意がなければ、有罪の判を受けることはない」としているが、資格剥奪については3分の2の規定がない。

1862年と1913年に上院はWest Humphreys 判事と Robert Archbald 判事の弾劾裁判で3分の2の同意でそれぞれ有罪とし、資格剥奪については単純多数決で決めた。

ーーー

憲法修正14条

第3節、アメリカ合衆国議会議員、国の機関の役人、州議会議員、あるいは州の行政及び司法の役人として、アメリカ合衆国憲法を支持することを以前に誓い、かつそれらに対する反乱に加わった者あるいはその敵に対して援助や同調した者は、アメリカ合衆国下院または上院議員、大統領および副大統領の選挙人、あるいは国または州の公的、軍事的役職に就くことはできない。

ただし、アメリカ合衆国議会が各院の議席の3分の2以上で決した場合は、その禁止規定を排除する。

第5節、アメリカ合衆国議会は適切な立法により本修正第14条の条項の施行権限を有する。

今回の弾劾は、「反乱を扇動」で訴追されており、上院で有罪となれば、憲法修正14条で公職につくことができず、これは議会の適切な立法で過半数で施行できる。


参考

米国は南北戦争時に憲法修正13条で奴隷制度廃止を決めたが、更に修正14条を採決し、南部各州に批准を迫った。
第3節の意味は下記の通り、南部連合を支持した公務員からの選挙権と公職就任権をはく奪するためのものであった。

  1. 合衆国市民権は出生または帰化によって取得される。各州は合衆国市民に保障されている権利を制限してはならない。
  2. 南部が黒人男子に投票権を認めない場合は、その数が男子総人口に占める割合に比例させて、その州から選出される下院議員数を削減する。
  3. 南北戦争で南部連合を支持した元公務員から選挙権と公職就任権を剥奪する。
  4. 南北戦争中の 政府の公共債務は支払われるが、南部諸州の負債支払いと奴隷解放による損失の補償の請求権は認めない。

バイデン米大統領は1月22日、新型コロナウイルスで打撃を受けた低所得者の生活支援や、労働者保護を目的とした大統領令に署名した。

政府全体で、パンデミックから生じる経済危機に対応するため、可能な行動を早急に見出すことを命じた。

個人や中小企業の問題について、下記を挙げている。

Fact Sheet: President Biden's New Executive Actions Deliver Economic Relief for American Families and Businesses Amid the COVID-19 Crises

1) COVID ECONOMIC RELIEF

担当 対象
農務省 飢餓に瀕する29百万人+子供12百万人 フードスタンプnutrition assistance programs)の拡大
財務省 国の支援を受領できない8百万人 一人当たり2000ドルの支払方法の変更
退役軍人省 貧困の退役軍人2百万人 過払いと債務の連邦徴収の一時停止
労働省 失業者 COVID-19関連の危険な仕事を拒否した労働者が失業保険を受けられるよう検討
全体 省庁間調整機構をつくり、政府支援がうまく機能するよう検討

2) 連邦職員と業者の保護(PROTECTING AND EMPOWERING FEDERAL WORKERS AND CONTRACTORS)

  • トランプ大統領命令13836、13837、および13839を取り消し、団体交渉力と労働者保護を回復
  • トランプ大統領は2020年10月に政策立案に関与する公務員を新しい"Schedule F" に移す大統領令を出したが、これを取り消す。
     
    この分類の職員には従来のような雇用保証が与えられなくなる。
     大量退職につながるとともに、
    政治任用を加速させるとして反対が強い。
  • 連邦職員の最低賃金を 1時間当たり $15 にするよう、Office of Personnel Management に勧告するよう命じた。

 別途、これらを含めた連邦職員保護の大統領令を出した。  

Executive Order on Protecting the Federal Workforce

 大統領のツイッター:

Federal employees have dedicated their careers to serving the American people -- and they are worthy of the utmost dignity and respect.
Today, I took action to improve the wages, benefits, and bargaining rights of federal workers and contractors.



本件に関し、大統領がスピーチを行った。

Remarks by President Biden on the American Rescue Plan and Signing of Executive Orders

また、ホワイトハウスのJen Psaki広報部長がNational Economic Council Director とともにブリーフィングを行なった。  

Press Briefing by Press Secretary Jen Psaki and National Economic Director Brian Deese

ーーー

なお、この日は48年前に米最高裁が画期的な Roe v. Wade 判決を下した日である。

「妊娠を継続するか否かに関する女性の決定はプライバシー権に含まれる」として、アメリカ合衆国憲法修正第14条が女性の堕胎の権利を保障していると初めて判示し、人工妊娠中絶を規制するアメリカ国内法の大部分を違憲無効とした。

Biden大統領と Harris副大統領は声明を発表、これを推し進めていくとしている。

Statement from President Biden and Vice President Harris on the 48th Anniversary of Roe v. Wade

中国外交部は1月21日、トランプ前政権のMichael R. Pompeo 国務長官ら28人に対して制裁を課す決定をしたとの声明を発表した。

付記

全国人民代表大会(国会に相当)常務委員会は6月10日、「反外国制裁法」を可決し、即日施行された。

貿易、技術、香港、新疆ウイグル自治区を巡る問題について、米欧から圧力を受けていることが背景で、欧米から相次ぐ対中制裁に対抗する法的根拠となる。

この法案は4月に1回目の審査が行われ、2回目の審査を経て6月10日に承認された。

通常は3回の審査が必要になるが、3回目の審査は省略し、2回目の審査を行うと発表したわずか2日後に承認された。

中国は、外国による封じ込めや圧力、国民への差別的な制限措置などに対し、相応の報復をする権利があると規定し、中国政府は報復の対象となる外国の個人や組織に対して、ビザの発給拒否や国外退去、中国国内の資産の差し押さえ、国内での商取引の禁止などの措置をとることができるとしている。

法律のねらいについて、中国外務省報道官は「国家の主権や尊厳、核心的利益を守り、西側の覇権主義と強権政治に反対するためだ」と述べた。


過去数年間に米国の一部の政治家が中国の内政に深刻に干渉し、中国の利益に損害を与え、米中関係を破壊したと非難し、28人およびその家族に対し、中国大陸、香港、マカオへの入境を禁じるとともに、それらの関連企業・機関が中国側とビジネスをしたり、接触したりすることを制限した。

関連する企業も対象にしたことは、「これらの高官らが離任後に企業に雇用された場合、雇用した企業は中国市場での利益を失うという明確なシグナル」との見方がある。

1月21日の発表では、制裁を課すとされた28人のうち、10人のみ名前が明らかにされた。

Michel Pompeo 国務長官
Peter K. Navarro Director of the Office of Trade and Manufacturing Policy
Robert C. O'Brien 国家安全保障問題担当大統領補佐官
David R. Stilwell Assistant Secretary of State for the Bureau of East Asian and Pacific Affairs
Matthew Pottinger Deputy National Security Advisor
Alex M. Azar II 保健福祉長官
Keith J. Krach Under Secretary for Economic Growth, Energy, and the Environment
Kelly D. K. Craft
John R. Bolton   国際連合大使、国家安全保障問題担当大統領補佐官などを歴任
Stephen K. Bannon  最初の7ヶ月間 ホワイトハウスの首席戦略官

Pompeo 国務長官はトランプ大統領の退任の前日の1月19日、中国新疆ウイグル自治区のウイグル族や他の少数民族に対する同国政府の弾圧をジェノサイド(民族大量虐殺)と認定し、米中関係の緊張を一段と高めた。

外務部の華報道官は、制裁対象となった政治家について「これらの反中政治家は自身の行為に対して代償を支払わなければならない」と非難した一方、バイデン新政権に対しては「客観的かつ理性的に中国と米中関係を捉え、米中関係が健全かつ安定した発展の軌道に戻ることを期待する」と述べた。

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Biden米大統領は1月20日、就任から数時間後に多数の大統領令に次々と署名した。「パリ協定」への復帰など、トランプ前大統領の主要政策を覆すものも多く含まれている。

Ron Klain 次期大統領首席補佐官は1月16日、バイデン新大統領の ホワイトハウスのメンバー向けの "Overview of First Ten Days"メモを発表した。大統領就任後、直ちに多くの大統領令を出す。
2日目、3日目も、更に1月25日から2月1日までの間に、追加の指示を出すとしている。

2021/1/18 バイデン次期大統領の最初の10日間

1月21日にはCOVID-19関連(青字)を10件、発表した。

これに伴い、ホワイトハウスのJen Psaki広報部長が国立アレルギー・感染症研究所の所長Dr. Anthony Fauci とともにブリーフィングを行った。
  https://www.whitehouse.gov/briefing-room/press-briefings/2021/01/21/press-briefing-by-press-secretary-jen-psaki-january-21-2021/

1日目、2日目の大統領令は次の通り。

統一の訴え  National Day of Unity A National Day of Unity
トランプ政策の転換 パリ協定復帰(2020/11/4に離脱)

Paris Climate Agreement

付記 2月19日に正式復帰した。

WHO残留(国連事務総長へのレター)
2020/7/6 の通知の取り消し

   ーーーー
Harris 副大統領のWHOのTedrosへの電話

Letter to His Excellency António Guterres


Readout of Vice President Harris's Call with World Health Organization Director-General Dr. Tedros Adhanom Ghebreyesus

イスラム、アフリカ等からの入国禁止命令取り消し Proclamation on Ending Discriminatory Bans on Entry to The United States
不法移民を匿っている「聖域都市に対する連邦補助金停止」の廃止等
2017/9/20 米地裁、聖域都市への補助金停止を差し止め 
Executive Order on the Revision of Civil Immigration Enforcement Policies and Priorities
問題対応のため過去の大統領令の廃止
COVID-19、経済復興、人種差別、温暖化等、米国が直面する問題に対応するため
Executive Order on Revocation of Certain Executive Orders Concerning Federal Regulation
メキシコの壁建設中止 Proclamation on the Termination Of Emergency With Respect To The Southern Border Of The United States And Redirection Of Funds Diverted To Border Wall Construction
リベリア難民について、米国からの強制出国の延期、2022年6月30日までの雇用許可 Reinstating Deferred Enforced Departure for Liberians
幼少時に親に連れられて米国へ不法入国した若者の強制送還を猶予する措置「DACA」

2020/6/19 米最高裁、トランプ政権によるDACA撤廃を認めず

Preserving and Fortifying Deferred Action for Childhood Arrivals (DACA)
差別解消 人種差別解消
Executive Order On Advancing Racial Equity and Support for Underserved Communities Through the Federal Government
性、性的指向による差別禁止 Executive Order on Preventing and Combating Discrimination on the Basis of Gender Identity or Sexual Orientation
コロナ対策 連邦職員等にマスク、距離
米国全体でマスク奨励
Safer Federal Woforce Task Force設置
Executive Order on Protecting the Federal Workforce and Requiring Mask-Wearing
White House の体制
US Leadership (WHOの強化)
Executive Order on Organizing and Mobilizing the US Government to Provide a Unified and Effective Response to Combat COVID-19 and to Provide United States Leadership on Global Health and Security
学生救済
国の奨学金の返済停止、金利を0%にする。
Pausing Federal Student Loan Payments
COVID-19下での旅行ルール Executive Order on Promoting COVID-19 Safety in Domestic and International Travel
新療法開発促進、対応能力増、よりよいHealthcare Executive Order on Improving and Expanding Access to Care and Treatments for COVID-19
科学に基づくCOVID-19対策  Executive Order on Ensuring a Data-Driven Response to COVID-19 and Future High-Consequence Public Health Threats
州への資金補助 Memorandum to Extend Federal Support to Governors' Use of the National Guard to Respond to COVID-19 and to Increase Reimbursement and Other Assistance Provided to States
対策資材のサプライチェーン Executive Order on a Sustainable Public Health Supply Chain
COVID-19 Health Equity Task Force Executive Order on Ensuring an Equitable Pandemic Response and Recovery
学校 Executive Order on Supporting the Reopening and Continuing Operation of Schools and Early Childhood Education Providers
労働者対策 Executive Order on Protecting Worker Health and Safety
国際協力
COVAXへの参加も
National Security Directive on United States Global Leadership to Strengthen the International COVID-19 Response and to Advance Global Health Security and Biological Preparedness
COVID-19 Pandemic Testing Board Executive Order on Establishing the COVID-19 Pandemic Testing Board and Ensuring a Sustainable Public Health Workforce for COVID-19 and Other Biological Threats
政府職員の倫理 倫理規定
Lobbyist からのGiftの禁止
Revolving Door、Golden Parachute (天下り)等の禁止
Executive Order on Ethics Commitments by Executive Branch Personnel
公衆衛生、環境等 諸問題を科学で対応
Keystone XL Pipeline認可取消も
Executive Order on Protecting Public Health and the Environment and Restoring Science to Tackle the Climate Crisis
下院の議席数の公正化 国勢調査 Executive Order on Ensuring a Lawful and Accurate Enumeration and Apportionment Pursuant to the Decennial Census

三井物産は1月21日、Vale S.A.と共同でモザンビーク共和国で開発しているモアティーズ炭鉱事業およびナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業の三井物産全持分、これに付随する融資をValeにそれぞれ1.0米ドルで譲渡する基本合意書を締結したと発表した。

三井物産は、2017年3月にValeより、モアティーズの95%権益を保有する同社子会社の15%持分、およびナカラを推進する同社子会社の50%持分を取得し、本事業の開発推進と操業改善に取り組んできた。

出資関係
  参加前 参加
Moatize炭鉱 Vale子会社 95% Vale(Vale子会社の85%) 80.75%
三井物産(Vale子会社の15%) 14.25%
モザンビーク鉱物資源公社 5% モザンビーク鉱物資源公社 5.00%
 
Logistics Nacala Corridor Vale子会社 70% Vale(Vale子会社の50%) 35%
三井物産(Vale子会社の50%) 35%
モザンビーク企業、鉄道港湾公社

30%

モザンビーク企業、鉄道港湾公社 30%


2016/10/7 三井物産のモザンビークの炭鉱と鉄道・港湾インフラの投融資額変更 


モアティーズ炭鉱は原料炭と一般炭を産出し、2019年の生産量は900万トンだった。

Valeは脱炭素の流れを受け石炭事業からの撤退を決めており、三井物産も歩調を合わせる。年内の譲渡を目指す。

Valeは当面操業を継続し、最終的には第三者への売却を検討する。

三井物産はこれまでに本事業での減損を計上しており、2020年9月末時点での投融資簿価は、炭鉱事業がゼロ、回廊鉄道・港湾インフラ事業が約5億ドルだった。

本事業の譲渡実行に伴い見込まれる損失は現在精査中だが、2021年3月期の通期連結業績予想では損失を考慮している。

民主党のJoe Biden大統領、Kamara Harris 副大統領が就任した1月20日、Harris 副大統領(上院議長)は上院で3人の上院議員の就任式を行った。

1月5日に行なわれたジョージア州の上院議員の決戦投票で当選した2人が正式に就任した。

通常選挙 Jon Ossoff
特別選挙 Raphael Wamock (ジョージア州初のアフリカ系上院議員)

もう一人はHarris 副大統領の後任の上院議員(臨時)Alex Padillaである。


Kamala Harrisは2016年11月の選挙でカリフォルニア州選出の上院議員となった。あと2年の任期がある。

副大統領に選出されたため、本年1月18日に上院議員を辞職した。

上院議員が辞任や死亡により議員の欠員が発生した際には、選出州において補欠選挙を行い、欠けた議員の残りの任期を務める議員を選出する。

補欠選挙の開催時期は州に任せられており、多くの州において補欠選挙は2年毎の下院議員等の選挙と併せて行われるが、補欠選挙までの期間に置かれる臨時の議員を指名する権限を州議会が州政府に与えることができる。

カリフォルニア州知事は後任議員(臨時)にAlex Padillaを指名した。カリフォルニア州初のラテン系上院議員である。


ジョージア州の決選投票の結果、
上院の議席は下記の通りとなる。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
改選前 53 45 2 100
改選後 50 48 2 100


上院では賛否同数の場合、上院の議長である副大統領が1票を投じるため、民主党主導となる。

但し、通常の議決では共和党の議事妨害(フィリバスター)を打ち切って採決に持ち込むには3/5以上の60議席の賛成が必要になる。

大統領と副大統領、下院に加え、上院も民主党となり、「トリプルブルー」を達成した。(民主党はBlue、共和党はRed)

2021/1/7 ジョージア州上院議員選挙 決算投票で民主党が2議席確保、「トリプルブルー」に

トランプ大統領は1月20日、次期大統領の就任式には出席せず、任期を終える正午を前にホワイトハウスを出発してワシントン郊外の軍のAndrews 基地に向かい離任の式典に臨んだ。
支持者に
"Goodbye. We love you. We will be back in some form" と述べた。

その後、大統領専用機 Air Force Oneに搭乗し、登録上の居住地として定めているフロリダ州Palm Beachにある別荘 Mar-a-Lagoに向かった。

噂では、トランプ氏は破産の危機にあるが、その対策という。
一般的に、
居住用不動産、自動車、家具等は一定の限度額以上は差押え対象となる。
しかし、フロリダ州やテキサス州では居住用不動産には上限額が定められておらず、すべて 差押え対象外となる。
このため、
Mar-a-Lagoを居住不動産として登録したという。


米国で前任大統領が後任の就任式を欠席する4人目となる。(うち、弾劾訴追された2人目)

前任 後任 退任事情
2代 John Adams 連邦党 1797/3/4
 ~1801/3/4
George Washington
(無所属)
Thomas Jefferson
(民主共和党)
副大統領(党が異なる)のThomas Jefferson に敗れる。
6代 John Quincy Adams
(John Adamsの息子)
民主共和党 1825/3/4
 ~1829/3/4
James Monroe
(民主共和党)
Andrew Jackson
(民主党)
民主共和党が分裂。
Andrew Jackson 支持者からの議事妨害に晒され、「呪われた政権」とよばれた。
史上最悪の中傷合戦でAndrew Jackson に敗れる。
17代 Andrew Johnson

副大統領から昇格
(Lincoln 暗殺)
民主党 1865/4/15
~1869/3/4
Abraham Lincoln
(共和党)
Ulysses Simpson Grant
(共和党)
南部再建で南部人に寛大な政策をとり、共和党急進派と対立、政敵の陸軍長官罷免で弾劾訴追、上院で1票差(2/3以上)で否決
議会との対立の溝は決定的なものになり、レームダック化
45代 Donald John Trump 共和党 2017/1/20
~2021/1/20
Barack Obama
(民主党)
Joe Biden
(民主党)
二度の弾劾訴追 一度目は上院で否決、二度目は未定

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米共和党上院トップのマコネル院内総務は1月19日の上院本会議で、6日に起きた連邦議会議事堂占拠事件について、「暴徒はウソをすり込まれていた。トランプ大統領や他の影響力を持つ人々に扇動された」と述べ、大統領選で大規模な不正があったとの根拠のない主張を繰り返したトランプ氏らを批判、「我々は団結し、米国ではたとえ一晩でも怒る暴徒たちが法の支配を拒否することはさせないと明言した」と強調した。

"The mob was fed lies. They were provoked by the president and other powerful people, and they tried to use fear and violence to stop a specific proceeding of the first branch of the federal government which they did not like. But we pressed on. We stood together and said an angry mob would not get veto power over the rule of law in our nation, not even for one night."

同事件を巡る上院のトランプ氏弾劾裁判に影響を与える可能性がある。

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ホワイトハウスは1月20日、トランプ大統領が退任を目前に、バノン元首席戦略官など元側近や共和党関係者など73人に恩赦を与え、70人を減刑したと発表した。

なお、退任後に訴追される可能性を排除するため、みずからへの恩赦を検討していると報じられていたが、これは実施しなかった。今後、訴追される可能性がある。

米国憲法は「弾劾を除き、合衆国に対する犯罪で刑執行の猶予を与えたり恩赦したりする権限が大統領にはある」としているが、大統領が自身を恩赦することが合憲である可能性を憲法は明示していない。
これまで試した大統領はおらず、法廷も審理したことはない。

1974年に法律顧問局の法律専門家が、当時のニクソン大統領が自身を恩赦することについて、「誰も自分を裁くべきではないという根本的な原則からは、大統領は自身を恩赦できない」とするメモを作成している。これは個人のメモである。


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ホワイトハウスは1月19日、トランプ大統領のお別れ演説のビデオ動画を公開した。

4年前の大統領就任について「to make America great again -- for all Americans という任務に着手した」と振り返り、大型減税や規制緩和などの成果を列挙した。

そのうえで、「私たちが起こした運動はまだ始まったばかりだ(the movement we started is only just beginning)」とも述べた。

バイデン次期大統領に対して「米国の安全と繁栄をうまく継続させることを祈っている」と述べた。

連邦議会議事堂の占拠事件をめぐっては「全ての米国民をぞっとさせた。政治的暴力は米国人が大切にしている全てのものに対する攻撃だ。決して許されるべきではない」と非難した。

以下 全文:

Remarks by President Trump In Farewell Address to the Nation

My fellow Americans: Four years ago, we launched a great national effort to rebuild our country, to renew its spirit, and to restore the allegiance of this government to its citizens. In short, we embarked on a mission to make America great again -- for all Americans.

As I conclude my term as the 45th President of the United States, I stand before you truly proud of what we have achieved together. We did what we came here to do -- and so much more.

This week, we inaugurate a new administration and pray for its success in keeping America safe and prosperous. We extend our best wishes, and we also want them to have luck -- a very important word.

I'd like to begin by thanking just a few of the amazing people who made our remarkable journey possible. (家族、副大統領以下、名前を列挙)

Most of all, I want to thank the American people. To serve as your President has been an honor beyond description. Thank you for this extraordinary privilege. And that's what it is -- a great privilege and a great honor.

We must never forget that while Americans will always have our disagreements, we are a nation of incredible, decent, faithful, and peace-loving citizens who all want our country to thrive and flourish and be very, very successful and good. We are a truly magnificent nation.

All Americans were horrified by the assault on our Capitol. Political violence is an attack on everything we cherish as Americans. It can never be tolerated.

Now more than ever, we must unify around our shared values and rise above the partisan rancor, and forge our common destiny.

Four years ago, I came to Washington as the only true outsider ever to win the presidency. I had not spent my career as a politician, but as a builder looking at open skylines and imagining infinite possibilities. I ran for President because I knew there were towering new summits for America just waiting to be scaled. I knew the potential for our nation was boundless as long as we put America first.

So I left behind my former life and stepped into a very difficult arena, but an arena nevertheless, with all sorts of potential if properly done. America had given me so much, and I wanted to give something back.

Together with millions of hardworking patriots across this land, we built the greatest political movement in the history of our country. We also built the greatest economy in the history of the world. It was about "America First" because we all wanted to make America great again. We restored the principle that a nation exists to serve its citizens. Our agenda was not about right or left, it wasn't about Republican or Democrat, but about the good of a nation, and that means the whole nation.

With the support and prayers of the American people, we achieved more than anyone thought possible. Nobody thought we could even come close.

We passed the largest package of tax cuts and reforms in American history. We slashed more job-killing regulations than any administration had ever done before. We fixed our broken trade deals, withdrew from the horrible Trans-Pacific Partnership and the impossible Paris Climate Accord, renegotiated the one-sided South Korea deal, and we replaced NAFTA with the groundbreaking USMCA -- that's Mexico and Canada -- a deal that's worked out very, very well.

Also, and very importantly, we imposed historic and monumental tariffs on China; made a great new deal with China. But before the ink was even dry, we and the whole world got hit with the China virus. Our trade relationship was rapidly changing, billions and billions of dollars were pouring into the U.S., but the virus forced us to go in a different direction.

The whole world suffered, but America outperformed other countries economically because of our incredible economy and the economy that we built. Without the foundations and footings, it wouldn't have worked out this way. We wouldn't have some of the best numbers we've ever had.

We also unlocked our energy resources and became the world's number-one producer of oil and natural gas by far. Powered by these policies, we built the greatest economy in the history of the world. We reignited America's job creation and achieved record-low unemployment for African Americans, Hispanic Americans, Asian Americans, women -- almost everyone.

Incomes soared, wages boomed, the American Dream was restored, and millions were lifted from poverty in just a few short years. It was a miracle. The stock market set one record after another, with 148 stock market highs during this short period of time, and boosted the retirements and pensions of hardworking citizens all across our nation. 401(k)s are at a level they've never been at before. We've never seen numbers like we've seen, and that's before the pandemic and after the pandemic.

We rebuilt the American manufacturing base, opened up thousands of new factories, and brought back the beautiful phrase: "Made in the USA."

To make life better for working families, we doubled the child tax credit and signed the largest-ever expansion of funding for childcare and development. We joined with the private sector to secure commitments to train more than 16 million American workers for the jobs of tomorrow.

When our nation was hit with the terrible pandemic, we produced not one, but two vaccines with record-breaking speed, and more will quickly follow. They said it couldn't be done but we did it. They call it a "medical miracle," and that's what they're calling it right now: a "medical miracle."

Another administration would have taken 3, 4, 5, maybe even up to 10 years to develop a vaccine. We did in nine months.

We grieve for every life lost, and we pledge in their memory to wipe out this horrible pandemic once and for all.

When the virus took its brutal toll on the world's economy, we launched the fastest economic recovery our country has ever seen. We passed nearly $4 trillion in economic relief, saved or supported over 50 million jobs, and slashed the unemployment rate in half. These are numbers that our country has never seen before.

We created choice and transparency in healthcare, stood up to big pharma in so many ways, but especially in our effort to get favored-nations clauses added, which will give us the lowest prescription drug prices anywhere in the world.

We passed VA Choice, VA Accountability, Right to Try, and landmark criminal justice reform.

We confirmed three new justices of the United States Supreme Court. We appointed nearly 300 federal judges to interpret our Constitution as written.

For years, the American people pleaded with Washington to finally secure the nation's borders. I am pleased to say we answered that plea and achieved the most secure border in U.S. history. We have given our brave border agents and heroic ICE officers the tools they need to do their jobs better than they have ever done before, and to enforce our laws and keep America safe.

We proudly leave the next administration with the strongest and most robust border security measures ever put into place. This includes historic agreements with Mexico, Guatemala, Honduras, and El Salvador, along with more than 450 miles of powerful new wall.

We restored American strength at home and American leadership abroad. The world respects us again. Please don't lose that respect.

We reclaimed our sovereignty by standing up for America at the United Nations and withdrawing from the one-sided global deals that never served our interests. And NATO countries are now paying hundreds of billions of dollars more than when I arrived just a few years ago. It was very unfair. We were paying the cost for the world. Now the world is helping us.

And perhaps most importantly of all, with nearly $3 trillion, we fully rebuilt the American military -- all made in the USA. We launched the first new branch of the United States Armed Forces in 75 years: the Space Force. And last spring, I stood at Kennedy Space Center in Florida and watched as American astronauts returned to space on American rockets for the first time in many, many years.

We revitalized our alliances and rallied the nations of the world to stand up to China like never before.

We obliterated the ISIS caliphate and ended the wretched life of its founder and leader, al Baghdadi. We stood up to the oppressive Iranian regime and killed the world's top terrorist, Iranian butcher Qasem Soleimani.

We recognized Jerusalem as the capital of Israel and recognized Israeli sovereignty over the Golan Heights.

As a result of our bold diplomacy and principled realism, we achieved a series of historic peace deals in the Middle East. Nobody believed it could happen. The Abraham Accords opened the doors to a future of peace and harmony, not violence and bloodshed. It is the dawn of a new Middle East, and we are bringing our soldiers home.

I am especially proud to be the first President in decades who has started no new wars.

Above all, we have reasserted the sacred idea that, in America, the government answers to the people. Our guiding light, our North Star, our unwavering conviction has been that we are here to serve the noble everyday citizens of America. Our allegiance is not to the special interests, corporations, or global entities; it's to our children, our citizens, and to our nation itself.

As President, my top priority, my constant concern, has always been the best interests of American workers and American families. I did not seek the easiest course; by far, it was actually the most difficult. I did not seek the path that would get the least criticism. I took on the tough battles, the hardest fights, the most difficult choices because that's what you elected me to do. Your needs were my first and last unyielding focus.

This, I hope, will be our greatest legacy: Together, we put the American people back in charge of our country. We restored self-government. We restored the idea that in America no one is forgotten, because everyone matters and everyone has a voice. We fought for the principle that every citizen is entitled to equal dignity, equal treatment, and equal rights because we are all made equal by God. Everyone is entitled to be treated with respect, to have their voice heard, and to have their government listen. You are loyal to your country, and my administration was always loyal to you.

We worked to build a country in which every citizen could find a great job and support their wonderful families. We fought for the communities where every American could be safe and schools where every child could learn. We promoted a culture where our laws would be upheld, our heroes honored, our history preserved, and law-abiding citizens are never taken for granted. Americans should take tremendous satisfaction in all that we have achieved together. It's incredible.

Now, as I leave the White House, I have been reflecting on the dangers that threaten the priceless inheritance we all share. As the world's most powerful nation, America faces constant threats and challenges from abroad. But the greatest danger we face is a loss of confidence in ourselves, a loss of confidence in our national greatness. A nation is only as strong as its spirit. We are only as dynamic as our pride. We are only as vibrant as the faith that beats in the hearts of our people.

No nation can long thrive that loses faith in its own values, history, and heroes, for these are the very sources of our unity and our vitality.

What has always allowed America to prevail and triumph over the great challenges of the past has been an unyielding and unashamed conviction in the nobility of our country and its unique purpose in history. We must never lose this conviction. We must never forsake our belief in America.

The key to national greatness lies in sustaining and instilling our shared national identity. That means focusing on what we have in common: the heritage that we all share.

At the center of this heritage is also a robust belief in free expression, free speech, and open debate. Only if we forget who we are, and how we got here, could we ever allow political censorship and blacklisting to take place in America. It's not even thinkable. Shutting down free and open debate violates our core values and most enduring traditions.
In America, we don't insist on absolute conformity or enforce rigid orthodoxies and punitive speech codes. We just don't do that. America is not a timid nation of tame souls who need to be sheltered and protected from those with whom we disagree. That's not who we are. It will never be who we are.

For nearly 250 years, in the face of every challenge, Americans have always summoned our unmatched courage, confidence, and fierce independence. These are the miraculous traits that once led millions of everyday citizens to set out across a wild continent and carve out a new life in the great West. It was the same profound love of our God-given freedom that willed our soldiers into battle and our astronauts into space.

As I think back on the past four years, one image rises in my mind above all others. Whenever I traveled all along the motorcade route, there were thousands and thousands of people. They came out with their families so that they could stand as we passed, and proudly wave our great American flag. It never failed to deeply move me. I knew that they did not just come out to show their support of me; they came out to show me their support and love for our country.

This is a republic of proud citizens who are united by our common conviction that America is the greatest nation in all of history. We are, and must always be, a land of hope, of light, and of glory to all the world. This is the precious inheritance that we must safeguard at every single turn.

For the past four years, I have worked to do just that. From a great hall of Muslim leaders in Riyadh to a great square of Polish people in Warsaw; from the floor of the Korean Assembly to the podium at the United Nations General Assembly; and from the Forbidden City in Beijing to the shadow of Mount Rushmore, I fought for you, I fought for your family, I fought for our country. Above all, I fought for America and all it stands for -- and that is safe, strong, proud, and free.

Now, as I prepare to hand power over to a new administration at noon on Wednesday, I want you to know that the movement we started is only just beginning. There's never been anything like it. The belief that a nation must serve its citizens will not dwindle but instead only grow stronger by the day.

As long as the American people hold in their hearts deep and devoted love of country, then there is nothing that this nation cannot achieve. Our communities will flourish. Our people will be prosperous. Our traditions will be cherished. Our faith will be strong. And our future will be brighter than ever before.

I go from this majestic place with a loyal and joyful heart, an optimistic spirit, and a supreme confidence that for our country and for our children, the best is yet to come.

Thank you, and farewell. God bless you. God bless the United States of America.

米ホワイトハウスは1月18日、新型コロナウイルス拡大防止策として導入してきた欧州などからの外国人の入国禁止措置を1月26日に解除すると発表した。

Proclamation Terminating Restrictions on Entry of Certain Travelers from the Schengen Area, the United Kingdom, the Republic of Ireland, and Brazil

発表概要は以下の通り。

米国は2020年9月15日に、国外からのウイルス流入を抑える手段として、次の各国に直近14日以内に滞在した外国人に対する空路での入国禁止を発表した。

中国(香港とマカオを除く)、イラン
シェンゲン圏(欧州26カ国:EU以外のアイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインを含む)、英国、アイルランド、ブラジル

米国CDCは2021年1月12日、外国から米国に飛行機で入国するすべての乗客に、1月26日以降、COVID-19テストで陰性であること、又はCOVID-19から回復したことの証明が必要であるとの命令を出した。

これに従えば、入国禁止にしていた各国(中国とイランを除く)についても、入国を認めても、COVID-19を蔓延させる恐れはなくなる。

このため、トランプ大統領は、シェンゲン圏(欧州26カ国:EU以外のアイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインを含む)、英国、アイルランド、ブラジルからの入国制限を1月26日に解除する。

中国とイランについては、米国の衛生当局との協力を拒否し、ウイルスの蔓延に関するタイムリーで正確な情報の交換に応じなかった。これらの国が上記の1月12日のCDCの命令に協力することに疑いを生じる。このため、入国禁止を継続する。

これを受け、1月20日に発足するバイデン次期政権で大統領報道官に起用されるJen Psaki 女史はツイッターで、1月26日に解除する積りはないと表明した。
むしろ、COVID-19の蔓延を防ぐため、海外旅行に関する公共衛生措置を強化する計画だとしている。

With the pandemic worsening, and more contagious variants emerging around the world, this is not the time to be lifting restrictions on international travel.

On the advice of our medical team, the Administration does not intend to lift these restrictions on 1/26.
In fact, we plan to strengthen public health measures around international travel in order to further mitigate the spread of COVID-19.

レナサイエンスは1月17日、同社の開発品目であるRS5614(PAI-1阻害薬)について、第一三共とオプション契約を締結した と発表した。

RS5614のCOVID-19肺炎及びその他肺傷害等の呼吸器疾患治療薬の全世界を対象とした開発及び商業化の独占的実施許諾(ライセンス)に関する優先交渉権を第一三共に供与 する。

同社は本契約締結後も、COVID-19肺炎に対する国内における多施設第II相医師主導治験を進めるとともに、米国及びトルコで独立して実施中の第Ⅱ相医師主導治験についても推進 する。


レナサイエンス(Renascience)は東北大学大学院医学系研究科 宮田教授等の研究成果を用いて、老化に伴う疾病及びメンタル疾患等の医薬品の開発と実用化を目指し、2000年2月に大学発の創薬ベンチャーとして横浜市に設立 された。

同社では、「老化」あるいは加齢に伴い生じる種々の疾患の原因分子 として、PAI-1(Plasminogen Activator Inhibitor-1)に注目した。

これは、血管内皮細胞や肝臓、血小板、脂肪細胞などに存在し、血管内皮障害や血小板の崩壊により、血中に多く放出され る血栓の形成に必要な分子であり、血栓症治療の標的として研究が進められてきた。

PAI-1は、形成された血栓を溶解するプラスミンの生成反応を助ける組織プラスミノゲンアクチベーター(t-PA)を特異的かつ即時的に阻害することで、線溶系反応を制御するはたらきがあ る。


近年ではこれが「老化」あるいは加齢に伴い生じる種々の疾患の原因分子として、その関与が強く示唆されてい る。

同社ではこのPAI-1の阻害薬を何とか開発したいと考え 、ヒトのPAI-1分子の結晶構造から、活性を阻害できる医薬品(低分子)を、コンピューター工学を利用して推測した。
そして、理論上、活性を阻害できる新規化合物を、10年以上かけてこれまで1,300個以上合成し、それらの活性や安全性、薬物動態などを評価する中で、RS5614 という候補を 得た。

動物での安全性試験を終了して、ヒトでの安全性試験(第一相試験)も終了した。

現在、RS5614を慢性骨髄性白血病、悪性黒色腫、新型コロナCOVID-19感染症の重症化の治療薬として臨床試験の段階 。


今後は、当初の目的である代謝疾患など、加齢に伴い生じる疾患にも、順次研究開発を進める予定 。


COVID-19感染症の重症化 )

高齢者や糖尿病などの基礎疾患を有するCOVID-19感染患者では、肺の炎症、線維化、肺気腫などが背景にあるため、 COVID-19による肺の傷害が急速に進行する場合がある。
また、肺傷害には微小血栓が著明に認められるなど、COVID-19感染患者は血栓症リスクが高く、血液凝固能が高まっていることが報告されている。

2020年5月18日に厚生労働省が発行した『診療手引き・第2版』においても、新型コロナウイルス感染症の患者での血栓症予防が重症化を回避するための重要な治療と考えられている。

開発しているRS5614(PAI-1阻害薬)は、微小血栓の溶解を促進することが分かっており、動物試験で肺の気道炎症、線維化、肺気腫を有意に抑制 する。

したがって、特に肺に基礎的障害を持つ高齢者や、代謝性疾患、動脈硬化、心疾患、腎疾患、悪性腫瘍などの基礎疾患を持ち、COVID-19感染症が悪化しやすい患者のARDS (急性呼吸窮迫症候群) への悪化を防ぎ、肺を保護する新薬として有用である可能性が強く示唆されている。

現在、軽症から中等症の肺炎を伴うCOVID-19感染患者を対象として、RS5614の治療効果と副作用を確認するための第二相試験(医師主導治験)を日、米、トルコの3地域で独立して実施中 。

(がん治療)

がんの大きな問題は、一旦治療したがんが「再発」してしまうことで、同社では、血液のがんである慢性骨髄性白血病を対象として、がんの再発を防ぐための新しい治療法の開発に取り組んでい る。

がん細胞は、がんの幹細胞から増えるが、がん幹細胞は微小環境(がんニッチ)という環境に守られているため、これまでの抗がん剤の治療法ではがん幹細胞を攻撃することは出来 ない。

RS5614(PAI-1阻害薬)は、がん幹細胞をがんのニッチから追い出す効果が期待され、抗がん剤と併用することでがん幹細胞を滅ぼし、がんの再発を防げると考えられ る。


韓国サムスン電子トップの李在鎔副会長が朴槿恵・前大統領らへの贈賄罪に問われた差し戻し審で、ソウル高裁は1月18日、贈賄罪などを有罪とし、李被告に懲役2年6月(求刑は9年)の実刑判決を言い渡した。
執行猶予は付かず、再び収監された。 下記のとおり2017/2~2018/2の1年間収監されており、残り1年6月となる。

サムスン電子は経営トップが不在になる。

サムスン側は上告を検討するが、すでに最高裁は二審が贈賄額を36億ウオンとみなしたのに対し86億ウオンとみなし、差し戻しており、今回の高裁判決が確定する可能性が高い。

付記 

サムスン側は1月25日、高裁判決を受け入れ、上告を断念したと明らかにした。検察側も上告せず、26日午前0時に判決は確定。
収監中の李被告の残り刑期は約1年6カ月で、満期の場合は2022年7月に出所することになる。

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李被告は2017年2月に逮捕・拘束され、同年8月の地裁判決で懲役5年の実刑判決を受けて収監された。

控訴審判決公判が2018年2月5日開かれ、検察側は懲役12年を求刑していたが、ソウル高裁は地裁判決を破棄し、李被告に新たに懲役2年6カ月、執行猶予4年を言い渡した。
李被告は約1年ぶりに釈放された。

2018/2/5 サムスントップ釈放

上告審で韓国大法院(最高裁)は2019年8月29日、前大統領の朴槿恵被告、朴被告の友人の崔順実被告、サムスングループの実質トップである李在鎔・サムスン電子副会長らがかかわった国政介入事件の上告審判決を言い渡した。

李在鎔被告については、執行猶予付きの二審判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した

二審では、朴被告の収賄額は86億ウオンなのに李被告の贈賄額は36億ウオンとしたが、サムスンが購入した馬3頭の購入費を賄賂に含めるかどうかの差である。
最高裁はこれも賄賂と認めた。

法律では、横領額が50億ウオンを超えると5年以上の懲役刑となっている。

2019/8/29 韓国最高裁、朴前大統領とサムスン電子副会長の二審判決破棄、差し戻し 

高裁での差し戻し審は異例の経過をたどった。

2019年10月の初公判で裁判官が改善策を促し、サムスン側が外部の有識者らで構成する「順法監視委員会」を立ち上げた。
2020年5月には李氏が「国民への謝罪」を表明する記者会見を開き世襲を否定した。
2020年12月の最終弁論で李被告は「最高の透明性、道徳性を持つ会社にする」との誓いの言葉を口にしていた。

ソウル高裁は今回、贈賄罪などを有罪とし、李被告に懲役2年6月(求刑は9年)の実刑判決を言い渡した。

なお、収賄側の朴槿恵被告については、 韓国最高裁は2021年1月14日、検察の上告を棄却、刑が確定している。

2021/1/15 朴槿恵・韓国前大統領、懲役20年が確定  

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サムスン電子の李在鎔副会長は別途、2015年のサムスン物産と第一毛織の合併過程における背任、サムスンバイオロジクスの粉飾会計などサムスン経営権継承を巡る一連の疑惑でも裁判を受けている。

争点は次の3つ。

1.サムスン物産・第一毛織の合併の違法性
2.第一毛織子会社のSamsung BioLogicsの4兆5000億ウォン粉飾会計疑惑
3.李副会長が関与したのか

検察は本件を3年以上先延ばしにしていた。

2020年5月26日、李在鎔副会長はソウル中央地検に出頭、17時間に及ぶ聴取を受けた。地検は5月29日にも再度呼び出して聴取した。

検察は6月4日、李在鎔副会長らについて、資本市場法違反(不正取引及び相場操作行為)や偽証などの容疑で逮捕状を請求した。

ソウル中央地裁は6月9日未明、「被疑者を拘束する必要性が不十分」として、サムスン電子副会長に対する検察の逮捕状請求を棄却した。

韓国の検察捜査審議委員会は6月26日、検察に対し、本件捜査を中断し不起訴にするよう勧告した。強制力はないが、検察の捜査に影響を及ぼす。   

しかし、韓国のソウル中央地検は9月1日、李在鎔サムスン電子副会長を株価操作などの罪で在宅起訴した。

検察が勧告に従わずに起訴に踏み切ったことで、裁判は最長1年半かかり、最終的に最高裁が判断する事態となれば、決着までさらに2年を要することもあり得る。

2020/6/2 韓国検察、サムスン電子副会長を再度聴取、経営権継承巡る疑惑


2020年10月25日にサムスン電子 李健熙会長(78歳)が死去した。
2014年に急性心筋梗塞で倒れ、長く入院、実質的に長男の李在鎔副会長に権限移譲しており、副会長が会長に就任する予定である。

中国政府は1月15日、レアアース(希土類)への統制を強化する「レアアース管理条例」(稀土管理条例)の草案を発表した。「国家利益と産業の安全を守る」ための措置だと説明しており、ハイテク分野で対立の長期化が見込まれる米国を牽制する狙いとみられる。

レアアースは中国の伝統産業の変容、新興産業の発展、国防科学技術産業の発展にとって非常に重要であると指摘し、「特別に保護」し、希土類の採掘と製錬の分離のために「総合指数管理システム」を確立する必要があるとしている。

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中国の全国人民代表大会常務委員会は2020年10月17日、ハイテク製品の輸出管理を強化する輸出管理法案を可決、同法が成立した。12月1日に施行した。
国家の安全を損ねると判断した海外企業をリスト化し、輸出を禁止できるようにする。

米国が通信機器大手、華為技術(Huawei)など中国企業への禁輸措置を強める中、同様の対抗措置が可能となる。

対象品目の全容は明らかになっていないが、高速通信規格「5G」関連や、ソフトウェアの設計図である「ソースコード」などが入る見通しで、レアアースが品目に含まれるかが焦点の一つである。

2020/10/21 中国、輸出管理法成立、ハイテク禁輸

中国商務部は12月2日、国家安全に関わる物品や技術の輸出を制限する輸出管理法を巡り、規制対象となる品目の一部を発表した。レアアースは含まれていない。

2020/12/4 中国、輸出管理法の対象品目第一弾を発表

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工業情報化省が公表した草案によると、条例はレアアースの採掘や精錬分離、利用、製品流通などサプライチェーンの全体に適用する。
また、レアアースの輸出入に携わる企業に対し輸出管理などの法律・法規を順守しなければならないと明記した。

「輸出管理法」でレアアースが対象になるとの見方があるが、複数の制度を使い統制強化が進む可能性がある。

草案について2月中旬まで専門家などの意見を集めており、年内にも施行される可能性がある。

草案では、国内のレアアースの採掘、精製、分離に亘る割当管理、投資の承認システム、監督を含んでおり、中国がレアアース産業の管理を標準化し、産業の高度の開発推進を進めると見られる。

レアアース産業の政策立案の責任を持つ調整機構を設立する。

レアアースの生産割当制度は2006年から行なわれているが、厳しい規則や監督はなかった。新制度がこれを行なう。

レアアースの輸出についても影響があると見られている。

レアアースの輸出は最近減少しており、2020年は35,448トンで、前年比23.5%減となっている。
一つは、政府が産業の高度化を図り、レアアース鉱石での輸出を減らし、加工品の輸出を奨励していることによる。
政府が戦略的材料の規制を強化していることも影響している。


中国紙は本件の記事のなかで、トランプ米大統領が昨年、国防生産法を使用して国の鉱業開発を加速し、米国の輸入鉱物への依存を減らすことを承認する執行命令に署名した、と述べている。

トランプ大統領は2020年9月30日、レアアースにおける米国の中国依存を低減し、米国内の鉱山開発を加速させるため、国内鉱業界の緊急事態を宣言する大統領令に署名した。

大統領令は、内務省に対し、国防生産法(Defense Production Act)に基づき国防のための鉱石加工の資金を得るための計画を策定することを命じている。

国防生産法は朝鮮戦争の勃発を受け、1950年9月8日に成立した。大統領に下記の権限を与える。

 ・企業に対し、国防に必要とみなされる契約を結ぶことを命じる権限。
  売り惜しみや、便乗値上げすることを禁じる対象品目を指定する権限。

  ・国防のため、モノやサービスや設備を割り当てるためのメカニズム(規則や命令など)を決める権限。

  ・国防のために必要な不足する物品や重要な物品が防衛のために使えるよう、民間経済に介入する権限。

 ・国防のため、資産の徴用、業界への生産増の命令、賃金・価格のコントロール、労働紛争の終止、
  消費者与信や不動産与信の制限、優先度の設定、原材料の配分などの権限

Ron Klain 次期大統領首席補佐官は1月16日、バイデン新大統領の ホワイトハウスのメンバー向けの "Overview of First Ten Days"メモを発表した。

米国は4つの危機(COVID-19危機、結果としての経済危機、温暖化、人種問題)に直面しているとし、これに対応する。

バイデン氏はトランプ政権による重大な損害を覆すだけでなく、米国を前進させるために行動を起こすと強調した。

大統領就任後、直ちに多くの大統領令を出す。

1日目(1月20日):

教育省に、国の奨学金の返済、利子支払いの繰延を求める。
パリ協定への復帰
イラクを含む7つのイスラム教徒多数の国の旅行禁止("Muslim Ban")の廃止
"100 Day Masking Challenge":政府の施設と州をまたがる旅行に100日間のマスク使用 の義務付け
国全体での
強制立ち退き、担保権執行などの延期

1月21日:

COVID-19,学校や事業の安全な再開に関する多くの行動
  検査の拡大、労働者保護、明確な公共衛生基準の設定など

1月22日:

各省庁に労働者家族の経済的な救済のための即時の行動をとるよう指示

1月25日から2月1日までの間に、追加の指示を出す。

Buy American 政策を強化し、米国の将来は米国でつくる。
有色人種や十分なサービスを受けていないコミュニティを支える。
刑事司法制度の改革
温暖化対策(科学に基づく政策決定)
ヘルスケア
移民制度、国境管理
米国の復活、世界における地位の取り戻し

これらは始まりであり、もっともっとやる必要がある。


付記

複数の米メディアはバイデン氏が早ければ20日に「Keystone XL Pipeline 」の建設許可を撤回する大統領令に署名する見通しと報じた。

2017/1/26 Trump大統領、原油パイプライン建設へ大統領令

バイデン次期大統領は1月14日、1兆9千億ドル(約197兆円)規模の追加経済対策案American Rescue Plan を発表した。

この対策案にはCOVID-19への対応、COVID-19の影響に苦しむ家計支援、COVID-19の影響を受けたコミュニティへの支援など、世界最大の経済を再生するための多くの措置が含まれている。

デラウェア州ウィルミントンで演説したバイデン氏は、「こうした雇用や人種間の平等に対する投資は、長期的な経済損失を防ぐことにつながり、その利益は投資費用をはるかに上回る」と訴えた。「この危機的状況の中で、(中略)何もしないわけにはいかない 。」

さらに、「われわれは税金を米国の再建に使う。米国製品を買い、米製造業界で働く数百万人の雇用を支え、競争が激化する世界で米国の競争力を高める」と言明した。

政権移行チームは政策案発表に当たり、「時間との闘いだ。追加の政府支援がなければ経済と公衆衛生の危機が今後悪化する恐れがある。学校は安全に再開できず、ワクチン接種は進まないままとなる」と警告した。

バイデン次期大統領は1月20日の大統領就任直後に第2の「回復」計画(報道では下記のようなもの)を議会に提出する意向だという。

・再生エネルギーへの投資と雇用創出(選挙中は4年で2兆ドルと公約)
・バイアメリカン(連邦政府の物品調達などで)
・育児・介護支援(保育園無償化、子育て世帯の税優遇など)

問題は、共和党がこれまで反対してきた支出が多数含まれていることである。トランプ大統領が主張した一人当たり1400ドルの追加支給は下院が可決したが、上院では共和党が握りつぶした。州などの支援は主に民主党系知事の州への支援だとして共和党は反対してきた。最低賃金引上げなども、州レベルでは多く引き上げられているが、国レベルでは2009年から引き上げられていない。

下院は民主党が多数であるが、上院が問題である。決選投票での勝利で民主党(民主系無所属2名を含め)は共和党と同じ50票を獲得し、賛否同数の場合は上院議長である副大統領が投票するルールで辛うじて多数を得た。

失業給付や最低賃金などの措置は「財政調整措置」として知られるプロセスを用いれば単純過半数で可決が可能であるが、州・地方自治体支援やワクチン向け資金などの上院通過には60の賛成票を要する。
(共和党議員ののフィルバスターによる実質否決を避けるには 3/5の60票が必要である。)

共和党から10名の賛成票が得られるかどうかがキイとなる。

ーーー

American Rescue Plan は3つの部分からなる。

1.コロナ対応(ワクチン計画、COVID-19抑え込み、学校再開)
   
Mount a national vaccination program, contain COVID-19, and safely reopen school

2.コロナ危機に苦しむ勤労家庭の即時救済
   
Deliver immediate relief to working families bearing the brunt of this crisis

3.COVID-19の影響を受けたコミュニティの支援
   
Support communities that are struggling in the wake of COVID-19

詳細は下記の通り。                                             予算 億ドル

コロナ対応 全国的なワクチンプログラム 全国にワクチンセンター設置、遠隔地には移動ワクチン隊
全国民に無料接種
200
COVID-19検査体制 検査の拡大(急速検査購入、ラボ能力増強投資など)、学校と地方政府が常時検査できるよう支援 500
サポート体制 10万人のヘルスワーカー雇用 900
対策での差別排除等々 Community Health Center設立などを通じ、対策での差別を排除
(コロナ対策 合計) 1600
学校の再開支援 学校の安全な再開 1300
Higher Education Emergency Relief Fundの拡大
 カレッジなどの学生に1人当たり1700ドルまでの支援
350
深刻な影響を受けた学生支援のため知事向けのファンド 50
緊急有休休暇 ウイルス拡散防止のため106百万人に14週の緊急有休休暇(週1400ドル)を与える。
2021年9月末まで継続
 子供の学校、保育所がクローズの場合の両親、家族が症状 等々
 連邦職員 2百万人
雇用者には政府が補填
家計支援 直接給付金 増額 直接給付金を昨年12月承認の600ドルから計2000ドルに1400ドル増額  

トランプ大統領は少なすぎるとして当初認めなかったが、その後承認し、同時に議会に対し、無駄な支出を避け、国民に成人には2000ドル、子供には600ドルを渡すよう、伝えた。
下院は追加の1400ドル支給法案を通したが、与党共和党主導の上院は認めず、1人当たり600ドルで確定した。

失業保険の州支給分への上乗せ 昨年は週600ドルであったが、追加景気対策予算では週300ドル上乗せとした。
これを400ドル上乗せとする。
住宅支援 被害の大きい家族に、強制立ち退き、担保権執行などの9月末までの延期
被害の大きい賃貸人に賃貸料や光熱水道料補助に300億ドル供与 300
ホームレス回避に50億ドルの緊急支援 50
飢餓対策 Supplemental Nutrition Assistance Programの15%増
女性、幼児、子供の食品確保に30億ドルの投資 30
レストランと組み、米国の家族に食を与え、同時にレストラン従業員の雇用継続
Supplemental Nutrition Assistance Programで州の拠出を一時的にカット
米国海外領土の住民のため10億ドルの追加の栄養支援 10
最低賃金の引き上げ 連邦法では2009年7月以降、時給は7.25ドルのまま、これを15ドルに引き上げ

州法ではワシントン州の13.50ドル以下、10ドル以上が10州以上ある。
従業員は連邦と州の高い方を受け取る権利がある。
市でも決めているところがあり、NY市は2020年から15ドル。 

essential workersへの対応 必要不可欠業務従事者は黒人等が多いが、リスクの割に報酬が少ない。業務に見合った報酬を払うよう、雇用者に要求
高品質で低価格のchild care 業者の業務継続支援のため250億ドルの緊急安定化ファンド 250
両親が職場に戻れるよう、支援を拡大
費用の補助のため税額控除を拡大
家計補助 勤労所得税額控除の拡大など
健康保険 失業者は健保がなくなるが、COBRAプログラム( 雇用時と同様の保険を継続)の適用を検討など
コミュニティの支援 中小企業支援 事業再建の支援
被害の大きい100万以上の中小企業に150億ドルの補助金 150
350億ドルの政府資金をテコに、1750億ドルの低利融資 1750
州等への支援 職員の雇用を継続し、COVID-19に対応するための支援として州や市町村に3500億ドルの緊急支援 3500
同じ目的で Economic Development Administrationに30億ドルの資金供与 30
公共交通の将来を保護 公共交通機関の支援 200
インデアン 部族政府のコロナ対策支援 200
サイバーアタックに対応し情報技術を保護 Technology Modernization Fundの拡大 90
サイバーセキュリティ技術向上と専門家採用 2
Technology Transformation Servicesの投資 3
セキュリティモニター、事故への対応 7
総合計 1兆9000

ーーー

バイデン次期大統領は1月15日、地元デラウェア州で演説し、新型コロナウイルスのワクチンの接種が進んでいないとして「アメリカのワクチン接種は今のところ惨めな失敗だ」とトランプ政権の対応を批判した。

トランプ政権は12月中に2000万人に接種を受けさせるとしていたが、1月14日朝の時点で各州に届けられたワクチンは約3000万回分で、接種を受けたのは1110万人にとどまっている。

そのうえで、ワクチンを接種できる施設を就任後1か月間で新たに全米100か所に設け、最終的には数千か所に増やすほか、遠隔地には医師などを派遣して接種を進める方針を明らかにした。

また、人手不足を補うため、退職した医師などに協力を求め、接種の対象者もこれまでの医療従事者などに加え、65歳以上の高齢者や、教師、食料品店の従業員などにも広げる 。また、低所得地域でのワクチン接種拡大や、ワクチンに懐疑的な国民向けに接種を奨励するマーケティングキャンペーンを打ち出す。

さらに、列車や航空機で州をまたぐ移動をする人や、連邦政府の職員にマスクの着用を義務づける大統領令を出すことも明らかにし、感染対策に力を入れると強調した。

マスクを着けるのは「愛国的な行動だ。皆さんにお願いしたい。われわれはこのウイルスとの戦いの中にある」と強調した。

ドイツの中道右派与党、キリスト教民主同盟(CDU)は1月16日、有力3氏による党首選を行い、メルケル首相に近いとされるNorth Rhine-Westphalia州首相Armin Laschet (59)を選出した。

メルケル氏が進めてきた中道路線が継続することになると見られている。

CDUは1月15~16日にオンラインで党大会を開き、16日に党首選挙を行なった。地域の代表者1001人が投票した。

メルケル首相は今年9月の総選挙に出馬せず政界引退する。CDUの新党首は総選挙の結果、次期首相に就任する公算が大きいとみられている。

CDUは南部バイエルン州を地盤とする姉妹政党・キリスト教社会同盟(CSU)と統一会派を組んで いるが、「CDU-CSU」の支持率は現在1位を維持しているおり、この勢いを保てば次期首相に選出される可能性が高い。 (但し、前回選挙では統一会派は1位ではあるが過半は取れず、ドイツ社会民主党:SPDとの連立でようやくメルケル首相が再選された。)

しかし、高支持率の背景にはメルケル首相個人の人気もあるとみられ、CSU党首は「メルケル氏によって得ているボーナスは消える」と警鐘を鳴らしている。

統一会派のCSUのゼーダー党首(バイエルン州首相)が厳格な新型コロナ対策で評価を上げており、これを 首相候補に担ぐ動きもあるという。


2021/1/8 ドイツ与党のキリスト教民主同盟(CDU)党首選挙  

立候補したのは次の3人。ずれも決め手に欠け、混戦になると見られていた。

候補(年齢)   2020/12
調査*
 
Norbert Roettgen (55)  元環境相  31.7% 外交政策に精通
「脱原発」を決めたドイツ政府のエネルギー政策を環境相として推進。
女性登用に積極的で若い世代への浸透も図る。
ただ、地元の州議会選挙で惨敗した責任を問われ、2012年に環境相を更迭された経緯もある。
Friedrich
Merz (65)
元党下院議員団長  28.8% 「非主流派」
移民に厳しい姿勢を示し、党内保守層の支持を得ている。  
2009年にメルケル氏との路線対立に敗れて政界を離れた後は公職に就いておらず、コロナ対策では存在感を発揮していない。
Armin
Laschet (59) 
ドイツ最大人口州のNorth Rhine-Westphalia州首相 11.8% 寛容な難民政策や同性婚容認、脱原発といった比較的リベラルな政策を進めてきたメルケル首相の路線を踏襲するとみられる。
同州内で発生したコロナ集団感染への初動対応が遅れ、州首相としての力量に疑問符が付き、支持が低迷。


 *シュピーゲル誌が2020年12月中旬に実施した「CDU党首に最もふさわしい人物」を問う調査


最初の投票で、1位のFriedrich Merz (65)が2位のArmin Laschet (59)を5票差で上回り、3位がNorbert Roettgen (55)となったが、いずれの候補も過半数に届かず 、1位と2位の決選投票となった。
決選投票では、Armin Laschetが521票、Friedrich Merz が466票となり、Armin Laschet が逆転勝利した。



付記

9月の連邦議会(下院)選挙の前哨戦で、3月14日に実施されたドイツ西部2州の州議会選挙で、国政与党のキリスト教民主同盟(CDU)がいずれも過去最低の得票率で敗北した。
バーデン・ビュルテンベルク州では緑の党、ラインラント・プファルツ州ではドイツ社会民主党(SPD)が勝利した。

東京大医科学研究所の中西真教授らは、加齢に伴い蓄積し、動脈硬化や糖尿病などさまざまな加齢関連疾患の原因となる「老化細胞」(senolysis) だけを除去する薬剤を発見し、マウスの実験で疾患の改善にも成功した。

論文は1月15日にの米科学誌 Scienceに掲載された。

"Senolysis by glutaminolysis inhibition ameliorates various age-associated disorders"

同様の研究は大阪大学微生物病研究所の原英二教授らのチームで行われており、2020年4月22日付けで英国の科学雑誌『Nature Communications』にオンライン掲載されている。

A BET family protein degrader provokes senolysis by targeting NHEJ and autophagy in senescent cells

ーーー

正常な細胞は発がんの危険性がある修復不可能なDNA損傷が生じると、アポトーシス (細胞死)を起こすか、細胞老化を起こして細胞周期の進行を不可逆的に停止する。

これらの現象は、異常細胞の増殖を防ぐ重要ながん抑制機構として働いていると考えられてきた が、アポトーシスとは異なり、老化細胞は生存可能なため、加齢とともに老化細胞が体内に蓄積していく。体内に蓄積した老化細胞は炎症性サイトカインやケモカインなどの炎症性物質を分泌する ことで慢性炎症を惹起し、がんを含めた様々な炎症性疾患の発症を促進することがわかってきた。

また、老齢のマウスから特殊な方法で老化細胞を除去すると、動脈硬化や腎障害などの発症が遅れることが分かっているが、薬剤などで除去する方法は見つかっていなかった。

ーーー

東京大医科学研究所チームは、ヒトの細胞を使って老化細胞を人為的に作製、老化細胞の生存に必要な遺伝子を探索し、glutaminase 1 (GLS1) というグルタミン代謝に関する遺伝子を見つけた。

さらに、細胞内小器官の異常で老化細胞内は酸性に傾いており、GLS1が過剰に働いて中和することで、細胞を維持していることも分かった。

老化細胞の細胞内pHは、リソソーム膜の損傷によって低下し(酸性に傾く)、腎臓型グルタミナーゼ(KGA)の発現を誘導する。
増強されたグルタミノリシスはアンモニア産生を誘発し、中和して、老化細胞の生存を
維持する。


正常細胞と老化細胞にそれぞれGLS1の働きを阻害する阻害剤を添加したところ、老化細胞だけが死滅した。

GLS1の働きを止める阻害剤を老齢マウスに投与したところ、さまざまな臓器で老化細胞が除去され、腎臓や肺、肝機能などの低下が改善 、動脈硬化や糖尿病などの症状にも改善が見られた。

人間の年齢に換算すると、握力や免疫機能は60歳程度から30~40歳程度になり、病気をもたらす腎臓の糸球体硬化や肺の線維化、肝臓の細胞炎症なども改善したという。

人間でも加齢とともにGLS1の働きが強まることは分かっており、同様の効果が期待できるという。


東大医科研の中西真教授(がん防御シグナル分野)は「がんを含め、さまざまな病気に老化細胞が関わっている可能性がある。GLS1阻害剤の副作用を慎重に調べ、5~10年程度で臨床研究を開始したい」と話した。

このGLS1の働きを止める阻害剤は、抗がん剤の候補物質として、患者に投与して有効性や安全性を確かめる臨床試験が進んでいる。

チームは候補物質を明らかにしていないが、大阪大学チームは候補物質を明らかにしている。

ーーー

大阪大学微生物病研究所のチームは、武田薬品工業のオープンイノベーションプラットフォームを利用し、体内に蓄積した老化細胞を選択的に死滅させる薬剤(セノリティックドラッグ) の候補物質を15個同定した。

そのうち最も活性が高かった4化合物がBET inhibitorであることがわか った。

BET(Bromodomain and extra-terminal family protein)は、染色体を構成するヒストンの内、アセチル化したヒストンを認識し、転写因子を動員することで遺伝子の転写を調節する分子で、細胞において様々な遺伝子の発現制御に関与している。

研究の結果、BET degraderの一つであるARV825がセノリティックドラッグとしての効果が最も高いことが 分かり、作用機序を解析した。

老化細胞で働く主なDNA二重鎖切断修復機構を阻害すると同時に、オートファジー関連遺伝子群の発現上昇を促進することで老化細胞の細胞死を引き起こす 。

さらにARV825が生体内でもセノリティックドラッグとして働くかどうかを確認するために、肝がんの発症が促進されることが知られている肥満マウスにARV825を投与したところ、細胞老化を起こした肝星細胞が減少し、肝がんの発症率も低下することが 分かった。

ヒトのがん細胞を移植したヌードマウスに抗がん剤Doxorubicinを投与した後にARV825を投与すると、Doxorubicinの投与により発生した老化細胞が減少し、Doxorubicinによる腫瘍抑制効果が増強されることが わかった。

最近、抗がん剤処理や放射線照射で生き残ったがん細胞の一部が細胞老化様の増殖停止を起こし、更に 炎症性サイトカインを含む様々な分泌性タンパク質を高発現することでがんの再発や悪性化を引き起こす可能性が指摘されており、BET degraderのようなセノリティックドラッグは抗がん剤の治療効果の向上にも貢献できる可能性が期待されるとしている。




トランプ政権は政権交代直前に対中規制を相次いで発動し、バイデン次期政権にも圧力を続けるよう迫っている。

国防総省は1月14日、「共産主義中国の軍事企業」のリストにスマートフォン世界3位の小米(Xiaomi Corp)のほか、航空機メーカーの中国商用飛機(COMAC)など9社を追加した。
米国人はリストに掲載された企業の新たな株式購入が禁じられ、持ち分も売却する必要がある。

Advanced Micro-Fabrication Equipment Inc.
Luokong Technology
Xiaomi Corp (小米)
Beijing Zhongguancun Development Investment Center
GOWIN Semiconductor
Grand China Air
Global Tone Communication Technology
China National Aviation Holding
Commercial Aircraft Corporation of China

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トランプ米大統領は11月12日、中国軍によって所有または支配されていると米政権がみなす中国企業 ("Communist Chinese military company" )について、米国人による投資を禁止する大統領令に署名した。

大統領令はまた、米国の投資家に対し、対象企業が発行する証券や対象企業に影響を受ける証券の保有ないし取引を禁じる。
年金基金を通じた保有や直接保有が禁じられる。投資家は2021年11月までに対象企業の証券を売却する必要がある。

大統領令は2021年1月11日に発効する。

"Communist Chinese military company" は国防長官が指定する。当初20社が指定されていたが、8月28日に11社を追加、12月3日に半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)など4社を追35社となってい たが、今回9社を追加した。

2020/11/13 米国、中国軍支援企業への投資を禁止


商務省は同日、安全保障上の問題がある企業を並べた「Entity List」に中国の国有石油大手、中国海洋石油(CNOOC)を追加すると発表した。
原油など特定製品を除き同社への輸出が事実上禁じられる。

領有権が争われている南シナ海の海域での海洋掘削に長年関与し、中国が進める南シナ海の軍事拠点化に関わっていると批判した。

付記

米首都ワシントンの連邦地裁は3月12日、小米(シャオミ)を投資禁止の対象となる中国軍関連企業に指定した決定について一時差し止めを命じた。投資制限措置は3月15日に発効する予定だった。
シャオミは1月末に同指定は「違法で違憲」だとして指定の取り消しを求め訴訟を提起。中国人民解放軍に支配されている事実はないと主張した。
連邦地裁は国防総省側が問題としている国家安全保障上の利益について必要不可欠なものと証明できていないとの判断を下した。

シャオミの広報担当者は、「同指定を違法と認定し、恒久的に解除するよう裁判所に引き続き求めるつもりだ」と述べた。

付記 

2021年5月、バイデン政権は小米(シャオミ)を投資禁止の対象から外した。連邦地裁に提出した資料で判明した。正式な除外に向けた条件を同社と詰める。



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米商務省は2020年12月18日、半導体メーカーの中芯国際集成電路製造(SMIC : Semiconductor Manufacturing International Corporation)を含む中国企業77社をEntity Listに加えたことを明らかにした。「国家の安全を守るため」だと理由を挙げた。

Entity Listは輸出管理法(規則 744.11(b) )に基づき安保上懸念がある企業を指定するもので、海外企業を含む企業が米国のハイテク製品や技術を同社に輸出する場合は商務省の許可が必要になり、原則却下される。

2020/12/19 米国、半導体SMICなど中国企業77社をEntity Listに追加


商務省はまた中国企業
北京天驕航空産業投資(Skyrizon)をMilitary End-User List に加えた。

Skyrizonは北京信威科技集団(Beijing Xinwei Technology:旧称北京中創信測科技)子会社で、以前からウクライナの航空機エンジンメーカー Motor Sich の買収に動いている。

Skyrizonがウクライナの「世界最大の飛行機」と呼ばれる6発エンジンの大型輸送機 AN-225 のエンジンを重慶で生産するとの噂があり、米国はこれに懸念を示していた。

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米商務省は2020年12月21日、Export Administration Regulationsに基づき、航空宇宙分野などの中国企業58社とロシア企業45社の計103社を新しく軍事エンドユーザー('Military End User')に指定したと発表した。

広範囲の米製品・技術を対象企業に輸出、再輸出、国内移転する場合は許可制とし、規制を強化する。申請は却下される可能性のほうが大きい。

2020/12/24 米、中国・ロシアの軍関連企業リスト公表 取引制限の対象に 

韓国最高裁は2021年1月14日、サムスングループなどから巨額の賄賂を受け取ったとの特定犯罪加重処罰法上の収賄罪などに問われた前大統領、朴槿恵被告(68)の上告審で、検察の上告を棄却、刑が確定した。

差戻し二審で検察は懲役35年等を求刑したが、ソウル高裁は2020年7月10日、懲役20年、罰金180億ウォン(約17億円)などの実刑を言い渡した。高裁は、政治生命が絶たれたに等しい上、「刑の執行が終了する時点の年齢なども考慮した」と説明した。

これに対し、検察側が上告していた。

今回、最高裁はこのソウル高裁での差し戻し控訴審判決を支持、これが確定した。

朴槿恵被告 崔順実被告
一審 2018年4月6日 ソウル中央地裁
懲役24年、罰金180億ウォン(約18億円)の実刑判決
 2018/4/6 朴前大統領に懲役24年の実刑判決
2018年2月13日
懲役20年、罰金180億ウオンの実刑判決
 
2018/2/13 朴前大統領親友に懲役20年、ロッテ重光会長も実刑
二審 2018年8月24日、ソウル高裁
懲役25年、罰金200億ウォン
同左
懲役20年、罰金200億ウォン
最高裁 2019年8月29日
差戻し
大統領在任中の収賄罪は、公職選挙法の規定に従い、他の罪と分けて判決を宣告する必要あり。収賄は認定。
同左
差戻し
強要罪のうち一部は無罪にすべきだと判断

2019/8/29 韓国最高裁、朴前大統領とサムスン電子副会長の二審判決破棄、差し戻し

差戻し二審 検察は5月20日、懲役35年などを求刑 

ソウル高裁は7月10日、懲役20年、罰金180億ウォンなどの実刑判決を言い渡した。

求刑は懲役35年だが、高裁は、政治生命が絶たれたに等しい上、「刑の執行が終了する時点の年齢なども考慮した」と説明した。

2020年2月14日 ソウル高裁
懲役18年と罰金200億ウォン、追徴金約63億ウォン
最高裁 2021年1月14日
検察の上告を棄却

懲役20年、罰金180億ウォン(約17億円)などの実刑が確定

2020年6月11日
上告棄却。懲役18年の実刑と罰金200億ウォン、
追徴金約63億ウォンの2審判決が確定

 2020/6/11 朴槿恵前政権下での国政介入事件の崔順実被告、実刑確定

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全斗煥元大統領は大統領在任期間中などに不正に蓄財していたとして1997年に追徴金2205億ウォンを科す大法院判決が出た。

盧泰愚元大統領は政治資金隠匿で有罪となったが、その後、粛軍クーデターと光州事件の捜査が行われ、1997年4月17日にそれらを含めた公判で最高裁判所は懲役17年、追徴金2688億ウォンを宣告した。

サムスン電子などから巨額の賄賂を受け取り、会社資金を横領したとして収賄、横領罪などに問われた李明博元大統領について、2020年10月29日に懲役17年、罰金130億ウォン(約12億円)、追徴金約57億8000万ウォン(約5億3000万円)の実刑判決が確定した。
韓国最高裁は「横領、収賄の事実認定に関する原審の結論に過ちはない」として、弁護・検察双方の上告を棄却した。

韓国の歴代大統領で有罪判決を受けたのは全斗煥、盧泰愚、李明博に続いて、今回、朴槿恵が4人目となる

2020/10/30 韓国の李明博元大統領に懲役17年の実刑確定

米下院は1月13日、トランプ大統領の支持者が連邦議会議事堂に乱入した事件を巡り、反乱を扇動したとして大統領を弾劾訴追する決議案を討論した。

2021/1/12 民主党、トランプ大統領弾劾決議案を下院に提出 

民主党幹部のPelosi下院議長は、「アメリカの大統領がこの反乱、私たちの国に対するこの武装反逆を扇動した」、「彼は去らなくてはならない。私たち全員が愛する国にとって、彼は明確で差し迫った危険になっている」と述べた。

共和党議員の多くは、トランプ氏の主張を擁護はしなかった。その代わり、慣例となっている聴聞会が開かれていないなど、進め方を批判した。

共和党のKevin McCarthy下院院内総務は、「大統領には暴徒による議会襲撃に責任がある。あの襲撃を目のあたりにしたら、直ちに暴徒を非難すべきだった」としたが、「これほど短期間で大統領を弾劾するのは間違いだ」と主張した。そして「米国の分断を深める」として弾劾決議には反対した。

トランプ派の議員は、民主党が政治的報復のため、危険を顧みずに国家を分断していると非難した。

採決に入り、232対197の賛成多数で可決した。

共和党からは下院ナンバー3のLiz Cheney下院共和党会議議長を含め、10人が賛成票を投じ 、4名が棄権した。

付記 共和党は5月12日、Liz Cheney下院共和党会議議長の役職を解任した。2022年の中間選挙に向け、トランプ氏の協力が必要と判断した。

賛成 反対 棄権 合計
民主党 222 222
共和党 10 197 4 211
合計  232 197 4 433


トランプ大統領は2回の弾劾訴追を受けた史上初の米大統領となった。

今後、上院で弾劾裁判が開かれることになるが、上院は休会中ですぐに再開の予定はなく、トランプ大統領は1月20日正午に任期を満了する見通し。

上院での弾劾裁判は退任後に行われる。上院の2/3の賛成で有罪となった場合、民主党は上院の過半数の賛成により、トランプ氏から今後公職に就く資格を剝奪することを狙っている。

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トランプ大統領は下院での審議中に、暴力を否定する非常に短い声明を発表した。造反の拡大を食い止める狙いがあったとみられる。

In light of reports of more demonstrations, I urge that there must be NO violence, NO lawbreaking and NO vandalism of any kind.
That is not what I stand for, and it is not what America stands for.
I call on ALL Americans to help ease tensions and calm tempers. Thank You.

トランプ大統領は下院での採決後に White Houseのツイッターでビデオメッセージを発表した。

まず、先週の暴力を批判し、支持者に向けて平静を保つよう呼びかけた。

"No true supporter of mine could ever endorse political violence. No true supporter of mine could ever disrespect law enforcement or our great American flag."

"Now I am asking everyone who has ever believed in our agenda to be thinking of ways to ease tensions, calm tempers and help to promote peace in our country."

新しいデモ計画があることを聞いたと述べ、同日出した声明を繰り返した。

"I urge that there must be NO violence, NO lawbreaking and NO vandalism of any kind. "

最後に、ツイッター等が大統領のアカウントを閉鎖したことを言論の自由への前例のない攻撃であると非難した。

"(It is) unprecedented assault on free speech we have seen in recent days."
"Efforts to censor, cancel and blacklist our fellow citizens are wrong and they are dangerous."
"What is needed now is for us to listen one another, not to silence one another."

弾劾訴追が決議されたことには一切言及しなかった。





共和党 賛成者:

Liz Cheney (Wyoming)、Anthony Gonzalez (Ohio)、Jaime Herrera Beutler (Washington)、John Katko (New York)、Adam Kinzinger (Illinois)、Peter Meijer (Michigan)、Dan Newhouse (Washington) 、Tom Rice (South Carolina)、Fred Upton (Michigan)、David G. Valadao (California)


付記

米共和党上院トップのマコネル院内総務は1月19日の上院本会議で、6日に起きた連邦議会議事堂占拠事件について、「トランプ大統領や他の影響力を持つ人々に扇動された」と発言した。
「暴徒はウソをすり込まれていた」と述べ、大統領選で大規模な不正があったとの根拠のない主張を繰り返したトランプ氏らを批判、「我々は団結し、米国ではたとえ一晩でも怒る暴徒たちが法の支配を拒否することはさせないと明言した」と強調した。

同事件を巡る上院のトランプ氏弾劾裁判に影響を与える可能性がある。

カナダの SaNOtize Research and Development Corp.は1月10日、同社がCOVID-19 対策に開発した一酸化窒素の鼻スプレイ:SaNOtize Nitric Oxide Nasal Sprayの英国での臨床試験が英国の Ashford and St Peter's Hospitals NHS Foundation Trustで始まると発表した。

ウイルスを上気道で殺し、肺に広がるのを防止する。Utah State UniversityのAntiviral Research Instituteのテストで、COVID-19の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を2分以内に99.9%殺すことが認められたという。現在、カナダでPhase 2 の治験を実施中。

原料は一酸化窒素で、光化学スモッグや酸性雨の成因に関連するが、体内でも生成し、血管拡張作用を有する。

SaNOtize Research and Development Corp の共同設立者でCEOのカナダ系イスラエル人 Dr Gilly Regevは、「ウイルスは鼻から入り、拡散する。身体に入る段階でウイルスを殺せば、病気にかからない」と述べている。


2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)による肺の障害に対して、以下の点から一酸化窒素(NO)吸入療法の有効性が認められた。

① 感染細胞内のコロナウイルス増殖抑制
血管拡張による肺換気血流改善とそれによる動脈血酸素化改善
炎症抑制(白血球粘着抑制、血小板凝集抑制、血栓形成の抑制など)

COVID-19のウイルス(SARS-CoV-2)は、SARSのウイルス(SARS-CoV)の姉妹種である。

COVID-19対策としても、一酸化窒素を利用して各地で試験が行われている。

FNNプライムオンライン(2020/4/28)に、マサチューセッツ総合病院で一酸化窒素をコロナ患者に吸入させる臨床試験を行っている麻酔科医の市瀬 史医師のインタビューが載っている。

一酸化窒素は私たちの細胞も出しているガスで、おもに血管を拡張させるものです。
それが最初に注目されたのは、新生児の肺高血圧という肺の血圧が上がってしまう病気で、一酸化窒素を吸入させることで効果が見られた。大人の肺疾患にも一酸化窒素吸入は行われている。

2003年に中国で流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の患者に使用し、一定の効果が認められた
当時のSARSウイルスと、今回の新型コロナウイルスはもちろん違うものだが、かなり似た点もある。

新型コロナウイルス肺炎になると患者の肺の近くの血管は細くなったり血栓ができたりして流れが悪くなって酸素を取り込みにくくなる。そこに一酸化窒素が吸入されると、肺の近くの血管に達し、血管を広げて血栓をできにくくするので血液の流れを良くすることができる。流れが良くなった血管には、肺から十分に酸素を取り込むことができるから息が楽になる。


城西大学薬学部・城西大学薬学研究科の小林 順 教授・村田 勇 助教を中心とした研究グループは、クラッシュ症候群(腎不全やサイトカインストームから起こる多臓器不全による致死的病態)にNO供与体が病態改善の効果と著明な救命効果があることを動物実験などで報告している。

COVID-19の肺障害を介したサイトカインストームに着目し、ECMOへの移行を減らすため、NO吸入療法を提案している。 上記のSARSへのNOガスの有効性の3つのポイントを根拠にしている。

ドイツの救急医療専門雑誌のAnnals of Intensive Careに2020年5月20日付で投稿した。

Nitric oxide inhalation as an interventional rescue therapy for COVID-19-induced acute respiratory distress syndrome


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COVID-19の治療に一酸化窒素が有用との資料は多いが、これまでは、COVID-19の患者の治療である。

今回は鼻から入ったウイルスを一酸化窒素で殺し、予防するというものである。

これが有効であれば素晴らしく、治験の効果が期待される。

発表されたのはウイルスを殺す効果(99.9%)であるが、COVID-19防止の効果が示されるであろうか。

素人の疑問として、

・一酸化窒素の効果がどれだけ続くのか、どんな頻度でスプレイする必要があるのか?

・唾液検査が有効なのは口からのウイルス侵入があるためと思われるが、これはどうやって防ぐのか?




米下院は1月12日夜、民主党が提出した「米憲法修正25条を適用して大統領を解任するようペンス副大統領に要求する決議案」を可決した。 共和党から1名 Adam Kinzinger 議員)が賛成、5名が棄権した。

賛成 反対 棄権 合計
民主党 222 0 0 222
共和党 1 205 5 211
合計    223 205 5 433

下院は2議席が未定
ルイジアナ州 5 区 は決選投票で勝利した議員が12月29日に新型コロナで死去し、空席になった。2021年3月20日に選挙が行われる。
ニューヨーク州22区は小差(現在 0.009%の差)のため裁判になっている。(当局のミスで選挙人登録ができず、無効となった票の扱いなど)

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トランプ大統領とペンス副大統領は1月11日、ホワイトハウスの大統領執務室で会談し、1月20日までの任期を勤めあげることを確認した。

大統領は任期終了前に退任するつもりはなく、副大統領も修正25条を発動させてトランプ氏を免職するつもりはないとした。

大統領は1月12日に記者団に対し、1月6日の抗議集会でに演説した内容について、「不適切なところは一切ない」と断言した。2度目の大統領弾劾について、「政治史上で最大の魔女狩りが続いている。全くばかげている」と切り捨てた。

民主党は副大統領に、修正25条発動決議の可決後 24時間以内に大統領を罷免するよう副大統領に迫っていた。

しかし、副大統領は1月12日の投票の数時間前にペロシ議長宛ての修正25条発動拒否のレターを公表した。残り任期が8日しかなく、意味がないとしている。

"With just eight days left in the President's term, you and the Democratic caucus are demanding that the Cabinet and I invoke the 25th Amendment.
I do not believe that such a course of action is in the best interest of our nation or consistent with our Constitution."

これを受けて、民主党は13日に下院で弾劾決議案の採決を行う。2019年12月の弾劾訴追 に次ぐもので、これまでに弾劾訴追を2回受けた大統領はいない。

共和党内ではトランプ大統領の求心力は低下しており、少なくとも4人の共和党議員が弾劾に賛成票を投じる考えを示した。

既報のとおり、下院で決議しても、バイデン政権が指名する政府高官の承認や新型コロナウイルス対策を優先するため、上院への送付を遅らせる可能性が高い。

(報道によると、Biden次期大統領は共和党のMcConnel上院総務に電話し、弾劾と通常審議を (例えば午前と午後に分け)並行して行う「分離審議(Bifurcatiion)」の可能性について話し合ったという)

2021/1/12 民主党、トランプ大統領弾劾決議案を下院に提出 

新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した中国・武漢市の医師らでつくる研究チームが、拠点病院の患者約1700人の7割以上に退院から半年が経っても後遺症とみられる症状があったとの研究結果を1月8日付英医学誌Lnacet(電子版)に発表した。

6-month consequences of COVID-19 in patients discharged from hospital: a cohort study

武漢市で最も早くから患者を受け入れた「金銀潭病院 (Jin Yin-tan Hospital)」の医師らが参加した研究チームは、2020年1月7日~5月29日に退院した人を対象に、退院日からおよそ半年(中央値は186日)がたった時点(6月16日~9月3日)で診察と身体検査、6分間の歩行テスト(6分間平地を歩いてもらい、肺や心臓の病気が日常生活の労作にどの程度障害を及ぼしているのか調べるための検査)を実施した。

退院した2469人のうち、拒否、接触不能、重度の精神的・身体的症状、死亡等を除く 1733人を調べた。このうち516人には追加で詳細な検査を行った。年齢の中央値は57.0歳で、うち男性は52%。

何らかの症状があった人は76%に上った。

最も多かったのは「倦怠感や筋力低下」(63%)で、「睡眠障害」(26%)、「脱毛」(22%)や「嗅覚異状」(11%)も比較的高い割合を示した。
他に、動悸(9%)、関節痛(9%)、食欲減(8%)、味覚異常(7%)、眩暈(6%)、下痢・吐き気(5%)、胸の痛み(5%)・・・と続く。

不安やうつ症状を訴える人は23%あった。これは女性の方が頻度が高かった。

さらに390人に肺機能の検査をしたところ、入院中に高機能機器による酸素吸入治療を受けた重症患者の56%は肺機能が低下していた。酸素吸入をしなかった人でも肺の機能低下は22%に上ったという。

今回の調査結果は、患者がたとえ新型コロナウイルス感染症から回復したとしても、長期にわたる後遺症に見舞われる可能性があることを示唆している。

トランプ米大統領の支持者たちにより米連邦議会議事堂が襲撃・占拠され、5人が死亡した事件で、野党・民主党は大統領が「反乱を扇動」したとする弾劾条項を含む訴追決議案を作成した。

2021/1/10 米民主党、トランプ大統領の弾劾決議案を準備 

野党民主党は1月11日、大統領が支持勢力を扇動したとして米憲法修正25条を適用して同氏を解任するようペンス副大統領に要求する決議案を下院本会議 に提出した。

憲法修正25条
第4節  副大統領および行政各部の長官の過半数または連邦議会が法律で定める他の機関の長の過半数が、上院の臨時議長および下院議長に対し、大統領がその職務上の権限と義務を遂行することができないという文書による申し立てを送付する時には、副大統領は直ちに大統領代理として、大統領職の権限と義務を遂行するものとする。

決議案はトランプ大統領の行動を批判し、副大統領に大統領代理として大統領職の権限と義務を遂行することを求める

Resolved, That the House of Representatives calls upon Vice President Michael R. Pence--
(1) to immediately use his powers under section 4 of the 25th Amendment to convene and mobilize the principal officers of the executive departments in the Cabinet to declare what is obvious to a horrified Nation: That the President is unable to successfully discharge the duties and powers of his office; and

(2) to transmit to the President pro tempore of the Senate and the Speaker of the House of Representatives notice that he will be immediately assuming the powers and duties of the office as Acting President.

民主党の下院院内総務は全会一致による賛同を求めたが、共和党議員が反対した。このため1月12日に改めて採決し、賛成多数で可決する見通し。

ペロシ下院議長は、決議後24時間以内にペンス副大統領が動かなかった場合、弾劾訴追の手続きを進めると表明した。

ペンス副大統領は25条発動の考えを否定している。ホワイトハウスの弁護士は調査の結果、この条項は重症、麻酔などでの就労不能の場合だとしている。

下院民主党は同日、トランプ大統領が支持者らによる連邦議会議事堂の襲撃・占拠事件を扇動したとして、大統領を罷免するため弾劾訴追決議案(起訴状に相当)を提出した。

提出された弾劾決議案は「反乱の扇動」(Incitement of Insurrection)と題する1条項で、議事堂侵入を焦点とし、大統領が暴動を扇動したと非難しているが、加えて、1月2日にジョージア州の州務長官に電話し、同州での大統領選の結果をひっくり返す票を見つけるよう伝え、脅したことなども挙げている。 (当初原稿から一部修正)

当初の案に加え、憲法修正14条第3節の文言を引用し、トランプは大統領になれないとしている。

Section 3 of 14th Amendment

No person shall be a Senator or Representative in Congress, or elector of President and Vice President, or hold any office, civil or military, under the United States, or under any state, who, having previously taken an oath, as a member of Congress, or as an officer of the United States, or as a member of any state legislature, or as an executive or judicial officer of any state, to support the Constitution of the United States, shall have engaged in insurrection or rebellion against the same, or given aid or comfort to the enemies thereof. But Congress may by a vote of two-thirds of each House, remove such disability.

提出された訴追決議案

Resolution

Impeaching Donald John Trump, President of the United States, for high crimes and misdemeanors.

 Resolved, that Donald John Trump, President of the United States, is impeached for high crimes and misdemeanors and that the following article of impeachment be exhibited to the United States Senate:

Article of impeachment exhibited by the House of Representatives of the United States of America in the name of itself and of the people of the United States of America, against Donald John Trump. President of the United States of America, in maintenance and support of its impeachment against him for high crimes and misdemeanors.

 Article Ⅰ:Incitement of Insurrection

The Constitution provides that the House of Representatives "shall have the sole Power of Impeachment" and that the President "shall be removed from Office on Impeachment for, and Conviction of, Treason, Bribery, or other high Crimes and Misdemeanors". Further, section 3 of the 14th Amendment to the Constitution prohibits any person who has "engaged in insurrection or rebellion against" the United States from "holding any office... under the United States". In his conduct while President of the United States - and in violation of his constitutional oath faithfully to execute the office of President of the United States and, to the best of his ability, preserve, protect, and defend the Constitution of the United States, and in violation of his constitutional duty to take care that the laws be faithfully executed - Donald John Trump engaged in high Crimes and Misdemeanors by inciting violence against the Government of the United States, in that:

On January 6, 2021, pursuant to the Twelfth Amendment of the United States Constitution, the Vice President of the United States, the House of Representatives, and the Senate met at the United States Capitol for a Joint Session of Congress to count the votes of the Electoral College. Shortly before the Joint Session commenced, President Trump repeatedly issued false statements asserting that the Presidential election results were the product of widespread fraud and should not be accepted by the American people or certified by State or Federal officials. Shortly before the Joint Session commenced, President Trump, addressed a crowd at the Ellipse in Washington, DC. There, he reiterated false claims that "we won this election, and we won it by a landslide".
He also willfully made statements that, in context, encouraged - and foreseeably resulted in - lawless actions at the Capitol, such as: "if you don't fight like hell you're not going to have a county anymore". Thus incited by President Trump, members of the crowd he had addressed, in an attempt to, among other objectives, interfere with the Joint Session's solemn constitutional duty to certify the results of the 2020 Presidential election, unlawfully breached and vandalized the Capitol, injured and killed law enforcement personnel, menaced Members of Congress, the Vice President, and Congressional personnel, and engaged in other violent, deadly, destructive, and seditious acts.

President Trump's conduct on January 6, 2021, followed his prior efforts to subvert and obstruct the certification of the results of the 2020 Presidential election. Those prior efforts included a phone call on January 2, 2021, in which President Trump urged Secretary of State of Georgia, Brad Raffensperger, to "find" enough votes to overrun the Georgia presidential election results and threatened Secretary Raffensperger if he failed to do so.

In all of this, President Trump gravely endangered the security of the United States and its institutions of Government. He threatened the integrity of the democratic system, interfered with the peaceful transition of power, and imperiled a coordinate branch of Government. He thereby betrayed his trust as President, to the manifest injury of the people of the United States.

Wherefore, Donald John Trump, by such conduct, has demonstrated that he will remain a threat to national security, democracy, and the Constitution if allowed to remain in office, and has acted in a manner grossly incompatible with self-governance and the rule of law. Donald John Trump thus warrants impeachment and trial, removal from office, and disqualification to hold and enjoy any office of honor, trust, or profit under the United States.

ペロシ下院議長は声明で「米国に対する大統領の脅威は差し迫っており、われわれの対応もまた同様だ」と述べ、政権がトランプ氏解任に動かなければ弾劾へ進む意向を強調した。

弾劾決議案の本会議での採決は早ければ13日に行われ、過半数の賛成でトランプ氏は弾劾訴追される。

但し、下院で可決した場合でも、上院での次期政権の閣僚の指名承認手続きを優先させるため、上院への送付は遅らせる。バイデン次期大統領が就任して100日後以降に開始との案が出ている。

現時点で上院運営の主導権を握る共和党トップのマコネル院内総務はトランプ政権下で裁判を行わない方針を周辺に伝えた。
(ジョージア州での決戦で当選した民主党の2名は、まだ正式に認定されておらず、就任していない。)

トランプ大統領は1月20日に任期切れを迎えるが、議会調査局は公職を離れた後でも弾劾裁判を開くことができるとしている。

上院の弾劾裁判で3分の2の賛成で(退任後の)トランプ氏を有罪とした後、上院は過半数の賛成でトランプ氏に今後公職に就く資格を剝奪する採決を行うことができる。
トランプ氏の2024年の大統領選への再出馬を阻める。

東京都医学総合研究所と国立感染症研究所の研究チームは1月7日、天然痘ワクチンを改良した新型コロナウイルスワクチンをつくり、動物実験で発症予防効果を確認したと発表した。
他のワクチンに比べ、効果が長く持続する可能性があるという。

東京都の補助金による特別研究として実施し、AMED(日本医療研究開発機構)の支援を受けて、ノーベルファーマ㈱とともに早期の実用化を目指したワクチン開発を進めている。

COVID-19は世界中の各国で猛威を振るっている。COVID-19の快復者の約30%ではウイルス排除後においても免疫誘導が不十分であるため、再感染リスクが懸念されている。
一方で、風邪コロナウイルス感染で誘導される免疫は、感染後1、2年という比較的短期間で低下・消失し、周期的に感染が繰り返される。

これらの点から、強力に免疫を誘導し、かつ長期間免疫を維持できる予防ワクチンの開発が望まれる。また、SARS-CoV-2に遺伝子変異が起こり得るため、変異に伴う抗原性変化にも対応し得る幅広い交差反応性を持つワクチンが求められる。


チームは、COVID-19に対する予防ワクチンとして、天然痘ワクチンであるワクシニアウイルス
Vaccinia virus)をさらに弱毒化したDIs株に、SARS-CoV-2遺伝子を導入した組換え生ワクチンを開発した。

参考
Oxford University/ AstraZeneca のワクチンAZD1222 は、チンパンジーに感染する風邪のアデノウイルスが人間の体内で増殖できないように複製能を欠損させた改変ウイルスを作り、そこに、SARS-CoV-2粒子の表面に存在するスパイクタンパクの遺伝子を組み込んだもの。これをヒトに注射すると、人間の体内でSARS-CoV-2のスパイクタンパクが作られ、それに対する免疫反応が惹起され、中和抗体ができる。

2020/5/22 アストラゼネカ、新型コロナウイルスのワクチン



このワクチンではワクシニアウイルスベクターを用いることによって、ワクチン接種後短期間でSARS-CoV-2に対する中和抗体及び細胞性免疫を強力に誘導できた。

また、付与された免疫が長期にわたって持続し、かつ抗原変異にも対応可能な幅広い交差反応性を持つ免疫の誘導が期待できる。

さらに、温度安定性が高く保存及び輸送時の温度が冷蔵あるいは室温でも良いといった利点がある。(Pfizerのワクチンは -70℃ 前後で保存する必要がある。)

この rDIs-Sワクチンを(ヒトACE2発現トランスジェニック)マウスへ接種してSARS-CoV-2感染防御試験を行った。

3週間隔で2回接種し、その1週間後にSARS-CoV-2による攻撃感染実験を行ったところ、比較対象の非組換えDIs株接種マウスでは、急激な体重変化に伴い死亡したが、本ワクチン接種個体では、ほとんど体重減少を認めず、100%の生存率を示した。

カニクイザルに接種した場合では、ワクチン接種群では肺内のSARS-CoV-2の増殖が1/50,000以下まで減少、強力に抑制され、肺炎の発症もほとんど見られず、ワクチンによる重篤な副反応も認められなかった。

年内にも、ノーベルファーマが治験を開始する。

日亜化学工業(徳島県阿南市)は2020年12月、新型コロナウイルスの不活化効果を持った深紫外LEDを開発したと発表した。

波長280ナノメートル(nm)、光出力70ミリワット(mW)の深紫外LEDである。

深紫外光波長が200~350nmの光を指す。

最も不活化効果が高いのは260nmの波長とされているが、波長が短いと光出力が低下し、深紫外LEDの寿命が短くなる
(紫外線LEDは、波長が短くなると出力、寿命等の性能が低下し、電力変換効率が極端に低くなる特性を持つ。)

寿命を長くするため、波長を280nmとすると、殺菌効果は約60%に落ちてしまう。

そこで、波長を280nmとし、光出力を70mWまで高めると、260nmの波長と同程度の不活化効果があることを確認した。長寿命化にもつながる。

波長 光出力 殺菌効果 推定寿命
理想品 260nm 100%
日亜品 265nm 35mW 約95% 約2千時間
280nm 35mW 約60% 約2万時間
今回開発品 280nm 70mW 100% 約2万時間


この深紫外LEDを12個使った「ハンディUV照射機」を試作し、徳島大で実験すると、ウイルスから5センチの位置から30秒間照射したところ、99.99%不活化すると確認した。
(経済産業省は、除去効果について99.99%以上の感染価減少率を目安として有効性を判断している。)


感染症防止対策として推奨されている手洗い等の殺菌効果は、
・流水で手洗いを行った場合は、15秒で99%程度、
・一般的な消毒用アルコール(エタノール濃度77~81%)を用いた場合は、30秒で99.99%
とされているが、時間や手間を要する。

深紫外LEDを用いることにより、短時間で手間をかけることなく高い殺菌効果が期待できる。

既に量産体制を整え、空気清浄機やエアコンなどへの応用が期待できるとしている。

トランプ米大統領の支持者たちによる議会襲撃を受けて、野党・民主党は大統領が「反乱を扇動」したとする弾劾条項を含む訴追決議案を11日にも連邦議会の下院に提出する。

民主党ペロシ下院議長は、ペンス副大統領に憲法修正25条に基づく解任を求めたが、副大統領は応じていない。

ペロシ下院議長は1月8日、トランプ大統領が直ちに辞任しないなら弾劾手続きを進めると述べた。

民主党議員の半数をはるかに超える150人の下院民主党議員が弾劾訴追決議案に署名した。

下院が弾劾の罪状について大陪審の役割を果たし、調査・起訴する。
弾劾訴追決議案を可決し、上院に送付(=起訴)する。

2019年末の 「ウクライナ疑惑」に関しての弾劾に続く2度目の弾劾となる。

この弾劾裁判では、陪審員を務める上院議員による評決を行い、与党・共和党の多数票で、無罪判決が下された。

下院が短期で弾劾決議しても、上院では出席議員の3分の2以上の賛成が必要で、ハードルは高い。

民主党は、弾劾決議が成立しても、当面、上院に決議案を送付しない可能性があるとしている。

弾劾裁判は全ての上院議員が出席するため裁判中は委員会で指名公聴会を開いたり、法案を審議したりできなくなる。
送付を遅らせる案は、バイデン政権が指名する政府高官の承認や新型コロナウイルス対策を優先する狙いがある。

共和党トップのマコネル上院院内総務もトランプ政権下で裁判を行わない方針を周辺に伝達しており、裁判はバイデン政権発足後に始まるのは確実な情勢となっている。 (1月5日のジョージア州上院議員選挙で当選した民主党の2人は、まだ就任の手続きが終わっておらず、上院は共和党が多数である。)

1月20日にトランプ氏が退任した後も弾劾裁判が続く場合、罷免ではなく「有罪」だとの判断を議会として示すことで、大統領選への再出馬を阻止することが目的になる。上院は過半数の賛成で、弾劾裁判で有罪となった人物から公職に就く資格を剝奪できる。


弾劾決議案は下記の通りで、議事堂侵入を焦点とし、大統領が暴動を扇動したと非難しているが、加えて、1月2日にジョージア州の州務長官に電話し、同州での大統領選の結果をひっくり返す票を見つけるよう伝え、脅したことなども挙げている。 (その後、一部修正した。1/12記事参照)

Resolution

Impeaching Donald John Trump, President of the United States, for high crimes and misdemeanors.

 Resolved, that Donald John Trump, President of the United States, is impeached for high crimes and misdemeanors and that the following article of impeachment be exhibited to the United States Senate:

Article of impeachment exhibited by the House of Representatives of the United States of America in the name of itself and of the people of the United States of America, against Donald John Trump. President of the United States of America, in maintenance and support of its impeachment against him for high crimes and misdemeanors.

 Article Ⅰ:Incitement of Insurrection

 The Constitution provides that the House of Representatives "shall have the sole Power of Impeachment" and that the President "shall be removed from Office on Impeachment for, and Conviction of, Treason, Bribery, or other high Crimes and Misdemeanors". In his conduct of the office of President of the United States - and in violation of his constitutional oath faithfully to execute the office of President of the United States and, to he best of his ability, preserve, protect, and defend the Constitution of the United States, and in violation of his constitutional duty to take care that the laws be faithfully executed - Donald John Trump engaged in high Crimes and Misdemeanors by willfully inciting violence against the Government of the United States, in that:

 On January 6, 2021, pursuant to the Twelfth Amendment of the United States Constitution, the Vice President of the United States, the House of Representatives, and the Senate met at the United States Capitol for a Joint Session of Congress to count the votes of the Electoral College. Shortly before the Joint Session commenced, President Trump addressed a crowd of his political supporters nearby. There, he reiterated false claims the "we won this election, and we won it by a landslide".
He also willfully made statements that encouraged - and foreseeably resulted in - imminent lawless actions at the Capitol. Incited by President trump, a mob unlawfully breached the Capitol, injured law enforcement personnel, menaced Members of Congress and the Vice President, interfered with the Joint Session's solemn constitutional duty to certify the election results, and engaged in violent, deadly, destructive, and seditions acts.

 President Trump's conduct on January 6, 2021 was consistent with his prior efforts to subvert and obstruct the certification of the results of the 2020 presidential election. Those prior efforts include, but are not limited to, a phone call on January 2, 2021, in which President Trump urged Georgia Secretary of State Brad Raffensperger to "find" enough votes to overrun the Georgia presidential election results and threatened Mr. Raffensperger if he failed to do so.

 In all of this, President Trump gravely endangered the security of the United States and its institutions of government. He threatened the integrity of the democratic system, interfered with the peaceful transition of power, and imperiled a coordinate branch of government. He thereby betrayed his trust as President, to the manifest injury of the people of the United States.

 Wherefore President Trump, by such conduct, has demonstrated that he will remain a threat to national security, democracy, and the Constitution if allowed to remain in office, and has acted in a manner grossly incompatible with self-governance and the rule of law. President Trump thus warrants impeachment and trial, removal from office, and disqualification to hold and enjoy any office of honor, trust, or profit under the United States.

トランプ米大統領は1月7日、凍結が解除されたツイッターに動画を投稿し「新政権が20日に発足する。今は円滑で秩序だった政権移行に集中している」と述べた。 初めて退任を認めた。

"Now that Congress has certified the results, a new administration will be inaugurated on January 20th. My focus now turns to ensuring a smooth, orderly and seamless transition of power."

"To all of my wonderful supporters, I know you're disappointed, but I also want you to know that our incredible journey is only just beginning."


大統領は1月8日午前、ツイッターへの投稿で「質問してきたすべての人たちへ。私は1月20日の大統領就任式に出席しない」と表明した。

まず、大統領を支持する人々を賛美し、その後に就任式欠席を表明した。

"The 75,000,000 great American Patriots who voted for me, AMERICA FIRST, and MAKE AMERICA GREAT AGAIN, will have a GIANT VOICE long into the future.
They will not be disrespected or treated unfairly in any way, shape or form!!!"

"To all of those who have asked, I will not be going to the Inauguration on January 20th."


米ツイッターは1月8日、トランプ米大統領のアカウントを永久停止したと発表した。暴動後の同氏の上記のツイートを精査した結果、さらなる暴力行為を扇動する危険性があると判断したという。

直接的に暴力行為を扇動する発言はないが、「6日に起こった暴力行為を再現するよう、人々を鼓舞する可能性が高い」と説明した。

現在、トランプのツイッターをクリックすると、下記が表示されるだけである。過去の記事もすべて抹消されている。

アカウントは凍結されています
Twitterでは、Twitterルールに違反しているアカウントを凍結しています


付記

上記のトランプのアカウントは https://twitter.com/realdonaldtrump で、個人としてのアカウント(Real Donald Trump) である。

大統領としては別の https://twitter.com/potus がある。(POTUSはPresident of the United States の略。)

前者が永久停止となった直後の1月8日夜、トランプ大統領は後者に下記の反論を載せた。

"As I have been saying for a long time, Twitter has gone further and further in banning free speech, and tonight, Twitter employees have coordinated with the Democrats and Radical Left in removing my account from their platform, to silence me -- and YOU, the 75,000,000 great patriots who voted for me."

ツイッターの従業員たちは民主党員や急進左翼と連携し、私や私に投票した7500万人を黙らせるため、私のアカウントを削除した。

Twitter may be a private company, but without the government's gift of Section 230 they would not exist for long. I predicted this would happen. We have been negotiating with various other sites, and will have a big announcement soon, while we also look at the possibilities of building out our own platform in the near future. We will not be SILENCED! Twitter is not about FREE SPEECH. They are all about promoting a Radical Left platform where some of the most vicious people in the world are allowed to speak freely. STAY TUNED!

ツイッター社は永久停止処分を受けた者が異なるアカウントから迂回して投稿するのを禁じるルールに基づき、抹消した。現在、同アカウントでのTrump名義の投稿はすべて消され、White House名義の投稿のみ載っている。

英政府は1月7日、関節炎治療薬の「トシリズマブ」と「サリルマブ」が新型コロナウイルス感染症の治療にも有効だと発表した。

8日から、英国全土の病院の集中治療室に入院中のコロナ患者を対象に投与する。コロナの治療薬としては抗炎症薬「デキサメタゾン」などに続くものとなる。

ーーー

抗炎症薬「デキサメタゾン」

英オックスフォード大は2020年6月16日、抗炎症作用のある一般的なステロイド剤デキサメタゾンが、新型コロナウイルスの重症患者の死亡率を減らすのに効果的だとする臨床試験の結果を公表した。

これを受けて英国の保健・社会福祉相は同日、新型ウイルス感染症の標準治療に午後からデキサメタゾンを含めると表明した。

日本の厚生労働省は、7月に新型コロナウイルス感染症の診療ガイドラインに「デキサメタゾン」を新たに掲載した。
効果が検証され国内で使用が認められた治療薬は、5月に特例承認された「レムデシビル」に続いて2例目。

既に承認、保険適用されていて、肺の疾患や重症の感染症も投与の対象となっている。低価格で手に入りやすいのが利点。

ーーー

英政府が支援した臨床研究では、集中治療室の患者に対して抗炎症薬「デキサメタゾン」の投与など通常の治療をした場合の死亡率は35.8%だったのに対し、搬送から24時間以内にトシリズマブなども追加で使った場合は27.3%まで低下した。

この結果、2つの薬を追加で投与した場合に死亡リスクが24%下がると結論づけられ、患者が集中治療室に入る期間も7~10日間短縮できたという。
英国では今後、集中治療室に運ばれた患者に対して使用する。

英政府はこの2剤を輸出制限リストに掲載した。英国民向けの供給を守るため、英国民用の薬を購入し、他国で高値で販売することを禁じる。

2剤の概要は次の通り。

「トシリズマブ(Tocilizumab)」(中外製薬の製品名 アクテムラ)

トシリズマブは大阪大学と中外製薬が共同開発した日本発の治療薬で、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体 。関節リウマチ, 若年性特発性関節炎, 成人スチル病, 高安動脈炎・巨細胞性動脈炎, キャッスルマン病の治療に使われている。

日本では2020年5月から、新型コロナで肺炎が重症化した入院患者を対象に治験が実施されている。海外ではコロナ治療薬のレムデシビルと併用する治験が行われている。
中外製薬はこれらの治験結果を踏まえ、2021年中に日本で新型コロナ用として承認申請することを目指している。

欧州では中外製薬の親会社であるスイスのRocheが製造・販売している。英政府はRocheと連携する。

「サリルマブ(Sarilumab) 」(Sanofi の製品名 ケブザラ)

ヒト型モノクローナル抗体で、アクテムラに次ぐIL-6阻害薬。炎症を引き起こすIL-6の活性を抑制することで関節の炎症を改善し、全身症状(関節の破壊や変形から生じる機能障害、疲労、骨粗鬆症など)を緩和することが期待される。

Sanofiと米国のRegeneronが共同で開発を行い、米国、カナダ、欧州2017年に承認され た。日本ではサノフ2017927日 に既存治療で効果不十分な関節リウマチ」の効能・効果において製造販売承認を取得した

サノフィは2017年12月に旭化成ファーマと日本でのライセンス契約を締結した。サノフィおよびRegeneron社が製造を担い、旭化成ファーマが流通・販売を 担う。

これらの薬の有効性は下記の研究で明らかになった。

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の平野俊夫理事長は2020年4月15日、北海道大学遺伝子病制御研究所の村上正晃教授と共同で、新型コロナウイルスに関する論文を発表した。

COVID-19で肺炎を起こしても軽い症状で治る場合もあるが、重篤化する人もいる。特に重症化したCOVID-19に発症する急性呼吸器不全は致死率が高い。この原因は免疫系の過剰な生体防御反応のサイトカインストームが原因であることを見付けた。

感染後期に見られる致死的な急性呼吸器不全症候群の治療には、すでに遺伝子導入T細胞(CAR-T)療法におけるサイトカイン放出症候群の治療に使用されており、かつIL-6アンプを阻害できる抗IL-6受容体抗体も有望である。

有望視されるのが、中外製薬のIL6 阻害薬「アクテムラ」(ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体)とされた。

2020/5/6 COVID-19の致死的急性呼吸器不全症候群の原因はサイトカインストーム

英政府は香港国家安全維持法への抗議として、1月31日から香港市民向けの英国市民権取得につながる特別ビザ(査証)の申請受付を開始する。

中国全人代は2020年5月28日、香港での反政府的な動きが「国家安全」に直接的に関わるとし 、「香港国家安全維持法」を香港に導入する方針を採択、習近平国家主席は6月30日、「香港国家安全維持法」に署名し、香港政府は同日夜施行した。

英政府は即座に対抗措置として、香港を脱出したい市民で「英国海外市民旅券」(BNO旅券)の保有者を、市民権付与も含め、受け入れる方針を正式に表明した。

英国は1997年の香港返還までの間にBNO旅券を300万人以上の香港市民に発給した。1997年の返還前の香港に居住、申請した人は、現在でもBNO旅券を保有・更新することができる。
但し、BNO旅券を持つ香港人から生まれた子供は1997年6月30日以降に生まれた場合は取得できない。

これに対し中国外務省は、香港のBNO旅券保持者は全員が「中国国民」であり、イギリスの動きは「国際法違反」にあたると反発した。

2020/6/5 英首相、香港住民に英国市民権授与を示唆


英政府は特別ビザの対象を2020年7月22日に発表した。

特別ビザの対象になるのは1997年の香港返還前に生まれた香港市民を対象にした「英国海外市民旅券」(BNO=British National Overseas旅券)の保持者とその扶養親族ら。

特別ビザで英国での就学や就職が可能で、5年間滞在すれば永住権が得られ、その1年後には英国の市民権も取得できる。

但し、特別ビザによる長期滞在を希望する場合、英政府による補助金支給の対象にはならず、生活に必要な経済力を確保する必要がある。

英語を学び習得する意欲があることを示さなくてはならない。


1月31日から特別ビザの申請を受け付ける。

英政府はBNO旅券の保持者と扶養家族合わせて最初の1年で約12万~15万人がビザを申請すると予測、5年後には合計で約26万~32万人に達するとみている。

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韓国で旧日本軍の元従軍慰安婦の女性らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は1月8日、請求を認め日本政府に賠償支払いを命じる判決を出した。

原告は、ソウル郊外の元慰安婦支援施設「ナヌムの家」で暮らす李玉善さん(93)ら12人。

日本政府が「日帝強占期」(1910年から1945年までの35年間)に自分たちをだましたり強制的に慰安婦にしたとし、「元慰安婦に対する反人道的な犯罪行為は主権免除の例外とすべきだ」と主張し、2013年8月 に日本政府に損害賠償を求める調停を地裁に申請した。

日本政府が出頭しなかったため調停不成立となり、2016年1月に正式訴訟に移行した。

日本政府は訴状の受け取りを拒否したが、地裁は20年1月、書類を受け取ったとみなす「公示送達」の手続きを取った。

日本政府は国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則から、 調停にも審理にも、一度も出席していない。

主権免除には、
①絶対免除主義(国家の活動はすべて裁判権から除外される)と
②制限免除主義(国家の活動を「権力行為」と「職務行為」に分け、「権力行為」のみを免除の適用範囲とする)
の2つの説がある。

日本では1928年12月に大審院が絶対免除主義を取ったが、最高裁が2006年7月に制限免除主義を採ることを明言、大審院判例を変更した。
その後、2010年の「外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律」施行、同年の国連裁判権免除条約批准で、制限免除主義を採用している。

ーーー

第二次大戦時にナチス・ドイツに強制労働させられたイタリア人がドイツ政府に損害賠償を求めた件では、イタリアの最高裁は2004年に国際人道法違反は主権免除の対象外としたが、国際司法裁は2012年に主権免除を認めた。

付記

朝日新聞は1月9日、日本政府が国際司法裁判所(ICJ)に提訴する案を有力な選択肢として検討していると報じた。

しかし、韓国は相手国がICJに訴訟を提起すれば無条件に受け入れるICJの「強制(義務的)管轄権」を受け入れておらず、日本が提訴するとしても韓国政府がこれに応じない場合、訴訟自体が成立しない。
(日本は1958年に義務的管轄権を受諾した。)


調停申請時、原告は12人だったが、多くが他界し、生存者は5人となっている。

ソウル中央地裁は、原告1人あたり1億ウォン(約948万円)の支払いを命じる原告勝訴の判決を出した。

「主権免除」については、「この事件の行為は合法的と見なしがたく、計画的、組織的に行われた反人道的行為で、国際強行規範 国際法上いかなる逸脱も許されない規範)を違反した。原告は精神的、肉体的な苦痛に対し、被告から国際的な謝罪を受けていない」とし「特別な制限がない限り『国家免除』は適用されない」とした。

日本は1965年の日韓請求権協定と2015年の日韓合意で解決済みとの立場だが、判決は「 請求権協定と慰安婦合意をみると、この事件の損害賠償請求権が含まれていると見るのは難しく、請求権は消滅したと見ることはできない」とした。

そのうえで、「各種資料と弁論の趣旨を総合すると、被告の不法行為が認められ、原告は想像しがたい深刻な精神的、肉体的苦痛に苦しんだとみられる」とし「被告から国際的な謝罪を受けられず、慰謝料は原告が請求した1億ウォン以上と見るのが妥当」とした。

地裁は仮執行を認めており、日本政府が控訴をするかしないかの判断に関わらず、韓国内にある日本政府資産の差し押さえ手続きを取ることが可能になる。

付記

実際には日本政府資産の差し押さえは難しい。

在韓日本大使館の建物と敷地、大使館の車両などは、ウィーン条約第22条第3号が「公館、公館内にある用具類その他の財産及び使節団の輸送手段は捜索、徴発、差押え又は強制執行を免除される」と規定しており、強制執行が不可能である。

日本文化院も外務省所属の政府機関であり、各国派遣大使館(または総領事館)の一部としてウィーン条約の特権が保証される。

日本国内の日本政府資産に対する差し押さえも、韓国の裁判所が日本司法当局を相手に「執行承認」を要請しなければならず、日本の裁判所が執行を許諾する可能性はない。

元徴用工への賠償を日本企業に命じた2018年の韓国大法院(最高裁)判決に続き、日本政府の賠償責任を認めた韓国の司法判断 となる。

韓国大法院は2018年11月29日、三菱重工業に対し、第2次世界大戦中に同社の軍需工場で労働を強制された韓国人の元徴用工らに対する賠償支払いを命じる判決を下した。

大法院は、損害賠償訴訟2件について、三菱重工業の上告を棄却し、2件の訴訟の原告に対し、1人あたり最大で1億5000万ウォン(約1500万円)の支払いを命じた。


韓国で元慰安婦らが日本政府を相手に損害賠償を求めた訴訟は2件あり、1月13日には「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」が支援する元慰安婦ら20人による訴訟の判決が言い渡される。

付記 判決は延期された。裁判所は追加の審理の必要性があるとみて弁論を再開、3月24日を弁論期日に指定した。

ドイツ与党のキリスト教民主同盟(CDU)は1月15~16日にオンラインで党大会を開き、16日に党首選挙 を行なう。地域の代表者1001人が投票する。

ドイツは連邦議会選挙を遅くとも2021年秋には実施するが、CDUの新党首は総選挙の結果、次期首相に就任する公算が大きいとみられている。

CDUは南部バイエルン州を地盤とする姉妹政党・キリスト教社会同盟(CSU)と統一会派を組んでいるが、「CDU-CSU」の支持率は現在1位を維持しているおり、この勢いを保てば次期首相に選出される可能性が高い。(但し、前回選挙では統一会派は1位ではあるが過半は取れず、 ドイツ社会民主党:SPDとの連立でようやくメルケル首相が再選された。)

しかし、高支持率の背景にはメルケル首相個人の人気もあるとみられ、CSU党首は「メルケル氏によって得ているボーナスは消える」と警鐘を鳴らしてい る。

ーーー

メルケル首相は2018年10月末に、自らが党首のCDUが独ヘッセン州議会選でも敗北、連敗した責任をとり、党首を退任する考えを表明した。
2021年の任期切れまでは首相にとどまり、その後 、政界を引退する意向を示した。

CDUは2018年12月7日、メルケル首相の後任の次期党首を選ぶ選挙を行い、決選投票の結果、党幹事長のAnnegret Kramp-Karrenbauer 女史を選出した。

しかし、新党首は2020年2月10日、次期首相候補となることを断念し、党首も辞任する意向を固めた。

党首就任から1年あまりが経過し、政治的な失言や選挙での相次ぐ敗北で求心力を大きく失っていた。
就任以降、指導力を発揮できず、直前には旧東ドイツのテューリンゲン州支部が党中央部の指示を無視して極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」と連携し、同氏に屈辱を与えた。

CDUは2020年2月24日、新しい党首を決める臨時党大会を4月25日に開くと決めたが、新型コロナウイルスへの感染 の拡大で、臨時党大会の開催を延期した。
感染が収まり次第、開催するとしたが、その後もCOVID-19は拡大を続けて、2020年12月の党大会も中止し、新党首選出を延期した。

2020/10/31 ドイツ与党CDU、新型コロナで新党首選出を延期、メルケル後継は誰? 

CDU指導部は2020年12月14日、2021年秋までの連邦議会選挙を控える中、感染が収まる見込みが立たないため、2021年1月15~16日のバーチャル(オンライン)での党大会の開催に合意した。

メルケル首相は1月5日、各州首相の同意を得て、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための規制を再び強化すると発表した。感染が深刻な地域の住民は居住地から15キロまでに移動が制限される。レストランや商店、学校の閉鎖は少なくとも1月末まで続ける。英国で感染力の高い変異種が広がっており、メルケル首相は「我々はとりわけ慎重でなければならない」と語った。

ーーー

現在、次の3人が候補に挙がっているが、いずれも決め手に欠け、混戦になると見られている。

候補(年齢) 2020/12調査*
Norbert Roettgen (55)  元環境相  31.7% 外交政策に精通
「脱原発」を決めたドイツ政府のエネルギー政策を環境相として推進。
女性登用に積極的で若い世代への浸透も図る。
ただ、地元の州議会選挙で惨敗した責任を問われ、2012年に環境相を更迭された経緯もある。
Friedrich
Merz (65)
元党下院議員団長  28.8% 「非主流派」
移民に厳しい姿勢を示し、党内保守層の支持を得ている。  
2009年にメルケル氏との路線対立に敗れて政界を離れた後は公職に就いておらず、コロナ対策では存在感を発揮していない。
Armin
Laschet (59) 
ドイツ最大人口州のNorth Rhine-Westphalia州首相 11.8% 寛容な難民政策や同性婚容認、脱原発といった比較的リベラルな政策を進めてきたメルケル首相の路線を踏襲するとみられる。
同州内で発生したコロナ集団感染への初動対応が遅れ、州首相としての力量に疑問符が付き、支持が低迷。


 *シュピーゲル誌が2020年12月中旬に実施した「CDU党首に最もふさわしい人物」を問う調査

1月6日午後8時、中断されていた上下両院それぞれでのアリゾナ州の選挙結果への異議について討論が再開された。

議事堂に侵入したトランプ支持者が共和党議員に選挙結果への反対に加わるよう圧力をかけようとしたのであれば、全くの逆効果となった。

最初に異議がでたアリゾナ州についての上院での討論で、当初異議に賛成するとしていた多くの共和党議員が、暴力に嫌悪感を示し、最早賛成しないと述べた。

上院では6対93の圧倒的大差で選挙結果を受け入れた。

下院ではアリゾナ選出の共和党議員が選挙結果を受け入れるよう同僚に求めた。下院は121対303で選挙結果を受け入れた。

反対を認めるかどうかは単純過半数で決める。反対を認める場合は両院の一致が必要。

ーーー

院司法委員会の18人の民主党議員がペンス副大統領に書簡を送り、憲法修正25条でトランプ大統領を排除することを求めた。大統領が議事堂での暴力を引き起こしたとしている。

憲法修正25条
第4節
 副大統領および行政各部の長官の過半数または連邦議会が法律で定める他の機関の長の過半数が、上院の臨時議長および下院議長に対し、大統領がその職務上の権限と義務を遂行することができないという文書による申し立てを送付する時には、副大統領は直ちに大統領代理として、大統領職の権限と義務を遂行するものとする。

Washington DCの警察当局は、4名の死亡を発表した。女性1名(サンディエゴ在住の元米空軍の退役軍人で、 大統領の熱狂的支持者)が警察に撃たれて死亡したが、他に女性1名、男性2名が死亡した。詳細は明らかにせず。
暴動と外出禁止令違反で52名が逮捕された。うち26名が議事堂構内で逮捕された。
警官14名が負傷した。 その後、警官1名が死亡、死亡者は計5名となった。

メラニア米大統領夫人の首席補佐官で大統領報道官も務めたStephanie Grishamが辞任を表明した。議会乱入事件に反発したとみられる。
Robert O'Brien大統領補佐官(国家安全保障担当)も辞任を検討している。Elaine Lan Chao 運輸長官も辞任の検討に入った。

Matt Pottinger大統領副補佐官(国家安全保障担当)は辞任した。

ーーー

この後、上下両院合同会議が再開された。アルファベット順に進んだ。

Arizona、Arkansas、California、・・・・・ Florida、Georgia、・・・・・ Pennsylvania

ジョージア州について、下院共和党が反対を表明したが、上院共和党が今回の事件を受け、反対を引き下げたため、討論・投票がなくなった。
正式の反対は書面によるが、下院議員と上院議員のサインが必要である。

ミシガン州では下院議員が反対を書面で出したが、上院議員のサインがなく、ペンス副大統領に却下された。

ネバダ州では、下院議員が反対を表明したが、上院議員がこれに加わらず、ペンス副大統領が書面による反対でないとして却下した。

ペンシルべニア州については、上院議員1名、下院議員80名が書面にサインして提出し、異議が受け入れられた。

合同会議はここでいったん中断し、上下両院それぞれが異議について討論に入った。

上院では議論を行なわず、直ちに投票に入り、92 対 7 で否決された。(1月7日午前1時)

反対を認める場合は両院の一致が必要なため、これで決着がついたが、下院は2時間の制限一杯議論し、投票に入った。
1月7日午前3時過ぎ、下院も
282-138で否決した。

この時点で共和党Jake LaTurner下院議員がCovid-19の陽性と分かったと発表した。4時間前のアリゾナ州の投票には加わっていた。今後は出席しない。

議員はまた、合同会議に戻った。残り12州。

1月7日午前3時半過ぎ、 7州目のバーモント州で反対がなく、これでこれまでのバイデン候補の獲得選挙人数が過半数の270を超え、バイデン候補の勝利が確定した。

ペンス副大統領は、異議のないまま、次々と進めた。最後の州のワイオミングで下院議員が異議を表明したが、これに加わる筈の上院議員が取り止めた。ペンス副大統領が「異議は却下」と述べ、終了した。

ペンス副大統領は、選挙人538のうち、バイデン氏が306、トランプ大統領が232との結果を読み上げた。

ーーー

こんな暴動をあおったトランプ大統領に、まだ忠誠を誓い、正当な選挙の結果を否定する共和党議員(特に下院)がこんなに多いのは驚きである。

米連邦議会は1月6日、上下両院合同会議を開いた。大統領選の結果を最終確定し、バイデン次期大統領を正式に選出する。

この議場にトランプ支持者が乱入し、大混乱となった。

ーーー

連邦議会集計は以下のように行なわれる。

上下両院合同会議は、下院議場で午後1時から開催される。上院議長 (副大統領)が会議を主宰し、自ら選挙人から送付された投票証明書を開封する。
開封された投票証明書は、上院議員2名、下院議員2名からなる投票計算役に渡され、読み上げられた後、集計される。

集計結果は、上院
議長から発表される。
選挙人総数の過半数の投票を獲得した大統領候補が大統領
に、選挙人総数の過半数の投票を獲得した副大統領候補が副大統領になる。

538人の選挙人から、270票以上の選挙人投票を獲得する必要がある。
この条件を満たした大統領候補、副大統領候補が当選となり、集計結果の発表が当選の宣言とみなされる。

上院、下院議員は、投票証明書に異議がある場合、「書面で」反対することができる。
その場合、上院、下院はそれぞれ、2時間以内に、この反対を認めるかどうかを単純過半数で決める。反対を認める場合、両院の一致が必要。

2017年にTrumpが大統領になった際、民主党議員が反対したが、書面での反対はなく、当時のBiden副大統領が"It's over"と宣言した。

トランプ大統領は共和党議員にこれによる逆転を狙った。

2020/12/27 トランプの大統領選 最後の無駄な抵抗 

ーーー

トランプ大統領は1月5日、上下両院合同会議の 議長を務めるペンス副大統領に対し、バイデン次期大統領の勝利を受け入れないよう威圧した。ツイッターに「副大統領は不正に選ばれた選挙人を拒否する権利がある」と投稿した。

If Vice President @Mike Pence comes through for us, we will win the Presidency.
Many States want to decertify the mistake they made in certifying incorrect & even fraudulent numbers in a process NOT approved by their State Legislatures (which it must be).
Mike can send it back!

States want to correct their votes, which they now know were based on irregularities and fraud, plus corrupt process never received legislative approval.
All Mike Pence has to do is send them back to the States, AND WE WIN.
Do it Mike, this is a time for extreme courage!

ペンス副大統領はトランプ大統領への忠誠を取るか、憲法上の義務を尊重するかで厳しい立場に追い込まれた。
(大統領に背けば次の選挙が危ないし、大統領に従えば、大統領の不当な要求を認めたとして世間の批判を受け、これも次の選挙に影響する。)

最終的に、副大統領は上下両院合同会議を前に、「熟慮の末に判断した。どの選挙人投票を集計すべきで、どれを集計すべきでないかを決める一方的な権限を私が主張することは、憲法を支持し守るという私の宣誓によって制約される」との書簡を議会に送った。

大統領は副大統領を批判した。

Mike Pence didn't have the courage to do what should have been done to protect our Country and our Constitution, giving States a chance to certify a corrected set of facts, not the fraudulent or inaccurate ones which they were asked to previously certify. USA demands the truth!
ツイッターはこれに「この主張には根拠がない。暴力のリスクがあるので、リツイートするな」という警告文をつけた。
This claim of election fraud is disputed, and this Tweet can't be replied to, Retweeted, or liked due to a risk of violence.



合同会議に先立ち、トランプ大統領はホワイトハウス近くで選挙結果に反対する大規模集会を開催し「敗北を認めない」と重ねて訴えた。

同氏はさらに「ペンシルベニア通りを歩き、この国を取り戻すのに必要な誇りと大胆さを(連邦議会議員に)与えよう」と、支持者に対して議会に向かうよう呼びかけた。

合同会議は午後1時から始まった。上院議長のペンス副大統領が議事進行役を務め、アルファベット順に州ごとの選挙結果を確定する。

Alabama、Alaska、Arizona、Arkansas、California、・・・・・

バイデン氏が勝利したArizona州の結果に共和党から異議申し立てがあり、合同会議はいったん中断。上下両院それぞれが異議について討論に入ったさなかに、 トランプ支持者による侵入事件がおきた。

議事堂内では、トランプ氏の支持者旗を掲げて行進し、上院本会議場を占拠した。
議事堂内で白人女性が法執行機関に肩を撃たれ、死亡した。さらなる負傷者も出ている。

催涙ガスが使用され、議員らは警察からガスマスクを着用するよう指示された。

警察当局は不審物がある可能性があるとして、下院の建物からの退避を呼びかけ、ペンス副大統領や上下両院議員らは避難した。

支持者に議会に向かうよう、けしかけた大統領は、議事堂に押し寄せた人たちに平和的に行動するよう求めた。

Please support our Capitol Police and Law Enforcement. They are truly on the side of our Country.
Stay peaceful!

I am asking for everyone at the U.S. Capitol to remain peaceful.
No violence! Remember, WE are the Party of Law & Order - respect the Law and our great men and women in Blue. Thank you!

これに続くツイッターは「このツイートはTwitter ルールに違反したため表示できません」として消された。 報道では、 "We love you, you're very special" と騒乱参加者への謝意とも受け取れる内容とのこと。


ワシントンD.C.の市長は、同日午後6時から翌7日午前6時までの外出禁止令を発令。ホワイトハウスと国防総省は事態の収拾に向け、ワシントンと周辺州に州兵を出動させると発表した。

報道では、州兵出動の要請に大統領は当初抵抗した。最終的にペンス副大統領が承認した。

与党共和党の重鎮であるロムニー上院議員は声明で、「今日起こったことは、アメリカ大統領によって引き起こされた暴動だった」と大統領を厳しく批判した。

米国製造業者協会 声明を発表した。

退任する大統領が権力を維持しようとして暴力を煽り立てている。ペンス副大統領は民主主義の維持のため議会と協力し、憲法修正25条の発動を真剣に検討すべきだ。

憲法修正25条
第4節
 副大統領および行政各部の長官の過半数または連邦議会が法律で定める他の機関の長の過半数が、上院の臨時議長および下院議長に対し、大統領がその職務上の権限と義務を遂行することができないという文書による申し立てを送付する時には、副大統領は直ちに大統領代理として、大統領職の権限と義務を遂行するものとする。

米CNNは1月6日、複数の閣僚がトランプ氏を免職するための合衆国憲法修正25条の発動に向けた事前協議をしていると報じた。

Obama前大統領は、攻撃をあおったのは、公正な選挙結果に関して根拠のない嘘をつき続けているトランプ氏だと非難し「わが国にとって非常に不名誉で恥ずべきこと」とした。

Bill Clinton元大統領も、「われわれは今日、連邦議会議事堂、合衆国憲法、米国に対する前例のない攻撃に直面した」と述べ、この攻撃は「4年にわたる有害な政治」と意図的な誤情報にあおられたものだと指摘した。「火を付けたのは、大統領選の敗北という結果をひっくり返そうとするドナルド・トランプ氏と、多くの議員を含むその最も熱心な支援者たちだ」としている。

TwitterとFacebookに対し、Trump氏のアカウント停止と、暴力を扇動する投稿へのより強固な措置を求める声はさらに強まったとされる。

Twitterは公式アカウントを通じ、「首都ワシントンで前例のない暴力的な状況が継続していることを受けて、3件の投稿について削除を要求した」と明らかにした。
トランプ氏が問題となった投稿を削除した後も、12時間は新たな投稿ができない状態にした。
さらに、今後、トランプ氏がルールに違反した場合、「同氏のアカウントを永久に停止することになる」と述べた。

ーーー

ペロシ米下院議長(民主党)は1月6日夜、バイデン次期大統領の当選を正式承認する議会手続きを同日中にも再開すると発表した。上院議長を兼務するペンス副大統領とも合意したとしている。


ジョージア州の上院議員選挙は1月5日に行われた。

98%開票時の結果は下記の通りで、いずれも民主党が勝利した。各紙が報じた。
このまま進めば、差は0.5ポイント以上のため、再集計はない。(訴訟はあり得るが)



2議員の正式就任は少し先になる。

各郡は選挙後の第2金曜(1/15)までに結果を認定、その後、州の州 務長官が1/22までに認定する。大統領の弾劾が始まれば、正式就任は遅れる。

11月3日の選挙と今回の決選投票の結果、上院は次の通りとなった。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
改選前 53 45 2 100
非改選 30 33 2 65
改選 補選 21+2 12 0 35
結果 補選   2   2
改選 20 13   33
改選後 50 48 2 100

上院はこれで共和党 50、民主党(無所属含む)50となる。

上院では賛否が同数の場合のみ、議長である副大統領が票を投じる。

このため、上院は民主党が支配することとなり、大統領選、上下両院を制する「トリプルブルー」となる。
(民主党はBlue、共和党はRed)

トランプ米大統領は1月5日、中国アリババ集団傘下の金融会社アント・グループが提供する決済アプリ「アリペイ」など中国アプリに関わる取引を米国内で禁じる大統領令に署名した。
45日後の実施となっているが、バイデン政権への交代で、どうなる実現性は不透明だ。

これらのアプリはユーザーの個人情報にアクセスでき、これらの情報が中国政府や中国共産党が米国の政府職員やコントラクターの所在を追跡、個人情報を蓄積するのに使われるとしている。


トランプ大統領は2020年8月6日に動画投稿アプリTikTok を運営する北京字節跳動科技(Bytedance)との米国人の取引を、 及び、WeChat に関する騰訊控股(Tencent Holdings )との米国人の取引を禁じる大統領令を出したが、同様の理由を挙げていた。

TikTokは米国で175百万回以上ダウンロードされており、自動的にユーザーの個人情報を収集する。これにより中国共産党が米国の個人情報を収集し、連邦職員やコントラクターの位置を追跡でき、個人情報に基づき脅迫や産業スパイも可能となる。TikTokはまた、香港やウイグルなど共産党が政治的にセンシティブになっている情報を監視している。

WeChatについても同様とし、national securityを守るために積極的な行動をとる必要があるとした。

2020/8/10 米国、TikTokとWeChatの運営会社との取引禁止 


今回取引禁止の対象となるのは下記のアプリを開発、支配する者など。

Alipay Alibabaグループの決済およびライフスタイルサービスで、運営はAlibabaグループの関連会社のAnt Group(螞蟻集團が行っている。
オンラインとオフラインの決済機能を提供している。
VMate Alibaba新規事業創出部門傘下で、インドのSNS動画サービス
CamScanner CC Intelligence Corporationが運営するモバイルアプリで、iOSおよびAndroidデバイスをイメージスキャナーとして使用できる。
QQ Wallet Tencentのが1999年からサービスを開始したSNS「QQ」のモバイル決済機能で、運営はグループで金融事業を展開する財付通科技有限公司(Tenpay)
Tencent QQ WeChat のTencentが提供・運営するインスタントメッセンジャーソフト。中国本土において最も普及しているコミュニケーションツールであり、特に若者の間で支持され携帯やメールと同じ感覚で使用されている。
SHAREit 携帯電話から携帯電話へ、携帯電話からラップトップへ、またはPCやラップトップ間でのデータ転送のためのアプリケーション
中国の Lenovo の部門であったが、スピンオフし、現在はシンガポールのSmart Media4U Technology が所有する。
WeChat Pay 中国で最も利用されているTencentのコミュニケーションアプリ「WeChat(微信)」内で提供されている決済サービス
WPS Office Office 互換ソフトの老舗のKingsoft Corporation(金山軟件)が販売する Microsoft Office の互換ソフト

2020年12月31日グリニッジ標準時間午後11時に英国とEUの新協定が発効し、英国がEUを正式に離脱した。

英国は2020年1月31日午後11時にEUを離脱し、同時に移行期間に入った。今回、移行期間が終了した。

BBCはどう変わるのか、主要ポイントの解説をしている。

1.貿易

2021年1月1日以降、英国とEUの間の取引で関税、関税割当はない。→ 懸念された値上げは回避
国境では安全チェックや税関申告等の新しいチェックがある。→ 手続き不備なら問題に
英国の動物の餌に新しい制限がつく。調理されていない肉は-18℃以下に凍らさないとEUに入れない。

2.サービス

金融、建築、会計等のサービス業では自動的にはEU市場で業務ができず、ある程度制限を受ける。
医師、シェフ、建築家など(英国で資格を持つ人は、EUで)自動的に資格を得ることはできない。

英国の事業者は(EU全体の規則ではなく)EUの各国でのそれぞれの規則に従う必要がある。
英国の資格でEUで仕事をするのは難しい。EU各国のルールを調べることが必要。
しかし、英国とEUは将来的にサービス分野でのアクセス改善の協議を行うこととしている。

3.旅行

英国民はEUに180日間のうちで90日以上留まる場合、ビザが必要
EUのペットのパスポートは無効になる。旅行に連れて行くのは可能だが、旅行ごとにペットの健康証明が必要
欧州健康保険カード(EHICカード)は期限が切れるまでは有効。今後、UKグローバル保険カードを導入するが、細目は未定
従来は、EU域内であれば、どの国に行ってもローミング料金を課されることなく、自国と同様の料金でスマホが使えるが、今後は追加料金が必要。
(但し、双方とも透明性のあるリーズナブルな料金にすることとしている。旅行前にスマホ会社にチェックが必要。)

4.漁業

今後4年半にわたり、英国は自国海域からの漁業シェアを順次増やす。英国の漁民に不満が強い。
2026年からは英国はEU漁船を禁止できるが、その場合、EUは英国からの輸入魚に関税を課すことができる。2026年から双方は定期的に協議する。

5.司法その他

英国は欧州司法裁判所に関与しない。これにより英国は自国の法の支配を取り戻す。
但し、北アイルランドでは、特定のEUの貿易ルールに引き続き従うため、欧州司法裁は一定の役割を引き続き持つ。
英国とEUの間で解決できない紛争は独立した仲裁裁判所に廻る。
一方の側が現在の製品基準のルールを大幅に変更する場合、特定製品に関税を課すことができる。

6.治安

英国は今後、治安に関するデータベースに自動的にはアクセスできないが、要求すればアクセスできる。
英国は今後、EUの法執行機関のEuropolのメンバーではなくなるが、本部に席は持つ。
英国のEuropolとの関係は、現在の米国のEuropolとの関係と同じになる。
英国はEUのデータ保護基準に従う必要はないが、英国がデータ保護のルールを変えない限り、少なくとも4カ月は今まで同様にデータを交換する。

7.教育

英国は、EUが他国の学生を支援するErasmus 交換計画に参加しない。既にEUでのコースで学んでいる学生は引き続き、EUの支援を受ける。
北アイルランドの大学の学生は、アイルランド政府のアレンジのもと、Erasmus 交換計画に参加できる。
英国はErasmus 交換計画と似たAlan Turing計画を2021年9月に開始するが、これはEUだけでなく、世界中の国の学生を対象とする。

ーーー

日英経済連携協定(EPA)が1月1日、発効した。

2020/12/8 日英EPA、2021年1月1日発効へ

石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」はテレビ会議で閣僚級会合を開き、1月5日に2月から減産規模をわずかに縮小すると発表した。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、石油需要が再び落ち込む懸念があることから、大幅な減産縮小は見送った。

OPECプラスは2020年12月3日、2021年1月から減産規模を日量50万バレル縮小し、同720万バレルとすることで合意した。

今回、2月以降に当初の予定通り最大50万バレル縮小するか、現行の720万バレルの減産規模を維持するかを協議した。
2日間に及んだ会合の結果、2月は日量812万5000バレル、3月は805万バレルの減産 (うち各100万バレルはサウジの自主減産)とすることで一致した。

減産

  4月12日合意 実績 2021/4
2020/5~6  970万バレル  970万バレル
2020/7  770  960 
2020/8~12  770
2021/1  580  720  720万バレル
  2  812.5
  3  805


2020/12/5 OPECプラス、減産幅を縮小

1月は前月比で50万バレル生産増としたが、ロシアとカザフスタンは2月にも50万バレルの生産増を主張した。ロシアの場合、老朽化した油井を冬季にメンテナンスなしで停止した場合、再稼働するのが採算的に無理になるという。

しかし、他国は生産増を望まなかった。

その結果、Russia とKazakhstan のみ、2月に合計で75千バレル、3月にはさらに75千バレルの増産が認められた。

これに対し、サウジは石油市場を支えるため、独自で2月と3月に追加で各100万バレルを削減する。3カ国以外は現行の生産量を維持する。

この結果、2月の減産は812.5万バレル、3月は805万バレルとなる。

付記

OPEC+は3月4日、4月も現行の協調減産をほぼ維持、 但し、季節要因を理由にロシアの13万バレル、カザフスタンの2万バレルの減産縮小を承認した。サウジは100万バレルの自主減産を継続する。

2021/1  720 万バレル
  2 812.5(712.5+100)
  3  805 (705+100)
4 790 (690+100)


サウジアラビアは同じアラブの隣国カタールと、2017年6月の断交とともに導入した陸、海、空路の閉鎖を解除した。
仲介役のクウェートが1月4日、カタールとサウジが封鎖していた陸海空の国境を再び開放することで合意したと明らかにした。

トランプ米政権も仲介に当たっていた。イランに対する包囲網を強化する狙いがあるとみられる。

ペルシャ湾岸のアラブ諸国でつくる湾岸協力会議(GCC)が1月5日に開く首脳会議にカタールのタミム首長が参加する。
サウジのムハンマド皇太子は、首脳会議がGCC諸国を「結束させる」と強調した。

封鎖解除を受け、サウジなどとカタールの国交回復への動きが一気に加速するとみられる。

ーーー

2017年6月5日、サウジアラビアを中心としたペルシャ湾岸諸国(サウジアラビア 、UAE、バーレーン)とアフリカ大陸にあるイスラム国家の一部(エジプト、イエメン、モルディブ)は、Qatarに対して国交断絶を表明した。

断交理由には、サウジアラビアと対立するイランへの過度な接近やムスリム同胞団への支援を挙げている。

ムスリム同胞団については、エジプトが2013年に、サウジアラビアが2014年にテロ組織に指定している。

Qatar外相は「事実無根。決して降伏しない」と表明し、対抗姿勢を打ち出した。

その後、サウジアラビア、UAE、バーレーン、エジプトの4カ国は、Qatarに対し13項目にわたる要求を送付した。

要求の中には、アルジャジーラの閉鎖、カタール国内に存在するトルコ軍基地の停止、イランとの外交関係の縮小、過激派組織との関係断絶など があると報じられた。

Qatarはこれらの要求を拒否したうえで、各種の対抗措置をとった。

経済制裁が違法だとしてWTOに提訴するとともに、禁輸となった物資の輸入先をオマーンやインド、イラン、トルコへ切り替え。
LNGの年間生産量を従来の7700万トンから1億トンへ増やす計画を発表 。
欧米から戦闘機やコルベットを購入するとともに、トルコ軍と合同軍事演習を実施。

2018年4月、サウジアラビアがQatarとの国境線沿いに運河を建設する構想が報道された。 報道では、サウジアラビアは全長60キロに及ぶ国境沿いに軍事基地と核廃棄物処理場幅約200メートルの運河を建設し、Qatarを物理的にも孤立させるという。


2018/12/5 カタール、OPEC脱退へ

イラン正規軍の革命防衛隊の海軍は1月4日、ペルシャ湾を航海していた韓国船籍のタンカー「韓国ケミ(Hankuk Chemi )」号を海洋の化学物質汚染を理由に拿捕し、自国の港であるBandar-e Abbasに移動させた。


同船舶は7200トンのエタノールを積み、サウジアラビアのAl-Jubail からペルシア湾を航海し、アラブ首長国連邦(UAE)東部のFujairah港に向かっていた。



同船舶は韓国船籍で、韓国人船員5人のほか、インドネシア・ベトナム・ミャンマー国籍の船員が乗船している。

拿捕船舶の船籍はDM Shippingで、イタリアのd'Amico Tankerが51%、三菱商事が49%出資する。同社は「公海上であり、海上汚染はなかった」と説明した。

英国海軍情報交換センター「英国海運貿易オペレーション」はイラン当局とこの船舶の間に相互交信があり、その後船舶がイラン海域に航路を変更したと伝えた。

この海域では、これまでイラン-米国間の緊張が高まりを受けて、第三国の商船やタンカーがたびたびイラン当局に拿捕される事件が発生してきた。

オマーン・マスカット港の南海域で作戦を遂行していた韓国海軍「清海部隊」がホルムズ海峡に緊急出動した。

ロイター通信は、今回の事件が、米国の経済制裁で韓国銀行がイランの石油販売代金を凍結している問題(後記)によって両国間の緊張が高まった状況で発生したと指摘した。

イラン外務省は同日、韓国による70億ドルの資金凍結解除に向け協議するため、韓国当局が数日中にテヘランを訪れる見通しと発表した。

米国務省はイランに対し、拿捕した韓国船籍のタンカーを直ちに解放するよう求めるとともに、イランが経済制裁から逃れるために航行の自由を脅かしていると非難した。「イランがペルシャ湾で航行権や自由を脅し続け、国際社会による制裁圧力を和らげようとしているのは明らか。われわれはタンカーの即時解放を求める韓国の呼び掛けに連なる」と述べた。

ーーー

イランが返済を要求している代金は、韓国のIBK企業銀行とウリ銀行に開設されたイラン口座にある70億ドル。

韓国は2010年からイラン産コンデンセートなどを輸入して、その代金を2つの口座に入金し、イランはこの代金を利用して韓国の物品を輸入してきた。

米国がイランとのドルの取り引きを禁止したためにとられた方法で、米国もこれを認めていたが、2019年9月、米国がイランに対する制裁を強化したことで2つの口座が凍結された。

トランプ米大統領は2018年5月8日、欧米など6カ国とイランが結んだ核合意から離脱すると表明した。

米国は2018年11月5日、イランの石油や金融部門を中心に経済制裁第2弾を再開した。

米政府は2019年4月22日、イラン産原油の禁輸措置について、日本を含む8カ国・地域に対する適用除外措置を5月1日から撤廃することを決定した。

トランプ米大統領は2019年9月18日、イランへの大幅な制裁強化を指示したと表明した。これにより、イランの韓国内の口座が凍結された。

これを受けてイランは、韓国が違法な制裁に賛同しているとして、韓米関係を「主従関係」と表現しながら、強く批判している。

韓国は、2020年5月から制裁に触れない人道的な取り引きとして、凍結された口座の代金を利用してイランへ医療品を送っているが、取り引き額は数十万ドル規模に限られている。

ジョージア州の上院議員2名の決選投票(run-off )が1月5日に行われる。

米ジョージア州は12月31日、有権者280万人超が郵便投票を含む期日前投票を済ませたことを明らかにした。投票者数は過去最多となる見通し。僅差での決着となる見通しで、結果判明まで数日あるいは数週間かかる可能性がある。

ジョージア州の規定では得票率の差が0.5ポイント以下だった場合、候補者が再集計を申し立てることが可能。


ーーー

11月3日の選挙の結果、上院は次の通りとなった。

  共和党 民主党 民主系
無所属
未定
(決戦)
合計
改選前 53 45 2   100
非改選 30 33 2   65
改選 補選 21+2 12 0   35
結果 補選   1   1 2
改選 20 12   1 33
改選後 50 46 2 2 100

この選挙で、ジョージア州の退任上院議員の後任を決める特別選挙と任期到来による通常選挙とも、いずれの候補者も50%以上を確保できなかったため、当選者が決まっておらず、今回、決選投票となる。

仮に2議席を民主党が取ると、50対50となる。法案の議決が50対50となった場合は、上院議長を兼ねる副大統領が1票を投じるが、民主党のKamala Harrisが副大統領になるため、民主党が上院、下院をともに抑えることになる。

逆に1人でも共和党が選ばれると、上院は共和党支配となり、バイデン政権の運営は難しくなる。

このため、両党とも必死である。

大統領選挙と同様、これまで投票していなかった層が多数、郵便投票で期日前投票したことが影響を与える。

また、共和党が上院で、新型コロナウイルス追加景気対策予算案での一人当たり支給額を600ドルから2000ドルに引き上げる大統領主張に反し、これを通さなかったこと(民主党主導の下院は法案を可決した)が結果に影響すると思われる。

トランプ大統領は、一旦署名を拒否した追加景気対策予算法案にサインしたが、今回の決選に出る共和党David Perdue候補が大統領に法案に署名するよう働き掛けたことが明らかにされた。経済対策法の成立が遅れれば、決選投票で自身とKelly Loeffler候補に逆風になると懸念した。

共和党の2候補は、上院での2000ドルに引き上げる法案に賛成を表明していた。

ーーー

特別選挙は2019年12月31日に辞任した共和党Johnny Isakson議員の後任で、一時的に州知事が共和党のKelly Loefflerを指名していたが、正式に選任するものである。
任期はIsakson議員の残り任期の2023年1月3日までである。(2022年11月選挙)

11月3日の投票結果は下記の通りで、共和党の票が割れ、臨時議員のKelly Loefflerは2位、民主党1位も32.9%にとどまった。

候補者得票数得票率
Raphael Warnock(D)
1,617,035 32.9%
Kelly Loeffler(R)
1,273,214 25.91%
Doug Collins(R)
980,454 19.95%
Deborah Jackson(D)
324,118 6.6%
Matt Lieberman(D)
136,021 2.77%

通常選挙の結果は下記の通りで、再選を狙う共和党のDavid Perdue候補は49.73%で、わずかに50%を下回った。

候補者 得票数得票率
David Perdue(R)
2,462,617 49.73%
Jon Ossoff(D)
2,374,519 47.95%
Shane Hazel(LIB)
115,039 2.32%

今回の決選投票では、それぞれの上位2名が対決する。

なお、共和党のDavid Perdue議員は12月31日、新型コロナウイルスの陽性者(選挙関連者)への濃厚接触が分かり、自主隔離した。夫婦ともに陰性ではある。

米下院は、新会期初日の1月3日、下院議長の選出を行い、民主党のNancy Pelosi 氏を改めて選出した。7票差の僅差であった。

80歳の高齢であり、今回、民主党が改選前の232議席から222議席へと減らしたこともあって、党内での反乱があった。

投票結果は下記の通りで、民主党から6人がPelosi氏に投票しなかった。(他人に2票、無投票が4人)

民主党 共和党 合計
民主党  Nancy Pelosi  216 0 216
共和党 Kevin McCarthy院内総務 0 209 209
民主党 Tammy Duckworth上院議員 1 0 1
民主党 Hakeem Jeffries下院議員 1 0 1
"出席"と叫び、無投票 3 0 3
棄権 1 2 3
合計   (未定 2) 222 211 433



下院の定員は435だが、現在2議席が決まっていない。

1) ルイジアナ州 5区

11月3日の選挙では得票が50%を超えた候補がおらず、12月5日に上位2者が決選投票を行い、共和党のLuke Letlow氏が勝利した。

しかし、そのLuke Letlow氏が12月29日に新型コロナで死去した。(12月18日に陽性が判明、入院していた。)

2021年3月20日に選挙が行われる。

2) ニューヨーク州22区

共和党のClaudia Tenneyが民主党の現役 Anthony J. Brindisiに29票差で勝っているが、疑惑票が約2500票あり、裁判になっている。近く裁判所の判断が出る。

インドの医薬品規制当局は2021年1月3日、インドのワクチン製造会社 Bharat Biotechと政府系研究機関 Indian Council of Medical Research - National Institute of Virology が開発した不活化ワクチン「Covaxin」の緊急使用を承認した。

また、Oxford大学 / AstraZenecaのワクチンも承認した。これについては英政府が2020年12月30日に承認している。


AstraZenecaのワクチンAZD1222はインドでは Covishield と呼ばれる。

AstraZenecaはワクチンを増設し、開発途上国にも供給すると発表している。

同社は、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)とGaviワクチンアライアンスと提携し、3億回分を年末までに引き渡しを開始する。  

AstraZenecaはインドのワクチン大手Serum Institute of India (SII) とライセンス契約を締結、10億回分を低・中所得国に供給することにしている。このうち、一定量(発表なし)はインド向けで、残りはGAVI によって他の低所得国に配られる。

2020/6/8 AstraZeneca、新型コロナウイルスワクチン増産、開発途上国に供給 

Serum Institute of India がこれの緊急承認をインド政府に要請した。


先進ワクチンの状況

Developer/manufacturer Platform Type doses Timing Route Phase 承認
1 1/2 2 3
University of Oxford/AstraZeneca Non-Replicating Viral Vector ChAdOx1-S 1*   IM  

UK 2020/12/30

CanSinoBiological Inc./Beijing Institute of Biotechnology Non-Replicating Viral Vector Adenovirus Type 5 Vector 1 IM 〇 
Gamaleya Research Institute
(ロシア)
Non-Replicating Viral Vector Adeno-based 2 0, 21 days

IM

Sputnik V
ロシア 
  2020/8

Vektor (State Research Center for Virology and Biotechnology) ロシア

EpiVacCorona
ロシア
 2020/10

Janssen Pharmaceutical (J&J) Non-Replicating Viral Vector Ad26COVS1 2 0,56 days IM
Sinovac(中国) Inactivated Inactivated 2 0, 14 days IM    
Wuhan Institute of Biological Products/Sinopharm Inactivated Inactivated 2 0,14 or
0,21 days
IM  

 

Beijing Institute of Biological Products/Sinopharm Inactivated Inactivated 2 0,14 or
0,21 days
IM

中国 2020/12/31

Bharat Biotech (インド) Inactivated Whole-Virion Inactivated 2 0, 14 days IM

Covaxin
インド 2021/1/3

Moderna/NIAID(米国立アレルギー感染症研究所) RNA LNP-encapsulated mRNA 2 0, 28 days IM

FDA 2020/12/17
EU 2021/1/6

BioNTech(独)/Fosun Pharma(上海復星医薬)/Pfizer   RNA 3 LNP-mRNAs 2 0, 28days IM

UK 2020/12/2
FDA 2020/12/11
EU 2020/12/21
WHO 2020/12/31

Novavax(米) Protein Subunit Full length recombinant SARS CoV-2 glycoprotein nanoparticle vaccine adjuvanted with Matrix M 2 0, 21 days IM


2020/12/18 COVID-19関連の動き

中国政府は中国最長の河川、長江(揚子江:約6380 km)で10年間の全面禁漁措置を1月1日に開始した。禁漁の対象は長江主流のほか、主な支流や流域の湖にも及ぶ。
2020年1月1日から流域の332の保護区で禁漁としたが、今回、全面禁漁とする。

年末には取締り体制が整った。

当局者は長江の魚種が「枯渇に近付いているため」と説明した。2003年から禁漁時期を決めていたが、効果がないため、全面禁漁とする。

長江は淡水魚の一大産地として名をはせてきた。固有種も多く、地元の料理店などで人気だった。

中国政府の2013年の報告書では、長江上流で生息する魚種はかつての143から17に減ったとする。年間漁獲量が1954年の約43万トンから10万トン未満に落ち込んだ。

中国政府は漁獲減の背景として、流域生態系の破壊が進んだことを認め、生態系破壊の主な原因として、乱獲、工場や住宅の排水による水質汚染、ダム建設などを挙げる。
今回の禁漁は乱獲に対応した措置で、長江の魚の繁殖周期は3年前後とされ、
中国政府は禁漁期間の妥当性について「10年間に3回の周期を経れば資源は倍増する」と主張する。

専門家の間では、流域で多数建設されてきたダムが最大の原因との見方が有力で、禁漁の実効性に疑問も出ている
2009年に水力発電などを目的とする世界最大級の三峡ダムが完成した。現在も、長江上流で三峡ダムに次ぐ規模の大型ダムが建設されている。 ダム下流では、「ダム建設後、魚が取れなくなった」との声が強い。

失業する漁師は30万人規模に達する。
流域では禁漁措置の実施を控え、漁師約23万人が既に廃業し、漁船11万隻が廃船となった。中国政府は廃業者らに計約200億元(約3170億円)の補償金を支給し、転職を支援するとするが、簡単ではない。

米上院は1月1日、Trump大統領が拒否権を行使した国防権限法案を81対13の2/3以上の賛成で再可決した。 下院も既に再可決している。現政権で議会が大統領の拒否権を覆したのは初めて。

1月3日に新議会が始まるため、ギリギリの採決だった。

トランプ大統領は、2021年度予算案と新型コロナウイルス対応景気対策予算案を一旦拒否し、12月27日に一転、これにサインしたが、いろいろ条件を付けた。

2021会計年度の国防予算の大枠を定める国防権限法案にも拒否権を発動した。海外駐留米軍の性急な削減を制限することや、南北戦争での南部連合軍にゆかりのある米軍基地名の変更条項などを問題にした。

これらについて、下院は民主党主導ですべて対応したが(支給額の1人当たり2000ドルへの引き上げ法案を可決、国防権限法の拒否権を覆す2/3以上での再可決)、上院で共和党の意見がまとまらず、混乱した。

1月3日には現メンバーによる議会は終了し、新メンバーによる議会がスタート、ペンディングの法案は全て廃止となる。

今回、国防法案は再可決したが、 下院が可決した2000ドルへの引き上げは諦めた。先に議決し、大統領がサインした2021年度予算案と新型コロナウイルス対応景気対策予算案(1人当たり600ドルの支給)が成立する。

国防権限法については、下院は12月28日、これを2/3以上の賛成で再可決した。大統領の拒否権を覆すには上院、下院がそれぞれ2/3以上の賛成が必要で、上院の決定待ちとなっていた。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 109 212 1 322
反対 66 20 1 87
棄権 20 1   21

合計

195 233 2 430

1月1日の上院の採決は下記の通りで、共和党の反対は7名のみで、40名が大統領の意向に反し、賛成した。

共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 40 40 1 81
反対 7 5 1 13
棄権 5 1 6
合計 53→52 45→46 2 100


11月3日に投票が行われたアリゾナ州の補欠選挙で、元NASA宇宙飛行士の民主党のMark Kellyが共和党現役(議員辞任で知事が一時的に指名)のMartha mcsallyに勝利した。
補欠選挙のため、一般の当選者の就任の1月3日を待たず、12月に就任、共和党が1名減となった。

大統領はツイッターで以下の通り述べた。

Our Republican Senate just missed the opportunity to get rid of Section 230, which gives unlimited power to Big Tech companies. Pathetic!!!
Now they want to give people ravaged by the China Virus $600, rather than the $2000 which they so desperately need. Not fair, or smart!

国防法案については述べず、景気対策予算案につけた条件(2000ドルへの引き上げ、Big Techを利するSection 230 の再検討)が通らなかったことを「痛ましい」としている。

ーーー

経緯は次の通り。

トランプ大統領は、2021年度予算案と新型コロナウイルス対応景気対策予算案を一旦拒否し、12月27日に一転、これにサインしたが、いろいろ条件を付けた。

新型コロナウイルス追加景気対策予算案の、1人当たり600ドルの支給に対し、成人には2000ドル、子供には600ドルを渡すこと。
Big Techを利する
Section 230 を再検討し、取り止めるか、大幅変更すること
今回の大統領選挙で発生した多くの不正投票に強く対応すること

米下院は12月28日、9000億ドルの新型コロナウイルス対策に盛り込んだ家計への600ドルの現金給付案を2000ドルに積み増す単独法案を賛成多数で可決した。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 44 231   275
反対 130 2 2 134
棄権 21     21

合計

195 233 2 430

これに対し、共和党上院トップのMcConnell 院内総務は12月29日、①一人当たり2000ドルへの引き上げ、②Section 230の削除、③選挙制度検討の委員会を設置し、議会へ勧告を含めた法案を提出した。大統領の要請であるとし、3つを一括法案にするとした。

実際には、上院での法案提出を支配するMcConnell 院内総務が、2000ドルへの引き上げに反対、民主党などが反対する他の項目との一括法案にしたとされる。この案は共和党を含め反対が強く、可決される見込みはなく、McConnell 院内総務も諦めた。

その間、トランプ大統領はツイッターで2000ドル案を要求し続けた。

Give the people $2000, not $600. They have suffered enough!

$2000 for our great people, not $600! They have suffered enough from the China Virus!!!

Unless Republicans have a death wish, and it is also the right thing to do, they must approve the $2000 payments ASAP.
$600 IS NOT ENOUGH! Also, get rid of Section 230 - Don't let Big Tech steal our Country, and don't let the Democrats steal the Presidential Election. Get tough!

$2000 ASAP!

「ひ弱で疲れ切った共和党の"leadership" 」が国防権限法案を通そうとしているとし、これをやめて、もっとよい法律にせよとし、さもなくば交代せよとした。(これについては後記)

Weak and tired Republican"leadership" will allow the bad Defense Bill to pass.
Say goodbye to VITAL Section 230 termination, your National Monuments, Forts (names!) and Treasures (inserted by Elizabeth "Pocahontas" Warren), 5G, and our great soldiers being removed and brought home from foreign lands who do NOTHING for us.
A disgraceful act of cowardice and total submission by weak people to Big Tech.
Negotiate a better Bill, or get better leaders, NOW! Senate should not approve NDAA until fixed!!!....

民主党の Chuck Schumer院内総務は2日続けて、下院で議決した2000ドル法案を議決するよう求めた。

2000ドル案については、共和党内で意見が分かれている。

1月5日の決選投票を控えるジョージア州の2議員を含め、多くの議員が支持を表明している。
2024年の大統領候補とみなされているJosh Hawley、Marco Rubio 両議員は2000ドル案を推進した。
以前のリーダーNewt Gingrichは2000ドルを決めないとジョージア州で2議席を失い、上院で敗者になると警告した。

しかし、大部分の共和党議員は、追加が4000億ドルにも達するとして反対している。
討議では、「4000億ドルもの追加は多すぎる。議会は既に十分の額をCOVID支援に支給している」との発言があった。

しかし、McConnell 共和党院内総務は「必要としない多くの家庭に金が配られる」「もっと支援が必要な家庭があるなら、上院は限定した支援策を考える。しかし借入金での一斉支払いは駄目だ(Not another firehose of borrowed money)」と述べ、大統領の圧力があっても、意見を変えないことを明らかにした。2000ドル案について採決しないことを決めた。

議場で、「民主党主導の下院が通した2000ドル法案は、上院ではすぐに通るような現実的な道はない」と述べた。「上院は、追加で借金して、支援を必要としない民主党の友人に支払うようなことはしない」と付け加えた。

1月3日には新議員が宣誓、現在の議会は終了するため、既に可決されている600ドルを2000ドルに増やす法案は消えたも同様である。


国防権限法案についても、下院は大統領の拒否権を否定する2/3以上で可決したが、上院では難航した。

無所属のBernie Sanders 議員は2000ドル案が議決されるまでは国防権限法案の議決を妨害するとしている。議場でMcConnell 共和党院内総務に対し、「地元で選挙民に聞けば、直ちに2000ドルが必要としていることが分かる」と伝えた。

しかし、McConnell 院内総務は12月30日夜、討論終結を発動、討論を制限、Sandersによるfilibusterのオプションを封じた。

この結果、上院は1月1日に国防権限法案についての採決を行った。 同時に2000ドル案の議決可能性は消えた。

ーーー

国防権限法案について:

4500ページにも及ぶ総額7400億ドルの国防権限法案を巡り上下両院の共和、民主両党は何カ月も交渉を続けてきた。

米軍兵士の昇給や戦闘機および戦艦の購入数、ロシアや中国など競合国への対応などを幅広く網羅している。

法案はドイツ駐留米軍の規模維持を支持する内容となっている。国防総省は2020年7月に、トランプ大統領の決定に従い、 影響評価を行わずに、ドイツに駐留する約3万6000人のうち約1万2000人を削減すると発表したが、議会が阻止に動いた。

南北戦争の南軍を讃える全ての名称、シンボル、ディスプレイ、モニュメント、道具などを3年以内に取り除くことを命じている。

軍の施設にはBraxton Bragg 将軍の名前を付けた Fort Bragg、Robert E. Lee 将軍からのFort Lee などが有名。

第二次大戦中に欧州と日本でモニュメント、美術品、記録等を破壊から守った人々を評価するという条文もある。

your National Monuments, Forts (names!) and Treasures (inserted by Elizabeth "Pocahontas" Warren
〔大統領は以前に、
Elizabeth Warren上院議員をけなし、400年前のインデアンの女性Pocahontas から採った渾名をつけた。〕

中国の5G通信技術(Huawei製のこと)を使用する国には武器や軍隊を送るのを再検討するよう国防総省に求める条項もある。
(トランプが、これをなぜ非難するのか不明)



中国と欧州連合(EU)は2020年12月30日、「包括的投資協定」(CAI: Comprehensive Agreement on Investment)を結ぶことで大筋合意した。約7年越しの交渉がようやく妥結した。

テレビ会議には中国から習近平国家主席、EUからミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領が出席した。

発効には少なくともあと1年かかるとみられているが、発効すれば世界2位と3位の経済規模を持つ国と地域の結び付きが一段と強まり、EU企業は中国市場への参入に弾みがつく一方、中国も東アジア包括的経済連携(RCEP)に続く大型協定で存在感を高める。


習主席は、投資協定締結は市場開放に向けた中国の決意と自信を示しているとし、新型コロナウイルス感染拡大の影響からの回復過程で世界経済が刺激されるほか、相互の信頼感増強に寄与すると述べた。
フォンデアライエ委員長は「投資協定は対中関係の重要な一里塚になる」と述べた。

新型コロナの打撃を受けた経済を再生させたいEUと、米国との対立の長期化をにらみ、独自の経済圏づくりを急ぐ中国の思惑が一致した。

これに対し、バイデン次期政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)に就任するSullivan氏は、「欧州のパートナーと、中国の経済慣行をめぐる共通の懸念について早期に協議したい」とツイッターで発信した。バイデン陣営は同盟国と連携し、中国に貿易ルールの順守を迫る方針を示している。   

投資協定は投資環境の整備が目的で、関税の引き下げは伴わない。中国はFTA交渉を望んだが、EU側が時間がかかるとして、投資協定にした。

EU企業は電気自動車、民間医療機関、不動産、広告、海運、通信クラウドサービス、航空券予約システムなどの分野で中国で事業展開が許可される。これまでは事業展開の条件として中国企業との合弁を組む必要があったが、この条件の一部は撤廃される。
自動車産業では合弁会社の要件を段階的に廃止するほか、新エネルギー車の市場が開放される。
私立病院事業の合弁要件が緩和されてEU企業が北京など主要都市に進出できるようになる。
現在は禁止されているクラウドサービスへの参入が50%の株式取得を上限に認められる。

中国は参入企業への技術の強制移転を禁止する。
補助金の透明性を高め、国有企業が外国投資家を差別的に扱わないようにすることも確約した。

合意に違反した場合は法的な責任を問える紛争解決メカニズムを設立する。

交渉で最後まで対立した中国での労働者保護については、中国側は強制労働を禁じる国際労働機関(ILO)の関連条約の批准を目指すことを約束した。

中国商務部は、欧州の投資市場はすでに比較的開放されているが、今回合意された投資協定で、中国企業はEU域内で法的拘束力のある市場アクセスが得られると指摘した。

ーーー

EU発表の「包括的投資協定」の概要

EU AND CHINA COMPREHENSIVE AGREEMENT ON INVESTMENT

China is one of the largest and fastest growing economies in the world, with a domestic market of 1.4 billion consumers.
Increasing
EU business relations with China will help boost EU economic growth.

The EU-China Comprehensive Agreement on Investment will:

guarantee an unprecedented level of access to EU investors in China
allow EU companies to buy or establish new companies in key sectors
help level the playing field for EU companies in China
commit China to rules on state owned enterprises and transparency in subsidies

Market access commitments by China

 Manufacturing:

More than half of EU investment in China is in the manufacturing sector.
This is the first time China has committed to market access in this sector with a trade partner.
China's commitments in this sector include cars (traditional and new energy vehicles), production of transport and health equipment, and production of chemicals among others.

 Services:

Significant, binding commitments in financial services, international maritime services, environmental, construction and computer services.
Further opening in services related to auxiliary air transport services, cloud services, and private health services.

Commitments on fair competition

 State owned Enterprises (SOE) :

China to ensure that SOEs active in the market take decisions solely based on commercial considerations.
China to ensure that SOEs do not discriminate European companies when they buy goods or services from them or sell goods or services to them.
China to share information and consult if the behaviour of SOEs affects EU investors.

 Transparency in subsidies:

・Obligations on transparency as regards subsidies provided in the services sector.
・Commitment to share information and consult on specific subsidies that could have a negative effect on the investment interests of tht EU.

 Forced technology transfers:

•Clear prohibition of investment requirements that compel transfer of technology.
•No interference in contractual freedom in technology licensing.
•Protection of confidential business information.

 Standard setting, authorisations, transparency:

•Equal access to standard setting bodies for EU companies.
•Enhanced predictability in authorisations.
•Stronger legal certainty through transparency rules for regulatory and administrative measures.

 Sustainable development + effective implementation and dispute settlement:

・Commitments to respect core ILO principles and to effectively implement the ratified ILO Conventions.
・Specific commitment on the ratification on ILO fundamental Conventions on forced labour.
・Commitment to effectively implement the Paris Climate Agreement.
・Transparent resolution o disagreements by an independent Panel of experts and with the involvement of civil society.

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